牡丹/名稱

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0163 牡丹 一名鹿韮、一名鼠姑、一名百兩金、〈出蘇敬注〉、一名白朮、〈出釋藥性〉和名布加美久佐(○○○○○)、一名也末多知波奈(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0163 牡丹 本草云牡丹一名鹿韮、〈擧有反、和名布加美久佐、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0163 蘇敬云、牡丹苗似羊桃、夏生白花、秋實圓緑、冬實赤色、凌冬不凋、根似芍藥肉白皮丹、出漢劒南、土人謂之牡丹、亦名百兩金、京下謂之呉牡丹者、是眞也、詳蘇敬所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 説、本草牡丹、即皇國西俗所呼藪立花東俗所呼藪柑子也、輔仁訓布賀美久佐、一名也末多知波奈、是草生林叢中、故名布賀美久佐、又是草葉凌冬不凋、其實四時常赤、有橘橙、故名山橘、古藥方中牡丹皮、宜之、今人以木芍根皮古方中牡丹皮者誤、唐以來別有花之牡丹、即木芍藥也、蘇敬曰、今俗用者異於此、別有臊氣也、言唐俗藥方牡丹、誤用木芍藥也、蘇頌本草圖經曰、牡丹、花有黄紫紅白數色、此花一名木芍藥、近世人多貴重云云、圖經引崔豹古今注云、芍藥有二種、有草芍藥木芍藥、木者花大而色深、俗呼爲牡丹非也、此牡丹亦入皇國、即以漢名保宇多无、源君以本草牡丹誤爲賞花之牡丹、故列之女郞花瞿麥之下、金錢花萱草之上、雖也末多知波奈是百兩金非花牡丹http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 之、然未布加美久佐亦爲謂呉牡丹、存之而不削、皆誤、後世歌人或咏牡丹布賀美久佐者、皆襲源君之誤也、又按唐李綽尚書故實云、世言牡丹花近有、蓋以國朝文士集中無牡丹歌詩、張公嘗言、楊子華有牡丹、極分明、子華北齊人、則知牡丹花亦已久矣、唐李濬摭異記云、大和開成中有程修已者、以善畫進謁云云、會春暮内殿賞牡丹花、上頗好詩、因問修已曰、今京邑傳唱牡丹花詩、誰爲首、修已對曰、臣嘗聞、公卿間多吟賞中書舍人李封正詩曰、天香夜染衣、國色朝酣酒、上聞之嗟賞移時、樂史楊太眞外傳云、先開元中、禁中重木芍藥、即今牡丹也、注云、開元天寶花木記云、禁中呼木芍藥牡丹也、廣群芳譜引海記云、隋帝闢地二百里爲西苑、詔天下花卉、易州進二十箱牡丹、圖經曰、百兩金、葉似荔枝初生、背面倶青、結花實後、背紫面青、苗高二三尺、有幹如木、凌冬不凋、初秋開花青碧色、結實如豆大、生青熟赤、根入藥、採無時、用之搥去心嚥津、河中出者、根赤色如蔓菁、莖細青色、四月開碎黄花、似星宿花

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0164 牡丹(ハツカグサ) 廿日草(同)〈和俗所用〉 牡丹(ボタン)〈百兩金、富貴花、一捻紅、鹿韭並同、或云一名鼠姑、未詳、宜考、本草又詩格註以其花富貴、故謂之花王、〉 牡丹(フカミグサ)

〔倭訓栞〕

〈中編二十二/不〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0164 ふかみくさ 和名抄に牡丹をよめり、周茂叔の説に、牡丹花之富貴者也といへり、かみ〈ノ〉反きなれば、富貴草の義なるべし、一説に牡丹の名によりてふかにくさといふ成べし、みとにと横音通ぜり、牡丹は赤き花を主とすといへり、肖柏の發句に、春さかぬ花やこヽろのふかみ草といへるより、牡丹花と呼なせりとぞ、牡丹は和歌には春の季とすれど、連歌には夏の景物とす、春の末より夏かけて咲ものなり、

〔野史〕

〈二百六十一/歌人〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0164 肖柏、字夢庵、號牡丹花、太政大臣源具通之後也〈國史實録◯中略〉大永七年四月沒于和泉南郡、年八十五〈實録、續奇人談、〉嘗咏牡丹歌曰、波留差可奴(ハルサカヌ)、波南乃許々路也(ハナノコヽロヤ)、布伽美久佐(フカミクサ)、而後聯俳家皆以牡丹首夏、蓋自肖柏始、〈◯下略〉

〔藻鹽草〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0164 牡丹ふかみぐさ〈異名也◯中略〉廿日草〈このはなのさく日數廿日をかぎりてさく也、仍號廿日草とや、藏玉に有、〉名とりぐさ〈◯註略〉照發草〈これも異名〉と なりぐさ〈同〉夜白いろぐさ〈同、たゞしこれはまめか、〉山たち花〈是一説也、いしのうへなどにある物にはあらず、ぼたんと云り、〉

〔藏玉和歌集〕

〈夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0165 不加見草 牡丹〈此花さく日數廿日也、依廿日草とも號す、〉名ばかりは咲ても草のふかみ草花の比とはいかでみてまし(万)〈◯中略〉  名取草 牡丹折人のこヽろなしとやなとり草花みる時はとがもすくなし(顯仲歌)むかしある女此花を愛して、おほくうへおきて、晝は終日ながめくらし、夜は終夜風に可損事を歎きけるによりて、男他心ありとて離別しけり、咎なきよし聞ひらきて、もとのごとくすみけるとなん、仍名取草と號、

〔梅花無盡藏〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0165 尾州中島府中總社大明神化縁疏并序〈中島郡名也◯中略〉支那之一百五紅者、〈一百五日開牡丹名也〉則敷島(シキシマ)之二十日(ハツカ/○○○)草(/○)也〈本邦曰牡丹二十日草〉域二而其揆一乎、

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0165 牡丹 中華ニテ花王ト稱シ、花ノ富貴ナル者トス、中華ニ洛陽ノ牡丹ヲ名産トス、日本ニ上代ハイマダ牡丹ナカリシニヤ、萬葉古今集等ニハ詠ゼズ、詞花集ニ新院〈崇徳院〉位ニヲハシマシヽトキ、牡丹ヲヨマセ給ヒケルニヨミハベリケル、關白太政大臣〈藤忠通〉咲シヨリチリハツルマデ見シ程ニ花ノモトニテハツカヘニケリ、倭名フカミ草、又ハツカ草ト云、此花凡二十日アリト云、古ハ左ホド賞翫モナカリシニヤ、歌人ノ詠多カラズ、中華ニモ神農本草ニ牡丹ヲノセタリ、上代ヨリアレドモ只藥ニ用ユ、其花ヲ賞スル事、唐ヨリ以前ハマレナリ、鶴林玉露曰、牡丹自唐以前未有聞、至武后時、樵夫探山乃得之トイヘリ、中華ニモ唐以前牡丹ノ好花ハナカリシニヤ、文士ノ詠作ナシ、日本ニテ古代賞翫ナキコトムベナリ、古代ニ牡丹アリトモ、今ノ艷麗ナル花ハ未有、牡丹、芍藥、躑躅、山茶、百合等、人ノ好ミ盛ナルニヨツテ好花イデキテ、變態百出スルハ近年ノ事也、今又冬牡丹アリ、八月ヨリ葉出テ十月ヨリ花サク、臘寒ノ時モ花アリ、凡如此ナルハ、人 功ヲ以天地造化ノ力ヲヌスンデ成之、良ニ可恠也、近年本邦ニ牡丹ヲ賞スル事甚盛ナリ、歐陽永叔ガ牡丹ノ譜ニ、牡丹ノ名九十餘種ヲ載タリ、今日本所在其品甚多シ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0166http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e4c1.gif (ぼたん/ふかみぐさ) 花王 鼠姑 鹿韭 百兩金 木芍藥 和名布加美久佐〈◯中略〉按、牡丹根皮、山城大和多出之、而家種者不藥用、凡牡丹芍藥花貴重也、和漢時代同、本朝聖武帝時盛賞之、今亦奈良多出名花、諸國富家一株價以數百金栽之、歳歳出珍花、故近於千品、其名不枚擧焉、千葉而厚徑六七寸、純紅如柘榴花色、而形儀全備、甕子小而不綻者爲極上、純白者亦以此可准知、夏月採川圯、〈洒乾〉古圃土細砂〈以上三品〉篩和、八九月出紅芽後可移栽、培之不糞溺、冬月用油渣、少入根傍、或潅鮮魚洗汁、亦佳、四月開花、花落甕破結子、七八莢、八月莢裂中子黒色、十粒許如豆大、候落時、採直蒔之、〈如經久者難生〉春載粒出生、如豆初生、五六年後初可花、總珍花出於子種、而有紫花而白綅者、或本純白末紅者、或黒牡丹、冬牡丹等之異品、然所貴重者、止純白純紅之二耳、紫者爲最下、正黄者未曾見http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 之謝肇成之言當焉、鷗氏所謂姚黄牛家黄者其如何色耶、凡二十年以來人能接得之、而名花流布處處、蘇頌既謂秋冬移接、則太唐自昔接之矣

〔廣益地錦抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0166 牡丹 唐の牡丹(○○○○)は日本の獅子ぼたんなり、紅白の二品あり、紅といふはむらさき紅にて、花のまわりしらけてうす色なり、白といふはつやもなくうるみて、はなのうらに黒豆(コクヅ)のごとく成ルつけ有、唐繪に書しハみな此二種なり、今は實生(ミバヘ)よりかわりて、紅白品々多シ、藥種には花ひとへにて紫白成ルを用といふ、

牡丹栽培

〔農業全書〕

〈十/藥種之類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0166 牡丹牡丹は是を花王と云、しかるに花を見るのみならず、根をとり藥種とし、尤良藥にて多く用ゆる物なり、是も山城にて多く作る、花一重にして白く、又は紅紫なると、兩様を藥種に用るなり、子をうゆる法、秋實よく熟し黒くなりたる時取置て、肥地を尚もよく糞し、なる程細かにこなし、熟し をき、二月蒔べし、子かたく皮厚く、其まヽうへては生じかぬるゆへ、中までは痛まざる程少かみて、皮にちとわれめをつけてうゆべし、又は秋實を取て、深くよく肥たる地に、其まヽ蒔置て、糞土を以ておほひ、寒の中馬糞を多くおほひ置たるは、齒がたを付ずしても春になりて生出る物なり、南向の所に蒔べし、移しうゆる事は、一二年にもかぎらず、苗四五寸ばかりの時、九十月の比よし、うゆる地の事、區を廣さ二尺餘にして、一尺五寸程深くほり、埋糞に牛馬糞枯草など多く入れ、人糞の類は入ずして、肥土を以てふさぎ、區(まち)と〳〵の間、三尺餘に一科(かぶ)づヽうへ置て、毎年馬屋糞、其外糞を多くをきて、四五年の後根を掘取べし、淨く洗ひ、手にてをしはり、曲らざる様にして、干をくべし、賣て厚利の物なり、尤毎年は根をとらずして、二三年に一度づヽ掘取といへども、手入により根甚はびこり、其上斤目多物なるゆへ、過分の利を得べし、是久しくして、利を見る物なるゆへ、廻り遠き事の様なれども、沙池の肥たる暖なる所にて、いつとなく年々に苗をうへ立置ば、却て他の作り物より手間も入ず、無生作にて利潤は多し、殊多く作りたらば、若〈シ〉間に勝れたる名花も出來べし、然れば一へんの利賣のみにあらず、面白くやさしき作り物なり、

〔花壇綱目〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0167 牡丹植養の事一牡丹植の法は、九月中旬より十月中旬の比まで、分植て可然なり、掘て植時、根の高卑其筋を見分、土を間々へ能入て、根のいごかぬやうに土をかけ植る、土高く置あげて、其うへに植て根先のさがるやうに植べし、土はしらけたる赤土に、砂を十分一くわへ、下肥を多く切まぜ、百日計置て糞氣くさりまぜて、土の肥たる時こまかにくだきふるい用なり、霜月初よりくわだんに馬のふみたるわら、馬糞どもあつく置べし、根廻ほり置は惡し、正月の末二月中比雪きへて、右のわらをとるべし、砂計に油糟壹升程まぜて、壇にちらし、塵埃のなきやうに掃て置なり、花の時は蘆簾にて日覆をして可然也、花の後にはとるべし、夏は茶がらを根廻に置て、晩景に白水あるひは清水 をも濕ほどそヽぎてよし、牡丹のめにどろ付たる所あらば、白水にてあらふべし、木に白虫付時是を不洗ば木枯る也、實の蒔やうは、六月土用過七月初に實を取則蒔なり、茶がら壹升に土をまぜ一粒づヽ並て、其うへに茶がら五分ほどかけて、蛤貝かぶせて置なり、二月中旬の比、右の貝をとるべし、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0168 牡丹〈本草〉 和名はつかぐさ、〈詞花集〉ふかみぐさ、〈延喜式〉なとりぐさ〈万葉集〉といふ、山城にて多作、又大坂にて接(つぎ)江戸へ送、其類多し、祕傳花鏡に百三十一種を載、總て赤土に合肥を切まぜ植てよし、又砂を少し入たるもよし、接法ハ常の牡丹の砧(だい)へはす接にしてよし、群芳譜に牡丹八月接べし、又枝をhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif (さし)て活といふ、〈◯中略〉肥ハ人糞を多土へ切まぜ、百日ほどねかし置て用べし、又猪屎(ぶたのふん)を用、又狗糞を用て妙なりと花鏡に見ゆ、然ども群芳譜に、牡丹尤忌犬糞と云り、種樹書曰、牡丹花上穴如針孔、乃蟲所藏處、花工謂之氣倉、以大針硫黄末之蟲乃死、或百部草塞之、貝原花譜曰、牡丹冬至前後、鍾乳粉と硫黄とを末し、根を掘開て周圍に置べし、來春花盛なり、牡丹道知邊に小科(ひこばへ)を白子と名く、分植べしと云、

〔草木錦葉集〕

〈緒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0168 牡丹實蒔并植作方牡丹の事ハ上方より下る品を植置たる事ハあれど、實蒔其外作りたる事一切なし、予が父〈◯水野某父〉牡丹の實蒔して作りたるを、見聞し事どもを左に記す、牡丹實蒔は七月末頃、實黒く成たるを採、すぐに實少しなれバ土器に入、多くあらバ土ほうろくへ乾きたる土を誠に少し厚〈サ〉一分程入、其土の上へ實を程よく並べ、古板にても蓋をして〈かりまきにしたるの也〉水地にてなき場所を一尺五六寸掘て、右の土器を埋置、寒明て四十日程過掘出し、花壇にても畑にても土を少し高くして植る、其節土器の中にて根出あるゆへ、日の當らざる様にすべし、當所ハ寒氣強きゆへ、初より地へ蒔てハ根計出て芽出ざるゆへ、冽て枯る也、暖氣なる土地にて は、初より本蒔にして然るべし、生て後水肥度々懸、四月末頃より下肥二三度懸てよし、其年九月初頃分て植る、節一本立にして根元の芽をかきて植べし、分木等植るも皆同様なり、植替全き時節は秋彼岸より三十日過たる時植替時節也、夫より十一月迄よし、又は二月頃もよし、植替の節根に腐りあらバ、竹べらにてこそげ、日に干て植る、又白きかびあらバ水へ漬、しゆろだわしにて洗ひ、日にほして植べし、腐りたる根ハ多くあるとも殘らず取捨、能あらひ植るに、少し根あれバ氣遣ふ事なし、九十月頃、木の皮を竹べらにてこそげ見改むべし、上皮の下に白く貝がら虫付あらば、こそげ落し、跡を柔らかなる藁にてこすり、生姜のしぼり汁を付て置べし、植土ハ、畑の並土一升、赤土一升、砂三合、眞土の場所にてハ砂計少し入て吉、下肥を懸置て用ゆる花だん植肥ハ、寒中右三品の合せたる土を少し窪くして、其中へ人ふんをたび〳〵入〈懸るにてハなし〉埋置、腐りたるを其土にもみ合せ置、根の元近所を見計ひ掘、其土と取替る、秋冬の中かくのごとくす、其節根を改白くかびたるごとく見ゆる木は掘出し、根を前文の如く洗ひて植る、左に記すごとく、秋冬のうち懸にても吉、作方委くハ十一卷目にあり、爰には荒増を記す、攝州豐島郡池田の在に山方谷郷とて十三ケ村有て、諸木の苗木牡丹を接http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000251.gif (つぎしたて)して諸國へ出す、株(だい)牡丹ハ丹波國、又ハ攝州の中高平にてhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000251.gif (したて)、池田の郷へ送る、  牡丹接http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000251.gif (つぎしたて)方當所にてハ株拂底ゆへ、接http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000251.gif 心の儘に出來ず、若株木あらバ接も吉、秋彼岸十日程後接時節也、穗の削様ハ少しはすに削て吉、細き株ハ穗も株もはすに削合す、是をいも接といふ、油紙にて包、二 枚張位の風鳶の糸程なるしゆろ繩にて、接口をざつと結び置、花だんに植、穗共に土を懸、末つば鉢を懸置、二月中頃見廻りて、夜中鉢を取、晝ハ又懸、霜降様子なれバ夜中も懸置、雨降らバ雨に當、一度に鉢を取らず、欺し取にすべし、芽出たる後下肥二三度懸べし、上方にてハ瓦にて燒たる末鍔程の鉢、竪に巾一寸計窻のごとく切拔たる鉢をかける、當所ハ寒氣強きゆへ末鍔鉢よし、正月末頃より右の窻明たる鉢を覆ふても吉、植替ハ九月初より二月迄吉、全くハ九月よし、

〔牡丹道しるべ〕

〈乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0170 一痩木(廿六)にてもあれ、俄に長ぜしめんとて、糞などつよくする事よろしからず、雨の水取置て、日を經て少小便をまぜて、寒に入て根先とおもふ所にかくるよし、總じて有つかぬ木に糞を嫌ふ、膠なども少ハよろし、一寒(廿七)を凌ぐに、馬糞を根にをく人あり、寒國の雪ふかき所にてハ、さもあるべきも、陽國にてはすまじき事也、寒中に疊の表を切合て、根もとをよく覆たるよし、やはらかなる藁を敷てもよし、寒強く土いてあぐる所ならバ、わらのうへにひらみなる石など置てよし、木に霜覆する事よろしからず、木健ならず、さくはなもよはし、寒暑ともに少ハあつるよし、極寒極暑にハ蘆簾をかけてよし、寒國にて大雪など凌ぐハ、格別の事なれバ覆すべし、大雪に覆落て牡丹折る事ある事也、心得あるべし、一木(廿八)を洗ふ事、葉落て後、雨降に根のうごかぬやうに、柳の篦にて苔を落すべし、洗ふて後椿の實をくだき、布につヽみて油の出る程にしてぬぐふてよし、常の油にてもよし、木立うつくしくなりて、花なけれ共、一入http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e58e.gif と成物也、但さい〳〵につよくあらふハ、痛にも成べければ、心をつくべし、あらはざる木は無奇麗にて惡し、一覆(廿九)ハ、油引たる障子ハ移りよく、はなも一入ひかりありて、能見ゆれども、日氣油氣をとをしおかして、花痛事なれバ、いかヾと覺ゆ、何の覆にても、高く仕たるハよし、はなにちかきハ惡し、遠 く覆たるハ花のたもち久しき物也、心を付べし、一花壇の引幕ハ、或ハ紫或ハ黒く、あるひハ青きよし、赤白の二色ハあしかるべし、

〔剪花翁傳〕

〈前編二/三月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0171 牡丹(ぼたん) 季ハ四月なれど、剪花者ハ好て蕾蓓を剪を以て春牡丹と稱す、花の色赤、淡紅、中紅、濃紅、底紅、紫白朱諸色班入等、花名數十種枚擧すべからず、開花三月末八十八夜頃也、方日向、西北の塞がりし所いとよし、春彼岸より專ら風透をよくすべし、地花壇三分濕、土回薼、肥寒中大便、移春彼岸、又立冬前後よし、接春彼岸切接にすべし、春芽出し前油粕を入べし、又十日ばかり經て一度、又同じく一度、都合二十日に兩度許入べし、花の時に雨覆ひすべし、夏月炎天に葭簀もて日覆ひすべし、花辰の刻より開きて直花亂れ、花共に約やかに正しく、未の刻より葩收て蘂を掩ひ包む、翌日亦開くこと昨日のごとし、是のごとくなること、四五日におよぶを上花とす、下花なるは開し形ち約かに正しからず、葩外裏に反て、聊も蘂を掩ひ包まずして凋む也、さて花壇の花の明日咲べきを、今日開かんことを需バ、兩三日已前より藁筵などをもて四方を圍ひ、油障子を覆ひ、天日を隔て受べし、乃今朝開花すべし、又今日開くべき蕾を明日迄保たせんにハ、若莖而已を昨夕方に剪て、逆水をかけ水器に入、雨風の當らぬ冷陰の所におくべし、冷窖あらバ愈よし、夜に入て水器と共に紙袋を覆ひ、戸外の庭に置く、雨も亦厭ふべし、戸外ハ夜分冷氣強し、斯して明日まで開かず、〈◯中略〉因に云、千兩牡丹是春牡丹の一種也、開花も育方も上に同じ、花の色初開は極紅にして、中頃ハ白く、後は淡紅になる也、毎一輪に是のごとく色變れり、此樹ハ池田北の口より三町許北、木の部村、牡丹屋嘉十郞の庭中に在、是一家の珍花にて、剪花者の扱へるものにあらざれど、名種たるをもて出せり、

牡丹觀賞

〔地錦抄〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0171 牡丹凡例牡丹は總體を九品に分て見るべし、九品と云は、一位、二形、三色、四重、五實、六蘂、七葩、八葉、九木也、 一〈ニ〉位といふに四等の分有り、一位未見、二位三位ヲよしとする、四位ははふれたるとぞ、二〈ツニ〉形といふに五様あり、富貴、艷麗、嚴格、亂雜、枯槁なり、富貴艷麗をよしとす、三〈ニ〉色に二種有り、咲出あかみたる様なるは珠玉咲也、あをみたる様なるは碧玉咲也、珠玉咲は花ニ光りありてよし、碧玉咲は花につやなし、又是にたがへるもあるべし、酔あり、しみ有、ゑひしみ有ルは上花の外なるべし、四〈ニ〉重は、五ツ葩より十五葩にいたりて一重とす、廿葩より四十葩までを八重とす、四十五葩より百葩迄を千重とす、百葩の外万重とす、八重千重をよしとすとぞ、五〈ニ〉實に形容大小高下赤白有り、白ニ黄白有り、銀白青白有、赤に薄赤、木瓜色、濃赤、薄紫、こい紫、黒色有り、形ニ瓶子有、實の首五ツにわれ、七ツにわるヽあり、白は銀白、紅はこいあか、小瓶子をよしとす、芥子實鈴實共いふ、六〈ニ〉蘂はすべて黄なり、淡濃多少長短あり、黄にして少をよしとす、七〈ニ〉葩は厚圓薄缺有り、揑縮有、ひらめくつぼむあり、厚圓にしてつぼむをよしとす、八〈ニ〉葉に大小長短頻縮弱垂圓尖あり、其色紫碧淡濃あり、細長にしてつよきをよしとす、兼たる色をよしとする、九〈ツ〉木に強直なるあり、卷曲なるあり、のびやかにほそすぐ成有、すなをにのびやかなるをよしとす、

〔牡丹道しるべ〕

〈乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0172 一(第一)牡丹と題に書てハ、紅牡丹の事に成べきか、丹の字あかしと讀バ、赤きハ花の本體也、白く咲により白牡丹、紫に咲により紫牡丹とハ云めり、又紅牡丹と云も、紫白にえらばんがためしにあれバ、重言といふべきにもあらじ、本草、時珍曰、牡丹以色丹者上、雖結子而根上生苗、故謂之牡丹とあれバ、元來紅なるべし、群花品の中に、又以牡丹第一とすれバ、世に花王 とも稱するなり、一(第二)花好人ハよくはなを見知べし、されど年を追ふて國々より名花あまた出れバ、中々見覺がたし、見知たるはなにても、年によりて出來不出來あれば、かたく爭ふべきにあらず、或ハ白に染出る事肥過る故也、紅に黒み出、またハ薄色の様になる事も賤く肥過る故也、むざと糞しする事惡しと覺ゆ、本草に、秋冬移接以壤土、至春盛開、其状百變、故其根性殊失本眞とあれば、色替り花形替事尤也、又春雨繁き年は、紅色必薄しと知べし、上花ハ色重實蘂形莖葉葩よくして、葩のもとに染なきを上品とす也、色ハ紅白ともに強く麗しく光り有をよしとす、咲出る時ハよきとても、早くさむるハほめず、散まで色を失はざるを第一とす、むかしの魏家の紫牡丹ハ、ならびなき名花なりと聞ゆ、今ハ紫とだに聞バ見る人なし、姚家の黄牡丹のたぐひ今ありたりとも麗しく興有べしと思ん哉、爰に薄黄牡丹と名付ル有、色ハ木棉の花に似たり、かさね薄し、或ハ白に紫の飛入ハ有物也、昔唐の明皇の時、牡丹を獻ずる者有、貴妃其時おもてをとヽのふるに、口脂手に有を以て華上に印す、栽しむるに來歳花開て紅の迹有、それにより一捻紅と名付給ふ、今筑陽に此名を呼あり、其類といふべし、彼韓湘子が瑠璃盆中に、碧玉の花の牡丹に似たるを咲せけるハ、仙術なれバ、さも有ぬべし、又宋の單父と云し人ハ、種藝の術を得て、牡丹を千種に變ぜしめしかバ、上皇勅して驪山に牡丹万株を植しむるに、花開て其色をの〳〵異なりしかバ、是より呼て花神と稱し、又花師と名づけ給しとなり、今爰に紅白定めがたき花あり、爪紅粉、柿牡丹、はじもみぢ、法花、朧月、行事官など、其外も有、いづれも勝ずといへども色替りと云、花壇の彩に間種る也、總て花に青黄赤白の四色有て、黒色ハなし、いかんとなれバ、黒ハ北方の色水にして陰也、母の道なれバ、母は内にありて養ふ事をつかさどりて、外に色をあらはす事なき故成べし、世に黒牡丹と いへども、牡丹のはなにてハなし、牛の異名也、昔唐土の劉訓と云し人、繫水牛前、指曰、此劉訓が黒牡丹也と、それよりして牛の異名なりとす、一(第三)重に四品あり、一重、八重、千重、万重也、此内八重千重を上とすべし、一重ハたらず、万重ハおほし、又盛上て芍藥咲矢倉咲といふハ、蘂の中より細き葩出る、皆下品也、凡葩五葩より十五六に及迄を一重とし、廿葩より廿四五葩に及ぶを八重とし、それより次第におほく、百葩近きまでを千重とし、百葩以上あらバ万重と知べし、重おほきはなハ、木によつて綻る時、内へ雨入て蘂くさる事有、雨入ざる様にすべし、自然雨入たらバ、よく其雫を落べし、吹拂てもよし、一(第四)實ハ紅にハ赤き實よし、白にハしろきよし、いづれも小瓶子なりを上とす、白牡丹に青き實有、是も赤く黒くうるみたるよりハよし、紫陽より出し花に、袖の内といへる白ハ實眞黒也、されども花色花形よきによりて上品とす、たとへバ松の葉北斗紅ハ實裂る也、裂るハ實の第一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d768.gif なれども、花の色能によつて上品とせり、九品相揃ふ事なきにより、一ツ二ツの難ハゆるす、餘ハ是になぞらへて知べし、實ハ小く破れざるをよしとす、大にして破るを嫌ふ、〈◯下略〉

〔閑窻自語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0174 本朝愛牡丹事わが國にぼたんを愛せしこと、保元以前よりはじまれるなり、〈◯中略〉靈元院法皇ことにめでおはしましけるよし、たしかにしるせり、

〔玄同放言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0174 山牡丹〈山橘附出〉本邦にても、近世牡丹を鍾愛すること盛になりしかば、種々の異名さへ負はして、吟味せざるものなかりき、されば寶永の比に至りて、この花を弄ぶこと、異朝唐宋の時に讓らず、當時春桃散人といふもの、牡丹論談一卷を著はしたり、こは寶永八年二月上旬の事なり、撰者の自序に云、春の 日の夕ぐれにさへなりぬればと讀みたる人は、その花のふかみ草をしらぬ類なるべし、まことに紅白相まじへて咲き出づるさま、近來の人擧りて樂とせざることなしといへり、かくてその書にしせる牡丹四十三種なり、花毎に注釋あり、詳にして且盡くせり、卷尾に丹花四十三色也、獨遊軒無會と寫して花押あり、花合の會主なる歟、當時の流行想像るべし、寛永の巨菊、元祿の百椿、ちかくは寛政の橘、昨今の牽牛花と異なることあらじかし、おもふに歐陽氏牡丹譜に載するもの九十餘種、こは錢思公が嘗輯録しつるものにこそあなれ、花品叙には、永叔が視(め)を經る所、人の稱するものを取りて、纔に二十餘種を出だせり、かヽれば我寶永の四十餘種、寔に寡きにあらず、寶永を眞盛にして、この花漸々に衰へたり、されば余〈◯瀧澤解〉が總角のころまでは、駒込のあなた、西が原てふ處に、茶器を鬻く牡丹屋とかいふものヽ別莊に、多く牡丹を植ゑしかば、俗に牡丹屋敷と呼び做したり、そが家號を牡丹屋といひつるも、牡丹を愛るによりてなるべし、これもはや夢と覺めけん、今は彼處に、さるものありとしも聞えず、海内の名産輻湊して、よろづに乏しからぬ大江戸なれども、今にして牡丹の生花を見んことは、三千歳に一たび花さくといふ優鉢羅花(うばらけ)よりもかたくなりぬ、

〔甲子夜話〕

〈九十八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0175 林蜂洲折簡往來ノ次デニ、北澤ノ牡丹屋敷ハ君知ルヤ否ト、予〈◯松浦清〉知ラザルヲ以テ答フ、又云フ、ソノ花品數種版刻セシ者アリ、君見ルヤ否ト、予未ダ見ザルヲ以テ對フ、又我嚮ニ此編九十五卷ニ矚目掌果ト云ル、武州玉川邊ノ村里ヲ記ス者ヲ載セシ中ニ、甲州道新宿ノ奧ヲ高井戸ト云フ近所ニ、北澤鈴木左内庭中牡丹多シト記セシガ、正シク是ナルベシト思ヒシニ、尋テ林子ヨリ彼ノ版刻ノ摺本ヲ贈ル、展觀レバ花王ノ富貴恰モ盡セリ、但榻紙幅大ニシテ縮寫シ難キヲ以テ、分謄シテソノ次第ヲ綴ル、林又曰、名花ノ品七百種ヲ踰ルハ珍兹ニ止ム、眞ニ泰平ノ餘化ト云ベシ、實ニ斯花始リ自來未曾 有ナルベシ、〈◯中略〉林又云コトアリ、曰年少ノ時、王子村飛鳥山ノ手前ニ、西ケ原ト云所アリ、ソノ處ノ豪農斯花ヲ多ク植テ、牡丹屋敷ト稱シ、春毎ノ見物群到セリ、王侯貴人ハ其宅ヲ借切ニシテ終日ノ宴席トシ、各家ノ紋幕ヲ張テ、雜人ノ入ルヲ許サヾル日モ有リキ、然ルヲ何ツノ間ニカ廢シテ、今ハ其處ヲ知ル人サヘ無シ、彼モ一時ナリ、此モ一時ナリトヤ云ベキ、流居士曰、カヽル好事サヘモ盛衰互ニアル、況ンヤ朱家權門ノ榮枯老目ノ歴ル所ナリ、

牡丹雜載

〔玉海〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0176 承安二年四月廿日戊午、此日法性寺所植置之牡丹、堀進院〈◯後白河〉依御尋也、以隨身重武定能朝臣

〔攝津名所圖會〕

〈七/莵原郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0176 熊内牡丹(くむちのぼたん) 熊内村醫生の家にあり、初は高〈サ〉丈餘の牡丹ありし由、今枯てなし、舊記に載て名世に高ければ、こヽに記す、

〔玄同放言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0176 山牡丹(○○○)〈山橘附出〉山牡丹ハ苑圃中に植うるものとおなじからず、我邦にはこれなしといふものあり、しかれども煙霞綺談〈卷四〉云、遠州秋葉山の麓、いぬゐ川の上なる京丸といふ小村の片邊り、嶮岨なる山の半腹に大木二本あり、その一本は遠くより見る所凡四圍許、又一本は二圍もあらんかし、初夏に花開を見れば、その色白く徑尺許りに見ゆる也、これ牡丹なりといへり、ちかき比その村なる人に問けるに、これまぎれもなき牡丹也といへりとしるせり、鈴木素行神農本經解故〈卷八〉云、本邦牡丹無山生者、惟遠江州山中有之云、未詳といひしは、彼京丸なる山牡丹を仄に傳へ聞きたるなるべし、按ずるに謝肇淛云、〈五雜俎物部二〉余在嘉興呉江、所見牡丹迺有丈餘者、開花至三五百朶、北方未嘗有也、かヽれば唐山にも牡丹に巨大なるもの罕にはありと見えたり、我遠江なる山牡丹も、そら言にはあらぬなるべし、

〔採藥使記〕

〈下/甲州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0177 重康曰、甲州御城中ニテ牡丹ヲ見シニ、甚ダ大ク木ノ高サ一丈五尺バカリモアリ、花ハ未ダ見ズトイヘドモ、色紅ニテ年ニヨリ百二三十輪モ花ヲ開クト云フ、誠ニ土地ニ應ジタル故カ、願クハ此根ヲ採リ藥用ニセバ、其功甚効アランコトヲ、光生按ズルニ、牡丹ノ大木トナルコト所々ニアルコトナリ、攝州菟原郡熊内村ト云フ所ニ、高サ一丈餘ノ牡丹アリト、輿地通志ニモ載タリ、又中華ニモコレアルニヤ、湧幢小品ニイハク、青城山ニ牡丹アリ、樹ノ高サ十丈、六十年ニ一度宛花開ク、永樂年中花咲シ時、蜀獻王使ヲ以テ見セシム、即チ花ヲ取リテ歸リシト、廣群芳譜ニモ引ケリ、

〔武江産物志〕

〈遊觀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0177 牡丹 西ケ原牡丹屋〈立夏三日頃〉 深川八幡〈別當園中〉 上北澤村〈左内園中〉 龜戸社内〈先年大牡丹あり、天明の洪水に枯る〉

〔續江戸砂子〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0177 雜樹の部緋の衣〈ぼたん也〉 上野御本坊

〔牡丹道しるべ〕

〈乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0177 一(十三)花の盛ハ大かた立春より九十日なり、下品のはなハ十日も早く咲出る也、一國の内にても、少の遲速あるなり、洛中都外二日の違有、南都ハ五日遲し、勢尾の兩國八十八夜の比大概たがはず、駿府ハ六七日はやし、賀州越前五七日遲し、攝州播陽ハ氣候同して京にハ二日もはやし、筑陽ハ五日はやし、

〔牡丹道しるべ〕

〈坤〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0177 一(卅二)牡丹の苗牙を矢と名付る事、人毎にいへども、いかなる故といふ事をしらず、或人云、生發の氣をさして矢といふにやと、しからバ矢といふ名ハ余のもろ〳〵の苗牙に通ずべしと、おもふに牡丹の子の親木のもとより眞すぐに生出たる、其形恰もよく矢頭(じんとう)に似たるゆへに名付る成べし、げに似たる物を能ぞ思ひ出たるとおかし、それ哲人の物に名付る事、其形をもつてする、此類おほし、尤實ばへのハ矢といはず、 一(卅三)地中にありて出はなれざる牙を白子といへり、少にても根あれバ切はなし、植てよくつく物也、牙かくるヽほどに、細成砂をかけて、底なき曲物をきせ、寒中に霜雪を凌ぎ、曲物の中いてあがらぬやうにして置也、春快葉をする物也、他に遣す時、白子などありて、殘置時のためなり、

芍藥

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0178 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b22b.gif 藥、〈市若反〉一名白木、一名餘容、一名梨食、〈楊玄操音力號反〉一名解食、〈楊玄操音胡買反〉一名鋋、〈仁諝音蝉〉一名甘木、〈出雜要訣〉一名里攣夷、〈出釋藥性〉和名衣比須久須利(○○○○○○)、一名奴美久須利(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0178 芍藥 唐韻云、芍藥〈芍音張約反、新抄本草云、和名衣比須久須里、又沼美久須里、〉藥草可食也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0178 廣韻引蕭該、藥草作香草、本草、芍藥生中岳川谷及丘陵、陶注云、今出白山蔣山茅山最好、白而長大、餘處亦有而多赤、圖經云、芍藥春生紅芽叢、莖上三枝五葉、似牡丹而狹長、高一二尺、夏開花、有紅白紫數種、子似牡丹子而小、根亦有赤白二色、鄭風溱洧毛傳、勺藥香草也、太平御覽引詩義疏云、今藥草勺藥無香氣、非是也、未今何草、司馬相如賦云、勺藥之和、揚雄賦曰、甘甜之和、勺藥之羹、然則勺藥又入食也、王引之曰、西山經云、繍山、其草多芍藥、中山經句檷之山、條谷之山、洞庭之山、並云、其草多芍藥、則芍藥山草名、名醫別録云、芍藥生中岳川谷及丘陵、陶注云、出白山蔣山茅山最好、白而長大、餘處多赤、與山經合、則古之芍藥、即醫家之藥草芍藥也、今人畦種之、離騷所謂畦留夷者矣、其根莖及葉無香氣、而花則香、故毛詩謂之香草、猶蘭爲香草亦是花香莖葉不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 香也、至司馬相如子虚賦、勺藥之和、揚雄蜀都賦、甘甜之和、勺藥之羹、皆是調和之名、陸氏引以證勺藥之草、誤也、伏儼注子虚賦云、勺藥以蘭桂調食、文穎云、勺藥五味之和也、韋昭云、勺藥、和齊、鹹酸美味也、勺丁削反、藥旅酌反、晋灼云、南都賦曰、歸雁鳴鵽、香稻鮮魚、以爲芍藥、酸甜滋味、百種千名、文説是也、李善云、枚乘七發云、勺藥之醤、然則和調之言、於義爲得、今案勺丁削反、藥旅酌反、勺藥之言、適歴也、適亦調也、説文http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000252.gif 字從厤云、厤調也、與歴同、又云秝希疏、適歴也、讀若歴、周官遂師注云、磨者適歴、執紼者名也、疏云、分布希疏得所、名爲適歴也、然則均調謂之適歴、聲轉則爲勺藥、蜀都賦云、有伊之 徒調夫五味、甘甜之和、勺藥之羹、七命云、味重九沸、和兼勺藥、論衡譴告篇云、醸酒於罌、烹肉於鼎、皆欲其氣味調得也、時或鹹苦酸淡不口者、由人勺藥失其和也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001aa09.gif 康聲無哀樂論云、大羹不和、不勺藥之和、皆其證矣、服虔注子虚賦或説云、以勺藥調食、亦未嘗審信也、而顏師古乃云、勺藥草名、其根主五藏、又辟毒氣、故合之於蘭桂五味、以助諸食、因呼五味之和勺藥、及考古人飮食、未勺藥、既已無證矣、乃云今人食馬肝馬腸勺藥而煮之、是古之遺法、據其説則今人非馬肝馬腸、且不芍藥、何以知古人用勺藥http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 食乎、然且歴詆諸家、妄爲音訓、斯爲謬矣、焦循曰、上林賦云、宜笑的皪、索隱引郭璞曰、鮮明貌也、又明月珠子、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a341.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a409.gif 江靡、索隱引應劭云、其光輝照於江邊也、張衡思玄賦、離朱唇而微笑兮、顏的礫以遺光、注云、明貌、左思蜀都賦云、暉麗、灼爍、劉淵林注云、豔色也、魏都賦云、丹http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b579.gif波而的礫、注云、光明也、勺藥之華、鮮豔外著、其稱勺藥、猶灼爍也、

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0179 芍藥(シヤクヤク)〈異名將離華、又云可離華、唐李群玉句云、芍藥華開菩薩面、與下椶櫚一對句也、◯椶櫚葉散夜叉頭〉

〔塵袋〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0179 一芙蓉芍藥ト云芍藥ハ何物ゾ芍藥ニ二アリ、芍藥ト木(ホク)芍藥トナリ、此ノ邊ニツネニ牡丹ト云フモノハ芍藥也、木芍藥ト云ハ木牡丹トテ、イロ深紅ニテ一エナルガ、黄ナル色ノアルモノヽ事歟、白芍藥ト云フハシロキハナノサクナルベシ、ウルハシキ牡丹ハ此ノ土ニイマダワタラズ、宋人コトニ秘藏スルウヘニ、大ニシテモタリニクキ故歟、牡丹ハ草ニ非ズ、木ノ如シテイツモクキノカレウスル事ナシ、フルキ枝ヨリメグミイヅル也、其レニ花葉ヲ生ズ、芍藥ノ如クトシゴトニツチヨリワカバヘ出ル事ハナシ、芍ノ一字ヲバチヤクトヨムヤウアリ、調美ノ詞ニ芍藥醬ト云ヘリ、是ハ芍藥ヲシホニツクルニハ非ズ、芍藥ノ根ニハ五味ヲ具足スト云フ事、醫書ノ中ニ見エタリ、此ノユヘニ氣味ヲトヽノヘタル心ヲイハントテハ、芍藥ノ和ト云ヒナラハセリ、芍藥ノ醬ト云フモ、醬ノ氣味ヲヨクトヽノフル心ヲ表スルナルベシ、調味ノ方ニハチヤクトヨム、又芍ノ字ヲテキ(都歴反)トヨム事アリカクヨミ ツレバ非芍藥http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子ノ名ナリ、シテウトヨムヤウアリ、カクヨミツレバホヤノ名也、木ニオウル蔦也、

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0180 芍藥 其花牡丹ノ次ナリ、故ニ花相ト云、詩經鄭風溱洧篇ニ芍藥ヲノセタリ、故ニ王元之芍藥詩譜云、百花之中其名最古シト云ヘリ、藥ニハ赤白芍藥共ニ、山中ニ自然ニ生ジテ單ノ紅白花サクヲ用ユベシ、世俗園中ニウヘテ、花ヲ賞スルヲバ用ユベカラズ、中華ヨリ來ルハ其形カハレリ、花園ニウフルハ、中世中華ヨリ來レルナルベシ、今世ハ千葉、單葉、紅白、其品甚多シ、奧州河沼郡千笑(チサク)原ニ、壽永年中越後ノ城四郞長茂、千根ノ芍藥ヲウフ、是ニヨツテ千笑原ト云、今ニ滿原皆芍藥ナリト云、是亦自然生ニアラズ、昔ウヘシナリ、王觀芍藥譜曰、今芍藥有三十四品、日本ニ今所在ハ其數彌多シテカゾヘガタシ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0180 芍藥(しやくやく) 將離〈◯中略〉 〈和名衣比須藥、一云沼美久須里、〉本綱、有白者、〈名金芍藥〉赤者、〈名木芍藥〉千葉者、〈名小牡丹〉十月生紅芽、至春乃長、夏初開花五葉、似牡丹而狹長、高一二尺、有紅白紫數種、其品凡三十餘種、有千葉單葉樓子之異、入藥宜單葉根、結子似牡丹子而小、其根之白赤隨花之色也、洛陽牡丹楊州芍藥甲天下、氣味、〈酸而苦氣薄味厚〉 陰也、降也、爲手足太陰行經藥、入肝脾血分、白補而赤瀉、白收而赤散、其用凡六、安脾經、〈一ツ〉治腹痛、〈二ツ〉收胃氣、〈三ツ〉止瀉痢、〈四ツ〉和血脈、〈五ツ〉固腠理、〈六ツ〉同白朮用〈補脾、〉同http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b222.gif 〈瀉肝、〉同人參〈補氣、〉同當歸〈補血、〉以酒炒〈補陰、〉同甘草〈止腹痛、〉同黄連〈止瀉痢、〉同防風〈發痘疹、〉同薑棗〈温經散濕、〉産後不用、但酒炒不妨、〈惡石斛芒硝藜蘆〉按芍藥花容婥約、〈婥約者美好貌〉故倭俗亦名貌好草、〈加保與久佐〉蓋唐芍藥多内外赤色而白者鮮矣、出於本朝信濃者最佳、伊勢丹波之産次之、凡人家所栽者花美好也、而入藥以山中者佳、或用豆知阿介比根之、形状相似矣宜之、 近時名花之芍藥頻多出、凡五百有餘種不悉記、惟愛花者則紅白最鮮明、其花形如皿、而中蘂如幣、其幣皆黄金色者爲上品、凡牡丹芍藥http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 花欲瓶、早晩剪不宜、至巳時或申時伐用、不萎易

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0181 芍藥 ヱビスグサ〈延喜式〉 ヱビスグスリ〈和名鈔〉 ヌミグスリ〈同上〉 カホヨグサ〈歌書〉 今ハ通名 根一名錦繍根〈輟耕録〉 解倉〈事物紺珠〉 養性〈典籍便覽〉 黒辛夷〈同上〉 黒牽夷〈事物異名〉 攣夷〈廣雅〉 辛夷〈瑯邪代酔編、コブシト同名異物、〉 花一名吐錦〈尺牘雙魚〉 嬌客〈典籍便覽〉 掬香瓊〈同上〉 玉盤盂〈事物異名、典籍便覽〉 冠芳〈輟耕録〉 近客〈華夷花本雜考〉 艷友〈同上〉 何離〈三才圖會、汝南圃史、〉 可離〈古今注、典籍便覽、〉 殿春客〈花鳥爭奇〉 婪尾春〈典籍便覽、酒宴ノ終ニ三盃飮ムヲ婪尾酒ト云、〉 大朴花〈郷藥本草〉 花相〈牡丹釋名ノ註ニ、牡丹ヲ花王ト云、芍藥ヲ花相ト云フ、〉 牡丹近侍〈事物紺珠〉 菩薩面〈同上〉 増一名解倉〈千金翼方〉 沒骨華〈王氏畫苑〉唐山ニテハ楊州ノ芍藥、洛陽ノ牡丹ト稱シテ天下ノ名物ナリ、ソノ品名楊州芍藥譜ニ三十一種ヲ載ス、群芳譜ニ三十九種ヲノス、秘傳花鏡ニ八十八種ヲノス、年ヲ逐テ幻變スルコト知ベシ、和産モ亦然リ、ソノ品類ハ花壇綱目、花壇大全等ニ詳ナリ、藥ニ入ルヽハ、花圃ノ根ヲ以テ糞力ヲ假ラズシテ栽ルモノ、生乾ニシテ用ユベシ、藥舖ニテコレヲ眞ノ生乾ト呼ブ、城州長池ヨリ出ス、タダ粗皮ヲ去テ乾タルモノナリ、又唐様ト稱スルハ、漢渡ニ擬シテ沸湯ニ浸シ過シ、乾スユヘニ性味薄シテ生乾ニ及バズ、根ノ赤白ハ花ノ色ニ隨ト、時珍ノ説ニ云ヘリ、然レドモ舶來ノ赤芍藥ハ皆粗皮ヲ去ラズシテ乾タルモノナリ、白芍藥ハ皆皮ヲ去リ蒸乾スモノナリ、正字通曰、舊以花色赤芍白芍、或言根曝乾爲赤芍、刮去根皮蒸乾爲白芍、白者益脾、赤者行血滯、今コノ説ニ從フ、又和ニテ芍藥ノ陳舊ニシテ、賣レガタキモノヲ水ニ漬シ、赤色ニ變ゼシメタルヲ赤芍藥ト稱シテ、貨ルモノアリ、僞物ナリ、又宇陀芍藥信濃芍藥ト云アリ、和ニテ古來上品ト云傳フレドモ、是ハ草芍藥山芍藥(○○○○○○)ニシテ、山ノ自然生ナリ、眞ノ芍藥ニアラズ、葉ノ形ハ同シテ、花ニ紅白ノ二種アリ、皆單葉ニシテ形チ小ク觀 ルニタラズ、ソノ實ハ殼赤色ニシテ黒子アリテ、美ナルコト花ニマサレリ、深山ニ多シ、俗ニクサボタント云、信州ニテヤマシヤクジヤウト云、備後ニテノシヤクヤクト云、和州宇陀ニテ此根ヲ栽ヘ培養シタルヲ、宇陀芍藥ト云、粗皮ヲ去リ曝乾シタルモノナリ、外白色切レバ内ニ黒キ輪アリ、味酸シ、又信州ニテ培養シテ出スヲ、信濃芍藥ト云フ、又丹波伊勢ヨリ山生ヲ取、直ニ乾シタルヲ出ス、コレヲ田舍芍藥ト云、最下品ナリ、

〔廣益地錦抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0182 芍藥(しやくやく) しやくやくは花相(クハシヤウ)といふて、ぼたんに次り、はなに數百の品有て、二階(カイ)三かいあり、金銀のもやうあるゆへ、金しで、銀しで、金手まり、砂金金盞(キンサン)などヽみな金銀の名あり、藥種の芍藥は各別の物なり、葉形草立も少似てちがひあり、花ハひとへ小りん、川骨(カウホネ)の花のごとくにて天をむきてひらく、ながめにたらず、秋實をむすぶ、其實われて三方四方へわかれ、内は皆朱にぬるがごとくに赤く、花よりまさりて見るにたれり、紅白の二種有り、紅の根は赤芍、白は白芍なり、

〔剪花翁傳〕

〈三/四月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0182 芍藥花 花白淡紅、濃紅、紅白斑入等品數多し、開花四月中旬、方日向、地中濕、土回塵、肥大便、寒中芽出るまへ、淡小便そヽぐべし、分株、移、秋彼岸よし、上品なるを俗にまがきといふ、蘂大總にして亂れず、葩直く連りて、英皿のごとく、辰の刻より開き、未の刻に葩收て蘂を掩ひ包む、翌日も開くこと昨日のごとし、是のごとくなる事、四五日におよぶ也、下品なるものを、俗に呼て踊子といふ、乃ち開きしまヽにて次第にしぼむ也、

〔農業全書〕

〈十/藥種之類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0182 芍藥芍藥は牡丹に相つぎ、和漢古今ともに、世人花を賞するものなり、殊さら近來都鄙其花を弄ぶ事さかんにして、年を追て其花しな〴〵多くなれる事いふばかりなし、藥種には花の一重なるを用ゆ、白を白芍藥と云、赤を赤芍藥といふ、醫家に白芍藥を多く用ひ、赤は只十にして二三も用ゆ るとなり、白を多く種べし、是も山に自然と生たるが性よけれども、又里に種るをも用ゆべし、種る地は、よく肥たる砂地に、ちと土のまじりたるよし、眞土も肥たる地の、ねばりけなきはよし、地ごしらへは、粉糞、熟したる馬糞、或やき糞などにても、其地味により見合、是をまじへ、其上に熟糞をかけ、よく乾し、度々うちかへし、こなしさらし置て種べし、種かゆる事あらば、八月末九月始、其年の節によりて考へうゆべし、子を種る法、地を右のごとくこしらへ、畦の間一尺ばかり、其上に深さ三寸程に筋をほり、能糞土を敷、子を種る事、一寸餘に一粒づヽ、付合ぬ様にちどりあしに種べし、又肥土にて七八分程に、種子おほひすべし、生て後夏は日おほひをし、冬は雪霜のふせぎをし、二年めの九月の比、又別に能地をしたヽめ置て、畦の間を二尺ばかりにして移し種べし、四五年に至ては、其根大になり、藥種と成べし、十月の初掘取、よく洗ひ日に干、かたくなりたるを收置、藥屋に賣べし、但中以下の地には種べからず、山下の里猪鹿多く、穀物は作り難き所に肥地あらば尤多く作るべし、

〔草木六部耕種法〕

〈四/需根〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0183 芍藥牡丹ヲ作ル法芍藥 山中自然生ハ、性味強クシテ上品ナルコトハ論ズルニ及バズ、然レドモ入用ノ甚多キ藥物ニテ、勿論自然生ニテ用ノ足ベキニ非ザルヲ以テ、種子ヲ蒔キ苗ヲ爲立テ、此ヲ作ラザルコトヲ得ズ、凡芍藥苗ヲ爲立ル法ハ、先墳土或壚土ノ日當リ能キ場處ヲ撰ビ、新墾故畑ニ拘ハラズ、牛馬ノ力ヲ用テ畑耕シ、此ニ馬糞ヲ入ルコト、一畝十荷ノ割合ニシテ能ク耙交置、然シテ後ニ芍藥ノ實ノ能ク熟シ、黒色ニ成タルヲ採リ、直ニ此ヲ右苗代ニ蒔テ、其上ニ小便灰一升、細土二升ヲ混合シテ、厚三四分程覆土スベシ、容易ニハ芽ノ出ザル者ナリ、時々盛養水ヲ灑ベシ、且寒中ハ馬糞ヲ厚ク其上ニ掛ケ置クヲ良トス、翌年モ能ク他草ヲ耘リ、秋ニ至テ先其植地モ、墳土カ壚土ノ日當リ能キ場處ヲ、新墾故畑ヲ論ゼズ、牛馬ヲ用テ幾遍モ犂返シ、且廐肥ノ能ク腐レタルヲ澤山ニ 入レテ、二尺許深ニ軟膨(ボヤカシ)置、右苗代ニ爲立タル芍藥ノ苗ヲ、二尺隔ニ一坪九本ヅヽ植付ベシ、既活著タラバ能ク他草ヲ耘リ、時々盛養水ヲ灑ギ、五年許モ右ノ如ク養ヒ置クトキハ、根能ク蔓リ肥テ、一株數十本ノ懸根垂下ル者ナリ、五年目ノ冬十月初ニハ悉掘リ採リテ、其掘跡ニ廐肥ヲ澤山ニ入レ、能ク軟膨置テ、他物ヲ作ルトモ、又芍藥ヲ植ルトモ、其意ニ任スベシ、芍藥ハ第十番ノ氣候ニ應合スル草ナレドモ、五六番ヨリ第十五番以下ノ寒國ニモ、能ク蕃衍スル者ニテ、入用極テ多キ藥物ナリ、宜ク多ク作ルベシ、芍藥ハ他ノ作物トハ其趣異ニシテ、五年ノ間ハ植タル侭ニシテ、掘リ採ルコトノ無キヲ以テ、甚事簡ニシテ人手ノ掛ラザル者ナリ、故ニ土地廣ク百姓少キ國ニ於テハ、別シテ利潤多シ、能ク培養ヲ厚クシテ、此物ヲ作ルトキハ、五年間ニハ一坪ノ地ヨリ十斤以上ノ根ヲ出ス、一坪十斤アルトキハ、一段三千斤ナリ、此ヲ金一兩八十斤ニ賣ト雖ドモ、其價金三十七兩二歩ヲ得ベシ、此ヲ五年ニ割ルトキハ一年七兩二歩ニ當ル、人手ノ掛ラザル作物ニテ一段年々七兩二歩ノ金ヲ得ルコトナレバ、利潤モ亦大ナリ、國土ヲ領スル者ハ、察セズンバアルベカラザル所ナリ、

〔廣益國産考〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0184 國産となるべき物を左にあぐ芍藥 是も薄地に作りて益を得るもの也、大和吉野郡宇多郡より作り出せり、隨分作りて農家に利を得るもの也、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0184 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉芍藥四兩、 相模國卅二種、〈◯中略〉芍藥黄蓍前胡各一斤、 武藏國廿八種、〈◯中略〉芍藥三斤、〈◯下略〉

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0184 信濃 芍藥  若狹 芍藥  但馬 芍藥

〔出雲風土記〕

〈島根郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0184 凡諸山野所在草木〈◯中略〉芍藥、

〔實隆公記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0185 永正六年四月廿七日戊子、自室町殿芍藥數莖被下、公條卿〈御使胡阿〉祝著之由申入了、

〔時慶卿記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0185 慶長十四年三月廿五日、御所ノ芍藥牡丹見廻申、芍藥ノ甘汁ヲ懸御目候、女御殿芍藥見廻候、折節御座候テ御盃ヲ給、又常御座之所ノ花壇モ申付候、 十五年九月廿日、芍藥駿府ヘ可進上、用意籠出來候ヘ、則入置、

〔伊達文書〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0185 追而申候、〈◯中略〉抑去年罷下候刻、御數寄屋にて見申候芍藥申請度存候、京都には一切無御座候、被分候御次而も候はヾ大望に候、返々左近身上之儀、猶々上總さまへよきやうに奉憑候、以上、  二月〈◯慶長十六年〉十六日 光豐(勸修寺中納言)〈花押〉    大崎少將殿

〔本朝無題詩〕

〈四/春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0185 閏三月盡日即事〈勒〉 藤原敦基鳥散花飄眺望忩、麗辰盡處恨相同、〈◯中略〉芳塘移榻兼斟酒、酔對數莖芍藥叢

〔鵞峯文集〕

〈百十六/雜著〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0185 諷芍藥時維四月芍藥開敷、當階遶砌、有客戲詰曰、何爲殿春哉、欲姚王暫留品藻郡花以用http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 之歟、不然空負花中宰相名乎、余代之對曰、夫人各有長短、花亦宜然、請試論之、〈◯中略〉於是論芍藥曰、曾聞禹貢揚州厥草惟夭、謂芍藥也、雖其爲定論、而出溱洧士女之謔、則其名既久矣、及上林而相如賦其和味、至謝省中作五言以賞其花、杜少陵王右丞共詠之、白香山柳儀曹等亦題焉、然廣賢遊揚州者不吟之、則當時猶藉甚歟、逮宋朝四相之賞、有萬花之會、常父之序、貢父之譜、蘇黄之詩、王觀之論、廣行於世、其名嗣姚魏、遂有宰相之號、然則花之隱顯有時者、猶人之有出處也、汝王亦然、謝康樂以前知其名者鮮矣、及唐而盛、及宋而彌繁、其稱王稱后可富貴也、然或嫌其豪奢、或戒其國色、若至褒斜採之爲薪、則花之榮辱、亦猶人之有行藏也、汝既爲花相則宜其所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 長、莫攻其所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 短也、唯其清如梅如http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 、其芳 如蘭如菊則可也、何爲求其瑕疵、〈◯下略〉

草牡丹

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0186 草牡丹 葉ハ牡丹ニ似タリ、單白花ヲ開ク、實牡丹ニ似タリ、自宿根生ズ、又實ヲマキテ生ズ、是亦牡丹芍藥ノ類ナリ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十二本/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0186 山芹菜 〈俗云草牡丹〉救荒本草云、山芹菜生山野間、苗高一尺餘、葉似野蜀葵、稍大而有五叉、又似地牡丹葉亦大、葉中攛生莖叉、梢結刺毬鼠粘子刺毬而小、開花黲黲白色、葉味甘、按草牡丹高一尺、葉略似牡丹、四月開白花芍藥而單葉稍小、

福壽草

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0186 福壽草 フクヅク草(○○○○○)トモ、元日草(○○○)トモ云、春初ヨリ黄花ヲ開ク、盆ニウヘテ賞ス、花ハ朝開キ夕ハネフル、又明朝ヒラク、葉ハ胡蘿蔔ニ似テ花ハ草山吹ノ如シ、寒ヲヲソル、夏ハ陰地ヲ忌ミ糞ヲ畏ル、又白花アリ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十二末/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0186 元日草(○○○) 〈福壽草〉按福壽草洛東山溪陰處有之、冬枯春生於宿根、肥莖高二三寸、葉似胡蘿蔔及石長生葉而小、歳旦初開黄花、似半開菊花、人以爲珍、植盆稱元日草、春夏長尺餘、生枝條花綻開不見、五雜俎云、有歳蘭、其花同蘭而葉稍異、其開必以歳首、故名歳蘭、此亦元日草一類二種乎、

〔草木育種〕

〈下/美花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0186 獻歳菊(ふくじゆさう) 又雪http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 〈西域聞見録〉ともいふ、蝦夷にてはシユクトといふ、山に多生ず、一尺餘りて花大なり、又淺黄福壽草あり、莖緑色して花淡黄なり、又重瓣ふくじゆさうあり、形状八重菊のごとし、是は花開こと遲し、山の野土に植べし、盆栽は花少し、花の時は霜除を拵てよし、夏の内米泔水を根廻へ灌、少し油糟を用もよし、

女萎

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0186 女葳蕤 拾遺本草云、女葳蕤、一名黄芝、〈葳音威、蕤音汝誰反、和名惠美久佐(○○○○)、一云安(○○○)麻奈、〉◯按ズルニ、女葳蕤ハ女萎葳蕤トアルベキヲ、萎ノ字ヲ脱セシナリ、而シテ女萎葳蕤ハ一物異 名ナリト云ヒ、二物ナリトノ説アリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0187 女萎 ボタンヅル(○○○○○) ワクヅル(○○○○) シンデンカヅラ(○○○○○○○)〈丹州〉 ワクノテ(○○○○)〈仙臺〉 ナベカラマリ(○○○○○○)〈同上〉 スクモカヅラ(○○○○○○)〈伯州〉 チヤカヅラ(○○○○○)〈石州〉 ドンドロ(○○○○)〈勢州〉 一名蔓地楚〈醫彀〉山野ニ多ク生ズ、春舊根ヨリ苗ヲ生ジ、藤蔓甚長シ葉對生ス、形大蓼葉(センニンサウノ)ニ似テ小ク、皆三尖ニシテ牡丹葉ノ状アリ、秋ノ初枝ノ梢ニ數十花簇生ス、白色四瓣、形大蓼花ニ似テ小ク、實モ亦相似テ小シ、秋後苗枯ル、是即救荒本草ニ載スル所ノ山蓼ナリ、一種草本ノ者ハ深山ニ生ズ、葉大ニシテ秋芍藥(キブネキク)ノ葉ノ如シ、夏秋ノ間花ヲ開キ穗ヲ成ス、白色又淺紫碧花ナルモノアリ、皆四出ニシテ下垂ス、俗ニツリガネサウト呼ブ、集解、蘇恭謬テ白頭翁トスト云者是ナリ、今花戸ニテ漢種ノ白頭翁ト呼ブ者ト相同ジ、女萎ニ同名アリ、根ヲ用ユル者ハ萎蕤ナリ、苗ヲ用ユル者ハ本條ナリ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0187 諸國進年料雜藥備中國卌二種、〈◯中略〉女萎四斤、 阿波國卅三種、〈◯中略〉連翹女萎各二斤、 讃岐國卌七種、〈◯中略〉連翹女萎各五斤、

〔出雲風土記〕

〈秋鹿郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0187 凡諸山野所在草木、〈◯中略〉女萎、

鐵線花/風車草

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0187 鐵線花(テツセンクハ)

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0187 鐵線花(てつせん) 本名未詳按鐵線花二月苗生於宿根、一椏三葉、微似芍藥秧而小、莖細http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 甚勁、故俗曰鐵線、無蔓、其葉乃倚架繁衍、四月開花、萼下有六葉、抱莖亦一異也、其花白色六瓣、平開而蘂圓、紫色最艷美、其蘂綻則似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b8cb.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 總其本有子採之、八月種之、千葉鐵線 外六瓣白色如常、而内瓣亦白色千葉短細隨開、蘂青色、外瓣既綻落則内蘂開、 風車草(かざくるま) 本名未詳 〈小兒所翫之風車似此花形故名〉按風車草者鐵線草之類、而葉不同、花亦鐵線六瓣、是乃八瓣也、葉大於鐵線而無叉、一枝三葉、四五月開花、單葉蒼碧色、又有白花者、有千葉者、花綻蘂亂、形與鐵線之總同、凡鐵線出葉於蘖枝、風車出葉於舊枝

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0188 威靈仙(○○○) 一名能消〈證類本草〉 壽祖〈輟耕録〉集解ニ説クトコロ、草本藤本ノ二種アリ、藤本ノ者ハ時珍説クトコロノ錢脚威靈仙ナリ、和名テツセン(○○○○○○)即漢名鐵線http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ナリ、秘傳花鏡ニ鐵線http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 一名番蓮、或云、即威靈仙ト云リ、廣東新語ニ西洋http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 西洋菊ノ名アリ、花戸ニ多ク栽ユ、人家ニモ栽テ花ヲ賞ス、和州ニハ自生アリ、春時芽ヲ舊藤ヨリ發ス、一根數條赤色竹木上ニ纏延スルコト甚長シ、節ゴトニ葉鬚相對シ生ズ、葉ハ山蓼(ボタンヅル)ノ葉ニ似テ小シ、夏ニ至リ花ヲ生ズ、一莖一花大サ二寸餘、六出或ハ八出、形玉蘂花(トケイサウノ)如ク碧色、中心ニ細小紫瓣簇生シテ菊花ノ如シ、又白瓣紫心ノ者アリ、皆外辨先ヅ落チ、内瓣後ニ凋ム、其根數十條一窠ヲナシ、長サ一尺餘、淺黒黄赤色、又一種カザグルマト呼ブ者アリ、葉大ニシテ橢ナリ、三葉一朶ヲナシ、大蓼葉(センニンサウノ)ニ似タリ、花ハ鐵線http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ヨリ大ニシテ紫心ナシ、碧色、白色、千瓣、單瓣ノ數種アリ、亦鐵線http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ノ一種ナリ、多ク人家ニ栽テ花ヲ賞ス、

〔草木育種〕

〈下/美花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0188 鐵線http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif (てつせん)〈花鏡〉 山の野土にうへ、酒粕人糞を入てよし、枝を伏て土を懸置、根を生じて分植べし、棚を三尺ぐらいに低拵てよし、又花白して千葉(やゑ)なるものを、ゆきおこしといふ、又かざぐるまは碧色にして花大なり、

〔剪花翁傳〕

〈三/四月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0188 鐵線花 花一重、色水淺黄、開花四月中旬より六月中旬迄あり、方半陰、地二分濕、土えらばず、肥油粕芽出しまへに入べし、又花前にも入べし、蔓を生ずるを地に入て根を取、秋彼岸に移すべし、葉はハクサ蔓のごとし、

〔剪花翁傳〕

〈三/四月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 風車 花白、蘂淡赤に青みを含み、葩本に隈入也、開花四月上旬、方半陰、地一分隰、土えらばず、肥淡小便、春彼岸前芽出しの時、一兩度そゝぐべし、分株春芽出しまへよし、形デシンに似たり、

仙人草

〔廣益地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 仙人草 蔓草にてかづらは冬もかれず、夏白花おほくさきてながめたへず、はなくわんかう甚よく遠くくんずる、遠近によらず、かきねにからませ尤うへべし、外科におふく用る、此葉をあやまりて口中に入レば齒うごく、甚敷は齒おつる、いたむ齒をぬきたきには、此莖をくわゆれば早くぬける、

〔草木育種後編〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 大蓼(はこほれくさ)〈救荒〉 俗に仙人艸といふ、和蘭にてヲツプ、スターンデ、ケレマチユスといふ、葉及花を藥用とす、園中の雜木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001abf1.gif 笆(かきね)に糾繆(まとは)しめてよし、又是が莖葉大毒なり、口中に入るヽ事なかれ、

唐松草

〔和漢三才圖會〕

〈九十二末/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 唐松草(からまつぐさ) 俗稱〈正字未詳〉按唐松草生山中、春生苗、苗凋更生莖葉、似人參而細小、面青緑背淡、三椏五葉、四月莖端開白花葩瓣、而匠人如刻成松葉、俗稱唐松也、花落蕊殘、其蕊青黄色亦似花、間希結莢、有稜如麥顆而青色、一種有小唐松(○○○)、莖葉稍小而莖帶紫色、其花有白有紫、今人家移種甚可愛、一種有雪黒草(○○○)、高四五寸、葉花並似唐松草而白、〈又有淺紅及紫

白頭公

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 白頭公〈陶景注云、近根處有白茸人白頭故以爲名、〉一名野丈人、一名胡主使者、一名奈何草、一名羗胡使者、〈出雜要決〉和名於岐奈久佐(○○○○○)、一名奈加久佐(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 白頭公 陶隱居本草注云、白頭公、〈和名於木奈久佐、一云奈加久佐、〉近根處有白茸、似人白頭、故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0189 蘇注云、其葉似芍藥而大、抽一莖、莖頭一花、紫色似木菫花、實大者如雞子、白毛 寸餘、皆被下似纛頭、正似白頭老翁故名焉、今言根有白茸、陶似識、蜀本圖經云、有細毛滑澤、花蘂黄、開寶本草云、今驗此草叢生、状如白薇而柔細稍長、葉生莖頭杏葉、上有細白毛、近根者有白茸、舊經陶注、則未其莖葉、唐注又云、葉似芍藥、實大如雞子、白毛寸餘、此皆誤矣、

〔物類稱呼〕

〈三/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0190 白頭翁ちごばな(○○○○)〈一名しやぐま(○○○○)〉 京都にてうないこ、又ぜがいさう、〈善界の謠に、大唐の天狗の首領善界坊と有、其髮に似たりと也、〉大坂にてひめばな、江戸にておきなぐさ、〈是和名なり〉畿内にてちごばな、美濃にてがくさう、加賀にてけし〳〵まないた、甲斐にてけいせいさう、木曾にてかぶろ、越中にておにごろ、又てんぐのもとヾり、仙臺にてちヽんこ、下野にてちヽこ、又かはらちご、筑前にてねこぐさ、ぜがいさう、飛騨にてものぐるひ、又かつし(チ)き、四國にて尉(ぜう)どのと云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈七/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0190 白頭翁 ナカグサ(○○○○)〈和名鈔〉 ヲキナグサ(○○○○○)〈同上〉 ゼガイサウ(○○○○○)〈筑前、信州、〉 シヤグマザイコ(○○○○○○○) シヤグマグサ(○○○○○○)〈石見〉 チヽカウ(○○○○) チゴバナ(○○○○)〈加賀、播磨、〉 チンコバナ(○○○○○)〈信州〉 チヽンコ(○○○○)〈仙臺〉 チチコ(○○○)〈野州〉 カハラチゴ(○○○○○)〈同上〉 チンゴ(○○○)〈但州〉 チゴノマヒ(○○○○○)〈越中〉 ヲチゴバナ(○○○○○)〈水戸〉 カハラバナ(○○○○○)〈仙臺〉 カハラザイコ(○○○○○○)〈炮炙全書〉 ガクモチ(○○○○)〈濃州〉 カヅラ(○○○)〈同上〉 ガクサウ(○○○○)〈同上〉 ツワブキ(○○○○)〈參河〉 ネコグサ(○○○○)〈筑前〉 ネコバナ(○○○○)〈筑後〉 ゲジ〴〵(○○○)マナイタ(○○○○)〈加州〉 ダンゼウドノ(○○○○○○)〈讃州〉 ダンゼウ(○○○○)〈阿州〉 ゼウドノ(○○○○)〈四國〉 カブロ(○○○)〈木曾〉 カブロサウ(○○○○○)〈伊州〉 ヒメバナ(○○○○)〈大坂〉 ヲニゴロ(○○○○)〈越中〉 テングノモトヾリ(○○○○○○○○)〈同上〉 ウナイコ(○○○○)〈花家〉 ウネコ(○○○)〈薩州〉 ヲナイコ(○○○○)〈肥後〉 ウバガシラ(○○○○○)〈松前〉 ヲバガシラ(○○○○○)〈津輕〉 ヤマブシバナ(○○○○○○)〈石見〉 シヤンゴバナ(○○○○○○)〈播州龍野〉 ホウコグサ(○○○○○)〈同上姫路〉 コラコラ(○○○○)〈同上木梨村〉 コマノヒザ(○○○○○)〈仙臺〉 ケイセンクハ(○○○○○○)〈備前、美作、〉 ケイセイサウ(○○○○○○)〈甲州、備中、〉 ヌスビトバナ(○○○○○○)〈肥前〉ヌスドバナ(○○○○○)〈大和〉 ハグマ(○○○)〈泉州〉 キツネコン〳〵(○○○○○○○)〈備後〉 ラカンサウ(○○○○○) モノグルヒ(○○○○○)〈飛州〉 カツチキ(○○○○)〈同上〉 ガンボウシ(○○○○○)〈上野〉 ジイガヒゲ(○○○○○)〈藝州〉 一名野丈〈事物異名〉 老翁鬚〈藥性奇方〉 注之花〈郷藥本草〉 山野向陽ノ地ニ多シ、春宿根ヨリ數葉叢生ス、形唐種ノ防風葉ニ似テ光滑ナラズ、莖葉トモニ白毛多シ、三四月一尺許ノ莖ヲ出ス、ソノ巓ニ細小葉莖ヲ抱キ並ビ生ジ、上ニ數枝ヲ分ツ、枝頂ゴトニ一花倒垂シテ鈴鐸ノ如シ、長サ八九分、濶サ六分許、後開テ日ニ向テ仰グ、六瓣ニシテ紫赤色外ニ白毛多シ、中ニ一撮ノ紫絲アリ、黄蕊コレヲ圍ム、花衰テ瓣蕊倶ニ脱ス、中ノ紫絲漸ク長大二寸許、圓ニ簇リテ四ニ垂ル、ソノ絲甚ダ細ク、淡紫色ニ變ズ、後又白色ニ變ジ、風ニ隨テ飄リ飛去ル、絲根ニ小子アリ、落ル處ニ苗ヲ生ズ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 諸國進年料雜藥相模國卅二種、〈◯中略〉白頭公一斤、 安房國十八種、〈◯中略〉白頭公三斤、〈◯下略〉

〔出雲風土記〕

〈仁多郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 凡諸山野所在草木、白頭公、

〔散木弃謌集〕

〈九/雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 ものへまいりける道に、草のふみつけられて有けるをみてよめる、道のべにふみしだかるヽ翁草かる人もなき歎きをぞする、

〔梅花無盡藏〕

〈二/七言絶句〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 白頭翁草〈本草或云白頭翁、又號胡王使者、又號奈何草端午、〉此草深衣司馬公、無端編入芽方中、白頭不改有餘習、元祐老成霜一叢、〈新度本草叙云、草而不用者白頭翁、石而不用者大陽玄清、〉秋自一莖先暗加、無媒徑路隱君家、白頭尚有時色、合伴元嘉以後花、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 鼠山ノ産 白頭翁(ちごばな)〈仙川村ニモ〉

〔佐渡志〕

〈五/物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 白頭翁 方言セカイソウ 山野ノ間ニ稀ニアリ

猫草

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0191 猫草 國俗又曰白頭翁、本草山草上載白頭翁、粗似而不同、山野ニアリ、葉ハ艾ニ似タリ、莖葉堅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ナリ、花ハ紫ニシテ其形ツルベノ如ク、鈴ヲ俯セタルガ如シ、内紫也、外ニ白毛アリ、花三月ニ開ク、其葉ヲ食ヘバエグシ、南星ヲ食タルガ如シ、毒草ナルベシ、花散テ其アト蒲公英ノ毬ノ形ノ如シ、

獐耳細辛

〔本草綱目啓蒙圖譜〕

〈九/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 獐耳細辛〈◯圖略〉 スハマサウ(○○○○○) 莖ヲ抽テ一花開ク、六瓣或七八瓣、品類多ク、花色各異ナリ、根ハ杜衡ニ似テ紫褐色、單葉ノ菊花ノ如シ、

〔草木育種〕

〈下/美花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 獐耳細辛(さんかくさう)〈本草〉 又すはまさうとも、ゆきわりさう(○○○○○○)ともいふ、加賀國白山に多あり、白花のもの多し、又淡紅あり、又薄紫もあり、深碧色深紅色のものは稀なり、夏は日陰にて冬は日陽よき、山の黒ぼく野土等の地に植べし、花は正月に開く、其頃霜除をしてよし、夏中少づヽ米泔水を灌べし、人糞は惡し、

黄連

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 黄連、一名王連、〈本條〉一名石髓、一名金龍子、〈已上出兼名苑〉和名加久末久佐(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 黄連 本草云、黄連一名王連、〈和名加久末久佐〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 蜀本圖經云、苗似茶、花黄、叢生、一莖生三葉、高尺許、冬不凋、江左者節高如連珠、蜀都者節下不連珠、圖經云、苗高一尺已來、葉似甘菊、四月開花黄色、六月結實似芹子、色亦黄、生江左者根若連珠、其苗經冬不凋、葉如小雉尾草、正月開花作細穗、淡白微黄色、

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 黄連 常州ノ山産尤佳也、賀州ノ産多シ、是亦ヨシ、奧會津又藝州ニモ多シ、葉ハヒカゲノカヅラニ似タリ、日本ノ黄連性ヨシ、故ニ中夏朝鮮ニモ日本ヨリ多クワタル、中夏ノ書ニモ倭黄連ヲ良トス、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0192 黄連 ヤマクサ〈延喜式〉 カクマクサ〈和名鈔〉 今ハ通名 一名滴膽芝〈輟耕録〉 宣連〈方書、宣城黄連ナリ、〉 川連〈同上、川省ノ黄連ナリ、〉 楝連〈同上、上品ノ黄連ナリ、〉 淨黄連〈遵生八牋〉 増、一名脚連、〈證治準繩〉 宣黄連〈附方〉加州ニ産スルモノハ、形肥大ニシテ根頭三五枝ニモ分レテ、鷹爪雞爪ノ形ノ如シ、即鷹爪黄連(○○○○)、雞爪黄連(○○○○)ト名クルモノナリ、今藥舖ニ加賀黄連ト稱スルモノ、多クハ越中ノ産ヲモ總ジテ云フ、昔年ハ舶來ナシ、明和年中ニ渡ル者最上品ニシテ、加州ノ産ヨリ肥大ナリ、又古來本邦ヨリモ唐山 ヘ渡セシコト、大和本草ニ云ヘリ、本經逢原ニ産川中者、中空色正黄、截開分瓣者爲上、雲南水連次之、日本呉楚爲下ト云ヘリ、藥舖ニテハ加賀ヲ上トス、仙薹ノ産ハ加賀ニ次グ、毛ナクシテ短ク、五分許アリ、藥舖ニテツブ〳〵デト云フ、皮色黄ナルコト加賀ニ同ジ、越前ヨリ出ル者ハ二分許、連珠ノ形ニシテ鬚ナシ、又越後美濃ヨリモ出ス、又江州日野ヨリ出ルモノハ、形細クシテ毛ナク、長サ四五分許アリ、又丹波ヨリ出ル者ハ、最肥大ナルコト加賀ト同シテ多毛ナリ、雞爪モアリ、羽州ノ庄内ヨリ出ルヲ蔓様(ツルデ)ト云、形細クシテ、長サ二三寸、連珠ニナラズ、佐渡ヨリ出ルハ、外皮黒ヲ帶ビ、内ハ黄色、長サ四五分ヨリ一寸許、播州ノ笠形山ヨリ出ルモノハ、肥大ニシテ丹波ノ如シ、此外和州紀州ヨリモ出ス、越中ヨリ出ルニハ數種アリ、ツル黄連(○○○○)モアリ、凡ソ黄連ハ形ノ肥瘠ニ拘ラズ、質實シテ黄色ノ深キモノヲ佳ナリトス、形肥大ナリト雖ドモ質虚シ、或ハ青色或ハ黒色ヲ帶ルモノハ、ミナ下品ニシテ用ルニタヘズ、加州及ビ奧州ノ南部津輕ノ黄連ハ菊葉也、即蘇頌ノ説ニ、葉似甘菊ト云フモノ是ナリ、凡ソ黄連ノ葉ハ厚クシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ク光アリ、冬枯レズ、正二月先ヅ花莖ヲ出ス、高サ三五寸、其末ニ數花互生ス、大サ三四分、外ニ五ノ長瓣アリ、内ニ十ノ短瓣アリ、色白シ、又黄色ヲ帶ルモノアリ、紫色ヲ帶ルモノアリ、花ノ中心ニ小青莢アリ、周リニ黄蕊ヲ布ク、花終リテ新葉ヲ生ジ、舊葉枯ル、花後ニ米粒ノ大サナル莢ヲ結ブ、凡ソ一花ノ後十許ノ小莢圓ニ並ビテ車輪ノ如ク、ソノ大サ錢ノ如シ、莢ノ中ニ黄色ノ小子アリ、熟スレバ自ラ落チ、明春嫰苗ヲ生ズ、又別ニ一種大葉黄連(○○○○)アリ、コノ葉ハ菊黄連(○○○)ヨリ小ク、岐多クシテ芹葉ニ似テ大ナリ、丹波及城州愛宕山ノ溪間ニ生ズルモノ皆コノ種ナリ、又長葉黄連(○○○○)アリ、大葉黄連ニ似テ長シ、若州ニ産ス、又芹葉黄連(○○○○)アリ、形モ大サモ芹葉ノ如シ、和州畝日山ニ生ズ、又畑葉黄連(○○○○)アリ、芹葉黄連ヨリ細カナリ、江州伊吹山、比良山、城州大原ノ寂光院、及ビ鞍馬山ニアリ、是蘇頌ノ説ニ葉如小雉尾草ト云者ナリ、小雉尾草ハタチシノブナリ、以上ノ黄連ノ花實ノ形皆同ジ、又一種五加葉ノ黄連(○○○○○○)アリ、城州天 台山ノ横川、又鞍馬山、及大原ノ醫王谷等ニ多シ、葉ハ五加ノ葉ノ如ク、五葉一蒂ナリ、大サ錢ノ如シ、故ニ錢黄連トモ、圓葉黄連トモ云、花戸ニテ梅花黄連ト云フ、此根ハ細キ鬚ニシテ處處ニ小根連珠ス、大サ一分許、故ニ又ツル黄連ト云、苗ハ苔ノ如ク地ニ布テ生ズ、ソノ形他ノ黄連ニ異ナリ、山中ニテハ四月ニ花ヲ開ク、市中ニテハ正二月ニ葉ニ先ツテ一莖ヲ抽ヅ、長サ二三寸、ソノ端ニ一花ヲ開ク、五出ニシテ梅花ノ形ノ如ク、大サ三四分、内ハ白色、外ニハ紫色ノ細條アリ、蘂ハ黄色ナリ、花後ニ小莢數多ク圓ニ連ル、内子ハ罌粟米(ケシツブ)ヨリ大ナリ、凡テ黄連ノ實皆同ジ、唯葉異ナルノミ、葉大者根亦大ニ、葉小者根亦小也、又三ツ葉黄連(○○○○○)ト云アリ、形ハ錢黄連ニ同クシテ三葉ナリ、花實根倶ニ異ナラズ、一名クマデ黄連、〈野州〉カタバミ黄連、〈同上〉加州、奧州、野州、甲州ニ産ス、

〔廣益地錦抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0194 黄連 葉こまかにて花はしろく、初春諸花にさきだちてひらく、正月中の比、雪中にもつぼみを出し、珍敷時節なれば、鉢植にしてながめあり、春末に實有、實のかたちもながめ有、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0194 黄連(わうれん) 加賀菊葉の黄連上品なり、又薩摩の大葉は菊葉に似て甚大なり、是亦上品なり、藥に入てよし、又芹葉の物に數種あり、蝦夷の芹葉は至て細く奇品なり、又五加葉(うこぎば)あり、此類に三葉のものあり奇品(めづらし)きなり、此等は根小にして藥に用るに堪ず、總て植る法は、大抵人參を植ると同じ、土地は黒ぼく野土等によし、日陰の地に宜し、若日陽なれば竹か蘆の簀を編、日覆してよし、雨は簀の間よりかヽりてもよし、濕地を嫌、肥に及ばず、折々米泔水を澆べし、八月分植、隨分間を近く植るがよし、

〔令義解〕

〈三/賦役〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0194 凡〈◯中略〉其調副物、〈◯註略〉正丁一人、〈◯中略〉黄連二斤、

〔令集解〕

〈十三/賦役〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0194 穴云、此進黄草者染草料也、

〔甲斐國志〕

〈百二十三/産物及製造〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0194 一黄連〈和名加久末久佐〉 加賀、安藝、常陸、陸奧諸州ヨリ出ル者名アリ、本州四方ノ山皆アリ、獨得名コト晩シ、就中白峯諸山及八〈ガ〉岳ニ産スル者、色深黄ニシテ光潤アリ、味殊ニ温和 ナリ、亦一種駒岳ヨリ出ル者、長大ニシテ甚美ナリ、相傳、此山ハ自古登ル者ナシ、若犯テ上ル者アレバ、忽有山鬼祟ト云、其實ハ巖骨高、嶮惡ニシテ良材希ナル故、仙人モ無主山ナレバ、自ラ此怪談ヲ起セシナリ、近頃偶攀ル者アリ、始テ此物アル事ヲ知レリトナン、唐山ノ書ニモ、倭黄連ハ上ナリト見タリ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 諸國進年料雜藥近江國七十三種、〈◯中略〉黄連二斤十四兩、 信濃國十七種、黄連十斤、〈◯下略〉

〔採藥使記〕

〈中/野州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 照任曰、下州日光山シラ根ガ嶽ノ道ニ、光善院モドシト云フ所ニ、菊葉ノ黄連ヲ出ス、高サ七八寸、其葉大ナルコト菊葉如シ、根モ又性甚ダ好シ、

〔佐渡志〕

〈五/物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 黄連 山中ニ多シ、根ノ長四五分ヨリ一寸バカリ、外皮黒色ヲ帶ビ、内ハ深黄ナリ、効能他邦ノ産ニ勝ルトイヘドモ、形ハ美ハシカラズ、

秦芁

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 秦芁〈仁諝音交〉一名秦膠、〈蘇敬注云、字或作利、〈(吉反)(吉上脱一字)〉或作糺、正作芁〉和名都加利久佐(○○○○○)、一名波加利久佐(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 秦芁 本草云、秦艽、〈音交、和名都加里久佐、一云波加里久散、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 陶注云、根皆作羅文相交、中多銜土、圖經云、根土黄色而相交糾、長一尺已來、麤細不等、枝簳高五六寸、葉婆娑、連莖梗、但青色、如萵苣葉、六月中開花紫色、似葛花、當月結實、蘇注云本作札、或作糾、作膠、正作芁也、按札即http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d10e.gif 字、秦芁本以其根羅文交糾糾名、俗从草作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001eaf3.gif 、玉篇、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001eaf3.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001eaf3.gif 、藥名是也、或从木作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d10e.gif 、凡从http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018054.gif 字、俗變作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000253.gif 、又省作乚、如糾作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000254.gif糺、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b73b.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000255.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 虬是也、故http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001eaf3.gif 變作芁、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d10e.gif 變作札也、與艽野字之从八九字簡札字之从甲乙字同也、本草和名引蘇注利、从禾固誤、然可以證札之即http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d10e.gif也、

〔物類品隲〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0195 秦芁 葉ノ形頗烏頭葉ニ類シ、花亦烏頭花ニ似タリ、根黄白色ニシテ羅文アリ、朝鮮産上品、享保中種ヲ傳フ、花黄白色又紫花ノモノアリ、日光産上品、黄白花ノモノアリ、紫花ノモノ アリ、信濃産上品、花紫色ナリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0196 秦艽 ハカリグサ〈和名鈔〉 ツカリグサ〈同上〉 一名産家大器〈輟耕録〉 網草〈村家方〉漢渡アリ、根肥大ニシテ黄白色、左ネヂ右ネヂアリ、又枝分レテネヂレ、其末合テ一本トナリテネヂレタルモアリ、本根内ハ空シクシテ、外ノミ網ノ如クナリテ、末ハネヂレタルモアリ、コレヲ羅紋交糾ト云、享保年中朝鮮ノ秦艽ノ苗來ル、ソノ後種ヲ傳テ今多クアリ、葉ハ毛茛(ムマノアシカタ)ノ葉ニ似テ毛ナシ、一根ニ叢生ス、方莖直立シテ葉互生シ、淡黄花ヲ開ク、形烏頭花ニ似テ小シ、根黄黒色ニシテ形ネヂレタリ、此草ハ城州ノ北山、及野州信州甲州ニ多シ、花淡紫色ナリ、又黄白花モアリ、種樹家ニテ伶人草(○○○)ト云、此根ハ漢渡ノ乾シタル秦艽根ニヨク似テ黒褐色ナリ、皮ヲ去レバ色白ク、内空虚ニシテ羅紋交糾ス、味苦ク薟シ、享保年中、漢渡秦艽ノ中ニ偶其葉雜リ來ルアリ、ソノ形蘘荷ノ葉ニ似テ毛茛葉ノ形ニ非ズ、舶來ノ蘆頭ヲ見ルニ、藜蘆葉ノモノト見ユ、綱目藜蘆ノ條下ニ、韓保昇曰、葉似鬱金秦艽蘘荷ト、コレニ據テ觀レバ、朝鮮種ノモノハ眞ノ秦艽ニ非ズ、牛扁ノ集解ニ、根似秦艽トアレバ、牛扁根羅紋交糾ナルコト知ルベシ、或説ニ朝鮮種及ビ伶人草共ニ牛扁(○○)ナリト云、此説從フベシ、牛扁ヲゲンノセウコニアツル古説ハ穩ナラズ、ゲンノセウコハ牻牛兒〈救荒本草〉ノ一種也、

兎葵

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0196 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000256.gif 葵一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b335.gif 、〈仁諝音虚杭反〉和名以倍爾禮(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0196 兎葵 本草云、兎葵〈和名以倍仁禮〉味甘寒無毒者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0196 爾雅、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b335.gif 菟葵、郭注云、頗似葵而小、葉状如藜有毛、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d7e8.gif之滑、鄭樵通志云、菟葵天葵也、状如葵菜、葉大如錢而厚、面青背微紫、生於崖石、本草衍義云、菟葵緑葉如黄蜀葵、花似拗霜甚雅、形如至小者、初開單葉、蜀葵有檀心色、如牡丹姚黄蘂、則蜀葵也、蘇敬曰、苗如石龍芮、葉光澤、花白 似梅、莖紫色、煮汁極滑、堪噉、兎葵重見草類

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 兎葵 本草云、兎葵〈和名以倍仁禮〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 蜀本圖經云、苗似薺苨春末生、高三二尺、花黄、角生、子黄細、五月熟、圖經初春生苗葉、高六七寸、有薺、根白、枝莖倶青、三月開花、微黄、結角、子扁小如黍粒微長、黄色、

〔類聚名義抄〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 兎葵〈イヘニレ〉

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 兎葵イヘニレ イヘとは家也、なを芋をイヘツイモといふが如し、ニレとは滑かなるをいふなり、その煮噉ふが極めて滑なればなり、楡をニレともヤニレなどもいひ、蕘花をハマニレといふも、皆これ其滑かなるをいふなり、即今俗にトロヽといひて、紙を作る料となし、其涎滑を取る、黄葵といふものも又此類なり、

〔庖厨備用倭名本草〕

〈五/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 菟葵〈◯中略〉 元升〈◯向井〉曰、吾人モ古ニハ菟葵ヲ食シケルニヤ、倭名抄菜ノ部ニ入タリ、今人ハ食スルモノナシ、其名ヲダニシル人ナシ、田夫ニトヘバ答テ云ク、下澤ノ田間ニフキニ似テチイサキモナアリ、葉ノウラニ毛アリ、色アヒモフキノ如シ、秋白花ヲ開キテ梅ノ如シ、其名ヲシラズ、食スルモノモナク候ト云、イヱニレハ是ナランカ、又按ズルニ雪ノシタト云アリ、又キシンサウトモ云、其ノ葉フキノ形ニ似テ面アヲクウラ紫ニ、莖モ亦ムラサキニシテ、莖葉トモニ毛アリ、大キナルハ高サ四五寸、

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 一花(ケ)草 葉ハツタニ似テ莖ノ長二寸バカリ、冬小寒ニ始テ葉ヲ生ジ、立春ノ朝花忽ヒラク、一莖ニ一花ヒラク、花形白梅ニ似タリ、夏ハ枯ル、他地ニウフレバ花ノ時チガフ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0197 莵葵 イヘニレ〈和名抄〉集解ニ説トコロ一ナラズ、大抵三種ニ別ツ、恭ノ説トコロノ者ハ、和名セツブンサウ(○○○○○○)、一名一花草(○○○)、〈筑前〉山足或ハ原野ニ生ズ、小寒ノ候、舊根ヨリ一莖ヲ抽ヅルコト一寸許リ、其梢ニ一葉アリ、白頭翁(オキナグサノ) 花下ノ葉ニ似テ至テ小ク、毛ナクシテ深緑色ナリ、葉中ニ一花ヲ包ム、立春ニ至テ開ク、故ニ節分草ト云、人家ニ移シ栽ルモノハ、半月後レテ開ク、形梅花ノ如ク、大サモ同ジ、ソノ瓣尖リ、或ハ鋸齒アリ、色白クシテ中ニ白蘂多クアリ、花謝シテ葉ヲ生ズ、烏頭葉ニ似テ至テ小ク、岐多クシテ深緑色大サ一寸餘一根ニ三葉ニ過ズ、夏ニ至テ枯ル、花後小扁莢ヲ結ブコト二三箇、長サ二三分内ニ二三子アリ、鳳仙花子ノ如ク褐色、熟スレバ莢自ラ裂テ子落チ、次年ノ春生出ス、其根形圓ニシテ半夏根ノ如シ、禹錫ノ説トコロノ者ハ和産詳ナラズ、宗奭説トコロノ者ハ、即チ救荒本草ノ野西瓜苗是ナリ、和名ギンセンクハ(○○○○○○○○)、又播州ニテロトウサウト呼ブ、種樹家ニテ朝露草ト云、春分子ヲ下シ、長ジテ苗高サ二三尺、枝葉互生ス、葉ハ初出ノ西瓜葉ニ似テ大サ三寸許、夏月葉間ゴトニ一花ヲ開ク、錢葵花ノ如クニシテ、淡黄色ニシテ瓣根深紫色、草綿花ノ小ナルニ似タリ、朝ニ開キ午前ニ萎ム、花後實ヲ結ブ、木槿花(ムクゲ)實ノ如ニシテ小シ、内ニ細子アリ、熟スレバ苗根共ニ枯ル、時珍説トコロノ紫背天葵ハ、和名イチヤクサウ、是ニ圓葉長葉ノ二種アリ、是ハ圓葉ノ者ナリ、城州天台山ニ生ズ、一根數葉地ニ就テ生ズ、形チ圓ニシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ク、大サ錢ノ如シ、紋脈龜甲紋ノ如シ、面ハ淺緑色ニシテ光アリ、背ハ淺紫色、其莖紫赤色ニシテ長シ、夏月中心ニ高サ三四寸ノ莖ヲ抽ヅ、其半已上數花連リ垂ル、六辨白色、大サ二分許、後圓實ヲ結ブ、南天(ナンテンノ)燭子ヨリ小クシテ下垂ス、生ハ青ク、熟スレバ黒シ、其長葉ノ者ハ苗葉大ナリ、是鹿蹄草ナリ、

緒手卷

〔倭訓栞〕

〈前編五/遠〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0198 をだまき〈◯中略〉 一種の草花に名けしは、實の形によれり、紫と白との品あり、又放下僧といふ草あり、よく似たり、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0198 絲繰草(いとくりさう/おだまき) 緒手卷(ヲダマキ) 〈共此俗稱、本名未詳、〉按絲繰草高二三尺、葉似胡蘿蔔葉、二三月開花白色帶黄、形似籰故名之、一種有八重絲繰草、其花不單、無周圍角籰也、

〔閑窻自語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0199 瑠璃をだまき草事松前よりちかき海中に、小島といふ所あり、その所にをだまき草〈樓斗菜(○○○)〉といふくさの、るりの色にさけるあり、そのたねを安永中に、たかの入道中將隆朝臣のもとへ、松前守護のものヽふよりおくりしをうゑて、近ごろ世に多くなれり、故主殿權助佐伯職朝臣の第に、蘭山といひて博識のものあり、このくさ世にしれぬうちに、見せける人のありしが、いづかたよりきたれるやらん、めづらしき草なりといふ、たづぬる人しらずといへりければ、つら〳〵なほ見て、この色は海邊に生ずるなるべし、花の色を見るに、東國のものならんといへり、その道をえし人の見るところ、いさヽかたがはざりけりと、見せし人大に感ぜしなり、

烏頭

〔本草和名〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0199 烏頭〈陶景注云、似烏鳥之頭、故以名之、〉一名奚毒、一名即子、一名烏喙、〈蘇敬注云、烏頭兩岐即名烏喙、〉一名茛、一名千秋、一名毒公、一名果負、一名緩毒、一名煎、一名厓采、一名耿子、〈已上八名出釋藥性〉一名岡前、〈出雜要決〉烏喙〈陶景注云、似烏鳥口、故以名之、〉射罔、〈陶景注云、以八月汁日煎爲射罔、獦師以傅箭射完、中人亦死〉天雄〈烏喙三寸以上爲天雄〉一名白幕、一名芨、〈仁諝音急〉一名菫草、〈已上二名出爾雅〉一名烏登、〈出大清經〉一名茛、〈出釋藥性〉附子〈陶景注云、天雄烏頭附子爲三建、〉側子〈疏曰、此上五藥爲一母、母則云茛也、三月採爲天雄、八月採爲附子、邊角大者爲側子、九十月採爲烏頭、如烏口者喙、(喙上可爲烏二字)蜀中有白附子此類、〉已上五種和名於宇(○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0199 烏頭附子 本草注云、似烏頭、謂之烏頭、似口者謂之烏喙、三寸以上謂之天雄、八月採者爲附子、其邊角大者謂之側子

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0199 證類本草下品引陶隱居云、春時莖初生、有腦形似烏鳥之頭、故謂之烏頭、有兩歧蔕、状如牛角、名烏喙、喙即鳥之口也、〈◯中略〉蘇云、烏喙即烏頭異名也、此物同苗、或有三歧者、然兩歧者少、縱天雄附子有兩歧者、仍依本名、如烏頭兩歧即名烏喙、天雄附子若有兩歧者、復云何名之、 〈◯中略〉按千金翼方、證類本草烏喙條云、長三寸已上爲天雄、則知此所引本條之文、非陶注也、本草和名云、天雄烏喙三寸以上爲天雄、不出典、故源君誤併爲陶注也、按陶注云、天雄似附子、細而長、便是長者乃至三四寸許、〈◯中略〉所引文、〈◯八月以下文〉證類本草載陶蘇及諸注皆無有、按本草和名引疏曰、八月採爲附子、邊角大者爲側子、則知此所引疏文也、按陶云、附子以八月採、又側子注云、此即附子邊角之大者、脱取之、是本草疏所本、蘇云、側子只是烏頭下共附子天雄同生小者、側子與附子皆非正生、謂烏頭傍出也、以小者側子、大者爲附子、今稱附子角側子、理必不然、蜀本圖經云、今據附子邊果有角如大棗http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 及檳榔已來者形状、亦自是一顆仍不小、是則烏頭傍出附子、附子傍出側子明矣、又云、苗高二尺許、葉似石龍芮及艾、其花紫赤、其實紫黒、圖經曰、苗高三四尺以來、莖作四稜、葉如艾花紫碧色作穗、實小紫黒色如桑椹、〈◯中略〉呉普本草云、烏頭正月始生、葉厚、莖方中空、葉四々相當、與蒿相似、十月採、形如烏頭、有兩歧相合如烏之喙、名云烏喙、又云、側子八月採、是附子角之大者、是陶氏所本、皆以形状別者也、御覽引博物志云、物有同種而異用者、烏頭天雄附子一物、春夏秋冬採之各異、名醫別録云、冬月採爲附子、春採爲烏頭、此皆以時候別者也、廣雅云、一歳爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b42f.gif、二歳爲烏喙、三歳爲附子四歳爲烏頭、五歳爲天雄、此以年歳別者也、本草圖經云、烏頭、烏喙、天雄、附子、側子、五品、都是一種所産、冬至前布種、至次年八月後方成、本只種附子一物、至成熟後此四物、收時仍一處、今一年種之便有此五物、豈今人種蒔之法、用力倍至、故爾繁盛也、王念孫曰、諸名、對文則異、散文則有通者

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0200 附子(フシ)〈毒藥〉 烏頭(ウヅ)

〔多識編〕

〈二/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0200 附子(○○)、於宇、今俗云布須伊毛、異名其母名川烏頭(○○○)、和名今案於宇乃波波、 天雄(○○)、今案於宇乃須須利己、異名白幕、〈本經〉 側子(○○)、今案於宇乃古、異名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b42f.gif 子、 漏藍子(○○○)、今案於宇乃末留故、 烏喙(○○)、今案於宇乃布多末多古、金鴉、〈綱目〉 草烏頭(○○○)、今案伊布須、蝦夷搗莖煎汁傅箭射禽獸、 白附子(○○○)、今案志呂於 宇、

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0201 草烏頭(イブス) 鴛鴦菊(同) 草烏頭(トリカブト)〈根有大毒、多識編、蝦夷搗莖煎汁傅箭射禽獸、〉鴛鴦菊(同)〈又云土附子〉 烏頭(ウヅ)〈附子母也〉 附子(ブシ)〈本草、母名烏頭、子爲附子、烏頭如芋魁、附子如芋子、〉 草烏頭(サウウヅ)

〔倭訓栞〕

〈中編十六/登〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0201 とりかぶと〈◯中略〉 草にいふは其花の似たるより名とす、僧鞋菊名の如し、かぶと菊ともいへり、草烏頭也、花に紫白あり、花蔓は蔓生の同種なるべし、

〔和漢三才圖會〕

〈九十五/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0201 草烏頭(とりかぶと)〈◯中略〉按草烏頭〈俗呼名止利加布止、〉葉似菊葉而厚、八九月開花、淺紫色、形似伶人所著鳥冠故名之、又有白花者、其根乃草烏頭也、用殺頭蝨瘡、外科用之、和州金剛山之産良、若州江州次之、今人家種之賞花、

〔物類品隲〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0201 附子 其母ハ川烏頭ナリ、〈◯中略〉蝦夷産、享保中、阿部將翁奉台命蝦夷、是ヲ得タリト云、己卯主品中予〈◯平賀源内〉具之、烏頭 即草烏頭ナリ、和名トリカブト、又カブトギクト云、所在ニ多シ、花深碧色又白花ノモノ淡紫花ノモノアリ、一種蔓生ノモノアリ、和名ハナヅルト云、箱根産葉小ニシテ花叉多シ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十三/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0201 附子 イフス(○○○)〈和名鈔〉 ヨウ(○○)〈古歌〉 トリカブト(○○○○○) カブトギク(○○○○○) カブトバナ(○○○○○) ブス(○○)〈佐州〉 ブスシドケ(○○○○○)〈南部葉〉 一名回陽〈赤水玄珠〉 正坐丹砂〈輟耕録〉 九頂公〈本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f3e.gif 〉 花一名雙鸞菊〈秘傳花鏡〉 鸚哥菊〈同上〉 僧鞋菊〈汝南圃史〉 西番http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 〈同上〉 川烏一名昌明童子〈輟耕録〉附子ハ漢渡多クアリ、皆鹽ニ漬シ製スル者故ニ、水ニ浸シ鹽ヲ去リ用ユベシ、切テ内白色ナルヲ撰ビ用ユ、色黒キ者多シ、腐タルナリ、用ユルニ堪ヘズ、〈◯中略〉トリカブトハ人家ニ多ク栽テ花ヲ賞ス、苗高サ四五尺、葉互生ス、形茺蔚(メハジキ)ノ脚葉ニ似テ厚ク、深緑色光リアリ、秋ニ至テ莖梢ニ花アリ、穗ヲナス、形伶人ノ鳥冠ニ似タリ、深碧色又淡紫色白色アリ、白花ノ者ハ莖弱クシテ藤蔓ノ如シ、種樹家ニテハナカヅラ又ハナヅルト云フ、唐種ハ種樹家ニアリ、葉岐淺ク花淡紫色ナリ、奧州南部 松前及蝦夷ノ産、根肥大ニナリ易シ、コレヲ栽テ附子ヲトルベシ、附子ハ子ノ名、烏頭ハ母ノ名ナリ、當春附子ヲ栽テ四邊ニ子ヲ生ズレバ、子ハ漸ク形大ニナリ、母ハ反テ形小ナリ、鳥ノ頭ノ形トナル、コレ川烏頭(○○○)ナリ、ソノ附子ノ旁ニ附テ生ズルヲ側子ト云フ、形小ク長クシテ兩頭尖リ、榧子ノ形ノ如シ、漏籃子ハ最小キ者ヲ云フ、奧州或ハ蝦夷ノ種ヲ栽テ其子根ヲトリ、鹽ニ浸シ灰ニ埋ミ乾セバ、舶來ノ如クニナル、近年奧州白河ヨリ出ル者ハ、舶來ヨリ大ナルモノアリ、鹽製、醋製、童便製、皆其毒ヲ薄クスル爲ナリ、然レドモ醋製ノ者ハ形甚ダ瘠小ナリ、山中自生ノ者ハ草烏頭(○○○)ナリ、附子ヲ採タル烏頭ハ川烏頭ナリ、集解、黒附子方書ニコノ名多ク出、即附子ナリ、白附子ニ別タンタメニ黒ノ字ヲ添ルナリ、形大ナルヲ大附子、或ハ八角附子ト云フ、至テ大ナルモノニハ疙瘩アリ、故ニ八角附子ト云フ、増、一種蝦夷種ノ烏頭アリ、高サ僅ニ一尺許、葉長クシテ大ナリ、又漢種ト稱スル者ハ高サ一二尺ニシテ、花ノ形尋常ノ者ニ同クシテ淡紫色ナリ、葉ノ形瘠細ニシテ長ク、缺刻粗ク葉中ノ脈理能ク通リテ、氣脈ノ聯絡セザルヲ異ナリトス、然ルニ集解時珍ノ説ニ、附子之色以花白者上、鐵色者次之、青緑者爲下ト云トキハ、上品ニハアラザルベシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十三下/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0202 側子附子ノ側ニ附テ生ズ、烏頭ニハ附カズ、形小クシテ長ク、兩頭尖リテ榧子(カヤ)ノ状ノ如シ、烏附側雄ノ圖、本草原始、本草必讀、本草彙言ニ詳ナリ、漏籃子コレ附子ノ至テ小ナルモノナリ、用ヲナサズ、〈◯中略〉烏頭 ヤマトリカブト 一名小昌明〈輟耕録〉 波串〈採取月令〉 異負〈證類本草〉 増、一名芨菫草、〈典籍便覽〉烏頭ニ二種アリ、川烏頭ト草烏頭トナリ、其川烏頭ハ即附子ノ母ナリ、已ニ附子ノ條下ニ詳ナリ、 此條ハ即草烏頭ニシテ、トリカブトノ山中自然生ナリ、故ニ其毒川烏頭ヨリ甚シ、深山ニ多シ、苗ハトリカブトニ同シテ瘠小、葉ハ土地ニ因テ小異アリ、花色モ亦然リ、京師ニテハ藥肆ニ金剛山ト稱スル者ヲ良トス、即河州金剛山ノ自生ナリ、凡テ烏頭ハ根ノ先ノトコロ曲リテ尖リ、鳥ノ首ノ如シ、又其先二ツニ分レタルヲ烏喙ト云、〈◯中略〉白附子 一名章陽羽玄〈酉陽雜俎〉 新羅白肉〈輟耕録〉 白波串〈郷藥本草〉和産詳ナラズ、藥肆ニ漢渡アリ眞物ナリ、其形一頭粗ク一頭細ク、附子ノ形ノ如シ、コレ嫰根ナリ、舊根ハ節アリテ節參(フシニンジン)ノ如シ、ヒメウヅニ充ツル古説ハ穩ナラズ、ヒメウヅハ一名トンボサウツラネグサ、此草夏ハナシ、秋舊根ヨリ葉ヲ生ズ、冬ヲ經テ夏ノ初ニ枯ル、葉大サ一寸許、草烏頭ニ似テ小ク薄ク、又耬斗(オダマキ)菜葉ノニモ似タリ、冬ヨリ春ノ初マデハ、葉背紫色ニシテ美シ、春莖ヲ抽コト一尺許葉互生ス、梢葉ノ間ニ細キ枝ヲ分チ、枝ゴトニ白花アリテ倒垂ス、大サ一分餘、六瓣狹細ナリ、一花ゴトニ四莢攅生ス、濶サ一分、長サ二分許、熟スレバ一方ヨリ縱ニ裂ケテ細子出ヅ、三月ニ子熟シテ苗葉枯ル、根ハ數年枯レズ、形雷丸ノ如、長サ五分、或ハ一寸許、外皮黒ク肉白シ、

〔草木育種後編〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0203 附子〈本草〉 和名於宇、〈本草和名〉いふす、〈和名抄〉漢名僧鞋菊、〈汝南圃史〉享保七年、將翁先生台命にて蝦夷にいたり、採り得て官園及吹上の御畦に栽ゆ、白花のものは奧州鍵とりといふ地にて採り、官園に上る、此白花のものを春月栽て、油かすを根に少し入て、秋月掘り出し製してよし、野土赤土少陰ある處もよし灌園先生園中に蔓生にして碧花を開き、竹木にまとふものあり、

〔剪花翁傳〕

〈四/九月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0203 烏頭(とりかぶと) 花中紺色又白あり、至て上品とす、開花九月上旬なり、方三分陰、地二分濕、土回塵、肥淡小便、寒中三度、又花前に二度澆ぐべし、株寒中に分べし、

〔草木六部耕種法〕

〈三/需根〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0203 我述等諸藥物ヲ作法烏頭モ野土ニ應合スルコトハ、鬱金、莪朮等ト同ジケレドモ、其性ノ相反スルコト氷炭ノ如ク、氣 候第二十番以下ノ寒地ニ繁榮スル者ナリ、自然ニ陰地ニ生ジタル者ハ、性氣極テ強クシテ、其芽ヲ食トキハ即死ス、故ニ奧羽兩國ニテ此ヲ谷不越(タニコサズ)ト名ク、即此ヲ食シタル谷ヲ出コト能ハズシテ死スルノ謂ニテ、俗ニ鳥兜(トリカブト)ト呼ブ草是ナリ、即蝦夷國附子(ブス)ト名ル者ナリ、其花深紫ニシテ鳥兜ノ如シ、又漢種川烏頭アリ、其葉手ヲ開キタル形ニ似テ根長ク、三四寸ニ及ビ、疣瘩アルコト蝦蟇脊ノ如シ、又一種花形菊ニ似テ淡紫ト白色ナルト有リ、俗ニ兜菊ト呼ブ、根圓長ク末尖レリ、俗ニ兜菊ト呼ブ者ハ、此種類中ノ上品ナリ、宜多ク作リ附子ヲ製スベシ、此ヲ植ル法ハ野腐壚(ノヅチ)ヲ畑ニ墾キ、細耕(コマカニウチ)テ木葉枯草塵芥等ヲ耕錯(キリマゼ)テ、前年秋ヨリ能ク腐朽置テ、春分頃ニ至リ、一歩三條ニ畦ヲ作リ、種子根ヲ八九寸間ニ、五目ニ一箇ヅヽ植ベシ、芽出莖長ニ從ヒ、漸々鍬ヲ以テ行http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018b08.gif (サク)ヲ耙加(キリカケ)テ、根ヲ肥太スルノ法ヲ行フトキハ、夏秋ヲ經ルノ間ニ、大ニ能ク肥滿(フト)ル者ナリ、其年十月末ニ、掘採モ一歩一斤ノ根ヲ得ベシ、二年目ニ掘採ルトキ、其根一箇秤量一兩餘ノ大ニ至ル、且其蘆頭際ニ數箇兒根ヲ生ズ、雪降ザル前ニ悉ク掘採テ、親根ヲバ鹽藏ニシテ附子ヲ製シ、兒根ハ土中ニ埋置、明春又其故畑ヲ耕シ分植ベシ、山北林陰等日映ノ乏キ野土ハ、殊ニ能ク毒氣ノ強キ上品ヲ生ズ、抑此物ハ暖地ニモ生長スレドモ、暖國ニ作リタルハ、根細ク毒弱クシテ藥用ニ勝ザル者ナリ、此物ヲ法ノ如ク作ルトキハ、隔年ニ一歩二斤餘ノ大附子ヲ生ズ、然レバ一段六百斤ニテ金一兩五十斤ニ鬻ト雖ドモ、年々一段六金ヅヽノ産業ナリ、山國陰冷ニシテ作物ノ出來ザル地ニ植テ、骨ヲモ折ズ、年々一段六金宛ノ産業ハ、其利潤亦薄カラズ、土地ヲ領スル者宜ク熟察スベシ、

〔律疏〕

〈賊盜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0204 凡以毒藥人及賣者絞、即賣買而未用者近流、〈謂以鴆毒冶葛烏頭附子(○○○○)之類以殺http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 人者、◯下略〉

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0204 諸國進年料雜藥相模國卅二種、〈◯中略〉附子一斗八升、 武藏國廿八種、〈◯中略〉烏頭一斛二斗、附子八斗、 上總國廿種〈◯中略〉附子八斗、 下總國卅六種、〈◯中略〉附子大五升、 常陸國廿五種、〈◯中略〉附子一斛、 近江國七十三種、 〈◯中略〉天雄、烏頭、牡荊子、各六升、〈◯下略〉

〔親俊日記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 天文七年七月六日丁丑、瑞竹留守見舞、附子四兩預ケ置之、

〔採藥使記〕

〈中/奧州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 照任曰、奧州ノ鍵トリト云フ所ヨリ白花ノ附子ヲ出ス、又碧色ノ花モ有リ、其根大キナルモノ三四寸、徑一二寸計アリ、獻上ス、

〔袖中抄〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 とくきのや〈ちしまのえぞ〉あさましやちしまのえぞのつくるなるとくきのやこそひまはもるなれ顯昭云、とくきのやとは、おくのえびすは、鳥の羽のくきに、附子と云毒をぬりて、よろひのあきまをはかりているといへり、附子矢(○○○)といふはこれ也、

〔鷺流狂言記〕

〈二十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 附子〈主◯中略〉あれはぶすといふて、人の身に大毒の物、〈◯中略〉能う番をせい、〈◯中略〉〈シテ〉砂糖でおりやる、〈◯中略〉〈二郞〉實と是は砂糖でおりやる、頼だ人にだまされておりやる、〈◯下略〉

石龍芮

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 石龍芮〈不加豆彌(○○○○)、又云牛乃比太比(○○○○○)、又地椹、又彭根、又天豆、〉

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 石龍芮〈仁諝音如鋭反〉一名魯果能、一名地椹、〈蘇敬注云、實如桑椹、故以名之、〉一名石熊、一名彭根、一名天豆、一名蓄菜子、〈出陶景注〉一名水菫、〈出蘇敬注〉一名王孫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f05f.gif 、一名水http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f05f.gif 、一名水茛、〈已上出稽疑〉一名水薑苔、〈出釋藥性〉一名水建、〈出耆婆方〉和名之々乃比多比久佐(○○○○○○○○)、一名布加都美(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 石龍芮 本草云、石龍芮、〈如鋭反、和名布加豆三、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0205 陶注、東山石上所生、其葉芮々短小、其子状如葶藶、黄色而味小辛、蘇云、今用者、俗名水菫、苗似附子、實如桑椹、故名地椹、生下濕地、五月熟、葉子皆辛、山南者粒大如葵子、關中河北者細如葶藶、陶以細者眞、未通論、圖經今惟出兗州、一叢數莖、莖青紫色、毎莖三葉、其葉芮々短小、多刻缺、子如葶藶而色黄、蘇恭云々、此乃水菫、非石龍芮也、今兗州所生者、正與本經陶説相合、爲 其眞矣、陳藏器云、水菫如蘇所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 注、定是石龍芮、更非別草、爾雅、芨、菫草、郭注云、烏頭苗也、蘇又注天雄云、石龍芮葉似菫草、故名水菫、如此則依蘇所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 注是水菫、附子是菫草、水菫々草、二物同名也、

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0206 毛茛(タガラシ)〈一名猴蒜〉

〔大和本草〕

〈八/水草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0206 石龍芮 京都ノ方言ニタガラシトモ、又タゼリトモ云、筑紫ニテウシゼリ、ウバセリト云、三葉芹ニハアラズ、葉ニヒカリアリテ花不好、人是ヲ食ス、無毒、味三葉芹ニヲトル、食スル者モ亦マレナリ、本草毒草ニノセタリ、一種葉莖實共ニ石龍芮ニ似テ小ナルアリ、可別種、西土ノ俗名ヒキノカサト云、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十三下/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0206 石龍芮 タガラシ(○○○○)〈碎米薺ト同名〉 タゼリ(○○○)〈攝州、江戸、〉 タヽナベ(○○○○)〈讃州、豫州、〉 キチ〳〵(○○○○)〈豫州〉 タヽラビ(○○○○)〈下總〉 ゲジ〳〵(○○○○)〈尾州〉 タンガラ(○○○○) タヽロベ(○○○○)〈備前〉 一名龍芮〈通雅〉 油灼灼〈救荒野譜〉 蝴蝶菜〈通雅〉 芮子〈證類本草〉秋冬ヨリ溝瀆中及水田中ニ生ズ、水深キ所ニハ無シ、葉ハ毛莨(ムマノアシカタ)ノ葉ニ似テ毛無ク光アリ、黄緑色ニシテ厚シ、初ハ叢生ス、二三月莖ヲ抽ヅ、高サ一二尺、中空シ、葉互生ス、葉間ニ枝ヲ生ジ、枝ノ末ゴトニ、五瓣ノ黄花ヲ開ク、亦毛茛花ニ似テ小ク光リアリ、後實ヲ結ブ、形チ楊梅(ヤマモヽ)ノ如ニシテ小ク長シ、深緑色、熟シテ地ニ落テ即苗ヲ生ズ、再生ノモノハ苗小ナリ、此草毛茛ト混ジ易シ、水中ニ生ジ葉ニ毛ナク光リアルモノハ石龍芮ナリ、毛茛ハコレニ反ス、

牛扁

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0206 牛扁〈仁諝音甫典反、蘇敬注云、治牛病、故名牛扁、〉一名扁特、一名扁毒、〈已上二名出蘇敬注〉和名太知末知久佐(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0206 牛扁 蘇敬本草注云、牛扁〈甫典反、和名太知末知久佐、〉治牛病、故名牛扁也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0206 證類本草下品引云、此藥葉似三菫石龍芮等、根如秦芁而細、生平澤下濕地、田野人名爲牛扁、療牛蝨甚効、與此頗異、本草和名引與此全同、蜀本圖經云、葉似石龍芮附子等、圖經、六月有花、八月結實、本草云、牛扁殺牛蝨小蟲、又療牛病

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0207 牛扁 レンゲ草(○○○○)ト云、山野近道處處ニ多ク繁生ス、藻鹽草ニタチマチ草ト訓ズ、又俗ニゲンノセウコ(○○○○○○)トモ云、葉ハ毛茛(ゴン)及キジン草ニ似テ、花ノ形ハ如梅花、六七月ニ紅紫花ヲ開ク、葉莖花トモニ陰干ニシテ爲末、湯ニテ服ス、能痢ヲ治ス、赤痢ニ尤可也、又爲煎湯、或細末シテ丸ス、皆驗アリ、本草ニハ此功能ヲノセズ、本草毒草類ニノセタリ、然共曰毒、一度栽レバ繁盛難除、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十三下/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0207 牛扁 伶人草(○○○)〈種樹家〉山中ニ陰地ニ生ズ、葉一根ニ叢生ス、形草烏頭(ヤマトリカブトノ)葉ニ似テ色淺シ、岐多ク白點アリ、夏方莖ヲ抽デ葉互生ス、秋ニ至テ高サ二三尺、花ハ穗ヲナシテ生ズ、形烏頭(トリカブト)花ニ似テ小ク、淡紫色又黄白色ノモノアリ、花後小莢ヲ結ブ、又烏頭ニ似タリ、コノ草享保年中、朝鮮ヨリ秦艽ト名ケ渡ス、故ニ今花家ニ誤テ唐種ノ秦芄ト呼ブ、其花黄白色ナリ、然レドモ秦艽ノ葉ハ形長シテ薑葉ノ如シ、漢渡秦艽中ニ雜リ來ルモノ間(マヽ)アリ又藜蘆ノ條下ニ、韓保昇曰、藜蘆似鬱金秦艽蘘荷等ト云リ、コレニ據ル時ハ、秦艽葉ハ烏頭葉ニ似ザルコト明ナリ、伶人草ノ根ハ頭ハ内空シクシテ、羅紋アリテ網ノ如シ、其下ニ枝アリテネジレ末ニテハ或數枝相合テ一條トナリ、或ハ左或ハ右ニ糾、其形甚秦艽根ニ似タリ、故ニ蘇恭ノ説ニ、牛扁根如秦艽而細ト云、伶人草根ハ皮黒肉ハ白シ、乾ケバ微黒赤ヲ帶ブ、味苦薟、秦艽根ハ黄白色味苦シ、古ヨリ牛扁ヲゲンノシヤウコニ充ツルハ非ナリ、

立金花

〔和漢三才圖會〕

〈九十七/水草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0207 立金花(りうきんくは) 俗稱〈本字未詳〉 又有金立花按立金花生池澤中、葉似虎耳草(ユキノシタ)葉、而無白茸、深青色、背色淺微帶紫理、四五月抽莄、頂開六瓣黄花、結實有細子、又其莖葉花皆同、而横http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 者名金立花

〔草木育種後編〕

〈下/蘭類并冒稱の類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0207 ゑんこう艸(○○○○○) 花の莖立を流泉花(りうせんくわ)と云、これを流金花(りうきんくわ)といふなり、春芽出の時植かへざれば花なし、溝泥を乾かして栽べし、根に多く干鰯をさしてよし、芽先より根を生ずるを、鉢の中へ曲て竹をさしてよし、

淫羊藿

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 淫羊藿〈陶景注云、羊食此藿一日百遍、故以名之〉一名剛前、一名先靈裨草、〈出蘇敬注〉一名可怜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000257.gif 草、一名百年亡杖草、〈已上二名出隱居方〉和名宇无岐奈(○○○○)、一名也末止利久佐(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 仙靈毘草(○○○○) 陶隱居本草注云、淫羊藿、〈和名宇無木奈、一云夜末止里久佐、〉羊食此藿一日百遍、故以名之、一名剛前、蘇敬曰、俗名仙靈毘草是、〈漢語抄云、仙靈毘草、末良多介里久佐(○○○○○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 證類本草中品引云、服此使人好爲陰陽、西川北部有淫羊一日百遍合、蓋食藿所致、故名淫羊藿、本草和名引與此同、按百遍下合字不刪節、恐本草和名傳寫誤脱、源君承之也、〈◯中略〉按是四字〈◯一名剛前〉本條文、千金翼方證類本草並載之、源君引併爲陶注誤、〈◯中略〉證類本草引、作仙靈脾草、本草和名作先靈裨草、時珍曰、仙靈脾剛前、皆言其功力也、然則剛前、剛強前陰之義、仙靈裨、言若仙靈裨益之、則作仙作裨正字、作先作脾毘假借也、〈◯中略〉本草云、主陰萎、證類引食醫心鏡云、益丈夫陽、理腰膝冷、蘇又云、此草葉形似小豆而圓薄、莖細亦堅、圖經、葉青似杏、葉上有刺、莖如粟稈、根紫色有鬚、四月開花白色、又有紫色碎小獨頭子、湖湘出者、葉如小豆、枝莖緊細、經冬不凋、根似黄連、關中俗呼三枝九葉草、苗高一二尺、時珍曰、一根數莖、莖粗如線、莖三椏、一椏三葉、葉長二三寸、如杏葉及豆藿、面光背淡、甚薄而細齒有微刺

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 淫羊藿(ヤマトリグサ/イカリグサ)〈放枝艸、棄枝艸並同、順和名、羊食此草、一日百遍、故名、〉

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 淫羊藿(イカリクサ)〈放枝草、棄枝草、仙靈脾並同、〉

〔和漢三才圖會〕

〈九十二/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 淫羊藿(いんやうくはく) 仙靈脾 放杖草 棄杖草 千兩金 乾雞筋 黄連祖 三枝九葉草 剛前〈◯中略〉按、淫羊藿〈和名宇無木奈(○○○○)、一(○)云夜末止里久佐(○○○○○○)、〉出丹波船井郡山中、形状和漢無異、但唐者莖中虚、倭者中實、

〔物類品隲〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0208 淫羊藿 和名イカリサウ、江戸方言クモキリ、紫花ノモノ所在多シ、又白花ノモノアリ、チドリサウト云、又淡紫色ノモノ、青紫色ノモノアリ、葉又大小ノ別アリ、一種黄花ノモノアリ、 甚希ナリ、叡山産葉厚強ニシテ光澤アリ、冬ニ至テ枯ズ、蘇頌曰、湖湘出者葉如小豆、枝莖緊細、經冬不凋ト云モノ是ナリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈七/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0209 淫羊藿 イカリサウ(○○○○○) クモキリサウ(○○○○○○)〈江戸花家〉 カリガネサウ(○○○○○○)〈加州〉 カナビキサウ(○○○○○○)〈豫州〉 テンドリバナ(○○○○○○)〈城州大悲山〉 サンシクヤウサウ(○○○○○○○○) 一名黄徳祖〈宛委餘編〉 橐籥師尊〈輟耕録〉 仙靈皮〈保赤全書〉深山背陰ノ地ニ生ズ、春分後舊根ヨリ莖ヲ抽テ出ス、長サ尺許、柔軟ニシテ直ナラズ、上ニ數花ヲ連ネ、皆倒垂ス、ソノ花四瓣、瓣内ニ細長キ蕊瓣ニ旁テ四ニ出ス、ソノ端上ニ曲リテ、花ノ中ハフトク高ク、鐵猫兒(イカリ)ノ形ニ似タリ、大サ八九分淡紫色、又深紫色、藍紫色、淡黄色、白色ナル者アリ、京師ニハ淡紫色ナル者多ク、白色ナル者少シ、勢州紀州江州ニハ白色ノ者多シ、白花ノ者ハチドリサウ(○○○○○)〈同名アリ〉ト呼ブ、倶ニ花漸ク開クトキハ其根下ヨリ新葉尋テ出ヅ、凡ソ一根數葉、ソノ莖細クhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ク、光澤アリテ粟稈ノ如シ、莖ゴトニ三枝、枝ゴトニ三葉、故ニ三枝九莖草ノ名アリ、ソノ葉初出ノ時色淡紫ヲ帶ブ、長ズレバ淺緑色、又紫斑ナルモノアリ、ソノ形ハ長橢ニシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ク、端ニ一尖アリ、後ニ兩尖アリ、周圍ニ細刺アリ、冬ヲ經テ凋マズ、紅紫色ニ變ズ、花戸ニ唐種ノ淫羊藿ト呼ブモノアリ、葉和産ヨリ長大ニシテ厚シ、六葉ノ端ニ四出ノ小花數多ク穗ヲナシテ直生ス、穗ニ枝アリテ菘藍花形ニ似タリ、初ハ紫色、開ク時ハ色淺シ、イカリサウノ花形ト大ニ異ナリ、花ハ集解ニ碎小獨頭子ト云ノ文ニ符シ、葉ハ舶來ノ者ニ異ナラザル時ハ、此品眞物タルベシ、此草江州ニ自生アリ、市中ニ販ク者舶來ノ葉ミナ陳久、和産ノ葉ミナ新シ、イカリサウノ花ハ異ナレドモ、必シモ別品ナラザル時ハ、通ジ用ユルモ可ナルベシ、

鬼臼

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0209 鬼臼 一名爵犀、一名馬目毒公、一名九臼、一名天臼、一名解毒、一名雀頚、一名雀草、〈已上二名出釋藥性〉一名雀辛、〈出雜要決〉和名奴波乃美(○○○○)、

〔多識編〕

〈二/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0210 鬼臼、奴波乃美、異名害母草、〈圖經〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十三下/毒草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0210 鬼臼 カサグサ(○○○○) ツリガネサウ(○○○○○○) ツリガネガサ(○○○○○○) 一名獨搖〈通雅〉 馬目〈正字通〉 玉芝〈劒南詩稿〉 一握金〈醫學六要〉漢渡ナシ、此草一根一莖ニシテ大カザグルマノ如ク、莖頭ニ七八葉輪次ス、大カザグルマヨリ莖長シ、葉下ニ小莖ヲ出シ、一花ヲ開キ下垂ス、鈴鐸ノ形ノ如ク、貝母花ニ似タリ、外ハ紫色、内ハ細金點アリテ、撒金(キンスナゴ)ノ如シ、此花葉下ニ隱テ見ヘズ、故ニ羞天花ノ名アリ、今此草絶テナシ、一種ヤグルマサウ(○○○○○○)ト呼アリ、一名ハウチハサウ、カサグサ、種樹家ニ多ク栽ユ、深山ニ生ズ、東國ノ山中最多シ、宿根ヨリ春苗ヲ生ズ、一莖直上ス、高サ二尺許、葉互生ス、其葉五葉一蒂、葉ゴトニ末濶ク、三尖ニシテ本ハ窄ク箭ノ羽ノ如シ、細キスヂ多アリテ皺ノ如シ、周邊ニ鋸齒アリ、夏月莖頭ニ細白花ヲ開キ穗ヲナス、コレヲ古ヨリ鬼臼ニ充ツレドモ、ソノ花葉上ニ高ク出ルトキハ、羞天花ノ名ニ應ゼズ、藥肆ニモ此根ヲ以テ鬼臼ニ充テ賣ル、其根莖一寸許、長サ六七寸、コレヲ六分許ニ横ニ切テ乾ストキハ、兩頭邊ハ高ク、内ハ凹ニシテ、魚梁骨ノ形ノ如ク褐色ナリ、眞物ハ全根臼ノ形ヲナス、正字通ニ、獨脚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ハ鬼臼ト別ナルコトヲ云リ、其説ヤグルマニ近シ、今藥肆ニテ唐ノ鬼臼ト云者ハ眞ニアラズ、増、ヤグルマサウハ、集解時珍ノ説ニ鬼燈檠ト云者ニシテ、即蘇州府志ニ、鬼燈檠(○○○)一莖挺立、對發五六幹、如燈檠毒草也、能治癬ト云モノナルコト、百品考ニ見ヘタリ、又近世花戸ニ山荷葉ト稱スル草アリ、北國加越ノ深山ニ産ス、初春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、一根五六莖、高サ七八寸ニシテ、莖頂ニ葉ヲ生ズルコト荷葉ノ如シ、葉微シク横ニ長ク、前後微シク凹ミ、葉面ニ微皺アリ、文脈モ荷葉ニ似タリ、肥タルモノハ莖ニ枝ヲ分ツ、夏莖ノ半ヨリ別ニ莖ヲ生ジ、其端ニ小葉ヲ生ジテ、其上ニ白色ノ細花六七ヲ簇リ開ク、甚小ニシテ瓣見ヘ難ク、卒ニ見レバ金線草(ミツヒキサウ)ノ花ヲ一ツ放シタルガ如シ、 季夏莖葉共ニ枯ル、根ハ臼ヲナシテ黄精根ノ如シ、此レモ莖上ニ花咲テ、羞天ノ名ニ合ワズ、然レドモ其一種ナルベシ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 諸國進年料雜藥太宰府十二種、〈◯中略〉鬼臼四升、

通草

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 通草〈神葛(○○)、又於女葛(○○○)、〉

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 通草〈陶景注云、莖有細孔兩頭相通、〉一名附支、一名丁翁、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a4.gif 藤莖、〈仁諝音福、出陶景注、〉一名燕http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、〈仁諝音方福反〉一名烏覆、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a4.gif 藤、〈已上三名、出蘇敬注、〉一名附通子、〈出崔禹〉一名拏子、一名猴http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a4.gif 、〈已上出拾遺〉一名丁張翁、〈出雜要訣〉和名阿介比加都良(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/葛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 通草 和名本草云通草、陶弘景注云、莖有細孔、兩頭相通、〈和名阿介比加都良〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/葛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 按證類本草通草條注、引陶隱居云、繞樹藤生、汁白、莖有細孔、兩頭皆通、含一頭之、則氣出彼頭者良、或云、即葍藤莖、此所引節是文、則宜本草注而引和名本草之、非是、蘇云、此物大者徑三寸、毎節有二三枝、枝頭有五葉、其子長三四寸、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 黒穰白、食之甘美、南人謂爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、或名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、今言葍藤、聲相近爾、圖經、生作藤蔓、大如指、其莖幹大者徑三寸、葉頗類石葦、又似芍藥、三葉相對、夏秋開紫花、亦有白花者、結實如小木瓜、今人謂之木通、而俗間所謂通草、乃通脱木也、〈◯中略〉按果蓏類載蔔子、即通草實也、呉普云、通草葉青、蔓還樹生、汁白、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 蔔子 本草注云、蔔藤〈上音福〉一名烏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、〈音伏、和名阿介比、〉崔禹錫食經云、附通子、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0211 按證類本草草部中品通草條、引唐本注云、南人謂爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、或名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、今言葍藤、葍http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 聲相近爾、本草和名云、通草一名燕http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、一名烏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a4.gif 藤、已上三名出蘇敬注、此引本草、載蔔藤烏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 二名、蓋源君從本草和名之、又按依蘇云http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 聲近、則蔔藤似葍藤、本草和名作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a4.gif、亦恐誤、陶注云、通草繞樹藤生、汁白、莖有細孔、兩頭皆通、含一頭之、則氣出彼頭者良、蘇注云、此 物大者徑三寸、毎節有二三枝、枝頭有五葉、其子長三四寸、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 黒穰白、食之甘美、陳藏器曰、子如算袋、穰黄子黒、食之當其皮、蘇云、色白、乃猴葍也、本草圖經云、生作藤蔓、大如指、其莖http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000147.gif 大者徑三寸、葉頗類石韋、又似芍藥、三葉相對、夏秋開紫花、又有白花者、結實如小木瓜

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0212 通草(アケビ)〈木通(○○)、萬年藤並同、子名燕覆、〉

〔東雅〕

〈十四/果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0212 蔔子アケヒ 倭名抄に本草註崔禹錫食經倭名本草等を引て、蔔藤一名烏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif 、又附通子はアケビといひ、通草はアケビカヅラといふと見えたり、これ則木通附支、其實を燕http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6b5.gif と名づくるもの也、アケとは赤色、ヒとは實也、實小さく木瓜の如くにして白く、熟しぬれば其内の赤きをいふなり、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0212 あけびかづら 〈通草〉あけび、〈和名抄〉あけびかづら、〈本草和名、和名抄、〉あけびは朱實の義なりと、國史草木昆蟲攷にいへども、この實あかく色づくものにあらず、あけびはあけつびの省呼なり、歌にやまひめとよむも同意なるべし、山女の字を用、又ある人の曰、加賀の國にあけび村と云處あり、一には赤日村と書、一には山女村と書り、山女の字を以てあけびと讀事、いかなる義にや詳ならざりしに、或人越前の國へ行時、山中の茶店にやすらひ、菓子様の物を乞しに、外には何もなし、山をんなのみといへり、夫にても出すべしといへば、あけびの實を出せりと、これにて山女の字を用る事を解せしとぞ、

〔宜禁本草〕

〈乾/藥中草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0212 木通 甘辛平微寒、通利九竅關節血脈、不忘治痳、治脾疸常眠心煩、出音聲諸結不消惡瘡、利尿療乳結乳、子甘利二便、去煩寛心止渇下氣、〈去皮〉

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0212 木通 蔓草也、蔓長ク大ニシテ堅シ、蔓即木通也、葉莖ヲ通草ト云無毒、鞍馬ノ木芽漬ハ通草也、葉ハ五葉ニ分ル、三月紫花開花容三分、秋圓子結ブ、此草山野林中ニ多ク生ズ、和名アケビ赤實ナリ、又トキハナルアリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0213 通草 アケビ(○○○)〈和名鈔〉 アケビカヅラ(○○○○○○)〈同上〉 アケビヅル(○○○○○) タヽバ(○○○)〈江州〉 タトバ(○○○)〈越前〉 ギウスイサウ(○○○○○○)〈遠州〉 タンポポ(○○○○)〈同上〉 アケベ(○○○)〈若州〉 ゴサイボヅル(○○○○○○)〈同上〉 ハダツカヅラ(○○○○○○)〈熊野〉 ハンダツカヅラ(○○○○○○○) アクビ(○○○)〈共ニ同上〉 テンタテコンホウ(○○○○○○○○)〈甲州〉 ヲドリバナ(○○○○○)〈若州、以下花名、〉 女郞花(○○○)〈同上〉 チヨチヨビ(○○○○○)〈江州〉 一名出様珊瑚〈輟耕録〉 烏麩葍〈通雅〉 燕腹〈本草蒙筌、實名、〉山野共ニ多シ、葉形長橢ナリ、五葉ゴトニ一處ニ攅生ス、其五葉ノ大サ四五寸、又大小アリ、舊蔓ハ葉大ニ、嫰蔓ハ葉小ナリ、皆互生ス、四月嫰葉ノ間ニ細枝ヲ生ジ、少叉ヲ分チ花ヲ開ク、大サ四五分、淡紫碧色ト白色トノ二品アリ、皆下垂ス、花ハ三瓣、稀ニ大花ナル者雜リ生ズ、亦三瓣ニシテ深紫碧色後實ヲ生ズ、瓜ノ形ニ似タリ、徑リ一寸、長サ二寸餘、藥舖ニコレヲ肉袋子ト云フ、久蔓ナラザレバ實ヲ結バズ、其皮厚ク肉白ク、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 深黒ニシテ光リアリ、此蔓ヲ採リ藥用トス、木通ト云、切レバ車輻解アリテ菊花ノ如ク、針眼通レリ、一頭ヨリ吹バ其氣一頭ニ透ル、和産ヲ眞トス、舶來ハ多ク葡萄ノ根ヲ雜入ス、本草新編ニ即葡萄根也ト云フ、形ハ異ナレドモ、其効ハ粗同ジ、然レドモ和産多ク且新ナリ、故ニ和ヲ用ユベシ、本經逢原ニ木通ハ蘡薁(エビツル)ノ根ナリト云ハ非ナリ、物理小識曰、准木通能行氣、色似沈香車輻紋川、木通色白止通小便、僞者蒲萄藤也、本草彙言曰、色黄白者良、黒褐色者爲雨暘浸以致形色、腐黒用之力少不及、又一種三葉ノ木通アリ、大豆葉ノ如シ、又一種三葉ニシテ粗キ鋸齒アル者アリ、又別ニ一種五葉ノ木通ニ似テ大ニシテ、冬ヲ凌ギ凋マザル者アリ、コレヲトキハアケビト云フ、即ムベニシテ救荒本草ノ野木瓜ナリ、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0213 あけびかづら 〈通草〉あけびかづらの實より、油を搾り用る事は、信濃の國、出羽の國には、此あぶらにて物をゆびき食す、燈油はさらなり、その油清潔にして上品なり、しかれども多く食すれば、瀉すものなりといへ り、この藤蔓は通藥なれども、其實は多く食しても瀉下する事なくして、油には大便閉に用ひて佳なるべしと〈佐竹壹岐守醫冠木精菴〉の説なり、あけびかづらは處々に自生多きものなれども、年を經し蔓にあらざれば、實のらぬものなり、花は年をへざるつるにも開く、花信は清明の比よりひらく、その色淡紫紅にして三瓣の小花、さがりあつまり開く、その小花と同じ形状にして、大さ寸許のものあり、この大輪の花は小花のかたより濃紫なり、この種は實を結ぶ花なれども、年を經し蔓にあらざればみのらず、又淡碧白のものあり、その形状種類は、本草綱目啓蒙に詳なれども、出羽の國には、實も大にして、四五寸許のものあり、その色も紫色にして美なるあり、この紫色に染なして美なるものは、味美なりといへり、凡通草に三葉五葉の別あり、五葉のものヽ實は、熟して皮われ、白瓤あらはるヽものといへども、其皮褐色少は紫色を帶れども美色ならず、いまだ三葉のあけびの實を結びしを見ざれば、三葉のものにやと問ふに、過し事にて葉の三葉五葉のことは、わきまへずといへり、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif は黒澤にして升目のごとし、破れば内に白肉あり、即油を取ものなり、〈◯中略〉和名抄〈蓏類〉郁子の次に蔔子、〈和名阿介比〉又同書〈葛類〉通草〈和名阿介比加都良〉と訓じて、實と蔓とを別條となしたれば、古は專ら食用とせしものなり、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0214 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉龍膽、通草各五斤、 大和國卅八種、〈◯中略〉枳實、通草、大戟各十斤、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0214 道灌山ノ産 木通(あけびかづら)

郁子

〔倭名類聚抄〕

〈十七/蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0214 郁子 本草云、郁子一名棣、〈都計反、和名牟閉(○○)、今案郁宜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ab2.gif 、於六反、見唐韻、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0214 按廣韻、郁文也、亦郁郅縣在北地、又姓、又云、栯栯李、俗作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ab2.gif 、二字其義不同、故源君謂郁子之郁宜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ab2.gif 、然郁http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ab2.gif 字古所無、説文不載、故本草借右扶風郁夷縣之郁字之也、間居賦亦云、梅杏郁棣、其訓文也之郁字亦假借、説文http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000194d1.gif文章也、是爲正字、〈◯中略〉千金翼方、證類本草木 部下品、作郁李人、本草和名作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 、皆不郁子、此或郁李之誤、一名棣、千金翼方、證類本草、本草和名同、〈◯中略〉本草和名云、和名宇倍、按爾雅、常棣棣、毛詩常棣傳同、説文、棣白棣也、郭注爾雅云、今山中有棣樹、子如櫻桃食、齊民要術引詩義疏云、其實似櫻桃、薁麥時熟、食美、北方呼之相思也、又引豳風七月篇義疏云、鬱高五六尺、實大如李、正赤色、食之甜、邢昺爾雅疏、引陸疏云、許愼曰、白棣樹也、如李而小、如櫻桃正白、今官園種之、一名薁李、〈禹錫引〉又有赤棣樹、亦似白棣、葉如刺楡葉而微圓、子正赤如郁李而小、五月始熟、閑居賦、梅杏郁棣之屬、李善注云、郁今之郁李、棣實似櫻桃也、張揖上林賦注曰、薁山李也、郁與薁音義同、郭璞上林賦注云、棣實似櫻桃、郝懿行曰、郝棣捿霞山中尤多、白棣殊少、人倶呼爲山櫻桃、小於櫻桃而多毛味酢不美、又論語疏引舍人曰、唐棣一名栘、又引陸機云、唐棣即奧李也、一名雀李、亦曰車下李、所在山中皆有、其華或白或赤、六月中成實、如李子食、〈本草圖經引〉陸氏以常棣形状唐棣誤、唐棣正作棠棣、其字與常棣近而混也、本草云、郁李一名爵李、一名車下李、一名棣、陶注云、子熟赤色、亦可之、蜀本云、甚甘香、有小澀味也、蜀本圖經云、樹高五六尺、葉花及樹並似大李、惟子小若櫻桃甘酸、本草衍義云、郁李仁其實如御李子、至紅熟啗微澀、李時珍曰、其花粉紅色、實如小李、是郁可以充今俗呼庭梅、救荒本草云、野木瓜、出新鄭縣山野中、蔓延而生、妥附草木上、葉似黒豆葉微小光澤、四五葉攅生一處、結瓜如肥皂大、味甜、採嫰瓜、換水煮食、樹熟者亦可摘食、是可以充无倍

〔伊呂波字類抄〕

〈无/殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0215 郁子〈ムヘ亦作楯、亦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ab2.gif、〉

〔本草一家言〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0215 蕑子(○○) 本出于賈思http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000125.gif 齊民要術、一名侯騷、一名藤詔子、一名野木瓜(○○○)、一名波斯葡萄(○○○○)、此諸名散見于諸書、而綱目釋名逸而悉不收載、今併而爲一、和名牟邊(ムヘ)、按、延喜式有郁子之供、其稱郁子者是物也、江州王乃濱村年々臘月獻之於朝廷、今京南上醍醐山中多生之、自非經年者則不實、其藤葉實倶似木通而稍大、俗名常盤阿氣比、於是乃知、是即木通 之一種也、

〔倭訓栞〕

〈前編三十一/牟〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0216 むべ〈◯中略〉 和名抄に郁(イク)子むべと訓ず、延喜式諸國貢進の菓子に近江國郁子と見えたり、今も蒲生郡白部村より霜月に貢せり、麥わらにて小さき殿を作り、其内に赤く熟したるを釣さげたり、むべは御贄をおほむへとよめるの略也、今俗ときはあけび(○○○○○○)といひ、花肆には朝鮮あけび(○○○○○)ともいふ、本艸にいふ蕑子、齊民要術にいふ藤韶子なりといへり、南部に木まんぢう(○○○○○)といふ、又詩經の薁をむべとよめり、薁と郁と同音なるをもて、郁子と書りといへり、土人此葉を煎じ、癰腫を洗ふ、よく平愈すといふ、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0216 むべ〈うべ 郁子 薁實 漢名野木瓜 ときはあけび、〉むべは近江國蒲生郡奧島の産物にて、毎年十一月朔日、京都へ貢する也、蔓一すぢに二つも三つもなりたるを、藁にて包たる足高き折に入て奉る、〈其形状圖(圖略)のごとし〉此事いづれの御時よりはじまるといふことさだかならず、奧島供御人等が傳ふる所は、聖徳太子の御時よりといひ、或説には天武天皇御時よりといふ、共に信じがたし、さればこそ後水尾院年中行事には、いつより奉りそめけるにかと遊ばされしなり、又延喜式に近江より郁子を貢することを載られたれど、これは今のむべの事にや、眞の郁李のことにや、さだかならず、供御人等が傳へし文安の綸旨に見へたる所は、今のむべのことにて有べければ、其文に例にまかせてと見えたるに據ときは、その先より奉けるものなるべし、さて文字には郁子とも薁實とも書たれ共、ともに正しき名とはおもはれず、蘭山翁の説に、救荒本草にみえたる野木瓜といへるもの、今のむべなりといへり、其圖説を按ずるに、此説荷擔すべきなり、 若水は、簡子をもて、ムベにあて、白石先生は薁は野蒲萄なりといはれし、弘賢按ずるに、簡子はアケビなり、アケビとムベとは自ら別種なれば、如何有べき、さて我邦にて漢字を用る所は、中古以來、かならず其正名ならねども、假借せる事あり、たとへば、欵冬をもて、春のヤマブキにかり用るがごとし、これ古人欵冬をヤマブキといへば、たま〳〵其名の同じきをもて、假用ひたる也、是をもて漢名の當否を論ずべきにはあらず、薁は郁李の一名にて、共にムベといひ、野木瓜をもムベといひけるより、假借せること有しなり、又漢名にも古今の差別ありて、一概に論じがたきことあり、猶下にことはるべきなり、〈◯中略〉 薁實獻上候由緒申傳之覺一聖徳太子之御時、奧島庄之内へ御成行幸、それより此所を王之濱と申傳候由、其時奧島之内男子八人有之、夫婦、長命堅固にて罷在候旨に御座候、其時太子被仰候は、汝等はめでたき者共なり、何故一家不殘長壽堅固に在之哉と御尋被成候へば、夫婦之者共申上候は、私屋敷内箇様之菓實毎年生り申候を、家内給べ申候故、無病延命に罷在候かと申上候得ば、其菓實薁と御附被遊、自今後供御に差上候様にと被仰付候而、薁供御料として、奧島山を被下置候之故、隣郷へ山をおろし、山年貢を以、供御に仕候由申傳之事、一其後薁供御中絶仕候處、文安二年之比、御詮議被遊、夫より改獻上仕候、御綸旨并御除書等頂戴仕、于今所持仕罷在候事、一信長公御全盛之比、人等山を御取上被成候而、供御料米壹石五斗に御定被成候由申傳候事、一郁子蔓御座候者、宮地又は人等之持林之内に御座候、尤御除地に而者無御座候事、一例年供御料米壹石五斗者、御地頭より御代々被下置、八人之者配分仕候事、一郁子供御料如此仕、折三合毎年差上候内、一合御取次生島殿へ納り申候、右之御祝儀、例年不同 に御座候、一つ生りは鳥目百文、二つ生り三生り御座候へば、壹つ百文宛御増、御祝儀出申候、外に疊表拾枚は、毎年御取次生島殿へ遣申候事、一往古より人等八人之末孫共、相續仕、例年霜月朔日に調貢仕、生島殿より請取切手相渡り申候御事、  亥二月     郁子供御人等中

〔郁子譜并圖〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0218 郁子譜毎年十一月朔日、近江國高島郡奧之島村王濱ヨリ郁子ヲ獻ズ、延喜式ノ下〈三十一、〉宮内省、諸國例貢御贄、近江郁子、同〈三十三〉大膳式ノ下、諸國貢進菓子、近江國郁子二輿籠、〈◯中略〉毎年十一月朔日近江國高島郡王濱ヨリ郁子ヲ獻ズ、文安二年郁子之宣旨、近江國蒲生郡奧之島薁供御人等中、任先例非分之課役、可調貢之由被聞食畢、可下知之旨、天氣所候也、仍言上如件、俊秀誠恐謹言、  文安二年十一月十一日     左中辨俊秀    尹大納言殿右宿紙禮紙、有禮紙之上、    尹殿     左中辨俊秀近江國蒲生郡奧島莊之内、薁供御人等、被非分之課役、綸旨如此、早存其旨、可調貢之由、中山大納言殿仰所候也、仍執達如件、  十一月廿一日     中務少輔重忠印右一紙口〈ノ〉表〈ニ〉  奧島供御人等中 中務少輔重忠元祿年中ノ請取如左  折紙片表〈ニ〉認奧島御郁之事一折 貳合一同 壹合一疊表 拾帖 右請取所如件 元祿十四年〈巳〉霜月朔日 生島左兵衞尉  奧之島下司殿慶長七年近江國撿地帳 近江國蒲生郡奧之島村五百拾三石六斗七升王濱村高拾三石 近江國繪圖ニ王濱在蒲生郡丸山東〈◯中略〉蕑子(カンシ) ムベ一本ニ如梨實而味酸シ、西土ニテ密砂糖ニ漬テ食ス、蔓草之部如藤蔓アリ、郁子ノ字ヲ古來ムベニ用タルハ誤也、郁子ハ木實而小キ物也、ニハザクラノ類也、郁李仁ハ藥種ニ用ル也、蕑子、本草綱目三十三附録諸果〈ノ〉部、時珍曰、賈思http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000125.gif 齊民要術云、藤生交趾合浦、縁樹木正二月花、四五月熟如梨、赤如雞冠http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif魚鱗、生食味淡、 按、四五月熟事不審、ムベヲ貢スルハ十一月ナリ、今木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 木通ノ二種アリ、木通ハ林間ニ生ジ、木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ヨリ葉小ク、紫花ヲ開キ、實モ異也、大和本草ニ薜荔云ハ木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ナリ、廣http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f184.gif 地錦抄〈染井農夫編集ナレドモ、家業故形状悉也、〉ニモ木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 木通ノ二種ヲ出ス、木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ノ實ヲ俗ニムベト云、一枝五葉〈四葉モ出ル〉四時不凋、和名ムベカツラト云、 木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 〈和名ムベカツラノ生葉肥タルハ、是ヨリ少シ大クモ出ル、〉今花木ニ木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 花ト云アリ、是ハ大和本草ニ園史、遵生八牋、花史、酉陽雜俎續編等ヲ引テ云、玉蘭花ナリ、是ト不同、◯按ズルニ、薁ハ、康熙字典〈申集上艸〉ニ唐韻於六切、音郁、蘡薁也トアリ、

木蓮子

〔本草和名〕

〈十七/菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子、〈出崔禹〉和名以多比(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子 崔禹錫食經云、木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子、〈和名以太比〉本草云、折傷木、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/果蓏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220 按本草拾遺云、薜茘、夤緑樹木、三五十年漸大、枝葉繁茂、葉圓長二三寸、厚如石韋、生子似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif、中有細子、一年一熟、一名木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 、打破有白汁、停久如漆、本草圖經、絡石條云、薜茘與此極相類、但莖葉麤大如藤状、木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 更大如絡石、其實若http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif、李時珍曰、木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif樹木垣墻而生、四時不凋、厚葉堅強、大于絡石、不花而實、大如盃、微似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif而稍長、正如無花果之生者、六七月實内空而紅、八月後滿腹細子、大如稗子、一子一鬚、其味微濇、其http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ce2.gif 輕虚、烏鳥童兒皆食之、充以太比允〈◯中略〉千金翼方、證類本草木部中品載之、蘇敬曰、折傷木、藤生、繞樹上、葉似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000650cf3.gif 草葉而光厚、按本草和名果部載崔氏木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif、訓以多比、木部載本草折傷木、亦訓以多比、蓋輔仁不詳定、存疑於二物也、源君以其所訓同、合爲一者誤、新撰字鏡、折傷木伊太比、一云木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子、其誤亦同、

〔伊呂波字類抄〕

〈伊/殖物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子〈イタヒ菓子類〉 折傷木〈同〉

〔日本後紀〕

〈十三/平城〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220 大同元年五月己卯、是日停諸國雜贄腹赤魚木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子(○○○)等民肩也、

〔日本書紀〕

〈十八/安閑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220 元年三月戊子、立三妃、立許勢男人大臣女紗手媛、紗手媛弟香香有媛、物部木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif 子(イタヒ)、〈木蓮子此云伊拖寐

〔採藥使記〕

〈上/奧州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0220 照任曰、奧州南部ノ田奈部ト云フ所ヨリ木饅頭ヲ出ス、光生按ズルニ、是レ本草ニ載スル木http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651145.gif ノ實ナリ、郁(ムベ)子トモ、ユベトモ、其實秋熟シテ味甘シ、小兒 好ミ食フ、江州高島郡奧ノ島權兵衞ト云フ者、毎年十一月一日、禁中ヘ獻ズ、麥藁ニテ葺タル小キ殿ヲ作リ、其内ニ件ノムベヲ釣リ下テ供ズ、文武天皇ノ比ヨリ、今ニ絶ヘズト云フ、土人此葉ヲ採リ、煎ジテ癰腫ヲ洗フ、能ク崩レズシテ平癒スト云フ、

防己

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 防己 一名解離、一名石解、木防己一名解推、一名解名、一名解燕、一名方、〈已上六名出釋藥性〉和名阿乎加都良(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/葛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 防己 本草云、防己一名解離、〈和名阿乎加豆良〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/葛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 本草云、文作車輻理解者良、蘇云、防己本出漢中者、作車輻解、黄實而香、圖經、莖梗甚嫰、苗葉小類牽牛、折其莖、一頭吹之、氣從中貫、如木通類、陳藏器云、作藤著木生、

〔日本釋名〕

〈下/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 藟(ツヾラ) つヾくかづらなり、くとかづとを略す、長くつヾくかづらなり、

〔倭訓栞〕

〈中編一/阿〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 あをかづら 倭名抄に防己を訓ぜり、青葛の義、延喜式に防己をあをつヾらと點ぜり、萬葉集にあをつヾらこにあとり入てといへり、今つヾらふぢといふ是也、つたのはかづらといふは防己の一種、はすのはかづらといふは漢防己也、かふもりかづらは木防己也といへり、

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 防己 解離 石解 和名阿乎加豆良、〈◯中略〉按防己有漢木二品、而今自中華渡者皆長六七寸、切大者徑寸許、黄色帶赤、破之文作車輻解而甚香、所謂漢防己也、而別木防己者不來、倭之産長七八寸切、大小如木通莖而青白色、皮皺不香、所謂木防己(○○○)是也、二物共苗莖而非根也明焉、今藥肆以唐爲漢防己(○○○)、以倭唯稱防己、藝州廣島爲上、丹波之産短細爲下、蓋本草必讀所圖之瓜防己者未勘、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0221 防己 アヲカヅラ(○○○○○)〈和名鈔、豫州〉、 アヲツヾラ(○○○○○) ツヾラカヅラ(○○○○○○) ツヾラフヂ(○○○○○) チンチンカヅラ(○○○○○○○)〈作州〉 ピンピンカヅラ(○○○○○○○)〈播州〉 メツブシカヅラ(○○○○○○○) ヤブカラシ(○○○○○)〈雲州、五爪龍ト同名、〉 ヤマカシ(○○○○)〈薩州〉 ハクサカヅラ(○○○○○○) ムマノメ(○○○○)〈肥前實名〉 一名載君行〈本草蒙筌、根名、〉山野ニ甚多ク、藤蔓至テ長シ、葉互生ス、形女青(ヘクソカツラ)ノ葉ニ似テ厚ク短毛アリ、其形状一ナラズ、圓尖ナル者、橢尖ナル者、三尖ナル者、兩岐深シテ牽牛葉ノ如キ者、長葉ノ者、苦蕎麥(ミゾソバノ)葉ノ如キ者、凡數十種アリ、三四月新葉ノ間ニ小花簇リ生ジ、菝葜花(サルトリイバラノ)ノ如シ、後圓實ヲ結ブ、大サ三分許、秋ニ至リ熟スレバ、黒色ニシテ淡青粉アリ、内ニ一子アリ、藥鋪ニ藤蔓ヲ採リ賣ル、其車輻解(キクザ)細ナリ、根モ亦同ジ、是木防己ナリ、一種オホツヾラフヂ(○○○○○○○)ト呼アリ、一名ツタノハカヅラ、フソナ、〈加州〉メクラブドウ、〈津輕〉深山中ニ多シ、葉互生シ、形圓ニシテ尖リ、七ツノ粗岐アリテ、ツタモミヂノ葉ニ似テ至テ厚ク、深緑色、毛茸ナシ、大サ三四寸、形亦一ナラズ、圓ニシテ岐アラザル者、或ハ長葉ナル者、或ハ三五尖ナル者アリ、皆一藤中ニテ數様ニ變ズ、其根フトクシテ處處ニ塊アリ、車輻解アラシ、是漢防己ナリ、木防己漢防己ノ分別ノ説一ナラズ、地ヲ以テ分ツ説アリ、陳藏器ハ根苗ヲ以テ分チ、漢木二防己ハ即是根苗爲名ト云フ、本草蒙筌本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f3e.gif 本經逢原、並ニ漢防己ハ是根、木防己ハ是苗ト云、此説ニ從フヲ優レリトス、其苗ヲ用ユルニハ、ツヾラフヂヲ上トス、根ヲ用ユルニハ、オホツヾラフヂヲ上トス、本草彙言、本草原始ニ、圖スルトコロノ條防己是ナリ、舶來ノ防己根ハ、塊ヲナシテ小瓜ノ如シ、濶サ一寸餘、長サ二三寸、白色、コレヲ切レバ、其肌密ニシテ輻解明カナラズ、本草彙言、本草原始ニ圖スルトコロノ瓜防己ナリ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 諸國進年料雜藥駿河國十七種、〈◯中略〉夜干、防己各十斤、 伊豆國十八種、〈◯中略〉木防己、赤石脂各十斤、 安房國十八種、〈◯中略〉木防己一斤、 上總國廿種、〈◯中略〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ac0.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 、木防己各十斤、

〔枕草子〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0222 草はあをつヾら

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 道灌山ノ産 木防己(つゝらふじ)  野火留平林寺 防己(かうもりかつら)

千金藤

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 千金藤 詳ナラズ、〈◯中略〉増、集解一種似荷葉只大如錢許、亦呼爲千金藤、又名古藤、主痢及小兒大腹ト云ハ、ハスノハカヅラ(○○○○○○○)ナリ、一名ベウヅル、ヤキモチカヅラ、〈豫州〉ガタマタ、チヤワチヤワカヅラ、〈紀州〉イヌツヾラ、〈同上熊野〉暖國ノ産ナリ、四國紀州泉州等ニ自生多シ、四時枯レズ、蔓長ク繁延シ、葉莖ニ互生ス、形蘿藦(ガヽイモノ)葉ニ似テ大ニシテ圓ク薄シ、ソノ蒂葉中ニ在テ荷葉ノ如シ、夏月葉間ニ細莖ヲ垂レ、小白花ヲ簇生シ、實ヲ結ブ、大サ紫金牛子(ヤブタチバナノ)ノ如ク、熟シテ赤シ、根ハ防己ノ如ク巨シ、コレヲ防己ノ一種トスル説ハ穩ナラズ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 防己〈◯中略〉又一種ハスノハカヅラ(○○○○○○○)ト呼ブ者アリ、一名イヌツヾラ、〈熊野〉ベウヅル、ヤキモチカヅラ、〈豫州〉ガタマタ〈藝州、又別ニ同名アリ、〉暖地ニ自生アリ、紀州ニ多シ、葉ノ形圓尖ニシテ薄ク、紋脈荷葉ノ如シ、其蒂モ葉中ニアリテ荷莖ノ如シ、初夏舊根ヨリ苗ヲ生ジ、藤蔓長ク引キ葉互生ス、夏月葉間ニ小花簇生シ、黒子ヲ結ブ防己ノ如シ、是又防己ノ一種下品ナリ、今花戸ニ一種唐種漢防己ト呼ブ者アリ、葉形オホツヾラフヂニ似テ薄ク色淺シ、蒂モ微シク葉中ニヨル、根ハ細ク色黄ニシテ、内ニ白穰アリテ車輻解ヲナサズ、此草ハ諸州深山ニモアリ、藝州ニテコウモリヅタト呼ブ、越前ニテ、コツラフヂト云フ、

〔採藥使記〕

〈上/奧州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0223 照任曰、奧州南部ヨリ千金藤ヲ見出ス、又甲州ニモ稀ニアリ、光生按ズルニ、或曰、本艸ニ藏器ガ曰、一種葉荷葉ニ似テ大サ錢ノ如シト云ル物モ、亦呼テ千金藤ト名ヅク、此種和邦畿内所々ニアル處ノイチヤク草ナルベシ、又藏器ガ曰、江西ノ林間ニ草アリ、葉ヲ生ジテ頭ニ癭子アリテ、鶴膝ニ似テ葉ハ柳ノ如クナル物モ、亦千金藤ト名ヅクト云 ヘリ、此種ハ和邦ニ未ダ見ヘズ、

罌粟

〔多識編〕

〈三/穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 罌子粟、今案介志(○○)、異名御米、〈開寶〉象穀

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 罌粟(ケシ)〈本草〉米囊(同)〈同上〉御米(同)〈同上〉

〔大和本草〕

〈五/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 罌粟 花單葉千葉紅白アリ、種品多シ、八九月ニ種ヲ下ス、單葉ノ白花ニ實多シ、千葉ナルハ實少シ、千葉ナルヲ麗春花ト云、紅白紫淡濃品多シ、游點齋ガ花譜ニ、此花ノ美ナル事ヲ詳ニイヘリ、群花ニヲトラズ愛スベシ、凡ケシノ苗ワカキ時、爲蔬テ食フ、味ヨシ、苗生ジテ後他土ニウツシウヘテハ不榮、實猶青キ時根早ク枯ル、他草ニ異レリ、又實ヲ多ク貯ヘ置テ、炒テ飦品ニ加ヘテ美味ヲ助ク、日用ノ嘉蔬ナリ、肥土ヲヨクコヤシテ和ニシ、種子ヲ釜下ノ灰ニマゼテマクベシ、蟻不食、救荒本草曰、隔年種則佳、又曰、取米作粥、或與麪作餅皆可食、

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0224 罌粟けしは花の白き一重なるが實多くかうばし、料理には是を用る物なり、又花紅紫色々あり、是を米囊花と云て、詩にも作れり、花殊見事にて、菜園にうへて尤愛すべき物なり、されども千葉の色あるは實少なく、子の色も雜色にて料理によからず、蒔時分の事、秋の半いか程も地を細かにこなし、中分に肥し、畦を平らかによくならし、八月半比蒔べし、地を少たヽき付て、薄く蒔たるがよし、たねを灰と沙に合せ、筋うへにても、ちらし蒔にても、各心にまかすべし、種子おほひはするに及ばず、わらはヽきにて、さら〳〵とたねのかたまらざる様にはきをくべし、生て後藝り間引、中を度々かきあさり、ふとるにしたがひて、段々正月までまびきて菜に用ゆべし、又云若むら生せば蒔つぐべし、小きをへらにてほりて移しうゆるも生付物なり、人糞など多く用ひて、餘り肥過れば、葉に虫付て實らざる事もあり、冬中よき程に見合せ、糞し培ひ、春雨の中たをれぬ程にすべし、肥たる沙地におほく作りて、利あるものなり、〈但花の咲ころ、葉に蟲の付事おほきゆへ、よく心を付、もしむしの付べきならば、いたまぬやうに〉 〈葉を切さるべし、むしおほく出來ては葉をくひからし、後には實をもくひつくし、其むしなをも其ほとりのうへものに害をなす事はなはだおほし、ゆだんなく葉をきりてさるべし、〉

〔草木育種〕

〈下/穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 罌子(けし)粟〈本草〉 八月種を下し、灰人糞を薄して度々澆べし、又びじんそうも、罌子粟に似て小きもの也、肥も同じ、花鏡云、錦被花未種前須地極肥、後以釜底烟煤拌撒、用細泥之可蟻食

〔食物和歌本草〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 瞿子粟(ケシ)けしの實は邪熱を逐て風氣やり反胃(ほんゐ)胸中の痰をながせり けしの實を粥となしつヽ竹瀝(ちくれき)をまぜつヽ瀉痢や潤燥を治す

〔佐渡志〕

〈五/物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 罌粟子 方言ケシノミ 羽茂郡ニ多シ、花ヲ賞シテ佛前ニ供ス、美人草ノ名アリ、チリヤスキヲ以テ、佛ニ供スルナルベシ、稀ニ阿片トテ、脂ヲトリ製スルモノアリ、

虞美人草

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 美人草(ビジンサウ)〈一名錦被花、本名麗春花(○○○)、本朝俗所呼花鸎粟(ケシ)也、〉

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 虞美人草 名花譜云、花四瓣色艷、類罌粟而小ナリ、園史云、呉俗呼爲虞美人草、蓋罌粟之別種也、今國俗ニ美人草ト稱ス、ケシニ似テ小ナリ、紅紫白ノ三種アリ、千葉アリ、單葉アリ、重葉アリ、紅夷ヨリ來ル種アリ、八月ニ子ヲマク、早ク生ズルハ單葉也、千葉八重ハ單葉ヨリヲソク生ズ、他花モ亦如此、肥テ軟ナル沙土ヨシ、ウヘテ上ニ灰ヲオホヒ、冬月糞ヲ置ベシ、春月ハ糞ヲイム、虫生ゼバ去ベシ、春ハ魚汁ヲソヽグベシ、四五月ニ花ヲヒラク、花甚艷ナリ、好花トス、苗生ジテノチ他土ニウツシテモヨシ、不移ニハシカズ、冬月早ク糞水小便ヲソヽグベシ、此物根小ニ莖多長大ニシテ、風ニ倒ヤスシ、毎根厚ク培カヒ、小竹ヲ立テ助ケ結ブベシ、

〔剪花翁傳〕

〈三/四月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0225 美人艸 麗春花(ひなけし)、花一重あり、八重あり、色縁紅に腰紫、開花四月中旬、方日向、地一分濕、土えらばず、肥淡小便、芽出し後一度そヽぐべし、花前に四五度そヽぐべし、下種秋彼岸苗代にすべし、分株十月上旬にすべし、

華鬘草

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 華鬘草 俗稱按華鬘草高尺餘、葉似石龍芮(タカラシ)而小、三月莖耑開花、淡紅色作房、其花柎略長、似華鬘故名、

〔剪花翁傳〕

〈三/四月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 華幔艸 花二種、赤、黄、貌蔓豆の花に似たり、開花四月中旬、方半陰、地二分濕、土回塵、肥淡小便、移春彼岸、花二箇向ひならぶ、よて俗に掛鯛といふ也、

シシヤキ草

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 シシヤキ草 和黄芩(○○○)ト云、武藏國ニテハササヤケト云、處處山野或河原ニアリ、伊豆ノ三島ト箱根ノ間路傍ニ多シ、葉ハ菊ニ似テアツク大ナリ、根ハ黄芩ニ似タリ、葉ノウラナド霜ノフリタルヤウニ白キ處アリ、或曰、䕡茹(○○)ナルカ、又博落廻(○○○)ナラント云、一種イヌマヲニ似タル草ヲモシシヤキト云、同名異物ナリ、

延胡索

〔多識編〕

〈二/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 延胡索、世無布(○○○)、異名玄胡索、

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 延胡索(ヱンコサク)〈本名玄胡索〉 延胡索(ゼンブ)〈本草、苗葉如竹葉、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0226 延胡索 ツブテ(○○○)〈江州〉 ゲモ(○○)〈南部〉 一名滴金卵〈藥譜、輟耕録、〉 元胡索〈品字箋〉 玄壺索〈百一選方〉 玄胡〈万病回春〉 延胡〈同上〉 武胡索〈外科大成〉享保中漢種渡ル、大葉小葉ノ二品アリ、大葉ヲ牡丹葉ト云、一葉三枝、枝ゴトニ三葉、葉ノ末五ニ分レ、至テ小ナレドモ牡丹葉ノ状アリ、十二月或ハ初春苗ヲ生ズ、大葉ハ苗高サ五寸許、小葉ハ短小ナリ、葉ハ皆和産ヨリ厚シ、正二月花ヲ開ク、形紫菫花(ムラサキケマン)ニ似タリ、初ハ紫色、後ハ漸ク青色ヲ帶ブ、花後小扁莢ヲ結ビ、四月ニ苗栝ル、和産ニ大葉中葉小葉ノ三種アリ、大葉ハ濃州ニアリ、葉ハ荷包牡丹(ケマンサウ)ノ葉ニ似テ小ナリ、中葉ハ紀州勢州田野道傍ニ多シ、勢州粥見ニテ此花ヲ次郞坊ト云、紫花地丁(スモトリグサ)ノ花ヲ太郞坊ト云、小兒ノ戯ニ、兩草ノ花蕚ヲ互ニ勾引シテ勝負ヲ決ス、花ハ漢種ト同ジ、三月ニ開ク、小葉ハ山ノ幽谷ニアリ、葉至テ小シ、苗高サ僅ニ二三寸、莖細シテ絲ノ如シ、花ハ漢種ヨリ微シ小シ、深山ニテハ四月ニモ花アリ、地冷ナル故ナリ、和産ハ根大ナルモアレドモ、多ハ色白ク 半夏ノ如シ、熊野ニ産スルハ微シ黄色ヲ帶ブ、藥肆ニテ售ル、漢渡ノモノ上品ナリ、根圓ク或正圓ナラズ、外皮黄褐色、内ハ色黄ナリ、唐山ニテ小キ半夏ヲ煮テ、色ヲツケ僞ルコト、錦囊秘録ニ見エタリ、増、漢渡ニ鬱金汁ヲ以テ零餘子(ムカゴ)ヲ煮タル者アリト云、意ヲ注グベシ、又近年和州宇陀ニテ唐種ヲ作リ出ス、然レドモ色白シ下品ナリ、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0227 延胡索(ゑんごさく) 漢種のものは牡丹葉と云、其葉牡丹に似て小なり、根圓零餘子(むかご)のごとくにして黄色なり、又尾張國より來るものに、三葉のものあり、形状は牡丹葉に似て葉中に紫斑あり、花は皆地錦苗(やぶけまん)に似て大なり、二種ともに藥用に上品なり、又同國より來るものに竹葉のものあり、葉至て細く竹葉に似て甚小なり、武藏國道灌山に生ずるものは竹葉に似て、葉稍濶く、根小く淡白し下品也、山の野土黒ぼくに植べし、秋冬の中、灰人糞少入、土を肥置、植替てよし、兎好て此の根を堀食ものなり、よく圍置べし、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0227 道灌山ノ産 延胡索(つぶて)〈ヰノカシラニモアル〉


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:49:00 (390d)