鹹草

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0433 明旦草(アシタクサ)〈在豆州八丈島

〔大和本草〕

〈五/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0433 鹹草 アシタト云草、八丈ガ島ノ民多クウヘテ、朝夕ノ粮ニ充ツ、彼島米穀ナキ故也、江戸諸州ニモアシタヲウフ、葉ハ前胡防風ニ似タリ、各三葉分ル、莖微紅小者不紅、微有香氣微辛、本草綱目三十二卷、鹽麩子ノ附録ニ、鹹草ヲ載タリ、曰、扶桑東有女國鹹草、葉似邪蒿而氣香、味鹹彼人食之、今案是アシタナルベシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十二/味〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0433 鹹草 ハチジヤウサウ(○○○○○○○)〈大和本草〉 アシタバ(○○○○) トウダイニンジン(○○○○○○○○) イヌサイキ(○○○○○) カイホウニンジン(○○○○○○○○)本八丈島ヨリ來ル、今市中ニ多ク傳ヘ栽ユ、俚俗彼ノ島ニハ痘瘡ナシト云、故ニ栽テ厭勝トスルナリ、葉ハ獨活ノ葉ニ似テ大ニ厚シテ、光アリテ色淺シ、莖葉ヲ切レバ黄汁出ヅ、凡ソ子生ヨリ三年ニ至テ、臺ヲ抽デ高サ三五尺、葉互生ス、五月枝梢ゴトニ花ヲ開ク、碎小ニシテ白色、數百傘ヲナシ、獨活花ノ如シ、實モ亦形同シテ大ナリ、熟スレバ根枯ル、子ヲ下シテ生ジ易シ、往年嫰根ヲ採リ、製シテ和人參ニ僞リシコトアリ、故ニ今ニトウダイニンジン等ノ名殘レリ、コノ草自ラ鹹味アリ、故ニ大和本草ノ説ニ從フテ鹹草トス、然レドモ的當ニハアラズ、諸州海濱ニオニウドト呼ブ草アリ、形状八丈草ニ異ナラズ、只黄汁出デズ、毒草ナリ、

〔八丈物産志〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0434 アシタ草ハ初冬ノ頃ヨリ種ヲ下シ、翌年ノ春ニ至リテ、其名ヲコバナト云、此時ヨリ根葉トモ食ス、三年ニ至リ、始テ白キ花開キ小キ實ヲ結ブ、夫ヨリ四年アシタヨリ九年アシタマデアリ、根ノ味ヒ甘ク苦シ、葉香氣アリ、丈ケ花ノ頃ハ四五尺ニ及ブ、根ノ廻リ五六寸有、クキモ食シテ香氣アリ、島人平常ノ食料ニ、此草ヲ麥ナドニ交ヘテ食フ、

〔採藥使記〕

〈中/豆州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0434 重康曰、八丈島ヨリアシタ艸ト云フ草ヲ生ズ、根葉トモニ食フ、是レヲ食ヘバ、痘瘡ヲカロクスルト云、一名八丈草、又海峯人參トモ云フ、光生按ズルニ、八丈島ハ伊豆ノ下田ヨリ百里バカリ辰巳ノ方ニ當レリ、此島ニテアシタ艸ヲ專ラ作ル、他所ニテ蘿蔔牛房ヲ作ルガ如ク、常ニ五穀ニ雜へhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000298.gif トス、根葉トモニ煮テサハシ、飯ニ入テ食フ、又菜類ニモ製ス、正月ヨリ九月頃マデヲ旬トス、其味胡蘿蔔ノ如ク、少シ鹽氣アリト云フ、此島ハ常ニ鹽風烈シキユヘ、アシタ草ニカギラズ他ノ菜モ、少ク鹽氣アリト云、葉ノ形チ前胡ニ似、マタ三葉芹ニモ似テ、三椏三葉ニシテ面ハ染青ニシテ背ハ青白色ナリ、其葉光滑ニシテ葉ノヘリ細鋸齒アリ、莖ニ少シ赤キ所アリ、葉莖芹ノ香アリ、此草四時凋マズ、新葉舊葉相マジハル、嫰葉ヲ取リ食フ、味甘ク淡ク佳ナリ、此草日暮ニ子ヲ蒔ク時ハ晨ニ芽ヲ生ズ、故ニアシタ艸ト云フ、是レ煖國ノ産物ナル故カ、此草子種ヨリ三年ヲ經テ、細白花ヲ開ク形状芹ノ如シ、八丈島ノ土人ノ曰、此草此島ヘ來リ初テ食フ人ハ、殊ノ外氣ヲ上ニ頭痛ナドスル、五七日トモ食ヒ馴レテハ害ナシ、故ニ島人モ此國ノ人參ナリト云フ、貝原氏ハ文獻通考ニ載ル處ノ鹹草ヲ、アシタ草ナリトス、然レドモ文獻通考ニ、葉邪蒿ニ似タリトアルニ合ハズ、松岡氏ノ曰、鹹草ハ、救荒本草ニ出ス鹹蓬草ナルベシト、又或説ニアシタ草ハ本草濕草ニ出ル都管草ナルベシ、然レドモ本草蘇頌ガ説ニ詳ニ的當セズ、

〔伊豆七島調書〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0434 神津島 一此島田方無之、畑方少々有之、粟稗胡麻多葉粉等作リ申候、其外〈◯中略〉あした草を取、夫を食の足粮に仕候、〈◯三宅島、御藏島、青ケ島等略同、〉

〔甲子夜話〕

〈三十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0435 アシタ草ハ、今日種ヲオロセバ明日ニ生ズ、八丈島ニアリ、蕪大根ノ如クニ作リ常食トス、是ヲ食スレバ疱瘡ヲ免カル、匂ハ芹ノ如ク、葉ハ前胡ニ似テ三葉ニ分ル、八丈島ハ世ニ所謂女護島ナリト、本綱附録ニ云、扶桑之東有女國鹹草ト、

〔甲子夜話〕

〈四十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0435 去年八丈島ノコトヲ掌トル同心ニ憑リテ、其種〈◯鹹草〉ヲ得、當春ノ彼岸ニ蒔キテ、明日ヤハユルト待テドモ、十日ヲ經テモ生ゼズ、人々モ不審シヰル中、或日〈卯月ノ頃〉永代橋ノ邊ヲ過シトキ、八丈ノ問屋ニアルヲ見タレバ、彼草ノ云々ヲ問タルニ、コノ草八丈ニテハ如斯ナレドモ、他邦ニ移シテ蒔ケバ、曾テ生ゼズト答ヘキ、尚試ムベキナリ、

鹿蹄草

〔多識編〕

〈二/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0435 鹿蹄草、今案加乃豆米久佐(○○○○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0435 鹿蹄草 イチヤクソウ(○○○○○○) ノアフヒ(○○○○)〈若州〉 アタゴヾケ(○○○○○)〈加州〉 カヾミソウ(○○○○○)〈淡州〉 カヾミグサ(○○○○○)〈江州〉 ヤマサイシン(○○○○○○)〈河州〉 キツコウサウ(○○○○○○)〈江戸〉 スヾラン(○○○○)〈同上〉 ベツコウサウ(○○○○○○)〈同上〉 マキヲモテ(○○○○○)〈和州〉イチヤクサウ二種アリ、圓葉ノイチヤクサウハ、時珍ノ説ノ莵葵ニシテ紫背天葵ナリ、本條ハ長葉ノイチヤクサウナリ、山中陰地ニ生ズ、葉大サ二寸許、形圓ニシテ微ク長ク厚シ、深緑色、莖長サ四寸許、色多ハ赤シ、數葉地ニ就テ叢生ス、冬ヲ經テ凋マズ、葉背微紫色、夏月別ニ莖ヲ抽ヅ、長サ七八寸、肥タル者ハ數莖、其梢ニマバラニ花アリ、六瓣白色、大サ三四分、開テ下ニ向フ、又紫花ナルモノアリ、共ニ花後圓實ヲ結ビ下垂ス、熟スレバ黒色、一種細葉ノイチヤクサウアリ、一根一莖上ニ三葉對生ス、葉形絡石(テイカカヅラ)葉ニ似テ細長シ、花實共ニ鹿蹄草ト同シテ小シ、コレヲキヌガササウト云、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0435 道潅山ノ産 鹿蹄草(きつかうさう)〈大ミヤニモ〉

イハナシ

〔倭訓栞〕

〈後編二/伊〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0436 いはなし 方丈記に見へたり、小草也、夏月子を結ぶ、色赤く食ふべし、一名いはヽぜ(○○○○)、山枇杷也といへり、山中岩ある所に生ず、備前に磐梨郡あり、北國にては砂いちご(○○○○)といふとぞ、梨品にも石梨あり、肉堅く食べからず、

〔和漢三才圖會〕

〈九十二本/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0436 伊波奈之(いはなし)按伊波奈之、江州三井寺山中有之、苗高二三寸、葉大如瓢樹葉而不尖、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000015972.gif 地生、二月開小白花、似虎耳草花、三月結子如青大豆而圓、數顆攅生如楊梅(ヤマモヽ)様、裹於葉交、外色青内紫黒色、小兒剥皮食、〈味微酸甘〉

〔方丈記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0436 小童あり、時々來て相訪ふ、もしつれ〴〵なる時は、是を友としてあそびありく、かれは十六歳、われは六十、其齡事の外なれど、心を慰る事はこれ同じ、或はつばなをぬき、岩なし(○○○)をとる、又ぬかごをもり、芹をつむ、

紫金牛/百兩金

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0436 平地木(カラタチバナ)〈高五六寸、而有小紅實者、見遵生八牋、〉

〔倭訓栞〕

〈前編三十四/也〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0436 やまたちばな 延喜式大嘗祭に山橘子と見えたり、俗に藪柑子といふ是也と、古今榮雅抄に見えて、山すげにそへて、卯槌髮そぎの時に用る物也、萬葉集に草なるを、清少納言は木とせり、新六帖に、ふりにける卯月のけふの髮そぎはやまたちばなのいろもかはらず、

〔玄同放言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0436 山牡丹〈山橘(○○)附出◯中略〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d3b8.gif 憲深祕抄に、山橘ハ牡丹也といへり、是よりして後、萬葉集に牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif の歌ありといふものさへあるはこヽろえがたし、萬葉集〈第四〉 足引之(アシヒキノ)、山橘乃(ヤマタチバナノ)、色http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 出而(イロニイデテ)、語言繼而相事毛將有(カタラヒツギテアフコトモアラム)、 春日王同第十九 此雪之(コノユキノ)、消遺時爾(ケノコストキニ)、去來歸奈(イザカヘナ)、山橘之(ヤマタチバナノ)、實光毛將見(ミノテルモミム)、 大伴家持同第二十 氣能己里乃(ケノコリノ)、由伎爾安倍氐流(ユキニアヘテル)、安之比奇之(アシビキノ)、夜麻多和波奈乎(ヤマタチバナヲ)、通刀爾通彌許奈(ツトニツミコナ)、けのこりは頃日也、雪にあへてるは、萬葉略解〈廿下〉に相照也といへり、つとにつみこなは、家裹(つと)に摘(つみ) 來(こ)よ也、こヽにいふ山橘は藪柑子(やぶかうじ)の事也、大和本草〈卷十一園木部〉平地木(やまたちばな)の集解に、遵生八牋、畫譜、濟世全書、及古今集榮雅が注を引きて、俗にいふ藪柑子也といへり、しかれども大醫博士輔仁〈深江、日本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 略作深根、見醍醐http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 延喜十八年戊寅九月十七日條下、〉本草和名〈上卷〉云、牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 一名鹿韮、一名鼠姑、一名百兩金、〈出蘇敬注〉一名白朮、〈出釋藥性〉和名布加美久佐(フカミクサ)、一名也末多知波奈(ヤマタチハナ)といへり、かヽれば深秘抄なる説を僻事としもいひがたし、かくはいへども同名異物和漢に多かり、〈右に録せし釋藥性に、牡丹の一名を白朮といふが如し、〉彼一説に泥むもの、萬葉集なる山橘を牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 也と思ふはたがへり、この他古今集〈十三〉新撰六帖〈第六〉夫木抄〈二十八〉等に見えたる山たちばなの歌も、皆平地木をよみたるなり、こは萬葉集をよくも見ざるものヽ爲にいふのみ、牡丹はふかみくさといはんこそ正しき和名なるべけれ、今さま〴〵なる異名を負するはうるさし、〈◯下略〉

〔大和本草〕

〈七/園草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0437 珊瑚(センリヤウ/○○) 園史及農圃六書ニノセタリ、葉ハ如橘及http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3eb.gif刻缺アリ、莖長シテ有節、夏白小花ヲヒラキ、實南天燭ヨリ小ニ、冬ニ至テ紅ナリ、陰地ヲコノム、盆ニウヘテ愛玩ス、根ヨリ叢生ス、二三月可分種、寒ト日ヲ畏ル、十月ヨリ屋下ニ置、二月ニ出スベシ、陰地ニ宜シ、日ヲ畏ル、本草綱目雜草中、有百兩金(○○○)、恐與此同物歟、

〔大和本草〕

〈十一/園木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0437 平地木(ヤマタチバナ/○○○) 又號小青樹通仙木、遵生八牋畫譜ナド、中華ノ書ニノセタリ、和名ヤマタチバナ(○○○○○○)、古歌ニモヨメリ、小樹高數寸ニ不過、葉ハ枇杷葉ニ似テ、小ニシテアツシ、世俗多ク庭ニウヘテ石ニ伴ハシム、古今集榮雅注曰、山タチ花世俗ニヤブカウジ(○○○○○○○○)ト云、實アカシ、髮ソギノ時、山菅ニソフル草ナリ、今案筑紫ニテヤブカウジト云物ハ別ナリ、龔雲林ガ濟世全書曰、小青樹又號通仙木、通根莖葉而陰乾能焙、煎用治疝氣、是平地木ナリ、茅藤菓(○○○) 京都ノ方言カラタチ花ト云、筑紫ニテヤブカウジト云モノ也、花史ニ出タリ、實ヲマクベシ、高サ一尺ニ不過、陰地ヲコノミ、兩年ニ長ジテミノル、實ハ冬赤シ、葉ハセバクシテ如竹、可玩 賞、花梅雨開ク

〔和漢三才圖會〕

〈八十四/灌木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0438 山橘(やまたちばな/やぶかうし) 藪柑子〈俗〉 正字未詳 夜不加宇之按山橘巖壑石間有之、高不尺、葉似茶葉而色淺、莖紫色花實似仙靈木、而只二三顆攅生深赤色、今俗小兒髮結初時、用此莖葉髮及銚子飾、以四時不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 凋爲嘉祝乎、〈六状〉我戀をしのびかねては足曳の山橘の色に出ぬべし平地木 小青樹 通仙木 俗云唐橘 又云之々久和須草木花詩譜云、平地木高一尺餘、葉深緑子紅甚若棠梨、下綴且托根多在http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a485.gif 蘭之傍、巖壑幽處似更可佳、按平地木深山陰處有之、大抵六七寸、高者至三四尺、葉似珊瑚樹葉而長五六寸、四五月開小白花六七月結子、五六顆攅生正紅色、性怖日亦惡霜雪、鼠喜食之、人栽盆中、翌年秋復青色、後如舊若橙重http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 歳也、然三月宜子、新花實繁美種子易生、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0438 紫金牛(○○○) ヤブカウジ(○○○○○) ヤブタチバナ(○○○○○○) サルノメ(○○○○) アカダマノキ(○○○○○○)〈江戸〉 チヤウジヤノクハシ(○○○○○○○○○)〈佐州〉 ヤマタチバナ(○○○○○○) クサタチバナ(○○○○○○)〈加州〉 ヤマウンジユ(○○○○○○)〈肥前〉 ハナタチバナ(○○○○○○)〈筑前〉 一名平地木〈秘傳花鏡〉 通仙木〈濟世全書〉 小青樹〈同上〉 千年矮〈魯府禁方〉山中樹下ニ多ク生ズ、高サ三五寸許、四五葉互生ス、茶葉ニ似テ薄ク細鋸齒アリ、夏小白花ヲ開キ、赤實ヲ結ブ、一種蔓生ノモノハ深山ニ生ズ、葉小クシテザラツキアリ、實小クシテ赤シ、増、一種イヌヤマカウジ(○○○○○○○)ト云モノアリ、又カマヤマカウジ(○○○○○○○)トモ云、蔓生ニシテ三尺許ニ及ブ、莖葉共ニ大ニシテ、花實ノ形相似タリ、コレ朝鮮ノ産ナリト云フ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0438 百兩金(○○○) カラタチバナ(○○○○○○) サヽツバタ(○○○○○)〈藝州〉 キヤウタチバナ(○○○○○○○)〈同上〉 ヤブカウジ(○○○○○)〈筑前〉 ナヽカマド(○○○○○)〈筑後〉 サヽリンダウ(○○○○○○)〈石州〉 葉ハ竹葉ニ似テ厚ク長シ、深緑色圓實ヲ結ンデ葉間ニ垂ル、一枝數顆、生ハ青ク熟シテ赤シ、庭際ニ多ク種ユ、又一種黄實ノモノ、白實ノモノアリ、又黄ニシテ光ル者アリ、キンミノタチバナト云、此外品類甚多シ、増、花戸ノ稱呼種種アリ、變葉ニタラヤウバ、ホウワウバ、スルガバ、スルガチリメン、チリメンバ、チヤボバ、テリハ、タカノハ、カシハバ、アザミバ、ウスバ、ワシバ、サヽバ、オホハ、カツラチリメン等アリ、コレニ各白實、黄實、水晶實等アリ、葉ニ班ノ入タルニツマジロ、シモフリ、ベタフ、フリトリ、ホシフタテフ等ノ名アリ、又ナヽバケト云アリ、實ヲ蒔テ七種ニモ變ズルナリ、コレニモ八幡バケ、江戸ナヽバケ、彦根ナヽバケ等ナリ、

〔草木育種〕

〈下/葉或實視べきもの〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0439 紫金牛(やぶかうじ) 種類多し、黒ぼく野土等の竹林の下に植れバよく繁茂なり、鉢に植るには水拔をよくして、雨除の下陰地に置べし、米泔水又油糟など少し澆てよし、

〔橘品類考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0439 本草家の説に、千兩金(○○○)和名カラタチバナと云、これ本艸綱目に云、百兩金のたぐひなるがゆへなり、貝原篤信云、茅藤果(からたちばな)高サ尺に不過、實ハ紅なり、好事の者盆に植ゆ、京都の方言にカラタチバナと云、筑紫にてヤブコウジと云ものなりといへり、平地木(○○○)和名ヤマタチバナ、春花さき夏實のり、秋にいたりて熟す、不啖、高サ數寸にすぎず、衆木の中にて最小なるものなり、又小青樹通仙木となづく、葉ハ枇杷に似て小にしてあつし、世俗おふく庭にうゆと、遵生八牋など、中華の書にみへたり、右にいふ茅藤果、平地木(やまたちばな)の二品、世俗今通じてタチバナトなづけて、專ら鉢植となして賞玩す、俗に橘の字を書するは訛なり、橘は柑類の總名にして、密柑、柑子、金橘(きんかん)のたぐひすべての總名なり、橘は日本紀に、垂仁天皇田道間守、〈垂仁帝ノ臣下也〉を、常世の國に遣して、非時の香果を求しむ、こ れ今謂橘なりとあり、是かの密柑のたぐひなり、本草綱目に言所、これに同じ、茅藤果は本艸に見へず、

〔橘品類考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0440 橘白生葉(ふいりは)品類近世さま〴〵の化樹(かわりき)を生ず、人々これを以て賞玩することおびたヾし、なかんづく城州男山の麓に此道好事の人ありて、常たちばなの實を植て、七種の化樹となす、この種弘りて所々に化樹を生ず、これを八幡七化(やわたなゝばけ)といふ、凡からたちばなの種を植るには、隨分極上の橘をゑらびて植ふべし、常橘といへども、隨分勢力つよく、きづなき實をゑらびて植ゆべし、春のひがんすぎてこれを植、士かげん、砂五分 但し極上のまいだまりをよしとす土五分 但し清痩の土を用ゆべし、こへけある土をきらふ、凡て菓木のるいは、人氣を受てよく盛なりと、本草綱目に見へたれば、やしき廻り人家の土をよしとす、又人煙遠きところの清痩の土をもよしとす、花史に陰地を好とあるこれなり、但し種を植て後、土のかわかざるよう心をつくべし、土かわく時は種いたむなり、四季の内、夏冬は座敷に入て圍ひ、暑寒をいとふべし、しかれども草木は天地の氣を受て育するものなれば、折を見合して夜氣を受露をとりてよし、大寒の節珍重して箱などに入ることあり、これもよけれども、冬分至て暖氣になす時は、樹自然と春暖の氣を受て、新芽を吹出すことあり、時ならずして芽を吹出す時は、春過て芽をつくといふて、樹心をれることあるものなり、よく〳〵勘て暖氣すぎざるよう心得べし、常橘の實を植て化(ばけ)樹を生ぜしむる法常橘の實を植て化樹となすには、人家の廻りにて十ケ所の土をとり、又人煙遠きところの清痩 の土を七所にて取、各等分となし、先に云ごとく砂に合して、橘の實をうゆべし、かならず化樹となりてはゆるなり、尤土は城州八幡の土を最上とす、八幡ばけの生し傳なり、但し人家の廻りの土とは、あるひは門口千載など、家舖の廻りにて陰地の土を取べし、又人煙遠きところとは、里はなれ家屋舖なきところなり、是も陰地をゑらびて取べし、田畠など糞けある土を取べからず、大にきらふ、これ大に秘事なり、

〔草木六部耕種法〕

〈十一/需花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0441 百兩金(タチバナ)ハ大抵鉢植ニノミスル者ナリ、假令ヒ花壇ニ作ルトモ、草能ク繁生スル野土山土ヲ採テ篩(フルヒ)ニテ能透シ、此細末ニシタル土十荷ニ、干鰛粉(ホシカノコ)五升、油糟粉五升ヲ能ク調合シテ植ベシ、最モ陰地ヲ良トス、其植タル上ニ日覆ヲ設テ、夜ハ此ヲ除テ露ヲ受シメ、小雨ノ當ルモ苦シカラズ、然レドモ濕(シメリ)過ルトキハ、根ノ腐ル者ナリ、夏ノ間ハ刷毛カ筆ヲ以テ、隔日ニ水ニテ葉ノ表裏ヲ能ク洗フベシ、然セザレバ微細ナル蟲ヲ生ジテ、葉ノ落ル事多シ、凡ソ百兩金ノ實ヲ蒔ニハ、三月頃ニ採テ直ニ蒔キ、淺ク植テ實見ユルヲ良トス、既ニ生タルヲ實生モ故木モ、四月ニハ土ヲ替テ移シ植べシ、如斯スルトキハ能肥リテ勢壯ニナル者ナリ、接木スルニモ四月頃ニ接ベシ、凡ソ百兩金ハ、實ニハ赤、淡赤、黄、白、紫等アリ、葉ニモ多羅葉(タラエフ)、鳳凰(ホウワウ)、縮緬(チリメン)、繻子(シユス)、笹葉(サヽバ)、櫧葉鶴岡(カシハツルガヲカ)、斑紋(フイリ)、幅輪(フクリン)、間道(シマ)、白星(シラボシ)等アリ、下品ナルヲ切テ砧(ダイ)トナシ、珍奇ナルヲ接木スベシ、又別ニ木立百兩金ト云フ者アリ、高サ五六尺ニ及ビ枝多ク、其葉ハ血櫧(アカメカシ)ノ如クニシテ厚大ニ、花實モ珠砂根ニ似テ大ナリ、此亦栽覽スベキノ一物ナリ、

硃沙根

〔多識編〕

〈二/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0441 硃砂根〈綱目〉今案阿加岐(○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0441 硃砂根 マンリヨ(○○○○)花家ニ多クアリ、高サ一尺以來、葉ハ百兩金ニ似テ短ク、邊ニ尖ラザル鋸齒アリ、葉ハ莖端ニ叢リ互生シテ傘ノ如シ、數百ノ圓實枝ヲ分テ葉下ニ倒垂ス、冬春紅熟シテ觀ニ堪タリ、又黄實白實、其 餘數品アリ、一種播州及紀州ニ生ル者、高サ三四尺ニシテ實少シ、花戸ニテシキンジヤウ(○○○○○○)ト呼、紀州ニテヤマシキミト云フ、増、一種ヒメマンリヨ(○○○○○○)ト云アリ、莖葉花實共ニ小ナリ、又實ノ直立シテ生ズル者アリ、タチミマンリヨ(○○○○○○○)ト云、實ノ大ナルヲオホミト云、小ナルヲコミト云フ、センリヨ(○○○○)ト云モノアリ、深山ニ自生ス、マンリヨヨリ葉薄クシテ狹シ、節ノ處ニ高キフクレアリ、花實モマンリヨニ似タリ、コレ汝南圃史ノ珊瑚ナリ、石ノ部ノ珊瑚ト同名ナリ、又ヒヨトリジヤウゴヲ雪裏珊瑚ト云、アヲキヲ桃葉珊瑚ト云フ、共ニ汝南圃史ニ見ヘタリ、

〔佐渡志〕

〈五/物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0442 硃砂根 方言マンリヨウ(○○○○○) 此二種昔ハナカリシガ、今雜太郡新保村ノアタリニ多シ、本南國ノ産ニテ、甚雪霜ヲ恐ルトイヘリ、

櫻草

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0442 櫻草(サクラサウ)

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0442 櫻草 三月紫花ヲ開ク、櫻花ノ形ニ似タリ、又白色アリ、ウスキ紅黄色アリ、高キ事一尺餘ニスギズ、葉ハ蘿蔔ニ似テ小ナリ、花如錢大寒暑、又九輪草アリ、七重草アリ、此類ナリ、好陰地

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0442 櫻草按櫻草生山谷中、即九輪草之一類異種也、葉形相似微小、邊無齒刻甚光澤、而葉心白、〈九輪草葉心紫〉三四月抽莖頂生花、似九輪草花而單、淡紫色、或白色、又如櫻花最艷美、故名櫻草、結蒴兒青色、内結子、初青後茶褐色、人家移種之

〔草木育種〕

〈下/美花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0442 櫻草 種類甚多し、悉擧に暇あらず、大抵黒ぼく土五升、下谷邊の溝のあげつちを、曝し墾(こな)し、細に篩たるを五升、鳥のふんを入てまぜ合せ、此土へ二月初に根を分植てよし、一説に馬糞水を澆ば花多しと云、あまり肥過たるは葉大にして花の莖長く、且少して不揃なり、又ゆき わりさうあり、小ざくらと云、日光山にあり、葉小く花も頗小く淡紅し、又阿蘭陀には黄色のさくらさうありといふ、

〔草木六部耕種法〕

〈十/需花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0443 櫻草モ作法同様ナリト雖ドモ、〈眞土野ヲ論ズルニ及バズ、少シク砂ノ交タルニ、馬屎干鰮油糟酒糟、及ビ厩肥ノ能蒸テ粉ニ成タルヲ、耕交置テ植ベシ、〉此物ハ種類頗多ク、又雪割草ト云モ有リ、俗ニ小櫻ト呼ブ、日光山ニ多シ、葉モ花モ小クシテ淡紅ナリ、又ホウドキト稱スル有リ、莖葉頗大ニ紅白黄ノ三色アリ、出羽奧州ニ甚多シ、此ヲ作ルニハ野土ノ粘ラザルモノ一荷ニ、炙日泥〈培養秘録ニ詳ナリ〉一荷、鷄糞五升、鰛粉五升、以上四種共能耕交タルヲ花壇ノ如クニ置テ、二月初旬ニ其根ヲ分ケ植ウベシ、或ハ馬溺ヲ澆バ花多シト云フ説有リ、然レドモ肥養ノ過タルモ宜シカラザルコト有リ、

〔武江産物志〕

〈遊觀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0443 櫻草、紫雲英(れんげさう)、 戸田原 野新田 尾久の原〈れんげさうすみれあり〉 染井植木屋〈立春より七十五日位〉

〔守貞漫稿〕

〈六/生業〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0443 三都トモニ市店無之、唯江戸ノ陌上ヲ巡ル生業、櫻草賣 サクラ草ハ季春ノ比賣之、瓦鉢ニ植ル、〈◯中略〉植木屋ト同形ノ具ヲ以テ擔ヒ巡ル、

山萵苣

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0443 寶幢花(ホウドウケ)〈又云空輪艸〉 空輪草(クリンサウ)〈又云寶幢花〉

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0443 山萵苣(くりんさう) 俗云九輪草救荒本草云、山萵苣生山野間、苗葉苣地生、葉似萵苣葉而小、葉脚花叉頗少、葉頭微尖、邊有細鋸齒、葉間攛葶開淡黄花、苗葉味微苦、按山萵苣此云九輪草乎、似萵苣葉而扁、邊有細鋸齒、而葉脚窄葉心莖淡紫、三四月抽葶開小花、似櫻草花而略大、生於莖圍、八椏各一様如車輪、至梢如此、七層或九層、宛然似浮屠九輪故名、有紅白紫三種、結子茶褐色、其葉心莖中有紫色強絲、凡形状乃九輪草也、唯山萵苣花色黄也、九輪草花未黄色者以爲異、

〔剪花翁傳〕

〈二/三月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 九輪草(くりんさう) 花一重、色赤白二種、開花三月下旬より四月、方二分陰、地二分濕、土回薼、肥油粕淡小便折々澆ぐべし、種收まらず、分株移春芽出し前よし、花莖長六七寸節なし、花形ちさくら草の如く、房の形ちは莖頭の毎節に一段々々、數の英節を遶りて咲也、恰塔上の九輪に似たり、

〔甲子夜話〕

〈四十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 蕉子話ス、日光山廿日御靈屋道傍ノ渠ノ水アセタル所ニ、九輪草夥シク生ジテ、花ヲ開キ美觀ナリシカバ、案内ノ僧ニ如何ニシテカクハ此草多キヤト問シカバ、コノ渠ノ上ニ九輪澤ト云フアリ、ソノ澤水流レテコノ渠ニ入ル、九輪澤邊ハ皆此草ナリ、自然ト其種流レ來テ實ニ生ルナリト答フ、是マデ何ユヱニ九輪ト云フヤ知ラザリシガ、是ニテ其名ヲ得ル所以ヲ解シタリ、

虎尾草

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 虎卷草(トラノヲ)

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 虎尾草(とらのを) 俗稱〈本名未詳〉 〈農政全書有虎尾草、莖葉形状似之、然不花、〉 〈又山草有同名、各別也、〉按虎尾草高二尺許、葉長三四寸、末窄尖深緑色、厚皺有鋸齒、六月莖端著花、極細白如穗、末窄似獸尾故名、一種有淺紫色者〈俗呼曰瑠璃色

番木鼈

〔多識編〕

〈二/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 番木鼈、今案末知牟(○○○)、異名馬錢子、〈綱目〉

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 番木鼈(マヂン)〈一名馬錢子、時珍云、蔓生開黄花、結實如括蔞者、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十四/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0444 番木鼈 マチン(○○○)〈馬錢ノ音轉シタルナリ〉 一名苦實〈本草原始〉 馬前子〈萬病回春〉 番鼈〈本經逢原〉 番未別子〈遵生八牋〉 苦實把豆兒〈附方〉和産ナシ、舶來多シ、咬http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra0000066116.gif 吧(ジヤガタラ)ヨリ來ル、形木鼈子ヨリ小ク、圓扁ニシテ白色毛茸アリ、此實ヲ用テ狗ヲ毒ス、狗コノ毒ニ中ルニ、豆腐ヲ食シムレバ解ス、故ニ集解ニ、人ノ病ヲ治スルニハ、豆腐ヲ以テ 制シ過コトヲ云リ、

龍膽

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 龍膽〈太豆乃伊久佐又云山比古奈(○○○○○○○○○○○○)、〉

〔本草和名〕

〈六/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 龍膽〈陶景注曰、味甚苦、故以膽爲名、〉一名淩淤、和名衣也美久佐(○○○○○)、一名爾加奈(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 龍膽 陶隱居本草注云、龍膽〈和名衣夜美久佐、一云邇加奈、〉味甚苦、故以膽爲名也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 播磨人呼於古利於登之、煎服之以截瘧、蓋衣夜美久佐之名之遺也、〈◯中略〉陶弘景又云、龍膽状似牛膝、開寶本草引別本注云、葉似龍葵、味苦如膽、因以爲名、圖經云、宿根黄白色、下抽根十餘本、大類牛膝、直上生苗、高尺餘、四月生葉、似柳葉而細、莖如小竹枝、七月開花如牽牛花、作鈴鐸形、青碧色、冬後結子、苗便枯、

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 龍膽(リンダウ)

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 龍膽(リウタン/リンダウ)〈一名陵游〉 龍膽(エヤミクサ) 陵游草(同)

〔倭訓栞〕

〈中編二十八/利〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 りんだう 徒然草にみゆ、龍膽なり、音をもて訓とするなり、元眞集などにりんだうとも見えたり、女房の裝束にもいへり、俗にさヽりんだうといふは、小きを指ていへり、山龍膽なり、蔓生の石龍膽なりといへり、藤りんだうあり、裏紅あり、武者りんだうあり、

〔藻鹽草〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 龍膽 〈物の名によめり、和名に多都の伊久佐、〉ゑやみ草 おもひくさ〈たヾし一説になでしこをもいふともいへり、またまへに注するごとく、女郞花をもいへり、私云歌様によるべき也、〉 下草の花をみつればむらさきに〈時平歌合によめり、是もりんだうの事也と云々、秋の野のをばなにまじりさく花の、色にやこひんあふよしをなみ、この花をまじり花さくといへるも、りんだうの事也と云々、〉 くたに〈苦膽、りんだうの一名、〉

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0445 くたに〈◯中略〉今按りうたんにくたにの和名あるごとくいふはひが言なり、すでに和名類聚抄にも、龍膽〈和名ニカナ、エヤミクサ、〉とあげて、くたにの和名は見えず、こはりうたんの字音よりして、後におしあてたる 誣説にて、あたらぬことなり、くたにのりうたんにあらざる證は、源氏もの語をとめの卷に、夏のかたの前栽に、さうびくたにをうゑられたること見えたり、これに仍て考ふるに、りうたんは本草綱目啓蒙等に見えたるごとく、暮秋より初冬へかけて、花さき實をむすぶものにて、夏のものにあらず、しかれども夏のかたのせんざいにも、春秋の花をまぜてうへられしよしあれば、いかヾとおもふ人もあるべけれど、さにはあらず、それはさうびくたにの外に、春秋の花はまぜてうへられたるにて、いかでか夏のかたのせむざいに、夏の花を置て、春秋の花を詮とはうへられべき、

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0446 龍膽 倭名リンダウ、一名クタニト云、又思草ト云、秋碧色ノ好花ヲヒラク、山野ニアリ、葉ハ末ニ尖アリ、白花モアリ、又山龍膽アリ、雜草載之、又サヽリンダウト云草アリ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十二末/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0446 龍膽 陵游 〈和名衣夜美久佐、一云邇加奈、今云里牟止宇、◯中略〉按龍膽和漢共用之、藝州廣島之産良、豐前中津次之、葉似笹而厚、六月開花、紫如鈴鐸形上、花中有莟子、又有正白花者、名笹龍膽、形状小、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0446 龍膽 リンダウ(○○○○)〈龍膽ノ音轉ナリ〉 ニガナ(○○○)〈和名鈔〉 ヱヤミグサ(○○○○○)〈同上〉 クダニ(○○○)〈古歌〉 オモヒ(○○○)草〈同上〉 アゼ桔梗(○○○○) ヲコリオトシ(○○○○○○)〈播州〉 サヽリンダウ(○○○○○○)〈奧州、勢州、〉 一名斜枝大夫〈藥譜〉 斜枝大士〈輟耕録〉 觀音草〈郷藥本草、東醫寶鑑、〉向陽ノ山野ニ多ク生ズ、葉ハ竹葉ノ如ニシテ短シ、故ニサヽリンダウト云、葉兩對シ三縱道アリテ桂葉ノ如シ、圓莖高サ一二尺、肥地ニ生ルハ三尺許、八九月莖梢或葉間ゴトニ、三五花ヲ開ク、花ノ本ハ牽牛花ノ如ク、筒形ヲナス、末ハ五瓣ニ分レテ桔梗ノ花ノ如シ、青碧色愛スベシ、晝ハ開キ夕ニハ收ルコト數日、後小莢ヲ生ズ、冬ニ至テ苗枯ル、又細葉ノ者アリ、葉ノ濶サ一分長サ二三寸、紀州ノ熊野ニ産ス、救荒本草ニ圖スル所ニヨク合ス、花戸ニハ白花モアリ、又白花ニシテ瓣ノ外 淡紅ナルアリ、ウラベニ(○○○○)ト云、又フジリンダウ(○○○○○○)アリ、淡紫色ナリ、又蔓生アリ、是ハ深山陰地ニ生ズ花微シ、早クシテ淡紫色、形チハ同ジクシテ微小、後花中ニ實ヲ出ス、桃葉珊瑚(アヲキ)實ノ如シ、冬ニ至テ熟シテ赤シ、春ニ至テ尚存ス、コレヲツルリンダウ(○○○○○○)ト云フ、又春リンドウ(○○○○○)ハ陽地ニ生ズ、高サ二三寸、四月莖梢ニ花ヲ開ク、一二蕚或ハ四五蕚簇生ス、形ハ龍膽ト同シテ小シ、日中ニ開キ暮ニ收ル、葉ハ圓小ニシテ尖ル、伊勢ニテハ水澤中ニ生ズ、方言サハギヽヤウト云、水泥ニ種ヘ、螢籠ノ中ニ入ルヽト云、集解ノ山龍膽ハハルリンダウナリ、本草彙言ニ石龍膽ニ作ル、嶺南ニテハ小ナルヲ石ト云、イトスヽキヲ石芒ト云例ノ如シ、

〔廣益地錦抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0447 龍膽 さヽりんだうの根をいふ、花紫なるを藥種に用、花ざかりは久しく、ながめあり、花壇に植べし、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0447 龍膽(りんだう)〈本草〉 山の崖などにあり、植る地は赤土又粘ある野土によし、米泔水(しろみづ)を澆、外の肥は惡し、

〔剪花翁傳〕

〈四/九月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0447 笹龍膽 花濃青又白、形ち朝貌の莟のごとくにして中開也、白花を上品とす、開花九月上旬より十月迄あり、方二分陰、地三分濕、土回塵(まひごみゝ)、肥干鰯、淡小便、分株移とも春芽出しの時よし、水はもし上がたき時ハ、切口を又切捨、わら菰の類にてよく包み、水にひたして後、水器に入をくべし、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0447 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉龍膽、通草、各五斤、 大和國卅八種、〈◯中略〉龍膽三斤、〈◯下略〉

〔出雲風土記〕

〈神門郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0447 凡諸山野所在草木、〈◯中略〉龍膽、

〔伊勢集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0447 りうたん(○○○○)風さむみなく雁がねの聲すなりうたむ衣をまづやかさまし

〔古今和歌集〕

〈十/物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 りうたんの花 とものり我やどの花ふみしだくとりうたん野はなければやこヽにしもくる

〔拾遺和歌集〕

〈七/物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 りうたん よみ人しらず川かみにいまよりうたんあじろにはまづもみぢばやよらんとすらん

〔枕草子〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 草の花はりんだうは枝ざしなどもむつかしげなれど、こと花みな霜がれはてたるに、いと花やかなる色あひにて、さし出たるいとおかし、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 道灌山ノ産 龍膽〈タキノ川ヲチ合ニモ〉 目黒邊ノ産 コケリンダウ〈コマバアスカ山ニモ〉 志村邊ノ産 武者リンダウ

〔佐渡志〕

〈五/物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 龍膽 方言リンドウ 山中ニアリ、又蔓龍膽、春龍膽モ路傍ニ見ルコトアリ、

當藥

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 センフリ(○○○○) トウヤク(○○○○)トモ云、白花サク又淡紫花アリ、白花ノ者尤苦シ、山ニ生ズ、小草也高サ五六寸ニ不過、葉ハ龍膽ニ似テ小也、葉モ花モキハメテ苦シ、虫ヲコロス、倭俗是ヲ胡黄連ト云非也、胡黄連中華ヨリ來ル別物ナリ、或曰、倭方ニ胡黄連ト云ハ、センフリヲ可用ト云、是ヲ用テ糊トシ、表褙ヲシ、屏風ヲ張リ、紙ヲ續ケバ虫クハズ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十二末/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 當藥 正字未詳、 〈俗云世牟不利〉按當藥播州三木郡多有之、苗高五六寸、一根數莖、其莖細而淡紫色葉似地膚草(ハヽキヾ)而小、七月開花形似桔梗花而小、色黄有花者、根細長黄色、氣味〈大苦寒〉 倭方丸散諸蟲積聚藥入用、或有胡黄連之者可、今人用染兒衫衣黄色也、云能避蚤虱

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0448 龍膽 増、センブリハ本條ノ一種ナリ、獐牙菜(アケボノサウ)ノ種類トスル説ハ穩ナラズ、又古ヨリ和ノ胡黄連トスルモ誤ナリ、此集解ノ山龍膽、本草彙言ノ石龍膽ニシテ、ハルリンダウハ石龍膽ノ一種ナリ、センブリハ龍膽ニ代用スルニ佳ナリ、

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 鳬葵、一名莕菜、〈與荇同〉一名接輿、一名猪蓴、〈出蘇敬注〉一名茆、〈音卯〉一名水葵、〈已上出兼名苑〉和名阿佐々(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/水菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 荇 爾雅注云、荇菜〈上音杏、字亦作莕、和名阿佐々、〉叢生水中、葉圓在端、長短隨水深淺者也

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/藻〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 説文、莕菨餘、本草圖經引陸機云、白莖、葉紫赤色、正圓徑寸餘、浮在水上、根在水底、大如釵股、上青下白、後漢書馬融傳注、鳬葵、葉團似蓴、生水中、今俗名水葵、唐本草云、鳬葵生水中、即莕菜也、別本注云、葉似蓴莖澀、根極長、江南人多食、圖經云、花黄色、水中極繁盛、李時珍曰、莕與蓴一類二種也、並根連水底、葉浮水上、其葉似馬蹄而圓者蓴也、葉似蓴而微尖長者莕也、夏月倶開黄花、亦有白花者、結實大如棠梨、中有細子

〔醫心方〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 鳬葵〈和名阿佐々〉

〔伊呂波字類抄〕

〈安/植物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 荇〈アサヽ亦作莕〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5fc.gif 〈同〉

〔日本釋名〕

〈下/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 荇(アサヾ) 水のあさき所に生じて、黄花さく草也、あさざき也、或云、あさヾはかうほね也、荇にあらず、荇は小草也、蓴に似たり、

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 荇アサヾ〈◯中略〉 アサヽの義不詳〈或人の説に、アサヽとはアサヽキなり、流水に生じて、花さくをいへりといふなり、如何があるべき、萬葉集抄に、重就といふものヽ如し、アサアサといふに似たり、水淺き所にあるの義なりけむも知るべからず、又此菜に鳬癸の名あるによりて、俗にカモアフヒといふ物をもて疑ふ事あり、また是たまたま鳬癸の字のカモアフヒといふ名に相合ふのみ、カモアフヒといふものは、別にこれ一物なり、〉

〔倭訓栞〕

〈後編一/阿〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0449 あさヾ 荇菜をいふ、倭名抄に見ゆ、池などの淺き所に生草のうるはしき花の咲ものなり、よて俗に小蓮花(○○○)といふ、篤信云、あさヾは葉も花も萍蓬草に似たり、近江にちやんきん(○○○○○)、甲斐にくりじやけ(○○○○○)、加賀にいもなぎ(○○○○)、肥後にはかはいも(○○○○)、備前にすつぽんもく(○○○○○○)、江戸近邊にかて圓(○○○) 座(○)、又ぜにもく(○○○○)、下野にくさあふひ(○○○○○)、常陸にとはす(○○○)、仙臺にたぶなぎ(○○○○)といふ、

〔大和本草〕

〈八/水草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0450 荇 關雎ノ詩ニ詠ゼル荇菜是ナリ、又莕ト云、其葉ハ馬蹄ニ似タリ、又ヨク睡蓮ニ似タリ、葉ノ形蓴菜ノ如クニシテ、其端分ル事睡蓮ノ如シ、蓴菜ノ葉切レザルニ異ナリ、葉水面ニウカブ、單ノ黄花ヲ開ク、莖根長シ、花モ水面ニウカブ、江州唐崎ノ水中ニ多シ、荇菜ヲアサヾト訓ズルハ誤ナルベシ、アサヾハカハホネニ似タル水草ナリ、アサヾハ根アラハル、荇菜ハ根アラハレズ、蓴菜ニ似タリ、〈◯中略〉アサヾ 池沼ノ中ニ生ズ、葉モ花モ萍蓬草ニ似テ別ナリ、萍蓬草ハ莖ツヨクシテ、水上ニ立ノボリ、根地上ニアラハル、アサヾハ莖カウホネヨリ長ク、水中ニ横タハリテヨハク、葉ハ水面ニウカビ、水上ニ不上、花ノ形色ハカウホネニ似タリ、五六月水面ニ黄花ヲヒラク、新六帖光俊ノ歌ニ云、見レバ又アサザオフテフ澤水ノソコノ心ノ根ヲゾアラハス、是アサヾノ根ノアラハルヽヲイヘリ、荇菜ヲアサヾト訓ズルハ誤ナリ、荇菜ハ根アラハレズ、又古歌ニ水マサル沼ノアサヾノウキテノミアルハ有トモナキ我身哉、コレアサヾノ水ニウカベル事ヲイヘリ、カウホネノ葉ハ水上ニ立ノボリテ、水面ニウカバズ、荇菜ヲアサヾト訓ジ、萍蓬ヲアサヽト云ハ皆非ナリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十六/水草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0450 莕菜 アサヾ〈和名鈔◯中略〉池澤中ニ生ズ、葉ハ水面ニ浮ビ、根ハ水底ニアリ、故ニ莖ノ長短ハ水ノ淺深ニ從フ、莖ハ細シ、葉橢ニシテ蓴菜ノ如ニシテ小ク、一方ニ缺アリ、面ハ緑色、背ハ紫色、周邊ニ雲頭齒アリ、夏月花ヲ水上ニ開ク、大サ錢ノ如シ、五瓣黄色ナリ、一種莖ニ葉互生シ、葉間ニ數十花簇生シ、黄色ナル者アリ、又一種葉大ニシテ、葉間ニ數十花簇生シ、瓣末白ク、本黄ナル者アリ、金銀蓮花ト云通名ナリ、

〔古今和歌六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0450 あさヾ見るからに思ひますだの池に生るあさヾのうきて世をばへよとや

〔新撰六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 あさヾ 家良水まさるぬまのあさヾのうきてのみあるは有ともなき我身哉

睡菜

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈二十/水菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 睡菜 ミヅガシハ(○○○○○) ミヅハンゲ(○○○○○) ミツガシハ(○○○○○) ミヅゴボウ(○○○○○) ミヅタケ(○○○○) ヌマゴボウ(○○○○○) トウオモダカ(○○○○○○) ミツバゼリ(○○○○○)〈越前〉 カヂノハ(○○○○)〈同上〉 ミツバオモダカ(○○○○○○○)〈江戸〉 キジンサウ(○○○○○)池澤中ニ生ズ、甚ダ繁茂シ易シ、春舊根ヨリ葉ヲ生ズ、一莖三葉、半夏葉ノ如ニシテ大ナリ、一窠ニ叢生、三月莖ヲ抽ルコト高サ二尺許、花ハ長ク穗ヲナシテ莖上ニアリ、五瓣或ハ六瓣、大サ五分許、未ダ開カザル時ハ、白色ニシテ末紅アリ、已ニ開ク時ハ内雪白色ニシテ長毛アリ、蘂モ白シ、根ハ緑色、横行シテ節多シ、形竹鞭ノ如ク大ニシテ、萍蓬(カハホネ)草ノ根ニ似タリ、

絡石

〔多識編〕

〈二/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 絡石、豆多、今案天伊可賀豆(○○○○○)〈◯豆下恐脱良字〉異名耐冬、〈恭〉

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 絡石(テイカカヅラ)〈本草、包絡石木而生故名、〉石龍藤〈同上〉

〔宜禁本草〕

〈乾/藥中草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 絡石 苦温微寒生陰濕、冬夏青實黒、〈繞樹生葉大薄、在石葉細厚短良、〉主口乾舌焦癰腫喉舌腫、養腎堅筋骨、利關節、久服明目潤澤好顏色、煮汁服之主一切風、變白宜老、〈石血葉尖一頭赤、絡石葉圓正青、〉莖節著處生根鬚、六七月採莖葉、宮寺人家山石間種以爲飾、

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 絡石(ていかかづら) 石鯪 懸石 耐冬 雪花 雪http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif  雪英 石血 雲珠 石龍藤〈◯中略〉按絡石〈和名豆太〉俗云定家葛(○○○)、相傳黄門定家卿之古墳石生、因名之、葉似藪柑葉、而無刻齒花實、又蔓白汁無、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0451 絡石 テイカカヅラ(○○○○○○) ツルクチナシ(○○○○○○)〈勢州〉 シホフキ(○○○○)〈薩州〉 一名鬼繫腰〈附方〉 鬼纏帶腰〈外科精要〉 鬼腰帶〈三因方〉 石薜荔〈醫學http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 函〉 山野ニ皆アリ、樹石垣http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001abf1.gif ヲ纏フ、ソノ藤舊キ者ハ粗大ナリ、葉ハ橘(カウジノ)葉ニ似テ兩對ス、厚シテ深緑色、冬モ凋マズ、紅紫色ニ變ズ、莖葉ヲ斷バ白汁ヲ出ス、又細葉ナル者アリ、皆夏月葉間ニ細莖ヲ抽テ枝ヲ分テ花ヲ開ク、大サ錢ノ如シ、五瓣ニシテ微ク回旋ス、其色白シ、老スレバ黄ニ變ズ、瓣厚シテ香氣アリ、後小莢ヲ結ブ、筑後ニテババノカンザシ(○○○○○○○)ト呼ブ、其莢圓長七八寸、形箸ノ如シ、一莖ニ二角下垂ス、又變ジテ五六角ナル者モアリ、熟スレバ紅紫色内ニ白絮アリ、蘿藦絨(ガヽイモノワタ)ノ如シ、後莢自ラ開キ絮飛ビ去ル、絮ゴトニ一子アリ、落テ生ジヤスシ、一種葉至テ小ナル者、冬ニ至テ紅或ハ紫ニ變ジ、土石間ニ繁延スル者ヲ、セキダカヅラ(○○○○○○)ト呼ブ、即石血ナリ、宜シク藏器ノ説ニ從フテ別物トナスベシ、

〔廣益地錦抄〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 絡石(らくせき) 葉は蔦に似たり、鴨(トリ)の掌(テ)のごとく、四季共に青葉にて冬もかれず、大木にからみて高く上る、後は大木の葉をかくすほどしげる、蔓より根を出して木にとり付、黒く實をむすぶ、

丁子草

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 丁子草 花ハ丁子ノ形ニ似テ淺葱色ナリ、四月ニ開ク、葉ハ柳葉ニ似テ、中ノタテ筋微白シ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 丁子草(ちやうじさう) 俗稱〈本名未詳〉按丁子草高尺許、葉似澤桔梗而細長、〈又似山丹葉而細〉三月葉間著花、層層其形如丁子而紫色、結莢大可緑豆而一柎二莢向上如角、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 尾久ノ原 丁子草

蘿摩

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 蘿摩子、一名丸蘭、一名雀瓢、一名苦丸、〈出苟把條〉一名地乳、〈出大清經〉和名加々美(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 芄蘭(○○) 本草云、蘿摩子、一名芄蘭、〈上音丸、和名加々美、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0452 唐本先附云、蘿摩子、陸機云、一名芄蘭、幽州謂之雀瓢、此所引即是、蘇注云、按雀 瓢是女青別名、草蓋相似、以葉似女青、故兼名雀瓢、〈◯中略〉爾雅、雚芄蘭、郭云、雚芄蔓生、斷之有白汁啖、禹錫曰、如此注則似雚芄一名蘭、或傳寫誤、芄衍字、焦循曰、田野間所謂麻雀棺者、蔓生、葉長二寸、橢圓上鋭、藤柔衍、斷之白汁出、實状如秋葵實而耎、霜後枯、破内盈絨、準之本草諸家之説、此爲芄蘭也、雀棺乃雀瓢之遺稱、而棺音同莞、爾雅名雚、説文名莞也、

〔多識編〕

〈二/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0453 蘿摩、何波禰久左、今案司可伊毛、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0453 蘿摩(ガヽイモジカイモ/チグサ)〈雚、芄蘭、白環藤並同、實名雀瓢、〉

〔物類稱呼〕

〈三/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0453 蘿摩ちヽくさ(○○○○) 京にてちぐさ、又らまさう、江戸にてちヽぐさ、又らまさうともいふ、上總にてやいとばな、〈花灸に似たり〉つくしにてがぶなといふ、土佐にてがヾいもといふ、

〔東雅〕

〈十五/草卉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0453 芄蘭カヾミ 倭名抄に本草を引て、蘿摩草一名芄蘭カヾミ、徐長卿はヒメカヾミ、白前はノカヾミ、白蘝はヤマカヾミと註したり、芄蘭白蘝共に藤生す、芄蘭はhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001abf1.gif 落の間に蔓延して、白蘝は山谷の間に生じぬれば、山カヾミといふ、白前は洲渚沙磧の上に蔓生して、芄蘭に似たる所あればノカヾミといひ、徐長卿は藤生にはあらねど、其子の蘿摩子に似て小しきなれば、ヒメカガミといひしなり、少彦名神天羅摩船に乘り給ひしとも、白蘝皮をもて船とせられしとも見えて、並に讀てカヾミといひしは、即是等の物なり、たヾ其のカヾミといふ義は不詳、〈舊事http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif には兩説を併せしるされしを、古事記には天之羅摩船としるし、日本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif には白蘝皮を船とすと見えたり、羅摩船とは其實をいひ、白蘝皮とは其根皮をいひしなるべし、共に其小しきなる事を象り云ひしなり、羅摩は今俗にチグサといふなり、莖葉共に皆白乳汁あるをいふなり、徐長卿は俗にフナハラといふ、其義は知らず、カヾチといひ、カヾミといふもの、並に太古の時に聞えしなり、カヾチは赤き事、アカカヾチの如しと見えたれば、そのカヾといふは、赤くして赤きの義とも知らるヽなり、もし其例によらばカヾミとは、其實の赤くして赤きを云ひし如くなれども、カヾミといふものヽ實、然るにもあらず、蘇頌本草によるに、白蘝の一種赤蘝といふは、花實功用皆同白蘝、但し表裏倶に赤しと見えたり、されば此物によりてカヾミの名あるべしとも思はれず、凡そ古語の一例をもて推すべからざる、かかる事ども多し、〉

〔庖厨備用倭名本草〕

〈五/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0453 蘿藦(ラマ) 倭名抄ニ蘿藦ナシ、多識篇ニカバネクサ、今案シカイモ、考本草蘿 藦ハ藤生也、是ヲ摘バ白汁アリ、人家ニ多ク種フ、葉アツクシテ大ナリ、生ニテ啖フベシ、蒸テモ煮テモ食スベシ、諺云去家千里勿蘿藦枸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 、イフコヽロハ精氣ヲ補益シテ、陰道ヲ強ク盛ニナスコト、枸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000022.gif 葉ト同ジケレバ也、三月ニ苗ヲ生ズ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001abf1.gif 垣ニ蔓延シテ極メテ繁リヤスシ、其ノ根ハ白クヤハラカニ、其ノ葉ハ厚ク長クシテ、後ヘ大ニ前尖、根ト莖葉ト斷バ皆白汁アリ、六七月長花ヲ開ク紫白色也、其ノ實ハ長サ二三寸、大サ馬兜鈴ノ如シ、一頭トガル、殼ハ青クヤハラカニシテ、其ノ中ニ白絨ト漿トアリ、霜後ニ枯裂テ其ノ子ハ飛チル、子カロクウスクシテ兜鈴子ノ如シ、商人其ノ絨ヲトリテ、坐褥ヲ作リテ綿ニ代テ、其輕煖也ト云、元升〈◯向井〉曰、此註ヲミレバ蘿藦ハ肥前ノ山野人ノカブナト云フモノナリ、カブナハツルカヅラニテ、山野ノ樹ニカヽリ生ジテ、ハビコリサカヘ、其ノ實モ莖葉モ本草ノ註ニイヘルガ如シ、霜枯テ後、其ノ實サケテ、内ヨリ白ハンヤノ如キモノ出テ風ニ吹チル、異國ヨリ渡ル白ハンヤハ是ナランカ、吾人ハ是ヲトリテ綿ニ代ル事ヲシラズ、又莖葉ヲ食スル事ヲシラズ、故ニ人家ニ種ルモノナシ、今人家ミナ種ナバ、衣食ノ一助ナルベシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0454 蘿藦 カヾミクサ(○○○○○) ガヾイモ(○○○○) ガブナ(○○○)〈筑前〉 ガブロ(○○○)〈同上〉 ドウガメヅル(○○○○○○) チヽグサ(○○○○) チグサ(○○○)〈大和本草〉 チトメ(○○○) チガイモ(○○○○) トンボウノチ(○○○○○○)〈羽州津輕〉 ガヾラビ(○○○○)〈加州〉 ガンガラヒ(○○○○○)〈越後〉 ハトカミ(○○○○) タトウガミ(○○○○○)〈下總〉 ゴガミヅル(○○○○○)〈仙臺〉 ゴガミ(○○○)〈同上〉 ゴウガミ(○○○○)〈同上〉 ゴガラヒ(○○○○)〈羽州〉 コウガモ(○○○○)〈遠州〉 ゴウガメ(○○○○)〈駿州〉 カトリグサ(○○○○○)〈江戸〉 カラスノモチ(○○○○○○)〈勢州〉 ムジナノチ(○○○○○)〈佐州〉 シコヘイ(○○○○)〈備前〉 イカシキ(○○○○)〈泉州〉 ゴマンザイ(○○○○○)〈南部〉 ゴマザイ(○○○○)〈同上〉 ゴマシロ(○○○○)〈同上〉 ゴマジヨ(○○○○)〈津輕、莢名下皆同、〉 ゴマシロカイ(○○○○○○)〈南部〉 ハンジヤ(○○○○)〈豫州〉 カラスナベ(○○○○○)〈雲州〉 スヾメノマクラ(○○○○○○○)〈越前〉 一名苦丸〈千金方〉 砍合草〈本草洞詮〉 羊角菜〈救急本草〉 羊嬭科 合鉢兒 婆婆鍼杔兒 細絲藤 過路黄〈共ニ同上〉 鳥朴〈郷藥本草〉 綿包〈本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 言、實名、〉 山野ニ最モ多シ、春舊根ヨリ苗ヲ生ジ、藤蔓繁延ス、葉形橢ニシテ尖リ、本ニ一缺アリ、深緑色、光澤ニシテ厚ク兩兩對生ス、小ナル者ハ長サ一寸餘、大ナル者ハ四五寸、莖葉ヲ斷ズレバ白汁出、夏月葉間ニ穗ヲ生ズ、長サ一二寸、小長花ヲ開ク、五瓣ニシテ形鈴鐸ノ如シ、白色紫點、雌ナル者ハ莢ヲ葉間ニ生ズ、穗上ニ生ゼズ、長サ三四寸、徑リ一寸許、體圓ニシテ末鋭ナリ、皮ニイボアリテ胡瓜ノ如シ、嫰ナル者ハ麪ヲ纏シ油煎シ食フベシ、葉モ亦同ジ、莢熟スレバ殼紫色ヲ帶ブ、堅ニ自ラ折テ舟ノ形ノ如シ、内ニ白絨アリ針ノ如シ、針根ゴトニ一子アリ、形圓扁ナリ、其針風ヲ見レバ便チ張リ開テ綿ノ如シ、白光銀ノ如シ、然レドモ碎ケ易クシテ絲トナスベカラズ、甚木綿(パンヤ)ニ似タリ、故ニ俗ニ和ノパンヤ(○○○○○)ト云フ、此綿ヨク血ヲ止ム、秋深テ苗枯ル、其藤皮中ニ白絲アリ、甚強ク釣緍トナスベシ〈◯中略〉増、蘿藦ノ生實ヲ麪ニ裹ミ油煠トシ、醤油ニテ煮食ヒ、又生葉ヲ煠キ茹ト爲シ食フ、共ニ味佳ナリ、又葉ヲ陰乾シテ、炭上ニ焚ケバ諸臭氣ヲ去ル、

〔廣益地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0455 蘿摩 蔓草なり、冬は枯れて春宿根より生ズ、葉ほそ長くあつく、兩對にして表にうす白く筋あり、根をほりて火にあぶり食す、甚甘し、葉切れば白く汁出る、赤腫にぬりて早くいたみを止ていゆ、葉莖を日に乾燒ば、惡臭をけす也、花はみるにたらず、實はほそ長く三四寸計有、さきとがりてへちまのごとく、秋の末熟し、かれて二つにわれ、中より綿のごとく成物多く出、取て、敷物の綿としてやはらか也、しめり地に生、蘆原の中に多く生、

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0455 故大國主神坐出雲之御大之御前時、自波穗天之羅摩(○○○○)船而、内剥鵝皮剥爲衣服、有歸來神、〈◯下略〉

白兎藿

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0455 白莵藿、一名白葛、〈出蘇敬注〉一名白葛穀、一名莵藿、〈已上二名出釋藥性〉唐、

〔百品考〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0455 白莵藿 一名白葛、一名牛皮消(○○○)、 和名イケマ(○○○) 本草綱目、蘇恭曰、荊襄山谷今有之、蔓生、山南人謂之白葛、苗似蘿藦、葉圓厚、莖有白毛、與衆葉異、用藿療毒有效、救荒本草、牛皮消、生密縣野中、拖蔓而生、藤蔓長四五尺、葉似馬兜鈴葉寛大而薄、又似何首烏葉亦寛大、開白花、結小角兒、根類葛根而細小、皮黒肉白味苦、蔓草ナリ、山野ニ自生ス、春宿根ヨリ苗ヲ出ス、蔓青シテ紫ヲ帶ブ、葉ハ兩對シテ形圓ク先尖レリ、蘿摩(ガヾイモ)ニ似テ光ナク、白薇(フナハラ)ノ葉ノ如シ、六月葉間ニ細莖ヲ出スコト一二寸、小花聚リ開ク、五瓣淡黄色、徐長卿(スヾサイコ)ノ花ニ似テ大ナリ、花後小莢ヲ結ブ、徐長卿ノ莢ニ似テ大ナリ、中ニ白絮アリ、莢自裂テ風ニ隨テ飛ブ、根ハ巨クシテ山藥ノ如シ、蝦夷産ハ根ノ状チ和産ト稍異ナリ、藥店ニ多シ、解毒ノ效アリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0456 白兎霍 詳ナラズイケマニ充ル説ハ穩ナラズ、イケマハ救荒本草ノ牛皮消ナリ、増、白兎藿ハ花戸ニテ鬼女蘭(○○○)ト呼モノナリ、和州、播州、阿州、紀州等ノ深山ニ産ス、藤蔓最モ大ナリ、葉ノ形圓ニシテ厚ク末尖リ、深緑色ニ滑澤ナリ、大ナルモノハ六七寸ニ及ブ、花ハ蘿藦ニ似テ白色、實モ亦相似テ大ナリ、藤絲最強ク弓弦トナスベシ、京師ニ來ルモノハ高サ一尺許ニシテ蔓延セズ、即救荒本草ノ牛嬭菜ナリ、蘭山翁蘿藦(カヾイモ)ノ一種トス、

〔草木育種後編〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0456 牛皮消(いけま)〈救荒〉 松前にて生ずるもの名あり、處々山中に生ず、赤土に植て糞水を澆ぎてよし、又園中の木に纏はしめてもよし、是芄蘭(かヽいも)の類にて、根長大なるものなり、實は莢を結ぶ、内に絨あり、バンヤの代になすべし、

徐長卿

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0456 徐長卿〈楊玄操音貞兩反〉一名鬼督郵、〈本條〉一名龍銜根、一名清陽、〈已上出范注方〉一名石下長卿、〈出釋藥性〉和名比女加々美(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 徐長卿 本草云、徐長卿、〈和名比女加加美〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 陶注云、今俗用徐長卿者、其根正如細辛、小短扁々爾、氣亦相似、唐本注云、葉似柳兩葉相當、有光潤、所在川澤有之、根如細辛、微麁長、而有臊氣、蜀本圖經云、苗似小麥、兩葉相對、三月苗青、七月八月著子、似蘿摩子而小、九月苗黄、十月凋、時珍云、徐長卿人名也、常以此藥邪病、人遂以名之、其説不據、恐是李氏臆度耳、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 徐長卿(フナワラ)〈一名石下長卿〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 徐長卿 フナワラ(○○○○) ヤナギサイコ(○○○○○○) リウヤウサイシン(○○○○○○○○) スヾザイコ(○○○○○) コフナワラ(○○○○○) ハマヤナギ(○○○○○)〈佐州〉 一名尖刀兒苗〈救急本草〉 摩何尊〈郷藥本草〉白微モフナワラト云、故ニ此ヲ小フナワラト云テ別ツ、スヾザイコハ花ノツボミ鈴ニ似タル故ナリ、山野ノ陽地ニ多シ、春舊根ヨリ苗ヲ生ズ、莖細クシテ堅ク、高サ一二尺葉細長クシテ瞿麥ニ似タリ、緑色淺シ、兩葉相對ス、夏莖梢ニ枝ヲ分テ多ク花ヲ開ク、大サ三分許、五瓣ニシテ黄紫色ナリ、後角ヲ結ブ、長一寸餘圓長ニテ尖リアリ、秋熟ス、蘿藦(ガヽイモ)ノ角ニ似テ小シ、中ニ白絮アリ、絮ノ本ニ小クシテ扁タキ子アリ、根白クシテ細長ク數多ク攅リ生ジ、細辛ノ如シ、乾セバ黄白色トナリ、牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 皮ノ氣アリ、増、一種深山ニ大葉ノ徐長卿アリ、形状尋常ノ者ニ同クシテ、高サ四五尺、葉ノ長サ五六寸許、花實モ大ナリ、南方暖國ニ産ス、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 鼠山ノ産 徐長卿(ふなはら)〈アスカ山ニモ〉

〔佐渡志〕

〈五/物産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 徐長卿 方言ハマヤナギ

白薇

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 白薇〈夜惠彌(○○○)、一云久留奈(○○○)、〉

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0457 白薇、一名白幕、一名薇草、一名春草、一名骨美、一名白蜜曹、〈出釋藥性〉一名白草、一名巖草、〈出雜要訣〉 和名美奈之古久佐(○○○○○○)、一名久呂女久佐(○○○○○)、一名阿末奈(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0458 白薇 釋藥性云、白薇、〈和名美那之古久佐、一云久呂久佐、一云阿末奈、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0458 本草和名云、白薇一名白幕、一名薇草、一名春草、一名骨美、一名白蜜曹、出釋藥性、按千金翼方、證類本草、骨美以上五名皆本草本條所載、則白蜜曹一名、出釋藥性也、而本草和名骨美下失出典、源君誤謂諸名皆出釋藥性、非是、〈◯中略〉陶隱居云、根状似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000299.gif 而短小爾、圖經云、莖葉倶青、頗類柳葉、六七月開紅花、八月結實、根黄白色、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0458 白微 フナワラ(○○○○) ロクヱンサウ(○○○○○○) テツポウサウ(○○○○○○) オホフナワラ(○○○○○○) マルバノフナワラ(○○○○○○○○) カキシホ(○○○○)〈阿州〉 一名知微老〈輟耕録〉 竹葉細辛〈郷藥本草〉 百吉草〈同上〉救荒本草ノ説ニ據リテ、ロクヱンサウニ充ツ、山野向陽ノ地ニ生ズ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、圓莖高サ二三尺許、葉對生ス、柹葉ニ似テ小ク短シ、莖及葉ノ兩背共ニ白毛アリ、夏月梢葉ノ間ゴトニ花ヲ開ク、末ニテハ數花簇生シテ穗トナル、花ノ大サ四五分、五瓣ニシテ紫黒色、形徐長卿花ニ似テ大ナリ、花後角ヲ結ブ、長サ二寸許、内ニ白絮及ビ子アリ、又白花ノモノアリ、花葉ノ形状同ジ、阿州ニテクサタチバナ(○○○○○○)ト云、淡州ニテシホカゼサウ(○○○○○○)ト云、共ニ根ハ細長ク數多ク簇生ス、又細葉ノ白微アリ、葉剪夏羅(ガンピ)ニ似テ末尖ル、六七月ニ花ヲ開ク紫黒色、是ヲベンケイサウ(○○○○○○)ト云、又大葉ノ白微アリ、種樹家ニテツルガシハ(○○○○○)ト云、柹葉ニ似テ長サ七八寸四葉對生ス、其上ハ細小葉兩對シテ蔓草トナル、其葉間ニ小紫花簇生ス、藥舖ニ白微ノ葉ヲ取リ、葉フナワラト名テ鬻ル、増淡州ニテシホカゼサウト云ハ、白前ノ混淆ナリ、一種黄花ノ者アリ、葉小ニシテ細葉ノ白微ニ同ジ、花モ小ナリ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0458 諸國進年料雜藥伊勢國五十種、〈◯中略〉白薇一斤四兩、 伊豆國十八種、〈◯中略〉白薇七斤、〈◯下略〉

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0459 品川邊ノ産 白薇(おほふなはら)〈木原〉

白前

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0459 白前、一名石藍、一名嗽藥、〈已上二名出蘇敬注〉和名乃加々牟(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0459 白前 本草云、白前一名石藍、〈和名能加々美(○○○○)〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0459 千金翼方、證類本草中品有白前、不一名、證類本草引唐本注云、俗名石藍、本草和名云、一名石藍出蘇敬注、源君蓋依之而單引本草是、〈◯中略〉陶注云、似細辛而大、色白易折、蘇注云、葉似柳或似芫花、苗高尺許、生洲渚砂磧之上、根白、長於細辛、味甘、今用蔓生者、味苦非眞也、別本注云、根似牛膝白薇、嘉謨曰、似牛膝粗長、堅直易斷、白前也、似牛膝短小、柔軟能彎者白薇也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0459 白前 スヾメノオコゲ(○○○○○○○)白微ノ一種ナリ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、一科數莖高サ一尺餘、葉ハ形チ橢ニシテ忍冬(スヒカヅラ)葉ノ如ク對生ス、莖ト共ニ微毛アリ、四五月梢葉間ニ數花ヲ開ク、形白微ノ花ニ似テ小ク白色ナリ、根モ亦相似リ、一種黄花ナル者アリ、始ハ草本ナリ、後ハ蔓草トナル、一種始ヨリ蔓生ナル者アリ、又一種蔓生ニイヨカヅラ(○○○○○)、一名カラスノヒルヅルト呼アリ、ツル長ク草木ヲ纏フ、葉兩對ス、形女青(ヘクソカヅラ)葉ニ似テ長ク毛ナク臭氣ナシ、秋梢葉間ニ小キ枝叉ヲ分チ花ヲ開ク、徐長卿ノ花ニ似テ小ク、紫黒色角モ亦相似タリ、又一種短葉ノ者アリ、又一種カモメヅル(○○○○○)ト呼者アリ、池澤邊ニ多シ、イヨカヅラニ似テツル短シ、葉間ゴトニ只一花アリテ微シ大ナリ、是皆白前ノ類ナリ、又一種越州白前ハヤマホトヽギス(○○○○○○○)ナリ、古來白前ヲシラハギニ當ルハ穩ナラズ、シラハギハ一名ヤナギサウ、ヒメトラノオ、ヌマトラノオ、コヘマケグサ、〈江州〉ヌマハギ、水邊ニ多アリ、春苗ヲ生ズ、高サ五六寸或ハ一二尺、千屈菜(ミソハギ)ノ葉ニ似テ大ク密ニ互生ス、圓莖フトクシテ赤シ、夏莖頭ニ二三寸ノ穗ヲ出シ、五瓣ノ白花ヲ攅生ス、珍珠菜(トラノオ)ノ花ニ似テ小シ、後一分餘ノ圓實ヲ結ブ、秋ニ至テ紅色、是救荒本草ノ星宿菜ナリ、 増、一種紅花ノ者アリ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、高二三尺、莖弱クシテ直立セズ、葉莖ニ兩兩相對ス、葉ノ形尋常ノモノヨリ微大ニシテ、長サ三寸、幅一尺五六分ニモ及ブ、深緑色ニシテ面背共ニ毛ナシ、三四月梢葉間ニ枝叉ヲ分チ、五瓣ニシテ、淡紅色ノ花ヲ開ク、中ニ黄蕊アリ、花後實ヲ結バズ、根ハ白色ニシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif ク長シ、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0460 いよかづら(○○○○○) 〈藍漆〉いよかづら、一名からすのひるつるは、漢名を藍漆一名藍藤といふ、これ即唐本草にいはゆる白前の一種にして、その苗春宿根より生じて、蔓をなし、小樹をまとふ、葉の形頗る女青に似て、稍長く兩々相對し、秋に至れば、その梢葉の間に小叉枝をわかちて、徐長卿に似たる五瓣の紫黒花を開き、後細長角を結ぶ、また徐長卿角の如し、其根は數條簇生し、状細辛に似てやヽ粗にして且長し、扨藍漆は古より今に至て、其種何物たる事をしるものなかりしに、今以て藍藤となすものは、東醫寶鑑に、藍藤根處々有之、根如細辛、即今藍漆也、性温味辛無毒、主上氣冷嗽煮服之といへるは、本草拾遺に、藍藤生新羅國、根如細辛、味辛無毒、主冷氣咳嗽汁服といへる、兩説符節を合せたるが如くなるによりて也、されば藍漆藍藤は即一物なる事明かなりといへども、天平のむかし、出雲國意宇郡島根郡以下の五郡に産し、延喜の比に、伊勢尾張以下の二十八箇國より貢せし、その草木はいかなる物なるべきか、さらにわきまへざりしが、此比千金方藥注を讀みて、漸くに明白になりしなり、白前の一種いよかづらとなすものは、唐本草に白前葉似柳、或似芫花、苗高尺許、生洲渚沙磧之上、根長於細辛、味甘、俗以酒漬服主上氣、不近道、俗名石藍、又名嗽藥、今用蔓生者味苦非眞也、〈按に藍漆藍藤は既に味辛とみへたるに、こヽに蔓生のもの味苦といふ時は、其物の異なるやうにもおもはるれど、これは風土によりて、その味のたがひはある事にて、こヽには白前味甘とみえたれども、藥性論には白前味辛といへるたぐひ也、〉といへるによりて也、〈◯中略〉釋名 いよかづら〈本草綱目啓蒙〉按にかづらは即葛蔓の義なれども、いよの義未だ詳ならず、 からすのひるつる、〈同上〉按にひるの義いまだ詳ならず、 藍漆、〈范注方東醫寶鑑、出雲風土記、延喜式、〉按に藍漆は蓋しその葉青くして、光澤あるによりて、その名を得しなるべし、又唐本草に白前の一名を石藍といひしも、即石藍漆の省呼にして、石は唐本草に、生沙磧上義なり、その磧は説文に、水陼有石者とみへたるにて、その義は推はからる、 藍藤、〈本草拾遺、東醫寶鑑、〉名義字のごとし、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0461 諸國進年料雜藥伊勢國五十種、〈◯中略〉藍漆一斤、 尾張國卌六種、〈◯中略〉藍漆五斤、 近江國七十三種、〈◯中略〉白前一斤二兩、

旋花

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0461 旋花〈蘇敬注、音除戀反、楊玄操音辭戀反、〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e4e2.gif 根花、〈蘇敬注云、根似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e4e2.gif 、故以名之、〉一名金沸、一名美草、一名山薑、〈出陶景注〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a4.gif 旋、〈(䔰旋本草作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000300.gif)出蘇敬注〉一名皷子花、〈出拾遺〉和名波也比止久佐(○○○○○○)、一名加末(○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0461 旋花 本草云、旋花一名美草、〈旋音賎、和名波夜比止久佐、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0461 蘇云、此即生平澤旋葍是也、其根似筋、故一名筋根、蜀本圖經云、旋葍花根也、蔓生葉似署預而多狹長、花紅白色、根無毛節、衍義云、旋花蔓生、今田野中甚多、最難鋤艾、治之亦生、世又謂之鼔子花、言其形肖也、四五月開花、亦有多葉者、其根寸截、置土中、頻灌漑方渉旬、苗已生、〈◯中略〉岡村氏曰、説文舜艸也、楚謂之葍、秦謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b616.gif 、蔓地連華、象形、从舛、舛亦聲、是即本草旋花、則知本草借旋爲舜也、蘇敬謂之旋葍、蕭http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000301.gif之葍旋、累呼二名也、又按爾雅注云、葍華有赤者http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b616.gif 、蓋赤花爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b616.gif 者、與赤玉爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 瓊同、説文瓊下載琁字云、瓊或从旋省、蓋重文也、然則本草旋花即http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b616.gif 花、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b616.gif 瓊同音、義亦得通、故借瓊爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b616.gif 又用瓊或字琁花、以字形相近譌爲旋也、是説亦通、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0461 旋花(ヒルガホ)〈旋葍、鼔子花、美草、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a268.gif 陽草、天劍草並同、〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十一/比〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0461 ひるがほ 鼔子花をいへり、野州越後仙臺の方言あめふり、越前にこうづる、 相州海邊にへびあさがほといふ、日中に咲もの也、又かつほう花といふ、近き御代の御製とぞ、ひるがほは源氏の内になかりけりはたの赤きは平家成べし、墨莊漫録に、明宣徳年、帝夢神語、雨打無聲鼔子花、帝口占、風吹不響鈴兒草、至今傳爲絶對、鈴兒草は沙參、俗につりがね草といへり、濱ひるがほは打碗花也といへり、大ひるがほは救急本草の藤長苗也といへり、讃岐の方言ちよく花といへり、白ひるがほあり、南京晝顏は小輪なり、

〔大和本草〕

〈八/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0462 鼔子花(ヒルカホ) 又旋花ト云、二種アリ、一種ハ葉ニ兩岐アリ、蔓長ク三四尺アリ、一種ハ葉圓ク蔓短シ花ハ同、三才圖繪ニ、其根似筋、故一名筋、根蒸煮堪噉甚甘美トイヘリ、花ハ牽牛花ニ似テ、淡紅色又白色アリ、晝シボマズ故ニ名ヅク、救荒本草葍子根モ亦與此同、曰採根蒸食之、或晒乾杵碎炊飯食亦好、或磨作麪作燒餅蒸食、根ヲ鹽ニ和シテ煮食フ、凶年ニハ貧民根ヲホリテ食シ飢ヲ助ク、葉モ亦可食、時珍云、一種千葉者色似紛紅牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 、俗呼爲纏枝牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 、此種本邦ニアル事ヲ不聞、

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0462 旋花 鼔子花 旋葍 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a268.gif 腸草 筋根 天劒草 美艸 續筋根 〈和名波夜比止久佐◯中略〉按旋花盛于日午而旦暮萎、故俗對牽牛花朝顏、此名晝顏、〈比留加保〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十四/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0462 旋花 ハヤヒトグサ(○○○○○○)〈和名鈔〉 ヒルガホ(○○○○) ハタケアサガホ(○○○○○○○)〈和州〉 ミヽダレグサ(○○○○○○)〈江州〉 チヨクバナ(○○○○○)〈備前〉 カツホウ(○○○○)〈備後〉 アメフリバナ(○○○○○○)〈仙臺〉 一名掛金燈〈農圃六書〉 葍子根〈救急本草〉 打碗花 兎兒苗 狗兒秧 燕葍根〈共ニ同上〉 牽枝牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 〈盛京通志〉原野ニ尤多シ、一タビ生ズル時ハ、細長キ白根地中ニ蔓延シテ治シ難ニ至ル、春舊根ヨリ苗ヲ生ジ草木ニ纏繞ス、葉互生ス、形長シテ尖リ、本ニ小兩尖アリ、又短シテ本ニ四尖アル者アリ、夏月葉間ニ花ヲ開ク、辰後ニ開キ日夕ニ至テ萎ム、淡紅色ト白色トノ二品アリ、形牽牛花ニ似テ小シ、其蕚ハ短濶ノ兩葉コレヲ挾ム、牽牛花ノ蕚ノ細長ニシテ、五出ナルニ異ナリ、 一種オホヒルガホ(○○○○○○)、葉長大花モ大ナリ、又淡紅色白色ノ二品アリ、讃州ニテチヨクバナト云フ、救荒本草ノ藤長苗一名旋菜ナリ、又一種海http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f708.gif 及江湖邊沙地ニ生ズルヲ、ハマヒルガホ(○○○○○○)ト云フ、一名カツポウバナ、アメフリバナ、ハマチバナ、ガウヅル、〈越前〉ヘビアサガホ、〈相州〉アフヒカヅラ、〈花戸〉葉形圓ニシテ厚ク、大サ一寸許、蔓ハ長カラズシテ、花ハ尋常ノ大サナリ、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 本所邊 藤長苗(おほひるがほ)  隨地有之類 旋花(ひるがほ)

牽牛子/名稱

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 牽牛子〈陶景注、此出於田舍、凡人取牽牛易、故以名之、〉和名阿佐加保(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 牽牛子 陶隱居本草注云、牽牛子、〈和名阿佐加保〉此出於田舍、凡人取之牽牛易藥、故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 陶注又云作藤生、花状如藊豆黄色、子如小房、實黒色、形如梂子http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 、蘇注云、此花似旋葍花碧色、又不黄、不藊豆、按旋葍花、即鼔子花、詳見旋花條、開寶本草云、此藥蔓生、花如鼔子花而稍大、作碧色、子有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ce2.gif 、作小房、實黒稍類蕎麥、蜀本圖經云、苗蔓生、花碧色、子如蕎麥、三稜黒色、圖經云、二月種子、三月生苗、作藤蔓籬牆、高者或三二丈、其葉青、有三尖角、七月生花、微紅帶碧色、似鼔子花而大、八月結實、外有白皮裹作毬、毎毬内有子四五枚、如蕎麥大三稜、有黒白二種

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 牽牛華(アサガホ) 蕣華(アサガホ)〈倭訓朝顏也〉

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 牽牛花(アサカホ)〈草金鈴、狗耳草並同、本草花如鼔子花碧色、日出開日西萎、〉盆甑草(同)〈酉陽雜俎〉朝顏(同)〈俗字〉槿花(同)〈本朝俗、以槿花、日及、蕣等字牽牛事、甚謬矣、宜考木槿下、〉

〔塵袋〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0463 一槿花ハアサガホノ花歟、別ノ物歟、アサガホニ、アマタノ名アリ、明花ト名ケ、日及トナヅケ、王藥トナヅケ、赤菫トナヅケ、又ハ胡菌ト云フ、又蕣ト云フ、但シアサガホトムクゲトハ、アシタニサキテ、夕ニオツル物也、是故ニ二ノモノノ名ミナマギレテ、カヨヒモテリ、潘岳ガ胡菌ノ賦ト云フニハ、ムクゲヲ思ヒテ云ヘルニヤ、彼賦 曰、胡菌者世謂之木槿、或謂之日及、郭璞曰、似李樹棗、朝生夕殞可食、或呼曰日及ト云云、スモヽナツメニニタリト云ヘルニテシリヌ、木ノスガタナリトハ、ヨノツネノアサガホノツルニハ非ズトキコユ、此邊ノムクゲハスモヽニニタリトモオボエズ、所ニシタガフニヤ、ヒサゴノ花ヲ夕顏ト云フニ對シテ、牽牛子ノツルヲバ朝顏ト云ナラハセリ、今ハ又ムクゲニ通用シテ、槿花トモ云フナルベシ、

〔松の落葉〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0464 あさがほあさがほとは、あしたにさくかほ花を、なべていへるにて、ひとつの草の名にはあらず、そのよしつぎ〳〵にときあかすべし、まづ新撰字鏡に桔梗、〈加良久波〉又云〈阿佐加保〉とあるもその證なり、からくはといふが正しき名にて、あしたにさくうつくしき花なれば、あさがほともいへるなり、今の人牽牛子をのみあさがほとおもへるはたがへり、〈◯中略〉此草は野山におのづから生ることなきは、から國よりたねのわたり來て、ひろごれるにぞあらん、其わたり來つるは、今の京のはじめのころなるべし、さて朝がほといふこヽろを、くはしくいはんとす、いにしへかほ花といひしは、かほのすぐれてうつくしきはなの事なり、かほといふは、今の世にかほかたちといふ意なり、かほかたちのすぐれたる人を、中ごろには、かたち人といひき、それと同じこヽろなり、されば何にまれ、朝さきてかほのすぐれたる花をめでヽ、あさがほといひはやしたるにて、花の名にはあらず、〈◯中略〉牽牛子のわたり來ては、これもあしたにうつくしき花さけばしかいひ、槿花もさやうなれば、あさがほとはいへるなり、〈◯下略〉

牽牛子種類

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0464 牽牛子 朝間花容美シク、見晛則萎故朝顏ト號ク、盆ニ植テ室下ニヲケバ不早萎、花ニ淡青深青紫色白色アリ、本草曰、有毒雄烈泄人元氣毒藥ナリ勿妄用、黒牽牛子(○○○○)ハ花ノ深青ナルヲ可用、油ヲトリテ燈ニ點ス可也、〈◯中略〉小牽牛花(○○○○)アリ、蔓ノ本二葉ヨリ花早ク開ク、其色紺白碧紫 數種アリ、晝ニ至テ不萎、花ノ大サハ如常、好種ナリ可栽賞

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 柬蒲塞牽牛花(○○○○○○) 蔓草也、寛永年中長崎ニ來ル、柬蒲塞又甘孛智ト云、眞臘國ナリ、葉ハ草決明、又豌豆ニ似テ甚細也、七八月開細紅花、形似丁香愛ス、好事ノ者盆ニウヘ籬ニ延シム、根ハ當年枯ル實ヲマクベシ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 牽牛子 黒丑 白丑 盆甑草 草金鈴 狗耳草 〈和名阿佐加保◯中略〉按牽牛花寅卯辰三時爲盛、向日光則萎再不開、而餘莟開花、乃一莖數十花、逐日開不旬皆結實、其花有深碧、淺碧、純白、淺紅色四種、而紅者希也、一種有小牽牛花(○○○○)、高三四寸、未蔓不架、二葉而開花、故名二葉牽牛花、亦小美也、蓋此生瘠地長者也、復種其子乃如之、有朝顏晝顏夕顏之三品、朝顏、〈牽牛花也〉晝顏、〈旋花也〉夕顏、〈瓠瓜之花〉皆以其花盛時之、

〔物類品隲〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 牽牛子 和名アサガホ、黒白二種アリ、黒丑(○○) 黒牽牛子ナリ、花色數十種アリ、黒白江南花和名シボリアサガホ(○○○○○○○)、花鏡曰、近又有異種、一本上開二花者、俗因名之曰黒白江南花、重瓣ノモノアリ、奇品ナリ、不實、其餘近世花色數十ニ及ブ、藥用ニハ碧花ノモノヲ用ベシ、白丑(○○) 白牽牛子ナリ、是牽牛子ノ花實皆白キモノナリ、東璧天茄子ヲ白丑トスルハ非ナリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十四/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0465 牽牛子 アサガホ〈和名鈔〉 ケニゴシ〈古今集〉 一名假君子〈輟耕録〉 三白草〈村家方〉古アサガホト云ハ木槿ナリ、故ニ萬葉集秋七種歌ニアサガホト云フハ牽牛ニアラズ、牽牛ハ人家ニ多ク種ユ、花青碧色ノ者ヲ黒丑ト云、又黒牽牛トモ云フ、又白色ノモノヲ白丑ト云、又白牽牛ト云ナリ、葉ノ形皆三尖ニシテ互生シ微毛アリ、品類尤多シ、花鼔子(チヤルメル)ノ形ヲナシテ五尖アル者ハ 尋常ノモノナリ、又五瓣筒マデ切レタルモノアリ、又花頭五尖ナルモノヲ桔梗ザキ(○○○○)ト云、葉モ亦五尖ナリ、其圓瓣ナル者ヲ梅ザキ(○○○)ト云フ、尋常ノ花ノ形ニシテ、中ニ小瓣アルモノヲ孔雀(○○)ト云フ、紫アリ、淡紫アリ、紅アリ、淺紅アリ、間色ナルモノアリ、碧白相間ル者ヲ黒白江南花〈祕傳花鏡〉ト云、俗ニマツヤマアサガホ(○○○○○○○○)ト云、又藍色ニシテ紅點ナルモノアリ、又千葉ニシテ間色ナルモノアリ、瓣多シテ重シ、故ニ正開スル時ハ莖自ラ折テ實ヲ結ビ難シ、集解、時珍曰、白者人多種之云云、此草ハハリアサガホ(○○○○○○)ナリ、一名テウジナスビ、トウナスビ、マンバラス、或ハモンバラストモ云フ、寛延ノ始薩州ノ商人此種ヲ擕ヘ來ル、今ハ諸州ニ多ク栽ユ、春月種ヲ下スコト牽牛子ノ如クス、葉ハ何首烏葉ノ如ニシテ光アリ、藤ニ桑刺アリ人ヲ傷ラズ、花牽牛花ニ同クシテ小ク淡紫色、筒ニ近シテ色深シ、申ノ時開テ戌ノ時萎ム、故ニ今俗ユウガホト呼ブ、其蒂肥テ柔刺アリ、甚茄ノ蒂ニ似タリ、上ニ房ヲ結テ牛奶茄(ヒトクチナスビ)ノ形ノ如シ、熟スル時ハ白色微褐牽牛子殼ノ如シ、内ニ子アリ、子形亦同シテ微大白色、其嫰ナル者ハ食フベシ、コレ救荒本草ニ載スル所ノ丁香茄兒一名天茄兒ナリ、白牽牛ニ非ズ、時珍ノ説誤レリ、白牽牛ハ白花ノ牽牛ヲ以テ眞トスベシ、一種ヒラヂクアサガホ(○○○○○○○○)ト云者アリ、莖ノ形覊王樹(サボテン)ノ如ニシテ毛茸アリ、厚サ一分餘、濶サ三四寸ニ及ブ、花ノ形尋常ノモノニ同フシテ、色ニ數種アリ、葉ノ形三尖アリテ莖ニ互生ス、唯梢葉ハ女青(ヘクソカヅラ)葉ノ如ク長クシテ、左右ニ尖リナシ、又一種矮生ノ者アリ、高サ四五寸ニ過ギズ、莖http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif クシテ蔓延セズ、コレヲ木アサガホ(○○○○○)一名二葉アサガホト云フ、

〔草木六部耕種法〕

〈十/需花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0466 牽牛ハ近來大ニ用ヒラルヽヲ以テ、種々ノ珍花多ク世ニ現レ、其品二百七十餘種アルニ至レリ、其中ニ於テ名ノ最高キモノハ、亂(ラン)獅子、〈花切レテ瓣ノ數多ナル者ヲ云ナリ〉孔雀〈花筒ヨリ細キ花瓣ノ、長ク延出タル者ヲ云フ、〉重樓(テウロウ)〈花筒ヨリ長キ薹抽テ、其端ニ菊ノ如キ、花開クモノヲ云フ、〉宇津河(ウヅカハ)〈葉小サクシテ、厚ク縮タル者ヲ云フ、〉松島〈葉ノ黄色ニテ、青キ斑ノ有ル者ヲ云フ、〉 石下(セキカ)〈數多ノ莖皆寄著テ、一箇ノ扁キ大莖ト成テ、枝ノ無ク花ノ多ク開ク者ヲ云フナリ、〉縮緬〈花ノ細カニ縮タルヲ云フ〉月暈(ミカサ)〈花白クシテ、筒中ノ紅ナルヲ云フ、〉濱千鳥〈其葉小クシテ花モ小ク、夥シク花開モノヲ云フ、〉柳葉(ヤナギバ)〈葉細長クシテ、柳ノ如キ者ナリ、〉風看(カザミ)〈其葉ノ絲瓜ノ葉ニ似タル者ヲ云フ〉等ナリ、牽牛ノ花ハ琉璃色ト白ハ古ヨリノ常色ナレドモ、今ハ淡紅、深紅、淡紫、深紫、淡藍、流黄(ウスキイロ)等モ有テ、且又間道モ綵纈モ種々色ノ間錯タル者アリ、花ノ形状モ大小長短アリ、瓣切タルアリ、切ズシテ縮タル有リ、八重モ有テ變異愈出テ、其名目ヲ記スベカラズ、總テ其筒ノ轉ジタルヲ茶臺ト名ク、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0467 牽牛(あさがほ)〈本草〉 藥に入には黒白の二種を用、李氏本草綱目に丁香茄苗(てうじあさがほ)〈救荒本草〉を以て白牽牛(はくけんご)とするは誤なるべし、白牽牛は常のあさがほの中にて、種の色白ものなり、近頃江戸大坂にて、多植るゆへ種類甚多、悉擧に暇あらず、花の色は碧色は常品なり、紫淡黄紅、又淺青に紺の竪筋あるものあり、又白して筒の紅きあり、又花瓣切たるあり、又切ずして縮たるあり、又花切て瓣多ものを亂獅子と名く、又花の筒より細長き花瓣出るを孔雀と名く、又八重あり、筒を轉ずるものを茶臺と云、又葉の形變ものあり、葉小く厚縮たるを宇津川と名く、又葉黄緑色にして緑斑あるものを松島と名く、又葉細長して柳の如きものあり、又絲瓜(へちま)の葉に似たるものあり、又數多の莖皆寄著て莖扁くなり、枝なくして花多開ものあり、是は石下なり、その餘二百餘種あり、

〔嬉遊笑覽〕

〈十二/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0467 安永七八年、さくら草、形のめづらしきがはやり、權家の贈りものとす、數百種に及ぶ、これは下谷和泉橋通りに、谷七左衞門といふ大番與力あり、其人の老母、花を植作る事を好み、櫻草を多く植作れり、〈◯中略〉其後朝がほを多く作り、さま〴〵の花出來しかば、この度は六枚折の小屏風を葭簀にて作り、細き青竹處々節ある處にて、竹の花生のやうに口を切て、節毎に水を貯へ、朝がほの蔓の先、葉一寸ちぎりたると、花一りんとを、花生の口ごとに挿み、これを件の屏風にかけならべて、屏風はたヽまるヽやうに、縁を厚く作るなり、是も人に借して見せたり、この屏風はあまた有き、文化五六年の事なりし、一とせ谷氏大坂に在番したる頃は、彼地へ多く牽牛子を 送りたり、

〔菜藥使記〕

〈下/備州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 照任曰、備中ノ松山ト云フ所ニ、此頃珍シキ牽牛花ヲ生ゼリ、花葉ノ形ハ古來ヨリ有リ來ルニ同ジクシテ、丈長カラズ、三四尺位ヲ限トス、花ノ色白ト紺ト咲分ケ、或ハ白地ニ紺ノ細カナル星入リ、又紺ニ白キ細キ筋入ルモアリ、其年ノ子ニテ又生ジ花咲ク、近比京師ニテ松山アサガホ(○○○○○○)ト云フ、

〔玄同放言〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 山牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 因にいふこの兩三年來の刻本、牽牛品、及朝貌通を閲するに、異様雜色、數十種を載せたり、しかれども黒牽牛はさらなり、黄花も亦稀なり(○○○○○○○)、好むものヽ云、今年眞黄處々に出づ、これ未曾有の奇品なりといへり、按ずるに、元祿三年の印本、俳諧物見車の卷端に、朝貌に黄あり白きありといふ腰句を出だして、當時の俳諧師、似船、晩山、言水等數人に、上の五文字をおかせたるに、似船は末の世や云々、常牧は僧いかに云々、我黒は時世かな云々、晩山は蝕の夜や云々、と五文字を冠らせたり、又如泉は、當分は五もじ置きかね申し候と辭し、言水は朝貌に黄なるは稀なりとのみいひて、五文字を置かず、方山は返答もせざりしよしを、その名の上に注したり、この事は北條團水が牘牛(コトヒウシ)に飽まで辨じたれども、こヽに要なければ贅せず、よりて思ふに、天和貞享のころ、牽牛花の流行せしことあるなるべし、もししからずば、黄花は今も稀なるに、當初あるべうもあらず、あらずば黄あり白ありといふべからず、

〔武江産物志〕

〈遊觀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 牽牛花(あさがほ)〈下谷本所〉 花形の變りは〈孔雀 亂獅子 梅咲 桔梗咲 ちヾみ 茶屋 采咲 八重孔雀 薄黄 牡丹咲 龍膽咲 吹切咲 糸咲 風折 劔咲 いぎりす 眉間尺 卷絹 薩摩紺 絞り類〉 葉形の變りは〈孔雀 龍の眉 龍田川 葵葉 黄葉 松島 柳葉 唐糸 鳳凰葉 柿葉 宇津川 いさは類 南天葉 七福神 芙蓉は 金剛獅子 銀龍 鼠葉 圓葉 紅葉ば 通玄仙 破柳 薯葉 山鳥 石花 木立〉

牽牛子栽培

〔農業全書〕

〈十/藥種之類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0468 牽牛子 けんごし、黒白の二色あり、子の白きが、直段少高し、是又屋敷廻り餘地あらばうゆべし、かきにははせ、藪にもまとはせ、其外他の物のさのみ盛長せざる所にうへ置て、竹を立はヽすべし、土地の費へさのみなく、長くはひまとひ、子多くなる物なり、子を二月蒔置て、三月移しうゆるもよしかきのもとなどにうへ付にして、少糞灰などかけ置べし、秋の末子熟し、蔓も枯て後下に筵など敷、垣ををしたをし打て取べし、又一々つみ取もよし、多少により、所によるべし、藥屋に賣て利なき物にあらず、又子を多く取、油をしめ取もよし、

〔草木六部耕種法〕

〈十/需花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0469 凡牽牛ヲ作ルニハ、先其種子ヲ能ク撰ビ、苗代ヲ造テ苗ヲ爲立ベシ、苗代ハ赤土ニ臘土小便灰等ヲ能ク耙交ヘ、二月上旬ヨリ春分頃マデニ種子ヲ下シ、其培養ノ法ハ、悉ク藍苗ヲ爲立ル如クシテ、八十八夜過テ此ヲ移シ植ベシ、植地ハ花壇ニテモ盆栽ニテモ、牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif ヲ植ル心持ヲ少シ含テ植付置キ、時々盛養水ヲ薄クシテ洒ギ、盆栽ハ殊ニ此ヲ乾燥セシムルコト無カルベシ、

〔朝顏通〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0469 附録土拵方植木しめの隨分赤みあるあらき土に、砂三分を和して、立冬より春分にいたる迄、雨のあたらざる所に圍ひ置、其後乾し、ほど能通し用ゆ、或はマイゴミ赤川同じ、〈◯中略〉屎入方芽出葉生ひ蔓のびて、既に莟あらはるヽ節屎を入、又半月を經て屎を入、十日廿日目と次第に屎を見合て入べし、尤大抵のものは直入よりは、屎水をかけるべし、極日當りを吉とす、又斑のにぶきものは屎を扣へて能日に當べし、大暑後の日は晝までの日を好て、晝後の日をいむべし、〈◯中略〉大輪仕様土五合入鉢によし屎土を入、たね四五りうを眞中へまき、程よきを殘して、其餘を去り、莟あらは るヽ節、壹升ほど入鉢に、こへ土に干鰯等をまじへ鉢の底にしき、その所へ其儘にうつし、外を右之屎土の砂がちなるを、やわらかに入、扨其鉢を土の中にうづむか、又は三升ばかり入鉢等にうづむべし、花三りん又四りんつけて、其餘の芽出次第にとり、前日夕方につぼみ臺より末にいたり、二寸六分あれば、翌日四寸經りの花ひらくとしるべし、葉小にして花大なるを好とす、〈◯下略〉

〔剪花翁傳〕

〈三/五月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0470 蕣 花種々近世異花數百品枚擧べからず、よて育方略之、開花五月上旬より漸々咲て、七八月にもおよぶ也、升水の方切口を沸湯に入て後、水器にhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif 入おくべし、されどいまだ盡ず、酢煮して後冷水にhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif 置べし、慥に升水る也、又方龍骨を以よく煮るもよし、又午後より夕方までに花を開かせんには、前夜に、蕾の蔓を切、さて葱(ねぎ)の末を蕾をいるヽ許に切て、蕾に帽せ、よく詰置、重石を結て井中に深くhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif 入おき、翌日備用のとき帽を脱して挿花にすべし、

〔武江年表〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0470 文化十二年乙亥、今年より肇り朝顏の異品を玩ぶ事行、文政の始迄、都下の貴賤、園へ栽へ、盆に移して筵會を設く、

〔甲子夜話〕

〈十四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0470 近クハ牽牛花ノ變甚フシテ、花色ノミナラズ、葉ノ形状モ變ジテ、柿葉、柳葉、楓葉、葵葉ナドヽ唱ヘ、イカニモ其呼所ノ如キ葉ナリ、花ノ品類ヲ賞スルハ聞ヘタリ、葉形ノ變ゼル何オモシロカルベキヤ、人ノ好尚モカク迄ネヂケタルコトヨト、興醒ルバカリナリ、又一變シテ、花ノ大輪ヲ賞スルコト流行出シ、花ノ指渡シ數寸ニ及ブ、其種法ヲ聞クニ、肥土ヲ臘月ヨリ製シ、牀下ニ藏メ、春雨ニアテヽ盆ニ上セ種ヲ下シ、又移植シテ培養シ、蔓ノ延ザルヤウニ先ヲ留メ、葉モ多クテハ精力洩ル迚摘去リ、花數モ纔ツケテ、只一花ノ輪ノ太キナルヲ互ニ戰ハス、其盆栽ノ形容、蔓生トモ見ヘズ、譬ヘバ鳥ノhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ae63.gif 毛ヲムシリ取シガ如ク、誠ニ見苦シク見ルニ堪ザル計ナリ、菊牡芍ナドハ、盛モ久シケレバ、花ノ見所モ長クアリ、牽牛花ノ朝ニ開キ、晝ハ萎果ル物ナルヲ、頃刻ノ觀ニ供スル迚、半年餘ノ人力ヲ費スハ、餘リトイヘバ了簡モナキ、淺ハカナル娯樂ニテ、イカニモ 今ノ世ノ人心相應ノ玩物ヨト思ヘバ、長大息シテ其花モ見ラレヌヤウニ覺ユ、此巧思ト人力トヲ以テ、五穀ノ中何ナリト、新タニ作リ出サバ、後世民用ノ助トナル嘉穀ノ別種モ、生ズベキニヤ、

牽牛子利用

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0471 雜給料四味理仲丸廿劑、〈◯中藥〉牽牛子(○○○)丸五劑所須、〈◯中略〉牽牛子三斤十三兩、

〔廣益地錦抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0471 牽牛子 あさがほの實也、はなに白、紫、淺黄、紅、櫻色あり、藥種にはむらさき花さくを用ゆ、

〔四方の硯〕

〈月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0471 いつの時にか有けん、西國に經濟の志ある人、國の窮乏をなげき、國守に富國の術をすヽめて、堤に水蝋(イボタロウ)樹と唐牽牛子とを、多く植しめけるが、牽牛子は油に製すとなり、この國それよりして、大富強國となりぬといふ、管子の意に通ぜる人なるべし、

〔今昔物語〕

〈二十八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0471 越前守爲盛付六衞府官人語第五今昔、藤原ノ爲盛ノ朝臣ト云フ人有ケリ、〈◯中略〉早ウ此ノ爲盛ノ朝臣ガ謀ケル様ハ、此ク熱キ日平張ノ下ニ、三時四時炮セテ後ニ呼入レテ、喉乾タル時ニ、李、鹽辛キ魚共ヲ肴ニテ、空腹ニ吉クツヽシリ入サセテ、酸キ酒ノ濁タルニ、牽牛子ヲ濃ク摺入レテ呑セテハ、其ノ奴原ハ不痢デハ有ナムヤト思テ、謀タリケル也ケリ、

〔福富草紙〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0471 此女は七條のとね翁の妻にてさぶらふ、あやしのへひりの秀武、きなにばかされ、朝皃の實をすきたれば、そののちかくひ候へば、心をみさせ給くすりを給べき也、ひでたけと申すやつのわざにてさぶらふ翁をすかして、朝皃のみを十つぶいりすかせてさぶらへば、其後はらたれとけて、はざうのみづをいだすやうにつかまつれば、としおいたるものヽかくさぶらへば、なにをたのみ、さながらふべきぞ、うねべどの、たすけさせおはしませ、朝皃のみは、ひとつだに腹とくる物なるを、さてすきてんには、よき事ありなんや、さりともこの藥をすきては、けしうはあら じ、これをすかすべきなり、

牽牛子雜載

〔萬葉集〕

〈八/秋雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0472 山上臣憶良詠秋野花二首秋野爾(アキノヌニ)、咲有花乎(サキタルハナヲ)、指折(オヨビヲリ)、可伎數者(カキカゾフレバ)、七種花(ナヽクサノハナ)、芽之花(ハギガハナ)、乎花葛花(ヲバナクズハナ)、瞿麥之花(ナデシコノハナ)、姫部志(ヲミナベシ)、又藤袴(マタフヂバカマ)、朝貌之花(アサガホノハナ)、

〔萬葉集〕

〈十/秋相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0472花展轉(コイマロビ)、戀者死友(コヒハシヌトモ)、灼然(イチジロク)、色庭不出(イロニハイデジ)、朝容貌之花(アサガホノハナ)、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0472 岡村氏曰、萬葉集云、山上臣憶良詠秋野花二首、秋野爾、咲有花乎、指折、可伎數者、七種花、〈其一〉芽之花、乎花、葛花、瞿麥之花、姫部志、又藤袴、朝貌之花、〈其二〉是朝貌之野生可知也、而牽牛子漢種、無野生、或訓木槿阿佐加保、木槿亦漢種、無野生、則萬葉集所詠朝貌非牽牛花、又非木槿、也、竊按古之朝貌(○○○○)、蓋謂(○○)旋花(○○)也(○)、旋花所在有之、是萬葉集所以詠阿佐加保於野花中也、萬葉集詠花歌云、朝果朝露負咲雖云暮陰社咲益家禮、亦詠旋花、雖其名曰朝貌然日晩猶不衰也、今本載在萩歌中者、傳寫錯亂也、後牽牛子自漢土至、當時未和名故古今集物名謂之計爾呉之、而其花甚似旋花、故謂牽牛又爲阿佐加保、牽牛開花蚤於旋花殆一時、其花大而美、倍於旋花、遂以專朝貌之名、於是俗名旋花晝貌、以避牽牛花之阿佐加保、蓋以㆛旋花至日晩猶不萎、不㆚與牽牛花之遇日影則萎同㆙也、按旋花本名舜、見説文、俗從艸作蕣、以別http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d3b8.gif 舜字、木槿一名蕣、亦見説文、或假舜爲蕣、毛詩顏如舜華、傳、舜木槿也、是也、然則旋花之舜或可蕣、木槿之蕣或可舜、而木槿亦朝華暮落者、則謂木槿朝貌者、蓋因蕣舜通作與朝花暮落而誤也、是亦可㆕以證旋花爲朝貌也、

〔古今和歌集〕

〈十/物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0472 けにごし(○○○○) やたべの名實うちつけにこしとや花の色をみんおく白露のそむるばかりを

〔傭字例〕

〈附録〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0472 けにごし けにごしは牽牛子なり、牽字は、韻鏡二十三轉先韻にて舌内聲なり、牛は、三十七轉尤韻の字にて、音ギユウ、呉音グウなり、然るにゴといふ音に用るは、萬葉集に瞿麥を牛麥と書るは、ウ韻を略きてグと呼なり、又普通に鐘樓(シユウロウ)をシユロウと唱ふる例と同じことにて、また其グを通音のコに轉じたるなるべし、牛王、牛頭、牛膝等の類ひ准らへ知べし、太田氏云、尤虞通用ニテ、牛ノ呉音ギユナリ、其ギユノ切ゲトナレリ云々、又云、牛ノ呉音ゴハ、富ニホ、救ニコノ音響也といへり、

〔拾遺和歌集〕

〈七/物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 あさがほ よみ人しらず我やどの花のはにのみぬるてふのいかなるあさかほかよりはくるけにごしわすれにし人のさらにも戀しきかむけにこしとはおもふ物かは

〔拾遺和歌集〕

〈二十/哀傷〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 朝がほの花を、人の許につかはすとて、 藤原道信朝臣あさがほを何はかなしとおもひけむ人をも花はさこそみるらめ

〔源氏物語〕

〈四十九/寄生〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 つねよりもやがてまどろまず、あかし給へるあしたに、霧のまがきより、花の色色おもしろく見えわたる中に、あさがほ(○○○○)のはかなげにてまじりたるを、猶ことにめとまるこヽちし給、あくるまさきてとか、つねなき世にもなずらふるが、こヽろぐるしきなめりかし、かうしもあけながら、いとかりそめにうちふしつヽあかし給へば、此花のひらくる程をも、たヾひとりのみぞみ給ける、人めして北の院にまいらんに、こと〴〵しからぬ車さし出させよとの給、〈◯中略〉朝がほをひきよせ給ふに、つゆいたうこぼる、けさのまの色にやめでんをく露のきえぬにかヽる花とみる〳〵、はかななどひとりごちて、をりても給へり、

〔源氏物語湖月抄〕

〈四十九/寄生〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0473 細、〈◯細流抄〉槿は常なき花の色なれや明るまさきてうつろひにけり、

〔赤染衞門集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 あさがほのはなをとくみんとて、つま戸をあけたれば、露いみじうおきたるを、朝がほのとくゆかしさにおきたればわれよりさきにつゆはゐにけり

〔梅花無盡藏〕

〈六/雜文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 江戸城留別碧牽牛花詩序余慕司馬公花庵之碧牽牛、就武陵寓處之東西籬、挿數百莖、爛熳捧露、長享戊申仲秋、棄地而去、斯花如知、而曉碧蕭條映分袂、無端爲花、作留別之詩、蓋攀東坡留別牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 之例也、巨福之聖緒文翰墨之志、九牛毛中寔麟之一角也、邇來移几案於武之江城、雖騷屑之時、與余往還無虚日、投片紙一辭、不旅蓑、矧可舒嘯乎、漫寫牽牛之一落、索萬分之一、有今時之王摩詰則碧尤之體度、請畫爲

〔駿臺雜話〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 朝がほの花一時此時松永某とて、鈴木氏が道學の友ありけり、其人朝がほの歌とてかたりしが、自からよめる歌にや、又は鈴木氏がよめるにや、とかく兩人の内にてあるべし、あさがほの花一ときも千とせ經る松にかはらぬこヽろともがな、此歌も意味ふかきやうにおぼへ侍る、昔よりあさがほをよめる歌おほけれども、大かた朝がほのあだなる事をいひて、秋のあはれをそへ、世のはかなきをしらするを趣向とする外は見へず、〈◯中略〉今松永氏が松にかはらぬ心といへるは、それにてはなかるべし、各いかヾおもひ給へる、翁〈◯室鳩巣〉は朝に道を聞て夕に死するも可なりと、いへる意とこそ思ひ侍れ、〈◯下略〉

甘藷/名稱

〔和爾雅〕

〈七/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 甘藷(リウキウイモ)〈朱薯、紅山藥並同、〉 蕃薯(アカイモ/リウキウイモ)〈見于閩書

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 琉球薯(リウキウイモ)〈本名蕃薯〉 蕃薯(アカイモ)

〔物類稱呼〕

〈三/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0474 甘藷りうきういも(○○○○○○) 畿内にてりうきういもと云、東國にてさつまいも(○○○○○)といふ、肥前にてからいも(○○○○)といふ、享保年中薩州より來る、味ひ美にして其性よろし、又長崎にりうきういも、てうせんいもと稱する物有、是は別種にして蕃薯なり、

〔大和本草〕

〈五/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0475 蕃薯(リウキウイモ/アカイモ) 閩書曰、萬暦中、閩人得之外國、瘠土砂礫之地、皆可種、蔓生如瓜萎黄精山藥之屬、而潤澤可食、或煮或磨爲粉、其根如山藥、皮薄而朱、今案に、此物長崎ニ多シ、菓トシテ食ス、味甚甘シ、寒ヲヲソル故、他邦ノ寒土ニウフレバ消ユ、暖地ニウフベシ、甚繁茂ス、藥肆ニ白蘞トテウルハ蕃薯多シ、辨別スベシ、不用、甘藷 蕃薯ノ類ニテ別ナリ、倭俗ツクネイモト訓ズ誤ナリ、ツクネイモハ佛掌薯也、甘藷ハ蔓草也、葉ハ蕃薯ト蕺菜ノ葉ニ似タリ、葉ノ形カクノ如シ、〈◯圖略〉根ハ瓜樓根ニ似タリ、根下ニモ短キ蔓アリ、根ノ餘ノヒゲナリ、又鵞卵ニ似テ大キナリ、鴨卵ノゴトク小ナルモアリ、大ナルハ重一斤アリ、長キアリ、圓キアリ、夏月蔓長ク生ズ、其蔓ノ節地ニツケバ根生ズ、故ニ蔓ヲ切テ植レバ根生ジテ活ス、貧民朝夕飯ニ充ツ、或蒸テホシ、細末シテ餻トシ糧トス、來年ニ至リ久ニ堪ヘ、民食ヲ助ケ、飢饉ヲ救フ、其利益大ナリ、是其功能ノ第一ナリ、

〔大和本草〕

〈附録一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0475 蕃薯(/アカイモ) 閩海而南有呂宋國、國渡海而西爲西洋、呂宋其國有朱薯、被野連山、而是不種植、其初入吾閩時、値吾閩http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000017140.gif 、得是而人足一歳、其種也不五穀http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 地、凡瘠鹵沙岡皆可以長、糞治之則加大、泉人鬻之、斤不一錢、二斤而可飽矣、〈是與甘藷同、長崎多、長崎ニテハアカイモト云、〉

〔五雜俎〕

〈十一/物〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0475 百穀之外有以當http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 穀者芋也、薯蕷也、而閩中有番薯、似山藥而肥白過之、種沙地中生、而極蕃衍http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000017140.gif 饉之歳、民多頼以全活、此物北方亦可種也、〈按嵆含草木状、有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6af.gif 、形似薯蕷、實大如甌、皮紫肉白、可蒸食http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 之、想即番薯未知也、〉

〔茅窻漫録〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0475 甘藷甘藷さつまいもと訓ずるは、最初薩摩へ來す故なり、琉球いもといふは、彼土に多く作る故なり、元來は蠻種にて、和漢ともになき者なりしが、今は和漢とも甚多し、白赤黄の品種ありて、赤き者は閩書に、蕃薯根如山藥、皮薄而朱とあり、貝原翁は赤きを赤芋とし、甘藷を常のさつま芋とし、兩 種分別せらるれど、實は兩種一物なり、

〔官中秘策〕

〈十九/年中行事〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0476 年中諸大名獻上物之事三月一甘薯 松平右近將監

甘藷種類

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十九/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0476 甘藷 リウキウイモ サツマイモ シマイモ〈讃州〉 トウイモ〈肥前〉 カライモ ハチリ〈共同上◯中略〉本薩州ヨリ來ル、今ハ東國ニモ多ク種ユ、土地ヲ撰バズ、砂礫ニモ繁殖ス、種ル法ハ農業全書ニ詳ナリ、蔓生葉ハ梓葉(アカメガシワ)ニ似テ鋸齒ナクシテ一尖、或ハ三尖アリ、質厚クシテ深緑色、新葉ハ紫色ヲ帶ブ、皆互生ス、花ハ鼔子花(ヒルガヲ)ニ似テ大ナリ、色モ異ナラズ、其根皮色白ク、或ハ微紅、生ナル時ハ肉白シ、煮ル時ハ黄色トナル、是ヲリウキウイモ(○○○○○○)ト呼ブ、肥前ニテハ、シロイモ(○○○○)ト云フ、甘藷中ノ下品ナリ、上品ノ者ハ薩州ニアリ、方言ボケ(○○)、一名アカバチリ(○○○○○)、〈肥前〉サツマバチリ(○○○○○○)、〈同上〉此品甚寒氣ヲ畏ル、故ニ東國ニテ蒔ルコトアタハズ、其皮薄シテ紫赤色、煮ル時ハソノ肉色白クシテ黄ナラズ、味沙糖ノ如シ、又肥前ニモチバチリ(○○○○○)、サクラバチリ(○○○○○○)アリ、皆上品ナリ、唐山ニテ甘藷ノ至テ大ナルモノヲ、玉枕藷、〈群芳譜〉三家藷〈華夷花木考〉ト云フ、増、〈◯中略〉蘭山翁シロイモヲ甘藷中ノ下品トシ、アカバチリ、一名アカイモヲ上品トスルハ誤ナリ、シロイモハ緊實ニシテ味甜美、最上品ナリ、アカイモハ鬆疏ニシテ緊實ナラズ、味甚ダ淡シ、甘藷中ノ下品ナリ、但アカイモハ、收成多クシテ民用ニ益アルノミ、

〔長崎夜話草〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0476 長崎土産物赤芋琉球芋 二種一類にて、赤芋ハすぐれて甘味なり、赤芋は薄皮は紅色にて、内は甚白し、琉球芋は内外黄色、甘味うすし、田家多く種て糧として、凶年の飢を助け、脾胃を補ふ、利益尤多し、根本 長崎には薩摩より傳へて、今は九州に流布す、但寒地には榮へがたし、唐人は酒にも造り、又水飛し粉を取て餅にしたるは、上品の物なり、

〔浪花の風〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0477 薩摩芋は殊に多し、青みあるものと、赤みあるものとの二種にて、青みあるものは、俗に水芋(○○)と唱ふる種なり、水芋の方都て甘みは強し、

甘藷傳來

〔大和本草〕

〈五/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0477 甘藷〈◯中略〉 此種元祿ノ末、琉球ヨリ薩州ニ渡ル、煖土ニ宜シ、寒地ニ植レバ生ゼズ、番薯ノ如シ、經久味ヲトル事本草ニ云ガ如シ、

〔本朝世事談綺〕

〈二/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0477 甘藷元祿の末、琉球より薩摩へわたる、煖土によろし、寒土に植れば生ず、本綱云、南方の海人多壽なるは、五穀を食せず、甘藷を食するゆゑなりとあり、此蔓を切植に、根生て活す、土人朝夕飯に充、あるひは蒸て干粉にして餻とす、民食を助け飢を救ふ、其利大なり、肥前薩摩に多植る、東武へ來るは頃年〈◯享保〉なり、

〔塵http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d3cf.gif 談〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0477 薩摩芋の事、日本には寶永元申年より、琉球芋薩摩より種來る、長崎にて專ら種たるよしなり、青木文藏名敦書、號崑陽〈當時百五十俵、青木岳太郞祖父か曾祖父なるべし、〉蕃藷考と云ふ書を著し、享保二十年乙卯二月十五日上書す、書中に薩摩よりも蕃藷種藏の法を上書せし事を載たり、最初唐土より琉球へ渡り來り、琉球より薩摩へ渡りて、三十四五年程に相成よしに見へたり、同年三月、文藏に植立候様被仰付、小石川養生所内へ圃をこしらへ造り、元文元辰年御止になり、同二巳年三月三日、養生所勤役の者へ芋割賦し、芋畑引拂被仰付、其後諸國へ流布して人毎に食し、朝夕の助となれり、寶暦年間に至りては、上總下總銚子岩槻伊豆大島、其外諸所より多く作りて江戸へ運送す、銚子を上とし、大島より出るを島芋といふて絶品なり、近歳に至り大なる國益といふべし、

〔成形圖説〕

〈二十/五穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0477 唐芋(カライモ)〈是專俗の通稱なり◯中略〉 此もの吾邦に入りしは、既に慶元、〈◯慶長元和〉の頃ほひ、呂宋等の諸蕃より、吾藩、〈◯鹿兒島〉の唐港に〈即坊津〉互市せし時、齎し來し由いひ傳へぬ、當初吾藩の僧文之が著せる南浦文集、呂宋國に贈る書牘の中に、彼國の商船贈信交易せしことヾも詳に載たり、當時の番舶吾邦に入貢せしは、多く川邊郡坊津に幅輳せしかば、歌にも唐の湊とはいひける、是もの唐芋ともいふは、我俗海外の地をさして、なべて加良と呼びしが故ぞかし、大和本草、和漢三才圖會等の書は、元祿中に撰しものなるに、甘藷は先年より薩摩長崎へ種ると記せる、是にて元祿よりもいと早く西偏にはうゑ始けるを見るべし、且吾沖縄島には、儀間親雲上(ギマバヒキン)が西土へ渡りし時、福建より持歸て種廣めしといふ、其後元祿十一年戊寅の歳、中山王より甘藷一籠を、藩の大夫種子島久基に贈りしかば、室老西村某に命じて、久基の采邑熊毛郡種子島石寺野といふ處に種そめしこと、其家乘に載たりき、〈◯註略〉又薩摩頴娃郡山川の郷兒水(チゴガミヅ)に、利衞門といふ者、寶永二年乙酉のとし、沖縄よりもち來りて植たてしとて、今も山川の者語り繼つ、利衞門が事を徳とせるあり、此等の説どもをおもふに、此もの始呂宋國より直に持渡りしほどに、唐芋と呼名せしとしらる、若琉球より始致(イタサ)ましかば、琉球芋とこそいふなるべけれ、しかるを筑紫中國にては、本藩の船どもの琉球より登りつ、又は浪華へ往來する時、此種子を琉球の芋なりとて傳へ弘めしより、琉球芋の名を負せたるならし、和漢三才圖會曰、甘藷(リウキウイモ)は琉球國多有之、薩州及肥州長崎亦多種之と載て、本外國より舶傳せしことはいはざる也、按に甘藷は、明の李時珍の綱目を著すの時までは、いまだ唐山にもなかりき、故に異物志艸木状を引て、出交廣、南方珠崖之不耕者惟種、此等の説ありて、現に見たりとはいはず、本綱成て後十六年にして、明の萬暦廿二年甲午のとし、閩人陳經倫なるもの、其父振龍嘗て呂宋國に商ひせしに、朱藷の多きを見て、陰買して持歸り、及び其種法を傳へ置しを、時の巡撫金學曾といひし者に獻り、初て閩中に種廣めて、大に歳荒を救ひしかば、民其利を徳として金薯と名け、蕃國より渡 ればとて、蕃薯とも稱せしなり、是本邦にしては後陽成天皇の文祿三年に當れり、其後百六十年餘を經て、清國の乾隆廿年乙亥の頃、〈乾隆廿年は斯方寶暦五年なり〉經倫五世の孫陳世元、其男雲相次て、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000302.gif 縣膠青豫等の州に種しより、漸く東淅の地に轉へ致しける、其始末は金薯傳習録に詳にせり、されば西土へ流傳せしは甚近し、

甘藷栽培

〔成形圖説〕

〈二十/五穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0479 唐芋(カライモ)〈是專俗の通稱なり◯中略〉此藷春暖新芽を發す、其莖紫色を帶び、漸く蔓をなし、節あり、其節地に著ば根鬚を生じ、地につかざれば葉を生ず、葉は蕺菜(シブキ)の葉に似たるあり、又三尖を成して牽牛子葉に似たるあり、南方の暖地にては、秋淡紅花を開く、夕顏の形と相同じ、其根塊を成し、子母鉤連して五六相簇つく、其塊皮紫赤色なるもの多し、亦白あり、深紅あり、淺紅あり、淡黄あり、濃黄あり、淡紅白の二色をなすあり、形ちは圓にして長し、本末皆鋭りて末には少し細鬚あり、肉の質理膩潤ありて、其色は白と黄との二つなり、氣味は甘平無毒、生熟倶に食べし、〈◯中略〉凡此ものは二月なかば、園圃中日あたり宜しく、南向の暖地をえらみ深く耕し、故藁類をきりこみ、馬糞を覆ひ、地の温に和ぐ様にして、藷塊を縱に稠くうヽる也、又其半を出し、半に土をかけ置もあり、都而土を覆ふも宜し、さて上には腐りたる茅藁類を覆ひ置ば、三月に至り芽を叢生し、漸く蔓をなす、是を苗床といふ、蔓一二尺に及ころ、細雨中もしくは雨後の曇りたる日をえらみ、芽を缺とり、別に耕し拵らへ置たる畑に、二尺ばかりづヽ間を明け、横相距こと七八寸間に種べし、是をかぎうゑといふ、〈苗床一歩に藷塊四五斗をうゑ、一ばん苗にて二三畦にうゑ及すなり、〉はじめてかぎとりたるを一ばん苗といふ、又跡に出芽したるを二ばん苗三ばん苗といふ、四月初より六月の初までは殖るなり、二三ばんの苗を種るときは、一ばん苗にて種置し蔓成長(ノビタチ)ぬるゆゑ、是をきりても種るなり、農業全書等に、旱せば水を瀉ぐなどいへども、手廣く種れば民力及ばず、故に雨後に種置時は、何様の烈日にも活(ツカ)ずといふことなし、如此種終りて、夏の 内は其蔓の節々地に著ぬ様に、時々草を除き蔓を左右へ移し轉(マハ)すれば、根に力いり、塊を成こと大にして且多し、かくするを蔓反(ツラカヘシ)といふ、其まヽにして滋蔓(シゲリハビコラ)しめ、節々地に著て鬚を生ずれば、根に塊少し、初種しより二三度も草を除き、蔓を移すまでにて、水を瀉ぎ養を用ること絶てなし、〈たヾ富民初苗を種るとき、一株ごとに素灰を少しづヽ根に置て種れば、塊を成こと繁くして大なりといふ、〉今北陸の農家は、甘藷の苗床をなさず、畑の耕しこしらへして、畦筋を通し、塊種一を二つ三つに引缺て、蹲鴟(サトイモ)うヽるやうして、土を掩おくこと也といへり、されどかくしなんは、種塊多く費て、工夫(テマ)も殊にかヽりぬれば、必蔓種にしくものなし、

〔草木育種〕

〈下/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 甘藷(さつまいも)〈本草〉 又琉球いもとも云、薩州より來り、諸國に多し、武藏、相模、上總、安房等の砂地にて作るもの味よし、皮に赤みあるもの上品なり、山土にて作るものは形大なれども味劣り、赤土にても砂まぢりたる所へは作るべし、〈◯中略〉肥を用ず、

〔蕃薯考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 青木先生〈◯敦書〉の植法は、十二月に其苗の地を耕し肥し置て、春の彼岸すぎにうゆるに、灰又ハ牛馬の糞を土にまぜ、深サ二尺ほどにして、薯種を二三寸に切てうへ、土を五寸ばかりかけ、薯蕷を植るごとく間廣くうゆるなり、

〔八丈島年代記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0480 一享保八年、公命御厚情の御仁惠を以、被差遣候品々左之通、〈◯中略〉一薩摩芋種 一慧苡芢種右之通被差遣候處、さつまいも慧苡芢は作付不手馴爲哉、無間も此品ハ絶失申候、一享保十二年、公命御仁惠を以、左之通被差遣ル、一龍眼樹 身木二本 一薩摩芋種右之通、貳品被差遣候、〈◯中略〉右薩摩芋種手入いたし作付、樫立村より仕覺、夫々村々〈江〉も相弘メ、當時一方の助ケニ相成、一 同ニ作付ス、

〔十三朝紀聞〕

〈四/中御門〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 享保十八年二月、西國大疫〈◯中略〉先是琉球始貢甘薯于薩摩藩、長崎亦獲之於外舶、各種之、是歉也、其民頼免死者多、至是上國亦識其良菜、始傳種、

〔昆陽漫録〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 番薯〈敦書〉民間に在りし時、番薯は〈甘藷とも云ふ〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000017140.gif 年第一の助ゆゑ、諸書を考へ集めて一卷となす、享保十九年〈敦書〉に命じて、養生所の壖地に作り試みしむ、〈敦書〉元來近年關東島々困窮して、飢人在と聞くによりて思へば、罪人を島々へ流さるヽは、罪人の天年を終しめられん爲なるに、却りて飢うれば上の御惠みに違ひ、甚だ不便なることゆゑ番藷を考へ集めしなれば、關東島々へ渡し度と申上げければ、關東島々へ渡さる、〈敦書〉身に餘り難有ことなり、其後島々にて作り習ひたるや否や、絶えて知らざりしに、寶暦六年、都人神津島へ漂泊しけるに、島人番薯を與へて食はしむ、漂泊人この島にいかヾして番藷ありと問ければ、島人答へて云、享保年中上より番藷の種を渡し下されたれども、貯あしくして種くさりしに、其比薩州人島にありて番藷を作り、貯へ様を悉しく教へしにより、精を出だし作り習ひ、大さ大椀に入らざるほどに出來る、神津島は至りて小く、食物すくなく、飢人ありしが、番藷を作りてより、食物とぼしからずして、飢に及ぶことなく、人も次第に多くなるにより、上の御惠の難有あまり、小祠を立てヽ番藷を祀ると云、これ今年夏間聞くところなり、誠に一人にても飢人を救ふは、廣大のことにて、有徳廟の御仁政深く仰ぎ奉るべきなり、さて八丈島にては、番藷を少し作り、其外の島々は作らざるにや、いまだ聞かず、作り習はせ度きことなり、〈これ寶暦九年聞ところなり〉

〔有徳院殿御實紀附録〕

〈十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0481 沙糖に次ては、甘藷をもつくらしめ玉はむとて、あつく沙汰し玉へり、これは享保十七年西國蝗災ありて、農民飢饉せし時、深見新兵衞有隣に、長崎の邊凶荒のさまど も尋とはせられしに、新兵衞答申けるは、某が父新右衞門貞恒、長崎にすまゐけるが、かの地はもと米三千石ばかりいだす地にして、市中になりはひするものは五百戸にこえたれば、土地の米をば十日あまりにして食盡すべし、諸國運漕の米とだゆる時は、たちまち飢に及ぶべきことなりとて、甘藷を植て食料とする事を教けれど、農民のならひ、手なれざるわざをいとひ、其頃はさのみ植もせざりしかど、享保六年彼地にいたりてみれば、はや次第に植まして、食用ともなせり、さればこたびの凶荒にも、おほくのたすけとなり侍るべし、これより先薩州にては、とくこれをつくり、農民日用の食となし侍れば、かしこに行かふ舟人等、かひもとめて江戸に來り、うりかふ事となりしに、いつしか痰の毒ありといひ出せしものありて、人々これをきらひしかば、ふたヽびうる者もなくなりにたり、されど毒ありといふはひが事にて、かへりて補益多く、薩州にては味噌にもつくり、または水にてさらし、葛にもかへ用ひ、濱邊などの五穀を生ぜざる鹵地にもおほくつくり、よく繁茂するものなりとて、培法など書て奉れり、青木文藏敦書も、甘藷考など書て進らす、そのころ長崎の鐵工平野良右衞門といへるもの、江戸に來りしが、彼培法に精しきよし、新兵衞より薦擧せしかば、文藏良右衞門して、吹上の御庭にてつくらしめ玉ひしに、これも年をへて繁植しければ、それより近國の代官におほせて、温暖の地をえらびうゑさせ玉ひしに、いくほどなく上總下總のあたり、これをつくるものおほくなりて、江戸にも常にもち來りて、これをひさぎ、のちは日用の食となりし事、ひとへに御仁慈の御心、天意にかなはせ玉ひしものなるべし、

〔先哲叢談〕

〈八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0482 青木敦書、字厚甫、小字文藏、號昆陽、武藏人、仕大府、嘗嘆曰、凡有罪非死刑者、遠放之島嶼、要在使其終天年耳、然諸島少五穀、常以海産木實食、是以往往不餓死、豈不亦痛哉、即雖種藝之地、遇歳歉則民不菜色、意者百穀之外可以當http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 穀者、莫 蕃薯也、乃陳官求種子于薩摩、試種之官藥苑中、則極蕃衍、於是以國字蕃薯考一卷、而演其培植之法、官鏤版併種子下諸島及諸州、未數年處不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 種、至今上下便之、雖歳不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 登、民不遄餓者、實昆陽之惠及無窮矣、題其墓門之碑、曰甘藷先生之墓、有以哉、

〔一話一言〕

〈四十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0483 甘藷甘藷 享保年中、昆陽先生青木敦書、〈文藏〉上總國塚崎町千町田へ、はじめて命下りて植初しといふ甘藷、山口觸山〈植之助、田安土、〉より贈れり、昆陽甘藷の事、書上にも有之、百姓の言葉に符合せりとぞ、文政二年己卯冬月廿九日にしるす、

〔田畯年中行事〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0483 前編下總國葛飾郡撿見川ハ、高五百石ニ足ラザル村ナリ、近來甘藷ヲ作ルコトヲ教テヨリ、年々金三四千兩ノ物産ト爲レリ、其隣邑ナル馬加ヨリモ、毎年三千兩餘ノ甘藷ヲ出ス、

甘藷利用

〔茅窻漫録〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0483 甘藷此物人に益ある事、時珍綱目に詳なり、授時通考には、十二勝を載せたり、異邦には固より食糧に充つるゆゑ、南方草木状には、藷糧とも見え、博聞類纂に、種芋三十畝、可米三十斛ともいへり、又酒にも醸すと見えて、類腋に徐玄扈の説を引きて、甘藷可http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001abe7.gif、可以醸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 酒ともいへり、制用によりては、酒にも作り、又葛粉餅の代ともなる、鈴木俊民が甘藷記あり、蕃薯百珍といへる書などには、百品の料理やうを載せたり、國中農民の制ある時に、家々に是を作り貯へおく時は、第一菜蔬の資となり、又米穀とおなじく荒年の助ともなるべし、琉球國には、其法制あると見えて、是を掘る時に、頭人帶劍にて男女に下知をなす事、此邦の農監田地を巡り、撿見するがごとし、或一故家に、琉球國より畫き來る實圖あり、左のごとし、〈◯圖略〉彼地は、暖國ゆゑ海邊砂地に栽ゑて、莖を生ずる時、其莖に土をかけおけば、その所より根を生 じ、塊をなすなり、

兎絲子

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 莵絲子〈禰奈志乃彌(○○○○○)〉

〔本草和名〕

〈六/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 莵絲子、一名莵蘆、一名莵縷、一名蓎蒙、一名玉女、一名赤網、一名莵纍、〈本條〉一名莵丘沙、〈已上出兼名苑〉莵糸子者人精也、〈出范注方〉和名禰奈之久佐(○○○○○)、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 莵絲子(ネナシカツラ)〈莵縷、莵虆、火燄草、金線草並同、〉

〔物類稱呼〕

〈三/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 兎絲ねなしかづら(○○○○○○) 東國にてさうめんぐさと云、筑前にてうしのさうめんと云、按に下野の國日光山さうめん谷の水中に此草をヽし、東武には隅田川に有、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十四/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 莵絲子 ネナシカヅラ(○○○○○○) ウシノサウメン(○○○○○○○)〈江州、ツリブネサウニモコノ名アリ、〉 ムマグサ(○○○○)〈同上、大豆圃中ニ此草生ズレバ全圃纒ヒ枯ラス故ニ名ク、〉 サルノハマイ(○○○○○○)〈城州玉水〉 サウメングサ(○○○○○○)〈東國〉 ナツユキ(○○○○)〈佐州〉一名無根藤〈醫學正傳〉 藤蘿〈事物異名〉 黄絲草〈先醒齋筆記〉 金線藤〈楊州府志〉 迎陽子〈藥譜〉 狐絲〈酉陽雜俎〉 野狐漿草〈附方〉 鳥麻〈採取月令〉 老禿鶖〈事物異名〉二三月舊子地ニアルモノヨリ、細絲ノ如キモノヲ生ズ、一頭ハ地ニ入テ根ノ如シ、其絲一寸餘ノビテ、傍ノ草木ニトリツキ纏ヘバ其本枯レ、隨テ長ジ隨テ枯ル、其纏ヘル所ヨリ草木ノ津液ヲ吸フ、モシ始メ旁ニトリツクベキ草木ナケレバ枯ル、其藤漸ク蔓延ス、始メハ白ク後ハ黄白色又黄赤色トナル、大サ一分許多ク枝ヲ分チ、草木ノ頂ニ亂布シテ、索麪ヲ散スルガ如シ、夏ノ末花ヲ開キ穗ヲナスコト二三寸、白色ニシテ筒子(ツヽザキ)様ヲナシ梫木(アセボ)ノ花ノ如ニシテ小シ、後實ヲ結ブ、濶サ一分長サ一分餘、熟シテ褐色微黒内ニ二子或ハ三四子アリ、コレ藥用ノ莵絲子ナリ、實熟シテ蔓黒色ニナリ枯ル、始終葉根ナシ、一種海濱ニ生ズルモノハ蔓細ク子小ナリ、今藥舖ニ賣ルモノ多クハコレナリ、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0484 兎絲子(としし)〈本草〉 和名ねなしかづらといふ、日光足尾、江戸早稻田本所邊稀に在所あり、 雜木ありて下に草ある處に生ずる也、初草に纏後には木の上まで紆(まとふ)、根は枯てなし、秋實を採土に埋貯置、三四月頃取出し、灌木ありて下に草ある處へ蒔べし、肥を用ず、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 諸國進年料雜藥攝津國卌四種、〈◯中略〉莵絲子二升、 伊勢國五十種、〈◯中略〉莵絲子五斤、〈◯下略〉

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 早稻田邊 莵絲子

留紅草

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 留紅草(るこうさう) 俗稱〈本名未詳〉按留紅草細莖http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c654.gif 、葉細密如杉藻、而表裏淺青色、莖耑出蔓、八月枝叉抽短莖、開花形如丁子様而紅色、長六七分可愛、花罷結角中有細子

〔剪花翁傳〕

〈三/六月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 縷紅艸(るこうさう) 花の色極緋、英至て少く、葩五瓣にして形ち蕣に似たり、長六七歩に過ず、開花六月上旬、方日向ならんには、地一分濕りよし、方一分陰ならんには、地乾きよし、土撰ばず、肥油粕芽出し後より入べし、下種春彼岸よし、芽を出すことの甚遲きもの也、最早はえざるかと待かね、疑ひて必堀穿ち見ることなかれ、下種して十四五日目に生ずるあり、尚或は五六日或は十日廿日ばかりも、段々後れて芽生ず、又はえざるものもまヽあり、一時に出揃ふものにあらず、都て種の形ち長きものは此のごとし、午房人參の種なども亦同じ、葉の形ち眠艸の葉に似て、至て細く長一寸許なり、尤蔓物にして、竹の枝或は艸莖等を建副べし、是挿花の料なり、

紫草

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 紫草、一名紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 、一名紫茂、一名藐、〈仁諝、音亡角反、出蘇敬注、〉一名野葵、一名紫給、一名茈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 、〈音戻、出兼名苑、〉一名紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 〈出爾雅注〉和名无良佐岐(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十四/染色具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 紫草 本草云、紫草、〈和名無良散岐〉兼名苑云、一名茈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 〈紫戻二音〉今按玉篇茈即古紫字也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/染色具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0485 陶云、是今染紫者、蘇敬云、苗似蘭香、莖赤節青、花紫白色、而實白、圖經云、二月有花、時珍曰、種紫草、三月逐壟下子、其根頭有白毛葺、〈◯中略〉王念孫曰、説文、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 艸也、可以染留黄、 其染緑者謂之緑http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 、染紫者謂之紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 、廣雅釋器云、緑綟、紫綟綵也、續漢書輿服志注引徐廣云、綟草名也、以染似緑、又云、似紫、則染草之http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 、本有緑紫二色http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a6e9.gif 通、漢書百官公卿表、金璽http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a6e9.gif 綬、晉灼注云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a6e9.gif 草名、出琅邪平昌縣、似艾可緑、因以爲綬名、此緑http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 也、史記司馬相如傳、攅戻莎、徐廣注云、草可紫、此紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 通作茢、周官掌染草鄭注云、染草、茅蒐豕首紫茢之屬、疏云、紫茢即紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 也、今本玉篇云、紫色也、又云、茈草可染、説文亦云、紫、帛青赤色、茈茈艸也、二字不同、但茈不何草、按爾雅、藐茈草、郭注云、可以染http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 紫、西山經注云、茈草中紫也、是知紫是帛之青赤色者、轉爲青赤間色之總名、茈可以染http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 紫之草、本作紫草者轉注以紫爲茈也、故云茈即古紫字也、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 紫草(ムラサキ)〈紫丹、紫芺、茈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 、並同、爾雅謂之貌、〉

〔和漢三才圖會〕

〈九十二末/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 紫草 紫http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif  紫芺 茈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif  地血 藐〈音邈〉 鴉衘草 和名無良佐木〈◯中略〉按紫草出於薩州者最佳、奧州、〈南部津輕〉羽州、〈秋田〉遠州、〈中泉〉豫州、〈大洲〉河州、〈山田〉皆良、但家種者不藥用、蓋醫方雖紫草根、若謂紫草茸則可嫰苗葉、染絹帛、用紫根煎汁之、浸柃木灰汁、一方用蘇方木煎汁緑礬少許之、浸柃木灰汁成、名之贋紫、經年色變、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈七/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0486 紫草 ムラサキ(○○○○) ムラサキネ(○○○○○) ネムラサキ(○○○○○)〈江戸〉 一名紫果〈増訂致富奇書〉 璚茅〈事物紺珠〉 紫茢〈正字通〉 芝草〈郷藥本草〉諸州ニ多ク栽ユ、春分後種ヲ下ス、長ジテ苗高サ二尺許、葉ハ細長ニシテ旱蓮草(タカサブラウ)葉ノ形ノ如ク、互生ス、夏月枝梢葉間ゴトニ白花ヲ開ク、五出形梅花ニ似テ大サ三分許、内ニ蘂ナシ、外ニ蕚アリ、亦五出ニシテ細長シ、花謝シテ實ヲ結ブ、蕚ゴトニ一二實形圓尖ニシテ紅藍花實ニ似テ小シ、熟シテ白色或ハ淡褐ヲ帶テ光アリ、京師ノ山ニ自生ナシ、奧州、羽州、豫州、播州、江州、甲州、總州ニハアリ、ソノ根直ニシテ皮深紫色皮汁ヲ採テ布帛ヲ染ム、藥舖ニハ薩州、奧州南部、羽州最上ヨリ出ルヲ 上トシ、讃州、豫州ヨリ出ルヲ次トシ、和州、江州、河州、ヲ次トス、上品ノ者ハ染家ニ送リ、下品ノ者ヲ紫根ト名ケテ醫家ニ賣ル、用ユルモノ宜シク揀ブベシ、

〔廣益國産考〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0487 紫草〈根を用ふるものゆゑ紫根とよべり◯中略〉 紫草を作る土地の事濕地の北うけ、あるひは山陰の陰地は忌べし、隨ぶん日あたりよき地に作るべし、 砂眞土の水氣の滯ふらざる地宜し 黒ぼこと至つての赤土はあしヽ、 ねば土あし、 流水場などの、極砂土は宜しからず、 綿、麥などの能くできる地ならば、生育せずといふ事なし、蒔旬并地ごしらへ蒔旬は五月の中より、四五日まへに蒔て宜し、都ての作物に時節のたがひて宜しきものはなけれども、別して此紫草は時節をはづし蒔ては、生育あしきものなれば、其時をはづすべからず、早過てもおそくても宜しからず、 扨蒔べき畑は、先一面に塊をくだきて打ならし置、畦幅一尺五寸づヽ、小鍬〈其土地の鍬大ならば、少し小形の鍬にてきるべし、〉にて筋を引、畑一反に種子貳升五合を升やうのものに入、左りへもち、右の手にてひねり蒔にすべし、 此實を鶸どりよく好んで喰ふものなれば、蒔たる時其用心すべし、花咲實に成たるときは、猶更此防をすべし、 蒔終て麥の通りに土を覆べし、尤生出て間引くものにあらざれば、餘り繁くしては宜しからず、隨分むらなきやう蒔べし、併しあまりしげきは間引すつべし、 植肥しは糞の熟したるを敷て蒔て宜し、又は干鰯油粕の水には、だしたるにても宜し、何れも熟したるを用ふべし、もつとも麥まくより多く施て蒔べし、肥し手入生出十日もすぎて鍬を入、又引つヾきて二度も入べし、草多き地は三度もつヾきてけづるべし、生出て壹寸位に伸たる時、干鰯にても、油粕にても、穴肥にすべし、穴肥といふは、生出たる紫草の根際壹寸貳三分脇に、間五寸ほどづヽ置、穴つきと云研木(すりこぎ)の先のごとき棒をもて突明、其中に 干鰯の粉、又は油粕の粉を一トつかみを、二穴づヾに入て土をきせる也、又は干鰯を蒲簀(かます)に入、口を閉、其とぢ目の兩方へ長く縄を付、肥瓶の中に水を入て、其中に十日もつけ置ば、干鰯の體とろける也、其時付おきたる蒲簀の縄を兩手に持、かたみに引きてゆれば、干鰯の體とろけ水に出、骨ばかりかますの中に殘る也、蒲簀は引あげ、中の骨を出し、干てくだき、外の植ものヽ肥しにすべし、扨其出したる水を葉にかヽらぬ様、根際に筋を引、其筋へ流しこみて施べし、麥などより肥しを多く施ざれば、根のはりあしヽ、又は糞の熟したるを施てもよし、 二番肥は貳寸五分にも成たる頃、見合せ施べし、 三番肥は土用前に施べし、尤一番に油粕、貳番に干鰯ならば、三ばんに糞を施べし、二番糞ならば三番を干鰯か油かすにすべし、 生出てより三十日もすれば、餘ほど伸るものなれば、末壹寸五歩ほど、又貳寸も鎌にてはらひ刈に切べし、左すれば根のはり宜しく收納多し、 若小出來のときは、右三度の肥しの間に、何肥にても施べし、肥氣ぬけては次第に黄色になり、枯る事あるもの也、依て肥しを拔目なくすること肝要也、餘の作りものとちがひ、出來あしき時は、皆無同様のものなれば、手入肥しのさし引油斷なくすべし、收納の事收納は秋土用に入日よりこきあげて宜し、根を用ふるものなれば、先根際に鍬を入、土をくつろげて引ぬくべし、日照つヾきて土かたき時は、水を澤山かけ、よくしみこみたるとき、土をくつろげ引てもよし、鋤を用ひざる所にては、鍬をうちこみ土をくつろげても宜し、いづれ根の切ざるやうにして引べし、 扨引ぬきて土をふるひ落し、其まヽ筵に入、三四日干すべし、曇天ならば五七日も干すべし、隨分薄く干ざれば熱(いき)り來て、一夜のうちに腐ることあり、製法の事製しやうは、根と木との堺に兩方へ少し芽出ある所より折て、根と木とを分べし、〈爰に木といふは、莖の草なり、〉 此折とき根の方へ木の付ざるやうすべし、木付ときは直段格別引下らるヽ也、扨根につきたる土砂を能ふるひ取て、水にてあらひたるやうにすべし、此根に色あるもの故、決て洗ふべからず、木と根を折分てより、又筵に入一兩日干て、塵をよく去りて俵に入べし、極上出來  畑壹反ニ五拾貫目  中出來 同四拾貫目 直段ハ紅花などヽ同じく、高下あるもの也、大體均(なら)し金壹兩ニ付目方五貫目かへ位なり、 扨此紫草に山根と號し、山に自然生のものあり、幾年も立たるは、煙管のらう竹位に、箸ぐらゐの大髭あるもの也、是は直段も格別高直也、藥に用ふるは此自然生のもの也、

〔令義解〕

〈三/賦役〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 凡〈◯中略〉其調副物〈◯註略〉正丁一人紫三兩、

〔延喜式〕

〈二十三/民部〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 年料別貢雜物太宰府〈(中略)紫草日向八百斤、大隅一千八百斤、◯中略〉 右別貢雜物並依前件交易雜物甲斐國〈(中略)紫草八百斤◯中略〉 相模國〈(中略)紫草三千七百斤◯中略〉 武藏國〈(中略)紫草三千二百斤◯中略〉 下總國〈(中略)紫草二千六百斤◯中略〉 常陸國〈(中略)紫草三千八百斤◯中略〉 信濃國〈(中略)紫草二千八百斤◯中略〉 上野國〈(中略)紫草二千三百斤◯中略〉 下野國〈(中略)紫草一千斤◯中略〉 出雲國〈(中略)紫草一百斤◯中略〉 石見國〈(中略)紫草一百斤◯中略〉 太宰府〈(中略)紫草五千六百斤◯中略〉右以正税交易進、其運功食並用正税

〔東大寺正倉院文書〕

〈四十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0489 豐後國正税帳球珠郡 天平八年定正税稻穀壹萬漆仟貳伯貳拾斛陸斗捌升貳合貳勺〈◯中略〉國司巡行部内合壹拾肆度〈◯中略〉壹度蒔營紫草園〈守一人、從三人、并四人二日、〉單捌人、上貳人、〈守〉從陸人、〈◯中略〉壹度隨府使校紫草園〈守一人、從三人、并四人一日、〉單肆人、上壹人、〈守〉從參人、〈◯中略〉 壹度堀紫草根、〈守一人、從三人、并四人二日、〉單捌人、上貳人、〈守〉從陸人、

〔享祿本類聚三代格〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 太政官符一聽九箇使料米事〈◯中略〉  紫草使料十斛〈◯中略〉大同四年正月廿六日

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 遠江 紫根  出羽 秋田紫根

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 堀ノ内大箕谷邊ノ産 紫草〈小金ニモ〉

馬鞭草

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 馬鞭草、〈楊玄操、音必綿反、蘇敬注云、穗類鞭鞘、故以名之、〉一名穰草〈出范注方〉一名蘘草、一名蕢蘘、〈出雜要決〉和名久末都都良(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/葛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 馬鞭草 蘇敬本草注云、馬鞭草〈和名久末豆々良〉其穗類鞭鞘、故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/葛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 陳藏器云、若云似馬鞭鞘、亦未之、其節生紫花馬鞭節、按陶注、莖似細辛、花紫色、葉微似蓬蒿也、蘇云、苗似狼牙及茺蔚、抽三四穗、紫花似車前、都不蓬蒿也、蜀本圖經云、生濕地、花白色、圖經云、春生苗、莖圓高三二尺、時珍曰、馬鞭下地甚多、春月生苗、方莖、葉似益母對生、夏秋開細紫花、作穗如車前穗、其子如蓬蒿子、而根白而小、陶言花似蓬蒿、韓言花色白、蘇云莖圓、皆誤矣、

〔古名録〕

〈十四/野草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 久末都々良〈本草和名〉 漢名馬鞭草〈本草〉 今名ウシギク(○○○○)

〔宜禁本草〕

〈乾/藥中草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 馬鞭 辛涼、通月經癥癖血瘕久瘧破http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 血、食魚鱠及生肉、住胷膈化成瘕、擣汁飮之、〈生姜水亦得〉治男子陰腫大http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif、擣馬鞭草之、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 馬鞭草 龍牙草 鳳頸草 〈和名久末豆豆良◯中略〉按馬鞭草處處有之、攝州之産良、陰嚢腫痛者、用馬鞭草鼠尾草煎汁之佳、

龍牙草

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0490 馬鞭草〈◯中略〉釋名龍牙草ヲコノ釋名中ニ列シテ、馬鞭草トスルハ誤レリ、宜ク分ツベシ、閩書南産志ニモ其誤 ナルコトヲ云リ、龍牙草ハ即救荒本草ノ龍牙草一名瓜香草ナリ、和名キンミヅヒキ(○○○○○○)、又シヽヤキグザ(○○○○○○)、〈同名多シ〉クソボコリ(○○○○○)〈土州〉トモ云、葉ハ紫藤(フヂノ)葉ノ如ニシテ鋸齒アリ、初ハ叢生シテ地ニ就ク、夏月莖ヲ抽コト二三尺許、其末一尺許ハ穗ニシテ五瓣ノ黄花ヲ開ク、大サ三分許、實緑色大サ椒(サンセウノ)ゴトシ、毛刺アリ、熟スレバ人衣ニ粘ス、

〔廣益地錦抄〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 龍牙草(りうげさウ) 宿根より春生る、葉の色うるはしく、青色、葉おもてに小筋ありて、ながめにたれり、八九月花さく黄色なる穗をなし、段々にひらく、俗に鬼の(/○○)矢柄(ヤガラ/○○)といふ、

蠅取草

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 蠅取草 葉ハ似薄荷微長シ、葉莖柔軟、葉ヲ飯ニヲシマゼテ、蠅ニ飼ヘバ死ス、毒草ナルベシ、或曰、是本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f20.gif 草上所載曲節草ナルベシ、

荏/名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十七/麻〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 荏 野王案云、葉大而有毛、其實白者曰荏、〈而枕反、和名衣(○)、〉野王案云、葉細而香、其實黒者曰蘇、〈新抄本草云、和名乃良衣、一云奴加衣、〉此二物雖一類其状不同耳、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/稻穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 新撰本草云、乃良江、一云奴加江、廣本新撰作新抄、下總本有和名二字、本草和名云、蘇、和名以奴衣、一名乃良江、與此引同、按本草和名又云、假蘇和名乃乃衣、一名以奴衣、無奴加衣、此所引恐誤、〈◯中略〉下總本有和名二字、本草和名云、荏子、和名於保衣乃美、水蘇、和名知比佐岐衣、今俗呼衣古末、或白紫蘇、〈◯中略〉今本玉篇艸部云、蘇荏屬、又云、荏蘇屬、與此引同、爾雅説文並云、蘇桂荏、本草陶注云、蘇葉下紫而氣甚香、又云荏状如蘇、高大白色不甚香、李時珍曰、紫蘇白蘇皆以二三月種、或宿子在地自生、其莖方、其葉團而有尖、四圍有鉅齒、肥地者面背皆紫、瘠地者面青背紫、其面背皆白者即白蘇、乃荏也、紫蘇嫰時采葉、和蔬茹之、八九月開細紫花、成穗作房、如荊芥穗、九月半枯時收子、子細如芥子而白黄赤、王念孫曰、今人多種院落中、青紫二種、子皆生莖節間古單呼紫者蘇今則通稱耳、

〔伊呂波字類抄〕

〈江/植物附植物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0491 荏〈エ〉

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 白蘇草(エゴマ) 荏(エ)〈本名亞麻〉

〔段注説文解字〕

〈一下/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000303.gif 、桂荏〈逗〉蘇也、〈是之謂轉注、凡轉注有各部互見者、有同部類見者荏之別義爲荏染、〉从艸任聲、〈如甚切、七部、〉

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 倭名鈔穀類にしるせし所を見るに、荏讀てエといひ、蘇讀てヌカエといひ、香葇讀てイヌエといひ、稗讀てヒエといふと見えたり、已上の三種并に荏により名を得し所と見えけり、荏をエといふ義不詳、韓地の方言の轉ぜしに似てけり、凡我國の俗、細にして小なるものを呼びて、ヌカといふは、糠の義也、似て非なるものを呼びてイヌといふ、蘇をヌカエといふは、荏の類にして、葉の細なるを云ひしなり、香葇を呼びて、イヌエといふは、荏に似て非なるをいひしなり、

〔倭訓栞〕

〈前編五/衣〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 え〈◯中略〉 荏は倭名抄に見えたり、今え胡麻といふ、

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 荏子(○○)、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b500.gif 〈楊玄操、音魚、而作蘇、〉重油、〈其子作油、日煎名也、〉和名於保衣乃美、

〔醫心方〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 荏子〈和名於保衣乃美〉

荏栽培

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0492 白蘇〈上方にては、ゑごまと云也、〉白蘇(ゑご)は子を取て油にする物なり、雨具などを調へ、さし笠にひくも皆此油なり、其外用多し、燈油にして光よき物なり、是も白黒の二種あり、二色共に宜し、肥たる細沙地取分よし、すべて何土にても深く耕しこなしをき、苗四五寸の時畦作りし、地の肥瘠を見合せ、がんぎを切、一本づヽ種る間七八寸、或肥たる地は一尺餘も隔、少深くうへ、糞は何にても有にまかせて多くも用ゆべし、厚く培ひ芸りなど、大かたにしをきても、少も草痛みもせず、よくさかゆるものなり、是なを牛馬のさはる物にあらず、畠の端道ばたなど、牛馬の喰ふ穀のふせぎとなるべき所にうゆべし、木かげ物かげ、屋敷廻りの、他の作り物の、かつてよからぬ所にも、大形には出來、殊に旱なが雨にも痛まず、秋大風時分はいまだ花咲ずしてつぼみ、葉の間にあるゆへ、風損も大かたはなし、小鳥は少々付といへども、他の鳥けだ物は、そこなはず、大抵の地にてよく作り合せぬれば、雜穀等の利分の 及ぶ物にあらず、作るに造作なくして、極めて勝手よき物なり、土地餘計ある所にては、多く作るべし、刈收る事、時分の見合せ肝要なり、若刈時分過れば忽に零落す、葉悉く黄になりて、本なりの子はやこぼれんとする時、朝露に刈取、下に筵を敷、其上につみ置、又上よりも筵などをおほひ、むして四五日して、葉くさりたる時、ふるひあげ葉を落し、下にむしろをしき、照日に一日二日干てうち取べし、其後又干打事、二三遍にして悉くおち盡べし、唐人は此油にて餅をあげ、又和物のかうばしなどにもすると見えたり、凡五穀三草などの外の作り物には、利潤是に及ぶ物すくなし、土地多き所にては、廣く作るべし、若おほく作りては、内に取込事なり難きゆへ、胡麻の如く外にふきをき、能干たるを見て、筵を敷て打て取べし、

荏利用

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 荏〈音http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c7d9.gif 〉 白蘇〈俗云惠〉本綱、荏形状與紫蘇異、但面背皆白者即白蘇、乃荏也、其子可油、按荏關東多種蒔、用子搾油爲燈油、又引傘挑燈雨衣等、不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000304.gif 而能凌雨、又煉代漆、造法 密陀僧、〈大〉滑石、〈中〉枯礬、〈少〉入油以文火煉用、以燈心寸許、植之不倒爲度、髹物白粉辰砂緑青等和調、其色鮮明、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 荏 ヱ〈古名〉 ヱゴマ〈略語〉 シロジソ ジウネン〈仙臺〉 ジウネアブラ〈南部〉 一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d453.gif 〈通雅〉 白荏〈正字通〉苗葉花實皆紫蘇ニ同クシテ香氣アリ、唯葉ノ色青ク、花ノ色白シ、野圃ニ多ク栽ヘ、子ヲ收メ油ニ搾リ、雨衣雨傘ノ用ニ供シ、チヤンヲ製ス、又子ヲ用テ小鳥ニ飼フ、原野ニ自生ノモノヲ野荏ト云俗ニノヱト呼ブ、子小ニシテ香氣殊ニ烈シク、小鳥モ食フコトアタハズ、

〔延喜式〕

〈三十三/大膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0493 仁王經齋會供養料僧一口別菓菜料(○○○)〈◯中略〉荏子七勺、〈菓餅料〉

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 供御月料胡麻子、荏子、各一斗二合五勺、

〔延喜式〕

〈四十三/主膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 月料荏子四升九合五勺

〔七十一番歌合〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 廿二番 左 傘張えのあぶら(○○○○○)がたらぬげな

荏産地

〔延喜式〕

〈二十三/民部〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 交易雜物山城國〈(中略)荏子四石◯中略〉 尾張國〈(中略)荏子四石◯中略〉 美濃國〈(中略)荏子十二石◯中略〉 右以正税交易進、其運功食並用正税

〔東大寺正倉院文書〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 尾張國(○○○)天平六年正税帳尾張國司解 申收納天平六年〈◯以下虫損〉合八郡天平五年定穀貳拾伍萬捌仟肆伯肆拾斛壹斗捌升壹合〈◯中略〉年料荏肆斛 直稻捌拾束〈束別五升〉

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 諸國進年料雜藥攝津國卌四種、〈◯中略〉荏子二升五合、 相模國卅二種、〈◯中略〉荏子二斗、 下總國卅六種、〈◯中略〉荏子二升、

〔地方凡例録〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 荏大豆納之事關東方荏大豆納高百石に大豆貳斗、荏壹斗掛る、尤荏大豆共、貳升に代米壹升、代永なれば、荏大豆五石に代、永壹貫文づヽ被之、

〔信府統記〕

〈八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0494 毎年收納高ノ内〈◯信濃安曇郡〉一油荏八俵三斗 納四斗入 拾七ケ村ヨリ定納 但籾一升ニ付油荏五合替一油荏不納村  四〈大野田村大野川村〉 〈稻http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019a0e.gif 村島々村〉

紫蘇/名稱

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 蘇、野蘇〈不香似荏者〉一名桂荏、一名郷、〈已上二名出兼名苑〉和名以奴衣(○○○)、一名乃良衣(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/麻〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 荏 野王案云、葉大而有毛、其實白者曰荏、〈而枕反、和名衣、〉野王案云、葉細而香、其實黒者曰蘇、〈新抄本草云、和名乃良衣(○○○)、一云奴加衣(○○○)、〉此二物雖一類、其状不同耳、

〔名物摭古小識〕

〈一/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 奴加衣 出鈔〈◯倭名類聚抄〉深〈◯本草和名〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 、〈◯勅號記〉深又曰乃良衣、深http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 又曰以奴衣、倶爲蘇、即紫蘇也、今俗稱此音、式〈◯延喜式〉年料藥有蘇子

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 蘓蘇〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000016e48.gif 音、イヌエ、一云ヌカエ、〉

〔易林本節用集〕

〈之/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 紫蘇(シソ)

〔段注説文解字〕

〈一下/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000305.gif 桂荏也〈桂上鍇本有蘇字、此複寫隷字、刪之未盡者、蘇桂荏、釋艸文、内則注曰、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5cc.gif 蘇荏之屬也、方言曰、蘇亦荏也、關之東西或謂之蘇、或謂之荏、郭樸曰、蘇荏類、是則析言之、則蘇荏二物、統言則不別也、桂荏今之紫蘇、蘇之叚借爲樵蘇、〉从艸穌聲、〈素孤切、五部、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000303.gif 桂荏〈逗〉蘇也、〈是之謂轉注、凡轉注有各部互見者、有同部類見者、荏之別義爲荏染、〉从艸任聲、〈如甚切、七部、〉

紫蘇種類

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 紫蘇〈如字〉集解、處處多有、或人家田圃栽之、二三月下種、又宿子在地自生亦有、其莖方、其葉團而尖、四圍有http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d15a.gif、肥地者面背皆紫、瘠地者面青背紫、其面背倶青白者白蘇(○○)也、七八月開細紫花穗作房如荊芥穗、九月半枯時收子、子細如芥子而色黄赤、或謂此亦可油如荏油、紫蘇葉嫰時可羹、以去魚肉毒、可蔬茹、或http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11e.gif 藏味噌漬倶佳、與梅子同淹藏、則其汁香紅、故同漬者悉香紅可愛、最經年亦好、子亦http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11e.gif 之乾之倶可愛爾、

〔大和本草〕

〈附録一/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0495 紫蘇 李中梓曰、雙面紫者佳、不敢用麻黄、以少代之、今ノ世チリメン紫蘇(○○○○○○)ト云モノヨシ、ウラヲモテ鮮紫、味モ氣モヨシ、ツネノ紫蘇ニマサレリ、其葉チヾム故ニチリメン紫蘇ト 名ヅク、其子朝鮮ヨリ來ル、故ニ朝鮮紫蘇トモ云、食品ニモ藥ニモ可之、汗ヲ少シ發ス、故ニ輕症ニ麻黄ニ代用ユ、他ノ紫蘇ノ苗ト子トヲステヽ是ヲ可種、秋實ノリタル時即地ニ蒔ベシ易生、春マケバ生ジガタク消ヤスシ、

紫蘇栽培

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 紫蘇しそは八九月たねを收め置て、正月熟地に苗床を作りて、灰沙に合せ、うすく蒔てこえを少かけ、土を少しおほひをくべし、あつくば間引て、莖短くふときを、三月畦作りし、肥地ならば、間を遠くうゆべし、

〔成形圖説〕

〈二十五/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 奴加延〈三代實録◯中略〉紫蘇〈名醫別録◯中略〉此もの性濕地を好む、春月種子を布べし、その佳なるものは葉に皺ありて鋸齒深く、表裏紫色なり、俗にこれを縐紗(チリメン)紫蘇といふ、梅儲(ウメツケ)及藥用に此をよしとす、よろしく花穗を發せざる内に、その葉を收めとるべし、あるひは地の乾疲(ヤセ)たるによりて、表青色に變ずるものあり、かヽるものはおのづから芳香も薄し、また一種表裏ともに青色荏葉の如くにし、芳香よろしきものあり、東都の俗にあるひは青紫蘇といふ、按に農圃六書に白蘇といへるもの是にや、〈◯註略〉今藥用のものは、山城、紀伊、相模よりいだす、また東都の官園にて養なふものあり、性味ことにまされり、しかれども民間に稀なり、その子は關東にては、武藏處澤よりいだす、あるひは荏子をもて僞り充るもあり、

紫蘇利用

〔藥經太素〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 紫蘇 温味辛裏面トモニ紫色成ヲ用、枝莖ヲ去、日ニ干モミ研テ用、下氣開胃治脹消痰利大腸、若寛喘欬子尤吉、又脚氣ヲ治ス、

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0496 紫蘇 辛温、〈日用本草曰、純紫尤佳、證類本草、葉下紫氣甚香、〉與鯖鮓同食、腸中生癢成疝、子主上氣欬逆、腰脚濕風結氣、葉下氣除寒、治心腹脹滿、霍亂轉筋、開胃下食通大小腸、子調中下氣、主嘔吐反胃、肥建人、利 大小便、破癥結、消五膈嗽、潤心肺痰氣、治脚氣濕痹、消蟹毒、衍義云、子治肺氣喘急、多服令人泄滑

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0497 漬年料雜菜荏裹二石六斗、〈料瓜九斗、冬瓜七斗、茹子六斗、菁根四斗、鹽一斗二升、醤未醤滓醤各一石、◯中略〉 右漬秋菜

〔古名録〕

〈十八/香草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0497 乃良衣令集解曰、古記云、荏而枕反、方言、蘇亦荏也、關之東西或謂之蘇、或謂之荏、野王按、蘇細而香、其實色黒、荏大而有毛、其實色赤、〈一作紫〉二物雖是一類、其状不同也、觀此則古ヘ衣(エ)ハ紫蘇荏通ジテ呼ルコト明也、其荏裹ト云モノ、紫蘇ノ葉ヲ用、荏ノ葉ハ毛アリテ味不美、香亦アシクシテ食用トナスベカラズ、證類本草ニモ、蘇有數種、有水蘇、白蘇、魚蘇、山魚蘇、皆荏類ト云ヘリ、

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0497 紫蘇四五月葉をつみて、梅漬其他鹽醤につけ、羹ひやしる種々料理多し、生魚に加れば魚毒をころす、又藥に用ゆるには、梅雨のやみたる後、二三日過て、未極暑に至らざる時、朝とく葉をつみ、日に干べし、暑にあへば、葉の色青くなる、青くならざる内に早くつむべし、或曰、六月極熱の中にかりて、半日日にほし、其後かげ干にし、ほし上て、俵に入をき、藥屋にうるべし、又葉よくさかへて是を取、多くかさねまき、わらにてゆひ、みそにつけたるハ甚よき物也、是も八新の一つにて、古きは用ひず、明年の新しきが出來るまで用ゆる物なり、未實の房枯ざるを刈取て鹽漬にし、炙りてさかな茶うけなどによき物なり、紫蘇子を取には、猶よく實りて、已におちんとする時刈取、下に筵かき紙などを敷て干、小竹にて打て實を取べし、是又藥屋にうるべし、葉も實も氣を散し氣を下し、性よき物なり、子は少いりてあへ物に加へてよき物なり、

紫蘇産地

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0497 諸國進年料雜藥伊勢國五十種、〈◯中略〉蘇子一升、 尾張國卌六種、〈◯中略〉莵絲子、紫蘇子、各五升、

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 山城 紫蘇

草石蠶

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 草石蠶(チヨウロギ)〈甘露子、滴露子、並同、見本草、〉

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 知也宇呂岐集解、即草石蠶、一名甘露子、古來未有、近世華舶移種、頃者家家栽之、二月生苗、長者近尺、方莖對節、狹葉有齒、並如荏葉、但葉皺有毛、四月開小花穗、如紫蘇花穗、結子如荊芥子、其根連珠、状如老蠶、或根之旁引一絲、著連珠者亦有、四五月采根煮食之、味微甘而淡、以爲蔬爲菓耳、

〔和漢三才圖會〕

〈百二/柔滑菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 草石蠶(ちやうろぎ) 甘露子 地蠶 土蛹 滴露 地瓜兒 知也宇呂木〈◯中略〉按草石蠶近年有之、撓莖埋地、則節々生根也、其根二三寸、正白色、促節、形状略似柳蠧、用淡醤油煮食、

〔農業全書〕

〈五/山野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 甘露子(かんろし)甘露子、又草石蠶とも、地瓜兒とも云、今俗にてうろぎと云物なり、苗の時四五寸、長じて後は莖ながくつるのごとし、かどありて節ごとに葉向合て生じ、薄紫の小花をひらく、其節々より、土に根ざし、かいこのごとくなる白き根多く生ず、玉をつらぬきたるごとくつヾきて、白くすきとをりて、きれいなる物なり、味甘く煮て、茶うけ、くはしにもなり、あへ物、吸物其外に物などに入、料理色色あり、めづらしき物なり、殊に多く作りては、飢をも助るものなり、〈多くひろがる物にて、根も多く出來るなり、唐の地にては多く作り、飢を助ると記せり、〉種(うゆ)る地の事、圃の少日かげの所を畦作りし、夏月に麥ぬかを多く覆て糞とす、一尺餘り間を置てうゆべし、芸り培ひ、廻りをも草なき様にきれいにし、又上より麥糠を覆ひをけば、かぎりなくさかへて、纔なる圃の端にうへても、其根たくさんにいでくる物なり、淨く洗ひ、かはかして、蜜に漬、醤に藏して、甚よき物なり、土地廣き所にては、多く作りて、飢を助くべし、陰地の肥たるによし、木かげなどにも種べし、やせ地かはきたる地によからず、

羅勒

〔多識編〕

〈三/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0498 羅勒、惠阿良良岐(○○○○○)、異名香菜、〈綱目〉醫子草、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十八/葷辛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 羅勒 メバヽキ(○○○○) 一名蘭香菜〈本草彙言〉 蘿艻〈正字通〉野生ナシ、種ヲ傳ヘ種ユ、四月棗葉初テ出ル時、地ニ下シテ即生ズ、苗長ジテ一尺餘ニ至ル、方莖枝葉皆兩對ス、葉ハ爵牀葉ニ似テ淺緑色、香氣アリ、枝梢ゴトニ六七寸ノ穗ヲ出シ、葉上ゴトニ莖ヲ周リテ花ヲ生ズ、紫蘇ノ花ニ似テ白色、後蕚ゴトニ四子アリ、熟シテ黒色、秋深ニ至テ苗根共ニ枯ル、其子至テ小ク車前(オホバコ)ノ子ノ如シ、水ヲ見レバ即外ニ白脂ヲ纏フテ、一分餘ノ大サニナル、故ニ目中ニ入テ痛マズ、能塵ヲ粘シテ出、故ニメバヽキト云フ、

〔廣益地錦抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 羅勒(らろく) 春種をまく、尺にたらぬ小草也、草立葉形枝ぶり迄、とうがらしの草に似タリ、五月はなさく、花形穗のごとく一年草にて冬は枯る、二月種を蒔、二葉にはへ出ルより、薫香自然にありて蘭のかほりなれば、草花に名を蘭香とも蘭草とも云、實は小細(コマカ)にして極て小粒也、眼目に物の入りたるに此實を入ル、目のごみを殘らずとりて、目の藥なりと云、俗に目帚(メバウキ/○○)ともいふ、小草にてあひらしく、鉢にうへて愛すべし、庭に植て不斷薫香せり、

茺蔚

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 茺蔚〈女波自支、又云益母(○○)、又益明、又太禮、又貞蔚招、又天麻草、〉

〔本草和名〕

〈六/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 茺蔚子、一名益母、一名益明、一名大札、一名貞蔚、〈已上本條〉一名天麻草、一名苦麻、〈已上二名茺蔚子苗也、出耆婆方、〉一名鬱臭草、〈田野人之、出本草拾遺、〉一名虎麻、一名馬新蒿、一名馬矢蒿、〈已上三名出稽疑〉一名萑蓷、一名臭穢草、〈二名出釋藥〉和名女波之岐(○○○○)、按人之間脱呼字(http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00000b2010.gif 頭書http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00000b2011.gif )、又按虎麻、馬新蒿、並中品馬先蒿之別名、此乃錯出、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 茺蔚 本草云、茺蔚、〈充尉二音、和名女波之木、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0499 爾雅、萑蓷、郭注云、今茺蔚也、葉似荏方莖白華、華生節間、又廣雅、益母充蔚也、王風中谷有蓷、傳云、蓷鵻也、王念孫曰、蓷者充蔚之合聲、充蔚者臭穢之轉聲、韓詩云、蓷茺蔚也、陸機詩疏云、舊説及魏博士濟陽周元明皆云、菴䕡是也、韓詩及三倉説悉云益母、故曾子見益母而感、案本 草云、益母茺蔚也、故劉歆云、蓷臭穢、臭穢即茺蔚也、李巡爾雅注、亦同劉歆、案今益母草氣惡近臭、故有臭穢之稱、曹植藉田説云、藜蓬臭蔚棄之乎遠彊、臭蔚猶臭穢也、古音蔚如鬱、廣雅釋器云、鬱臭也、故茺蔚之草一名鬱臭、陳藏器本草拾遺云、茺蔚田野間人呼爲鬱臭草是也、此草高者三尺以來、其莖四方而葉三岐、五月作花瓣鋭而小、叢生莖節間、郭璞爾雅注、言華白、今則亦有紅者、陶注葉如荏方莖、子形細長三稜、別本注云、其子状如http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3bb.gif 蓂子而稍麁大、稍有陳氣、日華子云、乃益母草子也、節節生花、如鷄冠、子黒色、

〔宜禁本草〕

〈乾/藥中草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0500 茺蔚 辛微温、明目益精除水氣、一名益母、〈五月九月〉採〈葉子〉治一切産後血病、療疳痢、〈生葉煮粥食、初春可煮作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 菜、〉竹刀切煎、浴新生小兒、不瘡疥

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0500 益母草(やくもさう) 茺蔚 益明 貞蔚 猪麻 蓷〈音推〉 野天麻 火杴 鬱臭草 苦低草 夏枯草〈◯中略〉按益母草莖似胡麻、而葉似麻、〈俗云女波之木〉其葉梗兩兩對生、而一層指東西、一層指南北、更爲十字、節節著小花

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0500 茺蔚 メハジキ(○○○○) ニガヨモギ(○○○○○) 益母草(ヤクモサウ)〈通名〉 一名千層塔〈醫宗粹言〉 臭鬱草〈夏枯草、正誤、〉 負擔〈附方〉 透骨草〈救急本草〉 天芝麻 鬱臭苗〈共ニ同上〉 目非也叱〈郷藥本草〉 野蘇子草〈訓豪字會〉 反魂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 〈儋州府志〉 小胡麻〈本草必讀〉 蕢〈通雅〉自生ノモノ原野ニ多クアリ、秋中子落テ自ラ苗ヲ生ズ、初ハ地ニ就テ叢生ス、葉形圓ニシテ岐多ク、草烏頭葉ニ似テ薄軟ニシテ毛茸アリ、春以後ハ薹ヲ抽テ漸ク高ク五六尺ニ至ル、莖四稜ニシテ大麻(アサノ)莖ノ如シ、葉對生ス、莖上ノ葉ハ漸ク長ク、梢ノ葉ハ艾葉ノ如クナリ、脚葉ノ形圓ナルニ異ナリ、夏秋ノ間葉間ゴトニ、節ニ多ク並ビテ花ヲ開ク、大サ三四分、淡紫色ニシテ微ク紅色ヲ帶ブ、形積雪草(カキトホシノ)花ノ如シ、花後實ヲ結ブ、蕚ゴトニ四粒アリ、集解ニ如同蒿子(シンキク)ト云ニヨク合ヘリ、即茺蔚 子ナリ、ソノ形小長ニシテ四稜アリ、唐山ヨリコレラ巨勝子ト名テ渡ス、漢渡ノ僞物ナリ、巨勝子ハ烏麻(クロゴマ)子ナリ、故巨勝子圓ニハ烏麻子ヲ用ベキコトナルニ、世上ノ賣藥巨勝子圓ニ多ク茺蔚子ヲ用ルハ、舶來ノ巨勝子僞ナルニヨリテ誤ルナリ、時珍モ藥肆往往以作巨勝子之ト云、本草必讀ニ、近世以茺蔚子小胡麻、遂竟稱巨勝以訛、傳訛不勝言ト云、巨勝ハ茺蔚ニ非ルコト明ニ辨ゼリ、又胡麻集解ニ詳ナリ、然ルニ本草新編ニハ、巨勝子非胡麻ト云ハ大ナル誤ナリ、藥肆ニ賣ルモノ皆和産ナリ、苗ヲ益母草ト云ヒ、實ヲ茺蔚子ト云、苗ヲ賣ルニ多ク鐵刀ニテ剉テ乾カス、然レドモ此草ハ銅鐵共ニ忌ム、故ニ自製シテ用ユルニシクハナシ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 諸國進年料進藥大和國卅八種、〈◯中略〉充蔚子六升、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 行徳邊 茺蔚〈品川ニモ〉

鏨菜

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 鏨菜、今案加迺久須利(○○○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 鏨菜 一名天麻草〈白花ノ茺蔚(○○○○○)、雜草類五母麻ノ條、〉両説アリ、藏器ノ説ハキセワタ(○○○○)ト呼草ナリ、時珍ノ説ハ白花ノ益母草ナリ、藏器ノ説ヲ優トス、キセワタハ江州伊吹山ニ多シ、移シ種テ繁茂シ易シ、春舊根ヨリ苗ヲ生ズ、方莖高サ四五尺、脚葉ハ益母草ノ葉ニ類シテ、厚クシテ毛アリ、梢葉ハ漸ク變ジテ、續斷葉(ヲトリコサウノ)ニ似リ、皆節ニ對シテ生ズ、秋ニ至テ節ゴトニ花ヲ開ク、形續斷花ヨリ大ニシテ毛アリ、淡紫色又白色ノ者アリ、花後蕚内四子ヲ生ズ、茺蔚子ヨリ大ナリ、四稜ニシテ長シ、白花ノ益母草ハ、形状常ノ益母草ト同ジ、唯白花ナルヲ異トス、

羅生門

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0501 羅生門(らしやうもん) 俗稱〈本名未詳〉按羅生門蔓草也、葉似胡麻葉而短、三月葉間開小花深青、〈俗云紺色〉

鼠尾草

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 鼠尾草、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000306.gif 、〈仁諝音巨盈反〉一名陵翹、和名美曾波岐(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 鼠尾草 本草云、鼠尾草、〈和名美曾波木〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 爾雅、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000306.gif 鼠尾、釋以染http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 皂草也、陶注田野甚多、人採作滋染皂、蜀本圖經云、所在下濕地有之、葉如蒿莖端夏生四五穗、穗若車前赤白二種花、陳云、鼠尾草紫花、莖葉堪皂、時珍曰、鼠尾以穗形名也、

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 鼠尾草、美曾波岐、今案俗云美豆賀介久左(○○○○○○)、七月十五日用之祭鬼、

〔宜禁本草〕

〈乾/藥中草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 鼠尾草 苦微寒、〈白花主白下、赤花主赤下、〉治寒熱下痢膿血不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 止、主諸痢、〈煮汁服、赤末服粥飮下、〉紫花莖葉堪皂、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 鼠尾草 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000306.gif 〈音勍〉 山陵翹 烏草 水青 〈和名美曾波木、俗云水掛草、〇中略〉按鼠尾草多出攝河州、于蘭盆聖靈祭用鼠尾草水、因稱水掛草、〈無別意、但穗花長以灌水有便耳、〉俗傳鼠尾草莖葉浸醴投陰地、不日蛞蝓化生、亦一異也、海帶(アラメ)浸雨水則化蛭之類矣、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0502 鼠尾草 タムラ草(○○○○)〈種樹家ニテタムラサウト呼ブモノハ、玉ボウキノコトニシテコレト別ナリ、〉メクログサ(○○○○○)〈加州〉 一名鼠菊〈救急本草〉 陵翹〈證類本草〉 鼠尾子〈類書纂要〉春夏秋ノ三品アリ、秋ノタムラサウ(○○○○○○○)ハ山野ニ多ク生ズ、冬ヲ經テ枯レズ、脚葉ハ地ニ就テ叢生ス、霜雪ノ時ハ背紫色、暖ニ向ヘバ漸ク緑色ニ變ズ、葉ハ五葉〈末三葉ニシテ本二葉對ス〉ニシテ鋸齒アリ、又七葉〈末三葉ニシテ本ニ兩對二節〉ニモナル、又枝ヲ分テ小升麻(アカセウマ)ノ葉ニ似タルモアリ、春以後漸ク方莖ヲ抽コト七八寸、葉對生ス、梢葉ハ三葉或ハ一葉ニモナル、コノ草變葉多シ、八月長穗ヲ成シ花ヲ開ク、ヤマハツカノ花ニ似テ淡紫色、又白花ノモノアリ、皆六七蕚一節ニ連リ、層層尺餘ニ至ル、一種夏ノタムラサウ(○○○○○○○)アリ、形状同ジ、山ノ幽谷ニ生ズ、五六月ニ花アリ、形チ大ニシテ深紫色愛スベシ、又春ノタムラサウ(○○○○○○○)アリ、苗葉花穗共ニ小ク、葉莖トモニ青シ、春末花ヲ開ク、白色ニシテ至テ小シ、以上三種通 ジテ鼠尾草ナレドモ、秋ノ田村草極テ多ク、集解ノ説ニモヨク符ス、古來誤テミソハギヲ以テ鼠尾草トス(○○○○○○○○○○○○○○○○)、今藥肆モ亦然リ、故ニ和ノ方書ニ、鼠尾草トアルハミソハギヲ用ユベシ、唐山ノ書ニ鼠尾草トアルハ、秋ノタムラサウヲ用ユベシ、ミソハギハ救荒本草ノ千屈菜ナリ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉鼠尾草三斤、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 道灌山ノ産 鼠尾草(たむらさう)

藿香

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 藿香、加波美土利(○○○○○)、異名兜婁婆香、

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 藿香 今藿香トテ世人種ル物アリ、本草所云ト粗相似タリ、只香氣不相類、其葉厚薄亦不同、日本ノ土地不宜ニヨツテ性不好カ、若ハ可同類異品、中華ノ産ト云ドモ、無香氣ハ不用、ウヅミ藿香アリ、青葉アリ、用時洗テ少日ニホスベシ、青葉爲佳、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 藿香 兜婁婆香〈楞嚴經〉 怛羅香〈金光明經〉 迦算香〈涅槃經〉 鉢多摩羅跋香〈法華經◯中略〉按藿香多自廣東來、他處舟少有之、青葉(アヲバ/○○)藿香(/○○) 近間將來有葉微青者、稱青葉藿香、其芬香甚、用合香具、但採葉未黄者陰乾製之、倭藿香 今有眞藿香種之者、春生苗、其高二三尺、節節生葉似木芙蓉葉而小長、開紫花夏枯草花、其香有荏氣而烈、摘葉用糝泥、一宿乾、武州多種之、與唐藿香異、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 藿香 一名霍去病〈事物異名〉 玲瓏藿去病〈藥譜〉舶來ニ二品アリ、青葉ト呼モノ眞物ナリ、和産ナシ、葉大ニシテ厚ク毛茸アリ、五ツ許刻缺アリテ邊ニ鋸齒アリ、兩對シテ生ジ香氣アリ、古ハ惟其葉ヲ用ヒ、枝梗ヲ用ヒズ、今人ハ枝梗ヲ併テコレヲ用ユ、葉僞多キニ因ル故耳ト時珍云リ、〈◯下略〉

〔廣益地錦抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0503 藿香(くわつかう) はハしその葉に似て青く、兩方へ對して付、葉の間より枝出て、夏の末ふぢ 色成小花さく、葉を手にてしごけバ香氣甚敷有り、

夏枯草

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 夏枯草〈蘇敬注云、五月枯、故以名之、〉一名夕句、〈楊玄操上音席、下音鉤、〉一名乃東、〈楊玄操音尺奢反、諸本作東字、〉一名燕面、一名少可乃車、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000307.gif 草、一名苦枯、一名春草、一名白微、一名華、一名戴逢、〈已上七名出釋藥性〉一名莫英、一名夕可、〈已上二名出釋藥〉一名少勾、一名夏格、一名乃連、〈已上三名出雜要決〉和名宇留比(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 夏枯草 蘇敬本草注云、夏枯草、〈和名宇流木(○○○)〉五月枯、故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 蘇注又云、此草生平澤、葉似旋復、首春即生、四月穗出、其花紫白、似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 參花、五月便枯、圖經云、冬至後生、三月四月開花作穗、結子亦作穗、衍義云、自秋便生、經冬不瘁、春開白花、中夏結子遂枯、李時珍曰、苗高一二尺許、其莖微方、葉對節生、似旋復葉而長大、有細齒、背白多故莖端作穗長一二寸、穗中開淡紫小花、一穗有細子四粒、按今俗呼十二單者可以充http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 之、一種有今俗呼靱草、是亦夏枯草之類、或曰、本草圖所載滁州夏枯草即是、

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 夏枯草、宇流岐、又稱宇豆保久左(○○○○○)

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 夏枯草 若水云、葉似金沸草、裏有紫條、花微紅、似空穗草而長、ウツホ草ニハ非ズ、ウツボ草ハ用テ功ナシト云、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 夏枯草(かごそう/うつぼくさ) 燕面 乃東 夕句 鐵色草 〈和名宇流木、今云宇豆保草、◯中略〉按夏枯草出攝河州者最良、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 波次之、穗形似矢筒之靱、故俗曰宇豆保草

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0504 夏枯草 ウルキ〈和名鈔〉 十二一重(○○○○) 一名血見愁〈古今醫統〉 猪屎草〈本草原始〉 云鷰蜜〈採取月令〉 四牛鬪草〈藥性要略大全〉 鷰矣蜜〈郷藥本草〉山中陽地ニ生ズ、方莖紫色、高サ三五寸、葉ハ旋覆(ヲグルマ)花ノ葉ニ似テ粗鋸齒有、又金瘡小草葉(キランサウノ)ニ似テ兩對ス、莖葉ニ白毛多シ、三四月莖頭ニ穗ヲ成シ、小ナル花密ニ綴ルコト二三寸、花大サ三分許、五瓣ニシテ本ハ筒ナリ、金瘡小草花ニ似タリ、色白クシテ淡紫色ヲ帶ブ、又紫碧花白花ノ者アリ、花終 レバ蕚中ニ小子四粒アリ、熟シテ苗枯ル、乃夏至ノ候ナリ、故ニ夏枯草ト名ク、苗枯ルレバ直ニ根ヨリ新苗ヲ生ズ、春ノ苗ヨリ長大ナリ、冬寒ニ逢テ枯ル、冬至ヨリ新苗ヲ發シ花ヲ含ミ、春ニ至テ開ク、古ヨリウツボグサヲ以テ夏枯草ニ充ツ、今藥肆ニ賣ル所ノ夏枯草皆ウツボグサナリ、然レドモウツボグサハ、滁州夏枯草ニシテ眞物ニ非ズ、稻先生ノ説ニモ、夏枯草ハウツボグサニ非ズ、用テ效ナシト、大和本草ニ載ス、ウツボグサハ一名スイ〳〵バナ、〈江州〉スイ〳〵、〈同上〉スイバナ、〈佐州〉スモトリ、〈濃州〉ウシボクト、〈長崎〉ヒグラシ、〈豫州〉シビトバナ、〈和州〉シビトノマクラ、〈同上〉狐ノマクラ、〈同上〉ウバチコ、〈奧州〉ウバノチ、〈同上〉トリゲグサ、ヤリバナ、マツカサグサ、〈雲州〉山野甚多シ、四時葉アリ、形チ薄荷葉ニ似テ微尖リ鋸齒淺シ、冬ハ地ニ就テ叢生ス、春已後方莖ヲ抽デ、高サ二三寸葉兩對ス、五月ニ至テ六七寸、上ニ穗ヲ出シ、深紫色ノ花ヲ開クコト二寸許、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000308.gif 靱(ウツボ)ノ形ニ似タリ、又深紫色ニシテ青ヲ帶ルモノアリ、又淡紫色深紅色白色ノモノアリ、此草夏枯レズ、夏至以後始テ花アリ、夏枯草ノ名ニ稱ハズ、然レドモ效用ハ近シテ代用スル故ニ、滁州夏枯草ト云フ、増、按ニ夏枯草夏至ノ候ニ枯レテ、舊草脱シテ直ニ新葉ヲ生ズ、ソノ直ニ新陳相代ルヲ以テ、十二一重ノ名アリ、

〔廣益地錦抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 空穗草(くうほさう) 田野に多生ズ、葉ほそ長ク冬の中より出る、春五六寸に花を出ス、花形松かさのごとく、又空穗に似たるとて、うつぼさうといふ、花の色うす紫なり、此草夏は枯るゆへに夏枯草共云、本草に冬至の後葉を出す、三四月花をひらく、穗をなす、五月かるヽと有、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 道灌山ノ産 除州夏枯草(うつぼくさ) 堀ノ内大箕谷邊ノ産 夏枯草(じうにひとへ)〈道カン山ニモ〉

香葇

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000309.gif (○○)、〈楊玄操音而由反〉一名胡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000309.gif 、〈本名胡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000309.gif 、石勒諱胡、故名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000309.gif 、出兼名苑、〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b2e0.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000310.gif 〈出范注方〉一名鼠http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001bd60.gif 、〈出拾遺〉和名以奴衣(○○○)、一名以奴阿良良岐(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/麻〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0505 香葇 楊氏漢語抄云、香葇〈音柔、和名以沼衣、〉一云、水蘇〈今按所出未詳〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/稻穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 按千金翼方、證類本草菜部中品、水蘇香薷並載、廣韻亦云葇、香葇菜、蓋依唐韻也、本草唐韻非僻書、源君不此等書、依漢語抄載、非是、又香薷水蘇不同、楊氏以水蘇香薷別名恐誤、本草圖經云、香薷似白蘇而葉更細、本草衍義云、香薷生山野、葉如茵蔯、花茸紫、在一邊穗、凡四五十房爲一穗、如荊芥穗、別是一種香、李時珍曰、方莖尖葉有刻缺、頗似黄荊葉而小、九月開紫花、成穗有細子、本草水蘇、蘇敬注云、此蘇生下澤水側、苗似旋復、兩兩相當、大香馥、蜀本圖經云、葉似白薇、兩葉相當、花生節間、紫白色、味辛而香、本草衍義云、水蘇氣味與紫蘇同、辛而不和、然一如蘇、但面不紫、及周圍槎牙如鴈齒、香少、李時珍曰、水蘇三月生苗、方莖中虚、葉似蘇葉而微長、密齒面皺、色青、對節生、氣甚辛烈、六七月開花成穗、如蘇穗水紅色、穗中有細子、状如荊芥子、可種易生、宿根亦自生、沃地青苗高四五尺、按水蘇倭産未詳、

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 葇〈音柔、イヌエ、〉 香葇〈同〉

〔易林本節用集〕

〈伊/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 犬荏(イヌエ)

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 香薷〈音柔〉 香葇 香菜 香茸 密蜂草〈◯中略〉按香薷今有長刀(ナキナタ/○○)香薷(/○○)、葉香薷二種(/○○○○○)、有實如穗蓼者、謂之長刀、惟葉而已謂之葉香薷、是所謂大葉細葉如二種之差、皆用倭、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0506 香薷 イヌアラヽギ(○○○○○○)〈延喜式〉 イヌヱ(○○○)〈和名抄〉 ネズミアブラ(○○○○○○)〈奧州◯中略〉今ニテハ和漢通名、俗ニナギナタ香薷(○○○○○○)ト呼モノ眞物ナリ、大小ノ二種アリ、共ニ俗ニナギナタカウジユト呼ブ、宿子地ニ在テ春自ラ生ジ、夏以後長ズ、方莖ニシテ枝葉對生シ、毛茸アリ、九月ニ至リ、高サ三四尺或ハ一尺許、枝梢ゴトニ花ヲ開キ實ヲ結ビ、熟シテ苗根トモニ枯ル、小香薷(○○○)ハ葉ノ形小ク長シ、黄荊葉(ニンジンボクノ)ニ似リト時珍モ言ヘリ、黄荊ハ牡荊ナリ、牡荊ハ五葉一帶ナルモノナリ、ソノ一葉離シタルニ能似タリ、爵牀葉(イヌカウジユノ)ヨリハ長ク、香氣甚シ、ソノ穗長サ一寸餘、闊サ三分許、ミナ一邊 ニ連リテ小花ヲ綴リ、微ク反張ス、故ニナギナタ香薷ト云フ、ソノ色紫或藍色ヲ帶ブ、大香薷(○○○)ハ葉圓大ニシテ荏葉ノ如シ、其穗濶長淡紫色、深山幽谷ニ生ズ、其香氣小香薷ヨリ劣レリ、藥ニハ小ヲ用ユ、藥舖ニ售ルモノ二品アリ、一ハ夏月葉ヲ採リ收ムルモノヲ葉香薷(○○○)ト云、コレニハ爵床葉ヲ混ゼリ、一ハ秋月穗ヲ採リ收ルモノヲ、ナギナタ香薷ト云、コレ眞ニシテ僞雜ナシ、是皆小香薷ナリ、大香薷ハ藥舖ニ出サズ、

〔農業全書〕

〈十/藥種之類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 香薷香薷是大小あり、小香薷とて葉細く、みどり少たはみて長刀のやうに見ゆる、俗になぎなたかうじゆと云、園に作る事、又干上るまで荊芥にかはる事なし、山野に自ら生ずるが勝れり、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉香http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509f0.gif 夜干各十五斤、 大和國卅八種、〈◯中略〉香http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509f0.gif 澤蘭各十五斤、 攝津國卌四種、〈◯中略〉香http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509f0.gif 七斤、 近江國七十三種、〈◯中略〉芎藭香http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509f0.gif 各十五斤、 播磨國五十三種、〈◯中略〉香http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509f0.gif 烏賊骨各十五斤、 美作國卌一種、〈◯中略〉香http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509f0.gif 商陸各五斤、

石香葇

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 石香葇、今案伊和伊努惠(○○○○○)、異名石蘇、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 石香葇 ヤマカウジユ(○○○○○○) イハカウジユ(○○○○○○) ヒメカウジユ(○○○○○○) 一名山茵蔯〈通志略〉時珍ノ説ニ從ヒ、小香薷ノ山中崖石ノ上ニ生ジ、瘠テ小キ香薷ノ香氣烈シキヲ石香薷トスベシ、石トハ小キモノヲ指テ云、駿州富士山ノ麓ニ甚ダ多シ、

爵床

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 爵床、一名浴赤眼老母草、〈出蘇敬注〉一名雀荏草、出龍門方一名天香葇、〈野俗名也、出稽疑、〉

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 爵牀、今案古加宇志由(○○○○○)、異名赤眼老母草、〈唐本〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0507 爵床 イヌカウジユ(○○○○○○) 此イヌカウジユハ原野ニ甚ダ多シ、高サ一二尺、其莖方ニシテ香薷ヨリスルドナリ、枝葉對生ス、香薷葉ニ似テ短クシテ毛少シ、葉ヲ揉デ初嗅ゲバ微シク香氣アリ、再カゲバ臭氣ヲ覺ユ、八月枝梢ニ花ヲ開ク、紫蘇ノ穗ノゴトクシテ小ク、香薷ノ穗ニ異ナリ、長サ三四寸許、淡紫色、花ノ大サ一分ニ盈タズ、花後實ヲ結ブ、其蒂ノ形紫蘇ニ同ジ、子熟シテ苗根共ニ枯ル、又白花ナルモノアリ、此外ニイヌカウジユト呼モノ數多シ、増、一種小葉ノモノアリ、泉州地方海ニ近キ溪澗流水ノ傍ニ生ズ、莖方ニシテ高サ五寸許、葉莖ニ對生シテ、全ク爵状ノ形ニ似テ小ナリ、臭氣ナシ、陸地ニ栽テ能ク生ズ、一種地黄葉ノイヌカウジユト云アリ、高サ二三尺、葉ニ皺多ク、地黄ノ葉ニ似タリ、秋ニ至テ穗ヲ生ズルコト三四寸、相似テ大ナリ、又桑ノ葉ニ似テ莖ニ互生シ、淡緑色ニシテ高サ一尺許ナルモノアリ、コレモイヌカウジユト云、又救荒本草ノ風輪菜モイヌカウジユト云、同名ナリ、又風輪菜ニ似テ小葉ニシテ直立セザルモノアリ、コレモイヌカウジユト云フ、

荊芥

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 假蘇(○○)一名鼠蓂、〈楊玄操音莫結反、又音茗、曽憲、音銘、〉一名薑芥、一名荊芥、〈蘇敬注曰、薑者荊聲訛也、是菜中荊芥是也、〉和名乃々衣(○○○)、一名以奴衣(○○○)、

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 荊芥(ケイカイ)

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 假蘇、野乃惠、異名薑芥〈別録〉荊芥、〈呉普〉鼠蓂、〈本經〉

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 荊芥 本艸約言曰、性凉而輕、能凉血疏風、諸蒼風熱皆當之、陳久者良、本艸ニ荊芥反魚蟹河豚一切無鱗魚、又黄http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000311.gif 魚ヲ食テ後荊芥ヲ食ヘバ吐血シ或死、又曰、服荊芥魚、時珍曰、荊芥乃日用之藥、其相反如此、荊芥ハ穗ヲ用テ良シ、久キガヨシ、魚ト同食スル事忌ム、荊芥ヲ服スル病家ニ教ユベシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0508 假蘇 ノヽエ(○○○)〈古名〉 ネズミグサ(○○○○○)〈南部方言、鼠ノ穴ニ此草ヲ挿メバ出デズ、故ニ名ヅク、〉 ネズグサ(○○○○) 〈同上〉 通名荊芥 一名靜風尾〈輟耕録〉 鄭芥〈郷藥本草〉 京芥〈本草衍義〉 一捻金〈附方〉 再生http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif  擧卿古拜散〈共ニ同上〉京師ニ自生ナシ、城州山城ノ郷長池、和州紀州ニ栽蒔シ藥舖ニ出ス、其苗一年ニシテ枯ル、藥舖ニ售ルトコロノ新種ヲ下シテ生ジヤスシ、苗高サ二尺許、方莖ニシテ葉兩對ス、艾葉ニ似テ小サク、一寸餘ニシテ五枝アリ、莖葉トモニ黄緑色、香氣多シ、莖頭ニ穗ヲ成シ、細小花ヲ開ク、莖葉穗トモニ藥用ニ入ル、南部ニハ自生アリ、藥舖ニ舶來ナシ、此草魚品ニ反ス、

〔廣益地錦抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509 荊芥(けいがい) 葉ほそ長ク切りまハし、見事にあひらしく、草形ながめ有り、花ハ見るかいなし、秋實をむすぶ、取置て二月蒔べし、一年草にて根ハ冬枯る、

〔農業全書〕

〈十/藥種之類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509 荊芥けいがいも多く用ゆる藥なり、菜をうゆるごとく、畦作りし、たねをちらしまきをき、苗にしてうゆる事薄荷と同じ、少間遠にうゆべし、六月土用に葉を取干べし、七月葉さかへたる時又取べし、其後七月花咲て刈取あみて干し、其まヽ藥屋にうるべし、少みのらんとする時刈取ものなり、

薄荷

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 、〈仁諝音可〉唐、

〔倭名類聚抄〕

〈十六/薑蒜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif  養生秘要云、薄http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 、〈和名波加(○○)、今案http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 字所出未詳、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四/鹽梅〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0509 按本草和名云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000312.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 、仁諝音可、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000312.gif 字諸書無見、恐誤、若是作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000312.gif 、希見之字、應音釋、而但音可、可薄字之誤也、又按薄http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif是唐本草之舊、千金翼方、證類本草作薄荷、恐宋人所改、蓋以説文玉篇廣韻無http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif也、然千金方作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 、醫方類聚引食醫心鏡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 、亦皆作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 、集韻云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 菜名、或從呵作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000313.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d89b.gif 字見韻書、是爲始、又證類本草薄荷條引陳士良、有呉拔http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c3.gif 胡拔http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c3.gif 、玉篇云、蔢草藥蔢http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c3.gif 、李時珍曰、甘泉賦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e0fa.gif 、字林作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f0b6.gif 、千金方作蕃荷、蓋此草原胡種、無其字、假借薄訶薄可薄何字、或作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c451.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c451.gif 、後從艸諧訶可何http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c451.gif、則作苛非煩苛之苛、作荷非夫渠之荷也、〈◯中略〉本草 蘇注云、薄荷莖葉似荏而尖長、根經冬不死、又有蔓生者、嘉祐本草引藥性論云、尤與薤作葅相宜、李時珍曰、方莖赤色、其葉對生、初時形長而頭圓、及長則尖、

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 薄荷、於保阿良岐(○○○○○)、俗稱也末波加(○○○○)

〔庖厨備用倭名本草〕

〈五/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 薄荷(ハクカ)〈◯中略〉 元升〈◯向井〉曰、薄荷ハ其香龍腦ノ如シ、故ニ西國俗ニハ龍腦草(○○○)ト云、風寒ニアタリ、目赤ク痛ミ、眵涙出ルニハ生薄荷葉ニテ目ヲサスリ、或ハ少シ肉ヲアラヘバ、目ノ中スヾシクナリテ、眼疾イエヤスシト云、多識篇ニ水蘇ノ和名ヲ、リウノウクサト云ハ未穏當也、今ノ人飮食ニ薄荷ヲ用フルコトナシ、古人ハ是ヲ用タルベシ、倭名抄飮食部薑蒜類ニ載タリ、食物本草ニモ載タレバ、今爰ニ是ヲ書セリ、吸口ニシテモヨシ、

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 薄荷 辛苦温、下氣發汗、新病瘥人勿食、虚汗不止、能去憤氣毒汗、破血止痢、通利關節、治傷寒頭痛中風失音、吐痰除賊風、療心腹脹滿宿食、〈治小兒驚風〉水入耳以汁點立效、衍義曰、薄荷世謂南薄荷、有一種龍腦薄荷故也、能引諸藥榮衞、去風氣壅并傷寒頭痛

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 薄荷 二種アリ、國俗ニ龍薄荷(○○○)ト云ヲ用ユベシ、是龍腦薄荷ナリ、氣味香ク辛シ鼻ニトホル、一種非薄荷(○○○)ト云ハ香氣アシヽ不用、龍薄荷家圃ニウヘ、四五月雨後ニ早ク葉ヲツミトリ、半日日ニホシテ後カゲボシニスベシ、乾シテ後器ニ納メ或厚キ紙袋ニ包ヲクベシ、生葉ヲキザミ膾ニ加ヘ、又煎茶煖酒ニ和シテノム、本艸ニモ茶ニ代ヘテノムト云ヘリ、痩弱ノ人久ク食ベカラズ、猫クラヘバ酔フ、猫ノ酒ナリト云、猫ノ咬タルニ汁ヲヌルベシ、相制スル也、蜂蛇ニサヽレタルニ葉ヲモンデ付ベシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0510 薄荷 ハカ(○○)〈和名鈔〉 オホアラキ(○○○○○)〈古名〉 メグサ(○○○) メハリグサ(○○○○○)〈西國〉 ミヅタバコ(○○○○○)〈佐州〉 メザメグサ(○○○○○)〈尾州〉 一名冰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006519ba.gif 尉〈輟耕録〉 炙蘇〈壽世保元〉 蔢荷〈本草原始〉 雞蘇〈同上、救荒本草、本草蒙筌、本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001922c.gif 言ニテハ花紫蘇ノ一名、綱目ニテハ水蘇ノ名ナリ、〉 英生〈郷藥本草〉 蔢http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000313.gif 〈品字箋〉 番荷〈通雅〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000314.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c3.gif 〈同上〉 蔢http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c3.gif 〈正字通〉 原野ニ自生アリ、根ハ冬モ枯レズ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、莖方ニシテ葉對生ス、形圓カニシテ淺キ鋸齒アリ、面ハ深緑色、背ハ紫色ナリ、稍長ズレバ緑色ニ變ジ、形長クナル、斷レバ香氣多シ、秋ニ至テ高サ二三尺、葉間ゴトニ節ヲ圍ミテ、碎小花ヲ叢簇ス、色白シテ微紫ヲ帶ブ、藥鋪ニ貨ルモノ和産ノミ、舶來ナシ、城州山城ノ郷、和州奈良、泉州堺ニ多ク栽出ス、一種小葉ノモノ(○○○○○)アリ、ヒメメグサト呼ブ、一名コハツカ、微ク香氣アリ、是石薄荷ナリ、一種細葉ノモノ(○○○○○)アリ、葉濶サ三分、長サ寸餘ニシテ鋸齒アリ、越中ニテハクサト呼ブ、増、天保十年ノ頃、阿蘭陀種ノ薄荷舶來ス、形容尋常ノ者ニ似テ、肥大ニシテ葉ニ皺文多シ、ソノ氣甚猛烈ニシテ惡臭ヲ帶ブ、葉ニ蒂ナクシテ直ニ莖ニ對生ス、尋常ノ薄荷ノ葉蒂五六分ナルニ異ナリ、移シ栽テ繁茂シ易シ、故ニ今處處ニ多シ、

〔廣益地錦抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0511 薄荷(はつか) 宿根より春生、又たねを蒔てよくはへ出、はやくしげる、葉形は藿香(クハウカウ)に似て兩對に付、葉のまハりにあらくきざあり、葉の間々より枝多く出る、葉末に花さく、うす白く小細見るにたらず、葉莖に香氣有、少しつまみ切れば、香鼻をとほる、又野薄荷(ノハツカ)ハ葉ほそながくして、へりに鋸のきざみもなく香氣あり、宿根より多ク生ル、本庄邊に生るは眞土(マツチ)ゆへにや、香氣甚しく龍薄荷にまされり、兩種ともに花壇に植べし、眼目かゆくむつかしきに、葉をはりてよし、あきらかにしてすヾしむ、又たばこにきざみ入れて用、口中をすヾしむ、

〔農業全書〕

〈十/藥種之類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0511 薄荷薄荷是も藥に多く用ゆる物なり、作るべし、二種あり、一色はりうはくかとて、氣味のよきあり、是をうゆべし、又ひはくかと云あり、あしヽ作るべからず、肥地に一度うへをけば、年々自ら生る物なり、たねを取をき、苗にしてもうゆべし、畦作りしうゆる事、菜にかはる事なし、刈時分は小むぎかるころ、下葉色付を、日和を見て刈取、うすくあみて一日ほし、其後日かげにつりて、かげ干にし て、藥屋にうるべし、是八新の一にて、古きをば用ひず、若二年にこゆるあらば、捨て賣べからず、

〔草木育種〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 薄荷〈本草〉 めぐさと云、野土の濕地に栽てよし、魚洗汁折々澆てよし、夏の内刈て一日日に干、それより陰乾にすべし、藥に用るにハ新き程よし、古きハ氣味薄くなるなり、

〔草木六部耕種法〕

〈八/需葉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 薄荷ノ作法ハ、大抵藿香ニ同ジ、且此物ハ葉ニ油ノ多キヲ上品トス、油多ク葉ニ湊集ンコトヲ欲セバ、上ニ擧タル温養水五荷ト、人溺一荷、馬溺一荷トヲ調合シテ、時々根傍ニ澆ベシ、如此スルバ油多ク葉ニ集リテ、其香氣ノ烈々タルコト、常ノ薄荷ニ十倍ス、

籬通

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 積雪草〈◯中略〉 胡薄荷 地錢草 連錢草 海蘇 〈加岐止乎之◯中略〉按積雪草無枝朶、圓葉一一光潔引蔓可籬、俗名籬通(カキトヲシ/○○)也、本草必讀積雪草之圖有枝朶者非也、亦倭名抄以之訓豆保久佐者非也、◯按ズルニ、ツボクサト、カキトホシトノ辨明ハ、積雪草(ツボクサ)條ニ在リ、參看スベシ、

麝香草

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 麝香草(ジヤカウサウ)〈本草所謂羅勒是矣〉 羅勒(エアラヽギ)〈香菜、蘭香並同、今按本朝俗謂之麝香草、〉

〔大和本草〕

〈八/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 麝草(ジヤカウクサ) 彙苑曰、色紅而甚芳香、今按ニ此草葉ハ薄荷ニ似テ少アカシ、手ニテ其莖葉ヲシゴケバ、其香麝香ノ如シ、ジヤカウグサヲ水蘇ト云ハ非也、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 麝香草 俗稱〈本名未詳〉按麝香草高尺餘、葉似馬蓼(イヌタテ)而厚濶、微有麝香氣、而甚於茴香葉之香、三月開花、單葉淺紅色而小、

水蘇

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 水蘇一名鷄蘇、〈呉會名〉一名勞蒩、〈仁諝音資都反〉一名芥葅、〈仁諝音義作萱、子居反、〉一名苽葅、一名華道、一名薺薴〈仁諝上音齊禮反、疑當http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000315.gif 、音仕朋反、下女耕反、〉和名知比佐岐衣(○○○○○)、

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 水蘇、今案加良惠(○○○)、俗稱利宇那宇久左(○○○○○○)

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0512 水蘇 マヽヲガラ(○○○○○)〈古名〉 一名萎荷〈本草蒙筌〉 萊〈品字箋〉 勞袒〈證類本草〉和産詳ナラズ、古説ニヤマハツカトスルモノハ穩ナラズ、山ハツカハ一名ヱグサ、〈藝州〉山野ニ多 シ、春舊根ヨリ叢生ス、ヒキヲコシニヨク似テ混ジヤスシ、莖方ニシテ兩對ス、葉ノ形紫蘇葉ニ似テ小ナリ、秋ニ至リ莖ノ高サ三五尺、紫花ヲ開ク、穗ノ長サ一尺餘、花ノ形鼠尾草(タムラサウノ)花ニ似テ小ク、層ヲナシテ生ズ、葉ニ微シク香氣アリ、味苦シテセンブリノ如シ、

延命草

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 薺薴 ヒキヲコシト云草也、ヤマ薄荷(○○○○)トモ云、其葉ノ形如此、〈◯圖略〉方莖茂生ス、其草如薄荷、又似益母微有臭氣、本草芳草類ノ末ニノセタリ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 延命草 〈俗云比木乎古之、引起之義、回生起死之謂歟、〉按延命草、和州河州及西國山麓有之、叢生高二三尺、方莖葉並似狗苘麻(イヌマヲ)、六七月枝杈開小花、作細穗子、其花實似紫蘇而有香、其葉味甚苦、能治蟲積腹痛、相傳有行人於山中腹痛垂死者、時遇弘法大師登山、令此草吃http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 之即立瘥、後亦試之皆有驗、因名延命草

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 薺薴和産詳ナラズ、ヒキヲコシニ充ル古説ハ穩ナラズ、ヒキヲコシハ一名ヱンメイサウ、トンボサウ、〈大和〉ムラタチ、〈仙臺〉ヲロトヾ、〈豫州〉ヲロントヾ、〈阿州〉ヲソド、〈土州〉山野ニ多シ、春宿根ヨリ叢生ス、ソノ苗甚ダヤマハツカニ似タリ、葉ハヤマハツカニ比ブレバ、稍長クシテ尖リ、色淺クシテ白毛アリ、秋枝ノ末ゴトニ花ヲ開ク、ヤマハツカヨリ後レ、八九月ニ開ク、穗ハヤマハツカヨリ長大ニシテ枝多シ、花ハ形小クシテ色淺ク、牡荊花(ニンジンボクノ)ノ形色ニ似タリ、又紫花ナルモノアリ、皆ソノ莖葉甚苦シ、故ニ仙臺ニテ蟲オサヘノ藥ニ用ユ、臟器薺薴ハ味辛温ト云ヒ、又可生菜ト云フ、ヒキヲコシハ味苦ク且臭氣アリテ、生食スベキモノニ非ザレバ、薺寧ニアタリガタシ、

迷迭香

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0513 迷迭香 マンルサウ(○○○○○) マンネンロウ(○○○○○○) 一名迷迷香〈琅邪代酔編〉紅毛ノ産ナリ、苗ハ小木ノ如シ、高サ一二尺、枝葉對生繁茂ス、葉細長シテ甚厚シ、濶サ一分餘、長サ一寸許、面深緑色ニシテ、背ハ白シ、香氣多クシテ薑醋ノ氣ノ如ク、又棑草香ノ如シ、花ハ葉間ニ生 ズ、蔓荊(ハマボウノ)子花ニ似テ白クシテ淡紫碧ヲ帶ブ、秋ハ色淺ク冬春ハ色深ク盛ニ開ク、花後蕚中ニ一子アリ、形黍ノ如ニシテ、稜ナク、黒褐色ナリ、


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:48:59 (386d)