漆樹

〔倭名類聚抄〕

〈十五膠漆具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 漆 野王案曰、漆〈音七、宇流之(○○○)、〉木汁可以塗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 物也、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 金漆樹 楊氏漢語抄云、金漆樹、〈許師阿夫良能http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif

〔伊呂波字類抄〕

〈宇植物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 桼〈ウルシ俗用漆〉 〈木汁可以髹器物也、俗用漆非也、漆者水名、作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000117.gif 、俗作漆、餘倣此、本朝事始云、倭武皇子遊獵宇陀阿貴山之時、以手牽折木枝、其木汁黒美染于皇子之手、爰皇子召舍人床石足尼曰、此木汁塗干而可之、床石塗干而獻之皇子、大悦取其木汁、而塗翫好之物、以床石足尼於漆部官、〉

〔未木和歌抄〕

〈二十九漆〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 漆 民部卿爲家 くれなひのをのが身ににぬうるしの木ぬるとしぐれに何かはるらん

〔大和本草〕

〈十四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 漆 植之利民用、其用有四、其汁可http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c9ab.gif 器、其乾者可藥、乾漆是也、其實可燭、其木心黄、可器、〈◯中略〉 ハジ、ヌルデ、椿亦漆樹之類也、故其生汁亦發小瘡、漆自吉野熊野諸山出、又中夏ヨリ多ク來販ク、爲彩色者吉野産爲良、

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 漆 桼〈本字〉 和名宇留之 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c9ab.gif 物色潤美(ウルハシ)之略也 木蠟(キラフ)〈漆子也◯中略〉 按漆樹陸奧出羽下野處處、關東之産稱世之女(セシメ)漆、爲最上、日向米良之産次之、眞黒塗及小細工家可之、和州吉野漆者、朱及http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000118.gif (ウルミ)朱必可用、中國西國北國皆有之、而越前之産最下、凡入藥可唐乾漆http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c9ab.gif 物、唐漆不佳也、凡木器磁器破者、以漆接繼之、則不離、如欲復離http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 之者、蕎麥稈灰汁中投漬其器、則可 離、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0466 漆 ウルシ 乾漆一名續命筒〈輟耕録〉 漆、秘傳花鏡ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e047.gif ニ作ル、同字ナリ、山中ニ自生多シ、葉ハ膚木(フシノキ)葉ニ似テ鋸齒ナシ、香椿葉ヨリ短ク數少シ、秋ニ至レバ面紅色、背黄色ニ染テ落ツ、花ハ夏枝梢ニ長穗ヲナシ枝ヲ分チ、黄白小花ヲ開ク、膚木花ニ似タリ、後實ヲ結ブ、圓扁大サ一分餘、多ク下垂ス、熟スレバ外皮淺黄褐色、此實ヨリ採ル蠟ヲウルシ蠟ト云、ハゼ蠟ヨリ上品ナリ、唐山ニテ木實ヨリ蠟ヲ採ルハ烏臼(ナンキンハゼ)ナリ、漆ヨリ採ルコトナシ、ハゼハ葉漆葉ヨリ長大ニシテ、實モ大ナリ、今諸國ニ多ク栽エ蠟ヲ採ル、一種琉球ハゼハ葉小ニシテ南天燭葉ノ如シ、實ハハゼノ實ヨリ大ナリ、コノ二種皆漆ノ類ナリ、 漆樹ノ皮ニ鋸メヲ附ヲケバ、油脂出ルヲ刮リ採者、即物ヲヌル漆ナリ、唐山ニテハ竹管ヲ皮中ニサシ入ヲキ、油脂流レ出ルヲ採ルト云、本邦ト採法異ナリ、奧州羽州野州ヨリ出ルヲセシメ漆ト云、力強シテ上品ナリ、物ヲ續ニ用ユ、日州ヨリ出ルハ小細工ニ用ユ、和州芳野ヨリ出ルハ力弱シ、朱漆ニ用ユ、越前ヨリ出ルハ下品ナリ、唐山ノ漆モ下品ニシテ、舶來ノ漆器甚ダ損ジ易シ、故ニ本邦ノ漆器ヲ賞スルコト、遵生八牋ニ見ヘタリ、東西洋考ノ日本ノ條ニ、一統志ヲ引テ曰、以漆制器甚工緻、兩山墨談曰、泥金畫漆之法、古亦無有、宣徳時遣漆工、至倭國其法以歸ト云フ、藥ニハ乾漆ヲ用ユ、是ハ漆ヲ桶ニ入置タル者、久シクシテ桶ノ邊ニツキ乾キタルヲ採ル、是ヲヤケルト云、其形穴多アリテ蜂巣ノ如シ、色黒シテ輕シ、是眞物ナリ、弘景ノ説ニ、漆桶中自然乾者、状如蜂房孔、孔隔者爲佳ト云リ、今藥舖ニ岩乾漆ト呼ブ者ハ、堅重ニシテ孔穴ナクhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif 炭ノ如シ、是石ノ部ノ石炭ナリ、漆類ニ非ズ、然レドモ和方書ニ乾漆ト云フハ、多皆コノ石炭ナリ、漆樹材トシテ堅シ、其心黄色ニシテ美シ、能ク水ニ堪ユル故、手水鉢ノ臺ニ用ユ、

〔農業全書〕

〈七四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0466 漆 うるしを芳野にてうゆる法、先苗を仕立るは、秋子を取て俵に入、ぬれゑんなど、つねに水つかふ邊りにをき、俵の上より水をそヽぎ、泔水(シロミヅ)をも時々かけて、古筵こもなどをおほひ置ば、春になりて水青みて、芽立の見ゆる時、苗地を冬より耕しこなし熟し、糞をも多くうちさらし置たるを、畦作り、菜園のごとくしかきならし、種子をむらなくばらりとまきて、肥土を以ておほふ事、樹の厚き棚をかき、日おほひをし、旱せば水をそヽぎ、草はありともとらずして、一年は其まヽをき、二年の後、根の土ながら堀取移しうゆるなり、

〔草木六部耕種法〕

〈二十需實〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0467 漆樹ハ諸農書ニ、唯其膠液(タノウルシ)ヲ搯採(カキトル)ノ法ノミヲ説テ、絶テ實ヲ採コトヲ論ジタル者ナシ、且漢土人ノ有識多キヲ以テ、尚漆木子(ウルシノミ)ニ蠟有ルコトヲ知ラズ、故ニ本草ヲ始メトシテ、種々物産書地志等ノ多キコト倒牛折軸ス、然レドモ漆子ニ蠟多キノ説ハ、未曾見及ザルナリ、蓋コレ有ン、愚老〈◯佐藤信淵〉ハ未コレヲ見ズ、抑漆樹ハ第十六番ノ氣候ヲ得テ、其實能豐熟ス、故第十番以上ノ温暖地ニハ豐熟セシメ易カラズ、然ドモ山間北陰ノ地ニ栽バ、亦能豐熟ス、又二十番ノ寒國ハ必山南ノ陽地ニ栽ヲ良トス、此ヲ植ルノ法ハ、十二月上旬ニ、其實ヲ臼ニテ擣、外売(ソトカラ)ト蠟氣トヲ剥テ其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif ヲ採、半切桶(ハシギリヲケ)ニ入テ微温水ヲ灌ギ、叮嚀ニ洗テ其蠟氣ヲ除去、五七日モ此ノ如クシテ蠟氣ノ無ニ至リ、此ヲ藁囤(タハラ)ニ入、土中ニ埋メ、上ニ菰筵類ヲ被セ、度々水ヲ澆テ温養シ置コト、黄櫨ノ種子ヲ養ニ全ク同ジ、翌年ノ三月上旬マデニ、豫テ苗地ヲ調理、此ヲ蒔、亦黄櫨ノ子ニ異ナルコト無シ、蒔キ付タル年ノ九十月、苗延テ葉落タル頃ニ、片手ニテ其苗ヲ引拔テ見ルニ、能引拔ル苗ヲバ悉拔棄ベシ、其中ニ横根ノ淺ク十方ニ蔓テ、容易拔ザル苗アラバ、此ヲバ拔棄ズニ立テ置ベシ、凡漆木苗今年蒔テ今年中ニ生ジタルハ、大抵皆牡木(ヲギ)ナル者ナリ、牡木ハ實ヲ結ザルヲ以テ栽テ益ナシ、故ニ皆拔棄ベシ、天地自然ノ性ニテ、牡木牡草(ヲトコギヲトコグサ)ハ其根直ニ深ク延下リ、牝木牝草(メキメクサ)ハ其根横ニ淺ク蔓滋ヲ以テ、其拔易ハ直根ナル故ナリ、其拔難ハ横根ノ蔓タルヲ以テ、或ハ牝木ナル モ知ベカラズ、是以テ立置ノミ、牡木ヲ悉拔棄テ、其跡ニ水糞ヲ饒ニ澆ベシ、翌年ニ生ズル苗ハ皆牝木ナリ、草ヲ耘培養ヲ懇ニシテ成長セシメ、一尺三四寸ニ及ビタルヲ植地ニ移シ栽ウベシ、植地ハ熟畑(ジユクハタ)ノ軟膨(ボヤカシ)タルニ宜シ、路傍ノ行木等或ハ田畠ノ周圍ナドヲ軟膨テ栽ベシ、水邊ニ植タルハ、成長スルコト殊ニ速カナリ、或ハ山野中ニ栽ト雖ドモ、牛馬ノ力ヲ用テ能ク其土ヲ犂返、草茅木ノ枝葉等ヲ耕錯(キリマゼ)テ、其植ル處ヲ濶深二尺許ヅヽ地ヲ軟膨テ植ルトキハ、早ク成長シテ實ヲ結コト多シ、此ヲ栽ニハ正月中旬ヨリ三月中旬マデノ間ト、八月下旬ヨリ十月初ヲ以テ良トス、雨後ノ濕アルニ栽ベシ、五六寸ノ穴ヲ掘リ、根ノ土ノ附タルヲ栽テ、上ニ肥土ヲ少シ高キ程ニ覆ヒ、押付テ置トキハ、日アラズシテ能活著(イキツク)者ナリ、漆樹ハ植付テ他ノ草ヲ耘リ、心ヲ用テ培養フトキハ、移栽テ五年目ニハ花ヲ見セ、六年目ニハ實ヲ一升モ結、七年目ニハ二升ニモ及、八年目ハ三升餘、九年目四五升、十年目ニハ六七升ニ至、十五年ニハ一斗二三升、二十年目ニハ二斗以上、三十年目ニハ三斗餘、四十年目ハ四五斗、五十年目ニハ五六斗ノ實ヲ得ルニ至ル、此レ漆木ハ長壽ナル者ニテ、年ヲ經ルニ從ヒ、實結コト愈多ガ故ニ、會津ニハ百年ヲ越テ、年々一石以上ノ實ヲ生ズル大木有リ、

〔日本山海名物圖繪〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 漆製法 漆の木に、鎌にて切目をつくれば、其切目より汁ふき出るを、竹べらにてこそげ取也、こそげ入るうつは物は、茶の濃きせんじ汁を入、くるみの油を加へて、其上へ漆をこそげいるれば、漆やけずしてよしといへり、凡漆は取には至てほそき木は汁なし、又格別の老木もわろし、和州吉野紀州熊野、うるしの名所也、其外諸國より出、うるしの木の實は取て蠟にする也、

〔令義解〕

〈三賦役〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 凡調絹絁〈◯註略〉絲綿布、並隨郷土所出、〈◯中略〉正丁一人、〈◯中略〉漆三勺、金漆三勺、

〔類聚三代格〕

〈十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 太政官符 合四箇條事〈◯中略〉 一漆菓事 右同前〈◯太政官今年閏六月八日下五畿内七道諸國符〉符偁、漆菓之樹觸用亦切、事須蕃茂並勿伐損、其菓實者復宜相共者、夫桑漆二色依例載朝集帳、一戸三百根已上宜戸内、若有剩餘亦相共之、但宅邊側近、元來加功栽栗爲林者、准上條、量貴賤之、務從折中、〈◯中略〉 大同元年八月二十五日

〔蠟漆舊記〕

〈坤〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0469 漆木役木御定之次第 一寶徳年中、蘆名盛信公御代より、慶長三戌年迄、百姓共支配仕、御用之蠟漆有之時分は、相場を以御買上ニ成候、但蒲生秀行公御代也、此砌者在々所々ニ地下野士給人多有之、百姓方より取立、品々無格不同也、〈寶徳元年巳年より慶長三戌年迄百六拾年ニ成、寶徳元年より寛永二十癸未年迄二百五年ニ成、慶長三年より寛永二十年迄四十五年ニ成、寶徳元年より明和七年迄三百三十二年、〉 一慶長四亥年六月、上杉中納言景勝公御代、會津四郡拾九万八千六百貳拾四本七分八厘といふは、目通り四尺廻りを言、上杉公御代は、漆役、壹本より木實壹升五合宛御取上、其外百姓勝手次第に絞り取賣買、然共買人無之、及難儀、公儀へ致訴訟、金壹分ニ蠟六貫八百目迄賣上候、同慶長六年丑五月、役木壹本より向後御年貢蠟貳拾壹匁宛可相納定、 但壹升五合を爲絞、數年を平均貳拾壹匁足りニ當故を以、地下ニ而爲絞蠟ニ而御取立之由、例年貳拾壹匁納候付、餘り蠟有之候間、小買ニ御買上被下度段奉願候、其砌小川庄蒲原郡之蠟直段を、拾ケ年平均銀拾五匁ニ蠟六貫四百目と定、併壹本ニ付何匁と言無定、餘り蠟有之分は不殘賣上候由、寛永八未年、加藤左馬助様御代、始小買蠟目直段共ニ定り、役木壹本ニ付蠟八匁 金壹分ニ貳貫目直、 但年々小買ニ御買上蠟目、木役平均ニシテ、壹本之足リ八匁ニ當ル故也、如此定役被仰付候上ハ、直段高直ニ被成下度段達し、御吟味之上、左候ハヾ木實不生之年ハ、金納ニ可相納と定、

〔上杉編年文書〕

〈三十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0470 掟〈◯中略〉 一漆の木者皆枯候共、又若木何ほど出來候とも、本役の外指引被成間敷候間、木なへをもそだてべき事、 以上 右條々觸下肝煎百姓等に堅爲申聞、一在所へ一ツ宛書寫し可相渡者也、 慶長九年閏八月二日 山城守〈◯直江兼http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e28f.gif

〔蠟漆舊記〕

〈乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0470 慶長十九年寅十月中、蒲生飛騨守様御代、漆木役定ル事、一上々之木 三拾本ニ而 百本役  一上之木 五拾本ニ而 百本役  一中之木 百本ニ而 百本役  一下之木 百三十本ニ而 百本役  一下々之木 百六十本ニ而 百本役 〆五段 慶長十九年寅十月十九日 岡村五左衞門 竹村何右衞門 寛永五辰年http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018083.gif 同二十年迄加藤左馬之助様御代之内、同六巳年役漆木又法、 一漆木高サ壹丈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018083.gif 役漆壹夕ト有リ、但御年貢蠟御取立帳之末、 右之通、此如帳面、毎年可請取候、但改出シ有之候ハヾ、書付越可申候、以上、 巳十月朔日 守岡主馬 玉井忠兵衞殿 古川庄三郞殿 漆藏帳面之末書 右之通、如此帳面毎年可請取候、重而改出シ有之候ハヾ、書付越可申候、以上、 巳十二月朔日 守岡主馬 山田久兵衞殿 原田五助殿 一寛永十六卯年、加藤式部少輔様御代、木數御改貳拾万三千百九本三分九厘と成、 一輪之内蠟しぼり釜本らうのはかり御藏のうつしをいたし置、掛させ可申候、斤量ニ而一切うけまじく候事、 一蠟をゆがき候者は、釜中ニ而ゆがき可申候事、 一漆之木二番かきいたすまじく候、并毎年うるしの直損可申事、 右之通、在々百姓共ニ可申付候、相背者於之者、曲事ニ可ニ申付也、 寛永十九年午十一月廿三日 守岡主馬 輪之内村々肝煎中

〔蠟漆舊記〕

〈乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0471 蠟漆御引渡御前帳上書 一會津若松城附蠟漆之帳 如此有之御帳面之内、郡分之村別有之候得共略ス、 合壹萬九千七百四拾本七分 大沼郡 合拾壹萬三千三百四本四厘 山ノ郡 合七萬三千八百拾九本七厘 稻川郡 合三百八拾七本八分 川沼郡  合貳千四百拾五本 猪苗代 合五萬五百八拾貳本 小川庄 總合貳拾六萬千貳百四拾八本六分壹厘 役漆文役敷 右漆貳千六百拾貳孟四合八勺六才 但〈壹本ニ付壹勺ヅヽ 壹孟ニ付貳百五拾目宛〉 右蠟目壹萬千貳百三拾三貫六百九拾目 但〈木壹本ニ付四拾三匁之内貳拾壹匁御年貢蠟〉 拾四匁大買蠟八匁小買蠟 右是者加藤式部少輔家來仕上候以帳面斯相究候、以上、 寛永二十年未八月二日 井伊半左衞門〈印判居判〉 佐野主馬〈印判居判〉 保科民部殿 遠山伊右衞門殿 當時有漆木役 一貳拾六萬五千三百五拾六本六分三厘 此漆貳千六百五拾壹孟八合三勺貳才餘 外ニ壹孟七合三勺京錢納拾箇村ニ而百七拾三本四分 此蠟壹万千貳百六拾貫百六拾貳匁貳分三厘 是者御郡中大小買蠟御免之村も有之、且御郡中之内猪苗代者、壹本役九匁宛、又京錢納之村、其外先部御代御引渡之帳面書落之村、御直山漆木野漆木、寛文八年所附被仰付、其外致増加、此委キ御帳面者、御納戸ニ有之、其寫時々之漆木方上役印符ニ而、蠟漆木役所ニ有、容易ニ役人見申間敷旨、御奉行所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018083.gif仰付候事、

〔日光山志〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0472 漆園 是は小倉山の續き鳴澤川といふを越て、其上なる原野の地なる邊をいふ、漆を植付られしかど、原野の續きゆゑ、年々野火の爲に多く枯うせたり、

〔佐渡志〕

〈五物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 漆 通名ウルシ 山村ニ多シ、雜太郡小倉村ノ名産ナリ、船ヲ作ルニ用テ甚佳ト云、同郡小川村ノ産ハ膚木葉ニ似テ漆工ノ好マザル所ナリ、

〔草木六部耕種法〕

〈九需葉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 赭黒繭(クリカハイロノマユ)ノ野蚕ハ、上野下野越後奧州等ニ有リ、此ノ髯蟖(ケムシ)ノ形状モ毛多ク、暗青色ナルモ、淡黒色ナルモ有リ、此蟲ハ極テ漆樹葉ヲ好ムガ故ニ、會津國ニテハ此蟲夥シク滋息シテ、漆樹葉ヲ喰ヒ、一段ヤ二段ノ漆園ヲバ、一夜ノ中ニ其葉ヲ喰盡シテ、終ニ其木ヲ枯ヲ以テ、會津候コレヲ患テ、毎年夏中ニハ度々數万ノ人夫ヲ起シテ、其野蚕ヲ退治セシム、然レドモ此ヲ殺盡スコト能ハズ、年々數多ノ漆樹ヲ枯ス、是故ニ會津ノ患トスル所ハ此野蚕ナリ、

黄櫨

〔倭名類聚抄〕

〈十四染色具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 黄櫨 文選注云、櫨〈落胡反、和名波邇之(○○○)、〉今之黄櫨木也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六染色具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 南都賦楓柙櫨櫪、李善注引郭璞上林賦注云、櫨橐櫨、又上林賦華楓枰櫨、李善曰、已見南都賦、並不此文、按漢書司馬相如傳載上林賦、顏師古注云、櫨今黄櫨木也、疑源君引之、誤以爲文選注也、按黄櫨木不詳、

〔伊呂波字類抄〕

〈波殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 櫨〈ハニシ ハシ 黄櫨〉

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 はじ紅葉 はじ紅葉おほく歌によめり、文選注の櫨は、今の黄櫨木なり〈和名類聚抄〉といひ、又漆ぬるでの類なり〈大和本草〉ともみゆ、その葉漆に似て長く先尖り、霜後鮮紅に染て甚美觀なり、餘木の紅葉よりも葉の表深紅にして、裏は黄色にきは立てみゆるなり、その材を以て弓につくること、神代より所見あり、天之波士弓〈古事記〉天梔弓〈日本書紀〉とも書り、たヾし梔も櫨も皇朝のはじにはあたらずと〈本草綱目啓蒙〉いり、今世にても弓を作るに、かならず此木を以て側木とするなり、然れどもはじといはずして、はぜといへるより、別木にやとおもへる人もあり、この木はうるしの木に似て、身木も葉もうるし の如くにて見わけがたし、葉をならべて見れば、うるしは廣く櫨は少し狹きが如し、然れ共秋の末に至れば、櫨の葉は黄色になり、其後赤みさして、黄赤交りたる色に成、〈是をはじ色といふ、鎧のおどし毛にはじ匂ひと云これなり、〉終には紅になるなり、是をはじもみぢといふ、歌にもよめり、又此木を染草に用る故に、和名類聚抄にも染色具に出せり、心の黄なるところを取て、古は染草にして黄色に染たり、天子の御袍に黄櫨染といふは、この染草を用るなり、又この實より蠟をとる、是最上品也、凡蠟をとるには、琉球ハジといふもの實大にしてよしと云、此琉球ハジも紅葉うるはしきものなり、葉は常のよりまるくゆたかなるもの也、

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 黄櫨(ハジ) 漆ヌルデノ類也、其材作弓其葉秋紅ナリ、平原ノ地ニモ能紅也、多ク植テ可愛賞、其實蠟燭ニ作ル、民ウヘテ利トス、植ル法其實ヲツトニ包ミ水中ニ浸ス事三七日稻子(モミ)ヲヒタスガ如シ、取出テウフベシ、後生ズルマデ七日ホドハ糞水ヲソヽグベシ、糞水ハ糞一桶ニ水二桶ヲ合スベシ、救荒本草ニ、回々醋ト云木アリ、是ハジノ木カ、琉球ハジノ木アリ、實ハ常ノハジヨリ大ナリ、大豆ホドアリ、小木ノ時ヨリ實ノル、多クウヘテ可蠟燭、民ノ利トナル、其葉秋冬紅ナリ、可觀賞、大木トナリテハ實彌多クナル、

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 黄櫨 和名波邇之 俗云波時乃木〈◯中略〉 按、黄櫨以染黄色、天子御袍稱黄櫨染是也、染帛上用砥水、略染則爲黒茶色、其葉小淺青色莖微赤、三四月開小白花、結細子秋紅葉、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 黄櫨 詳ナラズ 櫨ノ字和名抄ニハニシト訓ズ、又黄櫨モハニシト訓ズ、皆非ナリ、ハニシハハジナリ、今ハハゼト呼ブ、即漆ノ一種ナリ、故ハゼウルシ、一名ヤマウルシト云、山中ニ甚多シ、葉ハ漆葉ニ似テ粗キ鋸齒アリ、秋月早ク紅葉シ甚美シ、ハゼモミジト云、又一種實ヨリ蠟ヲ採ル者ヲモハゼト呼ビ、諸國 ニ多ク栽ユ、葉ニ鋸齒ナクシテ漆葉ヨリ長シ、是モ亦漆ノ一種ナリ、黄櫨ハ救荒本草ニ圖アリ、葉圓木黄、枝莖色紫赤、葉似杏葉而圓、大木可染黄ト云時ハ、ハゼノ類ニ非ズ、 増、實ヨリ蠟ヲ取ル、ハゼニ品類多シ、實ニ大小アリ、實大ナル者ハ蠟ヲ得ルコト多ク、小ナル者ハ少シ、筑前松山ニ多ク作ル、松山種ト云、上品ナリ、 本邦ニテ櫨ヲハゼト呼ブ、琉球國志略ニ、櫨一名油樹子可油ト云ハ、即ハゼノコトナリ、琉球ニハ和語ヲ通用スル故ナリ、

〔廣益國産考〕

〈八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0475 松山を急に仕立る心得〈◯中略〉 九州或國諸侯の藩中に山奉行を勤る正田何某といへる人あり、〈◯中略〉櫨木の有りけるに、登らざる木ありければ、筑後國は、みな接木にして植ぬれば、登らざる木なしといへる事を聞及び、態と筑後の國へ人を遣し、接人を兩人雇ひ、是を有來れる櫨の登らざるをみな接木し、尚接方を習はせ仕立ける儘、其所に用る蠟は、他國より買入ざるやうになりて、國益となりたり、

〔農家益〕

〈後篇乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0475 總論 櫨、生蠟は何程一時に大坂へ入津したりとも、價の高下は大ちかひなきものにして、捌口の早きものなれば、當時此櫨にまさるものあらじ、浪花にては蠟問屋仲間三十軒あり、各壹軒にて年中に金何万兩の商ひする事とぞ、さも有べき事か、日本のうち、凡七八歩通は櫨を作らざる國なれば、其所へは皆大坂より積送る事也、其外晒蠟屋五十軒、櫨を潰して生蠟に絞る、絞り屋五拾軒、中買百軒荷著問屋と唱る仲間三十軒、廻著問屋と號る仲間三十軒有りて、唐物に續いて大いなる商ひ高のものにして、廣大の事也、斯廣きものを辨へず、己が鬢にぬり燭に灯し、常に其香にむせびながら、櫨は毒木抔と誤るは何事ぞや、兹に郡村の益となりし事を一二擧べし、豐後の國日田郡に川内村といえる小村あり、其村の庄官半藏といへる人、凡五十年以前櫨は一村を助るの益 樹なれば植べしと、小前の農家へ談合せられしかど、一圓承知せざりしを、後年の宜しき事を申聞せ、おして空地野山、或は山畑井路の兩端抔に植て、木數を家別に割付、手入肥し等自身見廻り、一子の如くせはせられしが、僅十年にみたざる内に、村入用を辨へ、十七八年にして總村御年貢の半を、櫨實の賣得にてつくのひたると、予〈◯大藏永常〉が父なるものに、半藏物語りせられしと聞ぬ、いわゆる魏の西門豹、旱魃にくるしむ所ありければ、河水を引て十二の小川を掘穿ち、是を助けしめんとするに、民大いに田地のつひゆる事を煩苦せしかども、西門豹おもへらく、川を穿つの費はわづかにして、不作して、諸州の費る事は大いなりとて、つひに其川を成就して、百歳の後には其徳を美談せられしとなん、又同郡山田村といへる小村あり、善藏といえる農事に心を用ける老農あり、享保七年の比、肥前の國に往て、櫨の仕立様其徳やうを習ひ、苗を求め來りて下畑に植ければ、近村の人迄も笑けるに、此人少しもかまはず、教への通に育しが、追々木も繁茂し實もなりて、少しづヽの得分を見ける比〈享保十七年壬子〉の秋、山陽南海西海蝗付て大ゐに飢饉しければ、その時笑ひし人々も家を捨て諸國にさまよひ、喰を乞たりしとなん、其年は櫨至て實登りよく、數千斤をとりて是を賣、其價を以て米にかへり、飢饉をまぬかれしにより、殊に櫨は窮民を助るの大益ある事を感じ、壹人の子あれどもゆづるべき家督の減なければ、櫨を植る程の寶なしとて、櫨を仕立る事どもを草稿となし、窮民夜光の玉と號、一子常次へ讓られけり、又九州或國には國主より櫨を植べしと一同領内へ仰渡され、丘松山抔を伐りてうゑ立られしかど、そのころは接木する事をしらず、實蒔のなりにて植付たりしが、元より雌木雄木の分別をしらざれば、實小さく肉薄くして、仕立に引たらずして、利分なきものとて伐捨て、既に止なんとせしに、接木に利方ある事を仕覺得し者得て、唐櫨〈櫨の大實なるを都て唐櫨と稱す、琉球より來る故、唐はじと云ならはせし物なるべし、〉實太く仁小く肉厚きを撰び、其穗を接取植弘しに、實蒔なりと違ひ、盛長も早く、一本も實生らざる木なく、利分大に見 へければ、國中再び植弘めしにより、國中の蠟燭鬢付國産にて賄ひ、餘分の生蠟、領主より御買上となり、大坂へ積登せ、御藏物として、一ケ年の賣高凡五千貫目餘宛有よし承る、或は生蠟にて七八十万斤づヽ毎歳積登る國あり、是に准じ九州中國四國紀伊抔より多く作出せり、

〔薩藩經緯記〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0477 貴國〈◯薩摩〉ハ黄櫨(ハジ)甚多ク、蠟ヲ搾テ他國ニ輸スモ亦極夥シ、熟按ニ、初メ日本ニハ紅葉櫨(モミヂハジ)ノミ有テ、蠟櫨(ロウハジ)ハ無カリシヲ、今ヲ距コト百六十年許前、延寶元癸丑ノ年、當藩ニ異國人來テ種子ヲ與ヘ、櫻島小(ヲ)川ノ地ニ植サセ、蠟ヲ搾ルコトヲ教シヨリ、漸ク諸國ニ弘リ、今ハ江戸ノ都下モ、赤羽根、牛込、阿武(アタケ)等ノ地ニ植ルコトヽハ成レリ、ヨク作ルトキハ數多ノ蠟出テ、信ニ國家ノ寶ナリ、且此物ハ氣候ノ温ナルヲ好ム者ニテ、第十五番以下ナル冷地ニ作ルトキハ、培養ノ術ヲ盡スニ非レバ實ヲ結ブコト少シ、故ニ櫨ヲ作ル國々多シト雖ドモ、當國ノヨク成熟スルニ如ク者ナシ、當國ハ培養ヲ勞セズトモ、甚ヨク生長シテ實ノ生(ナル)コトモ、蠟ノ出ルコトモ多キヲ以テナリ、然レドモ當國ノ百姓ハ、櫨ヲ作テ實ヲ採ルコトヲ嫌フ者多シ、何ントナレバ櫨ヲ作テ實ヲ採テ、此ヲ賣ルト雖ドモ、買上ノ直段甚下直ニシテ、骨折損ナルヲ嫌ナリ、又此ヲ貴ク買上テ蠟ヲ搾ルトキハ、大坂表ノ仕切時價(シキリネダン)、他國ノ蠟ヨリ格外ニ賤ヲ以テ、櫨蠟局(ヤクシヨ)ノ損毛多キコト有リ、貴國ノ蠟ハ性合モ宜ケレドモ、他國ノ惡蠟ヨリモ大坂ノ仕切恒ニ賤ク、〈大坂ノ町人共奸計ヲ行テ、貴藩ノ官人ヲ愚弄シ、年々大利ヲ貪ルコト下ニ詳ニ論ズ、〉故ニ他國ニテハ追々ニ此木ヲ植エ立テ、培養ニ骨ヲ折テ生長セシムル事ナル、貴藩ノ百性ハ此ヲ邪魔ニシテ、或ハ此ヲ伐採テ薪ニシ、或ハ實ノ成タルヲモ採ズシテ、徒ニ腐ラシムルコト多シ、歎息スベキノ事ナリケル、太夫此等ノ事ヲ熟察シテ、大坂厫倉(クラヤシキ)ノ改革スレバ、國産ノ出ルコト漸々減ズルノ患アラン、又奧羽關東北越等諸州ハ、漆樹(ウルシノキノ)子ヨリ蠟ヲ搾ル、漆蠟モ上品ナル者ナリ、漢土ニテハ漆子ヨリ蠟ヲ搾ルコトヲ知ラザルガ故ニ、本草ヲ始テ諸ノ物産書ニ、絶テ漆樹子ニ蠟多キヲ論ジタルコト見エズ、唯櫨ヲ植テ蠟ヲ搾ヲ專務トス、貴藩ノ如ク櫨ニ合應ノ土 地ハ、能ク其百姓ヲ撫御シ、法令ヲ懇到ニシ、交易ヲ明白ニシテ、多ク出サシムルトキハ、國益ノ大ナルニ論ナシ、然レドモ愚老〈◯佐藤信淵〉熟々永久ノ利ヲ考ルニ、黄櫨ヲ作ルノ利ハ、漆木ヲ植ルノ長久ナルニ如ズ、何ントナレバ黄櫨ハ種子ヲマキ苗ヲ仕立ルニ、五六年モ過ザレバ實ヲ結ブコト能ハズ、既ニ實ヲ結ブコトニ爲リテモ、僅十四五年ノ間ヲ實ノ結ベキ盛トシテ、其盛ナル時ト雖ドモ、年々一木ニテ五斗ニ及ブ者ハ有ルコト鮮シ、且實結初(ミノリハジメ)シヨリ二十餘年モ過ルトキハ、其實漸々ニ減リ三十餘年ニ及ビタル櫨木ハ、唯其枝葉ノミ頻リニ繁茂テ實ヲ結ブコト益々減テ、近傍田畠ノ作物ノ障害ヲ爲スヲ以テ、此ヲ伐テ接穗スルヨリ外ニ致方アルコト無シ、又漆樹ハ苗地ヲ調置テ、法ノ如ク種子ヲ蒔テ、翌年ニ至テ牡苗(ヲナヘ)ヲバ畠ニ移シ植、牡苗ヲバ三年目ニ畠ニ移植ベシ、且牡漆ハ實結ザル者ナルヲ以テ、漆液ヲ搯採(カキトル)ノ料トナスベシ、又牝(メ)漆ノ移植タルヲバ培養ヲ懇到ニスレバ、三四年ニ實結初メ、年ヲ經ルニ從ヒ、其實次第ニ多ク爲テ、二十年モ過ルトキハ、一本ニ八九斗一石ニモ及ブモノ有リ、四五十年ヲ經タル木ハ、二石モ三石モ實結者アリテ、何百年ヲ經歴ト雖ドモ、益々肥大繁榮シテ實ヲ結ブコト極テ多、會津國ノ漆園ニハ牛馬ヲ覆ホドナル大木夥シク有リ、凡ソ漆園ヲ取立ルハ、養生搯(カキ)ノ法ヲ行テ、液ヲ採モノ故ニ、實ヨリ蠟ヲ搾ベキノミナラズ、搯取漆汁モ年々少カラザルヲ以テ、此亦一箇ノ國産ヲ増加ルナリ、且漆園ヲ取立テ漆樹ヲ早ク成長シ、實ヲ早ク結バシムルノ術アリ、蘗芽(ヒコバエ)ヲ苗ニシテ植立ルトキハ、三年目ヨリ實ヲ結ビ、培養ノ法ヲ精密ニ行フトキハ、十餘年ノ間ニハ五三斗ノ實ヲ得ルニ至ル、唯此蘗芽(ヒコバエ)ヲ植タルハ老木ニ爲ルコト早ク、四十年ニモ及ブトキハ、伐去テ若木ヲ植替ザルコトヲ得ズ、然レドモ速ニ漆園ヲ成就スルニハ、此術ヲモ亦錯(マジヘ)行フニ宜シ、且漆園櫨林(ハジヤブ)等ヲ開發スルニハ、五箇ノ良法アリ、此法ヲ施行フトキハ、百姓皆勇進ミテ此ヲ作ルガ故ニ、暫時ノ間ニ其業成就ス、所謂ル五良法トハ、法令ヲ密ニシ、厚賞ヲ與ヘ、懶惰ヲ罰シ、階級ヲ賜リ、罪科ヲ贖シム、即是ナリ、會津國ハ此 中ノ三法ヲ用タルノミニテ、漆園成就シテ今世ニ至テハ漆園ノ境内ヲ潤澤スルコト、分國四郡ノ米穀ヨリモ大ナリ、若夫レ土地ヲ有モノ、五法悉行ハヾ、漆園櫨山楮林桑田等夥シク繁榮スルコトナルベシ、〈漆ヲ作ノ法、蘗芽(ヒコバエ)ヲ多生ズル培養ノ法等ハ、皆六部耕作ノ法ニ詳カニ此ヲ説キ置タリ、〉會津例ハ土用後ニ内撿シ、十月中旬ニ撿視スル法、及ビ村々主保(ナヌシ)ノ宅ニテ蠟ヲ製セシムル法等、制度ノ宜キヲ得タリ、櫨蠟等ノ制度モ亦宜ク此ニ則(ノツ)トルベシ、實ニ上下ノ利益ナリ、所謂ル會津藩ノ制度ハ、漆木ヲバ御用木ト稱シテ、何村ニハ幾千本、何郷ニハ幾万本ト精キ記録有テ、〈其内幾百本ハ百姓何右衞門ガ植タル木ニ、幾十本ハ百姓何右衞門ガ植タル木ト、悉ク漆木ニ預リ人アリ、〉毎年季秋漆子撿見ノ前ニ、村々ノ主保里長(ムラヲサ)等百姓ヲ帥テ、其村内ノ漆木子ヲ内撿シ、先漆木ニ番附ヲ定メ、一番ノ漆木ノ實ハ、或ハ五斗或ハ三斗、又二番ノ木ハ、六斗或ハ八斗ナドヽ、木板ニ書テ根ニ立置クナリ、其後漆園吏コレヲ巡見シ、一村ノ内ニテ一本ヅヽヲ撰テ其子ヲ量リ、閲實シテ以テ其村ノ總高ヲ決定ス、〈若シ内撿三斗ト記シタルガ、量テ二斗アルトキハ、一村ノ漆ノ子皆此例ニテ、總高ノ三分一ヲ減少シテ上納ス、万一内撿ヨリ吟味ノ木ノ子多キトキハ、亦此例ニテ總高ニ増シテ上納ス、〉而テ其子ヲ漆預ノ百姓ニ預ケヲキ、其石高ニ從テ蠟ニ製シテ上納セシム、〈漆子一升ニ付キ蠟二十匁宛ヲ納ム、糟ヲバ其預リ人ニ賜ル、即チコレ古來ヨリ會津ノ定法ナリ、〉蠟ヲ搾ニハ百姓順番ヲ立テ、主保ノ宅ニテ此レヲ製ス、〈國君ヨリ蠟搾ノ諸具ト、及ビ蠟ヲ製スル廨舍ヲモ建置テ、百姓ニ便リシ、其年ノ極月上旬マデニ上納スルヲ定法トス、〉此會津ノ良制度ナリ、〈此等ノ事、予ガ詳カナル筆記アルヲ以テ、兹ニハ此ヲ略ス、〉又蠟搾粕ハ馬ヲ飼ノ妙物タリ、始ハ燒(タキ)物ニシタル者ナレドモ、我家ニテハ甚此ヲ寶トス、

〔紀伊續風土記〕

〈物産六上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0479 波世(ハゼ)、一名波邇之(ハニシ)、〈和名抄、古より橿或は黄櫨の字を用ふるは誤なり、〉各郡皆あり、中にも日高郡南部莊、牟婁郡田邊莊より多く出す、

夏黄櫨

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0479 夏黄櫨(なつはぜ)、〈正字未詳〉 按、夏黄櫨木、高二三尺、似波世漆葉而小、秋紅葉可愛、結子色赤黒、山人食之味酸甘、

白膠木

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0479 樗 陸詞切韻云、樗〈勅居反、和名本草云、沼天(○○)、〉惡木也、辨色立成云、白膠木、〈和名上同〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 按本草和名云、椿木葉樗木、和名都波岐、不沼天、與此所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 引不同、唯訓樗鷄以爲奴天乃岐乃牟之、〈◯中略〉福井本樗作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 、按説文云、樗木也、以其皮松脂、讀若華、或从蒦、徐音乎化切、又云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 木也、徐音丑居切、玉篇云、檴、胡覇胡郭二切、木名樗同上、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 惡木也、敕於切、廣韻亦略同、是樗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 二字不同、而樗即樺字之正、非惡木、福井本似是、然毛詩云、采荼薪樗、又云、蔽芾其樗、毛傳並云、樗惡木也、釋文並云、敕書反、五經文字亦作樗、莊子云、吾有大樹、人謂之樗、釋文云、敕魚反、史記云、樗里子、索隱云、樗木名也、音攄、急就章云、桐梓樅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6d6.gif 楡椿樗、顏師古注云、樗以椿而木虚惡、爾雅云、栲山樗、釋文云、丑於反、廣雅云、樗鳩樗、鷄也、本草亦作樗木樗鷄、皆以樗爲惡木、段玉裁曰、説文http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 樗二篆互譌、毛詩音義、爾雅音義、五經文字可證也、假令許書與今互異、則陸氏張氏當明之http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001aa19.gif 種之例矣、若是説今本説文玉篇廣韻誤、不陸詞從雩抑從虖也、龍龕手鑑云、樗正http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 、今混爲一字、非是、〈◯中略〉按白膠木即楓樹、本草云、楓香脂一名白膠香、是也、而楓香脂在上品、樗木在下品、其不同可知也、又祟峻紀云、白膠木此云農利埿、與辨色立成略同蓋與樗木奴天其説不同也、源君以其所訓同、混爲一條者誤、又按香要抄載侍醫惟宗俊通注進啓云、白膠香者絶而及數十年、見知其體者尚不候、況於其香乎、但樗木和名奴天之木、以件木汁、用彼代、以其體相似也、是亦可以見白膠與樗不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 同也、

〔類聚名義抄〕

〈三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 白膠木〈ヌテ〉 樗〈俗勅魚反〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 〈今〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000119.gif 〈正〉 樗〈ヌルテノキ〉 橒〈音雲、キサ、未詳、ヌテ、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈奴殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d6dd.gif 〈ヌルテ 惡木也 不材木也〉 白膠木 樗〈ヌテ、ヌルテ、俗之樛也、〉

〔塵袋〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 白膠木ト云フハ何レノ木ゾ白膠香同物歟、白膠木ト云フハ字類抄和名等ノ訓ニハヌルデト云フ木ナリ、ヌデトモ云フ、ツ子ニハサルデト云ニヤ、順ガ和名ニハ橒ノ字ヌルデトヨマセタリ、辨色立成ト云フヲ引テ白膠木トス、白膠香ト云フハヌルデニアラズ、大日經持誦不同第一云、白膠香是娑羅樹汁ナリト云ヘリ、白膠ノ二字同ジケレドモ、木ト香トニ不同アルニヤ、鹿ノ 角シタル膠白膠ト名クル事アリ、牛ノ皮ニテニクルヲバ阿膠ト云フ、白膠木白膠香ニカワノ白膠ミナカハレリ、

〔倭訓栞〕

〈前編二十一奴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 ぬで 倭名抄に白膠木をよめり、ぬるでの略也、

〔日本書紀〕

〈二十一崇峻〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 二年七月〈◯用明〉是時http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001871c.gif 戸皇子束髮於額、〈◯註略〉而隨軍後、自料度曰、將無敗、非願難成、乃散取白膠木(○○○)、疾作四天王http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000182ee.gif 、置於頂髮、而發誓言、〈白膠木此云農利埿〉今若使我勝http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 敵、必當爲護世四王立寺塔、〈◯下略〉

〔軍用記〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 軍陣に勝軍木(○○○)を用る事、〈日本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 、元亨釋書に見えたり、〉昔聖徳太子守屋の大連と戰ひ給ひし時、ぬるでの木を削りて、四天王のhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000182ee.gif をきざみて、頂の上において戰ひ給ひければ、太子軍に勝たまひしによりて攝州四天王寺を建立し給ひし也、其吉例を以て、ぬるでの木を勝軍木とも勝木とも名付けて、是を軍陣のとき用る也、勝軍木本名白膠(はくきやう)木と云、ぬるでともぬりでともいふ木也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二味〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 鹽麩子 フシノキノミ(○○○○○○) フシノキ(○○○○)〈以下木名〉 ヌルデ(○○○) ヌデ(○○)〈濃州〉 ヌリダ(○○○)〈備前〉 ユリデ(○○○)〈佐渡〉 ノデノキ(○○○○)〈尾州上總〉 カツキ(○○○) カツギ(○○○) カツノキ(○○○○)〈奥州〉 カチノキ(○○○○) 勝軍木 サイハイノキ(○○○○○○) アカベソ(○○○○)〈城州醍醐〉 ゴマギ(○○○)〈津輕〉 ヲツカドノキ(○○○○○○)〈信州〉 ヤマハゼ(○○○○)〈土州〉 メウルシ(○○○○)〈江戸〉 一名膚木子〈藥性奇方〉 樹鹽〈丹鉛http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e28f.gif 録〉 烏鹽〈華夷考〉 浮木子〈外臺秘要〉 鹽醋子〈廣東新語〉 小血竭〈百一選方〉 主〈證類本草〉 木一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019b20.gif 木〈集解〉 鹽敷樹〈物理小識〉 鹽膚木(○○○)〈正字通〉コノ木山野ニ自生多シ、丈餘ノ高ニシテ喬木ニ非ズ、枝條四ニ繁リ春新葉ヲ生ズ、形漆葉ニ似テ濶シテ粗齒アリ兩對ス、一葉ノ内節ゴトニ直葉アリテ漆葉ニ異ナリ、夏已後ハ葉ゴトニ泡(フクレ)ヲ生ジテ、其中ニ蟲アリ、秋ニ至リ早ク紅葉シテ落ヅ、ヌルデモミヂト云、山中ニ生ズル者ハ樹枝或ハ葉ノ莖、或ハ葉背ニ一寸許ノ袋ノ如キ者ヲ生ズ、其形圓扁長短一ナラズ、初青ク後茶褐色トナル、是蟲ノ巣ニシテ藥用ノ五倍子ナリ、俗名キブシ、末トナスヲフシノコト云、コノ者ヲ生ズル故、木 ヲフシノキト呼ブ、五倍子ハ蟲ノ部ニ本條アリ、夏ニ至リ枝梢ゴトニ一尺許ノ穗ヲ生ズ、枝叉多シテ細白花ヲ開ク、數百千簇リテ漆ノ花ニ似タリ、後實ヲ結ビ下垂ス、實ノ形圓扁ニシテ漆ノ實ヨリ小ナリ、外ニ白粉アリ、味鹹シ、故ニ木鹽天鹽ノ名アリ、皮ヲ去レバ扁子アリ、酸棗仁ニ似テ茶褐色甚堅シ下、種シテ生ジ易シ、是鹽麩子ナリ、

〔草木性譜〕

〈人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0482 蚊母樹〈◯中略〉 蟲窠を生ずる者一二種を左に掲く〈◯中略〉 膚木(○○/ふしのき)〈本草綱目鹽麩子集解〉山野に生ず、其葉形漆に似て、莖に小葉あり、夏白花を開き、細子〈鹽麩子〉を結ぶ、秋に至り葉中に實の如き者を生ず、其中空虚、〈五倍子〉蟲有り、羽化して出づ、

薫陸香/乳香

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0482 乳香(にうかう) 馬尾香 摩勒香 多伽羅香〈佛書〉 天澤香 蠻語末須良以加、又云、末須天木須、〈◯中略〉 按、乳香樹雖古松、而花實有無未詳、或謂波斯國松樹亦非也、然乳香形色氣味與松脂遠也、且薫陸香乳香本是爲一物、而氣色各別、功用則稍異、故立各條、 薫陸(くんろく)香〈◯中略〉 按今多乳香用唐藥、薫陸用倭藥、而倭薫陸出於奧州南部山中、堀地取之、松津液乎、盛夏則鎔融蚊蟻粘著者多、只合香家多用之、入藥用者希也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0482 薫陸香、乳香、 薫陸一名雲華汎腴〈酉陽雜俎〉 羅香〈香譜〉 乳香一名明玉珍 〈事物異名〉 滴乳〈集解〉 的乳〈本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 言〉 舶來多シ、薫陸乳香元來一物ナリ、薫陸ハ木ヨリ出ル脂久シクナリテ、松脂ノ形ノ如ク紫黒色ナル者ヲ云、乳香ハ其脂木ヨリ新ニ出テ、形圓ニシテ婦人乳頭ノ如ニシテ、淡黄色ナルヲ云、舶來乳香ノ内ニ薫陸多シ、今藥舖ニ薫陸ト稱シ賣ル者ハ、皆奧州ヨリ出ル琥珀ノ下品、黒色ヲ帶ル者ニ シテ薫陸ニ非ズ、唐山ヨリモコノ品ヲ渡ス故ナリ、凡ソ舶來乳香中沙石多ク雜ル、コノ石ヲトリ藥用トス、乳香石ト云コト百一選方ニ出ヅ、乳香ノ上品ヲ藥舖ニテチクビト云、又玉乳香トモ云、其透明ナルヲ貴ブ、故ニ明乳香〈附方〉黄明乳香、白乳香〈共同上〉ト云、 増、コヽニ説ク如ク、藥舖ニテ下品ノ琥珀ヲ、誤テ薫陸ト稱シ賣ル故ニ、薫陸ノ眞物ハ乳香中ニテ、紫黒色ノ者ヲ擇ビ用ユベシ、近世醫家多クハ藥舖ノ稱呼ヲ是トス故ニ再コヽニ贅ス、

篤耨香

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0483 篤耨香(とくちよくかう) 本綱、篤耨香出眞臘國樹之脂也樹如松形、其香老則溢出、色白而透明者、〈名白篤耨〉盛夏不融、香氣清遠、土人取後、夏月以火炙樹、令脂液再溢、至冬乃凝、復收之、其香夏融冬結、以瓠瓢盛置陰凉處、乃得融、雜以樹皮者則色黒、〈名黒篤耨〉爲下品、主面黧http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001cd71.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001cd82.gif

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0483 篤耨香 一名篤耨〈通雅〉 篤祿香〈同上〉 詳ナラズ、蠻産ナリ、紅毛ヨリ來ルテレメンテイナニ充ル説近シ、一説ニテレメンテイナハ杉脂ナリト云、肆人モ杉脂ニ香ヲ添テ僞造ス、皆非ナリ、眞ノテレメンテイナハ苦味多シ、決シテ杉脂ニ非ズ、杉脂ハ蠻名ゴム〈脂〉ミイフレス〈杉〉ト云、テレメンテイナハ凝結シテ琉珀ノ如シ、茶褐色微紅ヲ帶ブ、時珍ノ説ニ、以瓠瓢盛ト云ハ、篤耨香ヲ盛リ置シ葫蘆(ヒヤウタン)ナリ、是ヲ破リ焚テ香トナスヲ篤耨瓢ト云コト、東西洋考ニ見ヘタリ、

冬青

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0483 黐樹 黐〈音癡〉 黐膠所以黏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 鳥者 俗云止利毛知 其樹有數種 按黐樹在深山、葉大而不子者爲黐佳、〈結子者爲黐少、其色亦惡、〉木葉似女貞(イヌツバキ)而薄光澤、雖四時不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 凋、只二三分落葉、四五月開細白花、結子正圓、熟紅色大如大豆而攅生、剥其木皮水、爛舂之、濾於流水http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019edf.gif 、則如麪筋而甚稠粘、人用粘鳥雀、謂之黐膠、〈止利毛知〉紀州熊野多出之、 江戸黐 葉狹長添枝茂、如楊梅之葉様、四時不凋、栽庭園佳、其子同于眞黐、而數多抱莖攅生、〈又名朝鮮黐〉 黒鐵黐(クロカネモチ) 似江戸黐而葉略扁、其子不甚輝

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 冬青 女貞 古人或合以爲一、或分以爲二、又或以實之赤黒之、紛紜錯雜無一之論、愚按冬青其種最多、不必拘一本、其能耐冬後凋、與松柏緑、且遠年多壽者皆名以冬青、茂知乃木(モチノキ)、黒金茂知(○○○○)、江戸茂知(○○○○)、大坂茂知(○○○○)、靈椿(○○)、鼠乃糞(○○○)、藪椿(○○)、〈與滇茶同名〉皆冬青也、葉有大小濶狹之異、皆可以取其汁煎爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001aa44.gif、一種似冬青、稍軟弱者即爲女貞、又冬青樹也、凡古人物之小且軟弱者、皆冠以女字、猶女萎、女蘿、女菀之類、此物入藥最少、唯張景岳左右歸九方中有女貞實耳今據李時珍所説及稻若水翁所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 傳分之、江戸茂知、紅實者爲冬青、藪椿、鼠乃糞、黒實者爲女貞、但鼠乃糞、其實堅實枯痩、氣味薄劣、殊無滋潤、不藥用、其稱藪椿者、樹葉全似山茶花(ツバキ)、葉厚滑無鋸齒、花至細瑣、不結實、有尖圓二種、倶至熟甚甜美、極多滋潤、又榊其枝似藪椿、白花形似知佐乃木實黒味甘、是亦女貞也、共皆可以和補劑、此爲上好、女貞又一種、蠻舶載來者、實大如乾棗、大坂古林見宜家藏之、近世久不將來歟、但未目擊、則不決言其眞僞也、又汪http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 庵有冬青女貞一物之説、頗與予意合、〈◯下略〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 冬青 モチノキ(○○○○) 一名萬年枝〈事物異名〉 萬年樹〈群芳譜〉 萬歳樹〈事物紺珠〉 萬歳枝〈正字通〉 萬年木 杻木 橿 土橿〈共同上〉 檍〈典籍便覽〉 冬生〈同上〉 冬牆〈汝南圃史〉 長生〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 苑詳註〉 凍生〈本草精義〉 牛筋木〈鄭樵爾雅註〉 モチニハ種類多シ、皆赤實ヲ結ブ、冬青ハ其總名ナリ、藏器ノ説ニ、其葉堪緋ト云フハ、フクラモチナリ、フクラモチ(○○○○○)ハ、一名フクラシバノキ、〈土州〉フクランジヤウ、〈和州〉フクランジヨ、フクラソウ、〈勢州〉フクラジ、〈播州〉フクラジヨ〈泉州〉ズイゴ、〈同上〉サヤゴ、〈城州大悲山〉ソヨゴ、〈尾州〉ソヨギ、〈東國〉ゴマイリ、〈防州〉 木高サ丈餘葉互生ス、女貞(ネズミモチ)ノ葉ヨリ濶シテ厚ク光アリ、横ニ巨皺アリテ平ナラズ、冬ヲ經テ凋マズ、夏月葉間ニ小白花ヲ開クコト二三蕚、其蒂長シ、後圓實ヲ結ブ、初ハ緑色、熟スレバ赤色ニシテ、 櫻實の形ノ如シ、一種メブクラ(○○○○)アリ、一名クロキ、〈城州鞍馬〉アブラキ、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 州〉モクサンゴ、〈土州〉葉ハ小ニシテ赤シ、紀州ニハ大木アリ、皮ヲ剥テ火把トス、故ニアブラキト呼ブ、一種モチノキ(○○○○)アリ、庭際ニ多ク栽ユ、大木ナリ、大和本草ニナヽミノキト云フ、葉ハ狹クシテ、石瓜(モクコクノ)葉ニ似テ厚シ、冬凋マズ、汝南圃史ノ細葉冬青ナリ、一種クロガ子モチ(○○○○○○)ハ、葉モチノキノ葉ヨリ濶シテ微薄シ、一種大坂モチ(○○○○)ハ葉大ナリ、一種江戸モチ(○○○○)ハ、葉大坂モチヨリ大ニシテ、長サ三寸許、實モ亦大ナリ、一種トリモチノキ(○○○○○○)ハ、クロガ子モチノ葉ニ似テ色淺シ、木皮ヲ搗テトリモチヲ取ルナリ、モチハ枸骨ノ條ニ粘黐ト云、當ニ粘黐ニ作ルベシ、鴻苞集ニ黐膠ト云フ、又黐ト云、一種オホモチノキ(○○○○○○)アリ、葉大ニシテ大葉楠ノ如シ、コノ外ニ黐膠(トリモチ)ヲ取ル木尚多シ、 増一種トリモチノキト呼モノアリ、葉ノ形冬青ヨリ長く、三寸餘ニ及ブ、葉ノ半ヨリ末ニ粗キ淺鋸齒アリ、葉帶ノ背ヨリ心脈ニ至テ紅色ヲ帶ブ、葉枝頂ニ排生スルコト車輪ノ如シ、近年此木ヨリ粘黐ヲ取ル、是他木ヨリ多シト云、

〔地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 柊精(もちのき) 葉黒みありて、冬見事、實は秋赤し、 大坂もち(○○○○) つねのもちより葉大きし 鳥取もち(○○○○) 葉大坂もちのごとく、木の皮にねばりあり、 いさはいもち(○○○○○○) つねのもちのごとくにて、葉に白きさらさとび入あり、

〔大和本草〕

〈十一園木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 細葉冬青(ナヽミノキ) 是亦冬青樹云其葉女貞ニ似テ深青、其實南天燭ノ如ク紅也、實モ葉モ木立モウルハシ、佳木也、庭ニウヘテ觀賞スベシ、園史曰、一種名細葉冬青、枝葉細軟葉短、小時種傍籬下、篤信曰、是ナヽミノ木ナリ、籬ニシテ梢ヲ切レバ、キビシクシゲリテカベノゴトシ、合璧事類ニ、樹身大合抱トイヘルハナヽミナルベシ、ナヽミニ大木アリ、アハキ子ズミモチニハ大木ナシ、ナヽミ二種アリ、一種ハ十大功勞葉(トリモチノキ)ナリ、其皮ヲタヽキテトリモチトシ鳥ヲトル、若水曰、出于本 艸類纂必讀曰、黐竿捕鳥者、

梅嫌

〔地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 梅嫌(むめもどき)〈木〉 小つぶなる赤き實、木もたわむほどつきて見事成物也、立花に、京梅嫌と云てつかふ、是に三種あり、實の大つぶは大梅嫌といふ、又實うす白き有、白梅嫌といふ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 梅嫌木 正字未詳、俗云牟女毛止岐、 按梅嫌木、葉團尖有微小鋸齒、似野梅葉而小、冬凋春芽生、五月開小白花、略似南天花、結子、初青色、十月葉落子紅熟、添枝幹多美、鵯鳥喜食之、

柞木

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 柞 四聲字苑云、柞〈音祚、一音昨、和名由之(○○)、漢語抄云、波々曾(○○○)、〉木名、堪梳也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 按由之今俗所用造http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 梳、而柞木亦可以作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 梳、故以柞木由之、然柞木生南方葉細、出嘉祐本草、引見證類本草、又毛詩柞棫箋、柞櫟也、即黄楊木之一名、宜都計、非由之、按爾雅、栩杼、郭注云、柞樹、毛詩、肅々鴇羽、集于苞栩、正義引陸璣疏云、今柞櫟也、水經注、元和郡縣志、並引周處風土記云、呉越之間、名柞爲櫟、皆以柞爲栩杼之別名、今俗呼久奴歧者、是也、蓋與梳之柞同名異物、江村氏如圭曰、栩和名保々曾保々曾即波々曾之一轉、則知漢語抄柞訓波々曾者柞櫟之柞、非梳之柞、源君以其名同混爲一、誤也、鄭樵注爾雅栩杼云、柞木今人以爲梳、亦混二木一、其誤與源君同也、説文、柞木也、恐非梳之柞、由之今俗譌由須、關東謂之伊須、字鏡、楢訓波々曾、今俗譌保字曾、〈◯中略〉按柞有二、一則堪梳者、源君訓由之是也、一則毛詩柞棫鄭箋、柞櫟也、

〔伊呂波字類抄〕

〈由殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 柞〈ユシ ハヽソ〉

〔倭訓栞〕

〈前編三十五由〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 ゆし 倭名抄に柞をよめり、延喜式に、御梳皆用由志ノ木と見ゆ、字書には、柞堪梳といへり、今俗くしのきといふ也、或は鐸木也といへり、土佐に今もゆしといふ、即ひよんの木也、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 柞(くしのき)〈音祚〉 鑿子木 和名由之 〈橡櫟亦名柞同名異種也〉 本綱柞山中有之、高者丈餘、葉小而有細齒、光滑而靱、其木及葉了皆有針刺、終冬不凋、五月開碎白花子、其木心理皆白色、堅忍可鑿柄、故名之、又今作梳者是也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0487 柞木 イヌツゲ(○○○○) ヤドメ(○○○)〈加州越州〉 ヨメガサラ(○○○○○) ケヅラ(○○○)〈江州〉 カシラケヅリ(○○○○○○) カシラケヅラ(○○○○○○)〈共同上〉 ガニノス(○○○○)〈播州〉 コメゴメ(○○○○)〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 州、同名多シ、〉 ハマツゲ(○○○○)〈筑前〉 ビンカヾリ(○○○○○)〈同上〉 ビンカヾ(○○○○)〈佐州〉 ビンカヽズ(○○○○○)〈信州〉 ビンカラズ(○○○○○)〈三才圖會〉 メハリギ(○○○○)〈土州〉 カシラツカミ(○○○○○○)〈同上〉 子ジノキ(○○○○) 一名直脚黄楊〈江陰縣志〉 柘木〈本草新編〉 鑿木子〈本草述〉 山中ニ自生多シ、小葉細長厚シテ細鋸齒アリ、深緑色互生ス、此木枝條繁茂シテ冬枯レズ、故ニ人家庭院ニ多ク栽ユ、旅家殊ニ多植ユ、夏月葉間ニ小白花ヲ開キ、圓子ヲ結ブ、熟シテ色黒シ、又實ヲ結バザル者アリ、江戸ニテオホツゲ(○○○○)ト云、又一種枝ニ刺アルモノアリ、凡ソ柞木ハ山中ニ小木多シ、大ナル者ハ稀ナリ、材堅シテ色白シ、大ナルモノハ板木ニ用ユ、ツゲバント云、櫛ニ造ル、ツゲノ櫛ト云、或ハ印材トス、一種小葉ノ者アリ、コツゲ(○○○)ト云、葉長一二分、江戸ニテヤドメト呼ブ、庭ニ栽ルニハコレヲ上品トス、一種尾張ツゲ(○○○○)アリ、一名カラツゲ、〈大和本草〉、アサマツゲ〈勢州〉コノ木勢州朝熊山ニ自生多シ、人家ニモ多ク栽ユ、木ノ高サ五七尺、播州深山ニハ丈餘ナル者アリ、枝條繁茂スルコト柞木ニ同ジ、然レドモ柔軟ニシテ對生ス、葉モ亦對生ス、鋸齒ナクシテ柔厚末尖ラズ、コレヲ錦塾黄楊ト云、江陰縣志ニ出ヅ、

多羅葉

〔大和本草〕

〈十一園木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0487 多羅葉(タラヨウ) 葉大ニ長クシテアツシ、實ハ赤クシテ多ク、所々アツマレリ、又雄木アリ、無實、四時葉アリ、天竺ノ貝(バイ)多羅葉ニ佛經ヲカク由、西域ノ書ニ見エタリ、此葉ナルベシ、昔或古寺ノ重物ニ、貝多羅葉ナリトテ在シヲ見タリシガ、此葉ノ形ニシテ猶大ナル物ナリキ、西域記ニ貝多羅樹、果熟シテ即赤シ如大石榴、人多食之トイヘリ、然レバ此地ニアルト不同、此木ノ葉ノウラニ竹木ノ刺ヲ以テ文字ヲカクニ、其アト黒クシテ、恰墨ニテ書クガ如シ、然レバ又此木眞ニ多羅 樹ナルベシ、此木ノ皮ヲハギテ、トリモチニスルナリ、十大功勞ニ同ジ、此木古來吾邦ニアリシニヤ、處々山林ニアリ、多羅木ト云モノハ別ナリ、又一種西土ニテ、大モチノ木(○○○○○)ト云モノ、タラ葉ニ似タリ、是タラ葉ノ別種也、冬モ葉不脱、

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0488 梖多羅(はいたら) 貝多 字彙云、梖多出交趾及西域、葉可書也、 翻譯名義集云、多羅舊名貝多、此翻岸、形如此方椶櫚、直而且高、極高長八九十尺、華如黄木子、或云、高七http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d290.gif 、〈七尺曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d290.gif 〉是則樹高四十九尺、 西域記云、南印度建那補羅國北不遠有多羅樹林三十餘里、其葉長廣、其色光潤、諸國書寫莫采用、多羅葉(たらえう) 按、多羅葉木青白色、高者二三丈、葉似海石榴而長大、四五月開小白花、六月結子、大如小豆而青色、冬熟則赤黒色作簇、戯採其葉、以小火燼暫按於葉上、則其痕爲環、其文倍於火之大、是亦梖多羅之類乎、今多人家庭園栽之、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0488 椰子〈◯中略〉 樹頭酒 貝多羅樹ノ實ヨリ出ル酒ナリ、貝多羅ハ此ノ註ニ貝樹ト云者ナリ、蠻國ノ産ニシテ和産ナシ、紅毛人コノ葉ヲ持來ルコトアリ、全キ者ハ長サ四五尺、濶サ五六寸ニシテ勁ク厚シ、二ツニ折レテ萬年青(ヲモト)ノ葉ノ形ノ如シ、淡褐色ニシテ光アリ、葉背中心ニ一ツノ縱道アリテ高ク出、ソノ形方ニシテ圓ナラズ、此葉ヲ濶サ二寸許、長サ一尺七寸ニ切リタルモノ稀ニ持渡ル、全葉ハ甚稀ナリ、コノ葉ニ蠻字ヲ淺クホリタル者アリ、即緬人取其葉書ト云フ者ナリ、又渤泥國ノ人書ヲ寫シ、或ハ器物トスルコト、明ノ宋學士全集ニ出、皆紙ナキ故代用ユルナリ、昔天竺ニテ佛經ヲコノ葉ニ寫スト云、翻譯名義集ニ、西域記ヲ引テ曰、南印建那補羅國北不遠有多羅樹林三十餘里、 其葉長廣、其色光潤、諸國書寫莫采用ト、又コノ葉ヲ竪ニ細ク切リ、席ニ織タルヲアンペラト云、東西洋考ニ貝多葉簟ト云是レナリ、又和名ニ多羅葉ト呼デ、寺院ニ栽ユル大木アリ、葉ハ桃葉珊瑚(アヲキノ)葉ノ如ク、鋸齒細クシテ厚ク堅シ、木刺ヲ以テコノ葉ニ字ヲ書スレバ、色黒クナル、又火ニテ炒レバ黒斑ヲナス、故ニテンツキノキト云、一名カタツケバ、〈豐州〉是モ唐山ニテ貝多葉ト云コト通雅ニ出ヅ、本名ハ娑羅樹ニシテ、七葉樹ト同名ナリ、

〔三寶院文書〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 猶此使僧可申上候、已上、 其後者久々御見舞不申上候、仍卒爾成申上事共ニ候へ共、御門跡様へ、たらよふの木、どなたからやらん進上申候之由承候、左様ニ御座候はヾ、我等申請度候、不苦候者被仰上候て、可下候、可然様ニ奉憑候、〈◯中略〉 後二月〈◯慶長十五年〉十二日 〈養源院〉成花押 三寶院様御内大藏卿殿〈御床下〉

濱木蓮

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 濱木蓮 其葉ユヅリハニ似テ莖赤カラズ、葉ノ大サモユヅリハノ如シ、葉アツクシテ冬モシボマズ、葉ノサキトガル、細花ヲヒラク、木ノ高一丈許アリ、又多羅葉ニ似テ葉短シ、實モタラヨフニ似テ冬紅ナリ、俗ノ一名大モチ木(○○○○)ト云、

衞矛

〔本草和名〕

〈十三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000015.gif 〈楊玄操音侔、甄立言作余音、〉一名鬼箭〈陶景注云、莖有三羽状、如箭羽、俗呼爲鬼箭、〉一名衞與、一名神箭、〈出釋藥性〉一名三羽、一名鬼針、〈已上出兼名苑〉和名加波久末都々良(○○○○○○○)、一名久曾末由美乃加波(○○○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 衞矛 本草云、衞矛、〈和名久曾末由美、一云、加波久末豆々良、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 御覽引呉普本草云、鬼箭葉如桃如羽、陶云、其莖有三羽、状如箭羽、俗皆呼爲鬼箭、箭羽名衞、故鬼箭又名衞矛釋名云、矢旁曰羽、如鳥羽也、齊人曰衞、所以導衞矢也、士喪禮記、翭矢一乘骨鏃短衞、鄭注云、凡爲矢五分、笴長而羽其一、疏云、謂之衞者、以其無羽則不平正、羽所以防衞 其矢http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 使不調、故名羽爲衞、考工記、矢人設羽、夾而搖之、以http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a71f.gif 其豐殺之節也、鄭注云、今人以指夾矢儛衞是也、王念孫曰、羽衞聲之轉、衞之言http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000016.gif 也、廣雅、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000016.gif 羽也、羽謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000016.gif 、箭羽謂之衞、聲義同矣、

〔伊呂波字類抄〕

〈久殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 衞矛〈クソマユミカハクマツヽラ〉

〔壒囊抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 錦木(ニシキヽ)トハ何ゾ 昔ヨリ様々ニ云タル事ナレバ、一定難知ケレ共、常ニ宜シトスル説二ツ侍リ、一ハ陸奧夷(ミチノクノエビス)共ハ女ヲ迎ヘントテ、文ヲ遣事ハ无テ、一尺許ナル木ヲ採テ、其ノ女ノ家門ニ立ルニ、合ント思フ男ノ立ル木ヲ軈テ取入也、不合思者ノ立ル木ヲバ不取入、強テ立副程ニ、千束ヲ限トシテ眞志アリトテ、其時取入テ契ト云リ、或ハ千束ニ成テモ不取入バ思絶ヌ共云リ、千束ニ成レバ必ズ可合様ニ聞ル歌侍レバ千束ガ限歟、 錦木ハ千束ニ成ヌ今コソハ人ニシラレヌ子ヤノ中見メ 錦木ノ數ハ千束ニ成ヌランイツカミタチノ内ハ見ルベキ 是ハ和語抄ニ侍リ、前ノ歌ト同ジ體也、又匡房卿歌ニ、 思カ子今日立初ル錦木ノ千束モマタキアフ由モガナ 又千束ニ過テモ猶立ル由アル歌、藤原永實、 イタヅラニ千束朽ヌル錦木ヲナヲコリズマニ思立哉 亦一ハ錦木トハ灰ノ木也、其木ヲ灰ニ燒テ灰ニサセバ、萬ノ物色能成也、仍テ灰ノ木ヲ錦木ト云ト云云、物ノ色ニ合シテ祝テ、此木ヲ一尺許ニ切テ、思女ノ門ニ立ル也、故ニ錦木ヲ立ルト云也、其趣如前、亦一枚立木ヲ、爭カツカトハ云ント云義侍共、束鮒ト云ハ一拳アルヲ云ト申セバ、數ノ木ヲ結合セズ共、一拳アラン枚木ヲモ、一束ト可云ト見タリ、俊頼ノ無名抄ニモ始ノ説ノ如書テ、狛鉾(ホコ)ノ竿様ニ、斑ニ採テ立レバ錦木ト云ト侍テ、奧ニ至テ實ニハサモセヌトカヤ、錦木ト云ニ付テ申セルニヤト書シテ侍リ、奧義抄ニ灰ノ木ニテ錦糸ヲ染レバ云爾ト侍リ、

〔地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 錦木(にしきヾ)〈木〉 木は四角など有、赤キ實梅もどきのごとし、葉もいみじく紅葉する、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 衞矛 クソマユミ(○○○○○)〈和名鈔〉 カハクマツヾラ(○○○○○○○)〈同上〉 ニシキヾ(○○○○) マユミ(○○○) ヤハズニシキヾ(○○○○○○○) ヤバニシキヾ(○○○○○○)〈雲州〉 一名件帶檜〈採取月令〉 山中ニ生ズ、人家ニモ栽ユ、高サ丈許、枝葉對生ス、葉ハ橢ニシテ尖リ、長サ一寸許、濶サ五六分、細鋸齒アリ、春新葉間ニ小枝叉ヲ分チ花ヲ開ク四瓣、大サ三分許、淡緑色、後實ヲ結ブ、形扁クシテ尖リ、長サ二分餘、秋ニ至リ熟シテ、微紅自ラ裂テ紅肉ヲ現ス、肉中一白子アリ、冬ノ初、葉紅或ハ紫ニ染テ落ツ、其色美ハシ、因テニシキヾト呼ブ、枝幹ニ褐羽アリテ相對ス、濶サ二三分、羽ヲ採テ藥用トス、鬼箭羽ト云、コノ羽アル、者眞ノ衞矛ナリ、故ニヤハズニシキヾト呼ビ、以テ他ノ羽ナキ者ニ分ツ、コノ外數種アリ、呉普ノ説ニ葉如桃ト云ハ、桃葉衞矛(○○○○)ナリ、俗名ヤマニシキヾ、〈雲州〉マサキ、〈江戸〉ヲトコニシキヾ、〈越中〉マミナ、〈土州〉マスギ、〈勢州〉此木路傍ニ多シ、葉形長大ニシテ桃葉ノ如ク、細鋸齒アリ、深緑對生ス、春葉間ニ花ヲ開ク、形眞ノ衞矛ニ同ジ、只枝叉微長ニシテ下垂ス、實圓ニシテ大サ三四分、秋ニ至リ熟シテ皮色微紅、自ラ四ツニ裂ケ、分レテ紅肉ヲ現ス、美觀ナリ、俗名タマテバコ、サルノヂウバコ、〈濃州〉ミコノスヾ、〈丹州豫州〉イチゴマス、此木枝間ニ羽ナク、只白條アリ、蘇頌ノ説ニ、葉似山茶ト云ハ、山茶葉衞矛(○○○○○)ナリ、俗名マルバノニシキヾ、葉ノ形圓大ニシテ長サ三四寸、山茶(ツバキノ)葉ニ似テ薄シ、實ハ桃葉衞矛ニ同シテ大ナリ、枝幹ニ羽ナシ、一種コマユミハ、葉花實眞ノ衞矛ニ同シテ、幹ニ羽ナシ、一名マイビ、〈薩州〉マイメ、〈同上〉一種紫花ノマユミハ、葉桃葉衞矛ヨリ短小、コマユミヨリ大ナリ、枝條下垂ス、羽ナシ、春葉間ニ淡紫花ヲ開ク、コノ外品類多シ、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 檀 唐韻云、檀〈音彈、和名萬由三(○○○)、〉木名也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 説文、檀檀木也、鄭風毛傳、疆刃之木、刃今http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 字、

〔伊呂波字類抄〕

〈末殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 檀〈マユミ〉

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 マユミ 葉ハ橘ニ似テ厚ク、四時不凋、高キ事六尺ニ不過、枝多シ、挾ミテ籬トスベシ、能繁茂ス、實熟スレバ開ク内ニ紅子アリ、マサキト云、マサキノカヅラハ此蔓生也、葉モ實モ同ジ、檀紙ハ昔奧州ヨリ出ヅ、故ニミチノクニ紙ト云、今ノ俗引合ト云、倭紙ノ上品ナリ、故或曰マユミノ木ノ皮ニテ製ス、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 檀 詳ナラズ 古ヨリ檀ヲマユミト訓ズルハ非ナリ、マユミハ衞矛ナリ、藏器ノ説、葉如檀高五六尺云云、此レハコバンノキ(○○○○○)ナリ、一名ハギノキ(○○○○)、キハギ(○○○)深山幽谷ニ生ズ、小木ナリ、高サ丈ニ盈タズ、葉ハ水蠟樹(イボタ)ノ葉ニ似テ短ク互生ス、春新葉ノ間ニ小柴花ヲ開ク、五瓣ニシテ槭樹(モミヂノ)花ノ如シ、後小圓實ヲ結ブ、熟スレバ赤シ、是一種ノ檀ナリ、

〔古事記〕

〈中應神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 爾掛出其骨〈◯大山守命〉之時、弟王〈◯宇遲能和http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 郞子〉歌曰、知波夜比登(チハヤヒト)、宇遲能和多理邇(ウヂノワタリニ)、和多理是邇(ワタリゼニ)、多氐流(タテル)、阿豆佐由美(アヅサユミ)、麻由美(マユミ)、伊岐良牟登(イキラムト)、許許呂波母閉杼(コヽロハモヘド)、伊斗良牟登(イトラムト)、許許呂波母閉杼(コヽロハモヘド)、母登幣波(モトヘハ)、岐美袁淤母比傳(キミヲオモヒデ)、須惠幣波(スヱヘハ)、伊毛袁淤母比傳(イモヲオモヒデ)、伊良那祁久(イラナケク)、曾許爾淤母比傳(ソコニオモヒデ)、加那志祁久(カナシケク)、許許爾淤母比傳(コヽニオモヒデ)、伊岐良受曾久流(イキラズソクル)、阿豆佐由美(アヅサユミ)、麻由美(マユミ)、故其大山守命之骨者葬于那良山也、

〔古事記傳〕

〈三十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 麻由美(マユミ)は〈三言一句〉檀(マユミ)ノ木ノなり、和名抄に、唐韻云、檀木名也、和名萬由三(マユミ)とあり、弓に作るに良き材なるを以て、眞弓の木とは云なり、色白き故に白檀(シラマユミ)とも云り、さて此は此樹の河邊に生立るを見賜へるまヽに、即其を以て大山守ノ命を譬へて、よみ賜へるなり、

〔萬葉集〕

〈七譬喩歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492弓 南淵之(ミナブチノ)、細川山(ホソカハヤマニ)、立檀弓(タツマユミ)、束級(ツカマクマデ)、人二不所知(ヒトニシラルナ)、

紅葉木

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 紅葉木 〈ひめまゆみ〉 紅葉木、又ひめまゆみともいへり、即まゆみの一種にして灌木なり、大なるものは五六尺にすぎ ず、小枝多く葉繁りて生ず、その葉まゆみに似て細小也、霜後紅葉甚鮮紅にして愛すべきものなり、故に紅葉木と呼、諸木のうち此もみぢ甚遲く染るものなり、十月末より少しづヽ色づき、十一月末紅葉鮮麗いふばかりなし、落葉は極月にいたる、其ながめ甚長し、春は早春より葉を生ず、全く葉なきは僅にふた月すぎざるものなり、

サハダチ

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 さはだち さはだち植樹家にて紫檀の木といふ、是またまゆみの一種にして、その葉長大深緑色にして、常盤木のごとし、霜後鮮麗に紅葉すること、にしきぎまゆみにまされり、花實はまゆみつりはなのごとし、

〔大和本草〕

〈十一藥木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 樗(カラスサンセウ)此木世に知人マレナリ、葉ハヌルデニ似テ長大ナリ臭シ、其樹節多ク、ユガミマガリテ材トナラズ、故ニ古書ニ惡木也ト云、小キ時多刺、長大ナレバ、無刺、此木日本ニ元來有之、京都ニアリ、又北州ニモアリト云、近年カラヨリ來レル香椿ニヨク似タリ、同類ナリ、花アリ、實アリ、烏コノンデ其實ヲハム、日本人樗ト椿トヲシラズシテ、先年朝鮮人來リシ時、二木イヅレノ木ゾト問シニ、朝鮮人モシラズシテ、アヤマリ僞テ佗ノ木ヲ樗ナリト答ヘシト云、樗ヲアフチト訓ズルハ誤ナリ、アフチハ楝(センダン)ナリ、

〔採藥使記〕

〈中豆州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 重康曰、豆州三浦三崎ノ山中ヨリ樗木ヲ出ス、土人コレヲカラス山椒(○○○○○)ト云フ、 光生按ズルニ、樗ヲ和邦ニテヲヽチト訓ズ、アヤマリナリ、樗ハ椿ノ一類ニテ、椿ヨリ枝曲折シテ生ズ、葉ニ惡シキ香アリ、畿内ニテキツ子ノチャン袋(○○○○○○○○)ト云フ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 椿樗〈◯中略〉 樗 ゴンズイ(○○○○) キツ子ノチヤブクロ(○○○○○○○○○) スヾメノチヤブクロ(○○○○○○○○○) ムメボシノキ(○○○○○○) ツミクソノキ(○○○○○○)〈泉州〉 ハゼナ(○○○)〈土州〉 クロハゼ(○○○○)〈同上〉 ダンギナ(○○○○)〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 州〉 ハナヽ(○○○) ダンキリ(○○○○)〈共ニ同上〉 タンギ(○○○)〈勢〉 〈州〉 クロクサギ(○○○○○)〈播州〉 ゴマノキ(○○○○)〈肥州〉 一名惡木〈名物法言〉 臭椿〈群芳譜〉 鬼目〈證類本草〉 武目〈事物異名〉 婆娑羅樹〈天中記〉 檴〈通雅〉 處々山中ニ多シ、形状構及ビ接骨木ノ如ク、枝條四布ス、椿ノ如クニ聳直ナラズ、葉ハ接骨木葉ニ似テ枝アリ、葉ノ莖赤シ、葉ニ臭氣アリ、夏月枝梢ニ細花簇リ開ク、膚木花ニ似テ黄白色、後實ヲ結ブ、南天燭子ヨリ大ニシテ、扁ク微尖アリ、秋ニ至テ色赤ク美シ、自ラ二ツニ開テ、小圓子二三顆殼ニ附ク、椒目(サンセノ)ノ大ニシテ黒ク光リアリ、霜後葉枯ル、 椿樗二木共ニ雌雄アリテ花實アル者ナリ、然ルニ禹錫ノ説ニ、未椿上有莢者、然世俗不椿樗之異、故呼樗莢椿莢爾ト云ハ、唐山ニモ椿ノ實ヲ結ブ者稀ナル故誤ルナルベシ、既ニ連翹ノ條ニ、似椿實開者ト云時ハ、椿ニ實アルコト知ルベシ、 藥用ノ椿根皮舶來ノ者ハ、皮厚シテ淡褐色内ニ布紋アリ、藥舖ニ眞ノ椿根皮ト呼ブ者ハ、皮薄シテ褐色布紋ナシ、是山茶根皮ナリ、用ユルニ堪ヘズ、舊ト椿ニタマツバキノ古訓アル故ニ、山茶花ヲ椿ト書キ來ルニ因テ誤ル、キャンチンノ根皮ヲ眞物トスベシ、

雞冠木

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 雞冠木 楊氏漢語抄云、雞冠木、〈賀倍天乃木(○○○○○)、辨色立成云、雞頭樹、加比留提乃木(○○○○○○)、今案是一木名也、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 伊勢廣本雞皆作鷄、同、下總本加倍天上有和名二字、恐非是、廣本亦無有、加倍天之紅葉見後撰集哀傷部戒仙法師歌小序

〔新撰六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 かえで 家良 日にそへて末葉さしそふわかヽえでしぐるヽ秋もまたれざりけり 爲家 秋の色に名のみかえでと降ぬれどあへずぞ染る露も時雨も

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 雞冠木 万葉雞頭樹 蝦蟇手(カエテ)木 和名賀倍天乃木 一云加比留提乃木、俗通稱毛美知、 按、本草綱目楓葉有岐三角、至霜後葉丹可愛、則雞冠木亦楓之屬乎然楓花白色實大如鴨卵、則與雞冠木花實逈異也、猶朝鮮松子大而異常、 雞冠木有數種、高者二三丈、葉有尖岐、如蝦蟇手、大抵七八岐、或九岐、又有十三葉者、謂之十二一重、三四月嫩葉紅色映滿山、五六月復青葉、深秋其葉黄落、經歳者則五月開小黄花、状如飛蛾、梢頭結實、中子如牛蒡子、和州龍田、雍州高雄山最多、至秋葉丹赫耀、天下賞美之、凡草木秋乃紅葉者多有之、而蝦手樹葉爲勝、故只稱紅葉、即蝦手葉也、猶只稱花則櫻花也、花與紅葉右之、以悦人目者也、然於中華此二物似闕也、

〔大和本草〕

〈十一園木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 機樹(カヘデ) 本邦楓ノ字ヲアヤマリテカヘデトヨム、順和名ニハ雞冠木ヲカヘデトヨメリ、カヘルデトモ云、其葉カヘルノ手ニ似タリ、秋冬霜ヲ經テ紅葉ウルハシ、高尾貴船笠取ナドノ諸山ニ多シ、立田紅葉ハ、カヘデノ一樹ノ紅葉ニ非ズ、諸木ノ紅葉ナリシト云、立田ニ今ハ紅葉スクナシ、凡カヘデハ今其品類二十餘種アリ、就中ヤシホ野村猩々朝日ナドウルハシ、九葉カヘデアリ、葉秋ハ紅黄ナリ、三四月ニ小白花ヲ開ク、常ノカヘデト葉カハレリ、ツ子ノ小カヘデハ其岐五六アリ、是ハ九ニ岐(ワカ)ル、小カヘデノ葉ヨリ大ナリ、京都清閑寺高倉院ノ御陵ノ上ニ生ズル是ナリ、又大カヘデアリ、葉形小カヘデニ似タリ、葉大ナリ、葉ノ横五寸バカリアリ、大カヘデモ九葉、カイデモ小カイデモ、矢ノ根ノ鴈股ノ如クナル實アリテ、其本ニ子アリ、

〔本草一家言〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 榿 一名機 明楊升庵云、機木名、即榿也、蜀都尤多、和名訶惠底、又名紅葉、紅葉凡諸木秋紅之通稱也、先輩云、和人以楓字嘉惠天非也、楓結子似杉實梂、皮間生莢極芳香、其色白色、故名白膠香、我邦稱楓者花實成片々、中有子片、如蜻蜒翅、其子如胡麻、不芳香液粘、不于白膠之名、杜子美、榿林障日吟風葉、杜詩集注、蜀西都榿樹極多、土人折爲薪者、與楓樹形状相合云、近年獻漢土楓樹數株、或親目擊之、其樹形葉與和楓甚異、其葉三尖或五尖、但極厚耳、未識有膠否、以此觀之、 倭楓亦楓之一種、而有雌雄之別歟、然則榿乃蜀土之郷名耳、

〔年々隨筆〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 もみぢはかへで、猶みどりなるに、たヾ一しほ、今ぞ染つらんとおぼしくて、つや〳〵と匂へる二藍の色めでたく、いとこくひいろに染なしたるもをかし、今の世には、もみぢといふ名をおのがものにぞしたる、すぐせいと尊しかし、

〔年々隨筆〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 もみぢはかへで(○○○)といふ、返す〳〵めでたし、

〔剪花翁傳〕

〈前編一 二月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 嫰機樹(わかかへで) 數種、即若芽紅葉、二月中旬、方日向、地二分濕、土回塵(まひごみ)、肥大便寒中に入べし、移(うゑかへ)秋彼岸後より十一月頃までよし、毛氈、縮緬、定家、山、青海(せいがい)、緑青海(あをせいがい)、いづれも芽出し至て赤く、葉滿開て後青く、秋淡く照也、毛氈殊にあかし、青海は葉七瓣にて、色亦深くして長くうすろがず、野村、色紫にて秋も同じ色なり、紙に摺寫せば紫いとうつくし、一行寺、芽出しの時は少し赤し、開き滿てば青し、秋は拔群照也、都て芽出しの枝は水上がたし、是は枝木を水に入んとおもふ程の長を鋸目を入て、汲立の水にて逆水して、水器に生置ば勢ひよく水を上る也、もし日を經るものは、切口をよく燒きて、此切口を切捨、木通の末を水に和し、其中に漬置て後插べし、

〔大和名所圖會〕

〈三平群郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 龍田川 廣瀬郡より流れ、勢野を經て、立野の西龜瀬に至り、阿州に入、立野にて漕運の津とす、舟は上み初瀬川を加幡(かはた)村に通ひ、又寺川を今里に通ふ、高瀬舟といふ、或書曰、龍田の町を西へ出れば川あり、是龍田川也、此川を平群谷といふ、生駒嶽の麓より出る川なり、立野の西に紅葉川(○○○)とて小溝あり、是を龍田川といふはあやまり也、

〔古今和歌集〕

〈五秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 題しらず よみ人しらず 龍田川紅葉みだれてながるめりわたらば錦中やたえなん

〔今古殘葉〕

〈二十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 高雄山に紅葉を見る記 高松重季卿 享保乙卯のとし神無月はじめつかた、高雄山の紅葉この比さかりときヽてまかりにし、とし比 も思ひし事なれど、ことしげきにまぎれて、うち過侍れば、まだ分もみぬ山水の音にのみきヽてやみなんもくちをしく、ことしばかりはと思ひ立て入もて行まヽに、山深き所なれど、世に名高ければ、聞つきてつどひけるにや、おもひしよりは人めしげく、おのがどちこヽかしこ、この木下岩がくれをしめて春の風ならねど、樽の前に酔をすヽめ、打ゑみつヽ、心とけてめでくらすもおほかりけり、とある寺の門前にはし打渡し、岩にくだくる波の木のまゆく山川のあたり、みな楓のみなれば、見渡すかぎりそめつくして、陰けむ袖も下行水も、色はづるばかりなれば、 名もしるき、千入の梢ことしまでこざりし色ををしむ比哉、かの寺を地藏院といふ、此方丈の庭よりこそ猶奧深き谷の紅葉も見え侍れなど、しれる人のいひければ、さらばそれこそはとたづねよりてみ侍るに、山かさなれる谷の底に、岩波しろきながれをとめて、生つヾきたる紅葉を見おろしたるは、繪にもやはと思ひ侍り、しるべにつきてくる人もあれど、寺院の庭なればこヽにやすらふ袖もなくて、人まおほくすこししづかなる木の本なれば、さヽへなど取ちらして、歸る方もしらずめであへり、 そめてかくおのづからにも山水の名にながれたる谷の埋木〈◯一首略〉栂の尾のもみぢ(○○○○○○○)も、世にこそしらね、よの所にはまさり侍り、ほど近ければ此ついでにもやと、人々いひけるにそヽのかされて、ひつじはるかに過ぬれば、出行に分こし程に見たりし橋のもとの紅葉の、日影に映ぜる夕ばへのけしき、さらぬだにある木ずゑに又一しほの色をそへて、見すてがたき木のもとになん、つたなきことなればかきおかんも面ぶせなれど、かたくまどの外に出すべきにもあらず、かくやうのこともありと、としへて後おもひ出んためばかりなれば、おちちらん時のあざけりはおもひながらに、入興のあまりにかきつけ侍る、 さればこそ山の名てらす紅葉哉〈◯中略〉  山道の名殘いとさむきにとて、北野の森にしばしやすらひて、いぬの時ばかりにやどりにかへりぬ、這一帖漫書連愚毫幽情、誠供一粲而已 藤重季

〔武江産物志〕

〈遊觀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 紅葉 海安寺〈品川〉 東海寺〈品川〉 正灯寺〈淺草〉 日暮里青雲寺 上野山中 根津權現山 瀧の川辨天 夕日山紅葉〈目黒明王院〉 眞間の紅葉〈眞間弘法寺〉 高尾の紅葉〈山谷土手の西方寺〉 高田穴八幡 隅田川〈秋葉〉

〔江戸名所圖會〕

〈十四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 補陀山海晏寺、〈◯中略〉 楓樹江戸丹楓の名勝にして、一奇觀たり、晩秋の頃は、滿庭錦繡を晒すが如く、海越の山々は、紅の葉分に見えはたり、蒼海夕日に映じては、又紅をhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019fd7.gif が如く、書院僧房も其色にかヾやき、此地遊賞の人酔色ならざるはなし、〈江戸砂子に蛇腹紅葉、千貫紅葉、花紅葉、淺黄紅葉、菲梅紅葉、猩々紅葉など云ありと云々、〉

唐楓

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 楓香脂 楓樹ノヤニ 一名楓乳〈藥性要略大全〉 楓脂 雲香〈共同上〉 芸香〈本草原始〉 楓香〈附方〉 樹一名紅樹〈名花譜〉 色木〈訓蒙字會〉 茶條樹〈同上〉 部落〈山東通志〉 楓樹和産ナシ、和名抄ニヲガツラト訓ジ、又ムマカイデト訓ズ、皆非ナリ、享保年中ニ漢種渡リ、東都及日光山ニアリ、樹直上シテ大木トナル、葉大ナル者ハ四五寸、三尖ニシテ鋸齒アリテ、地錦葉ノ如シ、秋ニ至レバ黄色ニシテ落ツ、唐山ニハ紅葉ノ者アリテ、丹楓ヲ詠ズル詩多シ、本邦ノカイデノ如ク、品類多シト見ユ、コノ木ヨリ出ル脂ヲ楓香脂ト云、形松脂ノ如ニシテ、色白ク光澤アリ、故ニ松脂ノ色白キ者ヲ以テ爲ルト、本草彙言ニ云リ、舶來ナシ、一名白膠香ト云、唯白膠トノミ云時ハ鹿角膠ナリ、夏小花ヲ開キ後實ヲ結ブ、楓梂ト云、又針線包〈大倉州志〉ト云、大サ龍眼ノ如ク、圓ニシテ軟刺アリ、蓖麻毬(トウゴマイガ)ニ似タリ、食用ニ堪ヘズ、帷焚作香ト秘傳花鏡ニ云リ、痘瘡ノ時焚テ外ノ惡臭ヲ避クルコト、保赤全書ニ出ヅ、本邦ノモミヂハ、本名カイデ、或ハカヘデ共云、葉形蛙手ニ似タル ヲ以テ名ク、是救荒本草ノ槭樹ノ類ナルベシ、又花戸ニ漢種ノ楓ト稱スル者アリ、小葉三尖ニシテ兩對ス、嫰葉老葉皆紅、是唐カイデ(○○○○)ニシテ、眞ノ楓樹ニ非ズ、

〔鹽尻〕

〈十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 楓樹圖 楓木は郭璞云、白楊に似て葉圓にして岐あり、時有て香しと云へり、又字書には樹木高大にして葉三角なりと云、我國古書にハカツラと和訓す、中世以來カヘデの紅葉に此字を用ゆるは、似たるを以てにや、予東都にて楓木を見し、紅葉可愛、かしはの如く岐とがらず見ゆれども、大かた一物と覺えはべる、 賢按、楓木の説共に非なり、此時代は總じて産物にうとし、よつて楓木を見たる事なし、いふ所は黄櫨なり、和訓はぢもみぢといふは、せうし也、こゑちかし、誤りてはぜといふ、もみぢは見事なれ共楓木にてはなし、今楓樹は喬木にて、東都染井村植木屋伊兵衞方に、享保の大君より拜領の楓樹あり、鷄冠木は黄櫨と別木なり、染井村にある事を知らしむるものなり、又按紅葉は色つく葉の總名なり、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 唐楓 唐楓〈地綿抄〉又からもみぢ(○○○○○)〈花http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 〉と稱するもの、今染井の花戸伊兵衞が園中に存せり、甚大樹にしてその高さ七八丈に及べり、享保十二丁未九月二十二日拜領唐楓といふ札を建たり、其來由を問ふに、御用にて唐土より持渡りしを、嚴命にて其比の伊兵衞深山かへでに五本接しが、殘らず成木して御庭にうつし植させ給ひて、唐土より渡りしもと木を給はりしといへり、〈伊兵衞家説〉その葉三尖にして幅せまく、長みありて對生す、實を結ぶ事鷄冠木の實に似て股せまく、鷄冠木の實より少し大にして、數多く付てたれさがれり、地錦抄に秋の紅葉本色あざやかに洗朱のごとく、又は薄紅黄色さま〴〵まじりて、染るといへども、あまりに大木となりし故か、多くは黄色に染てちれり、唐かへて今處々に多くあれども、皆この孫木なるべし、しかれどもその形状伊兵衞が園 中のものとは少し異れり、葉に長みなく鋸齒深く、葉莖短くして枝梢に紅色を帶、鷄冠木に彷彿たり、尤地錦抄に載るところの圖は、葉莖短く葉にはヾあり、若木の時はしかるものならん、實生などの小木は、僅に五分に滿ざる葉も生じ、又若木のいきほひよき枝には、三寸にあまる葉あり、大葉と小葉のものは、同木とは見えざるものなり、小樹は殊によくそむ、地錦抄にいふごとく、色色に染なして美觀なるものなり、佐藤成裕曰、唐かへでは、本邦にも自生のものあり、丹波邊の山中には大木ありといへり、又大和本草に小カヘデといふものあり、其葉形唐かへでに似たり、是和産の者をいふなるべし、又西遊記續篇に、霧島山の奧に入し時、種々の奇樹異草數々見し中に、唐楓に甚よく似たるものを見し事をいへり、花彙にはこの唐かへでを以、眞の楓樹とせしは非なり、唐かへでは、物理小識云、箕峯有楓、開兩岐紅花、其葉莖亦紅といへるもの、即唐カヘデなるべシ、楓といへば、其葉三尖なる事は知べし、實の毬をなさヾるをもつてかくいひしならん、實を花といひしは誤なり、

〔西遊記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e28f.gif 編五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0500 楓樹 唐土の楓の事は、過し年唐土へ仰遣されて三本渡れりとぞ、其中一本は枯て、今日本に唯貳本のみ有りとなり、余〈◯橘南谿〉も其樹の葉とて見し事のありけるが、大さ拳の如く、三ツ叉にて殊に厚し、實は楓球(ふうきう)とて栗のいがに似たり、秋ふかくなれば其葉黄色に變ぜり、日本の紅葉とは大に異なり、日本のごとく艶美なるものにはあらず、又頃日我友關谷氏、長崎の御藥園の楓樹の種なりとて、二本需得携へ登りて、余が家園に植しに、葉の形は三ツまたにて、初のものに似たれど、其木の小き故にや、葉薄くして小さく、唯三つ股といふばかりなり、此國の紅葉に甚だ相似たり、其實をとへば、此國のごとく蜻蜒の小なるがごとしといふ、されば球にはあらず、たヾ此國の紅葉と同類異種といふべし、されど關谷氏が携へ登りしも、唐土より將來の木に違ふ事は非ず、是を以て 考れば、日本の紅葉にも異種數百種あるがごとく、彼國にてもいろ〳〵の楓あるべし、別に召れしは唐土にての最上の品なるべし、然れども唯詠めに興ずるには、日本の楓遙に勝れり、我國のをこそ愛すべし、又或説に日本には楓なし、されば日本にては唯紅葉、或は機樹鷄冠木(けいくわんぼく)などヽ稱すべし、楓とは稱すべからずといへるも僻説なり、日本にいふ處のものは、楓の外なるものにはあらず、唯楓の同類異種なれば、紅葉を楓と稱して當らずとはいふべからず、又余が霧島山の奧に入し時、種々の奇樹異草數々見し中に、彼楓に甚だよく似たるもの有りき、余元來本草物産の學に疎ければ、當否はしらず、しばらくしるして後の博識者をまつ、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 楓 兼名苑云、楓一名欇〈風http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000196b0.gif 二音、和名乎加豆良(○○○○)、〉爾雅云、有脂而香謂之楓

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 按爾雅云、楓欇々、説文云、楓一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif 、上林賦注、張揖曰楓欇也、蓋或復言http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif、或單言聶也、兼名苑蓋本説文也、又云、楓木也、厚葉弱枝、善搖、説文云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif 木葉搖白也、徐音之渉切、蓋以木葉動名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif 也、廣韻云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif 、樹葉動貌、叱渉切、音http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d59c.gif 、廣韻又有欇字、云虎纍、書渉切、音攝、又時攝切、音渉、是http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif 欇二字不同而後人楓http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7fa.gif 字移木在傍、與虎櫐之欇混無別、故爾雅云、欇虎櫐、又云、楓欇々、陸徳明欇虎櫐音云、郭音渉、楓攝々音云之渉反、二字其形雖同、其音自異、此以攝音欇者誤下總本有和名二字、按、乎加豆良與香要抄合、本草和名唯云、和名加都良、〈◯中略〉按原書釋木云、楓欇々、郭注、與此略同而少異、所引蓋舊注、則爾雅下似注字、而廣韻引爾雅云、楓有脂而香、不注、郭注爾雅楓欇々云、楓樹似白楊、葉圓而岐、有脂而香、今之楓香是與此少異所引或舊注、依郭注、楓下恐脱香字、王念孫曰、攝々動貌也、欇之言攝也、韓子外儲説右萹曰、搖木者、一一攝其葉、則勞而不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e1d4.gif 、左右拊其本而葉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e1d4.gif 搖矣、攝與搖皆動也、楓之言風也、廣雅曰、風動也、史記司馬相如傳索隱引舍人注曰、楓爲樹、厚葉弱莖、大風則鳴、故曰楓、是楓與欇々皆以動名之也、

〔爾雅註疏〕

〈九釋木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 楓攝欇註〈楓樹似白楊、葉圓而岐、有脂而香、今之楓香是、〈攝音輙〉疏〈説文云、楓本厚葉弱枝善搖、一名欇欇、郭〉 〈云、楓樹似白楊、葉圓而岐、有脂而香、今之楓香是、案本草唐本註云、樹高大、葉三角商洛之間多有之是也、又山海南荒經云、有宋山者、木生山上名白楓木、楓木蚩尤所葉、其桎梏是謂楓木、註云即今楓香樹也、〉

〔萬葉集〕

〈七譬喩歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502木 向岡之(ムカツヲノ)、若楓木(ワカカツラノキ)、下枝取(シヅエトリ)、花待伊間爾(ハナマツイマニ)、嘆鶴鴨(ナゲキツルカモ)、

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 楓(ヲガツラ) 江陰縣志曰、似白楊葉厚枝弱善搖、故字從風、霜後色赤、合璧事類、楓葉圓而岐分三角、今案和名ニ楓ヲオガツラト訓ズ、ソノ葉マコトニ白楊(ハコヤナギ)ニ似テ兩々相對ス、賀茂ノ祭ニ用ルカツラ是ナリ、又筑紫ニテモカツラギト云、葉カヘデヨリ大キナリ、花ハサヽゲノ花ノゴトク三四月開ク、形状ハ似タレドモ、カラノ書ニイヘルヤウニ、オカツラハ紅葉セズ香ナシ、是眞ニ楓ナリヤ未http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 詳、朝鮮ニハ楓アリ、香アリト云、桂ヲ順和名ニ、メガツラト訓ズ、オガツラニ對ス、楓ヲカヘデト訓ズルハアヤマレリ、カヘデハ機樹也、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 楓(おかつら)〈音風〉 攝欇〈爾雅〉 和名乎加豆良〈俗以爲蝦手樹者非也◯中略〉 按、倭名抄云、楓〈和名乎加豆良〉有脂而香、〈一名欇〉桂〈和名女加豆良〉以爲楓、與桂如雌雄矣、然未其據也、又本草綱目喬木下有大風子、恐此大楓子重出者乎、

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 故爾鳴女自天降到、居天若日子之門湯津楓(○○○)上而、言委曲如天神之詔命、

〔古事記傳〕

〈十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 湯津楓(ユツカツラ)、湯津は五百箇(イホツ)にて、〈其由は傳五七十一葉湯津石村の處に委く云り、〉此は枝の繁きを云、〈◯中略〉楓は下海神宮段には湯津香木と書て、訓香木加都良と見え、書紀には此を其雉飛降、止於天稚彦門前所植湯津杜木之抄、杜木此云可豆羅とあり、〈又杜樹と作る處もあり〉万葉七〈三十五丁〉に向岡之(ムカツヲノ)、若楓木(ワカカツラキ)、下枝取(シヅエトリ)、花待伊間爾(ハナマツイマニ)、嘆鶴鴨(ナゲキツルカモ)、字鏡に楿加豆良とあるは香木を一にしたる字なり、さて和名抄に楓和名乎加豆良(ヲカツラ)、桂和名女加豆良(メカツラ)、〈常には加都良には、桂字をのみ用ひて、楓字は後世に加閉手(カヘデ)に用ふ、されど楓は加閉手にはあらず、〉まづ楓は、爾雅郭璞註に、樹似白楊葉圓岐、有脂而香、今之香楓是也と云、又他の漢籍ともによく紅葉する物と 云り、さて貝原氏が云、楓(ヲカツラ)は其葉まことに白楊(ハコヤナギ)に似て、兩々相對ぶ、賀茂祭に用るかつら是なり、筑紫にてもかつらぎと云、其葉かへでより大にて、花はさヽげの花の如くにて、三四月に開、形状はからの書に云る楓に似たれども、紅葉せず、香も無しと云り、〈今考るに、賀茂祭に葵と共に用ふる加都良は、信に香もなく紅せず、漢の楓には當らず、〉次に桂は今昔物語に、天暦御時もろこしより參來(マウデキ)ける、長秀と云僧ありけり、五條西ノ洞院なる處に桂宮と申すは、其門前に大なる桂木ありける故になむ名けヽる、彼長秀もと醫師なりけるが、其木を見て、桂心は此國にも候ひけりとて、其枝を伐取せ、桂心を取て藥につかひけるに、漢のにはまさりけりとあり、此加都良今も有て、〈今も有とは桂宮なるを云には非ず、此御國にあるをいふなり、〉全(モハラ)漢籍に云るに同じ、〈即肉桂と呼ぶなり〉然れば古より有りし物にて、源氏物語などに加都良と云るも此屬なり、但漢籍に云桂は、御國には稀らにこそあれ、古書に加都良を云る趣に何處にも〳〵偏く有し物とぞ聞ゆる、故思ふに、今世に多夫(タブ)と云木あり、何處にも多き物にて、〈處によりて陀母とも陀麻とも藪肉桂とも云、貝原氏云、たぶの木桂の類にて二種あり、一種は白たぶと云、葉は桂に似て香すくなし、冬赤實なる、一種はくすたぶと云、葉白たぶの如くにて、殊によく桂に似たり、此葉も桂葉と同じく、本より分れたる縱理三條あり、實は冬熟して黒し、香も桂にやヽ似て味も辛し、右二種共に大木ありといへり、〉其状見分難きまで桂に似たり、かヽれば古に加都良と云しは、なばて此多夫の木にて、其中にはたま〳〵彼桂宮は在しが如き、眞の桂のまじりけるをも一に呼しなるべし、さて右の如くなれば楓(ヲカツラ)と桂(メカツラ)とは、近き類の木には非ず甚異なるを、和名抄に同類の如く、牝牡を分て出せるは、元より同類には非れども、名の同くて、混はしき故に、中昔にかりに牝牡と分ち云しなるべし、されど其は殊に分て云ときのことにてこそあれ、常にはたヾ二ながら加都良とのみぞ云けむ、故和名抄の外には、牝牡の名見えたることなし、さて此記などにあるは、楓か桂かと云に、此記に香とも書、字鏡にも楿と見え、又古事中昔の書までに人の門又庭などにも在しこと、又彼桂宮のなどを思ふに、桂(メカツラ)の方なるべし、〈但し源氏物語花散里卷に、さヾやかなる家の、こだちなどよしばめるに云々、大きなるかつらの木のおひ風に、祭のころおぼし出られて云々、これは楓ときこえたるに、〉 〈香もありげにきこゆ、處女卷に、まつりのころは云々、前齋院はつれ〴〵とながめたまふ、おまへなるかつらの下風なづかしきにつけても、わかき人々は、思出ることどもあるを云々、これも楓と聞えたり、〉然るに此記に乎加都良にあてたる楓字をも書たるは、たヾ加都良に用ひたる字を借れるのみなり、〈古は言だに同じければ、其文字には拘らぬは常なり、〉楓は香木と云べき物に非ず、〈漢籍には香楓ともあれど、御國の乎加都良には、香なきこと、右に云るが如し、又古書に楓字を書るは、楓香木とあるは桂(カツラ)と二にも見るべけれど、楓字かける處も香木とある處も、事のさま全同物と聞えて、二には非ず、又書http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif に杜木と書るは、古杜字をあてたる由は、心得がたけれど、字鏡に杜毛利又佐加木とあるを思ふに、かの今云多夫の木は、殊にみづみづしく、いとよく榮ゆる木なれば、上代に是をも榮樹(サカキ)と用ひ、又神社などにも殊に多くありけむ故に、やがて毛利にも此字を用ひしなるべし、万葉十卷に、志良加志にも、白杜樹とかける加志をも、古は榮樹と用ひたり、此彼を合せて思ふに、杜木と書るも女加都良の方なりけり、〉

〔新撰字鏡〕

〈木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 橡〈詳兩反、木實、止知(○○)、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十七菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 杼 爾雅集注云栩〈音羽、又香羽反〉一名杼〈音杵、又當旅反、與苧同、和名止知、莊子狙公賦杼是、〉

〔類聚名義抄〕

〈三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 橡〈音象ツルハミ トチ〉 杼〈音杵、又苧 トチ、又苧、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000123.gif 、〉  杤〈トチ 十千義歟〉 栩〈羽雨二音、杼栩、トチ、カシノキ、〉

〔撮壤集〕

〈中木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 橡(トチ) 杼(トチ)〈同〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈土草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 杼(トチ)

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十一五果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 天師栗 トチノミ 弘法大師クハズノクリ(○○○○○○○○○○)〈阿州〉 木一名七葉樹〈鎭江府志〉 娑羅樹〈同上〉 トチノキハ深山ニ多シ、葉形大ニシテ長ク、商州厚朴(ホヽノキ)葉ノ如ニシテ、細齒アル者七葉並ビテ槭樹(モミヂ)ノ葉ノ如ナルヲ一葉トス、冬ハ葉ナシ、春新葉ヲ生ジ、四月枝梢ニ花ヲ開キ穗ヲナス、長サ五六寸、花ハ五瓣、大サ四五分、淡紅色、實ハ山茶(ツバキ)ノ實ノ如シ、秋ニ至テ熟ス、外皮厚サ二分許、茶褐色、熟スレバ自ラ三ツニ裂テ落ツ、内ニ子一顆アリ、圓扁ニシテ中グリノ如シ、色モ栗殼ノ如シ、山民殼ヲ去リ米粉ニ雜ヘ搗テ餅トス、トチモチト云、木ハ机箱等ニ造ルニ用ユ、良材ナリ、間道(シマスヂ)アリテ美ハシ、俗ニ一寸十チヾミヲ上品トス、薪トナシテ火勢強シト云、

〔紀伊續風土記〕

〈物産六下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 七葉樹(トチノキ)〈鎭江府志、和名抄ニ、栩また杼の二字を止知と訓ずるは誤なり、〉各郡山中に産す、中にも牟婁日高兩郡の山中には、至りて大樹ありて板となし、其木理美なり、諸器に製して田邊より多く四方へ售り出す、

〔佐渡志〕

〈五物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 栗 和名クリ 大中小ノ三品アリ、民家ニ益多シ、栃ノ子ハ民家ニタスケアリ、漢名天師栗ナルベシト、蘭山翁カタラレタリ、深山ニ多クアリ、加茂郡ノ山民殼ヲサリ米粉ニ雜ヘ、搗テ餅トス、味苦シ、山家ノ食ナリ、木ハ机箱ニ作ルベシ、

無患子

〔伊呂波字類抄〕

〈毛殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 木槵子〈モクヱンシ(○○○○○)、可念珠、木名、〉

〔塵袋〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 日向國韓槵生村(カラノクシフノムラ)所アリトカキク、コノ所ニ木槵子(○○○)ノ木ノ生タリケル歟如何、 槵生トカケルハ木槵ノ樹ノオヒタルニハ非ズ、栗ノオヒタル心ナリ、コノ所ニ小栗オホシ、昔哿http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651244.gif 武別(カサムワケ)ト云ケル人、韓國ニワタリ、此ノ栗ヲトリテカヘリテウヘタリ、此ノ故ニ槵生(クシフノ)村トハ云ナリ、風土記云俗語謂栗爲區兒、然則韓槵生村云、蓋云韓栗林歟ト云ヘリ、槵字通兩物歟、順ガ和名ニハ欒ノ字ヲムクレンジトヨメリ、漢和抄ニハ木欒子トカケリ、ソノ外又木連子トカケルモアリ、訓ノヨミハイタヒトヨメリ、〈見崔禹食經云々〉本草折傷木トカケリ、コレハ木ニマツイツクトツラノ名也、

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 無患(つぶ)子 桓 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000017.gif 婁 木患子 肥珠子 菩提子 鬼見愁 油珠子〈◯中略〉 按無患子〈俗云無久呂之、今俗云豆布、〉其樹膚似山茶花木、葉似椿及(ヒヤンチヨン)漆葉、凡一椏十二葉對生、開小白花、其子殼黄皺蔕下二小子、及中黒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 之形色、皆如上所説、其黒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 頂有微白毛、俗呼名豆布、其小者爲念珠、大者童女用代錢、或鑿一孔小羽、以小板上之、則頡頏以爲遊戯、稱之羽子、正月弄之也、取鬼見愁之義乎、其子皮煎汁洗衣能去垢、又漬水以管吹、則泡脹起以爲戯〈俗云奢盆〉 無久呂之、即木欒子略也、誤爲無患子之名乎、

〔本草一家言〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 無槵子 一名菩提子、亦名鬼見愁、和名無垢路之(ムクロジ)、殼皮名奢盆(シヤボン)、人染用、和爾雅以此爲今寺院所栽菩提樹者訛也、綱目本條云、武當山中所出鬼見愁、形如刀豆者、即肥前州盆山島所産彎珠(ワンシユ)是也、亦以穿數珠云、欒華、和爾雅訓津部(ツブ)非也、此梅津大梅山長福寺、〈洛西南邑〉東山安井觀勝寺、〈洛東〉六條東本願寺、黄檗山万福寺、〈山城宇治傍〉山科吉祥山安祥寺〈洛之東邑〉栽之、葉如楝葉、黄花簇生如槐而大、結包頗如酸槳、中有實如蔓荊子、圓黒堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif 、又名菩提子、又別有菩提子、即今寺院所栽者、本草不之、唯典籍便覽、天台山外志載之葉似桑葉而實向其下而垂、比欒華稍小、曾聞禪客佛書中有菩提子、經一卷藏經中收之、貫其子念珠、其殼皮治瘡毒難http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 拔、根者爲末、以四物湯煎汁送下一二服、即見効、其木皮名西木皮、此木本出於西天竺、故名有薏苡亦名菩提子、見于草部、有金剛樹又名菩提子

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 無患子 ムクロジ(○○○○) ムクロウジ(○○○○○)〈筑前備前〉 ムクロンジ(○○○○○)〈越後江戸〉 ムク(○○)〈江戸〉モクゲジ(○○○○)〈佐渡〉 クロモジ(○○○○)〈同上〉 ツヾ(○○)〈奥州藝州〉 ツブ(○○)〈京〉 一名墨圓子〈閩書〉 苦珠子〈南寧府志〉 槵子〈正字通〉 樹一名菩提樹〈秘傳花鏡同名アリ〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ad7.gif 木〈事物紺珠〉 木梡〈龍眼ノ條下〉 山野ニ多シ、葉ハ紫藤葉ニ似テ長大、山胡桃(クルミ)葉ヨリ狹クシテ鋸齒ナシ、薄シテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ク互生ス、夏月枝梢ゴトニ長穗ヲナシ、枝ヲ分テ小花ヲ開ク、黄白色、後圓實ヲ結ブ、大サ六七分、熟スレバ外ニ皺アリテ油煠(アブラアゲ)ノ形色ノ如シ、皮ヲ去レバ内ニ圓子アリ、色深黒ニシテ甚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif シ、打破レバ殼甚厚シテ中ニ白仁アリ、ソノ外皮ヲ俗ニシヤボント呼ビ、油汚ノ衣ヲ洗フニ用ユ、コノ子唐山ニテハ貫テ念珠トス、未ダ熟セザル者ハ褐色ヲ蔕ブ、俗ニキンカンムク〈備前〉ト云、物理小識ニ銅槵ト云、已ニ熟シテ色黒キ者ヲ通雅ニ鐵槵云、〈◯中略〉 又一種琉球ノシロツブ(○○○○)ト呼ブ者アリ、形無患子(ムクロジ)ニ似テ輕クhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif シ、色ハ白シテ光リアリ、或ハ微青ヲ蔕ビ、或ハ微黄ヲ蔕ル者アリ、穴ヲ穿テ壓口http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e09b.gif (ヲジメ)子トス、是ヲ佩レバ魑魅ヲ避クト云ヒ傳フ、琉球八重山ノ産ナリ故ニ八重山木龍(モクリヤウ)トモ云、  増、凡ソ胡桃椿及漆等ハ皆無患子ト葉ノ形相類シテ、左右兩對シテ正中ニ心葉アリ、唯無患子ノミ心葉ナシ、心葉ハ俗ニトマリ葉ト云フ、

〔地錦抄附録〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 元祿年中來品々〈◯中略〉 一木槵子(モクゲンジ)

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 欒 蘇敬本草注云、欒〈魯官反、漢語抄云、木欒子、無久禮邇之乃木(○○○○○○○)、〉其子堪數珠者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 今俗譌呼如木現自、説文、欒木似欄、欄今之楝字、〈◯中略〉證類本草下品引、無其字、子下有若干字、者下有是字

〔伊呂波字類抄〕

〈无殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 欒ムクレンジノキ(○○○○○○○)、其子堪數珠也、 欒華〈蘇敬注云、堪數珠者也、ムクレンジ、見本草、〉

〔同〕

〈毛殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 欒〈モクレンジ(○○○○○)〉

〔和字正濫抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 中下に濁るし 木欒子 むくれにじのき 和名に蘇敬本草注を引ていはく、欒其子堪數珠者也、和名を思へば、わらはべの愛する、むくろじといふ物は、むくれんじの轉訛歟、これを數珠にすべき事、經軌の中には見えざれども、なしぬべき物なり、木槵子の事にやと見ゆれど、欒と槵と同じといはず、音もかはれば初の義なるべし、

〔東雅〕

〈十六樹竹〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 欒ムクレンジノキ〈◯中略〉 兒女の戯具に羽子(ハコ)とも胡鬼(コギ)子ともいひて、木欒子に鳥羽を植し物を、打揚ぐる板を羽子板とも胡鬼(コキ)板ともいふ也、舊説には春初に羽子つきぬれば、夏に至て蚊にさヽる事なきまじなひなりといふ事あり、胡鬼子の名あるが如きその謂ありぬべき事なり、崔豹古今注に、無患子の事をしるして、昔有神巫、能符劾百鬼、得鬼則以此木棒、棒殺之、世人相傳、以此木器用、以厭鬼魅、故號曰無患と見えたり、我國にも其事を傳へて、胡鬼子といふものを作り出せしに、無患、木欒其子の相似たれば、竟に木欒子を用ゆる事になりしなるべし、すべて此國にして荊楚之俗を傳へし事少からず、胡鬼子の如きは、即今此に來れる喎蘭陀人の兒戯に も似たる事あるなり、胡地の俗しかりと見えけり、

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 木欒子 欒華 和名無久禮邇之 俗云無久呂之〈◯中略〉 按木欒子〈無患子之一類異種(○○○○○○○○)〉別有菩提樹者、葉似椋、又似桑葉而厚、面深翠背淺青、三四月將花、時別出莖、生新葉、以蔽其莖黄青色、微似菠蔆草葉、抽於其半腹、莖稍開花四五朶、黄色而小、甚香芬、花散結實、中子如豌豆、成簇一房二十粒許、淡黒色、用爲數珠、蓋葉與子之様大奇、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 欒華 センダン葉ノボダイジユノハナ 木名 ムクレニシノキ(○○○○○○○)〈和名鈔〉 センダンノ葉ノボダイジユ(○○○○○○○○○○○○) ドジヤウキ(○○○○○)〈丹波〉 樹一名欒木〈通雅〉 欒樹〈正字通〉 木欒樹〈救荒本草〉 ボダイジユ同名アリ、コノ木ハ葉形楝(センダンノ)葉ニ似テ大ナル故、センダン葉ノボダイジユト呼ブ、漢名ニ菩提樹ト云者ハ、葉ノ形桑葉ニ似タリ、別物ナリ、欒樹ハ世ニモクゲンジト呼テ、河州道明寺ノ名産ナリ、然レドモモクゲンジハ、木槵子ノ轉音ナレバ、此木ニ名クルハ非ナリ、道明寺ハ河内國志紀郡ニアリ、三十四代垂〈◯垂推誤〉古天皇ノ勅願ニテ、聖徳太子ノ開基ト云、其土地ヲ土師(ハジノ)里ト云、土師ノ連八島ト云人ニ命ジテ此寺ヲ建立セラル、コノ時ニ五部ノ大乘經ヲ埋メタル上ニ、欒樹自然ニ生ズルト縁起ニ云リ、コノ種ヲ諸國ノ寺ニ栽タル者多シ、今ハ丹波ノ山中ニ自生アリ、春新葉ヲ生ズ、楝葉ヨリ大ニシテ毛アリ、夏枝梢ニ穗ヲナシ、枝ヲ分テ花ヲ開ク、五瓣下ノ一方ニ偏ヨリ開キ、半邊蓮(カラクサノ)花ニ似テ大ナリ、黄色ニシテ心ハ紅色ナリ、後實ヲ結ブ、酸漿鈴子(ホウヅキノカハ)ニ似テ、微小ニシテ扁シ、秋ニ至リ熟スレバ皮自ラ開キ、内ニ二三子アリ、形正圓ニシテ大サ二分餘、色黒シテ至テ堅シ、穴ヲ穿チ數殊ニ作ル、又子ヲ下シテ生ジ易シ、霜後葉枯レ落ツ、藥ニハ花ヲ用ユ、故ニ此ニハ欒華ト云、

茘枝

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 荔枝 通名 リチアン(○○○○)〈唐音〉 リツイ(○○○)〈南京〉 リチイ(○○○)〈共同上福州〉 一名甘 液〈行厨集〉 緗枝〈同上〉 江家緑〈蔬菓爭奇〉 側生〈事物異名〉 頳虬珠 十八娘 紅皺 絳衣仙子 福果〈共同上〉 紺殼〈名物法言〉 朱柹〈同上〉 大荔〈廣東新語〉 紫囊〈尺牘雙魚〉 頳蛇珠〈事物紺珠〉 燕支顆 坦衣 火實 天垢子 皺玉 脆玉 天漿 甘露水 海山仙人〈共同上〉 欐枝〈北戸録〉 荔芰〈飮食集〉 飣坐眞人〈群芳譜〉 皴皮〈康熙字典〉 瓊珠〈蔬食譜白曝者〉 樹一名將軍樹〈群芳譜〉 殼一名荔梔殼〈保赤全書〉 和産ナシ、舶來多シ、コレハ嶺南八閩ノ産ニシテ、北地ニハナシ、龍眼荔枝共ニ寒ヲ畏レドモ、荔枝ハ殊ニ甚シ、百果ノ長ナレドモ、日ヲ經レバ色味共ニ變ズ、集解ニ若離本枝一日而色變、二日而味變ト云、故ニ其樹ヨリ採リ、直ニ食ハザレバ、正味ナキナリ、形小鷄卵ノ如ニシテ、外皮ニ嫰松蕾(マツガサ)ノ如キ細紋アリテ色赤シ、今本邦ニ來ル者ハ皆白曝(シラボシ)ニスル者ナリ、曝ザレバ遠ニ寄スベカラザル故ナリ、頌ノ説ニ、福唐歳貢白曝荔枝ト云是ナリ、皮ノ厚サ龍眼ニ同ジ、肉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif ノ状モ同ジ、蔡襄ガ荔枝譜ニ、上中下三等ヲ詳ニ載ス、閩中ノ茘枝ハ閩書南産志ニ詳ナリ、荔枝譜ヨリ品類多シ、今本邦ニ渡ル白曝荔枝ハ皮茶褐色、破レバ内空シテ、正中ニ一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif アリテ、少ク肉ヅケリ、栗殼色(クリイロ)ニシテ光アリ、形味共ニ龍眼ニ同シテ、微ク大ナリ、又http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 細長シテ肉多キ者モ雜レリ、是集解ノ焦http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 荔枝ニシテ上品ナリ、廣志ニ荔枝之最珍者也ト云リ、本草蒙筌ニ荔枝殼燒解穢種痘宜求ト云、 増、閩書南産志數種ヲ載ス、其名著キ者三十二品アリ、秘傳花鏡ニ七十五種ヲ載ス、近年舶來アリ(○○○○○○)、江戸巣鴨ノ種樹家ニアレドモ、未ダ京師ニ來ラズ、ソノ名考フベカラズ、

〔夢溪筆談〕

〈二十四雜誌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509 閩中荔枝http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif小如丁香、多肉而甘、土人亦能爲之取荔枝木、去其宗根、仍火燔令焦復種之、以大石其根、但令傍根得http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 生、其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 乃小、種之不復牙、正如六畜去贄則多肉而不復有子耳、

龍眼

〔本草和名〕

〈十三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509 龍眼一名益智、〈蘇敬曰、此非龍眼也、〉一名龍目、一名比目、〈出疏文〉和名佐加岐乃美(○○○○○)、

〔大和本草〕

〈十果木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509 荔枝( /リチイ) 龍眼 此二木、其小ナルハ根共ニカラヨリワタルコトアリ、荔枝ハ唐音リ チイ、其葉ホヽノ木ニ似テマタアリ、龍眼ノ葉ハカシノ葉ニ似テマタナシ、二樹南國ニ宜シ、北國ニ宜カラズ、中華ニモ嶺南ノ暖地ニアリ、其餘ノ處無之、荔枝百果ノ内ニテ味尤スグレタリト、張九齡荔枝賦ニシルセリ、大木ニハ實百斛ニ至ル、五六月盛ニ熟スル時、其土人其下ニ燕會シテ賞之、極量取http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018872.gif ト、本草ニ記セリ、龍眼ハ荔枝過テ後七月熟ス、一枝ニ五六十顆一處ニアツマリミノル事蒲萄ノ如シト、事類合璧ニシルセリ、一名亞荔枝ト云荔枝ニツグト也、薩摩ニ荔枝龍眼ノ木モトヨリ山ニアリト云(○○○○○○○○○○○○○○○○○○○)、中華ニモ山龍眼トテ野生アリト、本艸ニイヘリ、泉州境、肥州長崎等處々ニアリト云、皆實ヲ此地ニウエシ也、カラトモニウフベシ、其實自然ニヲチテ生ズルヲ以シルベシ、但實ヲウヘテ生ジガタク、生ジテモ長ジガタク實ノリガタシ、長ゼズシテ枯ル、土地異ナレバ也、本草約言龍眼功與人參並ブトイヘリ、荔枝ハ龍眼ヨリ味スグレタレドモ、藥ニ不用、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif (サネ)ハマレニ用ユル事アリ、龍眼ハ歸脾湯及心神復元湯ニ用ユ其外用事マレ也、藥酒ニ用ル事アリ、藥ニモ果ニモ新渡ノ近キヲ可用、藥ニ用ルニハ、カラヲ去日ニホシ收ヲクベシ、或肉ヲ取、蜜ニツケ置ベシ、砂糖ニツケルモ亦可也、如此スレバ久シキニ堪フ、カラトモニヲキテ久シケレバ必カビテ用不立、

〔和漢三才圖會〕

〈八十八夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 龍眼肉(りうがんにく) 龍目 亞荔枝 圓眼 益智 燕卵 荔枝奴 驪珠 蜜脾 鮫 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001de9e.gif  川彈子〈◯中略〉 按龍眼肉自廣東廣西福建多來、皆其肉正黒也、但生者白焙熟如此乎、多種http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 、遇有活生者而未子木、五雜俎云、凡荔枝龍眼http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 種者多不活、即活亦須二十年始合抱結http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 子、故按佳種之枝、間歳即成

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 龍眼 通名 一名魁圓〈行厨集〉 繡水團〈群芳譜〉 海珠藂〈同上〉 荔奴〈事物異名〉 益智子 比目〈共同上〉 益志〈本草彙言〉 細荔〈廣東新語〉 瓊珠〈蔬食譜白曝者〉 龍眼モ南國ノ産ニシテ、八閩廣東ニ多シ、北地ニハ育セズ、形荔枝ヨリ小ク、正圓ニシテ六七分、皮 ニ紋理アレドモ分明ナラズ、茶褐色、是白曝スル者ナリ、破レバ内空シテ、正中ニ一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif アリテ枇杷http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif ノ如シ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif ニ少ク肉ヅケリ、味モ荔枝ニ異ナラズ、長崎ニハ沙糖漬蜜漬モアリ、是ハ殼内ニ肉滿リ、生ナル者ヲ漬タル故ナリ、本邦ニテモ薩州ノ南邊山川ニ栽ユル者、大木多シテ實ヲ結ブ、葉ハ無患子(ムクロジ)ノ葉ノ如ニシテ小ク厚シ、五葉七葉アリ、實ハ南天燭(ナンテン)穗ノ如ク、五六十モ一朶ニツキ下垂ス、中山花木圖ニ見ヘタリ、一種古ヨリ龍眼ト呼ビ傳ヘ栽ユル者アリ、葉苦櫧(アカヾシノ)葉ノ如ニシテ、長サ七八寸、鋸齒ナクシテ厚シ、葉間ニ實ヲ結ブ、形龍眼ノ如クナレドモ、皮薄ク熟セズシテ落ツ、是大明ガシナリ、櫧ノ類ニシテ龍眼ニ非ズ、龍眼唐山ニハ大小數品アリト云、今舶來モ大小アリ、閩書南産志ニ、大者名龍眼、次名人眼、小者名鬼眼、俗不識別、總謂龍眼ト云、泉州府志ニ、最大者呼虎眼、最小者呼鬼眼、龍眼是其中者、今人不復識別、總呼龍眼ト云、此二説ヲ合スレバ大ヲ虎眼トシ、中ヲ龍眼トシ、次ヲ人眼トシ、小ヲ鬼眼トスルナリ、 増、近年江戸巣鴨ノ種樹家ニコレヲ栽ユ、天保十五年攝州池田東山ノ種樹家コレヲ得テ、濃州ノ好事家ニ賣ル、故ニ未ダ京師ニ來ラズ、 方書ニ柱圓ト云ハ、桂州圓眼ノ略ナリ、又肉バカリナルモノアリ、肉龍眼一名ムキ龍眼ト呼モノアリ、僞造ニハ非ザレドモ下品ナリ、 附方、歸脾湯今人用ユル所ノ方ト異ナリ、蒹葭堂所藏ノ本草綱目ニハ、木世肅自筆ニテコレヲ詳ニス、文長キヲ以テ載セズ、甲賀通元ノ醫方紀原ヲ參攷スベシ、

鼠李

〔書言字考節用集〕

〈六生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0511 鼠李(サモヽ)〈楮李、山李、烏巣子、牛皂子、並同、〉麥李(同)〈順和名、麥秀時熟故名、〉

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0511 鼠李(むらさきしきぶ) 山李子 楮李 烏巣子 牛李 烏槎子 皂李 鼠梓 椑〈音卑〉苦楸亦名鼠梓此不同、 本綱、鼠李生道路邊、木高七八尺葉如李、但狹而不澤、其子於枝上四邊生、生時青、熟則紫黒色、至秋葉 落、子尚在枝、又云其實附枝如穗、人采其嫰者汁、刷染緑色、 鼠李子〈苦凉微毒〉 治痘瘡黒陷及出不快、或觸穢氣黒陷、古昔無之者、惟〈錢乙小兒直訣〉必勝膏用之、鼠李子黒、熟者入砂盆、檑爛生絹http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e58c.gif 汁用石器、熬成膏收、貯令風、毎服一皂子大煎桃膠湯、化下如人行二十里、再進一服、其瘡自然紅活、入麝香少許尤妙、〈如無生者乾者末、水熬成膏也、〉 皮〈苦微寒〉 治大人口中疳瘡發育、萬不一、鼠李根薔薇根各細切濃煎〈忌鐵〉盛銅器、重湯煎待稠瓷器收貯、毎少含嚥必瘥、〈忌醤醋油膩熱麪及肉〉如發育以帛塗貼之神効、 按、鼠李〈俗云紫志木布〉高五六尺、葉似柃葉而略團薄、枝柔垂、四月開小花、毎葉間花淺紫色、結實紫色、秋落葉、後其子如穗、遠視之則似萩花、此與本草鼠李註相當也、但所圖之形状略異、故別出圖、

〔本草綱目譯義〕

〈三十六灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 鼠李 クロムメモドキ 此モ小木也、山中ニ多シ、幽谷ニハナシ、山道バタニアリ、ボケノ木ノ如ク枝コモル者也、冬葉ナシ、春新葉イヅ、葉ノ長サ七八分、圓五分ホド也、細キ居上アリ、又小キモアリ兩對ス、刺少シアリ、新葉生ジテ葉間ニ花ツキ、小キ五瓣也、實ハ梅モドキホドノ大サ少シ大ナルモノアリ、初ハ緑色、後黒クナル、秋葉落實計ツクハ可見モノナリ、梅モドキニ似テ實黒キ故、クロムメモドキト云也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 鼠李 クロムメモドキ(○○○○○○○) グソク(○○○)〈播州〉 トリトマラズ(○○○○○○)〈能州、同名アリ、〉 一名 牛筋子〈救荒本草〉 牛誚子〈嬰童百問〉 烏岡子〈同上〉 緑子〈本經逢原〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6be.gif 子〈本草選〉 淺山ニ多シ、小木ナリ、高サ五六尺、枝繁茂シテ小蘗ノ如シ、葉ハ橢ニシテ長サ六七分、細齒アリ、枝葉對生ス、夏月葉間ニ小花ヲ開キ、圓實ヲ結ブ、南燭子ヨリ小シ、熟シテ黒色、

棗/名稱

〔本草和名〕

〈十七菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 生棗、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000125.gif 咨、一名白駢、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d91c.gif 牙、一名鷄心、一名赤心、一名青花、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000018.gif 枝、一名玉門、一名金蔕、〈已上十名出兼名苑〉一名盛陽之靈芝〈出大清經〉和名奈末奈都女(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 棗〈酸棗附〉 本草云、大棗一名美棗、〈音早字亦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000019.gif 、和名奈豆女(○○○)、◯下略〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 原書上品同、説文、棗羊棗也、从重朿、棘小棗、叢生者、从並朿、埤雅云、大曰棗、小曰棘、酸棗也、棗性高、故重朿、棘性低、故並朿、朿音次、棗棘皆有刺鍼會意也、李時珍曰、棗木赤心有刺、四月生小葉、尖觥光澤、五月開小白花、白色微青、藝文類聚引東方朔傳、來來爲棗、〈◯中略〉本草和名云、大棗和名於保奈都女、生棗和名奈末奈都女、新撰字鏡、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000128.gif奈豆女http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a1a.gif 字同訓、新井氏曰、奈都米夏芽也、是木至夏初芽、與諸木之春生http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 芽不同故名、

〔塵袋〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 梨ヲ大谷ト云ハ總名歟、子細如何、 廣志曰、沈陽北芒山有張公夏梨、海内唯有一樹ト云ヘリ、張公ト云人、北芒山大公ト云フ所ニ居タリケリ、其所ニアリケル夏ナシノ勝レタリケルヨリ云ハジメテ梨ノ名トス、外ニモ又モナキ梨ナリケリ、周文王弱枝棗オナジコト也、今ハナツメノ異名トス、李朱仲ト云フニハ二説アルベシ、一ニハ周文王スモヽウヘテモチ玉ケル、ソノ名ヲ朱仲ト云フ、一ニハ房陵ト云フ人アリ、ソノ人ノ家ニ縹李ト云フスモヽアリケリ、コレヲ朱仲トモ云フ、朱仲ハヌシノ名也、縹李ト云フハ、スモモノイロハナダイロナルナリ、カキヲ烏棹云フハ上林菀ニ此カキアリケリ、イロクロカリケルニヤ、

〔本草和名〕

〈十三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 白棘(○○)、一名棘鍼、一名棘刺、一名棗樹針、〈出陶景注〉白棘赤棘、〈出蘇敬注〉白棗一名白輔〈出雜要訣〉和名奈都女乃波利(○○○○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 白棘 ナツメノキノハリ 一名棘鍼鉤子〈附方〉 倒鉤棘鍼 倒鉤棘 曲頭棘刺〈共同上〉 木小ナル時ハ刺多シ、大ニナレバ刺少シ、故ニ木ノ小ナル時ニ採ル、 増、本條ハ酸棗ノ刺ナリ、尋常ノ棗ノ刺ニハ非ズ、酸棗ノ集解ニ詳ナリ、

棗種類

〔本草一家言〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 棗 和名夏芽(ナツメ)此物生芽最遲、入四月纔生如兎目故名、夏牙有數種、入藥專用大棗(○○)、和 名朝鮮夏芽、其實比常棗、則極肥大、肉味甚甜美、本末尖如錐、此最好種、唯難多得、其餘有實長者、圓者小者皆味不美、一種實圓扁而酸者、名酸棗(○○)、採仁入藥用、漢土諸書云、棗有十四品、所謂轆轤棗(○○○)、羊矢棗(○○○)之類是也、和邦倶未之、〈隨録〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十一五果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0514 棗 ナツメ 一名赤心〈行厨集〉 赤心君子〈事物異名〉 赤厘〈同上、蒙古名、〉 紅皺〈事物紺珠〉 木蜜 百益紅 聖花兒〈共同上〉 雞心〈名物法言〉 琥珀精〈種杏仙方小紅棗名〉 樹一名九卿〈名物法言〉 棗ハ芽ヲ出スコト他木ヨリ遲ク、夏ニ入テ新葉始メテ出、故ニナツメト訓ズ、唐山ニハ品類多シ、元ノ柳貫ガ打棗譜ニ、七十三品ヲ載ス、和産ハ數種ニ過ズ、凡ソ棗ハ北地ノ産ヲ上トス、今人家ニ多ク栽ル者ハ、南棗ニシテ下品ナリ、一種細腰ナルヲ、クヽリナツメ(○○○○○○)ト云、是轆轤棗ナリ、一種形圓ニシテ金柑ノ形ノ如ナルヲ、マルナツメ(○○○○○)ト云、是羊矢棗ナリ、藥用ノ大棗ハ朝鮮ナツメ(○○○○○)ナリ、漢種アリ、葉實共ニ南棗ヨリ大ナリ、是洗大(○○)棗ナリ、一名鷄子棗、〈常熟縣志〉洗棗、〈爾雅疏〉實ノ形肥テ本大ニ末小ナリ、又一種長サ一寸餘ニシテ、兩頭尖ル者アリ、丹波ノ保津ヨリ出ス、方書ニ黒棗(○○)ノ名アリ、物理小識ニ、紅棗樹上熟而晒乾者也、黒棗蒸熟而晒乾者也ト云リ、凡ソ棗樹ハ枝ニ刺アリ、刺ヲ白棘ト云、別ニ本條アリ、其木外白ク内赤クシテ堅シ、故ニ唐山ニテハ板木ニ用ユ、因テ序文ニ、上梨棗ト云ハ、梨木棗木ニ刻ヲ云、又梨棗ト熟スレバ、枳椇(ケンホナシ)ノ一名ナリ、酸棗(○○)モ棗ノ品類ナレドモ、食用セザル故ニ、別ニ灌木類ニ條ヲ出ス、

〔本草和名〕

〈十七菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0514 大棗(○○)、一名乾棗、一名美棗、一名良棗〈已上本條〉猗棗〈出猗氏縣、故以名之、〉和名於保奈都女、

〔三代實録〕

〈五十光孝〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0514 仁和三年二月九日癸丑、信濃國例貢梨子、大棗呉桃子(クルミ)、雉腊(ホシトリ)、別貢梨子大棗等貢獻之期、元不制、太政官議定例貢毎年十月、別貢十一月〈◯貢以下四字、原脱、今據一本補、〉爲期、立爲恒例

〔倭名類聚抄〕

〈十七菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0514 棗〈酸棗附◯中略〉 蘇敬注云、酸棗(○○)、一名樲棗、〈上音貳、和名佐禰布止、〉大棗之中味酸者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0514 按佐禰布止、謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 之大也、〈◯中略〉原書木部上品云、此即樲棗實也、本草和名亦 作一名樲棗實、此疑脱實字、原書作大棗中味酸者是、本草和名同、爾雅説文並云、樲、酸棗、樲棗出孟子、引見爾雅注及玉篇、今本孟子作樲棘誤、説文又云、橪酸小棗、郝懿行曰、橪與樲聲相轉也、蘇注又云、樹大如大棗、實無常形、開寶本草云、酸棗小而圓、其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 中仁微扁、大棗仁大而長、不類也、本草圖經云、其木心赤色、莖葉倶青、花似棗花、八月結實、紫紅色、陳藏器曰、嵩陽子曰、余家于滑臺、今酸棗縣即滑之屬邑也、其地名酸棗焉、其樹高數丈、徑圍一二尺、木理極細堅而且重、其樹皮亦細文似蛇鱗、其棗圓小而味酸、其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 微圓、其仁稍長、色赤如丹、本草衍義云、嵩陽子此説未盡、殊不知小則爲棘、大則爲酸棗、平地易長、居崖塹則難生、故棘多生崖塹上、久不樵則成幹、人方呼爲酸棗、更不棘、其實一本以其不甚爲世所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 須及礙塞行路、故成大木者少、多爲人樵去、然此物纔及三尺、便開花結實、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0515 酸棗 サ子ブト〈和名抄〉 サ子ブトナツメ トウザクロ〈和州〉 カラナツメ〈藝州〉 一名棘〈典籍便覽〉 山大棗〈村家方〉 猩猩果〈雲南通志〉 仁一名調睡參軍〈藥譜〉 享保年中ニ漢種渡リテ諸國ニ栽ユ、又新渡ノhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif ヲ下シテモ生ジ易シ、樹葉花皆常ノ棗ニ異ナラズ、只實ノ形圓ニシテ味酸ク、食フニ堪ヘズ、秋後赤ク熟スルニ至レバ食フベシ、其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 大ニシテ常棗ニ異ナリ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 甚堅シ、打碎ケバ内ニ仁アリ、形圓ニシテ扁シ、是藥用ノ酸棗仁ナリ、然レドモ仁ナキ者多シ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0515 酸棗仁(さんそうにん) 樲 山棗 本綱、酸棗仁天下皆有之、似棗大而皮細、其木心赤色、莖葉倶青、花似棗花八月結實、紫紅色似棗而圓小味酸、其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 中仁形微扁味甘、此物纔及三尺、便開花結子、但科小者氣味薄、木大者氣味厚、今陝西山野所出者亦好、 凡平地則易長大、居崖塹則難生、而其不長大者名白棘、故白棘多生崖塹土、及長成其刺亦少、實〈味酸性收〉主肝病寒熱結氣酸痺久洩臍下滿痛之證、 仁〈味酸性收〉熟用療膽虚不眠、煩渇虚汗之證、生用療熱好眠、皆足厥陰少陽藥也、〈正如麻黄發汁其根節止http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 汗也〉 本經不仁、而今天下皆用仁、〈惡防已

棗栽培

〔草木六部耕種法〕

〈十九需實〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0516 棗(ナツメ)ハ實栽ニ宜シカラズシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif 木(サシキ)ニ宜シ、此レヲhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif ニハ、二月中其ノ枝ノ壯ニシテ拇指ノ太サナルヲ一尺二三寸ニ切リ、切リ口ヲ炭ノ火ニテ燒キ、少シ潤ヒアル地ニ插入コト五六寸、根邊ヲ少シク蹈ミ付置クトキハ、三四十日ノ間ニ活著テ、芽葉ノ生ズル者ナリ、乃チ草ヲ耘テ培養ヒ成長セシムベシ、能ク延ル者ニテ、其ノ年ノ中ニ五六尺ニモ至ル、若シ移シ栽ンコトヲ欲セバ、翌年ノ二月中ニ移スベシ、寒中根邊ニ糞ヲ入ルトキハ、四五年ノ中ニ實結者ナリ、八月其ノ實ヲ採ルベシ、

〔古今著聞集〕

〈十九草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0516 貞信公、〈◯藤原忠平〉なつめをあひしてまいりけり、式部卿親王の家によきなつめの木ありけり、其木をおろし枝にせられて、手づから身づから花山院の北對のにしの妻戸の庭前にうへ給ひけり、是によりて其木左右なき名木にていまだ有、花山院太政大臣の三位の中將の時、法性寺殿攝政にて、六條坊門烏丸の御亭より土御門内裏へまいらせ給ふには、近衞東洞院は便路なれば、もつとも此大路をこそとをらせ給ふべきに、いかにもよけさせ給ひけり、をのづから此大路をすぎさせ給とては、東洞院にしの四足をばすぎて、その棟門のまへにては御車のすだれをおろされ、前驅以下を馬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018083.gif おろされけり、人あやしみて其子細を尋申ければ、ときの攝政三位中將をうやまふにあらず、亭に貞信公のまさしく手づからうへ給へる名木あり、かれに禮を致也、此事京極大殿つぶさにしめし給旨分明也とぞ仰られける、

棗雜載

〔日本後紀〕

〈二十嵯峨〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0516 弘仁元年九月乙丑、公卿奏言、謹案、〈◯中略〉去大同二年八月十九日下彈正臺例云、雜石腰帶、畫飾大刀、及素木鞍橋、獨射犴葦鹿http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000020.gif 羆皮等、一切禁斷者、〈◯中略〉伏望〈◯中略〉鞍橋者除桑棗(○○)之外、不素漆、隨心通用、庶隨民便、蒙其所、並許之、

〔延喜式〕

〈十三大舍人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0517 凡正月上卯日供進御杖、〈◯中略〉其杖曾波木二束、比比良木、棗、毛保許、桃梅、各六束、〈已上二株爲束◯中略〉中宮比比良木、棗、毛保許、桃梅、各二束、燒椿、皮椿、各五束、〈但奉儀見東宮式

枳椇

〔大和本草〕

〈十果木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0517 枳椇(ケンホノナシ) 實ハ鳥ノ足ノ如クマガレリ、葉榎ノ葉ノ如シ、大木ニミノル、小樹ニハミノラズ、實ハ味甘シ、食スルニ堪タリ、酒ヲヨク消ス、酒ヲカモスニ、此木酒中ニ入レバ酒化シテ水トナル、此木ヲ柱トスレバ、屋中ノ酒薄クナル、本草ニ見エタリ、丹溪酒病ノ久ク難治、煎藥ノ中ニ加其實而服之愈、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0517 枳椇 ケンポナシ(○○○○○)〈京〉 ケンポノナシ(○○○○○○) ケンポガナシ(○○○○○○)〈筑前〉 テンポガナシ(○○○○○○)〈同上秋月〉 ケンポコナシ(○○○○○○)〈肥前〉 テンポコ(○○○○)〈同上〉 テンボナシ(○○○○○)〈越前〉 アマカゼ(○○○○)〈南部〉 ケイビ(○○○)〈播州〉 ケンブ(○○○)〈木曾〉 テンポウナシ(○○○○○○)〈仙臺〉 テンガポウ(○○○○○)〈同上、木ノ名、〉 一名接骨木〈典籍便覽、同名アリ、〉 金鉤梨 鷄枸子 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019af8.gif 構〈共同上〉 兼勾〈八閩通志〉 皆拱子〈同上〉 白實〈古今注〉 爛瓜〈醫學大要〉 蜜屈立〈同上〉 木屈律〈群芳譜〉 蜜六曲〈薛已醫按〉 栱子〈事物紺珠〉 枸木〈通雅〉 厲漢指頭〈物理小識〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199d4.gif 棗〈救荒本草〉 枳柜〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 苑詳註〉 曲枝果〈正字通〉 金鉤樹〈本經逢原〉 枳句〈埤雅〉 石李〈禮記註〉 白石李〈康熙字典〉 金鷄瓜〈食物本草會纂〉 枝矩子〈證治準繩〉 山野ニ多シ、木大ニシテ高ク聳ユ、春新葉ヲ生ズ、形圓大ニシテ微長端ニ尖リアリ、周邊ニ鋸齒アリ、紋脈加條(ムク)葉ノ如シ、大サ三四寸ニシテ毛アリ、又變ジテ岐ヲナス者アリ、皆互生ス、夏枝梢ニ細花ヲ生ジ、後實ヲ結ブ、小枝五ツニ分レ、肉其上ニ纒フテ手指ノ如シ、故癩漢指頭ト云、十月ニ至テ熟ス、黒茶褐色味至テ甘シ、其上ニ圓子ヲ生ズ、形蔓荊子ノ如シ、内ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif アリ、圓扁ニシテ酸棗仁ノ如シ、茶褐色ニシテ光リアリ、地ニ下シテ生ジ易シ、

〔紀伊續風土記〕

〈物産五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0517 枳椇(ケンホナシ)〈本草〉 在田郡山保田莊邊より多く出す

〔佐渡志〕

〈五物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0518 枳椇 方言ケンポンナシ 山中所々ニアリ、相川ニテハ中尾山ニアリ、

膽八樹

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0518 篤耨香〈◯中略〉 附録、膽八香、ホルトガルノ油 波爾杜瓦爾(ホルトガル)ハ蠻國ノ名ナリ、紅毛人コノ地ヨリ采リ來ル、故ニホルトガルノ油ト云、コノ樹、本邦暖地ニ多シ、喬木ナリ、寒地ニ移シ栽ルモ育シ易シ、俗名ヅクノキ(○○○○)、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 州〉シラキ(○○○)〈九州〉モウガシ(○○○○)〈薩州〉バボソ(○○○)〈豆州〉シイトギ(○○○○)、〈阿州〉葉ハ楊梅葉ニ似テ薄ク、長サ三寸許リ、鋸齒粗ク互生ス、四季ニ葉換ル、其落ントスル時色赤シ、故ニ年中紅葉相雜ル、夏葉間ニ枝叉ヲ出シ花ヲ開ク、黄色ニシテ粉ノ如ク、竹柏ノ花ニ似タリ、後實ヲ結ブ、長サ六七分、兩頭尖リ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d0e7.gif 實ニ比スレバ微シ狹小、外皮ハ熟スト雖ドモ緑色ナリ、内ニ厚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif アリ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 中ニ仁アリ、是ヲ搾リテ油ヲ采ル、即ホルトガルノ油ナリ、蠻名ヲトリ〈油〉メレイヒ、蠻産ハ實大ナリ、和産ハ小ナリ、近來續隨子ノ油ヲ以テ僞リ賣ルモノアリ、麻油ノ如ニシテ色白シ、眞物ハ凝リテ色黄ナリ、混ズベカラズ、

〔伊豆諸島巡回記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0518 膽八樹 タンハチジユ 三宅島 島中ニ自然生多シ、方言チギノキ(○○○○○○)ト云フ、伊豆村滿願寺ノ山中ニ大木アリ、其實ヲ採リテ食フ者アリ、其材ハ以テ薪トス、 神津島 島中ニ多シ、大木稀ナリ、其材ハ薪トス、新島モ亦同ジ、 豆州諸島物産圖説ニ依レバ、之ヲホルトガル(○○○○○)ト記ス、即チ之ヲ阿利襪(オリーブ)ト同一視セリ、是レ誤認スルニ似タリ、故ニ其全文ヲ寫録シ併セテ之ガ異種ナルコトヲ辨ズ、其説ニ曰ク、ホルトガル八丈島山中處々有之、土名チギノキ、本草ニ所謂膽八樹是乎、ソノ樹冬青ニ類シテ、身幹端直、其葉尖長ニシテ、淡緑色、冬ヲ經テ凋マズ、春夏新葉發スレバ、舊葉間々鮮紅ナリ、之ヲ望メバ丹青斑駁ニシ テ、錦繍ノ如シ、ソノ子大サ蓮子ノ如ク、圓ニシテ微ク肉ヲ外ニシ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif ヲ内ニス、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 内仁アリ、之ヲ絞リテ油トス、 〈善之〉按、膽八樹子油、阿蘭陀ヨリ來ル、之ヲホルトガルノ油ト云、〈善之〉ガ父登、嘗テ阿蘭陀人ハアルト云者ニ就テ、之ヲ正シテ、ソノ的ヲ得タリ、蓋シ昔人此樹ノ本邦ニ存スルコトヲ知ラズ、常ニソノ油ヲ蕃舶ニ仰グコト、數百年來、今尚ホ然リ、若シ苟モ之ヲ製シテ施用セバ、以來急ヲ蕃舶ニ告ゲズシテ藥用足ラン乎、又傳聞、豆州熱海地方ニモ、亦此樹アリ、俚人呼デハボソ(○○○)ト云、又ヘボソト云ト、 本邦固ニ此樹多ク有之、安ンゾ舶來ヲ俟ツコトヲ爲ン、

〔遠西名物考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0519 蘭オリハア羅オレア〈此樹ノ羅甸名〉 按ニ、阿利襪ハ、西洋諸地ニ産スル一種喬木ノ實ナリ、土人是ヲ搾リテ油ヲ取リ藥用及ビ飮膳燈油ニ供シ、又四方ニ貨ス、和蘭ニテ此油ヲオレイフ、オーリイト名ク、左ニ擧ル阿利襪油ナリ、舶來アリ、俗間藥舖ホルトガルノ油ト呼ブ、平賀鳩溪ノ物類品隲、並ニ小野蘭山翁ノ本草啓蒙ニ、時珍ガ綱目篤褥香ノ附録ニ出ル膽八香ヲ以テ阿利襪油ニ充、又胆八樹ヲ以テ阿利襪樹ニ充ツ、又膽八樹ヲ以テ、本邦豆州等ニ産スルハボソト云ヘル樹ニ充ツ、物類品隲ニ言、紀伊方言ヅクノ木、本草啓蒙ニ云、此樹本邦暖地ニ多シ、俗名ヅクノキ〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 州〉シラキ〈九州〉ハボソ〈豆州〉ト云々、今豆州産ノハボソヲ以テ阿利襪樹ノ説ニ較考スレバ、其樹葉花實ノ形容大抵相似タレドモ、但阿利襪樹ノ葉ハ對生シ、且ツ紅色トナラズハボソ葉互生シ、又葉落ルトキ皆鮮紅色トナル、又壬午ノ春、駿州及ビ豆州ノハボソノ熟實、並ニ未熟ノ者ヲ多ク得テ、數々搾(シメキ)ニ入レ搾リ試ルニ、唯澀味ノ稀味出ルノミニテ、油出ルコトナシ、是レニ火ヲ點シ、或ハ煎熬シ試ルニ、絶テ油氣ナシ、然ラバハボソハ阿利襪樹ニ非ルカ、

〔採藥録〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0520 膽八樹 ハボソノキ 西土及豆州ニ多シ、子ノ状棗ノ如シ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 中ノ脂ヲ取リ、瘍家膏藥ニ用ユ、之ヲポルトガルノ油ト云、平賀氏、豆州ノ産ヲ蘭人ニ見ス、彼人ポリトガル也ト云ヘリ、又俗ニ續隨子ノ油ヲ名テポルトガルト云ハ非ナリ、然ドモ此ハボソノ木ハ、紅毛ニテモ眞ニ非ズ、此ハ野生ナリ、常ニ食用ハ實尤モ大ナリ、桃ニ苦桃ト甚ダ好キ桃トアルガ如シ、此ポルトガルハ、ヲレーフボームト云、コロイトブックト云書ニ詳也、

木槿

〔倭名類聚抄〕

〈二十蓮〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0520 蕣 文字集略云、蕣〈音舜、和名木波知須(○○○○)、〉地蓮花、朝生夕落者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十蓮〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0520 按、説文云、蕣木槿、朝華暮落者、詩曰、顏如舜華、又云舜艸也、楚謂之葍秦謂之〓、蔓地連華、二字不同、按本草衍義、木槿如小葵花、淡紅色、五葉成一花、朝開暮斂、湖南北人家多種植爲籬障、李時珍曰、槿小木也、可種可插、其木如李、其葉末尖而無椏齒、其花小而豔、或白或粉紅、有單葉千葉者、五月始開、故逸書月令云、仲夏之月木槿榮是也、結實輕虚、大如指頭、秋深自裂、其中子如楡莢、泡桐、馬兜鈴之仁、種之易生、訓岐波知順允、而詩鄭風今本作顏如舜華、毛傳、舜木槿也、借舜爲蕣、文字集略遂混蕣舜一字、其云地蓮華者、當是蔓地連華之誤脱、可舜字、云朝生夕落者、可蕣字、呂氏仲夏紀木菫榮、注、木菫朝榮暮落、雜家謂之朝生、一名蕣、詩云、顏如蕣華、是也、岡村氏曰、舜楚謂之葍者、本草所謂施花也、旋即舜假借也、蘇敬云、此即生平澤、旋葍是也、施葍亦即舜葍、舜葍或單呼或累呼並通、救荒本草云、葍子根、幽薊間謂之燕葍根者、亦即是、今俗呼比流加保、蘇又云、其根似筋、故一名筋根、蜀本云、旋葍花根也、蔓生、葉似署預而多狹長、花紅白色、根無毛節、本草衍義、旋花蔓生、今河北京西關陝田野中甚多、最難鋤艾、治之又生、世又謂之鼔子花、言其形肖也、四五月開花、亦有多葉者、其根寸截置土中頻灌漑、方渉旬苗已生、李時珍云、旋花田野http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018a80.gif 塹皆生、逐節蔓延、葉如菠菜葉而小、至秋開花、如白牽牛之花粉紅色、其花不瓣状、如軍中所吹鼔子、故有旋花鼔子之 名、一種千葉者、色似粉紅牡丹、俗呼爲纒絲牡丹、其根白色大如筋、不子、是可以充今俗呼比流加保、則蕣舜二物逈別、

〔下學集〕

〈下草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0521 槿花(ムクゲ)〈韻府云、槿有黄白者、一名日及、字書曰、槿者蕣也、毛詩有女同車、其顏如蕣花、愚謂、蕣朝榮夕衰花也、故毛詩倭訓呼蕣曰朝顏、亦不妨也、由是日本俗以爲與槿蕣共牽牛花、蓋以倭訓共同也、是大誤也、宋人詩曰、槿華http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ab6e.gif 下點秋事、早有牽牛上竹來、以此詩意見則槿蕣與牽、牛各別也、牽牛花本之名藤生、花状如遍豆矣、因田野人牽牛易http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 藥得名焉、又或故人詩曰、君子芳桂性春濃秋更繁、小人槿花心、朝在夕不存、云々、〉

〔書言字考節用集〕

〈六生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0521 木槿(ムクゲ)〈本草、人家多種植爲籬障、故云藩籬草、〉槿花(ムクゲノハナ) 蕣(同) 日及(同)〈時珍云、木槿花朝開暮落、故名日及、曰槿、曰蕣、猶僅榮一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a793.gif 之義、〉

〔大和本草〕

〈十二花木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0521 木槿(ムクゲ) ムクゲハ、モクキンノ轉語ナリ、花ノ下品也トイヘドモ好花モ亦アリ、今世紅白單葉千葉重葉(ヤヱ)其種類多シ、有大紅千葉者、白千葉者、此二種ヨシ、萬葉歌ニ、朝顏朝露負咲雖云暮陰社咲益家禮(ヲヒテサクトイヘドユフカゲニコソサキマサリケレ)、此歌ヲ以見レバ、朝皃(ガホ)ハ即槿花也、非牽牛子也明矣、牽牛子ハ、古今集ニ、ケニゴシトヨメリ、又和名抄ニハ、牽牛ヲアサガホト訓ゼリ、然レバ木槿花ヲモ牽牛花ヲモ、アサガホトイヘルナルベシ、一名ニシテ二物ナリ、凡倭漢トモニ一名二物多シ、花モ實モ木芙蓉ニ似タリ、正月ニ挾(サ)シ、屢水ヲソヽゲバ能活ス、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0521 木槿 和名朝顏、〈萬葉〉與牽牛花同名、蓋以其花不久榮義也、猶漢言日及朝開暮落之類也、俗名武久計、花有數色、重瓣、紅花者名朱槿、詩名蕣華花、凡下不觀者名籬槿、入藥用、白花者味噌汁煮治痢疾、崩漏帶下避疫、又剥http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000131.gif 紙、勝于楮

〔蕙樓閑話〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0521 木槿 木槿ヲムクゲ、牽牛子ヲケンゴシト訓ズルハ、皆音ニヨリテ訓トス、二物ミナアサガホト呼ブナリ、今ハ牽牛子バカリヲアサガホト稱スル故ニ、槿花ヲアサガホトスルハ誤リノヤウニ思ヘリ、今モ村野ノ人、木槿ヲアサガホト云フ、禮失シテコレヲ野ニ求ム猶信ナリ、又野人木槿ヲハチストモ呼ブ、按ズルニ、源順和名抄ニ云ク、文章集略云、蕣〈和名木波知須〉地蓮花、朝生、暮落者也、コレマタ古語 ノ村野ニノコレルナリ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0522 木槿 朝開暮落花 花奴玉蒸 椵 藩籬草 櫬 蕣 日及 俗云無久計、木槿字音訛、〈◯中略〉 按、木槿花有數品、單瓣而大者名舜英以賞之、槿木槿花朝開日中亦不萎、及暮凋落、翌日不再開寔此槿花一日之榮也、然其花僅一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a793.gif 、故名蕣之説者非也、詩云、有女同車、顏如蕣華者、稱其艷美耳、又摘葉水少、和挼之甚黏用傳牝痔痛者良、 盛短、旋花(ヒルガホ)、金錢花(ゴジクハ)、壺盧(ユウガホ)、白粉草牽牛花(オシロイグサアサガホヽ)、黄蜀癸(キトロヽ)、莘莉(マリ)、木芙蓉(モクフヨウ)、扶桑(フサウ)、娑羅樹(シヤラジユ)、棗(ナツメ)花皆然、而銀杏花(イチヱウノハナ)一開即落、比此等花則木槿可久者矣、自古相誤稱朝顏矣、眞朝顏、牽牛花相http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001bb7b.gif 矣、 舜英 白槿(シロムクケ)單葉、其花大似木芙蓉、枝葉無異、或採白槿花去葉、假用海石(ツハキ)榴枝葉、儼如眞海石榴花美、又能止瀉痢、用花陰乾煎服、或以淡未醤(ミソ)汁煮啜、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0522 きはちす あさがほ むくげ〈木菫〉 きはちす、一名ねむり、一名ほこ、一名ほこのから、一名あさがほ、一名夕かげぐさ、一名鏡ぐさ、一名しのヽめぐさ、一名むくげ、一名もくげ、一名もつき、一名きはち、一名かきつはき、一名ほんてん花、一名ほてん花は、漢名を蕣、一名蕣華、一名蕣英、一名蕣木、一名麗木、一名木菫、一名櫬、一名日及、一名王蒸、一名日給、一名地蓮、一名朝生暮落花、一名花奴、一名朝華、一名朝菌、一名朝生、一名洽容、一名愛老、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d766.gif 子花、一名無窮花木、一名藩籬艸、一名奔籬、一名籬槿、一名牛不挨といふ、此種は和漢共に人家及び園圃にうへて、多く藩籬となすものにして、葉の状扶桑に似て淡青色、末尖りて椏叉なし、その花は仲夏より開そめて季秋に至る、形頗る木芙蓉に似て、小にしてその色淡紫のもの常に多し又白色、或粉紅、或は深紅、或は千葉、或は單葉の數種ありといへ共、すべてあしたに開そめて夕に萎み、さらにちり落る事なれば、此華の性なるが故に、漢書〈東方朔傳〉に、木菫夕死朝榮といへり、 本草衍義には、朝開暮斂といへり、然るを文字集略〈和名類聚抄引〉には、朝生夕落といひ、爾雅の郭注にも、既に朝生夕隕といへるは、楚詞にいはゆる秋菊落英といひし落字の意なるべし、また一種俗に木はちす(○○○○)、一名ふよう(○○○)といふものあり、その漢名を木芙蓉、一名地芙蓉、一名木蓮、一名拒霜、一名華木、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199be.gif 木、一名天英、一名錦城、一名秋華、一名酔客、一名文官といふ、此花また淺紅白色、及び千葉單葉の數種ありて、その花の艷なるは木菫よりもまされり、また一枝ごとに紅白相雜りて開くものを二色芙蓉といひ、又一蕚上に七華開くものを七面芙蓉といひ、又一種朝に開く時は、白色漸くにして紅色に變じ、夜に至りて深紅色となるものあり、漢名を添色拒霜、一名、添色芙蓉、一名文宮花、一名弄名芙蓉、一名酔芙蓉、一名三酔芙蓉といふ、もとこれ嶺南の産なりといへり、〈二色芙蓉以下本草綱目啓蒙〉扨爾雅に椵木槿櫬木槿といへるを、郭注に別二名也といひしより、諸家皆その説に因循し、遂にその二名を以て異稱同質となすといへ共、今つら〳〵考るに、椵といひ櫬といへるは、もとこれ同類別種にて、椵の木菫は蓋し今の木芙蓉にして、櫬の木菫は即いまのむくげなるべし、これは説文に椵木可牀几、从木叚聲、讀若賈とみえたるは、即集注本草に、人http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b4b8.gif 讃を引て、三椏五葉、背陽向陰、欲求我椵〈音賈〉樹相尋といへる椵と一物にして、爾雅にいはゆる椵木槿といひし椵は、人http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b4b8.gif 讃にいはゆる椵と、その葉大小の異なる事ありといへ共、そのかたち全く相似たるによりて、その名を得しにて、古は木芙蓉をさして、また椵木ともいひしなるべし、木芙蓉は本草綱目に、其葉大如桐、有五尖及七尖者とみへ、又秘傳花鏡には、葉似梧桐大有尖とみへたり、これはまた集注本草に、椵樹葉似桐甚大、又本草蒙筌にも、椵樹類梧桐葉而大といへるに暗合なれば、其義はおしはかりてしるべし、又救荒本草に、椵樹生輝縣大行山々谷間、樹甚高大、其木細膩可卓器、枝叉對生、葉似木槿葉而長大微薄、色頗深緑、皆作五花椏叉、邊有鋸齒とみえたる、周定王のいはゆる木槿も、また爾雅にいはゆる椵木菫の木菫にして、蕣木槿の木槿にてはあるべからず、又いはゆ る櫬は即蕣の假借にして、もとその正文のまヽに蕣といふべきを、風土の異なる邦にては、それをよむ聲親の如くにいひなせしより、遂に櫬字を假借して、その方聲に塡し也、その櫬字は説文に棺也从木親聲、また春秋傳を引て士輿櫬といへるによるに、櫬と蕣とはその義絶て異なるにても、その假借なるは明らけし、しかれば椵といひ、櫬といへるは、もとこれ別種なるといへ共、ともに同類なるによりて、爾雅にはその二種を、すべて木菫とはいひしにて、たヾその二名をわかつのみの事にてはあるべからず、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001de82.gif 木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0524 木槿 アサガホ(○○○○)〈萬葉集〉 ユウカゲグサ(○○○○○○)〈古歌〉 シノヽメグサ(○○○○○○)〈同上〉 ムクゲ(○○○)〈京、木槿音轉、〉 キハチス(○○○○)〈和名抄、奥州、〉 ハチス(○○○)〈東國〉 キバチ(○○○)〈奥州、常州、〉 モクゲ(○○○)〈佐州雲州〉 モッキ(○○○)〈總州常州〉 カキツバキ(○○○○○)〈奥州〉 ボンデンクハ(○○○○○○)〈薩州〉 ボテンクハ(○○○○○)〈九州〉 一名瘧子花〈群芳譜〉 蕣英 日給之花〈共同上〉 日給〈通雅〉 舜華〈同上〉 愛老〈正字通〉 洽容〈同上〉 裏梅花〈桂海虞衡志〉 麗木〈事物紺珠〉 時客〈同上〉 舜英〈名物法言〉 朝菌〈典籍便覽〉 朝華〈事物異名〉 朝生暮落〈通志略〉 及〈同上〉 奔籬〈福州府志〉 無窮花木〈郷藥本草〉 牛不挨〈藥性奇方〉 人家或ハ園野ニコレヲ栽テ藩籬トス、枝條繁茂ス、其花蜀葵花ニ似テ少シ、夏秋ノ間ニ開ク、朝ニ開キ夕ニ斂ル、故朝開暮落花ト云、古歌ニアサガホト詠ゼリ、單葉ニシテ淡紫縹色ナル者ハ尋常ノ者ナリ、千葉ナル者アリ、紫碧色ニシテ千葉ナル者アリ、白花ニシテ單葉或ハ千葉ナル者アリ、皆瓣根深紅色ナリ、深紅花ニシテ千葉ナル者アリ、花史左編ニ、大紅千葉槿ト云、木皮根皮ヲ藥用トス、川槿皮是ナリ、川中ノ者上品ナレドモ、土槿皮モ亦用ユベシト、本經逢原ニ云リ、 増、一種ハマボウ(○○○○)ト云モノアリ、海邊ニ産ス、春新葉ヲ生ズ、葉ノ形圓ニシテ白楊ノ如シ、花モ尋常ノモノヨリ大ニシテ黄色ナリ、花戸ニモコレヲ栽ユ、別ニ漢名、黄槿〈李文饒文集〉 別ニ、ボンデン花ト稱スル者アリ、近年花戸ニ傳ヘ栽ユ、春新葉ヲ互生ス、葉ノ形木槿ニ似テ薄ク、 花又多シ、秋深テ蕾ヲ結ビ花ヲ開ク、大サ七八分ニシテ紅色ナリ、冬月土窖中ニ收ザレバ育セズ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif 插スレバ能活ス、又尋常ノ木槿ニ淺黄ツマベニツマムラサキ、又斑入アリ、共ニ八重單葉アリ、

〔剪花翁傳〕

〈前編三五月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0525 木槿(むくげ)〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e7d5.gif 〉 花一重色白、開花五月上旬也、方日向、地二分濕、土えらばず、肥大便寒中に入べし、淡小便花前に澆ぐべし、移http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif 共に春彼岸よし、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif 又梅天(つゆ)もよし、此時は葉を取捨てhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif (さす)べし、插花には水上がたし、切口を能燒、逆水して冷濕の地に臥せ、薄筵をぬらし覆ひ、暫して水器にhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif おくべし、

木芙蓉

〔大和本草〕

〈十二花木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0525 木芙蓉 花單葉千葉紅白アリ、紅ニシテ千葉ナルハ牡丹芍藥ノ如シ、最美ナリ、サシテヨク生長ス、八九月ニ花サク、花久キニ堪フ、霜ニアヒテシボマズ、故ニ異名ヲ拒霜ト云、芙蓉ハ蓮花也、是ハ木芙蓉ト云、世俗ハ木芙蓉トイハズ芙蓉ト云、本草時珍説ニ清凉膏ヲノセタリ、可考、妙藥也

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0525 木芙蓉 地芙蓉 木蓮 華木 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199be.gif 木 拒霜 只云不也宇〈◯中略〉 按木芙蓉其樹葉花、實皆似木槿而大、艷美、七月開花桃紅色、或純白、或紅白相半、有單瓣、有千瓣、皆朝開暮萎、毎枝數朶、更開逐日盛、其花落結實、亦如木槿、輕虚有薄皮http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001dec1.gif 細子大如蕎麥、冬葉盡落、而實殼尚不零、拒霜之名義據此乎、自裂子墮處能生、插枝亦易活、然本草所謂花耐寒不落不實之文未審、

〔本草綱目譯義〕

〈三十六http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001de82.gif 木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0525 木芙蓉 フヨウ〈◯中略〉 蓮花ヲ水芙蓉ト云分ル也、〈品字箋〉 古詩、芙蓉看欲酔、此木芙蓉開于江岸、渉江采芙蓉、乃芙蓉之生池沼者即荷花之謂也云云、此本條ハ庭ニ多クウユ、木立ナレドモ一年立也、春舊根ヨリ叢生ス、高サ七八尺四五尺計、葉互生也、葉モ大ニシテ八寸ホドニナル、七ツホド尖アリ、アラキ居止アリ、ヘチマノ葉ノ如キ形也、秋花ツク、蜀葵花ノ如クシテ大ナリ、單ノモノ五瓣ニシテ瓣本ハ白シ、邊ハウス紅也、蕋モ木槿葵ノ如シテ同ジ、此モ朝開ク、落ル後實木槿ト同ジコト也、又白キアリ、白シテ 千葉ノモアリ、フチ赤シテ千葉モアリ、千葉ハ花二日モ持ツモノ也ドレモ實熟シテ苗枯ル也、集解ニ川廣有漆色霜花開白色、次日稍紅、明日則深紅ト云者ハ、三月比ニ花アル如ニ云テアルトモ、此ハ時珍ノ説ハ誤也、漆色拒霜ハ嶺南ノ産、故ニ時珍モ不見シテ書レシモノト見タリ、一日ノ内ニダン〳〵カワルモノ也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001de82.gif 木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0526 木芙蓉 フヨウ(○○○) キハチス(○○○○) 一名天英〈尺牘雙魚〉 錦城〈名物法言〉 秋華〈花暦百詠〉 酔客〈事物紺珠〉 文官〈秘傳花鏡〉 青露葉〈證治準繩、葉名、〉 モト芙蓉ハ蓮花ノ名ナリ、コノ木ノ花蓮花ニ似タル故ニ、一名木蓮、因テ木芙蓉ト云、略シテ芙蓉トモ云詩句等ニテ荷花ト混ジテ分レ難シ、故ニ後世ハ荷花ヲ水芙蓉、〈事物異名〉草芙蓉〈同上〉ト云、品字箋ニ、古詩、芙蓉看欲酔、此木芙蓉開于江岸者、渉江采芙蓉、乃芙蓉之生池沼者、即荷花之謂也ト云人家庭院ニ多ク栽ユ、春宿根ヨリ數條叢生シ、高サ五六尺、或丈許ニ至リ葉互生ス、大サ五七寸、五七尖アリテ鋸齒アリ、肥タル者ハ九尖トナル、附方ニ九尖拒霜葉ノ字アリ、七月葉間ニ花ヲ開キ、十月ニ至テ止ム、故ニ拒霜ノ名アリ、菊花モ遲ク開ク故ニ、亦コノ名アリ、花ハ木槿(ムクゲ)花ニ似タリ、蘂モ亦相似タリ、單葉千葉アリ、淺紅アリ、白アリ、白クシテ端淺紅ナル者アリ、一枝ニ紅白雜リ開ク者アリ、二色芙蓉(○○○○)ト云、單葉ナル者ハ朝ニ開キ夕ニ萎ム、千葉ナル者ハ日ヲ經テ萎マズ、又一種一蕚上ニ七花開ク者アリ、和俗七面芙蓉(○○○○)ト云フ、物理小識ニ四面ノ者ノ語アリ、又一種朝開ク時ハ、白色漸ク紅色ニ變ジ、夜ニ至テ深紅色トナル者アリ、添色拒霜ト云フ、嶺南ノ産ナリ、一名添色芙蓉、〈桂海虞衡志〉文官花、〈群芳譜〉弄色芙蓉、〈典籍便覽〉酔芙蓉〈秘傳花鏡〉三酔芙蓉〈潛確類書〉群芳譜ニ王敬美ノ説ヲ引テ、一日三換者曰三酔ト云ヘリ、又廣東新語ニ將紅曰初酔淺紅曰二酔、暮而深紅爲三酔、故亦曰酒芙蓉ト云ヘリ、時珍ノ説ニ、添色拒霜、花初開白色、次日稍紅、又明日則深紅、先後相間如數色ト云時ハ、花開キテ三日アルナリ、本草彙言ニハ、花朝開其色白薄、暮稍紅、次日又深紅矣ト云時ハ、花開キテ二日ア ルナリ、桂海虞衡志、及物理小識、遵生八牋、秘傳花鏡ニハ、皆花晨開正白、午後微紅、夜深紅ト云、凡芙蓉花ハ朝ニ開キ夕ニ萎ム者ナレバ、四書ノ説ヲ以テ優ナリトスベシ、冬ニ至レバ枝葉共ニ枯ル、此木皮ヲ以テ紙ヲ抄クヲ小皮紙ト云コト、天工開物ニ出、又皮ヲ採リ線トナシ、織テ網衣トナシ、暑月ニ服シテ汗臭ナシト、物理小識秘傳花鏡ニ見ヘタリ、又池塘有芙蓉、則獺不敢來ト秘傳花鏡ニ見ヘタリ、 増、花謝シテ後實ヲ結ブ、形木槿(ムクゲ)實ニ似タリ、蒔テ生ジ易シ、集解ニ不實ト云ハ誤ナリ、

〔草木六部耕種法〕

〈十一需花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0527 木芙蓉ハ眞土ノ肥タルニ、馬糞人糞油糟等ヲ能ク耕交テ植ベシ、春分ニ枝ヲ斜ニ切テhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000132.gif (サシキ)スレバ、其年ノ中ニ花開クモノナリ、時々其根ニ盛養水ヲ澆トキハ、大ニ能ク繁榮ス、花ニ紅白アリ、且單ナルモ重瓣ナルモ有リ、又日々ニ花ノ謝(オツ)ルモアリ、或單ニモ八重ニモ、花ノ三四日經久モアリ、又重瓣ニテ開タル初日ハ白花ニテ、二日目ニハ淡紅トナリ、三日目ニハ本紅ト爲ル者アリ、此ヲ酔芙蓉(スヰフヨウ)トモ添色芙蓉(テンシヨクフヨウ)トモ名ク、珍花ト稱スベシ、挾竹桃(ケフチクトウ)、頳桐(ヒギリ)等ヲ作ルモ大抵此ニ同ジ、

扶桑

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001de82.gif 木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0527 扶桑 佛桑花〈通名〉 琉球ムクゲ(○○○○○) 一名照殿紅〈閩書〉 福桑〈廣東新語〉 那提槿〈草花譜〉 菩薩豁那〈中山傳信録〉 和産ナシ、琉球ノ産ナリ、中山傳信録ニ、五雅統注ヲ引テ、山丹扶桑同出日本、始入中國ト云ハ誤ナリ、唐山ニハ八閩廣州ニ多シ、今ハ年々多ク薩州ヨリ來ル、甚寒ヲ畏ル、初冬ヨリ土窖中ニ入、初夏ニ至テ出ス、葉ハ桑葉ニ似テ糙澀ナラズ、深緑色互生ス、青帶紫帶ノ二種アリ、六月葉間ニ花ヲ開ク、唐山ニテハ自二月開、至中冬歇ト云、故ニ八閩通志ニハ、四時常開ト云、傳信録ニハ四時皆花ト云、單葉アリ、千葉アリ、單葉ナル者ハ五瓣ニシテ木槿花ノ如シ、大サ三寸許、其蒂長シ、瓣ハ深紅色ニシテ光リアリ、花中ニ一ノ長紅蘂アリテ高ク出ヅ、其端五ツニ分レテ燭臺ノ形ノ如シ、故ニ傳 信録ニ、中心蘂高出、花瓣外一寸許、如燭承盤状故一名照殿紅ト云、其蘂ニ黄粉多ク著テ、蜀葵花及木槿(ムクゲ)ノ蘂ノ如シ、故ニ集解ニ、上綴金屑ト云、朝ニ開キ暮ニ落ツ、後實ヲ結ブ、下種スベシ生ジ易シ、又枝ヲhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif 插スベシ、大紅ニシテ千葉ナル者アリ、八閩通志ニ鶴頂ト云、汝南圃史ニ又小牡丹ト云、又黄色ナル者アリ、黄赤色ナル者アリ、福州府志ニ佛桑淡黄者俗名金木蘭ト云フ、薩州山川ノ湊ハ極暖ノ地ナリ、土人扶桑ヲ以テ藩籬トナスモノアリ、花時觀ルベシト云フ、 増、扶桑ハ、慶長十九年、始テ琉球ヨリ來ルコト、忠家〈◯忠家恐家忠誤〉日記ニ見ヘタリ、近年花戸ニ紅白相交ル者アリ、ヤグラザキアリ、又カズサキノモノアリ、花小ナリ、又一輪ザキト云モノアリ、花大ニシテ二三輪許モ開ク、共插シテ能ク活ス、

〔白石子筆語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0528 枕中方の椹も似よりたる事候、舊事紀の神名にも、又日本紀に古今の人名にも椹と稱し候有之候、日本紀には椹は此に武矩と注せられて、すなはちムクエノキと申すもの、其庭上に有之候もの、先日被仰候駁樹の事にて候、これはいかにも大木有之ものにて候、エノキと一類にして、二種のものにて候、以上、

〔地錦抄附録〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0528 寛文年中渡品々 扶桑花(フサウクワ) 琉球より來る由、寒氣をおそれ各枯る、中絶して又享保八年に來る、 佛桑花共

ハマボウ

〔百品考〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0528 右納 和名ハマボウ 中山傳信録、右納、樹高三四丈、葉似白桐、夏季開花、如中國秋葵、黄瓣檀心、 暖地ノ海邊ニ自生多シ又花戸ニモ多栽ウ、樹ノ高サ丈餘、樹ハ木槿(ムクゲ)ニ似テ、葉ハ烏桕(トウバセ)ノ形ニシテ厚シ、又白楊(ハコヤナギ)ニモ能似タリ、邊ニ細鋸齒アリ、背ニ微白毛アリ、夏葉間毎ニ五瓣ノ黄花ヲ開ク、底濃紫色ニシテ秋葵(トロヽ)ノ花ニ似テ小ナリ、朝ニ開テ夕ニ落ルコト木槿ニ同ジ、花後實ヲ結ブ、又木槿ニ同ジ、

梧桐

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0529 梧桐 陶隱居本草注云、桐有四種、青桐、〈音同〉梧桐〈上音吾〉崗桐、椅桐、〈椅音猗、和名皆木里(○○)、〉梧桐者色白、有子者、〈今案俗訛呼爲青桐(○○)、是也、二音讓土、〉椅桐者白桐也、三月花紫、亦堪琴瑟者是也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0529 證類本草下品引云、桐樹有四種、青桐、葉皮青、似梧而無子、梧桐色白、葉似青桐而有子、子肥亦可食、白桐與崗桐異、惟有花子爾、花二月舒黄紫色、禮云桐始華者也、崗桐無子、是作琴瑟者云々、白桐堪琴瑟、一名椅桐、人家多植之、本草和名云、青桐、莖皮青、无子、梧桐色白有子、崗桐无子作琴瑟者、白桐、三月花紫、禮云桐始華者也、亦堪琴瑟者、此所引節文、按桐始華在月令季春、證類本草作二月誤也、按有青白二種、青者梧桐、爾雅櫬梧、説文梧桐木一曰櫬、是也、有子可食、醫家作丸云梧桐子大者謂此也、齊民要術云、實而皮青者爲梧桐、本草衍義、梧桐、結實可食、李時珍曰、樹似桐而皮青不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000133.gif 、其木無節直生、理細而性緊、葉似桐而稍小、光澤有尖、其花細蕋墜下如http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c151.gif 、其莢二三寸許、五片合成老則裂開如箕、謂之橐鄂、其子綴於槖鄂上、多者五六、少或二三子、大如胡椒、其皮皺是今俗呼阿乎伎利者也、梧桐之無子者、謂之青桐、李説同、白者椅桐、爾雅説文並云、榮桐木、是也、一名白桐、三月開紫花、月令季春桐始華謂此、又有白花者、故陶云、開黄紫花、冦云、開白花、李時珍云、葉大徑尺、最易生長、皮色粗白、其木輕虚、不蟲蛀、爲器物屋柱甚良、二月開花、如牽牛花、而白色、結實大如巨棗長寸餘、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ce2.gif 内有子片、輕虚如楡莢葵實之状、老則http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ce2.gif 裂、隨風飃揚、今俗單呼歧利、其不實者、謂之岡桐、椅桐岡桐皆可琴瑟、此陶所言四種也、圖經云、椅即梧桐、今江南人作油者、即岡桐、有子大于梧子、按、椅可琴瑟、梧桐不琴瑟則非椅即梧桐、又作油者、本草拾遺罌子桐、非岡桐、本草衍義謂之荏桐、齊民要術、華而不實者爲白桐、本草衍義云白桐、開白花、不實、無花者爲岡桐、不琴、按、花而不實者、白桐之一種、所謂岡桐、無花不琴、云青桐岡桐、李時珍云、白桐開花白色、其花紫者名岡桐、以其花白紫白桐岡桐、然其言無徴證、竟屬臆斷、是等諸説皆不依據也谷川氏云、桐木、數伐之則却榮、故名、

〔大和本草〕

〈十一園木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0530 梧桐(アヲキリ) 其皮青シ、故又青桐ト云、古人詩歌ニ詠ゼシハコレナリ、佳木ナリ、園庭ニ多ク植ベシ、世ニ白桐ハ多ク、梧桐ハ稀ナリ、夏花サキ、秋ミノル、實ノ殼ワレテ開ク、實ハ殼ニ付テ不落、實ヲ炒テ食フベシ、實ヲウヘテ生長シヤスシ、種樹書曰、九月收子、二三月作畦種之、初生ノ冬、雪霜風寒ヲフセグベシ、中華ニ梧桐ヲ以テ琴瑟ニ作リ器材トス、上材ナリ、今島桐トテ世上ニ良材トス、器ニ作リテ白桐ニマサレリ、四國ヨリ出ヅ、或隱岐ヨリ多出ヅ、故ニシマキリト云、一説ニ初磯嶽ノ島ヨリ出、故ニ名クト云、未何是、其實胡椒ノ大ノ如シ、凡醫方ニ丸藥桐子ノ大ノ如シト云ハ、此實ノ大サナリ、又胡椒ノ大サニ丸スベシ、二物ノ大サ同、

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0530 梧桐 櫬〈音親〉 五同桐〈以字音呼〉 一名青如狼狸(アヲニヨロリ)〈◯中略〉 按、梧桐其子大如胡椒正圓、故諸書謂丸藥大可http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif梧桐子者是也、 或書云、推古帝時、參河國山有神代桐木、長四十九丈、太三十二尋、枝過半枯、中有虚洞、本有洞口龍住、時發雲霧、依曰桐生山、〈又云霧降山〉

〔本草一家言〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0530 梧桐 梧和名阿遠桐、又俗呼阿遠仁與呂利是也、一名青桐、一名岡桐、一名泡桐、一名梧桐、其木嫰者皮青、老者皮褐色、古人以青桐梧桐者、不嫰老變皮色之過也、葉似桐而堅、無毛結橐鄂、鄂邊綴子、圓小、有皺文、如胡椒粒、自古丸藥、以梧桐子凖、不知也、其葉三尖者結子、五七尖者不實、但雌雄之別耳、桐即幾理、有白桐紫桐二種、就花而言也、香氣芬郁、其木堪作諸箱器具、其實結房中有櫰、片々如戎、葵子與梧柤甚似、桐類有數種、頳桐(○○)赤花不實性畏寒、寸切插地能活同于梧桐、又有罌子桐(○○○)、一名油洞、江州多植之、搾實作油、和名五色、以塗物、謂之知耶牟奴利、其油名桐油、今人以雨衣傘荏油桐油者大誤、又有海桐、一名刺桐、救荒本草名刺楸、和名保宇多良、又波利桐、又癩桐(○○)葉似梧桐、而幹枝皆有刺、有臭梧桐(○○○)、即本草一種常山、今俗呼臭木是也、又有島桐(○○)、木理美膩以爲作器之上材、或曰、即本草椅桐、未的否、有伊々桐(○○○)、一名計良之木、秋深結子、纍々如南燭子、及七 竈乃子攅簇、有黄赤二色、有古牟兹之大(○○○○○)、極高大、葉五尖而薄青黄色、有光潤、天台山多有之、詩集傳所謂山楸是也、餘詳見于陳翥桐譜、 郢桐(○○)、出梧桐附録、生谷葉似青桐、而有椏、木皮亦似桐、若水云、京北貴布禰山中、有一種似桐而有椏者恐是歟、

〔本草辨疑〕

〈四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0531 梧桐(ゴトウ)諸書ニ、丸量ヲ梧桐子ノ大サト云コト、今人不之、唯桐(キリ)ノコトナリト心得テ疑之、桐ノ子ノ大ハ銀杏ノ如シ、是ヲ五七十粒ハ難用、又仁ノ大ハ、胡麻ノ如ク扁小ナリ、尚疑フ、上焦ノ用藥ハ小圓ニシ、下焦ノ用藥ハ大圓ニスル、是定例ナリ、然ルニ地黄丸下部ノ藥ニシテ此旨ニ不合ト云フ、是皆本綱ヲ熟讀セザル故ナリ、 時珍、其子ノ大如胡椒(コセウ)ト、又胡椒ノ下ニ、大如梧桐、互ニ引之、 日木所所ニ多シ、葉ハ桐ニ似テ木皮青ク、花ハ栗ニ似テ、細クサガリテ莢ヲ生ズ、長三寸許リ、五片アリ、一片掌ヲツボメタルヤウニテ、其縁ニ圓子五ツ六ツナリテ色赤ク、皮皺ミテ、大サモ皺モ能胡椒ニ似タル者ナリ、和名梧桐キリトモアヲニヨロリトモ云ナリ、子ヲ和ボダイジトモ云フ、ボダイジニ似テ小ナル故也、

〔草木性譜〕

〈人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0531 桐〈◯中略〉 梧桐〈本草綱目〉も亦歳時を知れり、遁甲書云、梧桐可日月正閏、生十二葉、一邊有六葉、從下敷一葉、爲一月上十二葉有閏十三葉、視葉小則知閏何月也、又云、梧桐立秋之日一葉先墜と、今處々庭際に植春葉を生ず、兩岐或は四岐を成す、夏數花を開く、五瓣淡黄色、花後莢を結ぶ、熟すれば、裂開し下垂す、一片の状粗匙頭の如し、其一片の左右に、一と二と或は二子を生ず、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0531 梧桐 アヲギリ(○○○○) アヤギリ(○○○○) アヲニヨロリ(○○○○○○) 一名青梧桐〈物理小識〉 碧 梧〈典籍便覽〉 榮郭〈名物法言〉 子一名玉粒〈尺牘雙魚〉 木直聳シテ梢上ニ枝條分レ、樹皮緑色ニシテ膚美ハシ、葉大サ一尺許、兩岐或四岐アリテ鋸齒ナシ、夏月枝梢ニ長穗ヲ出ス、枝ヲ分チ花ヲ開ク、形楝花ノ如シ、五瓣黄白色、大サ小錢ノ如シ、實ハ枝ノ梢ニ五ヅヽ並ビ著ク、形蘿藦角(ガヽイモノサヤ)ノ如ニシテ疙瘩(イボ)ナシ、長サ二寸餘、圓ニシテ尖ル、是ヲ槖鄂ト云、熟スル時ハ、自ラ一方裂テ船ノ形ノ如シ、圓子其邊ニ著ク、四子ナレバ、左右ニ各二子アリ、三子ナレバ、一子二子左右ニアリ、實ハ大サ三分許、熟スレバ淡褐色、皮ニ皺アリ、是梧桐子ナリ、炒テ食フベシ、又煮食フベシ、丸藥ニ梧子ノ大ノ如シト云ハ是ノ子ナリ、唐書ノ鳳ニハ、必梧桐ヲ畫ク、和畫ニ白桐ヲ畫クハ非ナリ、

〔萬葉集〕

〈五雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0532 大伴淡等謹状梧桐日本琴一面〈對馬結石山孫枝◯下略〉

〔北邊隨筆〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0532 梧桐 齊民要術曰、梧桐山石間生者、爲樂器則鳴、これ必さることわりなるべしとおぼゆるは、今の世にも、弓につくる竹は嵯峨におふるをのみもちふるたぐひ多し、そこなるこそ、よにすぐれたれど、もとよりしらむやは、しかしりたらん人の心もちひこそ、いとおもひやらるれ、

〔續日本後紀〕

〈二淳和〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0532 天長十年十一月戊辰、御豐樂院、終日宴樂、悠紀主基共立標、其標悠紀則山上栽梧桐、兩鳳集其上、從其樹中五雲、雲上懸悠紀近江四字、〈◯下略〉

獼猴桃

〔倭名類聚抄〕

〈十七菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0532 獼猴桃 七卷食經云、獼猴桃、〈和名之良久知(○○○○)、一云古久波(○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0532 本草和名亦引七卷食經之、證類本草引陳藏器食療之、又引開寶本草云、獼猴桃生山谷、藤生著樹、葉圓有毛其形似鷄卵大、其皮褐色、經霜始甘美可食、本草衍義云、十月爛熟、色淡緑、生則極酸、子繁細、其色如芥子、枝條柔弱、高二三丈、多附木而生、淺山傍道側有存者、深山則多爲猴所食、按獼猴桃、見北山抄大饗條裏書、三中口傳、厨事類記、下總本有和名二字、之良久 知依本草和名、新撰字鏡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000134.gif 同訓、古久波之名、輔仁不載、醫心方有之、按古久波又見宇治拾遺物語、三中口傳、今陸奧南部亦呼古久波、呼之良久知、紀伊呼之良久知、又呼古久波、薩摩呼碁豆加宇、即古久波之轉、

〔大和本草〕

〈十果木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0533 獼猴桃(ヤマナシ) 常ニ山梨ト云ハ、梨ノ山ニアル小キヲ云、ソレニハアラズ、藤カヅラノ如ク大ナルカヅラナリ、大木ニハヒ付テノボル、葉ハ梨ノ葉ニ似テ大サモ同ジ、實ノ大サ棗ニ倍ス、大小アリ、實ノ形棗ニ似タリ、實ノ皮ハ梨實ニ能似テ色モ似タリ、少青色ナリ、實ノ内ニ白キ心アリ、細ナルサ子、心ノマハリニ多クツケリ、其サ子ハ芥子(カラシ)ノ如シ、實ハ冬ニイタリテ熟ス、味甘シ、食スベシ、小兒好ンデ食フ、味ハ梨葡萄無花果ナドニ似タリ、莖ノ皮ハ子バリアリ、紙ニスクベシ、本草三十三卷ニ載之可考、

〔紀伊續風土記〕

〈産物五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0533 獼猴桃(ヤマナシ)〈本草、本草和名之良久知、醫心方和名抄並已久波、按ずるに、シラクチヲコク(○○○○○○○)ハ、倶に今牟婁郡にても此名を呼ぶ、又コタヲウとい(○○○○)ふ、藤蔓甚繁茂す、葉梨葉に似て長く互生す、夏月葉間に白花を開く、形梅花に似たり、後實を結ぶ、形棗に似て長さ一寸許、濶さ六七分下垂し、冬に至りて熟す、緑色にして褐色の班點あり、肉は緑色にして味甘く、小兒採り食ふ、内に細子あり、下種して生じ易し、〉牟婁郡山中に多く産す、

木天蓼

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0533 木天蓼 那〈◯那一本作刪〉繁論云、木天蓼〈和名和太々非(○○○○)〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0533 現在書目録云、刪繁論十卷、謝士泰撰、今無傳本、隋書有刪繁方十三卷、謝士泰撰、舊唐書作十二卷、新唐書同、泰作太、蓋即是書、本草和名云、木天蓼、一名比鬼根、出刪繁論、按本草木部下品載木天蓼、是木天蓼出本草、比鬼根之名出刪繁論也、此恐源君誤引、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0533 藤天蓼 今云末太々比(○○○○) 有三種、中其木天蓼、小天蓼之二品、不多有、 本綱藤天蓼、生江南淮南山中、作藤蔓、葉似拓花(ヤマクハ)白、子如棗許定形、中瓤似茄子味辛、噉之以當薑蓼(ハシカミタデ)、枝葉〈辛温有小毒〉 治癥結積聚風勞虚冷 子〈苦辛微熱〉 治賊風口面喎斜氣塊女子虚勞  按、藤天蓼、備中、伊豫、遠州、和州、丹波山中多有之、今人家亦植之、其蔓蒼黒、葉似柘及櫻桃葉而皺、三四月開小白花、状似梅花而小結實、但有雌雄、雌者實状如五倍子而青色、雄者實状如棗、人採其嫰葉、合酸未醤之、猫常喜食之、如視此樹則抓穿根皮爲之枯、凡病猫食天蓼子起也、人亦鹽漬食之、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0534 木天蓼 ワタヽビ(○○○○)〈和名鈔〉 マタヽビ(○○○○) コツラ(○○○)〈越前〉 ハンザウノキ(○○○○○○)〈播州〉 ナツムメ(○○○○) 一名蓬萊金蓮枝〈野菜博録〉 深山ニ生ズ、蔓草ナリ、長ク木上ニ延ク、年久シキ者ハ藤大ニナリテ木ノ如シ、故ニ藤天蓼トモ木天蓼トモ云、葉ノ形橢ニシテ尖リ、細鋸齒アリテ、ツルムメモドキノ葉ニ似タリ、互生ス、冬ハ葉ナシ、春ノ嫰葉ヲ生ニテ醋味噌ヲ加ヘテ食フ、味辛シ、五月半夏生ノ時、梢葉ノ面潔白ニ變ジ、背ハ否ラズ、遠望スレバ雪ノ如ク花ノ如シ、其下ニ至レバ白ヲ見ズ、葉背ハ變ゼザル故ナリ、同時ニ葉間ゴトニ一花ヲ生ズ、五瓣白色緑蕚皆下ニ向フテ開ク、形梅花ニ似タリ、故ニナツムメト云、好事者葉ヲ去テ瓶花ニ供ス、後實ヲ結ブ、形細長ニシテ榧實ノ如ク、内ニ細子多シ、蘚恭ノ説ニ、子如棗許中瓤似茄子ト云ヒ、藏器ノ説ニ如棗ト云者是ナリ、コノ實味辛辣生食シ、或ハ乾貯或ハ醃食ス、又花旣ニ開キタル者、ソレナリニ泡テ實の如クナリタルアリ、五瓣ニシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b458.gif 草實ノ小ナルガ如シ、是即其病ニシテ蟲ノ巣ナリ、切レバ内實の色白ク蘿蔔ヲ切タルガ如シ、内ニ蟲卵少シアリ、蘇頌ノ説ニ子作毬形似檾子ト云者是ナリ、其味亦辛辣ナリ、今藥舖ニ販グ者ハコノ品ノミニシテ、棗形ノ者ナシ、棗形ノ者ハ内ニ子アリテ眞實實ナリ、藥ニハ是ヲ用ユベシ、然ルニ蘇恭ノ説ニ子無定形ト云ヒ、大和本草ニ二色ノ實生ズル故、マタヽビト訓ズト云、藏器ノ説ニ如棗者ヲ藤天蓼トシ、蘇頌ノ説ニ五瓣ノモノヲ木天蓼トスト云フ、皆非ナリ、 小天蓼(○○○)ハ暖地ノ産ニシテ小木ナリ、種樹家ニ多シ、俗ニ崑崙花ト呼ブ、枝葉對生ス、葉ハ梔子葉ニ 似テ長ク尖テ薄シ、深緑色、夏月梢頭ニ枝叉ヲ分テ花ヲ開ク、五出黄色、一花ノ下ゴトニ各一葉アリ、圓小ニシテ白シ、霜後土窖中ニ藏ム、冬ヲ經テ凋ズ、 増、釋名時珍ノ説ニ、馬蓼亦名天蓼ト云ハ誤ナリ、馬蓼ニハ大蓼ノ名アレドモ、天蓼ノ名ナシ、天蓼ハ葒草ノ一名ナリ、

〔佐渡志〕

〈五物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0535 木天蓼 和名マタヽビ 方言ワタヽヒ 深山ニ生ズル蔓艸ナリ、賤民採テ菜トシ、又糧トス、


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:48:57 (390d)