〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0219 桑 玉篇云、桑〈音莊、字亦作桒、和名久波(○○)、〉蠶所食也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0219 按説文桑蠶所葉木、顧氏蓋本之、則此誤脱葉字也、

〔伊呂波字類抄〕

〈久殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0219 桒〈クハ正作桑〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065163a.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b431.gif イクハノミ〉 椹  桒實〈巳上同〉

〔日本釋名〕

〈下木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0219 桑(クハ) くはくう也、はは葉也、かいこのくふ葉なり、

〔倭訓栞〕

〈前編八久〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0219 くは〈◯中略〉 桑は蚕のくらふ葉なれば蚕葉(ハ)と名くるなり、くとこと通ず、こはかひこ也、まぐは(○○○)ヽ白桑也、ひめぐは(○○○○)ヽ女桑也、子(ミ)を椹といふ、くはいちご也、桑耳はくはたけ也、山桑の名漢も同じ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d0e0.gif 也といへり、新撰字鏡に、桔梗をからくはとよめるは心得がたし、

〔農業全書〕

〈七四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0219 桑 桑は四木の一つにて取分貴き物なり、凡て人世の重き物は衣食に過る事なし、しかれば五穀に次て必うゆべき物なり、古は人家ごとにやしき廻りに桑うへて、應じ〳〵に糸綿を取て、衣服の儲としたりと見えたり、殊に一度うへをきては、女功ばかりにて、農事の妨ともさのみはならず、草木こそ多き中に、青葉より糸綿の出る事、實に奇妙な靈木なり、近來木綿を廣く作りて、其しるし速かにして、下賤のために便りよきを專らとして、名所の外は桑のしたて疏かになりたると見えたり、されど木綿も又土地所によりて、をしなべて作る物にあらず、山中雨霧のふかき所、其 外作りて利なき所多し、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220 桑柘 桑和名久葉、損軒〈◯貝原〉日本釋名云、久巴(クハ)者食葉(クロフハ)也、用以飼蚕之義、愚謂非也、久波者胡葉(コハ)也、久胡相通、胡者飼子(カヒコ)之略稱、蚕業之謂也、桑之族類、詳擧于農桑輯要中、葉圓者名白桑(○○)、和名眞桑(マクハ)、又有岐者名鷄桑(○○)、和名芹(セリ)桑、葉状雖異、功用則同、又有女桑一種、則種子之所生、言其状穉小也、又有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif、倶名女桑(○○)

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220 桑 クハ〈和名抄〉 一名商庭樹〈名物法言〉 蠶食〈同上〉 神木〈事物紺珠〉 椹一名人 精〈醫學入門同名アリ〉 桑實〈名物法言〉 葚〈正字通〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651639.gif 〈同上〉 桑白皮一名延年卷雪〈輟耕録〉 桑ハ田野ニ多ク栽ヘ、葉ヲ以テ蠶ニ飼フ、蠶食フ葉ノ意ニテ、クハト訓ズト大和本草ニ云リ、大抵二種ニ別ツ、其葉圓尖ニシテ鋸齒アル者ヲ白桑(○○)ト云、一名魯桑、〈康濟譜〉和名マグハ(○○○)、マルグハ(○○○○)、モチグハ(○○○○)、〈土州〉此品葉厚ク汁多シテ、蠶ニ飼フニ良トス、其岐アリテ薄キ者ヲ雞桑(○○)ト云フ、一名花桑、〈主治註〉雞脚桑、〈事林廣記〉荊桑、〈康濟譜〉和名ヤマグハ(○○○○)、サヽグハ(○○○○)、〈土州〉セリグハ(○○○○)、アザミグハ(○○○○○)、〈奥州〉此品藥用ニ良トス、二種共ニ春葉ニ先テ花ヲ生ズ、穗ヲナシテ楮(カウゾ)ノ穗ニ似タリ、後實ヲ結ブ、桑椹ト云、形藨(イチゴ)ニ似テ長シ、初ハ青ク後赤ク、熟スレバ黒シ、和名クハノミ、クハイチゴ、クハコ、〈奥州〉ツマメ、〈濃州〉 増、藥用ノ桑白皮ハ地上ニ出ザル者ヲ採リ、其マヽ用ユルヲ佳トス、皮ヲ去リ白ク晒シタル者ハ、性力已ニ脱シ、且多ク楤木(タラノキ)ノ根皮ヲ用ユト云、又桑白皮ヲ用テ紙ヲ漉クヲ桑穰紙ト云、天工開物ニ見ヘタリ、 今器物ニ造ル桑ハ、江州ヨリ出ヅルヲ最上トス、其次ヲ作州、但州、丹後、若州、丹波、日向ト次第ス、江州ノ産ハ、肌理天巧多ク、舶來ノ者ヨリ美ハシ、然レドモ舶來ノ者ハ、著色セズシテ自ラ紫褐色ナリ、又日向ノ産ハ極テ下品ニシテ、肌ニ白ミ多ケレドモ、マサ目至テ細シ、著色ノ法ハ石灰ヲ水ニテ解キ、是ヲ塗テ日ニ乾シ、草帚ニテ脱去シ、木賊(トサク)ニテ琢キ、又加條(ムクノ)葉ニテ磨キ、油布ニテ拭ヘバ光 澤出ヅ、

〔令義解〕

〈三田〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 凡課桑漆上戸桑三百根、漆一百根以上、〈◯註略〉中戸桑二百根、漆七十根以上、下戸桑一百根、漆卌根以上、五年種畢、〈◯註略〉郷土不宜、及狹郷者不必滿http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 數、

〔令義解〕

〈三賦役〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 凡田有水旱蟲霜、不熟之處、國司撿實、具録申官、〈◯註略〉十分損五分以上租、損七分租調、損八分以上課役倶免、〈◯註略〉若桑麻損盡〈謂一戸全損、即雖全損調者亦是、其桑麻者不相須也、〉者、各免調、〈謂若無課而有役者、即免役、其桑麻所輸絁布不同、故稱各也、〉

〔類聚三代格〕

〈八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 太政官符 應七道諸國催殖桑漆事 右東海道觀察使從三位行式部卿藤原朝臣葛野麻呂奏状偁、桑漆之課具載令條、易殖易生、養乃成林、至于採用公私由之、然國郡官司不催殖、旣致闕乏、〈◯中略〉望請下知當道、交替分附、若不數者、拘留解由、以懲塡、其貶責解任一依先格者、右大臣宣、奉勅、依奏、自餘諸道亦同准此、 大同二年正月廿日

〔類聚三代格〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 太政官符 應多氣度會兩郡雜務預大神宮司事〈◯中略〉 一應催殖桑漆二十一万八千七百九十六根 多氣郡十四万七千三百六根 桑十三万六千五百三十三根〈◯中略〉 度會郡七万一千四百九十根 桑五万八千四百五十根〈◯中略〉 右同前解〈◯國解〉偁、案太政官去大同二年正月廿日符偁、當道觀察使參議從三位行式部卿藤原朝臣葛野麻呂奏偁、桑漆之課具載令條、至于採用公私由之、然國郡官司不催殖、謹案天平二年五月六日格偁、諸國所進桑漆等帳、或國隨舊案、但改年紀、或虚作増減、與實不同、自今以後、嚴加捉搦、依令殖 滿、毎年巡撿、實録申之、如遣使勘會、與實不同者、國司必加貶責、郡司解却見任者、然猶積習生常狎法無悛、望請下知當道、交替分付、若不數者、拘留解由、以懲殖者、而今國司催殖無便之状、亦同驛家之條者、〈◯中略〉 弘仁八年十二月二十五日

〔日本書紀〕

〈一神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 一書曰、〈◯中略〉軻遇突智(カグツチ)娶埴山姫、生稚産靈、此神頭上生蠶與http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 桑、

〔萬葉集〕

〈七譬喩歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222木足乳根乃(タラチネノ)、母之其業(ハヽガソノナル)、桑尚(クハスラモ)、願者衣爾(ネガヘバキヌニ)、著常云物乎(キルトイフモノヲ)、

〔夫木和歌抄〕

〈二十九桑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 延喜十二年賀御屏風 貫之 ことしおひのにゐくはまゆのから衣ちよをかけてぞいはひそめつる

〔八丈島漂流記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 延享二年 桑の木を植る事、山畑又は居屋敷の近邊へ、如何程も澤山に植る也、蚕を飼ふ事は、御國に替る事なし、

〔本草和名〕

〈十三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 赤鷄桑〈桑葉小者也、出徐恭論、〉桒椹天精也、〈出太清經〉一名扶桑丹〈出七卷食經〉桑者箕星之精也〈出太清經〉和名久波乃美(○○○○)、

〔新撰字鏡〕

〈木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 柘〈之石反、字樚同http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e798.gif 也、豆美乃木(○○○○)、〉

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 柘 毛詩注云、桑柘〈音射、漢語抄云、豆美、〉蠶所食也、

〔箋注倭名類http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001af2a.gif 抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222引文、毛傳鄭箋並不載、按蠶絲具引禮記注云、桑柘蠶所食也、所引蓋月令注文、則此作毛詩注、恐誤、説文、柘、桑也、段云、當柘柘桑也、柘桑、桑之屬、古書並言二者、則曰桑柘、單言一者則曰桑曰柘、柘亦曰柘桑、如淮南注鳥號云、柘桑其木堅勁、鳥http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019c79.gif 其上、是也、桑柘相似而別、見胡氏通鑒釋文辨誤

〔伊呂波字類抄〕

〈都殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 柘〈ツミ桒柘蝅所食〉

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 桑柘〈◯中略〉 柘、和名山桑(ヤマクハ)、又名谷(タニ)桑、葉似桑而厚、又似菩提樹、葉以飼蠶、和名山繭(ヤママユ)一名山桑、古人連稱桑柘者是也、唐詩桑柘影斜秋社散、是也、又有單稱柘者、和名犬津氣(イヌツケ)、又有奴柘、又黄楊之一種、又有白丁花、是又奴柘之類也〈隨録〉

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 桑〈◯中略〉 按、柘阿州土州山中有之、以爲弓木、黄色、 農政全書云、柘木堅勁、皮紋細密、上多白點、枝條多有刺、葉比桑葉甚小而薄、色頗黄淡、葉稍皆三叉、其椹亦飼蠶、又有綿柘、刺少葉似柿葉微小、枝葉間結實、状似楮桃而小、熟則亦有紅蘂、味甘酸、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 柘 ヅミ(○○)〈和名鈔〉 ヤマグハ(○○○○) ノグハ(○○○)〈大和本草〉 イヌグハ〈同名アリ〉 一名白柘皮〈外臺秘要〉 柘ノ字、藥性要略大全ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000080.gif ニ作ル、山中ニ生ズ、葉ハ常桑ヨリ大ニシテ厚ク、長ク糙濇(ザラツキ)多シ、椹モ桑ニ同クシテ粘滑ナリ、木ハ常桑ヨリ黄色淺シ、 増、樹皮ヲ取リスミ皮ト名ケ、茶黄色ヲ染ム、色鮮ナリ、コレモ紙ニ漉クベシ、桑穰紙ニ同ジ、

〔續日本後紀〕

〈十九仁明〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 嘉祥二年三月庚辰、興福寺大法師等爲天皇寶算滿于四十聖像卅軀、〈◯中略〉副、之長歌奉獻、其長歌詞曰、〈◯中略〉帝之御世(キミノオホミヨ)、萬代(ヨロヅヨ)〈爾(ニ)〉重(カサ)〈禰(ネ)〉飾(カザリ)〈氐(テ)、〉奉榮(サカエシメタテマツラン)〈度(ト)〉、柘之枝(ツミノエ)〈乃(ノ)〉、由求(ヨシモトム)〈禮波(レパ)、〉佛(ホトケ)〈許曾(コソ)、〉願成(ネガヒナ)〈志多倍(シタベ)、〉聖而(ヒジリノ)已(ミ)、驗(シルシ)〈波(ハ)〉伊萬世(イマセ)、〈◯下略〉

〔萬葉集〕

〈三雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 仙柘枝歌三首 霰零(アラレフリ)、吉志美我高嶺乎(キシミガタケヲ)、險跡(サカシミト)、草取可奈和(クサトルカナワ)、妹手乎取(イモガテヲトル)、 右一首、或云、吉野人味稻與柘枝仙媛歌也、但見柘枝傳此歌、 此暮(コノクレニ)、柘之左枝乃(ツミノサエダノ)、流來者(ナガレコバ)、梁者不打而(ヤナハウタズテ)、不取香聞將有(トラズカモアラム)、

楮/構

〔新撰字鏡〕

〈木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224

〔本草和名〕

〈十二木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199f1.gif 實、〈仁諝音勅呂反〉一名穀實、穀紙一名楮紙、〈出陶景注〉角星之精、〈出太清經〉和名加知乃岐、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 穀 玉篇云、楮〈都古反〉穀木也、唐韻云穀〈音穀、和名加知、〉木名也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 今本玉篇云楮丑呂切、在八語、屬徹母、都古反、在十姥、屬端母、音韵皆不同、此所音恐誤、〈◯中略〉南山經、招搖之山、郭注、穀楮也、皮作紙、説文、楮、穀也、穀、楮也、小雅鶴鳴陸疏、今江南人以其皮擣爲紙、謂之穀皮紙http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651921.gif 白光輝、

〔紀伊續風土記〕

〈物産六上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 構(カヂノキ)〈本草、本草和名ニ加知乃岐、和名抄ニ加知、〉 各郡所在ニ多シ

〔倭訓栞〕

〈前編六加〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 かち〈◯中略〉 新撰字鏡に、穀また楮をかぢと訓ぜり、日本紀に擬もよめり、七夕に歌かくは、此木の葉也、後拾遺集に、 天河とわたる舟のかぢの葉におもふ事をも書つくるかな、神世に穀を種て木綿を造り、天棚機姫神に神衣を織しめさせられたる事、舊事紀に見えたり、織女の故事をもて、此木の葉を用る也、一條禪閤の息竹内良鎭の歌に、 昔誰きヽあやまりて星のためかぢの七葉をとりそなへけん、とよめるは、神世の故事を究められざるにや、

〔農業全書〕

〈七四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 楮 楮には其種色々あり、其内先葉に切こみ深くあるを楮(○)と云、切めなきを構(○)と云と、字書には見えたり、今專ら作るは黒ひやう(○○○○)とて、皮薄紫に見えて、葉に切めありて、皮の肌へ厚く、和らかにして白し、又おぶち(○○○)とて、葉の切め黒ひやうより深く、木の色青黒く、枝ながくのび、わきにたれて葉の色青きあり、是も皮厚く肌へいさぎよく白し、此二色紙に宜し、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 楮 穀〈音http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001553d.gif 〉 構〈同〉 穀桑 和名加知、俗云加宇曾、 按、楮皮今多造紙、又織布、往昔稱木綿、〈訓由布〉是也、今亦祭祀人被木綿繦者、象上古之衣服乎、

〔廣益國産考〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 楮(かうぞ)〈かご(○○)又かぞ(○○)ともいへり〉 楮は畑の堺山畑抔の片下りの所へ作りて、土留となるものにて、年々植かゆるものにあらず、其伐株より芽を生じ、秋に至りて成長し、麥蒔比は藁もてくヽりあげて蒔事なれば、格別作りものじやまにならずして益に成もの也、西國邊の山添の村にて、田畑五十石高も持たる百姓にては、楮の皮の乾あげたるを、百把位は收納するなり、〈一把五〆目〉壹把の價拾五匁と見ても、銀壹貫五百目也、平地の村にても畑の四面に植て、利を得るもの也、此楮に種類多くありて勝劣あり、苗の勝れたるを撰び植べし、 楮之種類〈此種類九州にて植る所の名也、國所によりてかはるべし、〉 一おぶち〈上〉 〈木肌赤黒く皮厚し、脂氣多く和らかなり、葉の切目黒ひをより深く、木長く伸、わきへたれ、製して極白し、又正味多し、此木は暖なる地に植べし、〉 一丸葉(○○)〈中〉 〈木肌紫黒く皮うすし、脂氣少くして和らか也、葉丸きによりて丸葉といへり、正味少し、併製しては上紙に宜し、正みすくなきによりて、おぶちよりおとりたりといへども、紙に漉てよろし、〉 一白梶(○○) 〈木肌白し、脂氣なく丸片葉ありて、丸葉目高の間なり、製するにはこはし、〉 一目高(めたか)〈下〉 〈丸葉のつぎなり、立伸たる小芽高き故、目高と云、皮うすく葉の切目淺く、片葉は切目あり、片葉は丸葉なり、紙に製してかたし、正味よし、〉 一黒(くろ)へを〈下〉 〈木肌白く、皮うす紫に見へ厚く脂氣うすく、皮こはし、製して白し、又和らかなり、紙に漉て少しすき惡し、へをの名は鷹のヘヲより出たる名なるべし、〉 一白(しろ)へを〈下〉 〈木肌は白く、脂氣薄し、葉は目高に同じ、〉 一青へを 一なまづを 山楮(やまかうぞ)と唱、下品なる紙に交漉種類、 一白くち(○○○) 一やまず(○○○) 〈是は山に立楮にて、年久しきものは壹尺廻り位なる木あり、葉は丸し、山楮といふ、〉 一むくび(○○○) 〈是も山に生立楮にて、葉丸く蔦(かつら)なり、〉 一桑の皮 是よりhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000196b0.gif 州木部にて仕立、九州中國四國邊〈江〉送る所の種類、一赤楮(あかかうぞ) 〈木肌赤く、木立細く、葉もほそく、切こみなく、皮もうすし、〉 一黒楮(○○) 〈大體おぶちに似て、葉の切こみ深く長く伸、正味多し、平地に植てよろし、〉 一眞楮(○○) 〈石州にては專ら用ふるよし、一名つヾらかけといへり、〉 一高(たか)楮 〈たかそといへり、〉 〈紙性少しあしけれども、木至て長く伸るなり、たねをとりて蒔木なれば、分根して苗をこしらふるにおよばず、〉 此外にも種類あり 餘の國々にて下紙に漉交る品あるべし、筑後にては藁を細かにきざみ打て、楮に交て漉たるを豐年紙とかいへり、又江戸にて艾を交て漉たるを見、筑前にて竹の子の伸て、頓て葉生ぜんとするころを細かにたヽきて、楮を少し入漉たるを見し事あり、如此楮に交て漉ぬれば、木の皮抔に下紙に漉交る品あるべし、

〔駿國雜志〕

〈二十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 楮 富士郡上井出村にあり、當村及所々是を植て紙を製せり、凡此木、かち苧、高苧等の種類あり、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000650d38.gif に植る所は眞楮苧(マカゾ)也、又三股を以て製るにも、眞楮苧を入ざれば、すく事あたはず、毎年十月より三月下旬まで漉べし、〈楮、三股共、伐て蒸貯る也、〉夏紙は漉かず、〈稀に漉事あり〉是を製るに初祝後(ハツイワヒシマイ)祝等さま〴〵の祝事あり、すべて此紙を漉には、根だも〈野黄蜀葵(ノトロヽクサ)を云、多く畑に作て用る也、〉蔓だも〈山黄蜀葵を云、自然に生るを用る也、〉こがだも〈こがの木の葉を云也〉の三汁を加へて漉べし、又眞楮苧を加ふるの多少に依て紙の強柔あり、凡紙は板にはる方を表とす、當國所々是を製すといへども、十文字端きらず等の厚紙を製するは、安部郡藁科の奧のみ、或云寒所は生紙を出し、暖地は生紙を製する事難し、是上地の水に依れる處也云々、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 楮 カウゾ(○○○) コゾノキ(○○○○) カゴ(○○)〈豐前丹後〉 カヂノハ(○○○○)〈豫州〉 一名扁穀〈通雅〉 枸〈品字箋〉 楮實一名任〈古今注〉 殼樹子〈本經逢原〉 構一名楮桃樹〈救荒本草〉 穀桑〈通雅〉 楮ト構トノ分別(○○○○○○○)、集解ノ説明白ナラズ、宜シク通雅ノ説ニ從フベシ、構ハカヂ〈和名鈔〉カヂノキ、カミノキ、又カウゾトモ云フ、木高サ丈餘、枝條婆娑タリ、葉大ニシテ尺ニ近シ、五ツニ分レテ葡萄ノ葉ノ如ニシテ澀毛アリ、故ニ花穀葉〈附方〉トモ、五花構葉〈同上〉トモ云、周邊ニ鋸齒アリ對生ス、又圓葉ニシテ岐ナキ者アリ、又一樹ノ内ニ兩形ノ葉雜リ生ズル者アリ、倶ニ木ニ雌雄アリ、雌ナル者ハ實ヲ結ブ、蛇苺(ヘビイチゴ)ノ實ノ形ノ如クニシテ、大サ一寸許、熟スレバ外ノ小子色赤シ、子ゴトニ各一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif アリ、是構子ナリ、雄ナル者ハ夏月葉間ニ花穗ヲ生ジ、下垂スルコト一寸許、黄白色ニシテ栗ノ花穗ノ如クニシテ短シ、楮ハ諸國ニ多ク栽ヘ、皮ヲ用テ紙ニ抄ク、木小ク五六尺ノ高サニシテ叢生ス、葉モ小ニシテ四五寸ニ過ギズ、花實ハ構ニ同クシテ小ナリ、舶來ニ楮實子アリ、藥舖ニ誤テ猪實子ト書ス、即楮ノ子ナリ、構子ハ形微シク大ナレドモ通用スベシ、一種ヒメカウゾアリ、一名ヤコソ、〈豫州〉カヂノキ、〈同上〉ヒヲ、〈備後〉タフ、〈紀州〉イヌカウゾ、〈城州〉ヤブカウジ、〈江州〉山中ニ自生多シ、木ノ高サ丈許、葉ハ狹長ニシテ柔毛アリ、皮ヲ用テ粗紙ニ作ル、是モ亦楮穀ノ類ナリ、 増、構ニマカヂ(○○○)、ウシカヂ(○○○○)、白カヂ(○○○)ノ三種アリ、マカヂハ皮厚ク軟ニシテ上品ナレドモ、コレヲ製スルニ紙少ナシ、ウシカヂハ木至テ大ニシテ、皮粗ニシテ厚ク堅シ、下品ナリ、白カヂハウシカヂニ似テ莖青シ、コレモ上品ニ非ザレドモ、コレヲ製スルニ紙多シ、故ニ多クコレヲ用ユ、

〔元亨釋書〕

〈十五方應〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0227 釋開成、光仁帝子、桓武之兄也、〈◯中略〉天平神護元年正月一日、潛出宮入勝尾山、〈◯中略〉二月十五日仲算二師經行山中適見、〈◯中略〉二師發願寫大般若經、啓白日黒雲俄起、雷落地、二師以其地靈所、規般若、今最勝峯是也、人又夢黄牛行道其地、二公乃種楮於此地、山張羅網鳥下、傍設欄楥亦拒獸踐、已而紙成、以書事成而去、〈◯下略〉 ◯按ズルニ、楮ヲカウゾト訓ズル説ハ、載セテ文學部紙篇穀紙麻紙條、及ビ宗教部經篇寫經料紙條ニ在リ、宜シク參看スベシ、

無花果

〔大和本草〕

〈十果木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0228 無花果(イチヂク/タウカキ) 寛永年中、西南洋ノ種ヲ得テ長崎ニウフ、今諸國ニ有之、葉ハ桐ニ似タリ、花ナクシテ實アリ、異物ナリ、實ハ龍眼ノ大ニテ殼ナシ、皆肉ナリ、味甘シ可食、葉ニモ實ニモ白汁アリ如乳汁、實ノ内ニ細子アリ、枝ヲ挾メバ能生ズ、又日本ニモトヨリイチヂクト云物別ニアリ、後ニアラハス、イチヂクニ似タル故ニ、無花果ヲモイチヂクト云、救荒本草ニ、無花果ノ葉ノ煎湯治心痛甚效アリ、此事本草ニハ不載、

〔和漢三才圖會〕

〈八十八夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0228 無花果(たうかき/いちhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063106f.gif ゆく) 映日果 阿駔優曇鉢 俗云一熟、又云唐柹、〈◯中略〉 按無花果其實似柹而本窄、俗曰唐柹、一月而熟、故名一熟、其樹雖枇杷然、枝柯婆娑葉似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fe.gif而小、背色淡潤、文理隆明、人識五痔、不魚毒、如食魚酔遍身赤腫發熱者立愈、無葉時用枝亦可也、有二種、 一種其實初青、熟則紫黒色、内白有脂、虚軟如絲屑、中無子、味淡甘不美、謂之黒一熟(○○○)、 一種初青、熟則白色帶微紫色、内淡赤、虚軟如絲屑、中有軟小子、味甘美、謂之白一熟(○○○)、二種共八月熟、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019e89.gif 槃經曰、佛出世難如優曇花、蓋譬無花果之開花猶白烏馬角之類、俗傳、優曇花者一千年一開花、甚妄談也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0228 無花果 イチジク(○○○○) トウガキ(○○○○)〈筑前〉 ウドンゲ〈加州〉 一名映日紅〈典籍便覽〉 仙桃〈三才圖會〉 青桃〈同上〉 密果〈群芳譜〉 元來漢種ナレドモ插テ活シ易キ者故、今市中ニ多シ、高サ丈許、葉ハ構ノ花ニ似テ厚ク、椏少シテザラツキアリ、此ヲ斷テバ白汁出ヅ、春生ジ、夏盛ニシテ冬落ツ、五月葉間ニ實ヲ生ズ、形正圓ニシテ木饅頭(イタビ)ニ似タリ、大サ一寸許、初緑色熟シテ紫色、珠至テ甘シ、内ニ白色ノ細子アリ、大サ罌栗米ノ如シ、青實ヲ採リ粃鹽ニ藏食ス、俗ニ五痔ヲ療スト云、又一種熟スルニ至テ紫ナラズ、仍青キ者アリ、藝州ニテシロイチジクト云、無花果ハ花ナクシテ、實ヲ結ブ故ニ名ク、然レドモ春月細小白 花ヲ開ク、形分明ナラザル故無花果ト云、又古ヘイチジクト云フハ、天仙果ノコトナリト、大和本草ニ見ヘタリ、

〔佐渡志〕

〈五物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0229 無花果 イチジク 小木ナリ、家園ニ植テ熟スルヲ採テ痢病ノ藥トス、大和本草ニ古ヘイチジクト云ハ、天仙果ノコトナリト云ヘリ、

天仙果

〔和漢三才圖會〕

〈八十八夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0229 天仙果(いぬひわ) 〈俗云、犬枇杷(○○○)、又云唐(カラ)枇杷、或云計良(ケラ)、見灌木類讓葉下(○○○)、〉 按天仙果、和州山中有之、冬凋春生葉(○)、似(○)讓葉、潤青末尖、六七月無花結實、一柎二三顆、状似枇杷而小、初青熟赤紫色、内滿白細子、小兒喜食、俗名犬枇杷

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0229 イチヂク 無花果ヲモイチヂクト云、ソレニハ非ズ、葉ハ木犀ニ似テウスク冬ヲツ、其實無花果ヨリ小ナレドモ能似タリ、秋冬ニ至テ熟スレバ、内ニ細子多ク、肉アリテ恰無花果ノ如シ味甘シ、小兒好ンデ食ス、實青キ時ワレバ白汁アリ、村落林木ノアル處ニアリ、村民其葉ヲトリ、飯上ニ置蒸テ食ス、味ヨシ、無花果ハ近世ワタル、イチヂクニ似タル故ニ、其名ヲカリテ無花果ヲモイチヂクト云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0229 無花果〈◯中略〉 天仙果 イチジク(○○○○) イヌビハ(○○○○) ヱノビハ(○○○○) ヱノビ(○○○)〈和州〉 ヨノンバ(○○○○)〈同上〉 カキノホウヅキ(○○○○○○○)〈勢州〉 チヽタツポ(○○○○○)〈同上〉 サルガキ(○○○○)〈駿州〉 コダラ(○○○)〈薩州〉 カクロ(○○○) ウシノヒタヒ(○○○○○○)〈防州〉 マメギ(○○○)〈豫州〉 マメヅタ(○○○○) マメギシバ(○○○○○) イヌホウヅキ(○○○○○○)〈共同上〉 イタブ(○○○)〈土州〉 イタツポウ(○○○○○)〈大坂〉 ヤマビハ(○○○○)〈肥前〉 チヽブ(○○○)〈筑後〉 イシヅク(○○○○)〈同上〉 イヌトウガキ(○○○○○○)〈藝州〉 ウシノシタ(○○○○○)〈豐前〉 サルノシリ(○○○○○)〈城州〉 カラスノビハ(○○○○○○)〈同上〉 種樹家ニコレヲ龍眼(○○)ト呼ブ、甚ダ非ナリ、諸州ニ多シ、小木ナリ、民家ニ栽テ籬トス、插テ活シ易シ、葉ハ辛夷(コブシ)ノ葉ニ似テ厚ク互生ス、切レバ白汁出、夏月葉間ニ實ヲ生ズ、形無花果(イチジク)ニ同ジ、只大サ四 五分、初ハ緑色ノ熟シテ赤シ、小兒採リ食フ、破レバ内ニ細子アリ、木饅頭(イタビ)ノ如シ、

波羅蜜

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0230 波羅蜜 一名刀生果〈廣東新語〉 婆羅樹 優鉢雲〈共同上〉 無花果〈正字通同名アリ〉嶺南及海南ノ國ニアリ、廣東新語ニ詳ナリ、曰ク生五六年至徑尺、削去其杪、以銀鍼腰即結實、其實不花成、實乃花、然常不花、故佛氏以優鉢曇花得、毎樹多至數十實、自根而幹、而枝條皆有實、纍纍疣贅、若不實則以刀斫樹皮、有白乳湧出、凝而不流則實、一斫一實、十斫十實、故一名刀生果、其以乳而實者乳血也、猶人以母之血孕育而成http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 形也、其根或行旁舍則實潛結地中、熟而地裂、聞香始知、較枝幹所生者尤美、此所謂無花之果也ト、又曰、波羅熟以盛夏大如斗、重至三四十斤ト、此實至テ甘味ナリ、花暦百詠ニ、梵語謂至甘爲波羅蜜ト云リ、 増、波羅蜜ハガツマル(○○○○)ナルベシ、即廣東新語ニ波羅樹ト云是ナリ、ガツマルハ今種樹家ニ傳ヘ栽ユ、葉ノ形山茶(ツバキノ)葉ニ似テ、鋸齒ナク厚ク、深緑色ニシテ光澤アリ互生ス、冬モ落葉セズ、夏月葉間ニ莖ニ附テ花ナクシテ實ヲ結ブ、ソノ形天仙果(イヌビハ)ノ如シ、暖國ノ産ユヘ甚寒氣ヲ畏ル、故ニ本邦ニテハ纔ニ盆種スルノミ、稀ニ實ヲ結ブト雖ドモ、小クシテ形色臭味、共ニ全ク具ハラズ、冬月土窖(ムロ)ノ中ニ藏セザレバ育シ難シ、然レドモ春夏ノ間http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif 插ニスレバ能ク活ス、元來此樹甚大木ニシテ榕(アコウ)ノ類ナリ、廣東新語ニ、榕樹大十圍、又云枝柯長至數丈、又桄榔長五六丈、蒲桃高二三丈ト云ヘドモ、本邦ニテハ此類悉ク盆種ニ過ギズ、類推シテガツマルノ大木ナルヲ知ベシ、然ルニ波羅蜜ヲ、廣東新語ニハ重至三四十斤ト云、時珍ハ顆重五六斤ト云、且ツ文ニ異同アリ、參錯シテソノ要ヲ察スベシ、凡ソ草木花有テ後實ヲ結ブ、是天地ノ常理ナリ、故ニ花ナクシテ實ヲ結ブ者ハ、數種アルベキモノニ非ズ、又蘭山翁引ク所ノ廣東新語ノ文ハ甚略文ナリ、ソノ生五六年ノ上ニ、波羅樹即佛氏所稱、波羅蜜亦曰優鉢曇、高三四丈、葉如頻婆而光潤ノ二十七字ヲ補フベシ、無花之果也ノ下ニ、廣南無花之果、若古度子、若獼猴桃、若楊搖子、凡有三四種、以波羅蜜大、蓋果之胎生者ノ三十五 字ヲ補フベシ、然レドモ全文ニハアラズ、又コヽニ、廣東新語ヲ引テ、波羅樹ヲ婆羅樹ニ作ルハ誤ナリ、 一種アコウ(○○○)ト呼モノアリ、アコギトモ云、暖國ニ自生アリ、葉ノ形冬青ニ似テ濶大ニシテ厚ク缺刻ナシ、夏月枝間ニ花ナクシテ實ヲ結ブ、大サ無患子(ムクロジ)ノ如クシテ内ニ細子アリ、枝上ニ根ヲ生ジ、下垂シテ土中ニ入ル、コレ廣東新語ノ榕ナリ、コノ樹甚寒氣ヲ畏ル、然レドモhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif シテ能ク活ス、倒ニ插スモ亦活ス、故ニ廣東新語ニ、以枝爲根、復以根爲枝、一名倒生樹ト云、阿州小松島浦辨天山ニ多シ、

榕樹

〔草木性譜〕

〈人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0231 榕樹( /あこう) 南土の産にして寒を畏る、冬暖室に藏むべし、其葉深緑光澤あり、冬凋落す、夏枝頭より新葉を生じ、即其枝長ず、夏中稀に花あらずして、枝條に數果を發すること忽然たり、其色初青緑白點あり、深秋に至て熟すれば、紅紫色黄點、果中紫色にして、空虚肉なく全く無花果の如し、枝を折ば白汁出づ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif 插して能活す、偶根上より根を生ず、然れども其土にあらざれば、多く生ずることを得ず、只一二根而已、又がつまる〈漢名は未詳〉即其一種にして、南國の産、頗る寒を畏る、其性榕樹に相似たり、夏花あらずして枝條に果を生ずること忽然たり、形榕樹の果の如し、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif 插して能活す、根上及び枝間より根を生ず、榕の根より生じ易きといへども、其土にあらざれば長じがたし、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0231 榕 薩州鹿子島有之郷名阿古、其樹經久則極高大、葉似讓葉而濶大厚、滑無鋸齒、其枝下垂著地、即生根、蓋數十株、相連絡而成林、伐其根盤、沃以米泔水、淹以草薦、日久而生菌、呼阿古不奈波奈波、蓋諸菌通稱也、日乾以寄遠爲珍、與香蕈松蕈並稱爲菌中上品、其樹西北方土絶無之、故世識者希矣、南方所産者會移植之北方、皆不活、地氣寒暖使然也、柳柳州詩、榕葉滿庭鶯亂啼、注云、榕城以榕得名、蓋雖漢土地方亦不偏有

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0232 榕(よう)〈音容◯中略〉 按此木不葉花實之形、故不於本朝也蓋莊子所言不才木、則樗栲也、〈椿之類見于前

〔草木育種後編〕

〈下花卉盆玩并に服器に用あるもの〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0232 榕樹(ようじゆ)〈南方草木状〉 俗にあこう(○○○)〈薩州方言〉枕香木(○○○)〈江戸花戸〉ともいふ、和蘭にてインデヤンスヘーケボーム( /印度亞 無花果ノ義)、又ウヲルトルボーム( /根樹ノ義)、薩州より來る大樹なれど、江戸にては盆玩にするのみ、夏より秋まで莖幹へ三度計り實を生ず、形ち天仙果(ひめいちじゆく)に似たり、夏の初より暑中迄に、枝を管にきり插(さ)してよし、中のひなたにてよし、葉を生じかたまりて、糞汁を澆ぐべし、冬は窖に入てよし、一種琉球にてかずまるといふものあり、葉女貞(もち)に似て光澤あり、實葉の間結ぶ事あこうに異なりとす、暖國にて枝間より根を下垂し、又幹となるといふ、冬日暖窖に入てよし、暑月枝を管にきり插して活す、魚腥水豆肥糞水度々澆ぎて生長し易し、薩州大しまより來る砂糖の樽に此材あり、用て器に製して頗る雅なり、二種皆花なくして實を結ぶ、無花果の一種なり、 喜住〈◯阿部〉按に、榕樹即佛家にいふ菩提樹にして一名貝多羅なり、慈恩傳云、菩提樹即畢鉢羅樹也、法顯傳曰、貝多樹下、是過去當來諸佛成道處、華嚴探玄記曰、畢鉢羅樹此曰榕樹、在嶺南、亦有此類、又菩提樹といふ、八紘譯史曰、菩薩樹不花而實、人不食、其枝下垂附地、生根若柱、歳久結成巨材、人蔭其下屋宇、至千人、以爲佛宇、又多羅樹あり、即椰子の類にて、葉を寫經の料に充るもの也、又貝多羅花ありて、讀脩臺灣府志に見ゆ、ともに別物也、〈予〉本艸講義に譯す、故にここに略す、

〔紀伊續風土記〕

〈物産六下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0232 榕(アカウ)〈南方草木状〉一名倒生木〈通雅、日高郡にてオホキノ木、此樹大なるもの高さ數十丈、周圍數抱、冬月葉枯ずして、三月頃新葉生じ、舊葉脱す、形冬青葉に似て濶く、天仙果葉に似て厚く、紋脈異なり、七月の頃花なくして、無花果の如く、木幹及孫枝處を定めずして實結ぶ、形も亦無花果の如くにして小く、初青く、熟して赤し、土人採りて食用とす、方言ヤウノミといふ、樹經年のもの、梢及枝上より長細根下垂して、次の條に著き、其著たる枝より又長細根下垂して、又次の枝に著き、此の如すること幾數にして、〉 〈後には地に垂り、根梢地に入て樹となり、又細根下垂して頗怪状をなす、其枝の著たる根を悉離せば、幹に輪困の形あり、小兒其細根を紐となし弄ぶ、四五尺より長きものは數丈に至る廣東新語に榕鬚といふ、其枝霖雨中に插みてよく活す、其幹大なるは中空により、下質脆くして材とならず、又此樹に生ずる菌をオホキタケといふ、形香簟に似て白褐色、味美にして毒なし、〉薩摩にて方言アカウといひて、海邊處々に産すといふ、本國にては海部郡衣奈莊より、日高郡三尾莊比井御埼までの間、海邊所々にあり、其餘他州に産する事を聞かず、漢土にても北地には産せず、唐の劉恂の嶺表録異に榕樹桂廣容南府郭之内多栽此樹、〈葉如冬青、秋冬不凋、枝條既繁、葉又蒙細而根鬚繚繞、枝幹屈盤、上生軟條、如藤垂下、漸及地藤梢入土、根節成一大樹、三五處有根者、又横枝著鄰樹、則連理、南人以爲常、不之瑞木、〉といひ、又品字箋に、榕惟生閩中、福州尤盛、故號榕城といひ、嶺南雜記に、榕樹閩廣最多、他省則無、故紅梅驛以北無榕といへり、皇國にても京http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000196b0.gif の間に稀に苗を盆種して珍玩するものあれども、大樹となりがたし、

菩提樹

〔伊呂波字類抄〕

〈保殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0233 菩提(ボダイ)樹

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0233 菩提樹〈◯中略〉 凡念珠ニ作ル、物ヲ世俗皆菩提樹ト稱ス故ニ世俗ノ菩提子ト稱スル物多シ、モクレンジモボダイシト云、無患子、薏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b377.gif モ同、何レモ菩提樹ニハ非ズ、菩提樹ノ葉ハ木犀ノ葉ニ似タリ、葉ノウラニ莖アリテ、ソレニ實ナル、常ノ木ニ異ナリ、京都泉涌寺六角堂同寺町、又叡山西塔ニアリ、元亨釋書ニ、千光國師榮西入宋ノ時、宋ヨリ菩提樹ノタ子ヲワタシテ、筑前香椎神宮ノ側ニウエシ事アリ、報恩寺ト云寺ニアリシト云、此寺ハ千光國師モロコシヨリ歸リテ初テ建シ寺也、今ハ寺モ菩提樹モナシ、畿内ニアルハ昔此寺ノ木ノ實ヲ傳ヘ植シニヤ、翻譯名義曰、菩提樹佛生其下、成等正覺、因而謂之菩提樹、冬夏不凋、光鮮不變トイヘリ、潛確類書九十九、異木ノ類ニ、菩提樹ヲ載タリ、曰末結蕊、先乃別抽一葉、長指半許、濶兩指乃結蕊于葉下、今案本邦ニアルモ亦カクノ如シ、

〔東大寺造立供養記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0233 抑傳西天之道樹、移東土之庭前、殖鯖木之古跡、期龍花之三會、古人傳云、宋求那跋陁羅三藏、至廣府戒壇菩提樹、其後瑯http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c09c.gif 道邃和尚傳之、以種天台山也、日本榮西上人往天台 山萬年寺、經五ケ年種歸當寺也、歸朝之時、得彼樹蘖而種於香椎宮、〈建久元年也〉傳彼樹以種當寺也、榮西上人書云、今大和尚者、予幼少之時、兄弟二人投以爲師、今暫別也、此菩提樹來我朝之最初也、

〔濟北集〕

〈七原記銘〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0234 菩提苗記 乙丑夏六月、京師水、三聖雲堂後澗大激岸崩、主事者斬庭樹、爲橛株而防之、殿前有菩提樹、爲材而並刑焉、予時在圓通之喟歎而言、道樹爭受株材之厄乎、丙寅冬十月移焉之殿墀、撫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199d9.gif而悲、丁卯春三月辛亥、帀http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199d9.gif數牙、衆僧怪見菩提苗也、相謂云、此樹植此庭者數十歳、秋果滿地未春牙、況隔年而生尤可怪、豈菩提樹不否乎、傳聞印度又爾、暴主虐截復能萌出、和竺異域、果實同根、今茲苗牙不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c65f.gif 乎、即來室請記予曰、姑待之、夫陽和之覃植物也、雖枯朽或能發萌所謂褪花菌耳皆是也、異時溽暑蒸之、熾陽暵之、斯脃萌儕褪菌、若又經盾日衰暾、外凋内貞、保幹養根、我記未晩耳矣、已而予畢書雲事而間坐、嚮之者立側言之云、覺苗之誌時乎哉、予曰姫魚語女、物若容思慕、何物邁此樹、曩世尊於此下邪寇、獲正悟、後代對此樹調御、吾黨之人、縱欠培洒焉、加斬伐乎、甚矣哉、叔運之蕩昧也、又此樹竺土猶不多有、況葱外乎、自從師子國主金壜移、盛始出梵壤也、劉宋之初、求那跋陁羅携來、李唐中葉道邃師介于台嶠、趙宋淳熙之間、明庵游銀地、分移一枝、以爲傳法之信、自來布濩四海矣、嗚呼未猊嶼之前、東方之國豈易視哉、金壜之設可思矣、今充寰區、故或厄橛株乎、凡人貴寡賤多、不由、良可痛乎哉、或曰、其物不多而賤、修多羅曰、微塵量恒沙數佛雖多不賤、今夫卉木中與佛同號者只此一株耳、塵沙之數多多益貴、何賤之有、今之橛厄者猶靈嶽之逆石也、金軀自若也、然則此苗佗日扶疏覆蔭祖庭、可跂而需耳矣、系之以詩三章、章三句、 蔽芾覺樹、勿剪勿捨、婆伽所坐、蔽芾覺樹、勿剪勿隳、明庵所移、蔽芾覺樹、勿剪勿毀、虎關所記、嘉暦二年冬至後一日、住持某書、

〔半日閑話〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0234 一安永七年閏七月頃、野島地藏、湯島天神にて開帳有、地藏尊〈江〉奉公人となれば、諸願 成就すとて、請状を認、奉公人と成、同十七日菩提樹の實ふると云、善光寺如來の奇瑞とかや、〈按水草ノ實也、鳥の糞に交りて有之也、風來山人菩提樹の辨を作る、〉

〔山城名勝志〕

〈十四愛宕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0235 建仁寺〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b728.gif 東山、五山第三、在四條南大和大路東五條北一、◯中略〉 菩提樹〈今在護國院

〔駿國雜志〕

〈二十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0235 菩提樹 有渡郡久能御山御寶塔の後にあり、參拜の者此實を拾て守りとす、

〔紀伊續風土記〕

〈物産六下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0235 菩提樹(ボタイジユ)〈飜譯名義集〉 もと漢種なり、元亨釋書の榮西傳に、建久元年天台山の菩提樹を本邦へ渡し、筑前糟屋郡香椎の神祠に初てうゑし事見えたり、其後諸州に種を傳へて、今本國寺院に多し、

ヘラノ木

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0235 ヘラノ木 葉ハ椋ノ木、桑及木槿ニ似タリ、長ゼントスル時早ク其株ヲ切レバ、一根ヨリ多ク叢生ス、小ナル時不切、一株長ズレバ大木トナル、榿ノ木ノ叢生アリ、喬木アルガ如シ、其皮ヲ剥テ麻ヲ製スル如ニシテ繩トス、農夫是ヲ以馬具ニ作ル、又農夫皮ヲ以腰蓑ニツクル、又コレヲ以ムシロヲヲル絲トス、本艸喬木類ニ莢蒾アリ、葉似木槿小、樹皮堪索トイヘリ、疑ラクハ是ナルベシ、葉ノ間ヨリ菩提子ノ如ナル薄葉生ジテ、其薄葉ノ半ヨリ實ナルコト恰如菩提子、奇物ナリ、

檀香

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0235 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀 唐韻云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀〈仙壇二音、俗云善短、〉香木也、内典云、赤者謂之牛頭http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0235 廣韵同、山田本旃作栴下總本作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 、按龍龕手鑑、栴俗作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651640.gif 、其形略似、按栴檀古借旃字、蓋梵語對譯也、从木俗字詳見於下、然此引唐韻、則從木爲是、〈◯中略〉法華經玄贊云、旃檀者、赤謂牛頭旃檀、黒謂紫檀之屬、白謂白檀之屬、此所引蓋是、〈◯中略〉香要抄引玄贊亦從木、恐皆非是、按慧琳音義云、白檀、唐蘭反、香木名也、白赤倶香、赤者爲上、梵云贊那曩、古譯云栴檀香、是也、法華音訓云、栴檀那、謂牛頭旃檀等、古作旃丹、切韻作栴、非也、是知旃檀梵語、無其字、或作贊那曩、或作旃檀那、或 作旃丹、並一聲之轉、而皆是假借漢字音近者對譯也、從木作栴、俗字耳其檀字亦假音、非樹檀伐檀之檀也、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0236 白檀(○○) 内典云、栴檀白者謂之白檀

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0236引法華經玄贊文、詳引見上條、〈◯旃檀〉嘉祐引陳藏器云、白檀、樹如檀、出海南

〔古事談〕

〈二臣節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0236 四條宮女房大貳局、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀ハ唐土ニモ有ト云、他之女房達、皆天竺之物也、不然云々、此事相論之間、伊房卿宮司之時被尋之處、天竺ニ有之云々、大貳局猶論之仍經信大納言許遣尋之處、同伊房之説、女房達彌令指南、然而大貳局者猶不信伏之間、重令實成卿之處、答云、唐土ニモ有也、赤http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀(○○○)ハ天竺ニ有之、餘紫檀白檀(○○○○)等皆唐土之物也云々、仍大貳局終勝了、于時件女房云、此事者參河前司秀綱ガ申シヲ慥承之也、赤http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀ハ本體也、紫檀ハhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀之黒也、白檀ハhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀之白也、沈香者http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀之沈也、薫陸ハhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 檀ノシル也ト云々、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0236 檀香(たんかう) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000197e6.gif 檀 眞檀 白檀(ヒヤクタン) 紫檀(シタン) 黄檀 赤http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000197e6.gif 檀(シヤクセンタン)、 〈雲南人呼紫檀勝沈香、即赤http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000197e6.gif 檀、〉 本綱、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000197e6.gif 檀不中華、江淮所生、木亦其類、而但不香爾、出廣東雲南及占城眞臘瓜哇渤泥暹羅(ボルネヲシヤム)三佛齋回回等國、今嶺南諸地亦皆有之、有黄白紫之異、樹葉皆似荔枝、皮青色而滑澤、其皮實而色黄者爲黄檀(○○)、皮潔而色白者爲白檀、皮腐而色紫者爲紫檀、其木並堅重清香、而白檀尤良、紫檀新者色紅、舊者色紫有蟹爪文、新者以水浸之可物、皆倶可帶骻扇骨等物、 白檀〈辛温〉 氣分藥、故能理衞氣、而調脾肺、 紫檀〈鹹寒〉 血分藥、故能和營氣、而消腫毒、治金瘡

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0236 檀 有二種、一則西土之檀、屬堅木、一則諸番之檀、屬香木、又和邦眞弓木爲檀木之檀也、西土用以爲車材、伐檀之詩、又云、坎々伐檀是也、和名堅木、此木諸州希有、唯北地賀越間有葉似合歡木、質堅靱作器不破裂、先輩點詩經檀字眞弓者誤也、其誤已久、帋有柦帋、以眞弓木皮之、中鷹帋、大鷹帋是也、此非檀木皮、即本草衞矛樹皮、和名眞弓、此又有二種于衞矛條、又香木之檀有紫柦 白柦黄柦赤柦是也、與若楝條參看、〈隨録〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0237 檀香 ビヤクダン 通名 白檀一名白銀香〈廣東新語〉 欃檀〈通雅〉 旃檀 娜〈金光明經梵名〉 黄檀一名黄英石〈藥譜、石ノ字、事物異名ニ香ニ作リ、輟耕録ニ古ニ作ル、〉 紫檀一名紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006516fc.gif 木〈古今註〉 紫楡〈廣東新語〉 蘇頌檀香有數種、黄白紫之異ト云、大抵三品アリ、檀香ト云フ時ハ總名ナリ、藥ニ入ル者ハ黄檀白檀ナリ、白檀ハ和産ナシ、舶來ニ數品アリ、黄色ナルヲマメノコデノ白檀(○○○○○○○○)ト呼ビ、油色ナルヲアブラキ(○○○○)ト呼ビ、倶ニ上品トス、是黄檀ナリ、内黄ニシテ外白キ者アリ、白キ者ハシラタ(○○○)ト呼ビ、下品トシ、佛前ノ燒香ニ用ユ、又本邦ニテ白檀ノ木ト呼ブ者二品アリ、一ハ樹葉樅(モミ)ニ類ス、俗ニキヤラ木ト呼ブ、漢名詳ナラズ、一ハ扁柏(ヒノキ)ニ類シテ、幹必左繞ス、木理白檀ニ似テ、微シク香氣アリ、故ニ俗ニビヤクダンノキト呼ブ、然レドモ其類ニ非ズ、是事物紺珠ノ左紐柏ナリ、紫檀ハ舶來甚多シ、紫色ニシテ香氣ナシ、木ノ嫩老ニヨリテ色ニ淺深アリ、白檀類ニ非ズ、檀ノ名ニヨリテコヽニ混ジ入ル、

ツクバネ

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三夷果〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0237 都念子 詳ナラズ〈◯中略〉 古ヘヨリツクバ子(○○○○)ニ充ル説アレドモ穩ナラズ、ツクバ子ハ一名コギノコ、タカラマン、〈天台山〉コギノキ、ハゴノキ〈仙臺〉諸州高山ニ多シ、葉ハ水http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b887.gif 樹(イボタノ)葉ニ似テ、末尖リ兩對ス、夏月枝梢ニ花ヲ開ク、四瓣大サ三分許、淡緑色、後實ヲ結ブ、黄豆(シロマメ)ノ大サノ如シ、上ニ四ツノ細長葉ツキテ、正月女兒玩ブ所ノハゴノ形ノ如シ、故ニツクバ子ト名ク、鹽藏シ貯テ食用トス、味榧實ノ如シ、常州筑波山ノ名産ナリ、北國ニハ肥長ニシテ榧實ノ如キ者アリ、漢名詳ナラズ、 増、一種コツクバ子(○○○○○)ト云モノアリ、近山ニ自生多シ、小木ナリ、葉ニ鋸齒アリテ、カウヤバウキノ葉ニ似テ兩兩相對ス、葉邊微シク紫色ヲ帶ブ、四五月葉間ニ花ヲ開ク、本ハ筒子(ツヽサキ)ニシテ、末四瓣ニ分ル、胡麻ノ花ノ如シ、白色ニシテ黄斑點アリ、又黄花ノ者アリ、紅花ノ者アリ、共ニ花後蒂中ニ小子 ヲ結ブ、細長クシテ鍼ノ如シ、コレ汝南圃史ノ金雞樹ナリト云、參攷スベシ、

小蘗

〔本草和名〕

〈十四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 小蘗 一名山石留

〔和漢三才圖會〕

〈八十八喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 小蘗(しこのへい/いぬきはだ) 子http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000004.gif  山石榴 金櫻子、杜鵑花、並名山石榴、同名異物也、〈◯中略〉 按、小蘗葉似柹而狹長、其子大如豆、生青、熟淡紫色、中有三子、黒色、似山椒子、〈苦辛甘〉名志古乃倍伊、用洗眼良、樹皮可以染http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 黄、僞充黄栢、不辨、其材爲板旋箱、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 小蘗 メギ(○○) ヨロヒドウシ(○○○○○○) メグイ(○○○)〈雲州〉 ゴガ子ヱンジユ(○○○○○○○)〈紀州〉ニツケイイバラ(○○○○○○○)〈能州〉 コトリスハラズ(○○○○○○○)〈勢州〉 山中ニ多シ、高サ五六尺、枝多ク繁茂ス細刺多シ、葉ハ枸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 葉ニ似テ、短ク肌美シ皆對生ス、一種圓葉ノ者アリ、共ニ春新葉生ジテ後花ヲ開ク白色、大サ二分許、葉間ニ下垂ス、花後實ヲ結ブ、形赤小豆ノ如ク、秋冬熟シテ赤シ、春ニ至レバ黒色ニ變ズ、木皮白色、粗皮ヲ削リ去レバ鮮黄色ナリ、故ニ古ハ黄芩ニ僞リシコトアリ、唐山ニテハ染料ニ用ユルコト集解ニ見ヘタリ、又コノ木ヲ以テ箸トナス時ハ、口臭ヲ去ルト云、和方ニ洗眼ノ藥トス、故ニ目木(メギ)ト云、根モ亦鮮黄色ナリ、

南天燭

〔下學集〕

〈下草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 南天(○○)〈又云南天草(○○○)、見本草、亦名南燭、其實赤如燭火、故云爾、爰日本俗云南天竺何哉、本草不此三字、只云二字而已、愚推之、天竺國有東西南北中之五、恐世俗欲南天二字、語言順下而連呼南天竺乎可本説也、〉

〔易林本節用集〕

〈奈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 南天(ナンテン)〈南木香(モクカウ)〉

〔書言字考節用集〕

〈六生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 南天(ナンテン)〈本草、本名南燭、俗謂之南天燭(○○○)、木而似草、凡有八名、〉

〔壒囊抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 常ニ南天竺ト云木ヲ、只南天ト云ベシト云人有如何、 誠多分南天竺ト云共、本草ニハ南天草木ト云、亦ハ南燭ト云ゾ、其實赤シテ如燭火、故ニ云爾也ト、然共南天竺トハ不云、若俗語歟、

〔大和本草〕

〈十一園木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0238 南天燭 本草灌木類ニノセタリ、移シ植ルニ易活、移シタル年花ツボミヲ盡折去ベシ、不然木衰フ、肥壤ノ地ニ植ヘ、時々糞ヲ施セバ、榮ヘ美ハシク實多シ、綱目ニ載タル沈括ガ筆 談ノ説當レリ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0239 南天燭 南燭草木 南燭 惟那木 男犢 猴菽草 牛筋 烏飯草 染菽 墨飯草 楊桐〈◯中略〉 按南天燭〈俗云南天〉畫譜名闌天竹、其葉儼似竹生子成穗、紅如丹砂、經久不脱、植之庭中、可火災甚驗、亦可糖蜜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 食、 原生山中、故性惡濕、糞之茶煎滓或注米泔水亦可也、種子能生、其子朱赤色、剥皮内白如大豆肉二片、未紫色内有細子、近頃出子白南燭以爲珍、凡用南燭葉、布於饋飯(コハメシ)、以檜葉於饅頭之、皆以毒也、凡此樹雖長、而山陽地有大木、作州土州之山有長二丈餘太周一尺二三寸者、作枕俗謂邯鄲枕、〈邯鄲枕事、見中華卷、〉以希有之物之耳、遠州一宮滿山皆南天實盛甚美、

〔南留別志〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0239 一なんてんは南天燭なり、田舍の人、なんでんぢくといふ、又らんてんといふ人あり、八種畫譜に、蘭天竹といへり、からもやまとも、らとなとは通ふなるべし、

〔本草綱目譯義〕

〈三十六灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0239 南燭 ナツテン(○○○○)、ナンテンノ轉也、ナビテン(○○○○) ランテン(○○○○)〈上總〉 三葉〈和方書〉是ハ人家ニ多シ、小木多シ叢生ス、年久シケレドモ餘大ナラズ、間ニハ本大ク也、末ノ分リタルアリ、コレハ至テ少也、田舍ニハ高サ丈餘ニナリ、百本ホドモ叢生スルアリ、少ナリ、ドレモ杪ニ葉出テ本ヘ不出、葉センダンノ形ニ似タリ、〈◯中略〉八九寸計花多クツク、開テ三分ホドノ大サ五瓣也、花後實生ズ、圓ニシテ大サ三分計、熟シテ赤クナルハ一通リノ者也、熟シテ白クナルアリ、藤色モアリ、フヂ色ニナルモノハブチナツテン(○○○○○○)ト云、白クナルモノハ白ナツテン(○○○○○)ト云、ドレモワレバ白キタ子アリ、實バヘ出來易シ、此外ニヒラギナツテン(○○○○○○○)ト云アリ、葉鉅齒アリテ、ヒラギノ葉ノ如シ、本加賀ノ山中ヨリ出ヅ、今ハ花戸ニ多シ、藤ノ葉ノ如ク葉ニ枝ナシ、葉長シ居止アリ、居止ノ先刺ニナル也、是ハナツテンニ非ラ子ドモ、葉ノ出ヤウナツテンニ似タル故、ナツテント名ヅケシナ リ、トウナツテン(○○○○○○)〈生州〉ヒラキマメ(○○○○○)〈京〉ヒイラナツテン(○○○○○○○)、〈土州〉此花ハ常ノ南燭トチガヒ長クホニナリ、大豆ノ花ノ如ク黄色ナリ、此ハ漢シレズ、常ノナツテンモ國ニヨリ大木アル也、美濃山中ニモ床柱トナルホドノ大木アリト云、土地山中ニモアルト云、間ニ額ナドニナルアリ、巾二尺計モアルト云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0240 南燭 ナンテン(○○○○) ナツテン(○○○○)〈京〉 ランテン(○○○○)〈上總〉 三葉〈和方書〉 一名闌天竹〈八種畫譜〉 南天竹〈通雅〉 天竹〈同上〉 南天竺〈秘傳花鏡〉 大椿〈同上〉 黒飯樹〈古今秘苑〉 烏飯子〈先醒齋筆記〉 南竺枝子〈同上〉 烏飯葉〈藥性奇方〉 烏葉〈本經逢原〉 烏草〈類書纂要〉 天燭〈握靈本草〉 南天燭日〈茅山志〉 惟那木之王〈同上〉 南草木〈夢溪筆談〉 南續〈大觀本草〉 楊桐草〈石南發明〉 人家ニ多ク栽ユ、葉ハ楝葉(センダンノ)ニ似テ鋸齒ナク、冬ヲ經テ枯レズ、五月枝頭ニ長穗ヲ出シ、多ク枝ヲ分テ花ヲ開ク、五出ニシテ白色黄蘂、後圓實ヲ結ブ、熟シテ色赤シ、春ニ至リ猶アリ、一種白實ナル者アリ、一種淡紫實ナル者アリ、フヂナンテント云、凡ソコノ木多ク叢生ス、一叢百餘株ナル者アリ、南土ニハ柱トナスベク、扁額トナスベキ者アリ、花戸ニ一種ヒラキナツテント呼ブ者アリ、一名ヒイラナンテン、〈土州〉唐ナンテン、〈勢州〉此木元ト加州ヨリ出、葉ニ大刻アリテ枸骨木ノ如シ、花ハ穗ヲナシ黄色、形豆花ノ如シ、是別種ニシテ、南燭ノ類ニ非ズ、漢名詳ナラズ、 増、一種チヾミ南天(○○○○○)アリ、葉小ニシテ縮ミアリ、又イカダ南天(○○○○○)ハ葉ノ蒂扁シ、細葉ノ南天アリ、葉極テ小ナリ、ツル南天(○○○○)ハ莖細ク葉細ク柔ナリ、又葉ニ斑ノ入タルアリ、コレニ黄斑白斑アリ、又黄實ノモノアリ、深紫色ノモノアリ、

〔剪花翁傳〕

〈前編三五月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0240 南燭(なんてん) 花白也花莖小枝ありて、小英群攅て一房をなせり、開花五月、方半陰(かげ)、地三分濕、土回塵(まひごみ)、肥えらばず、分株、移ともいつにてもよしhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651547.gif (さしき)春ひがんにすべし、接同節寄接也、實は十月に熟す、赤あり、白あり、また一種筏葉といふあり、葉の莖三本づヽ、並びて、筏に似たり、又葉の 柊(ひらぎ)のごとくなるものあり、いづれも插花に用ふる也、此幹を撓めむすぶ、方紙を枝に卷て水を浸し火にかけて燒ば、自由に曲るといふ、傳は大概同じけれど、其傳のごとくしてならざることあり、是は理のみを知て、其わざに拙きゆゑなり、此紙を卷を雜巾に換て卷べし、又水に浸すを、沸湯を澆ぎて火に炙るべし、さて火氣通るまで炙て、一時には曲りがたしいまた和らがざる所はよく炙て徐々に撓る也、急速にすれば彈ける也、さて曲結て冷水に入るれば反ることなし、是燒刃を入るにひとし、幹は二年物三年物よし、是傳也、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0241 狗骨南天(ひらぎなつてん) 〈俗稱〉 按、近頃自賀州山中異樹、其木身皮枝状似南天燭、葉亦不甚厚、有南天葉様而有五尖刺、兩兩相對、一朶十二三葉、三月開小黄花、夏結實似狗骨子(ヒラキノミ)而黒色、乃狗骨與南天相半者、

木蘭

〔本草和名〕

〈十二木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0241 木蘭、一名林蘭、一名杜蘭、出大宰

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0241 木蘭 本草云、木蘭一名林蘭、〈和名毛久良邇(○○○○)〉

〔大和本草〕

〈十二花木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0241 玉蘭花(モクレンゲ) 園史遵生八牋花史等ニ詳ニ記セリ、花紫白ノ二種アリ、國俗紫ヲ木蓮ト云、花色アシヽ、白ヲ白木蓮ト云、白花ヲ爲好、 老學菴ガ筆記ニ記セル木蓮ハ、與之不同、 酉陽雜俎續編曰、木蓮、花葉似辛荑、花類蓮花、色相傍、今案ニ、辛夷ト相類ス、故ニ相接ベシ、冬ツボミヲ作リ三月ニ開ク、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0241 木蘭 木蓮 杜蘭 林蘭 黄心 和名毛久良邇〈◯中略〉 按木蘭出於和州大峯者花如山茶花(ツバキノ)、六月開有紫白二種、未紅黄者也、 畫譜云、木蘭花未開者、澆以糞水則花大而香、其瓣擇沈精潔麵油煎食、

〔草木性譜〕

〈人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0241 木蘭(もくらん/もくれん) 〈附〉玉蘭( /はくもくれん) 處々に植、春時枝頭毎に背濃紫色面白色の一花、新葉と倶に開く、状蓮華の如し、蕋あり香氣を發す、七瓣八瓣あり、實を結ばず、凡萬花陽に隨て開く、然るに此花悉く陰に隨ふ、蓋し陰木なるべし、秋時蓓蕾を生ず、悉く陰に隨ふ、状筆頭の如し、秋後其葉墜、又玉蘭は花を先にし葉を後にす、木蘭より早く開花し、八瓣或は九辨、面背純白色、状木蘭の如し、蕋あり亦香氣を發す、實を結ぶ、其色紅紫鱗甲あり、頂に濃紫色の皮有て、兩裂すれば中に子あり、朱色なり、其全形蟲の朱丸を咥(くはへ)たるが如し、甚熟しがたく、夏中に落る者多し、其花亦悉く陰に隨ふ、秋時枝頭毎に蓓蕾を生じ、即陰に隨ふ、秋後其葉墜、又一種瓣下紫色にして、木蘭と倶に開花する者あり、是皆接換して能活す、其性全く木蘭に似たりといへども、舊説辛夷( /こぶし)の一種とす、然れども玉蘭の花陰に向は、木蘭の性なり、辛荑の花は陰に向はず、玉蘭を以て辛荑の一種とするは穩ならず、本草綱目辛荑集解云、時珍曰、有白色者、人呼爲玉蘭と而已ありて、其形状を釋せず、甚疏漏なり、此説は辛夷中の白花なる者にして、今云ふ玉蘭に非ず、疑らくは同名異品ならむ、玉蘭は木蘭の一種なり、物理小識云、玉蘭即木蘭、大理府志木蓮花樹高大花如蓮、有青黄紅白四種、白香山言忠州有木蓮花、王元美謂即玉蘭、智按るに、玉蘭春初開、木蓮四月花、蓋亦有別と、辛夷は花を先にし葉を後にす、玉蘭は辛夷の如し、故に辛夷の一種とす、然れども櫻に花を先にし、葉を後にするあり、是を以てこれを推ときは、則花葉の先後を以て一槩に別種とするは非なるに似たり、尚後の君子の明辨を俟つのみ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0242 木蘭 モクレンゲ シモクレン 一名生庭〈名物法言〉 女郞花〈粧樓記〉 庭院ニ多ク栽ユ、叢生ス、木高サ八九尺、葉大ニシテ柹葉ノ如ク末廣シ、長サ七八寸光澤アリ、春新葉ヲ互生シ、初夏枝上ゴトニ一花ヲ開ク、七八瓣、形蓮花ノ如ク、辨狹クシテ、外ハ深紫色、内ハ白色微紫、香氣アリテ瑞香ノ如シ、中ニ寸許ノ心アリ、形筆頭ノ如ク、紫刺亂布ス、汝南圃史ニ、如小浮屠ト云、周邊ニ黄蕋アリ、唐山ニハ白花黄花モアリト云、本邦ニハナシ、今世ニ白木蓮ト呼ブ者ハ、玉 蘭ニシテ木蘭ノ類ニ非ズ、辛夷ノ下ニ詳ナリ、 釋名、杜蘭ハ石斛ト同名、林蘭ハ、石斛及http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065163c.gif 子(クチナシ)ト同名、木蓮ハ、木芙蓉(フヤウ)及蔓草ノ木蓮(イダビ)ト同名、

辛夷

〔新撰字鏡〕

〈木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷〈山阿良々木(○○○○○)〉

〔同〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷〈山蘭、形如桃子小時、又云比岐佐久良(○○○○)、亦云志太奈加(○○○○)、〉

〔本草和名〕

〈十二木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷一名辛矧、〈楊玄操音尸軫反〉一名候桃、一名房木、一名候新、〈出雜要訣〉和名也末阿良良岐、

〔倭名類聚抄〕

〈十六薑蒜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷 崔禹錫食經云、辛夷〈和名夜末阿良々木、一云古不之波之加美(○○○○○○○)、〉其子可之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四鹽梅〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 本草和名云、和名也末阿良良岐、新撰字鏡又云、辛夷、山蘭、又云、辛夷、山阿良良木、又荑、山阿良良支、並不古不之波之加美之名、夜万阿良良岐、又見催馬樂妹與我、按辛夷、其樹生山中、味辛如蘭蒚草、故名夜万阿良良岐、其花未發似人拳、味辛如椒、故名古不之波之加美、後俗省呼古不之、見古今著聞集、今俗亦然、〈◯中略〉本草陶注云、辛夷形如桃子小時、氣辛香、蘇注云、其樹大連合抱、高數http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065163d.gif 、葉大於柹葉、所在皆有、蜀本圖經云似柹葉而狹長、正月二月花似毛小桃、色白而帶紫、花落而無

〔大和本草〕

〈十二花木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷(コブシ) 葉ハ柹ノ葉ニ似タリ、大木アリ、其花イマダヒラカザル時、ツボミ筆ノ如シ、故ニ木筆ト云、二月ニ白花ヒラク、外紫ニ内白シ、玉蘭(ハクモクレン)ニ似タリ、玉蘭ノ枝ヲ辛夷ノ臺ニツゲバ能活ス、葉ハ花ノ後ニ生ズ、南國ハ春ニ先ダツテ花ヒラク、故迎春花ト云、實ハ其形桃ノ如クナリ、ウスキ苞アリテ、其内ニ子多クツヽメリ、半ハ苞ノ外ニ出、其實紅ニシテ相思子(ナンハンアツキ)ノ如シ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷 辛雉 候桃 房木 迎春 木筆 俗云古不之 幣辛夷〈之天古不之◯中略〉按辛夷處處人家亦栽之、賞其花美、一種有白花八重者、婆娑如幣、俗呼曰幣辛夷

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0243 辛夷 ヤマアラヽギ(○○○○○○)〈和名抄〉 コブシハジカミ(○○○○○○○)〈同上〉 コブシ(○○○) コボウシ(○○○○)〈越前〉 コボシ(○○○)〈丹波〉 一名猪心花〈秘傳花鏡〉 望春〈同上〉 報春花〈寧波府志〉 朝天木蓮花〈藥性要略大全〉 朝天蓮〈同上〉 侯木〈野菜博録〉 流夷〈蘇民韻輯〉 新雉〈同上〉 玉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a485.gif 〈花暦百詠〉 辛彜〈江南通志〉 コブシハ山中ニ自生アリ、其木高大枝條繁密、枝梢ゴトニ夏ヨリ蕾ヲ生ズ、形筆頭ノ如シ、秋冬ヲ經、葉已ニ落テ後漸ク大ナリ、色白微褐ノ毛アリテ小桃ノ如シ、故ニ釋名ニ木筆ノ名アリ、二三月ニ至テ、未ダ葉アラズシテ先ヅ花ヲ開ク、木蘭花ニ似テ小ク、六瓣白色ニシテ紅條アリ、一種淺紅色ナル者アリ、ムラサキコブシ(○○○○○○○)ト云、花史左編ノ紅石蕎、本草彙言ノ紫蘭ナリ、時珍ノ説ニ、有白色者人呼爲玉蘭ト云ハ、和俗白木蓮ト呼ブ者ナリ、一名ヲホコボシ(○○○○○)、〈丹波〉イトマキザクラ(○○○○○○○)、〈南部〉即辛夷ノ一種ナリ、樹ノ高サ二三丈、仲春花ヲ開ク、大サ木蘭花ノ如シ、形モ相似テコブシヨリ大ナリ、香氣多シ、色白シテ微緑ヲ帶ブ、花謝シテ後新葉ヲ生ズ、辛夷品類皆然リ、一種シデコブシ(○○○○○)アリ、一名ヒメコブシ(○○○○○)、木ノ高サ二三尺、或ハ丈許ニ至ル、枝條繁密同時ニ花ヲ開ク、大サ三寸許、細瓣長サ二寸許ニシテ十二三瓣アリ、色白シテ一ツノ淡紫條アリ、瓣ゴトニ曲リ亂ル、故ニシデコブシト呼ブ、又白花ノ者紫紅花ノ者アリ、

〔剪花翁傳〕

〈前編一正月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0244 辛夷(こぶし) 花八重ともいふべきなれ、色淡紅、開花早きは正月末より三月まで咲也、方日向、地二分濕、土撰ばず、肥大便寒中入べし、接木蓮華砧に春彼岸寄接にすべし、移秋(うゑかへ)彼岸よし、水は自然に升ることもあり、もし上ざるときは、切口を割て蜀椒を三四箇木の大小に應じ挾み、水器(いけだめ)に入おき、水上て後插花にすべし、 四手辛夷(しでこぶし) 花の色淡紅、形四手のごとく、下に垂れ咲也、開花正月末なり、育方水升の方、共に辛夷に並び同じ、

〔夫木和歌抄〕

〈二十九こぶし〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0244 民部卿爲家 うちたえて手をにぎりたるこぶしの木心せばさをなげく比哉

〔催馬樂〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0244 呂 妹與我〈一段、拍子十、〉 いもとわれと、妹とわれと、いるさの山の、山あらヽぎ(○○○○○)、手なふれそや、かをかをすがにや、かをまさ すがにや、

厚朴

〔本草和名〕

〈十三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0245 厚朴、一名厚皮、一名赤朴、樹名捺〈楊玄操音乃帶反、又作榛、音津、〉子名逐折、一名重皮、〈出釋藥性〉和名保々加之波乃岐(○○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0245 厚朴〈重皮附〉 本草云、厚朴一名厚皮、〈楊氏漢語抄云、厚木、保保加之波乃木、〉釋藥性云、重皮、〈和名保々乃加波〉厚朴皮名也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0245 本草和名厚朴條云、一名重皮、出釋藥性、無厚朴皮名也五字、及保々乃可波之訓、保々乃加波、疑源君所訓、厚朴皮名也、亦源君之解釋、非釋藥性舊文、按、説文云、朴木皮也、蓋其樹名榛、見本草、其皮厚重、故名其樹厚朴、或云厚皮、或曰重皮、廣雅云、重皮厚朴也、是也、此以厚朴木名、以重皮皮名、非是、陳藏器餘、浮爛囉勒、生康國、似厚朴也、

〔伊呂波字類抄〕

〈保殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0245 厚朴〈ホヽカシハ〉

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0245 厚朴(ほヽのき/かうぼく) 烈朴 赤朴 厚皮 重皮 樹名榛、子名逐折、 和名保々加之波乃木 今云保々乃木〈◯中略〉 按厚朴葉大者近尺、似檞葉而無刻齒淺緑色、冬凋春生嫰葉、夏開花、状似牡丹花而淺紫色、大一尺許、隨結實似冬青子、而熟則殼自裂、裏赤中子黒、老木皮有鱗皺、剥入藥用、膚白理密微帶黄、作刀劒鞘或釐等奩蓋、其葉四季不凋者、花紅細者、並不當、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0245 厚朴 有三種、自漢來者爲眞正、應于本艸赤朴紫朴之名、和産者保部乃木、轉訓木音保部是也、此物又可用、又近世先輩據河澗府志所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 述、以加條木皮眞厚朴、即諸書所謂糙葉樹、和名女無垢乃木、〈愚〉竊謂、如加條木皮、乃河澗一府之郷藥、而非天下通套之厚朴、猶海州人以老翁花漏蘆、朝鮮俗認葳蕤防己之類、不輕易信用也、凡本艸之例、有專指一物、人參黄茋當歸白朮甘艸川芎等之品是也、如彼厚朴苦竹http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5b8.gif 覆盆之類、則非一物、故雖諸説各不同、而其用乃一也、世醫不 察、欲概與參茋歸朮等品同以一物http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 之、宜哉、其遂無歸一之論也、樹皮樸素重厚者、皆名以厚朴、何物泥一物乎、又有單稱朴樹、詩之國風云、隰有六駁、駁與朴通、以其樹皮麁糙朴素之朴、其皮上生白斑點者曰駁、駁猶駁馬之駁、文字雖異、而其實一物也、又物理小識謂之、奚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065163f.gif 樹、和名惠乃木、此即楡之一種也、俗用榎字者非也、榎則榎、楚之榎與檟通別物也、註家或有誤連六駁樹名、猶關睢鳥名、以遊龍葒艸之類、六駁者猶六株、駁樹擧其株數之辭也、與其朴樹相似而皮色赤紫、重厚者通謂之厚朴、保宇乃木皮色赤褐、質重厚可以充厚朴、況本邦古今諸名家通用有效驗乎、如彼加條木皮、則群書之未經見者、何以偏鄙兎園之僻談而足以決http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 眞乎、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十四喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0246 厚朴 詳ナラズ 一名淡伯〈輟耕録〉 榛樹皮〈本草備要〉 厚薄〈證類本草〉 舶來ニ數品アリ、皮厚ク紫褐色ニシテ潤ヒ、味苦辛ナルヲ撰ブベシ、是紫油厚朴ナリ、皮薄ク味苦甘ナル者ハ、山厚朴ニシテ下品ナリ、本草原始ニ、肉厚色紫油潤者佳、故俗呼紫油厚朴、山厚朴、肉薄而色淡不用ト云リ、コノ外數品アリ、皆眞ニ非ズ、和名抄ニ厚朴ヲホヽノカハト訓ズ、故ニ今モホウノ木ノ皮ヲ、和ノ厚朴トスレドモ非ナリ、舶來ニモコノ皮ヲ雜ユ、然レドモホウノ皮ハ味酸シテ苦辛ナラズ、時珍ノ説ニ五六月開細花ト云時ハ、ホウノキノ花大サ尺ニ近キ者ト異ナリ、又葉如蘗葉ト云時ハ、ホウノ木ノ葉ノ長サ尺餘ナルニ異ナリ、 附録、浮爛羅勒、 ホヽガシハノキ〈和名抄〉ホウノキ深山ニ多シ、大木ナリ、葉ハ檞葉(ハヽソノ)ノ如ニシテ鋸齒ナク、長サ一尺餘、枝梢ニ簇リ互生ス、夏月上ニ一花ヲ開ク、形玉蘭花ニ似テ、大サ尺ニ近シテ香氣多シ、花中ニ紫心アリ、又玉蘭ニ似テ大ナリ、花謝シテ心中紅子ヲ吐シ、萬年青子ノ如シ、年久シキ者ハ樹皮厚シテ、舶來ノ厚朴ニ似タリ、然レドモ酸味アリテ嘔ヲ發シ易シ、故ニ用ユル者炒炙ス、即商州厚朴ニシテ眞ニ非ズ、 増、近年藥肆ニタフ皮ト稱スルモノヲ售ル、甚厚ク紫色ニシテ、舶來上品ノ者ニ似タリ、故ニ奸商 唐厚朴ニ僞ル、然レドモ其味惡ク、且ツ竪ニ白キ筋アリ、意ヲ注テ辨別スベシ、コレ天竺桂(ダモノキノ)皮ニシテ厚朴ノ類ニアラズ、今藥舖ニ薩州甑島ノ厚朴ト稱スルモノアリ、舶來ノ厚朴ニ代用スベシ、又萬病回春ニ白子朴ノ名アリ古來ヨリ詳ナラズ、コレ厚朴ナルベシ、白子ノ二字ヲ一字トスレバ、厚ノ字ニ近シ、傳寫ノ誤ナリ、

〔牛馬問〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0247 和のホウノキといふて、秤の覆ひ、刀の鞘に用ゆる木は、漢土に於て見證なし、此木と梅干とは大毒なり、此木の上に置たる梅干を食ふべからず、必ず死すといふ、本朝の俗醫、此ホウノキを以て、唐の厚朴と心え、和の厚朴と號し、藥用する事、大なる僻事也、厚朴は和産なし、ホウノキは漢土なし、故に文字なし、ホウノキは冬に至りて葉落、厚朴は冬不凋、たま〳〵其木の似たるのみ、藥用には必ず唐なるものを撰て服すべし、總じて和産なきもの、近年唐種にして和産するもの多し、又可知、

〔剪花翁傳〕

〈前編二三月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0247 厚朴(こうぼく) 俗にほうの木といふ、花八重一重、色白形木蓮花に似たり、開花三月中旬、葉先出で後花咲なり、是山生のもの故に、育方隨意にすべし、丹波路に多く産す、

〔採藥録〕

〈五木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0247 厚朴 ホウノキ 春秋皮ヲ取リ日乾スベシ、舶來ハ檞皮ニ似タリ、本邦ニモ一種深山ニ生ズル者、葉稍小ニシテ皮檞ノ如シ、

〔榮花物語〕

〈三十鶴林〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0247 またこのほどに、あさましうあはれなりつる事は、侍從大納言〈◯藤原行成〉の同じ日よりあやしうれいならぬかぜにやとて、朴をまゐりゆゆてなどして、心み給ひけれど、いとくるしうのみおぼされければ、いかなるにかと覺し、殿のうちも、よろづに御いのりもさはぎけるに、四日〈◯萬壽四年十二月〉のよさり、とのヽ御まへ〈◯藤原道長〉のおはらせ給ひしおりにこそ、うせ給にけれ、

ヲガタマノ木

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0247 をがたまの木 をかたまの木は日向國にある樹の名なり、葉のさまは榊などのやうにて、表青く裏白みあり、實は數十顆、房をなして一顆づヽ殼われて、赤き子のあらはるヽこと、辛夷(こぶし)の實のごとし、樹に香氣あり、漢名いまだ詳ならず、

〔茅窗漫録〕

〈中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0248 ヲガ玉木 古今集物名に出でたるをがたまの木は、古今傳授にて、往古より秘説とせり、傳授に御賀玉(オガタマ)木と唱へ來れり、それには譯のある事なり、をがたまの木は榊なりといふより、御賀玉と書き傳へり、是は度會社家の據とする神名帳秘書に、興玉(オキタマ)社无寶殿、以賢木神殿也といひ、對馬の藤齋延が説に、諸神本懷といふ書を引きて、八神殿不御體、唯用賢木也といふにより、御賀玉興玉とおなじ假名に用ひ來れり、興玉社は伊勢にて猿田彦太神を祭るといへど、社壇のみにて社はなし、二見浦立石の邊に興玉石といふもあり、されどもをがたま御賀玉(オガタマ)の假名相違へり、御は大、御など略して於と書くときは、御の假名にて、をがたまと書くときは、御の假字にあらず、故に御賀玉興玉より牽強して、榊なりといふも妄説なり、一説にをがたまは招魂(ヲキタマ)の義にて、伊勢神宮の禰宜の寶ををがたまといふ、〈キタノ反カ〉此等は似よりたる説にて、招は古事記に遠岐、日本紀に招(ヲキ)禱とよみて、をがみなり、因て考ふるに、をがたまの木は、をがみたまの木なり、天武紀に、招魂みたまふりとよめり、神を祭る時、御魂をがむ木なり、日本紀に設齋二字、又齋字をがみとよめり、齋(ヲガ)むとき用ふる木は、玉柏(タマカシハ)なり、日本紀竟宴の歌に、 玉柏をがたまの木の鏡葉に神のひもろぎそなへつるかな、此歌をがたまの明證にて、延喜天慶の頃まで傳へ來りし事と見ゆ、此邦上古は、凡べて飮饌の類、皆柏葉を以て器とす、柏をかしはと訓ずるは、堅葉(カシハ)の義にあらず、食鋪葉(ケシキハ)の省言なり、萬葉集第二、 家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉にもる、柏葉のみならず、凡べて木葉をかし はといふ、仁徳紀分注に、葉此云箇始婆とあり、鏡葉(カヾミハ)は神代紀岩窟章の故事をとれり、柏葉にひもろぎを盛りて、神を祝ひをがむなり、萬葉集第十一に、 神並にひもろぎたてヽ齋へども人の心は守りあへぬも、同十二に、 はふり等がいはふ三諸の十寸(マス)鏡かけてぞしのぶ見る人なしに、此玉柏の木、即ち神の御魂を祭りをがむ木なり、顯昭曰祭神時以柏葉、爲葉盤盛飯菜、〈按ずるに、今人酒肴を臺に盛るに、青き木葉などを舖くも、神代よりの遺風なり、〉其柏葉を後世葉守の神といふは、盛と守と同訓なる故なり、大和物語に、 柏木に葉守の神のましけるをしらでぞ折りし祟りなさるな、〈此歌、清正集にも載せたり、後撰集には、上句ならの葉の葉守の神とあり、〉新古今に、藤原基俊、 玉柏しげりにけりな五月雨に葉守の神のしめはふるまで、枕草紙〈木といへる部〉柏木いとをかし、葉守の神のますらむとかしこしと書けり、此事漢土にも聞ゆると見えて、北史倭國傳に、俗無盤俎、藉以檞葉、〈檞葉はかしの葉なり〉又此柏葉より事起りて、神武紀の葉盤八枚(ヒラデヤツ)、仁徳紀の御綱葉(ミヅナカシハ)、持統紀の柏手(カシハデ)及び拍八開手(ハビラ)、打天枚手(ヒラデ)、大嘗會柏殿も、皆々此より出づるなり、〈大嘗會柏殿は、兼良公の大嘗會和宇抄に委しく見ゆ、〉坂井兼政が著はせる三貫柏〈卷二〉に、御綱柏又三葉柏、又三角柏、俗に御祭葉、又俗に葉盛葉、木は桐に似て枝多し、莖赤くして又芽赤し、故に赤芽柏ともいふ、藻鹽草に、伊勢の御裳川の岸に生ふる柏なり、是をとりて神供をもそなへ、又占をもするなり、 占をする事、是も神名帳秘書に出でヽ、年の豐凶をしるよし、未木集の歌、祭主輔親の歌、禰宜氏良、寂阿小侍從、神祇伯資茂俊頼などの詠、諸書に多く載せたれども、是にあづからざれば載せず、 古事記に、大后爲豐樂而於御綱柏、幸行木國といひ、應神記に聞看豐明之日、於髮長比賣大御酒柏とあるも、皆此柏にて、承和大嘗會悠紀方歌に、蓑山に繁(シヽ)に生ひたる玉柏豐の明に逢ふ がたのしき、とよめるもおなじ、本草綱目〈喬木類〉に載せたる梓是なり、此木冬は葉落ちて、春新葉を生ず、大三四寸、形三尖にして、細鋸齒あり、嫰葉は全く赤くして藜に似たり、長じて青色に變ず、故に赤芽柏の名あり、夏の頃枝の末毎に花を發く、黄白色叢生して傘を張る、花後小實を結ぶ、大さ南天燭子のごとく軟刺あり、初青く後茶褐色にして枯る、其實熟すれば、四つに發けて、中の子椒目のごとく色黒し、西國にては、今も此葉を採りて、御祭葉と名づけ、神供を盛るなり、されども此をがたまの木は、古今傳授といふ事になりて、種々の説あり、一決せず、一説には門松の下に立つる木ををかたまの木といふもあり、又岡靈(ヲカタマ)の木といふもあり、定家卿の説に、鳥柴をいふともあり、貞徳自筆の和歌寶樹には、宗祇の切紙を難じて、三箇ならで古今集の奧儀は、歌序の中に多き事なりといへり、又後奈良院享祿元年十一月十六日、古今御傳授逍遙院申さるヽと、御湯殿の記に見えたり、又外に一種日向國小戸窟の邊より出だすをがたまの木あり、是は通雅に見えたる楊桐(サカキ)の種類にて、神代に用ひたるかしはとは、大に異なるやうに覺ゆ、先年日向より予〈◯茅原定〉が門に來りし書生、一枝を贈る、寫眞しおけり、〈◯圖略〉

〔紀伊續風土記〕

〈物産六下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0250 岡玉乃木(ヲカタマノキ)〈古今集、樹大なるは丈餘、葉互生して、大さ竪三寸、幅一寸半許、本細く末濶く、鋸齒なく邊脈反る、正月の末、葉の本より小枝出て穗をなし、開花は白色、瓣莘荑花の短小なるが如く、花中紫色あり、一花毎に實を結び、纍(ルイ)々として神樂の鈴の如く、秋深く實の皮裂て、中に赤仁三四顆づヽあり、殆海桐の實に類す、日向高千穗峯にあるヲガタマノ木は此木にあらず、前條のガウマルなり、〉 牟婁郡那智山、及名草郡日前宮國造家庭中、其餘人家處々に稀にあり、

〔古今和歌集〕

〈十物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0250 をかたまの木 とものり みよしのヽ吉野の瀧にうかびいづるあはをかたまのき(○○○○○○)ゆとみつらん

莽草

〔本草和名〕

〈十四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0250 莾草〈陶景注云、字或作芮、音http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651541.gif 、〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651542.gif 〈楊玄操音已爾反〉一名春草、和名之岐美乃木、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0250 莾草 山海經注云、莾草〈和名本草云、之木美、〉可以毒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 魚者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0251 下總本之歧美作安世美、按本草和名木部下云、莾草和名之歧美乃木、則作安世美、非是、蓋上文樒訓之歧美、故後人改此之歧美安世美、以避重複也、恐非源君之舊、〈◯中略〉中山經云、朝歌之山有草焉、名曰莾草、可以毒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 魚、此所引即是、

〔萬葉集〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0251 二十三日〈◯天平勝寶八歳十一月〉集於式部少掾大伴宿禰池主之宅飮宴歌 於久夜麻能(オクヤマノ)、之伎美我波奈能其等也(シキミガハナノゴトヤ)、之久之久伎美爾(シクシクキミニ)、故非和多利奈無(コヒワタリナム)、

〔夫木和歌抄〕

〈二十九櫁〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0251 六帖題しきみ 衣笠内大臣 しきみ(○○○)つむ竹のはなこのはかなさもまことのみちにいらざらめやは

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0251 莽草 是シキミノ木也、國俗抹香トシテ佛前ニタク、皮モ葉モ用ユ、本草毒艸部ニノストイヘドモ、宗奭ガ説、木ナル由イヘリ、宗奭ガ説ヨクシキミニ合ヘリ、入門似石南、順和名ニモ莾草ヲシキミト訓ズ、可以毒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 魚者也トイヘリ、毒木ナリ、其實ヲ食ヘバ死ス、シキミトハアシキミ也、有毒故名ヅク、小兒ヲ戒メテ食ハシムベカラズ、又樒ノ字日本ニシキミトヨム、順和名ニモ亦シキミト訓ズ、莾艸ト別物ナリヤイブカシ、シキミノ葉ヲコクセンジタル温湯ヲ以、腫物風http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f20.gif 皮膚ニ滯ルヲ洗フ、有蟲、小瘡ヲ洗フ、甚驗アリ、有毒故也、又蛙牙(ムシクヒバ)腫痛ニ、濃煎、湯熱含、吐之漱口勿嚥、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0251 木蜜 蜜香 沒香 多香木 阿http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651546.gif  櫁〈音密、唐韻云香木也、〉 和名之木美 又枳椇木(ケンホノナシモ)亦名木蜜、與此不同、〈◯中略〉 接志木美、武藏、伊豆、淡路、丹波、播磨多有之折枝供佛、葉似冬青(マサキ)、而淺青色、此與本草所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 言〈木密葉似槐而長、沈香葉似冬青葉、〉稍異、摘葉略有椒氣、六月開細白花、結實、青白色如天蓼子、熟則裂破、有中子五六顆、大如豆而潤滑、味甘、人食之、多食則酔、恐可小毒、山雀喜食之、呼枝葉花、採皮及葉乾末焚香、名之枺香(マツコウ)、浮圖一日不之、辟氣尸注惡氣之功宜哉、登愛宕山人必求櫁歸、其葉不水者枯亦不落、如雷震非常時於竈、亦有據、

〔閑窗瑣談〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0252 櫁(しさみ)の功能 世の人櫁の枝葉は佛事にのみ用ゆるものにて、忌々しき様に、嫌ふて不吉の物とす、大ひなる心得たがへなるべし、櫁は昔歌にもよまれたり、萬葉集に、曾根の好忠 愛宕山櫁が原は雪つもり花つむ人の跡だにもなし、櫁は愛宕の名木なり、亦櫁は、其香清淨にて、神佛に備へ、不淨を除く、墓原に櫁をさし置ば、獸怖れて墓をあばき人の尸を破る事あたはず、夫故に墓所に備へ獸を除く用心とす、山近き田畑にて猪猿の類が畑物を取ざる様に、多く櫁を植、又は掘て置、芋などに櫁の枝を折て蓋とし置ば、獸來りて取事能はずといふ、猶功能多し、眼病の熱を醒すには、墓所の水に落て腐たる櫁の露を眼に付れば、忽ち平愈す、櫁の葉を煎じ用ひてもよし、

深山櫁

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0252 深山櫁 正字未詳 按深山櫁樹葉似櫁、而葉不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 、其香略似山礬花香、四月開細白花、秋結子、赤色、似仙靈子、採葉陰乾爲藥、 氣味〈苦微辛〉 治疝氣腰脚痛、甘草小入煎服、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b887.gif

〔書言字考節用集〕

〈六生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0252 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b887.gif 梅(ラフバイ/カラムメ)〈一名黄梅、活法、本非梅類、以其與梅同時、香又相近、色酷似蜜梅故名、〉

〔大和本草〕

〈十二花木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0252 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b887.gif 梅 本草灌木ニ載ス、近年中夏ヨリワタル、臘月ニ小黄花ヲ開ク、蘭ノ香ニ似タリ、中華ノ書ニ多ク記シ詩ニモ詠ゼリ、花ノ容ハ不好、葉ハ柹ニ似テ柹ノ葉ヨリ小ニシテ長シ、葉ニ少シイラアリ、其高二三尺四五尺ニスギズ、大阪ニテハカラ梅ト云、又蘭梅ト云、梅ノ類ニハアラズ、根ニ香氣アリ、味辛辣也、如木香ト云、中華ノ本ノ名ハ、黄梅、後世稱蠟梅ト云ヘリ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0252 蠟梅 黄梅花 俗云南京梅 按蠟梅、花六出、單葉似小梅花而黄色、其枝柔http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 、遠見則彷彿倭連翹、但連翹花四出而盞形爾、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0252 蠟梅

〔日本樂府〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0253 我國風氣人物、何必減西土、恨余詞鄙俚率薄、不漢兒、然人苟耐讀、盡頭至尾、於治亂之機http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001fa0d.gif 、名教之是非、或可小喩http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 大客曰、然則是摸擬李尤耶、余哂不答、見研傍銅瓶插蠟梅(○○)、指問客曰、渠香色固讓楳矣然天地所置、日月所照、各含一造化、乃曰汝擬梅也、渠當肯否、曰不肯、 戊子〈◯文政十一年〉嘉平月二十八日 山陽外史頼襄識

〔草木育種後編〕

〈下蘭類并冐稱の類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0253 蠟梅(らふばい)〈梅譜〉 黄梅〈花鏡〉 元漢種なり、俗に南京うめといふ、磬口のものを漢種といひ、狗英梅を和産といふ、花小なり、冬月花を開き梅と時を同うす、故に梅の名あり、秋月より糞水を根の廻りへ澆ぎてよし、插花に用ふ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0253 蠟梅 ナンキンムメ(○○○○○○) カラムメ(○○○○) トウムメ(○○○○) ランムメ(○○○○) 今通名 一名奇友〈事物紺珠〉 九英梅〈汝南圃史〉 狗蠅花〈汝南圃史〉 狗英〈花史左編〉 狗纓〈群芳譜〉 蠟梅ノ説一ナラズ、時珍ノ説ハ因其與梅同時香又相近、色似蜜蠟、故得此名ト云、群芳譜ニ人言臘時開、故以臘名非也、爲色正似黄蠟耳ト云、又似女工撚蠟所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 成故名ト云、彙苑詳註ニ來眞蠟國ト云、コノ木ハ百九代後水尾帝ノ時、朝鮮ヨリ來ルト云傳フ、故ニ俗ニカラムメ等ノ名アレドモ、今ニ至テハ皆蠟梅ト稱ス、ソノ木叢生ス、高キ者ハ丈餘、低キ者ハ數葉對生ス、葉ノ形狹長ニシテ尖リ、長サ四五寸、肌糙澀ニシテ加條(ムクノ)葉ノ如シ、唐山ニテハミガキモノニ用ユルコト、物理小識ニ見ヘタリ、冬月梅ト同時ニ花ヲ開ク、皆下ニ向フ、緑蕚瓣ハ細長シテ尖リ、黄白色ニシテ光リアリ、蠟花ノ如シ、故ニ狗蠅梅ト名ク、狗蠅ノ色ニ似タルナリ、瓣ハ九出ナリ、故ニ又九英梅ト名ク、花中ニ蘂ナシ、小瓣九出シ、紫黒色ナリ、コノ花開ク時ハ其香一室ニ盈ツ、花謝シテ稀ニ實ヲ結ブ、大サ指ノ 如ク、長サ寸餘、内ニ數子アリ、形雲實ニ似テ長ク、褐色甚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif シ、一種檀香梅(○○○)享保年中ニ渡ル、即蠟梅中ノ上品ナリ、唐蠟梅ト呼ブ、今ハ世上ニ多栽ユ、直ニ檀香梅ト稱ス、葉ハ九英梅ヨリ短ク厚ク、小柹葉ノ如シ、花ハ大ニシテ色深黄、瓣圓ニシテ梅花瓣ノ如シ、内ノ小紫瓣最モ美ハシ、香モ亦多シ、花正開セズ、常ニ半含ニシテ下ニ向フ、故ニ又磬口梅ト呼ブ、今世ニ檀香梅ト稱シ栽ユル者ハ、多ハ荷花梅ニシテ眞物ニ非ズ、即檀香梅ノ一種下品ナリ、荷花梅(○○○)ハ瓣狹ク尖リテ九英梅ト同ジ、其色深黄ニシテ正開ス、檀香梅ノ瓣圓ニシテ半含ナルニ異ナリ、秘傳花鏡ニ、惟圓瓣深黄、形似白梅、雖盛開半含者名磬口、最爲世珍、若瓶供一枝、香可室、狗英亦香、而形色不及、近日圓瓣者如荷花而微有尖、僅免狗英者ト云、此ノ文ニテ檀香梅ト荷花梅分別ヲ知ルベシ、又時珍磬口梅檀香梅ヲ分テ二ツトスルノ誤ヲ知ルベシ、

〔地錦抄附録〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0254 正保年中以後渡來草木類〈◯中略〉 南京梅(ナンキンムメ)〈今云臘梅〉

樟/楠

〔新撰字鏡〕

〈木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0254 棆〈力屯反似樟橡、久須乃木(○○○○)、〉 樟〈諸良反、橡、久須乃木、〉

〔本草和名〕

〈十四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0254 楠材〈楊玄操音南〉 和名久須乃岐

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0254 楠 唐韻云、楠〈音南、字亦作柟、和名本草、久須乃木、〉木名也、櫲樟、〈櫲章二音、日本紀讀上同、〉木名、生而七年始知矣、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0254 按本草云、楠材、陶隱居云、削作柿、煮服之、是藥服用材、故本草云楠材、輔仁曰、和名久須乃岐、以訓楠材也、源君單擧楠字、宜只訓久須、然字鏡棆樟並訓久須乃木、〈◯中略〉説文、柟梅也、梅柟也、今本説文柟也下、有食二字、後人増竄不從、南山經、虖勺之山多梓柟、注、柟大木葉似桑今作楠、〈◯中略〉廣韻不櫲字、樟字注云、豫樟木名、無生而以下七字、則此所引似唐韻文、或櫲樟上脱出典、按漢書司馬相如傳注、服虔曰、豫章大木也生七年乃可知與引文略同、按證類本草中品引陳藏器云、柟木高大、葉如桑、出南方山中、下品釣樟條又引陳藏器云、樟材、江東http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e6c6.gif 船、多是樟木、縣 名豫章、因木爲名也、西山經云、底陽之山、多http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f24a.gif 柟豫章、莊子山木篇、並稱柟梓豫章、郭注西山經云、豫章大木、似楸葉、冬夏青、生七年而後復可知也、陸機疏云、豫樟葉大如牛耳、一頭尖赤心、華赤黄、子青不食、枏葉大、可三四葉一藂、木理細緻於豫樟、子赤者材堅、子白者材脆、子虚賦、兼擧楩柟豫章、是柟豫樟二木不同、本草和名、楠材訓久須乃岐、日本紀、櫲樟讀久須、其説不同也、源君併引、非

〔類聚名義抄〕

〈三木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0255 櫲樟〈豫章二音、クスノキ上クスノキ、マキ、〉

〔大和本草〕

〈十一藥木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0255 樟腦 樟ト楠ト一類二物也、國俗クスノ木ト云物二品アリ、一品ハ香ツヨク、木心黒赤樟腦ヲ煎ス、是樟ナリ、一品ハイヌグスト云香少シ、木心色赤黒ナラズ、是楠ナリ、楠ニハ大木アル由本艸ニイヘリ、今所々楠ノ木多シ、佗木ニ楠ホド大ナルハナシ、楠ノ根ニ米泔ヲソヽゲバ必枯ル、文海披砂曰、建寧ノ都司ニ有五代時樟木、其竅中可數席トイヘリ、大木ハ傍朽空シキアリ、日本ニモ如此大木アリ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0255 楠〈音南〉 柟〈枏同〉 久須乃木〈◯中略〉 按、楠葉似櫧葉而光澤、背淡白、邊略反卷、莖微赤、五月開細白花、帶黄、其子如豆大、而青色、本細似細口梨形、其木堅實耐水、以造http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651545.gif 、其根株經歳者變爲石、樟 俗云太布〈◯中略〉 按樟木以楠而木理略麄、堪水土也、不楠之強、其葉似楠而狹長厚、背有微毛、有赤樟烏樟之二種、黒樟乃釣樟也、〈赤者實亦赤、黒者實亦黒、〉但烏樟葉則無毛、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0255 樟 烏藥 釣樟 三物種類相類、大者謂之樟、和名久須、小者謂之烏藥、和名鬱金花(ウコンクハ)、又稱畑鬱金、關東人呼爲白文字、故釣樟之條有矮樟之名、是樟木之矮小者、釣樟和名黒文字是也、根有直根連珠之二種、樟和名久須之木、釋神代卷磐樟船者云、久須者臭木義非也、樟是香木而非臭物、久須者不朽之略訓、此木歴數百年而不朽腐、又能化石、故有久須之稱、葉圓而木理有章故也、烏藥似 樟葉三尖、釣樟葉狹長、本草載天台烏藥、其根連珠氣極辛香、今藥肆稱括烏藥者是上品、樟有大葉小葉二種、根味次烏藥、若無烏藥、則樟釣樟二根亦可代用、功能大抵相同、 按俗楠字訓久須乃木非也、楠自是別物、楠本作柟、杜子美艸堂前所栽柟與樟別物也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0256 樟 クスノキ〈和名鈔〉 クス 一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f203.gif 〈品字箋〉 香樟〈通雅〉 大木アリ、葉ハ天竺桂(ダモノキノ)葉ニ似テ短ク、樟腦ノ氣アリ、互生シテ冬凋マズ、春新葉ヲ生ジテ、後舊葉落ツ、夏月小花ヲ開ク白色微黄、後小圓實ヲ結ブ、秋ニ至リ熟ジテ黒シ、用テhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b887.gif ヲ採ル、コノ木中心赤黒色ニシテ、香氣強キ者眞ノ樟ナリ、コレヲ煎ジテ樟腦ヲ採ルベシ、中心赤黒色ナラザル者ハイヌクス(○○○○)ト呼ブ、一名シロクス、〈豆州〉樟樹老タル者ハ木理美シ、コレヲ玉モクト云、又老樹火ヲ生ジ自ラ燒ク、物理小識ニ、豫章老則出火、自焚不宜近家室ト云、先年城州八幡社外ノ老樟自ラ燒タリ、是腦アル故ナリ、

〔牛馬問〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0256 楠(ナン)の字、クスノキと訓ずるは誤り也、クスノキは樟の字也、

〔伊豆海島風土記〕

〈下産物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0256 マタミ(○○○) 樟ナルベシ、國地ノ玉クスト云ニ似テ木大ナリ、性モ楠ニ等シク、板ニシテ船ヲ造ルニ久シクタモツ、皮ヲ煎ジテ衣ヲ染ルニ、トビ色トナル、八丈貢絹ノカバ色ト云ハ、此ヲ以テ染ル、首夏ニ花咲、實ハ六月ニ熟ス、此實ヲ搗末シテ麥粉ニ交ヱ、土人粮トス、本草ニ樟ハ楠ニ似テ夏細白花開ク、船ニ造ルトアリ、

〔増訂豆州志稿〕

〈七土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0256 樟(クス)、楠(クス)、 樟ハ氣甚芬烈以テ樟腦ヲ製ス可シ、一種嫰芽鮮紅ナルハ腦殊ニ多シ、楠ニ二三ノ種類アリ、 増、共ニ久ク水濕ニ堪ルヲ以テ船材ト爲シ、又老樹ヲ以テ器具ヲ製ス、〈本草啓蒙ニ曰ク、豆州樟樹老タル者ハ木理美ニシテ、之ヲ玉モクト云ト、〉州中樟楠ノ古樹多シ、然レドモ數百千年ヲ經タルハ樹幹朽腐シテ、其中空ヲ爲ス、宇佐美村春日祠域ノ樟ハ、空處八席ヲ敷ク可シ、延寶中幕府此地ノ樟ヲ伐テ阿武(アタケ)丸ノ船材ト爲ス、今 其蘖合抱ナル者アリ、

〔太平記〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0257 主上御夢事附楠事 主上〈◯後醍醐〉思食煩セ給テ、少御マドロミ有ケル御夢ニ、所ハ紫宸殿庭前ト覺ヘタル地ニ、大ナル常盤木アリ、緑ノ陰茂テ南ヘ指タル枝殊ニ榮ヘ蔓レリ、其下ニ三公百官位ニ依テ列坐ス、南ヘ向タル上座ニ、御坐疊ヲ高ク敷、未坐シタル人ハナシ、主上御夢心地ニ、誰ヲ設ケン爲ノ座席ヤラント、怪ク思食テ立セ給タル處ニ、鬟結タル童子二人忽然トシテ來テ、主上御前ニ跪キ、泪ヲ袖ニ掛テ一天下間ニ暫モ御身ヲ可隱所ナシ、但シアノ樹陰ニ南ヘ向ヘル座席アリ、是御爲ニ設タル玉扆ニテ候ヘバ、暫ク此ニ御座候ヘト申テ、童子ハ遙ノ天ニ上リ去ヌト、御覽ジテ、御夢ハヤガテ覺ニケリ、主上是ハ天ノ朕ニ告ル所ノ夢也ト思食テ、文字ニ付テ御料簡アルニ、木ニ南ト書タルハ、楠ト云字也、其陰ニ南ニ向テ坐セヨト、二人童子教ヘツルハ、朕再ビ南面ノ徳ヲ治テ、天下ノ士ヲ朝セシメンズル處ヲ、日光月光ノ被示ケルヨト、自ラ御夢ヲ被合テ、憑敷コソ被思食ケレ、夜明ケレバ當寺衆徒成就房律師ヲ被召、若此邊ニ楠ト被云武士ヤ有ト御尋有ケレバ、近キ傍リニ左様名字付タル者アリトモ未承及候、河内國金剛山ノ西ニコソ楠多門兵衞正成トテ、弓矢取テ名ヲ得タル者ハ候ナレ、是ハ敏達天皇四代孫、井手左大臣橘諸兄公ノ後胤タリトイヘドモ、民間ニ下テ年久シ、其母若カリシ時、志貴毘沙門ニ百日詣テ、夢想ヲ感ジテ設タル子ニテ候トテ、稚名ヲ多門トハ申候也トゾ答ヘ申ケル、

〔鹽尻〕

〈四十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0257 一同所〈◯上總國長柄郡〉田倉村大木の楠あり、廻り三丈九尺餘、日本一の楠の大木といふ、巡禮など見て、如此大木は他國になしといふ、

〔本朝俗諺志〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0257 大楠木 豆州熱海の鎭守、來宮大明神の神木は楠也、周り十一抱半あり、至極の老木にて、梢は朽て種々の 寄生あり、幹は椌になりて、大きなる洞のごとし、人三十六人居並ぶと云、めづらしき大樹なり、其外七八抱の楠數あり、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0258 樟腦(しやうなら) 韶腦〈◯中略〉 按、樟腦出於日向薩摩大隅、深山中採老楠木、以圓刃釿斫取、盛土鍋、上亦蓋鍋蒸炙之、腦升著于上霜乃此樟腦也、此物能殺蟲、凡藥種易蛙物、四月晒乾用樟腦、包紙納其箱櫃中口、則雖極暑蠧也、其藥使時隔紙焙、則樟腦氣去、如火藥、包紙置于濕地、亦樟腦去、以臭香氣度、蓋雖樟腦今皆楠腦也、〈未知和漢有異乎否〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0258 樟腦 通名 一名朝腦〈本草原始〉 潮腦〈藥性要略大全〉 樟冰〈醫宗雅言〉 獐冰〈外科正宗、獐ハ樟ノ誤ナルベシ、〉 樟樹ノ脂膏ヲ煎ジトル者ナリ、其法ハ集解ノ説ト異ナリ、先ヅ地ヲ掘テ長竈ヲ築キ、數鍋ヲ並べ架シ、各水ヲ入、上ニ木甑ヲ置キ、樟ノ生木ヲ伐リ、枝ト皮トヲ去リ割テ小薄片ト爲シ、甑中ニ入レ、木薪ヲ燒テ蒸過シ、上ニ沙盆ヲ蓋ヒ火候足リ沙盆冷ルニ至リテ、盆内ニ樟腦ノ結スルヲ拂ヒ取ル、皆クスノ木ノ心赤黒色ニシテ脂アルモノヲ用ユ、心白クシテ脂ナキモノハ蒸シテ腦ナシ、増、峒山小原先生ノ話ニ、コヽニ樟ノ生木ヲ伐リ、枝ト皮ヲ去テ樟腦ヲ取ルト雖ドモ、根ヲ用ユルヲ最上トス、コレヲ取ルニハ、鍋十一宛ヲ二行ニ並べ、一人ニテ同時ニ火ヲ焚クベシト云ヘリ、樟腦ハ細末ト爲シ難キモノナリ、樟腦ヲ紙上ニ薄ク盛リ、上ヨリ紙ヲアテヽ、其上ヨリ鈷鉧(ヒノシ)ヲカクレバ即細末トナル、且ツ臭氣脱シテ、極テ上好ノ品トナル、然レドモ甚ダ耗ルナリ、

〔本草辨疑〕

〈四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0258 樟腦 時珍曰、状似龍腦、白色如雪、人亦多以亂片腦、不辨、胡演升錬方云、煎樟腦法、用樟木新者、切片以井水浸三日三夜、入鍋煎之、柳木頻攪待汁減http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 半、柳木上有白霜、即濾去滓傾汁、入瓦盆内宿、自然結 成塊也、錬樟腦法、用銅盆陳壁土粉糝之、却糝樟腦一重、又糝壁土、如此四五重、以薄苛土上、再用一盆之、黄泥封固於火上、欵々炙之、須意度http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 之、不太過不及、勿氣、候冷取出時則腦皆升于上盆、如此升兩三次可片腦、 是ヲ龍腦ニ交テ渡ス者アリ、又日本ニモ誤テ氷片腦トスル也、不細辨

〔日本山海名物圖繪〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0259 樟腦製法 くすの木と云もの二品あり、樟は木の心赤黒く香つよし、楠は香すくなし、木の心赤黒からず、是には大木多し、くさりては岩と成也、樟腦は樟の根をはつり取て、其こけらを釜にて煎ずる也、小屋の内に二十四釜をかけ、二通にする也、一通に十二釜づヽせなか合せにして、間三尺ばかりあけ、其間を往來するやうにこしらゆる也、釜のふたは鉢也、釜と鉢との間を土にぬりて、いきの出ざるやうにする也、其ふたへたまりたる露、則樟腦なり、

〔採藥録〕

〈五木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0259 樟腦 薩州隅州ニ多ク出ス、一種ニシテ腦ノ有ト無アリ、先ヅ大樹ノ根木ヲ斧ニテ薄ク屑トシテ試ル、腦アレバ斧ニテ盡ク屑トシ、木甑ニ入レ蒸也、木甑ノ上ニ瓦ノ蓋ヲ載セ、蓋ノ下ニ白ク霜ノ如ク著ク、之ヲ掃キ取リ壺中ニ收ム、若シ風ヲ見セシムル時ハ化シテ已ニ盡、

〔渡邊幸庵對話〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0259 一生腦は楠の脂也、夫を燒たるもの也、龍腦は生腦を七度燒にしたるを片腦といふ、是龍腦也、燒様天目を蓋にして燒、其湯氣上の天目に付たるは片腦也、

〔本草辨疑〕

〈四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0259 龍腦(リウノウ) 今所渡ノ者二種アリ、梅花ト云ハ白ク透明シテ雲母片ニ似タリ、上品ナリ、ミドリト云ハ、胡麻鹽ヲ見ニ似テ、黒者交リ色ウルミテ細ナリ、下ナリ、香具ニ用ベシ、服藥ニハ不用、又一種樟腦ヲ交ヘタル者アリ、ヌレタルヤウニシテ、色ウルミ白シ、眞ハカラ〳〵ト乾テ白シ、又カドナクシテ圓 キ者アリ、是樟腦ナリ、能々可擇、 方書ニ片腦(ヘンノウ)トアルヲ樟腦ト心得ル人アリ、大ニ誤リナリ、龍腦ノ中ニ梅花片氷片トテ、極品ノ龍腦アリ、ソレヲ略シテ片腦トモ書ス、庸醫不之シテ別ニ片腦ト云者アリト心得テ、藥家ニ求之、藥家又不知シテ樟腦ノ燒返ヲ假リ名テ片腦トナシテ賣之、其ノ價賤ガ故ニ又不之シテ用ル人多シ、愚ノ甚哉、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0260 龍腦(りうなう)香 羯婆羅香 片腦 氷片 梅花腦 〈膏名〉婆律香〈◯中略〉 按龍腦色白似雲母片而透明者、名梅花腦、爲上品、細小色不鮮明、且黒者襍、名美止利、爲下品、不藥用、合香家用之、如水濡者、不透明、或無稜者、乃以樟腦襍亂者也、宜之、 樟腦再燒者名反腦、與片腦字同http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ec8d.gif 、故誤以爲一物、甚非也、凡抹龍腦于檜上、以檜篦之則能細末成、

釣樟

〔本草和名〕

〈十四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0260 釣樟根皮〈楊玄操音上丁http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d380.gif 反、下音章、〉一名鳥樟、又有地菘、一名劉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651544.gif 草、〈仁諝音呼麥反、陶景注云、昔劉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651543.gif 採用之耳、兼名苑作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651543.gif 上音招、下音〓獲反、〉和名柰美久奴岐(○○○○○)

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0260 釣樟 本草云、釣樟一名鳥樟、〈音章、和名久沼木(○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0260 千金翼方、證類本草下品有釣樟、不一名、證類本草引陶隱居云、亦呼作鳥樟、本草和名云、一名鳥樟、失出典源君引爲本草正文、非是、本草和名云、釣樟、和名奈美久奴歧、按下載擧樹、訓久奴歧、本草和名、擧樹訓之良久奴歧、一云奈美久奴歧、然源君於擧樹條、又引日本紀私記歴木、則擧樹之訓、不輔仁也、此單訓久奴歧、則與擧樹複、疑脱奈美二字也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0260 釣樟 詳ナラズ クロモジニ充ル古説ハ穩ナラズ〈◯中略〉 増、釣樟ハイヌグス(○○○○)ナルベシ、山中樹間ニ自生多シ、小木ニシテ高サ僅ニ丈許ニ過ギズ、樟葉ヨリ 尖長ニシテ、葉蒂赤色ヲ帶ビ、葉中ノ氣脉ニ及ブ、葉背粉紅、枝葉共ニ樟ニ比スレバ淡緑色ナリ、釋名時珍ノ説ニ、樟有大小二種、紫淡二色ト、其小ニシテ淡ナル者、又蘭山翁、樟ノ條ニ、中心赤黒ナラザル者ヲイヌグ、ス、一名シログス(○○○○)ト云ト、是ナリ、但樟木ノ氣アレドモ、樟腦ヲ取ベキ者ニアラズ、

烏藥

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0261 烏藥(うやく) 旁其 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001cb23.gif 魮 矮樟〈其氣似樟故名◯中略〉 按、烏藥能雖鳥獸之病、而烏藥之烏非http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000086.gif 烏之烏、以烏褐色之耳、凡堅而直者不佳、俗稱久久利者良、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0261 烏藥 通名 一名比目沈香〈輟耕録〉 矮脚樟〈物理小識〉 子一名雪裏紅〈物理小識〉 旁毘子〈説略〉 漢渡二品アリ、棒様トクヽリ様トナリ、クヽリ様ト呼ブ者ハ、根形天門冬ノ如ク大ニシテ、兩頭尖リ中間豐ナリ、是集解ニ、形如連珠ト云者ナリ、新根ニシテ藥用ニ上品トス、又木根ノ形ノ如クニシテ、連珠ヲナサヾル者アリ、是ヲ棒様ト呼ブ、舊根ニシテ藥用ニ良ナラズ、唐山ニテ天台烏藥ヲ名産トス、略シテ台烏ト云、他所ノ産ハ土烏藥ト云、享保年中漢種二品渡ル、天台烏藥ト衡州烏藥トナリ、傳ヘ栽テ今花戸ニ多シ、天台ノ烏藥ハ木ノ高サ八九尺、多ク叢生ス、一二尺ノ小木モ能ク花ヲ生ズ、葉ハ圓ニシテ尖リ大サ一寸餘、三縱道アリテ桂葉ノ如シ、互生ス、三月葉間ニ花ヲ開ク、淡黄色、大サ二分許、後圓子ヲ結プ、秋ニ至リ熟シテ赤色、大サ南天燭(ナンテンノ)子ノ如シ、後ニ漸ク黒色ニ變ズ、地ニ下シテ生ジ易シ、油ヲ搾リ燈ニ用ユベシ、臭氣アリ、此根和州ノ宇多城州ノ八幡ニ多ク栽テ四方ニ貨ス、新鮮ニシテ佳ナリ、衡州ノ烏藥ハ形状同シテ、叢生セズシテ高ク聳ユ、其根堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ニシテ香氣少シ、下品ナリ、近來肥後ヨリ和産ヲ出ス、薩州ニテイソヤマダケ(○○○○○○)ト云、琉球ニテハマバシガラキ(○○○○○○○)ト云、葉ノ形細長三寸許、三縱道アリテ甚ダ桂葉ニ似タリ、深緑色、春葉間ニ小花ヲ開ク天台ノ烏藥ニ似タリ、古説ニハウコンバナヲ似テ天台烏藥トス、然レドモ漢種ニ異ナリ、ウコン バナハ、一名ハタウコン、トモギ、ツラフリ、〈播州〉シロモジ、〈加州〉ノソバ、〈豫州〉クロヂシヤ、〈信州〉山中ニ自生多シ、冬ハ葉ナシ、春初先花ヲ開ク、山茱萸ノ花ニ似テ色淺シ、葉ハ大サ三寸許圓ニシテ三尖アリ、藏器ノ説ニ高サ丈餘、一葉三椏ト云時ハ、是モ亦烏藥ノ一種ナリ、天台ノ烏藥ニ非ズ、根ノ形モ連珠ヲナサズ、又圓葉ノ者アリ、

〔草木育種後編〕

〈下藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0262 烏藥〈本艸〉 享保中、唐山より、台州産と衡州産と二種を來す、衡州産は琉球にていふハマバシガラキといふ、夏月莖を插して活すべし、冬土藏へ入べし、少し暖なる處にては地に栽、こもにて雪霜を避れば枯槁ず、台州のものは紀州にていふカメバといふもの也、是は園に植てよし、寒を恐れず、又和産烏藥あり、享保年中將翁先生官園に上る、即本艸陳藏器説處のもの也、是即和蘭にいふサツサプラスなり、

〔採藥録〕

〈五木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0262 烏藥 東都官園ニ漢種アリ、今往々栽ユ、秋八九月ニ掘採リ、洗淨シ日乾スベシ、舶來ノ者ニ比レバ稍堅シ、舶來ニ二品アリ、圓ナルヲクヽリト云、長ヲ棒様ト云、官園ノ者ハ此棒様ナリ、

黒モジ

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0262 黒モジ 山中ニ生ズ、葉ハ漆ニ似テ又榎ニ似タリ、葉ニ大小ノ異アリ、冬ハ葉落ツ、皮黒クシテ香氣アリ、故ニ是ヲ用テ牙杖(ヤウジ)トス、皮ヲツケ用ユ、又ホヤウジ(○○○○)ト名ヅク、又其枝ヲ籬トス、雅致ヲ助ク、二月ニ小黄花一所ニ多クアツマリ開ク、秋實ノル、榎ノ實ノ大ノ如シ、肉ニ油アリ、タブノ木ニ似タリ、

〔廣益地錦抄〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0262 黒(くろ)もじ〈木春中〉 花は黄色にて、一所にあつまり咲、見るにたらず、實秋くろくちいさくむすぶ、みるかいなし、木の皮くろくして香氣あり、やうじにけずりて用、牙のくすりなりとぞ、

〔草木育種後編〕

〈下蘭類并冐稱の類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0262 烏樟(くろもじ)〈本草〉 花戸にて玉まんきくといふ、早春の切花に用ふ、園中 植て、秋月糞汁澆ぎてよし、冬根廻り芥を置入てよし、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0263 釣樟 詳ナラズ クロモジニ充ル古説ハ穩ナラズ、クロモジハ一名クロモンジヤ(○○○○○○)〈豆州〉クロモンシ(○○○○○)、〈大和〉トリキ(○○○)〈越後〉トリシバ(○○○○)〈仙臺〉マツフサ(○○○○)、〈南部〉クロトリギ(○○○○○)、〈野州〉ヂシヤ(○○○)〈信州〉ビシヤ(○○○)、〈同上〉子ソ(○○)、〈越前〉フグキ(○○○)、〈雲州〉山中ニ多シ、小木ナリ、高サ六七尺、木皮淡緑ニシテ黒斑アリ、香氣多シ、皮ヲ連テ牙杖(ヤウジ)ニ製シ賣ル、葉ハ細長クシテ堅ク、柯樹(シキノ)ノ葉ニ似タリ、春初未ダ葉生ゼザル先ニ、花ヲ開ク三五簇生ス、淡黄色五辨ニシテ小シ、後實ヲ結ブ、大サ南天燭子ノ如シ、秋ニ至リ熟シテ黒シ、又一種大葉ノ者アリ、又圓葉ノ者アリ、倶ニ漢名詳ナラズ、

山胡椒

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二味〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0263 畢澄茄〈◯中略〉 附録山胡椒 ヤマカウバシ(○○○○○○) サルスベリ(○○○○○) トツナギ(○○○○) トリツケノキ(○○○○○○) トリツケシハ(○○○○○○) ヤブケヤキ(○○○○○)〈泉州〉 ヤブゴシヤウ(○○○○○○)〈大坂〉 タマノキ(○○○○)〈播州〉 タンバ(○○○)〈藝州〉 山野ニ多シ、小木ナリ、葉ハ細長ニシテ尖リ、厚クシテ互生ス、夏葉間ニ小花ヲ開キ、後實ヲ結ブ、形落霜紅(ムメモドキ)ノ實ノ如ニシテ、熟スレバ色黒ク味辛シ、ソノ形味倶ニ畢澄茄ニ似タリ、木ヲ折レバ香氣アリ、

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0263 桂 兼名苑云、桂一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a58.gif 、〈計侵二音、和名女加豆良(○○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0263 按爾雅云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a58.gif 木桂、説文http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a58.gif 桂也、兼名苑蓋本於此、説文又云、桂江南木、〈◯中略〉按女加豆良、香要抄同、本草和名不和名、爾雅郭注云、今江東呼桂厚皮者木桂樹、樹葉似枇杷而大、白華、華而不子、叢生巖嶺、枝葉冬夏常青、間無雜木、南山經、招搖之山多桂、郭曰、桂葉似枇杷、長二尺餘、廣數寸、味辛、白花、叢生山峯、冬夏常青、間無雜木、南方草木状云、桂生合浦交趾、生必高山之巓、冬夏常青、其類自爲林、更無雜樹、有三種、皮赤者爲丹桂、葉如柿者爲菌柿、葉似枇杷者爲牡桂、郝懿 行曰、牡桂即爾雅木桂、牡木音相近也、

〔日本書紀〕

〈二神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0264 一云、以無目堅間浮木細繩著火火出見尊而沈之、所謂堅間是今之竹籠也、于時海底自有可怜小汀、乃尋汀而進、忽致海神豐玉彦之宮、其宮也、城闕崇華、樓臺壯麗、門外有井、井傍有杜樹(カツラノキ)、乃就樹下立之、

〔釋日本紀〕

〈八述義〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0264 湯津杜木(ユツカツラキ)私記曰、惟良大夫問云、杜當桂字之誤歟、師説不詳、

〔松屋叢考〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0264 三樹考 桂は、和名抄に、兼名苑云、楓一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f258.gif 、和名乎加豆良云々、また兼名苑云、桂一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a58.gif 、和名女加豆良云々、字鏡に、楿加豆良云々、〈楿は香木の合字也〉本草倭名に、楓樹一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f258.gif 、一名格拒、已上出兼名苑、和名加都良云々、古事記〈上卷〉に鳴女自天降到、居天若日子之門湯津楓上云々、〈神代紀上卷には、湯津杜木之杪云々、杜木此云可豆邏云々、また一書に湯津杜樹之杪、など書たり、〉また鹽椎神の火遠理(ホヲリノ)命に教ていへるに、其綿津見神之宮者也、到其神御門者、傍之井上有湯津香木云々、訓香木加都良云々、即登其香木以坐云々、〈神代紀下卷には、井上有湯津杜樹、枝葉扶疏と書たり、〉万葉〈七の卷〉に、向岡之若楓木下枝取花待伊間爾嘆鶴鴨(ムカツヲノワカカツラノキノシツエトリハナマツイマニナケキツルカモ)、源氏物語花散里に、かつらの木の追風にまつりのころおぼしいでられて云々、〈◯中略〉下學集〈草木門〉に、木犀(モクセイ)桂也云々など、物におほくみえて、此中に欞(ヲカダマ)を女加豆良、木犀を乎加豆良とわけていへり、欞は實を結べば女にたとへ、木犀は花のみ咲て實なきゆゑに男にたとへしなるべし、いにしへ、賀茂祭のはこの木犀なるを、中比よりあやまりて、白楊の類の木を用れど、こはかほりもなく、した風なつかしきものならず、〈◯註略〉又大嘗會に用る榊を玉串といふも、榊は例の欞(メカヅラ)にもあれ、木犀(ヲカヅラ)にもあれ、楠にもあれ、樒にもあれ、常葉にて香き木をいへど、そが中ことさらに玉串には丹陽木(ヲカグマノキ)を用るゆゑの稱ともすべし、俊頼朝臣の齋宮内侍にあひぐして伊勢に侍りける時、六條修理大夫のもとへおくれる歌に、 とへかしな玉ぐしの葉にみがくれて鵙の草ぐきめぢならずとも、〈◯註略〉太玉串の榊の葉かげに、鵙の草隱せしやうに深(み)がくれてをれば、そなたより見おこす目路(メヂ)の間には、吾不在(ワレアラズ)とも尋問來かしとの心也、此歌によめるも、神宮にもてはやす玉くしの木にて、欞なるべし、下總國香取郡神崎神社に、ナンジヤモンジヤといふ木あり、〈何ぞや物ぞやの訛なり〉これも欞(ヲカダマ)の一種也、また日向國高千穗峯にをかだまの木とよぶものあり、伊勢、丹波などにもありといへり、〈◯註略〉常葉の香木にて、赤實房をなせば、小香玉(ヲカダマ)といふ名おへるはむべなれど、さる少(マレ)なるものをのみとり出て、神事にもちふべくもあらねば、久須多夫(クスタブ)、大多比(オホタビ)、白多夫(シロタブ)など、すべて欞(ヲカダマ)といへること疑べからず、 高千穗の、をか玉の木は、から國の廣心樹のよし岩崎氏説なり、

〔夫木和歌抄〕

〈二十九桂〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0265 柿本影供百首 後九條内大臣 山人も月をちぎりの秋よりやかつらの花のころもうつらん

〔紀伊續風土記〕

〈物産六下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0265 加都良(カツラ)〈古事記、萬葉集カツラノキ、新撰字鏡楿、書紀に杜の字を用ひ、本草和名に楓の字を用ふ、並に非なり、又和名抄桂を女加豆加良、楓を乎加豆良と訓じ、雌雄に分ちしはうけがたし、葉は白楊に似て薄く、縱道ありて、邊に鋸齒あり、葉の莖長し、三四日葉間に豆花の如き花を開き、後に角を結ぶ、秋に至り葉色黄に變ず、〉矣婁郡山中所々に産す、又那賀郡麻生津莊西脇村の桂谷は、此樹を産するをもて名づく、此谷二に分れ、其間二町許、西の谷にあるを雄カヅラといふ、古は大樹なりしが、枯れて、今あるものは一窠三株にして、三株合して周五丈餘もあり、東の谷にあるを雌カヅラといふ、これも今三株にして、合して周三丈餘あり、皆末にて數十幹に分る、土人いふ、此木を採り歸る者は、己が家火災ありとて、枯枝落葉も採るものなし、故に天年を保ちて、此の如く大樹となるといふ、加茂葵祭に用ふるもの是なり、

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0265 桂 桂〈和名加豆良〉肉桂之桂名女加豆良 本綱、桂葉如柏葉澤黒、皮黄、心赤、謂之單字桂、不藥入用、 按本朝有單字桂者、其葉圓小似萩葉而木心赤堅而易斫、用作碁枰、〈名赤木〉或爲木屐齒良、尾州奧州及阿波土佐多出之、蓋不柏檜葉、別此一種乎、

肉桂/菌桂

〔和漢三才圖會〕

〈八十二香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0266 肉桂(につけい) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a58.gif 〈音寢〉 牡桂〈◯中略〉 按本草肉桂之類、諸説有異同、今以時珍之説據、而肉桂官桂以爲二物者非也、但官桂最上之肉桂、則今東京肉桂、以可也也、東京〈即安南國交趾之別國也〉之産、肉厚、長尺許、纖裁以木皮之、甚辣、風味佳、不舌也、交趾之産次之、〈東京肉桂多、桂枝少、交趾桂枝多、肉桂少、〉廣西潯州亦次之、咬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra0000066116.gif 吧、暹羅之産粘于舌、近年中華船亦有肉桂、皆不於東京、今藥肆名官桂者、皮如桂心皮、而略有艶潤、而不甚辣、自此一種、與時珍之説合、 桂心(○○) 蒙筌云、去外甲錯鹿皮、近木黄肉曰桂心、〈或謂内外皮者非也〉 按、肉桂桂心本一物也、然今藥肆所販桂心多用倭桂、出於薩州川内(センダイ)、肉桂單名桂心之、皮厚香氣甚、自唐來桂心、香少、蓋無肉與心之差別誤來而已、 氣味〈苦辛〉 治九種心痛腹内冷氣痛、不忍止下痢、通月閉及胞衣下http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 下、治癰疽痘瘡、内托化http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 膿、 菌桂(きんけい) 筒桂 小桂 本草必讀有菌桂之圖、與牡桂相反誤也、今改正之、〈◯中略〉 按菌桂處處植之、呼曰肉桂木、其形状如上説、但葉匾本末狹尖緑澤而背色淡、摘其葉半時、則縱文變赤黒色、旣黄枯者枝葉根皆辛温、香氣甚、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0266 桂 按綱目有板桂、筒桂、官桂之別、皆藥品之別、而藥舖之稱呼也、非別有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 種、蓋諸桂之通稱也、然綱目官筒板三名、分屬各條者誤矣、其厚皮如板者、通呼板桂、其薄皮卷曲如筒者、通呼筒桂、倭藥舖呼厚皮者板桂、而呼薄皮者筒桂也、蓋板桂是本幹皮、筒桂是枝梢皮如今山椒皮之類也、官桂供官府上好桂也、官桂中亦有板筒之別、然今所渡筒桂、藥舖呼卷肉桂者、別是一種、下品桂中之筒桂也、曰筒、曰板、猶條芩、片芩、穿眼大黄、牛舌大黄、馬蹄大黄之類是也、〈圭録〉 又按桂有三種、單稱桂者、即栢葉桂(○○○)也、又有菌桂(○○)于前、又有牡桂(○○)、別是一物也、已上是三種也、又按桂有雌雄、雌木味不辛、雄木味辛、入藥用乃肉桂也、雖其木状葉形品々不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 同、然氣味芳香辛烈可藥者、通謂之肉桂、猶大小茴香、形状甚殊、而氣味全同、故通言茴香也、然則栢葉桂、菌桂、牡桂、宜桂而已、

〔本草辨疑〕

〈四木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0267 桂 今藥舖ニ四種アリ、肉桂、官桂、東京肉桂、桂心ナリ、桂枝ニ二品アリ、只ノ桂枝トワラ桂枝トナリ、是官桂ト一種也、 東京ト云ハ最上ナリ、味甚辛甘、長尺許アリテ細ク裁テ木皮ニテツナギタル者也、悉ク味良、次ハ肉桂ナリ、又尺桂共云フ、味能ケレ共、半分ハ古クナリテ不辛、 官桂ト云ハ、麁皮薄ク細ク卷テ竹ニ似タリ、味辛ク舌滑カナル者、肉桂トハ別種ノ者ナリ、是ヲ官桂ト名クルコトハ、藥舖ノ誤リナリ、本名ニ非ズ、元官桂ト云ハ、上等供官ノ桂トテ、天子ノ倉ニ納ル上上ノ桂ナリ、然ルヲ書ニ官桂トアル故ニ、庸醫別物ト心得テ、藥家ニ尋求ム、藥家モ又不之、形味ノカハリタル故ニ、コレヲ假名ケテ官桂トス、正之人亦ナキ故ニ、彌僞リガ眞トナリテ、通ジテ官桂トナル也、ワラ桂枝ハ此ノ官桂ノ枝ヲ打ヒシギタル者ナリ、味モ粘モ同コトナリ、常ノ桂枝ハ肉桂ノ枝ノ皮ナリ、 桂心ト云者ハ和物ニシテ、松浦(マツラ)桂心ト云者ナリ、眞ノ桂心ニアラザレドモ、是モ庸醫外ノ物ト心得テ藥舖ニ求ム、藥舖又不之シテ、僞誤テ桂心ニ充ツ、如斯ノ類甚多シ、蘇頌曰、舊説菌桂正圓如竹、有二三重者、則今ノ筒桂也、〈私云、是和云官桂者、〉牡(ボ)桂皮薄色黄少脂肉者、則今之官桂也、桂是半卷多脂者、則今之板桂也、 時珍曰、桂有數種、如今參訪牡桂葉長如枇杷葉、堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif毛及鋸齒、其花白色、其皮多脂、〈私云、是今所渡之通用肉桂也、〉菌桂葉如柹葉、而尖狹光淨有三縱文、而無鋸齒、其花有黄有白、其皮薄而卷、今商人所貨、皆此二桂、但 以卷者菌桂、〈是和俗曰官桂〉半卷及板者爲牡桂、〈通用肉桂也、頌説少異、〉即自明白、 弘景曰、經云、桂葉如栢葉、澤黒皮黄心赤、時珍曰、栢葉之桂乃服食家所云、非此治病之桂也、 以上、菌桂牡桂栢葉桂アリ、頌ハ筒桂肉桂桂心官桂板桂ノ名ヲ擧、 考筒桂ハ和ニ云、官桂嚙ンデ舌滑ナル者也、肉桂桂心官桂ハ一樹也、板桂ト云ハ和ノ松浦桂心ナルベシ、〈未木様、故難決、〉 菌桂ヲ官桂ニ用コトナカレ、主能異ナリ、只肉桂ノ味能者ヲ可用、桂心ニ松浦桂心ヲ用コトナカレ、味ナクシテ只香氣許リ似タル者也、 時珍曰、桂此即肉桂也、厚而辛烈、去粗皮用、其去内外皮者即爲桂心、 雷公曰、去上粗皮并内薄皮、取心中味辛者用、 二公ノ所説誤リ也、諸桂皆内ノ薄皮一片許、辛シテ心中モ麁皮モ味ナキ者ナリ、是只心ノ字ニ心ヲ付テ、内外ヲ去テ中ヲ取ト云フ、此心ハ木理ニ近キヲ云也、此誤リヲ承テ脩治纂要ニモ、内外ノ皮ヲ去ト云ナリ、 蒙筌云、近木黄肉、但去外甲錯麁皮、 集要刮去麁厚近裏者爲桂心 此説可ナリ、木ニ近處ノ内ノ方ノ甚辛ヲ桂心トシテ可用、松浦桂心ハ用ルコトナカレ、大ニ誤リ也、但日本ニテ配合シタル方ニ、桂心肉桂雙ベ用ルコトアリ、ソレニハ松浦桂心ヲ可用、本朝誤リ來シコト年旣ニ尚シ、松浦桂ニテクミ合タル方ナレバ也、唐書ノ方ニハ必肉桂ノ辛ヲ擇デ、内ノ薄皮一片ヲ可用、松浦ヲ用ルコトナカレ、 桂枝ハワラ桂枝ト云者ヲ用ルコトナカレ、別種ニシテ眞ニ非ズ、疑クハ菌桂ノ枝ナルベシ、藥家ニ官桂ト云者ナリ、唯常ノ肉桂ノ中ニ、枝ノ皮ト云ベキ者アリ、是レ眞ナリ、 尺桂官桂肉桂桂心薄桂、皆一種ニシテ、肉桂ノ辛甘一木ノ上ニテ數名アルナリ、 日本ニ肉桂ノ木ト云者所々ニ有之、葉ハシキミニ似テ、桂ノ香モ味モ少シアル者ナリ、松浦ト同種ナリヤ未松浦樹、故ニ難決、 藥性賦註解曰、其在下最厚者曰肉桂、〈在下有腎之理、屬火、有發之義、〉去其麁皮桂心、〈入心肺脾腎四經〉其在中次厚者曰官桂、〈入肝脾二經〉其在上薄者曰薄桂、〈在上而肺胃亦居上、故宜之、〉其在嫩枝四發者曰桂枝、〈四發有發散之義、且氣味倶輕主表、〉 此註最可也、肉桂官桂薄桂桂枝桂心、於一樹之上異名、主能亦各別、如今倭藥舖以別種者名之非也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0269 桂 牡桂 ニツケイノキ 一名尉陀生〈藥譜〉 尉佗圭〈輟耕録〉 咄者〈金光明經〉桂ノ字ヲ和名抄ニメガツラト訓ズ、カツラト訓ズルハ、桂ノ字ノ古訓ナリ、今城州加茂祭ニ用ラルヽ所ノカツラノキトハ別ナリ、コレハ古名オガツラニシテ、漢名詳ナラズ、桂古ハ東京ヲ上品トス、其味甚辛甘ニシテ香氣烈シ、長サ一尺許、細クワリテ木皮ニテツナゲリ、故ニトマキ肉桂ト呼ブ、コノ品今絶テナシ、交趾ノ肉桂ハ辛味多ケレドモ子バリアリ、故ニ古ハ上品トセズ、東京ノ次トス、今藥舖ニ東京ト呼ブ者ハ皆下品ニシテ、本經逢原ニ謂ユル板桂ナルベシ、今ハ上品ノ東京ナキ故、交趾ヲ上品トス、然レドモ交趾ノ眞物久シク渡ラズ、古渡モ甚稀ナリ、故ニ今藥舖ニ廣南ノ内ヨリ味辛キ者ヲ撰ビ出シテ、交趾ト名ケ賣ル、其肉桂折桂枝、扁(ヒラ)桂枝、草(ワラ)桂枝等ト名クル者モ、皆廣南中ヨリ撰ビ分ツ者アリ、又紅毛肉桂アリ、形狹クシテ長サ二三尺、粗皮ナクシテ赭黄色、厚キ者ハ味辛ク、薄キ者ハ味淡シ、他桂ノ味ト相反ス、コノ者上品ナレドモ今少シ、新渡ノ桂ハ皆皮厚シテ、味淡シク下品ナリ、方書ニ肉桂桂心官桂桂枝等ノ名アリ、〈◯中略〉當ニ本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f3e.gif ノ説ニ從ヒ、桂枝ト柳桂トヲ分ツベシ、其柳桂ハ草桂枝ナリ、享保年中南京種來リ、今諸州官園ニ甚多ク繁茂ス、コノ種京師花戸ニモ多シ、葉形細長ニシテ三縱道葉ノ末マデ通リタルヲ上トス、下品ノ者ハ葉ノ末ニ枝筋アリテ三縱道通ラズ、其木四時新葉ヲ生ジテ繁茂シ易シ、コノ皮香氣ハアレドモ、 辛味少シテ澀味ヲ帶ブ、桂ハ熱地ノ産ニシテ、東京交趾皆南方ナリ、嶺南桂州ハコノ木アルニ因テ名ク、移シテ嶺北ニ栽ユレバ、氣味殊ニ辛辣少シ、藥ニ入ルニ堪ヘズト、頌ノ説ニ云リ、漢種ヲ本邦ニ栽テ、味ノ變ズルコト宜ナリ、九州四國ニハ和産ノ桂アリ、其形状香味皆漢種ニ同ジ、今天竺桂ノ根皮ヲ采リ賣ル者アリ、香味共ニ良ナリ、然レドモ本草ニ根皮ヲ用ユルコト見ヘズ、 増、凡ソ桂ヲ擇ブニ、ソノ産ニ拘ラズ、紫色ニシテ辛甘、コレヲ嚙デ粘氣ナキ者ヲ上品トス、又皮厚キ者ハ味薄ク、皮薄キ者ハ味辛シ、故ニ扁(ヒラ)様或ハ草様(ワラデ)ノ二品ヲ用ユベシ、然ルニ扁桂枝ハ舶來ノ桂枝中ヨリ擇ビ出セドモ、草桂枝ハ元來薩摩産物ト稱シタル者ニシテ、天保ノ末ヨリ肆中ニ出サズ、故ニ今ワラデト呼モノハ、舶來中ノ細長キモノヲ擇タルナリ、又天保十年ノコロヨリ、形色共ニ上品ノ桂枝ニ同クシテ、辨別シ難キモノヲ多ク混入ス、其味澀シ、コレ天竺桂(ダモノキ)ノ皮ナリ、 箘桂 交趾ノ肉桂ナリ、皆枝皮ニシテ薄ク、二三重卷ク者ナリ、故ニ卷肉桂ト云、味甚辛シ、ワリ交趾ト呼ブ者ハ大サ五分許、二ツワリニシテ内ニ脂アリ、今ハ眞ノ東京ナシ、故ニ交趾ヲ上品トスレドモ、此品モ久シク渡ラズ、古渡ハ甚稀ナリ、故ニ藥舖ニ廣南ノ内形相似テ辛味アル者ヲ撰ビ出シテ、交趾肉桂ト名ケ賣ル、古ハ藥舖ニ卷肉桂ヲ誤テ官桂ト云、本經逢原ニ筒桂俗名官桂ト云ノ誤リニ因ルナリ、別ニ草(ワラ)肉桂ト呼ブアリ、交趾ノクズナリ、今ハ廣南ノ中ヨリ撰ビ出ス、 集解、時珍ノ説ニ、叢生巖嶺間謂之巖桂、俗呼爲木犀ト云ハ、今庭際ニ栽ユル所ノ木犀ナリ、俗名ダモ〈天竺桂ト同名〉トモ云、唐山ニテ詩ニ詠ズル桂花ニシテ、藥用ノ桂ノ類ニ非ズ、葉ハ木蓮(イタビ)ニ似テ堅ク細鋸齒アリ、冬凋マズ、秋ニ至テ葉間ニ小花ヲ開ク色白シ、又黄赤色ノ者アリ、其香遠ク聞テ瑞香(ノ)花ノ如シ、唐山ニハ數品アリ、春花サク者ヲ春桂〈物理小識〉ト云、四季花サク者ヲ四季桂〈秘傳花鏡〉ト云、毎月花サク者ヲ月桂〈同上〉ト云、又紅花ノ者ヲ丹桂〈汝南圃史〉ト云、一名紅桂、〈同上〉 巖柱一名花仙〈事物異名〉仙客〈典籍便覽〉 仙友〈同上〉山友〈事物紺珠〉 天闕清香 巖山圭木〈同上〉 状元花〈名物法言〉 天香〈尺http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006520ec.gif 雙魚〉 七里香〈閩書〉 鳳尾〈共同上〉 九里香〈汝南圃史〉 金粟〈品字箋〉 檜花〈通識〉

〔地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0271 桂心(けいしん) につけいとは葉形各別なり、香味も異有、

〔廣益國産考〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0271 肉桂を仕立る事 肉桂を仕立るには、先實の生を調、一粒づヽ實をむくべし、指にてむきては爪はれ痛めば、木綿切につヽみてむくべし、扨先砂眞土(まつち)の肥地を畦(うね)つくりして、綿より少しうすく蒔べし、蒔肥しは綿と同様にてよし、貳寸計り生出たる時、根を貳寸程よけて油糟を粉にして施べし、三寸にも伸なばしげりたる處は間引、別畑に間二寸程置、植かへ日覆すべし、然して土用前に干鰯(ほしか)か綿實かすにても施べし、然すれば十月頃には七八寸一尺にも伸べし、霜月始頃みなこぎあげ、別畑に畦をつくり、斜にしげく植て霜覆ひをすべし、 春三月上旬にこきあげ、畦に二行に間四五寸置植て、初年の通りに肥しを施し育れば、三四尺に伸べし、其年暖國ならば、上に霜覆するにおよばず、寒國ならば初年の通り覆ひをすべし、然して翌春本植すべし、 植場所は遠方にすべからず、我家に近き所の藪抔起して植れば成長早し、幾年も置ものなれば、隨分不毛の地を開きて植べし、 植る地面は、一圓に畑のごとくならして、一間半程間置植べし、木の成長せざるうちは、いろいろのものは作れども、植たる木の根は四尺四方には何にても作るべからず、作れば必其木成長せずしてかじけるもの也、 本植して、肥しは餘り行屆かぬものなれども、年々ごもくやうのものを根に入、又厩ごえ埋れば生立よろし、是を掘事は、七八年十年位にて根よりほり、楊枝を伐、皮をむき桂枝とし、木の皮は肉桂とし、根皮は取分藥種屋に賣べし、 七八年目に木の根の片側半分土を掘、根を伐とり、藥種屋へ賣、又三年も立て片側半分取て賣よし、聞及べり、隨分此肉桂は作りて大利を得たるよし承りぬ、併し御年貢のかろき地の穀物の出來ざる地に作るべきものなるべし、

〔今昔物語〕

〈二十四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0272 震旦僧長秀來此朝醫師語第十 今昔、天暦ノ御時ニ震旦ヨリ渡タル僧有ケリ、名ヲバ長秀トナム云ケル、本醫師ニテナム有ケレバ、鎭西ニ來ケルガ、居付テ不返マシカリケレバ、京ニ召上テ醫師ニナム被仕ケル、本止事无キ僧ニテ有ケレバ、梵釋寺ノ供僧ニ被成テ公家ニ被召仕ケリ、然テ年來ヲ經ル間ニ、五條ト西ノ洞院トニノ宮ト申ス人御マス、其宮ノ前ニ大キナル桂ノ木ノ有ケレバ、桂ノ宮トゾ人云ケル、長秀其宮ニ參テ物申シ居ル程ニ、此ノ桂ノ木ノ末ヲ見上テ云ク、桂心(○○)ト云フ藥ハ此國ニモ候ケレド、人ノ否不見知〈◯知原脱、今據一本補、〉ズコソ候ケレ、彼レ取リ候ハムトテ童子ヲ木ニ登セテ、然々ノ枝ヲ切下セト云ヘバ、童子登テ長秀ガ云フニ隨テ切下シタルヲ、長秀寄テ刀ヲ以テ桂心有ル所ヲ切取テ宮ニ來ケリ、少シヲバ申シ給ハリテ藥ニ仕ケルニ、唐ノ桂心ニハ増テ賢カリケレバ、長秀ガ云ケルハ、桂心ハ此國ニモ有ケル物ヲ、見知ル醫師ノ无カリケレバ、事極メテ口惜キ事也トナム云ケル、〈◯云ケル三字原脱、今據一本補、〉然レバ桂心ハ此國ニモ有ケルヲ、見知レル人ノ无クテ不取ナルベシ、長秀遂ニ人ニ教フル事无クテ止ニケリ、長秀止事无キ醫師ニテナム有ケル、然レバ長秀藥ヲ造テ公ニ奉タリケリ、其方于今有トナム語リ傳ヘタルトヤ、

〔伊豆海島風土記〕

〈中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0272 大島、〈◯中略〉享保の頃、肉桂の苗渡させし、これを植育てしに、二本は枯て一本生育ち、今三尋あまり、廻り二尺ばかりにて、枝葉とも榮へてあり、

〔採藥録〕

〈五木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0272 肉桂 今薩州ニ多ク栽ユ、即東京ノ種ナリ、寒ヲ畏ル故、他處ニ不長、秋八九月ニ皮ヲ取リ陰乾ス、味舶來 ノ者ニ同、

天竺桂

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0273 天竺桂 ヤブニツケイ(○○○○○○) 松浦ニツケイ(○○○○○○) ホトケタラシ(○○○○○○) ダモ(○○) ダマ(○○) タマ(○○) タブ(○○)〈筑前〉 クスタブ(○○○○)〈同上〉 タボ(○○)〈加州〉 クスダモ(○○○○) アブラダモ(○○○○○) アブラシバ(○○○○○)メンドダモ(○○○○○)〈勢州〉 タマクサ(○○○○)〈豫州〉 タマガラ(○○○○)〈同上〉 クスメンドウ(○○○○○○) カラダモ(○○○○)〈同名アリ〉 コガノキ(○○○○)〈播州〉 アサカイ(○○○○)〈因州〉 アサダ(○○○)〈阿州〉 クロアサダ(○○○○○) ムヅ(○○)〈共同上〉 クロツヾノキ(○○○○○○)〈肥前〉 シホダマ(○○○○)〈上總〉 クロダマ(○○○○)〈豆州〉 コガイノキ(○○○○○)〈長州〉 一名丹陽木〈酉陽雜俎〉 山中ニ自生多シ、甚大木アリ、葉ノ形桂葉ト同ジ、只三縱道末マデ通ラズ、横脈(ヨコスヂ)アリ、香氣少シテ莽草(シキミ)氣アリ、圓葉狹葉濶葉數品アリ、コノ樹皮ヲ採リ松浦桂心ト稱ス、肥前ノ松浦ヨリ出ス故ナリ、味澀ク最下品ナリ、近年根皮ヲ出ス、コレヲ眞ノ根皮ト云、微シク辛味アリテ樹皮ニ優ルト雖ドモ、藥用ニ堪ズ、實ハ櫧實(カシノミ)ノ如ニシテ、三四粒朶ヲナシテ下垂ス、熟シテ黒色、上ニ白粉ヲ生ズ、外家ニ用ユ、クロツヾト云、又一種葉背ニ白毛アル者アリ、臭氣多シ、至テ下品ナリ、コレヲシロダモ(○○○○)ト云、一名シロタブ、〈筑前〉ウラジロ、〈奥州〉ツヾノキ、アブラキ、〈薩州〉スヽベイ、〈同上〉シロツヾ、〈肥前〉ヲキノミノキ、〈豐前〉實ハ形圓ニシテ無患子(ムクロジ)ノ如シ、熟シテ色赤シ、搾リテ油トスルヲ、ヲキノミノアブラ〈豐前〉ト云、 増、一種カラダモ(○○○○)ト呼モノアリ、ソノ形桂ニ似テ、葉脉櫧ト同クシテ強ハシ、大木ニ成ザレバ花實ヲ生ゼズ、花ハ至テ小ニシテ淡青色、實ハ白ダモニ同ジ、紀州ニテヲホドノキト云、實ヲ搾リ油ヲ取ルベシ、 又近年天竺桂ノ厚皮ヲ取リ、厚朴ニ僞ル、是ヲタフ皮ト呼ブ、ソノ形古渡ノ厚朴ノ如シ、唯微シク白キ筋アルヲ異トス、宜ク擇ビ用ユベシ、

〔紀伊續風土記〕

〈物産六上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0273 天竺(ダモ)桂〈本草、俗名ヤブ肉桂、葉背に白色あるを白ダモといひ、花開きて赤色の者を赤花のダモといふ、〉各郡山中に産す

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十三香木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0274 月桂 クロツヾ アサカイ〈因州〉 天竺桂ノ實ナリ、コノ實ヨリ採ル蠟ヲ、アサダ蠟〈阿州〉ト云、又コガ蠟、〈防州〉ツヾ蠟〈肥前〉ト云蠟蠋ニ造リ燃セバ臭氣アリ、集解ノ説甚妄ナリ、凡ソ物ノ子ヲ雨ラスコト、古今其例多シ、〈◯下略〉

月桂

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0274 月桂 和名駝毛(タモ)、唐人題靈隱寺詩、有桂子月中落、天香雲外飄句、詩家皆云、中秋月夜風起、則滿山降桂子雨、古今以爲奇異事、然日本諸州亦多産之、加州一山寺、毎年八月、月夜降桂子、寄來其實、視之白黒相雜、試蒔種、則至易生、乃駄毛也、又紀州紀三井寺、備前州某邑修驗道者塚上稱昆蘭樹(ヒランシユ)者、實形如櫧子及甜櫧(サツマシイ)實、八月熟、谷風一起則其實飄散、隕於雲外、又伊賀州出者、葉薄似青楊樹(アヲミツキ)、有疏鋸齒、京路四邊産者有二種、實赤者曰赤津桂、黒者曰黒津桂、一名胡賀、一名樟面當(クスメントウ)、葉似菌桂而背白、倶八月實熟、隨風而零、皆是月桂之種、非他物也、又有月季花、一名月桂紅、一名月繼花、和名四季茨、花鏡和書或因月繼之名、誤爲月桂之、殊非種類也、〈玄隨録〉

〔松屋叢考〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0274 三樹考〈◯中略〉 欞(ヲカダマノキ)古今ノ物名に友則 みよしのヽ吉野の瀧にうかび出るあわをか玉のきゆとみゆらん〈友則家集にも載て異同あり〉同墨滅歌に、勝臣、 かけりてもなにをかたまのきてもみんからはほのほとなりにしものを、などよみて、俗に多万乃木(タマノキ)とよぶ、古今榮雅抄〈十の卷〉に、欞の字を書れしも、靈木の合字なり、漢名は丹陽木〈酉陽雜俎〉とも、天竺桂〈本草綱目〉とも、山桂〈同上〉とも、大樹繁花〈同上〉とも、月桂〈同上〉ともいふ、舶來の肉桂よりも下品、楠にも似たれど、それよりは上品なり、藪肉桂(ヤブニツケイ)、松浦肉桂、佛多良之(ホトケタラシ)、油柴、米牟止宇太母(メムドウダモ)、油太母(アブラダモ)、陀万(ダマ)、陀母(ダモ)、多夫(タブ)、久須多夫(クスタブ)、多菩(タボ)、久須陀母(クスダモ)、玉久左(タマクサ)、玉我良(タマガラ)、加良陀母(カラダモ)、久須米牟止宇(クスメムドウ)、古我乃木(コガノキ)、安左加比(アサカヒ)、阿左陀(アサダ)、黒阿左太(クロアサダ)、牟圖(ムヅ)、黒都豆乃木(クロツヾノキ)、鹽陀万(シホダマ)、黒陀万(クロダマ)、古我比乃木(コガヒノキ)、多都乃木(タツノキ)、都豆乃木(ツヾノキ)、波奈我(ハナガ)、油盜乃木(アブラヌスビトノキ) など、所によりてさま〴〵に稱よし、大倭本草〈十二の卷〉物類稱呼、〈三の卷〉倭漢三才圖會、〈八十二の卷〉本草啓蒙〈卅の卷〉に見ゆ、伊豆國にては古我多比(コガタビ)とよびて、葉は舶來肉桂に似て、末小尖り、表裏共に色つやヽかなり、實は紫葛(クマツヾラ)の實〈紫葛關東にてカマエビといふ〉より小し大きくて、三四五顆房をなして結(ナ)り、初は青色、熟れば濃紫色なり、中に天瓜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif (タマヅサネ)の貌なるhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif あるよし、門人藤井昌榮〈伊豆三島神主〉いへり、さて多万乃木とは、實の圓にて玉に似たる故の名也、陀母(ダモ)、多夫(タブ)、多菩(タボ)は通音也、久須陀毛(クスダモ)は香玉(クサダマ)にて、香(クサ)きよしなり、玉久左(タマクサ)、玉我良(タマガラ)、加良陀毛(カラダモ)なども玉のよしある名なり、古我多比(コガタビ)も小香玉の通音にて、古(コ)と小(ヲ)と通ふすしは、余已に佐野渡の注釋にいひたり、又此木の一種に、葉末尖らず、裏に白毛ありて、實胡頽子(ミナハシログミ)ばかりなるが、十顆或は二三十顆附合て結り、初は青色、熟れば赤きものあり、白陀母(シロダモ)、白多夫(シロタブ)、裏白(ウラシロ)、都豆乃木(ツヾノキ)、油木(アブラノキ)、須々便伊(スヽベイ)、白都豆(シロツヾ)、乎支乃三乃木(ヲキノミノキ)、阿加多比(アカタビ)などよぶ、乎支乃三乃木といふは、小香(ヲカ)の實の木の心也、阿加多比は赤玉の通音にて、實の赤ければ也、白陀母、白多夫、白都豆、裏白などは、葉裏の白色によれるなり、又大多比(オホタビ)とて葉いとおほきく、裏小白くて古我多比よりも大なる實二顆許房をなして結り、初青色、熟後濃紫色なるがあり、古我多比より下品、白多夫よりは上品のよし、藤井昌榮いへり、大多比といふは、葉も實も大なるによれる名也、かく一種にて形状異なるは、松に男松、女松、姫松、橿に白橿赤橿などあるがごとし、

〔佐渡志〕

〈五物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0275 月桂 方言ダモ 實ヲムスブコト、南天燭ヨリ大ナリ、

紫陽花

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0275 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b455.gif 〈止毛久佐、又安知左井、〉

〔倭名類聚抄〕

〈二十草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0275 紫陽花 白氏文集律詩云、紫陽花〈和名阿豆佐爲〉

〔倭訓栞〕

〈中編一阿〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0275 あぢさゐ 新撰字鏡に見ゆ、万葉集に味狹藍とかける味はほむる詞、狹藍は花の、色をいふ也、倭名抄には紫陽花あづさゐとみゆ、白氏文集を引り、南部新書に、招賢寺僧植桂、香紫 可愛、郡守白公曰紫陽花と見えたり、歌に、よひらのはなとよめるは、花の四枚にさくをいふ也、唐あぢさゐあり、其樹たち葉もうつぎに似たり、尖あぢさゐともいふ、花の形による也、六月に咲り、草あぢさゐあり、秋花さくべにかたに似たり、よて草額ともいふ、

〔和字正濫抄〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0276 中下のゐ 紫陽花 あづさゐ 和名かくのごとし、万葉には味狹藍とかきて、つねのごとく、あぢさゐとよめり、六帖も同じ、味はほむる詞、狹藍はさあゐといふべきを、あを略していふ、たヾあゐなり、あぢさゐの花は青ければ、かくはなづくるなり、万葉に、玉きぬのさゐ〳〵沈みとよめるも、たび〳〵藍に入るヽなり、

〔大和本草〕

〈七花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0276 紫陽花(アツサイ/アヂサイ) 韻語陽秋曰、有山花、色紫、氣香、穠麗可愛、人莫其名、白樂天標其名紫陽、紀之以詩、其花テマリ花ノ如シ、淡碧色ナリ、其莖ハ木ノ如ニシテ、高サ二三尺ニスギズ、叢生ス、花ハ日ヲオソル、古歌ニアヂサイトヨメリ、順和名抄ニハアツサイト訓ズ、或曰、是常山ナリト、非也、常山ハ別物ナリ、又花ヒトエナルアリ、山林ニアリ、枝ヲサシテモ活ク、

〔難波江〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0276 紫陽花 萬葉集卷廿、〈四十六才〉安治佐爲能、夜敝佐久と有るを、六帖草の部にのせたり、さて萬葉集卷四、〈五十七才〉事不問、木尚味狹藍と有り、これはたしかに木とよめり、〈但此歌一首の意解かぬれば、六帖にのせぬにや、六帖の比には歌はきこゆれど、草とさだめたるからは、木尚とあればのせぬにや、〉和名抄廿卷本には、草部に紫陽花と題して、白氏文集を引證としたり、十卷本にはのせず、近日の本草藥名備考和訓抄には、木部に入て、花鏡を引て八仙花と有り、又物品識名にも、木部に遵生八牋を引て、聚八仙と有り、本草にはみえず、新撰字鏡に、草部、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b455.gif 〈止毛久佐、又安知左井、〉と有れど、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b455.gif の字を安治左爲にあてたる據、おのれ〈◯岡本保孝〉いまだしらず、物産家にとはまほし、又一種ガクといふあり、アヂサヰノ種類なるべし、漢名詳ならず、中世よりがくの花と歌によめり、字 音にて額の字なるべし、神社の額に似たるよりの名歟、

〔剪花翁傳〕

〈前編三四月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0277 紫陽花 三種、色紅白藍、開花四月中旬、形梨花のごとき英數十箇群簇て、徑三寸餘の房となる、開けば徑四五寸ばかりになる也、又八九寸許になるもあれども、插花にはとらず、方日向、地土えらばず、肥大便寒中入べし、春彼岸より淡小便三五度そヽぐべし、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e5ba.gif (さしき)春彼岸よし、移(うゑかへ)正月中、升水の方は切口を燒べし、同種に班入葉あり、

〔萬葉集〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0277 同月十一日、左大臣橘卿宴右大辨丹比國人眞人之宅歌三首 安治佐爲能(アチサ井ノ)、夜敝佐久其等久(ヤヘサクゴトク)、夜都與爾乎(ヤツヨニヲ)、伊麻世和我勢故(イマセワガセコ)、美都都思努波牟(ミツヽシノバム)、 右一首、左大臣寄味狹藍花詠也、

〔散木弃謌集〕

〈二夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0277 殿下にて夏夜の月をよめる あぢさゐの花のよひらにもる月を影もさながらおる身ともがな

土常山

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十三毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0277 常山〈◯中略〉 土常山(○○○)ハアマチヤ(○○○○)、別ニ絞股藍(ツルアマチヤ)アルユヘ、木アマチヤ(○○○○○)トモ云、一名甜葉、〈延平府志〉三百頭牛藥、〈甘草發明〉城州ノ宇治田原ニ園ヲナシテ栽ユ、諸州深山ニモ亦多シ、木ノ高サ二三尺、葉土牛膝(イノコヅチ)葉ニ似テ狹ク鋸齒アリ、葉ノ末紫色ヲ帶ビ兩對ス、五月枝ノ梢ゴトニ花アリ、形蝴蝶花(ガクサウ)ニ似タリ、碎小瓣ノ花内ニ攢簇シ、外ニ四瓣ノ大花トリマキ開ク數色アリ、外碧ニシテ内白キ者、内外碧色ナル者、外白ク内淺紫ナル者、外碧ニシテ内淡紫ナル者、内外白キ者、内外淡紅ナル者アリ、葉ヲ採リ蒸シ、揉テ青汁ヲ去リ飮トス甚甘シ、今四月灌佛ニ供スル者コレナリ、又一種形同シテ葉甘カラザル者アリ、コガク(○○○)ト云、土常山ノ一種ナリ、大和本草ニキアマチヤノ一名トスルハ非ナリ、

溲疏

〔倭名類聚抄〕

〈二十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0277 溲疏 本草云、溲疏一名楊櫨、〈溲音所流反、和名宇豆木、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0277 千金翼方、證類本草下品有溲疏、不楊櫨之名、證類本草引陶隱居云、李云、溲 疏、一名楊櫨、則知是名出陶注也、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0278 溲疏 俗云朝鮮枸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 〈◯中略〉 按朝鮮枸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 、枝葉花皆似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 、而子亦如http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 略大、八九月熟赤色、樹有刺而中空、山中則高丈許者亦有、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十五灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0278 溲疏 シホミグサ(○○○○○)〈古歌〉 ハツミグサ(○○○○○) カキミグサ(○○○○○) ユキミグサ(○○○○○) ミチモトメグサ(○○○○○○○) ナツユキグサ(○○○○○○) ウノハナ(○○○○)〈共同上〉 ウツギ(○○○)〈和名抄〉 ウツケ(○○○)〈土州〉 ハメキ(○○○)〈薩州〉 ク子ウツキ(○○○○○)〈松前〉 ヒキダラ(○○○○)〈江州〉 シロウノハナ(○○○○○○) 山麓ニ多シ、人家ニモ多ク栽ユ、小木ナリ、高六七尺枝葉對生ス、葉ハ形狹長ニシテ三四寸、邊ニ細齒アリ、四月ニ花ヲ開ク、白色五辨穗ヲナスコト五六寸、卯月ニ開ク、故ニウノハナ(○○○○)ト云、又千葉ナル者アリ、又土州ニハ深紅花ナル者アリト云、並ニ花後實ヲ結ブ、形蔓荊(ハマボウ)子ノ如ニシテ、小ク色黒シ、樂舖ニテ君仙子ト云、木ハ内空シテ堅シ、梓人刮テ釘トス、一種小葉小花ナル者ヲヒメウツギ(○○○○○)ト云、一名朝鮮ウツギ、一種短葉ニシテ花梅花ノ形ニ似タル者ヲムメウツギ(○○○○○)ト云、コノ外品類甚多シ、 増、一種フスマウツギ(○○○○○○)ト呼モノアリ、高三四尺春新葉ヲ對生ス、ウツギノ葉ヨリ濶クシテ縱ニ三道アリ、花ハ尋常ノモノヨリ遲ク、四瓣ニシテ五六分穗ニ成テ長シ、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0278 荊(○) 和名宇津木、凡荊類有數種、和邦絶無識者、用荊瀝者闕如也、按有白荊(○○)、有紫荊(○○)、有黄荊(○○)、就花而命名焉、白荊即今卯之(ウノ)花(ハナ)是也、其實名君仙子、和方用之有波奈多禮宇津木(○○○○○○○)、即卯之花嫰條下垂者、黄荊有二種、一種名山宇津木(○○○○)是也、花譜所謂海仙花、又名鬢邊嬌者也、先輩誤、充蜜蒙花非也、一種莖赤有線薐不圓不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 方、葉似蓖麻葉排生、出穗二三寸、開細紅花、俗名藁幹之木(ハラシベノキ)、江州磨針山有白花者、土人呼虎尾(○○)、即詩榛楉濟々之楉是也、詩疏云、楉似荊而赤、莖似蓍、陸機云、上黨人織以爲斗筥 箱器、又屈以爲釵、又一種花如櫻桃、而白色單瓣、三月開花、京北岩屋山雲畑村野蹊多生之、呼加世宇津木(○○○○○)、又一種細葉花状如盞、有黄紅白三色、呼古米宇津木(○○○○○)、或古米宇津木、結子有六稜、如梔子、呼古義乃子烹食、古米宇津木之名見清少納言枕草紙、一種有三葉宇津木(○○○○○)、其葉三四葉生于一處、莖皮赤、有毛、多涎液、採其汁帋製作奉書、救荒本草所謂省沽油是也、以上皆荊屬、就中山宇津木、波奈多禮宇都木、多液堪用、其他少液、

〔大和本草〕

〈十二花木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0279 空木(ウツギ) 四月ニ白花ヲ開ク、卯ノ花ト云、觀賞スベシ、古歌ニ多ク詠ゼリ、歌人コレヲ雪ニ比セリ、水ヲ好ム、漢名未詳、唐詩ニハ此花ヲ不詠、其葉ハ兩々相對ス、長枝多シ、實ハ胡椒ニ似タリ、其樹高四五尺ニスギズ、其木中(ナカ)空虚也、故ニウツ木ト云、其木理細膩ナリ、用之器トシ、木釘トス、花ノ千葉ナルモノアリ、順和名抄ニ、溲疏ヲ宇豆木ト訓ズ非ナリ、本草ノ説ニ不合、本草別ニ楊櫨アリ、一名空疏、坊間ノ刊本ニウツキト訓ズ、然ドモ本草ニ其子爲莢(サヤ)トアリ、ウツキニハ莢ナシ、此訓亦非ナリ、又谷空木アリ、木ハ空木ノ如ク、葉ハ苧ニ似テ花淡紅ナリ、木空虚ナラズ、空木ノ性不知、其麁皮ヲ去テ青キ皮、癬瘡ノ藥ニ合ス、〈◯中略〉 山ウツ木 四月花ヲ開ク、十姉妹ト相似テ不同、小木ナリ、花紅白ナリ、京畿ノ俗ハコレヲモ卯ノ花ト云、古歌ニ詠ゼシ卯ノ花ニハ非ズ、京都近邊ノ山ニ多シ、牡荊ノ類ナルベシ、

〔枕草子〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0279 木の花は うの花はしなをとりてなにとなけれど、さく比のおかしう、郭公の陰にかくるらんと思ふに、いとおかし、まつりのかへさに、むらさきのヽわたりちかきあやしの家ども、おどろなるかきねなどに、いとしろう咲たるこそおかしけれ、あをいろのうへにしろきひとへがさねかづきたる、青くちばなどにかよひていとおかし、

海桐

〔和漢三才圖會〕

〈八十三喬木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0279 海桐(しまぎり) 刺桐 今云島桐(○○)〈◯中略〉 按、海桐工匠以旋箱僞白桐、然木理縱文微似椹木理、劣於白桐矣、畫譜云、海桐花細白如丁香、而嗅味甚惡、遠觀可也、據此則花色白、蓋有赤白二種乎、

〔本草一家言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0280 海桐花 凡稱海桐花者三種、和名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000194ee.gif 木(○○)、俗呼登邊羅者、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000194ee.gif 之傳誤也、益軒云、古人除夜挾門戸上、後世以狗骨樹之、葉似楊梅及丹青樹、葉背有魚子紋、花白色、碎細氣甚臭、結實似少枇杷及金橘子、而纍々攅枝頭、遠觀可愛、熟則折裂而見赤實杜仲及南藤實、又一種刺桐(○○)、名桐山礬、又名海桐、三物同名也、宜辨別

蚊母樹

〔大和本草〕

〈十二雜木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0280 蚊子樹(ヒヨンノキ) ヒヨンノ木又ユスノ木ト云、其實蚊ノヤドリト云、内ムナシ、長一二寸、西土ノ俗猿瓢ト云、別ニ實アリテ種子トナル、其木色アカク堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ナリ、薪トスベシ、葉ハ冬青樹(トリモチノキ)、又シキミノ葉、山茶(ツバキ)ノ葉ニ似テ小ナリ、大木ヲ用テワリテ屋材トス、久ニ堪フ、

〔和漢三才圖會〕

〈八十四灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0280 瓢樹(ひよんのき/いす) 正字未詳 俗云比與牟乃木、其木名伊須、 按、其木葉並似女貞(メツバキ)而厚、狹長、色微淡、三四月開細小花、深赤色、結實大如豆、自裂中子細小黒色、別其葉面如子者脹出、中有小蟲、化出殼、自孔口去塵埃空虚、大者如桃李、其文理如檳榔子、人用收胡椒秦椒等末以代匏瓢、故俗曰瓢木、或小兒戯吹之爲笛、駿州多有之、祭禮吹此笛奉于神輿、四國九州多有之、斫木爲薪、木心白微赤、日乾者全赤、堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif薪之上品、 一種 有唐比與無乃木(○○○○○○)者、花葉無異但葉小耳、

〔草木性譜〕

〈人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0280 蚊母樹( /ひよんのき) 〈附〉蚊子木( /まるはのきひよん) 山中の産なり、庭除に植れば、火災の時風を發し火を防ぐ、其葉四時青翠、夏新葉を生じ、葉中に癭の如き者發し、中より小蟲羽化して散出す、又花あらずして枝條に實の如き者を生ず、即古度(ひよん)子〈本草綱目無花果附録〉初緑色、後褐色其中空虚、其殼薄して甚だ堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif 、亦蟲を生じ、羽化して散出す、いんのこと云ふ、是蟲窠なり、又偶夏葉間に朶を發し、紅色の花簇生す、花後實を結ぶ甚だ堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif 、褐色の粉を

〔地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0281 榼(ひよん) もちの木の葉のちいさきもの也


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:49:00 (390d)