牛蒡/名稱

〔新撰字鏡〕

〈木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 惡實〈支太支須乃彌(○○○○○○)〉

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 惡實、一名牛蒡、〈仁諝音博郞切〉一名鼠粘草、〈已上二名出蘇敬注〉和名岐多伊須(○○○○)、一名宇末布々岐(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 牛蒡 本草云、惡實一名牛蒡、〈博郞反、和名岐太岐須、一云宇末不々岐、今案作房者非也、〉

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 牛蒡〈キタキス、一云ウマフヽキ、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈宇/植物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 牛房〈ウマフヽキ、本草云、惡實、一名見古本、〉 鼠粘草、〈已上二名出蘇敬注、已上三名ウマフヽキ、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈古/植物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 牛蒡〈コハウ俗人蒡作房者非也〉

〔大上臈御名之事〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 女房ことば一ごばう ごん

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 牛房〈訓古保宇〉集解、牛房諸州倶有、春初下種二三月生苗、野人剪苗作蔬、然要根不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 多、其葉似芋而長大深青、厚勁有皺、莖高起三四尺、有稜至根上紫色、四月開花成叢、淡紫色、結實作梂而小、蕚上有細刺百千攅簇、一梂有子數十顆、其根大者如臂、如大蘿蔔而盈握、長者如鞭如竹筒而二三尺、其根皮灰黒而厚、削皮則碧白香脆、其不好者、中有筋條而不脆美、近時多賞美之

牛蒡栽培

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0723 惡實 牛蒡は細軟沙の地に宜しとあり、山ごみの雜りたる細沙、いか程も深く底まで一色にして、土性よく重くしてつまりたるをよしとす、八幡などの土ごヽろ是なり、畠を掘うちにする事、深さ四五尺、糞をかくる事多きをよしとす、幾度もうち返し、底まで塊少もなくすべし、埋糞はわかき草木の枝葉、又青松葉を小枝ながら埋みたるは、牛蒡のにほひよく、風味ある物なり、さて上を數遍かきならしうね作りし、横筋にても又ちらし蒔にても、薄くむらなく蒔て、こゑをうち、土を覆ふ事、五分ばかり、凡たねを一段に一升の積りにて蒔を、中分とする也、但きりむし多き畠ならば、少は多く蒔べし、又種子おほひを灰にてし、其上に土をおほひ、上を鍬のひらにてたヽき付をくべし、さて二葉より心葉出るとひとしく、間引てむらなくし、若一つ穴より二本生たるをば早くぬき去り、一本宛にすべし、芸り細々中をかきあざり、草少もなくすべし、牛蒡は取分草に痛む物なり、さて糞は鰯のくさらかし、桶こゑもよし、其外水糞にても、始終たえ間なく用ゆべし、冬掘取までも、糞を用ゆれば、味よく和かにしてふとし、少き時は糞に痛むゆへ、葉に少もかヽらぬ様にわきよりかくべし、又云、牛蒡はうるほひを見て蒔べし、若雨なき時ならば、水をそヽぎてうゆべし、さてほり取事は、十二月までも置たるが、根よくふとるものなれど、寒氣つよき所か、又は跡の地、麥をまくか、急用あらば、霜月早く掘べし、又牛蒡を作る上田にて、利の多き所は、いふに及ばす、よく根入てをそく掘取べし、同じくいけ置事、莖葉を其まヽ置ながら、大小長短をゑり分、一尺廻り程にたばね、濕氣なき所に穴を深くほり、頭の方を上にして、穴の中に竪にならべ、葉は外に見ゆる様に入、土をおほひをくべし、穴に水入ば損ずる物なり、自分の料理に用ゆるは、たばねずして埋をき、用にまかせて、端よりぬき取べし、いけたる上よりも、肥たる土をおほひ置ば、穴の中にても、やしなひとなりて、肥てhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a1f1.gif 脆く味もよし、又種子にするをば、うへ付にし置て、春に成て糞をも少々かけ、虫付ば取去べし、朝露に灰をふるひかけたるも、虫のく物なり、七月かれて子の色黒く 成てかりとり、もみくだき粃を簸去て、箱か袋に入をきて、二月早く蒔べし、是先つねに定りたる蒔時分なれども、冬より地ごしらへし置て、正月早くまきたるは、夏早根に入ゆへ、菜の絶間に出來てめづらし、されども早過たるは、間に木牛蒡に成て、味も思はしからぬ事もあれば、二三月蒔て、虫のいまだ地に生ぜぬさきに、生長する心得するも、一つの手立なり、寒氣の和らかなる所は、冬より蒔もよし、總じて牛蒡はいつ蒔ても、少々根の入ぬ事はなきものなり、〈◯中略〉又牛蒡大根麻などは、いや地を嫌はず、却て舊地をよしとす、毎年同じ所にうゆべし、同じく種子を取をく事、八幡牛蒡のたね、其外よきたねを求て作るべし、よきたねは、内に筋もなく、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a1f1.gif もろくにほひあり、味甘く和らかなり、又去年の古たねよし、當年の實は蒔ても生ぜず、たとひ生じても、こはくして料理にならず、たねにする物、冬掘取て、大根のごとくうへをきたるもよし、其まヽうへ付置たるもくるしからず、

〔北方未來考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725 牛房には尺廻りの物、山にあるよしなれば、〈◯蝦夷〉是は土地合て大く成のみならず、寒國故、實を結ぶ事不相成、年々にもちこし候故、自ら根は太く相成事と思はるヽ也、

牛蒡利用

〔藥經太素〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725 惡實 平味甘 鼠粘子トモ云補中明目、療風纏腫瘡、解毒、除消渇、手足筋攣可未根、

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725 牛蒡根 辛甘平無毒、蒸脯食、嫩葉爲茹、主http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a1f1.gif 疼勞瘧、脚弱風毒、癰疽、咳嗽、傷肺、疝瘕、積血、治面目煩悶、四肢不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 健、通十二經脈、洗五藏惡氣、常作菜食之、莖葉煮汁、夏月浴去皮間習々如虫行風、洗了愼風少時、逐水久服、輕身耐老、 惡實一名大力子、未蕚謂之鼠粘、辛平、明目補中、除風傷、治疱瘡將出已出

〔庭訓往來〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725 菜者纖蘿蔔、煮染牛房、

〔執政所抄〕

〈上/正月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725 十五日 粥御節供事 御菜二前 一折敷 海松、青苔、牛房(○○)、河骨、

〔類聚雜要抄〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 一宇治平等院御幸御膳〈元永元年九月廿四日、大殿(藤原忠實)被下御日記定、〉三寸五分様器干物五坏〈海松、青苔、牛房、川骨、蓮根〉

〔年中恒例記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 正月十日扣牛房一折 若王子進上之

〔梵舜日記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 文祿五年正月朔日、當院之被官各來、同在所衆萩原民部少輔、〈十疋〉鈴鹿久左衞門、昆布一把、大工平次郞、瓶二ツ、并錫雙牛房〈二把、◯中略〉持參也、

〔鹿http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b282.gif 日録〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 慶長八年二月十六、辰刻、柳芳同途シテ赴勝願院、相伴兵衞大夫、木工頭、會席、トロヽ、煎昆布、アライデ、鹽山升、引テ牛房、フツ煎、

〔官中秘策〕

〈二十/年中行事〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 年中諸大名獻上物之事十月〈寒中獻上此月ニ入ル〉一牛蒡 干鯛〈寒中〉 大久保伊豆守 一牛蒡〈寒中〉 阿部豐後守一牛房 本城山城守 一牛房 水野日向守一胡桃 牛房〈寒中〉 土井大炊頭 一牛房 鳥井伊賀守

牛蒡産地

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 山城 牛蒡

〔食物知新〕

〈首〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 日域諸國名産菜蔬 岩附牛蒡、〈武州〉因幡牛http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006510cb.gif 、〈下野〉上州牛http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006510cb.gif 、〈上野〉

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 牛房洛之鞍馬八幡村里有肥大者而爲勝、武之忍郷岩築、亦爲江東之勝、而不洛産、然諸州亦據土地之 宜而佳者多矣、

〔雍州府志〕

〈六/土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 牛蒡 八幡山東園村之産爲名産、專稱八幡牛蒡、園村去八幡半里許、元社家大臣氏之所住也、今京師北野并小山堀河所々産者亦爲宜、〈一説八幡園牛蒡非園村、而社人家園之所種者也、〉

〔浪花の風〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 牛房も太きものはあれども、江戸の如く長きものは絶てなし、土中へ生るもの、江戸の如く長きものはなし、土性堅牢なる故なり、

〔甲斐國志〕

〈百二十三/産物及製造〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 牛蒡 窪八幡ノ切差村宜シ、近時東奈胡村ニ植ルハ三年牛蒡ト云、薹タツコトナク、長四五尺ニシテ軟美ナリ、

〔續江戸砂子〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 江府名産〈并近在近國〉岩槻牛旁 武藏の内、江戸より九里、長三尺を過て、周五六寸をふとしとす、齒ぎれよく味ひ美也、此所の名産也、大浦牛旁 下總、江戸より廿里、越後弘智法印出生の地也、住侶の庵于今存〈ス〉、長三尺を過ず、周り一尺或は尺一二寸にして、大根よりも肥たり、切口八方へhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a40e.gif (ひゞ)れ、環入(くわにう)のごとし、すぐれてやはらかに甚好味也、輪に切て平皿に盛るに、器を過たり、無類の佳蔬なり、

〔經濟要録〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 諸菜下總ノ國土浦ノ牛蒡ハ、周圍一尺八九寸ニ至ル者アリ、

〔國花萬葉記〕

〈十一/下野〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 當國州郡諸品名物之出所稻葉牛房

〔奧羽觀蹟聞老志〕

〈三/庸貢土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 牛房 所于宮城郡袋原、尤長大、

〔豐後國志〕

〈四/大分郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 土産 牛房、高田郷堂園村出、大者長四尺許、味最美、

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0727 苣〈其呂反、上、胡麻、又知佐(○○)、〉 萵〈知左〉

〔倭名類聚抄〕

〈十七/園菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 苣 孟詵食經云、白苣〈其呂反、上聲之重、和名知散、漢語抄用萵苣二字、上烏禾反、今案蒿字未詳、〉寒補筋力者也、

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 苣〈俗チシヤ(○○○)〉 萵〈俗䔀字、チサ、〉

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 萵(チシヤ)

〔和爾雅〕

〈七/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 萵苣(チサ)〈萵菜同、又名千金菜、〉

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 萵苣チサ 倭名鈔に、孟詵が食經を引て、白苣チサ、漢語鈔に、萵苣の字を用ゆ、今按ずるに、萵字未詳と注せり、墨客揮犀に、萵菜は咼國より來る、故に名づくと見えたり、萵苣數種あり、色白きものを白苣(○○)といひ、紫なるを紫苣(○○)といひ、味苦きを苦苣(○○)といふ、又別に水萵苣(○○○)あり、苣即今チサといひ、水萵苣をばカハヂサといふ是也、又賣子木をも讀てカハヂサの木といふ、詳ならず、萬葉集の歌に、ヤマチサといふものは、此木をいふにや、仙覺抄には、山萵とは木也、田舍人はツサの木といふ也と見えたり、チサの義詳ならず、

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 苣〈訓知佐〉集解、田圃家園多栽之、二月彼岸下種、三四月生苗采葉、似蕪菁蘿蔔葉、而色緑帶白、然比千葉雉尾之類、則色尚白有皺文、莖肥中空而脆、折之有白汁、葉莖倶有白毛、莖頭細葉似花、毎葉抱莖相重分叉、下葉濶大柔滑倶足蔬食、四五月開黄花、如初綻野菊、一花結子、一叢如鶴蝨子、花罷則收斂子上有白毛、茸茸隨風飄揚、落處即生、七八月復採葉亦可、八九十月再種亦生、然味不春夏也、一種有千葉(○○)、春初生苗有赤莖白莖二種、倶與苣同、倶莖高秀、葉葉相重繁茂、色緑帶碧、其味苦、折之有白汁、開花結子亦與苣同、即是禮月令所謂苦菜也、關東稀有、京師海西最多、可蔬茹、一種有雉尾(○○)者、正二月下種葉似苣而尖、如雉尾色稍青、折之有白汁手、三四月抽薹、似千葉而高三四尺、花子并與苣同、東西倶有之、雖蔬有毒、妄不之、有紫色者、此亦有毒、不辨耳、

〔和漢三才圖會〕

〈百二/柔滑菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 白苣(○○) 石苣、 生菜 〈一種高野苣、近頃間有之、◯中略〉 按、白苣葉色淺似萵苣而背微白、其花黄與萵苣同、 紫苣(○○)、葉紫色、 千葉苣(○○○)、莖高秀葉層々繁、色深緑光澤、 雉尾苣(○○○)、葉狹長末垂下、 高野苣(○○○)、毎枝椏小紫花、萵苣(○○) 萵菜 千金菜 和名知佐〈◯中略〉按、萵苣八九月下種、臘月分種、初葉布地四散、長則起薹、葉似芥葉而厚軟有皺、摘葉生和醋未醤食脆美煮食亦柔佳、春月爲日用菜、亞于蕪http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000015.gif (カフラナ)者也〈◯中略〉四月開花淡黄色、形似山漆花、將綻時、白色如毛散、其子如馬芹子而輕虚也、新産婦乳常成塊服之有神效、其葉濶短者盛久、狹長者葉出不久、凡紫苣雉尾苣千葉苣、謂微毒、種者希而多用萵苣

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 苦苣(○○) 苦平寒、折取莖中白汁、傅丁腫根、滴癰上立潰根主赤白痢、煮服、不血食、作痔、除面目及舌黄、強力、不睡、調十二經脈、利五藏、白苣(○○) 苦寒平、可常食http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 之、患冷氣人食腹冷、不苦損、産後不食、葉有白毛、如萵苣、補筋骨、利五臟、開胸膈壅氣、通經脈、止脾氣、令人齒白聰明、少睡、

〔延喜式〕

〈三十二/大膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 園韓神祭雜給料〈春冬並同〉萵苣五斗

〔延喜式〕

〈三十三/大膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 仁王經齋會供養料僧一口別菓菜料、〈◯中略〉萵苣半把六葉、〈好物料六葉、生菜料半把、〉

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 供奉雜菜日別一斗、〈◯中略〉萵苣四把、〈准二升、三四五月、〉

〔續日本後紀〕

〈十二/仁明〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 承和九年八月甲戌、遣參議正躬王、送廢太子於淳和院、〈◯中略〉先是童謠曰、〈◯中略〉辛苣〈乃〉小苣之華、

〔玉露叢〕

〈十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 寛永十三年朝鮮人來朝記 同〈◯十二月〉十七日ノ朝ヨリ、朝鮮人〈江〉御扶持野菜并ニ酒肴等下サル、大河内金兵衞奉ル、目録〈是一日ノ下行也◯中略〉一苣 二百籠

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0730 耕種園圃營萵苣一段、種子三升、苗一千五百把、總單功卅九人半、耕地二遍、把犁一人、馭牛一人、牛一頭、料理平和二人、畦上作二人、糞百卅二擔、運功廿二人、下子半人、〈八月〉採苗功二人、殖功六人、〈九月〉藝一遍三人、

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0730 萵苣ちさ種々あり、葉の丸きあり、長きあり、長くとがりたるあり、緑色なるあり、うす黒きあり、紫もあり、中にて葉丸くひろく、たうをそく立、久しくさかへ、和らかにして味甘く、五六月まで、葉のさかんなるあり、是を求めてうゆべし、是は六月にたねを取をきて、八月早く蒔べし、肥地をこしらへ置、苗さかへたる時、畦作りし、よきほどにがんぎを切、六七寸に一本づヽうゆべし、糞水を根のわきよりそヽぎ、泔水小便を、二三日に一度づヽ少あて、朝そヽぎたるは、よくさかへやはらかにして、いか程かぎとりても盡る事なし、苗ふとり次第、十月霜月正二月にかけうゆべし、されども年内うへて、細根よく出、あり付たるは、春になりてよくさかへはる物なり、春になりてうへたるは、葉しげからず、其さかへをとるものなり、是も四季ともにたねを蒔て苗を食し、いつもやはらかにして、腹中をなめらかにし、色々料理に用ゆる物なり、又四月たうの立たるを折て、皮をさり水に漬、苦みをぬかし、醋に浸し、膾のつまにし、紫蘇漬などにし珍敷物なり、種子を取には、花咲實らむとする時、末を折かけて置べし、其まヽ置たるは粃多し、蚊花を吸故に實り少し、梅雨の時分、外に有て、花房雨を受て黒く朽るが故也、何れにても枯ぬ程に折懸置べし、

ハナヂサ

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十九/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0730 萵苣 一種オランダヂサ、一名ハナヂサ、キクヂサ、葉ニ花岐多シ、生食煮食並ニ佳ナリ、一根ニ叢生ス、冬末春初最繁クシテ、千葉牡http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018041.gif 花ノ形ノ如シ、漸ク薹ヲ起スコト二三尺、葉互生ス、葉間ニ枝ヲ抽コト長シ、夏ニ入テ葉間ゴトニ花ヲ開ク、形蒲公英花ニ似テ深藍色、朝ニ開キ午前ニ色變ジテ萎ム、蕾ハ葉ゴトニ多ケレドモ、日ニ一花ノミ開ク、後實ヲ結ブ、形同蒿(シユンギクノ)子ノ如シ、絮ヲナサズ、是モ亦萵苣ノ一種ナリ、

茼蒿

〔和爾雅〕

〈七/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0731 茼蒿(カウライキク/シユンギク)〈又名蓬蒿

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0731 茼蒿(シユンギク/カウライキク)

〔和漢三才圖會〕

〈九十九/葷草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0731 同蒿 蓬蒿〈形氣同乎蓬蒿、故名、〉 〈俗云高麗菊(○○○)、又云春菊(○○)、春開花似菊故名之、◯中略〉按同蒿渫莖葉食脆美然夏菊未開時有之、故賞花不蔬、一苅後自生秧、六七月開花亦美也、

〔物類稱呼〕

〈三/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0731 茼蒿しゆんぎく 近江彦根にてろうまといふ、京大坂にてかうらいぎく、又きくなともいふ、關東にてしゆんぎくといふ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十八/葷辛同蒿 シユンギク(○○○○○) カウライギク(○○○○○○)〈京〉 ムジンサウ(○○○○○)〈雲州〉 フダンギク(○○○○○)〈勢州〉 キクナデシコ(○○○○○○) ルスン(○○○)〈共同上〉 フダンサウ(○○○○○)〈肥後〉 ロウマ(○○○)〈長州〉 ロウマギク(○○○○○)〈防州〉 ツマジロ(○○○○)〈加州〉 サツマギク(○○○○○)〈濃州〉 リウキウギク(○○○○○○)〈讃州〉 ヲランダギク(○○○○○○)〈阿州〉 ノビスマ(○○○○)〈伊州〉 シユンギク(○○○○○)〈東國〉 シンギク(○○○○)〈越前◯中略〉<br/>秋月種ヲ下ス、葉ハ初生茵蔯葉ノ如ニシテ毛ナシ、冬春ノ間コレヲ食フ、春ニ至リ薹ヲ起ス、高サ一二尺、葉互生三月枝頂ニ花アリ、單葉菊花ニ似テ大サ一寸餘、辨ゴトニ本黄末白ク内ニ黄心アリ、又全ク黄色ナル者アリ、又本白クシテ末紫ナル者アリ、ツマクレナヰ(○○○○○○)ト呼ブ、一種細葉ニシテ茵蔯蒿ノ梢葉ノ如ク、白花ヲ開ク者アリ、ギンカウライ(○○○○○○)ト云フ、一名シカギク、チヤウセンギク、カホヨギク、松前ギク、〉

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 茼蒿倭俗かうらい菊と云、又春菊とも云、本草には八九月に種子をまき、冬春取食ふ、莖肥て味辛く甘し、四月に薹生じ黄花あり、花はひとへなり、菊に似たり、其性平にして毒なし、心氣を安くし、脾胃を養ひ、疾を消し、腸胃を利すとあり、農業通決には、二月にうふるとあり、是は春の食とせんためならん、苗の時ひたし物あへ物となして味よし、冬春たび〳〵につくり用ゆべし、花も又見るにたへたり、

蕗/名稱

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 蕗〈不々支(○○○)、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000364.gif 同、〉

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 欵冬、〈楊玄操音義作東字〉一名槖吾、一名顆東、一名虎鬢、一名菟奚、一名氐冬、〈楊玄操音丁禮反〉一名於屈、〈出釋藥性〉一名耐冬、〈出兼名花〉一名苦莖、一名欵凍、〈已上出廣雅〉和名也末布々岐(○○○○○)、一名於保波(○○○)、

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 梠莖菜、一名蕗伏、又有金實草、〈出崔禹〉和名布々岐、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/園菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 蕗 崔禹錫食經云、蕗〈音路、和名布々木、〉葉似葵而圓廣、其莖煮可之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 按蕗即爾雅顆涷是也、郭注欵冬也、紫赤華、生水中、藝文類聚引呉普本草云、欵冬十二月花黄色、蓋謂其花未舒者紫赤、即開則黄白也、本草欵冬蘇注、葉似葵而大、叢生、花出根下、是可以充布々岐

〔類聚名義抄〕

〈五/冫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 欵冬〈ヤマフヽキ、一云ヤマフキ、〉

〔同〕

〈九/缺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 欵冬〈ヤマフキ、一云ヤマフキ、一名虎鬢、山吹花、〉 欵東〈訓同〉

〔同〕

〈三/髟〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 虎鬢〈欵冬一名ヤマブキ、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈不/殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 蕗〈フヾキ〉 梠莖菜 蕗伏 金實草〈已上三名同、見本草、〉

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0732 欵冬(クワントウ/フキ)〈枳莖菜也、本草云、欵冬十二月有華、其色黄或紫、其味苦也、三體詩云、僧房逢著欵冬華、出寺吟行日已斜、十二街中春雪遍、馬蹄今去入誰家、按此詩、十二月之華至暮春雪時分也、然我朝朗詠集清愼公詩云、欵冬誤綻暮春風、何哉、所詮日本之俗皆以山吹欵冬、山吹即http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000365.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif 也、其色黄而如緑酒也、清愼公之作而亦誤歟、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000365.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif欵冬也、其詩意云、此華名也、若是欵冬何綻暮春風乎、咎欵冬字而云爾耳、詩意雖工用、上故事誤矣、可之、〉

〔易林本節用集〕

〈不/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0733 梠莖菜(フキ) 蕗(同)

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0733 蕗フヽキ 倭名鈔に、崔禹錫食經に、蕗葉似葵而圓廣、其莖煮可之といふを引て、讀てフヽキといふ、即今俗呼てフキといふは、語の急なるなり、又本草を引て、欵冬一名虎鬚、ヤマブキと註したるは、即今俗にヤマブキといふ者にして、たとへば大小薊の如き、小薊をアザミといひ、大薊をヤマアザミといふが如し、爾雅註を引て、芡一名は雞頭草、ミヅフヾキと註せしは、即今俗にヲニバスといふ物にして、今俗にミヅブキといふ物にはあらず、又本草を引て、惡實一名牛蒡、キタキス、一ニウマフヾキといふ、今按に蒡を房に作るものは非也と註せしもの、キタキスといふ義詳ならず、ウマフヾキといふは、其葉フヾキに似て大なるをいふ、馬莧をムマビユといふが如し、即今俗にゴバウといふは、牛蒡の字の音をもていふなり、〈俗に牛の字をよぶに、午の字音のごとくするは避俗忌なり、〉芡惡實の如きは、其葉フヾキに似たるに因りて、フヾキの名ありといへども、實にはフヾキの類にあらず、今俗にミツブキ、ヤマブキ、イハブキなど名づけいふ、其フキといふは總名也、水と云ひ、山といひ、岩といふが如きは、一物にして其種の別れしなり、凡其フキといふもの、皆莖の中に孔ありて、是を折るに絲あるもの、陶弘景が、其腹裏有絲といひし事の如し、フヾキと云ひし義不詳、また倭名鈔欵冬の註に、一云ヤマブキ、萬葉集に山吹花としるせしは、漢にして棣棠花といふもの、別にこれ一物なり、〈蕗の字楚辭に見えて、舊釋して香草とす、別録には蕗草を甘草の一名とす、禹錫食經に見えし所は、上にしるせし所の如く、欵冬は爾雅に莵奚は顆凍と見えしを、郭璞が注に、款冬也と云ひけり、疏には本草を引て、莵奚、顆凍、槖吾、虎鬚、並に欵冬の一名とす、唐本草註に、葉欵葵而大、叢生、花出根下是也、と註したり、彼是を合せ見るに、唐本草に、葉似葵而大といひ、本草衍義に、春時人採以代蔬と云ひしが如き、食經に見えし所に相合へり、蔬といひ款冬といふ、異なる物とは見えず、弘景が説に據るに、此もの高麗百濟に出づと見えたり、我國の藥名の如きは、其初百濟の博士を召して識別されし所と見えたれば、古俗この物をフヾキと云ひ、其山谷より生ずるものをヤマフヾキといひし事の如き、受け傳ふ所ありしにぞあるべき、倭名鈔に見えし所は、前にもしるせし事の如くに、其名同じければ、異なる物とも合せ載せ、或は同じき物をも、こヽかしこに分ち出して其註する所も詳ならざりしかば、款冬こヽにヤマブキといふものヽ下に、萬葉集に、山吹花とも、山振花ともしるして、讀てヤマブキといふものを、併せ載しほどに、遂に後人をして、棣棠款冬一物也とする謬をも致しけるとも見えたり、〉

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734 蕗〈音路訓布木〉釋名〈和名布布木、本朝式内膳部訓布木、今俗訓布木、花訓布木乃登宇、〉集解、源順曰、崔禹錫食經謂、蕗葉似葵而圓廣、莖煮可之、今時花莖葉倶可蔬茹、冬十二月宿根開花、正二月最盛、初出地時如小蓮、其莟漸開青黄、外有紫蕚、去土一二寸、亦如小蓮、花開而重重作薹、俗號蕗薹、言相重貌耶、經六七日而碎死、候其花盛、采之入藥、作蔬者未開亦佳、三四月生葉莖、倶似小荷、或如葵葉、其莖亦似小蓮、莖有竅有絲、形圓、通直而肥實、無子、高者二三尺、一莖一葉、至根邊紫白色、處處林野田圃家園倶叢生、少則可愛爾、

〔本朝食鑑〕

〈三/華和異同〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734 蕗蕗者款冬也、李時珍曰、後人訛爲欵冬、即欵凍、至冬而花也、寇宗奭曰、百草中惟此不氷雪、最先春也、故世謂之鑽凍、必大〈◯平野〉按、二説倶言冬月開http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 花、諸説皆同、今本邦至春而花者多、華亦然耶、唐張藉詩、僧房逢著款冬花、出寺吟行日已斜、十二街中春雪遍、馬蹄今去入誰家、本邦古來用蕗字者、據崔禹錫食經、蕗字書音路、香草也、楚辭七難菎蕗雜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000366.gif也、

〔庖厨備用倭名本草〕

〈首/質疑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734 款冬 倭名鈔ニヤマフヾキ、又云ヤマブキ、萬葉集ニ山吹花ト書タルヲ引タリ、多識篇ニフキ、元升〈◯向井〉曰、款冬ヲフキト云ハ穩當ナラズ、本草綱目集解ハ、フキヲ云ニ似テ、又ヤマブキヲ云ニ似タリ、故ニ和名ヲ或ハ山ブキト云、或ハフキト云、人ノ惑モ在此、余今案ズルニ、山ブキハ正名ナルベシ、今俗ニ云ツワ是也、フキトツワト莖葉根相似テ、二種トモニ冬月霜雪中ニ花蕚ヲ生ズ、故ニ園圃ニ種ルヲフキト云、倭名鈔園菜部ニ載テ、本名ヲフヽキト云、款冬ハフキニ似テ山谷ニ自生ス、故ニ倭名鈔野菜部ニ載テ山フキト云、本名ハ山フヾキト云、是倭名鈔ノ誤ナキ故也、余ガ款冬ヲツワト云ハ、其理在此故也、後世http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11a.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif 花ノ詠歌ヲ山ブキトヨメルハ、款冬トhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11a.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif ト同名異物也、然ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11a.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif ノ詠題ヲ款冬ト書ルハ誤レリ、款冬花ハ冬月霜雪中ヨリ出テ、 正二月ニ盛也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11a.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif 花ハ暮春ニ盛也、物旣異時亦異、此朗詠集ノ誤ヨリ出テ、後世ノ哲人未之故ナリ、林氏多識篇ニ能辨ジタリ、古人ノヨミシ山ブキハ款冬也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c11a.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c15f.gif 花ヲヨメルニ非ズ、款冬ハ山谷岸岨澗間ニモ生ズ、故ニ古歌ニ岸ノ山ブキトモヨメリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 欵冬花 フキノトウ フキノヂイ〈河州〉 フキノシウトメ〈和州〉 バツカイ〈南部松前〉 バシカイ〈南部◯中略〉欵冬ハ和名鈔ニフヾキト訓ズ、今ハフキト呼ブ、藥ニハ花ヲ用ユ、故ニ欵冬花ト云、即今冬春食用ノフキノトウヲ用ベシ、〈◯中略〉古ヨリ欵冬ヲ名花ノヤマブキトスルハ、其誤リ朗詠集ヨリ出ヅ、ヤマブキハ棣棠〈秘傳花鏡〉ナリ、欵冬ハ元來フキノコトニシテ、山生ノモノヲ山ブキト云、ヤマブキト假名同キ故ニ混ズルナリ、

蕗種類

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 欵冬花〈◯中略〉尋常ノフキノ一種ニ紅ブキ(○○○)アリ、花ノ蕾紫赤色、開バ色淺シ、種樹家ニテコレヲ琉球ブキト云フ、此種モト駿河ノ身延山ヨリ出ヅ、本經逢原ニ、花紫色有白絲者眞ト云時ハ、紅ブキヲ藥用ニ良トスベシ、又一種紫ブキ(○○○)アリ、葉面淡紫ヲ帶ブ、莖ト背ト深紫色ナリ、又朝鮮ブキ(○○○○)、一名ヤツガシラト云アリ、葉大ニシテ苦味少シ、花簇生スルコト數多キ故ニ八ツ頭ト名ク、

蕗栽培

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 耕種園圃營蕗一段、種子二石、總單功卅四人、耕地二遍、把犁一人、馭牛一人、牛一頭、料理平和二人、糞百廿擔、運功廿人、殖功二人、〈九月〉芸二遍、第一遍二人、〈三月〉第二遍二人、〈六月〉刈功四人、三年一殖、

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 欵冬欵冬は旱をおそるヽ物にて、終日よく日の當る所に種べからず、樹のかげの肥地、其他陰地の深く肥和らかなるにうへ、さい〳〵泔をそヽぎ、或酒の糟の汁をかくれば、よくさかへ和らかにふ とくなる物なり、尤水こゑかれこれ多く用るにしかず、九月に打返し土を和らげ、改めうゆべし、又は熟地をかまへ畦作りし、冬春早く分てうへ、糞水をしきりにそヽぎ、泔糟の汁をかくれば、肥たる陰地なれば、甚ふとく長くなりて、市町近き所は是を賣て、利潤多き物なり、纔のせばき畠にても、他の菜のをよぶ事にあらず、又是に二色あり、莖のもと少赤く、筋おほく皮厚く、少かどたちて、葉あらく、しはみて見ゆるは、料理によからず、今一種、あかみく皮うすく、葉うすく丸く、莖もかとかどしからぬあり、是内にすぢもすくなく、和らかにして味よし、ゑらびて作るべし、おほく作りては、春錢(ぜに)ぶきの時、料理にめづらし、花は藥とし、みそとし、漬物とす、

蕗利用

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 款冬花(フキノトウ) 辛甘温、十一月採、〈十二月正月且取之、未舒者佳、〉主肺氣、心促急、熱乏、勞咳、涕唾、稠粘、肺痿、肺癰、吐膿、止痰嗽驚悸、洗肝明目、雖氷雪之下、至時亦生芽、春時人採代蔬、入藥微見花者良、已芬芳則都無力、有人病嗽多日、款冬花三兩枚、於風處、以筆管煙、滿口則嚥之、數日效、

〔食物和歌本草〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 欵冬花ふきのたう五臟をもまし煩を除き痰を消して目をも能する〈◯中略〉 ふきのたう心肺の熱涼(すヽしう)し久服(きうふく)すればいのちながくす

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 諸國進年料雜藥(○○)相模國卅二種、〈◯中略〉款冬花九斤、 武藏國廿八種、〈◯中略〉款冬花十兩、

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 漬年料雜菜(○○)蕗二石五斗〈料鹽一斗、米六升、◯中略〉 右漬春菜

〔庭訓往來〕

〈菜者、纖蘿蔔、〈◯中略〉黒煮蕗、〉

〔續修東大寺正倉院文書〕

〈四十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 藍薗(紙背) 進上蕗拾圍〈◯中略〉 天平勝寶二年五月廿六日 倉垣三倉

蕗産地

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 山城 竹田蕗

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 欵冬花〈◯中略〉奧州南部津輕羽州秋田ニハ、至テ大ナルモノアリ、莖ノワタリ七寸、孔中ニ乾青魚二ツヲ入ルベシ、葉ハ馬上ノ傘ニ代用ユベシト云傳フ、コレヲ南部ニテ十輪田(トワタ)ブキト云、

薊/名稱

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e4e2.gif 〈擧欣反、阿佐彌(○○○)、〉

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 大小葪根、一名虎葪、〈大薊也〉一名猫葪、〈小薊也〉馬葪、〈肥大高丈餘〉雄茸葪〈已上二名出崔禹〉馬葪一名生續斷〈出録驗方〉和名阿佐美、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/園菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 葪 本草云、葪〈音計、和名阿佐美、〉味甘温令人肥健、陶隱居曰、大小葪葉並多刺、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 大葪 蘇敬本草注云、大葪〈和名夜萬阿佐美(○○○○○)〉生山谷間者也、

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 葪〈音計アザミ〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000367.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e4e2.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000368.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000369.gif 〈五俗〉 薊〈正〉

〔伊呂波字類抄〕

〈安/植物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 薊〈アザミ葪菜〉

〔下學集〕

〈下/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 薊菜(アザミ)〈或作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b531.gif

〔易林本節用集〕

〈阿/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 薊菜(アザミ) 葪(同) 莇(同)

〔干祿字書〕

〈去聲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 葪薊〈上通、下正、〉

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 薊アザミ 義不詳、倭名鈔に本草を引て、薊アザミ、陶隱居曰、大小薊葉並多刺と見えて、大薊はヤマアザミ(○○○○○)といふと註せり、今俗にオニアザミといふは大薊也、又本草を引て、苦芺は、カマナ、一にカミオコシナと註せり、カマナとは鉤芺といふ名あるに依れり、カミオコシナは不詳、今俗にサハアザミ(○○○○○)といふ是也、その薊に似て下濕の地に生ずるをいふなり、

薊種類

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 大薊小薊 ヤマアザミ(○○○○○)〈大薊〉 野アザミ(○○○○)〈小薊◯中略〉 凡ソ大薊小薊ハ、形ノ大小ヲ以テ分ツニ非ズ、山野ヲ以テ別ツベシ、小薊モ肥地ニテ培養スルモノハ、長大四五尺ニ至、大薊モ瘠壤ニ生ズル者ハ、短小尺ニ盈ズ、故ニ山生ノ者ヲ大薊トシ、野生ノ者ヲ小薊トスルノ説ヲ優トス、ソノ種各別ナリ、大和本草ニ、大薊ヲオニアザミ、ヲニノマユハキト訓ズルハ、飛廉ニ混ジテアシヽ、山アザミト訓ズベシ、大薊ハ山中ニ生ジ、殊ニ幽谷ニ多シ、葉形大抵小薊ニ同クシテ、刺多ク白斑紋アリ、故ニ虎薊ノ名アリ、苗高サ三四尺許、八九月花ヲ開ク、形小薊花ヨリ小ク、唯淡紫色ノミ、莖ニ多ク連リテ、小薊ノ一枝一花ニシテ大ナルニ異ナリ、小薊ハ原野ニ多ク生ズ、ノアザミト呼ブ、莖葉ニ刺多シ、淡紫花ノモノ多シ、深紫花ノモノハ少シ、今庭ニ栽テ花ヲ賞スル者ヲハナアザミト云、又マユハキト云、是モ小薊ナリ、種樹家ニハ數十品アリ、尋常ノ外ニ白花アリ、花白シテ形大ナルアリ、富士ノ雪ト云、櫻花ノ色ニ似タルアリ、サクラアザミト云、白色ニシテ邊紅ナルアリ、ツマクレナヰト云、又ツマムラサキモアリ、黄褐色ナルアリ、カキ色ト云、其色淺キアリ、アケボノト云、紅色ノモノアリ、ベニフデト云、淡紫色ノモノアリ、ウスヾミト云、紫色ナルアリ、春日野ト云、深紫紅色ノモノアリ、クロベニト云、其餘異品多シ、

〔出雲風土記〕

〈飯石郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0738 凡諸山野所在草木、〈◯中略〉大薊、

薊栽培

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0738 耕種園圃營葪一段、種子三石五斗、總單功卌四人、耕地二遍、把犁一人、馭牛一人、牛一頭、料理平和二人、糞百廿擔、運功廿人、殖功二人、芸二遍、第一遍三人、〈二月〉第二遍三人、〈七月〉刈功四人、擇功八人、三年一度遷殖、

〔農業全書〕

〈五/山野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0738 小薊あざみ色々あり、菜にし食するには、萵苣の葉に似て廣く、刺なくやはらかにして、菜園に作る物あり、苗の時又はわかき時、葉をかぎ茹きて、あつ物あへ物ひたし物などに用ゆべし、精をやしなひ、久しき血をやぶり、新しき血をまし、其性よき物なり、作様ちさに同じ、茶園の端々などに作る べし、

薊利用

〔食物和歌本草〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 大薊小薊あざみには大小あれどおもの能は古血をやぶり生ず新血 薊菜寒にがからくして血の道や長血血崩下血にも吉 あざみ疵万のかさの藥也筋骨をつぎ腰いたむ治す あざみこそ勞瘵に吉氣を散す虫にも藥過し食すな あざみよく常に精汁のもれやすく尿血ありて多く痩に

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 供奉雜菜日別一斗、〈◯中略〉葪六把、〈准六升、自二月九月、〉漬年料雜菜葪二石四斗〈料鹽七升二合◯中略〉 右漬春菜

〔年中行事秘抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 上子日内藏司供若菜事内膳司同供之十二種若菜〈◯中略〉葪

〔春日正預祐範記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 慶長十年乙巳正月以來御神事次第五月一五日、御節供如例、〈◯中略〉一前神主時盛、アザミヲ備進、不由及沙汰

蒲公英

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 蒲公草、一名構耨草、〈上江項反、下奴豆反、〉和名布知奈(○○○)、一名多奈(○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 蒲公草 本草云、蒲公草、〈和名布知奈、一云太奈、〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001aeee.gif 耨草、〈上江項反、下奴豆反、〉

〔和爾雅〕

〈七/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 蒲公英(タンホヽ)〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001aeee.gif 耨艸、金簪草、白鼔丁、蒲公丁、孛々丁並同、〉

〔東雅〕

〈十三/穀蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 蒲公草フヂナ 倭名鈔に本草を引て、蒲公草一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001aeee.gif 耨草、フヂナ、一にタナといふと註せり、並に義不詳、今俗にタンホヽといふもの、蒲公草即是也、〈此菜田園隴畒ノ間に生じぬるものなれば、タナと云ひしにや、フチナの義詳ならず、或人の説に、此菜一名を白鼓丁ともいへば、タンホヽの名あり、タンホヽとは、鼓聲をまなびいふなりといふ、如何にやあるべき、タンホヽは、此と彼とにして、呼ぶ所を合せ云ふに似たり、タンとはタナの轉語也、ホヽとは此物一名また孛々丁といふなり、〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十二/不〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 ふぢな 和名抄に蒲公英を訓ぜり、藤菜の義なるべし、花の時をいふにや、たんほヽ也、

〔倭訓栞〕

〈後編十一/多〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 たんぽヽ 蒲公英をいへり、たなほヽの義にや、たなは本名、ほヽは實のほヽけるをいふなるべし、一名白鼓丁ともいふ、よてつヾみ艸と呼り、又藤菜とも稱す、黄白二種あるなり、くだざきたんぽヽといふ、出羽にてくしなどいへり、

〔本朝食鑑〕

〈三/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 多牟保保草釋名〈俗稱藤菜、或稱鼓草、倶名義不詳、〉集解、野徑庭園多有、春初生苗、布地四散、葉略似蘿蔔而小、葉端三尖如鉾頭、而次第深刻、二三月之際、一葉聳上三四寸、斷之有白汁、上開黄花、如野菊、後黄落成絮、莖葉花絮大抵似千葉苣、絮中有子、落處即生、或有淡紫色者、稍希、無花者亦有之、其嫰苗作蔬、患瘡毒之人嗜食之爾、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十九/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 蒲公英 フヂナ(○○○)〈和名鈔〉 タナ(○○)〈同上、古名、〉 タンポポ(○○○○) クチナ(○○○)〈信州〉 ムヂナ(○○○)〈勢州〉 グチナ(○○○)〈奧州〉 グチグチナ(○○○○○)〈佐渡〉 ゴヤジ(○○○)〈同上〉 ツヾミグサ(○○○○○)〈越中◯中略〉原野路旁ニ甚多シ、然レドモ、紀州熊野ニハ自生ナシ、廣東新語ニモ、嶺南ニハ生ゼザルコトヲ云リ、葉ハ冬ヨリ盛ニ生ジ、地ニ就テ叢生ス、形苦葉(ノゲシ)ノ葉ニ似テ小ク、薺葉ニ似テ大ナリ、切レバ白汁ヲ出ス、春時煮食フ、二三月圓莖ヲ出ス、肥タル者ハ數十莖、瘠タル者ハ數莖、高サ五寸許、内空シ、頂ニ一花ヲ開ク、單葉菊花ノ如ク、黄色後白絮ヲナシ、風ニ隨テ飛ブ、根ハ冬ヲ經テ枯ズ、一種筒瓣(ツヽシベ/○○)ノ(/○) 者(○)アリ、千瓣ニシテ實ヲ結バズ、又一種白花ナル者(○○○○○)野生稀ナリ、葉長大、花モ亦大ナリ、莖ノ高サ一二尺ニ至ル、一種緑花ノ者(○○○○)ハ極メテ稀ナリ、花萬葉ニシテ緑色實ヲ結バズ、苗ノ形ハ尋常ノ者ニ同ジ、一種ムラサキタンポポ(○○○○○○○○)ト呼ブアリ、一名ヤリグサ〈勢州〉センボンヤリ、〈加州〉山中陰地ニ生ズ、葉ハ濶ク厚シテ尖リナク、背ニ白毛アリ、花小クシテ淺紫色、又内淺紫、外紫赤色、又白花ノモノアリ、花後褐絮ヲナシ、帚形ノ如シ、莖ニ白毛アリ、是集解ニ謂ユル大丁草、一名燒金草ナリ、

〔農業全書〕

〈四/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 蒲公英(たんほゝ)たんほヽは秋苗を生じ、四月に花さく、黄白の二種あり、花は菊に似て、あひらしき物なり、夏たねを取をき、正月蒔て苗にして、移しうゆるもよし、山野にをのづから生るを苗にするもよし、味少苦甘く、料理に用ゆる時、葉をとりて茹き、ひたし物、あへ物、汁などに、料理してよし、是を食すれば、大用の秘結をよく治するなり、圃の廻り菜園の端々、多少によらず、かならずうゆべし、食毒を解し、氣を散し、婦人の乳癰を治す、

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 蒲公草 甘平無毒、主婦人乳腫、煮汁飯及封之立消、堪生食、産後不自乳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 兒、汁積結癰、擣傅腫上、日三四度易之、一名地丁、解食毒、散滯氣、治疔腫、有奇功

母子草

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 菴蘆子〈薏苡使薗殖、又大蓬、比支與毛支(○○○○○)、〉

〔本草和名〕

〈六/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 菴蘆子、〈楊玄操、上音奄、下音閭、〉和名比岐與毛岐、一名波々古(○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 菴蘆子 本草云、菴蘆子、〈上音淹、和名波々古、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 本草和名云、菴蘆子和名比岐與毛岐、一名波々古、馬先蒿和名波々古久佐、茵蔯蒿和名比岐與毛岐、蓋輔仁不詳定三草、皆同訓、源君菴蘆子訓波々古、馬先蒿茵蔯蒿並訓比岐與毛岐、蓋以釋藥性云茵蔯蒿一名馬先也、然波々古即比岐與毛岐之一名、則源君分訓波々古比岐與毛岐、非是、又本草菴蘆子、馬先蒿、茵蔯蒿、各自爲條、則三草其實不同、以馬先蒿、茵蔯蒿、同爲 比岐與毛岐亦非也、按嘉祐本草云、鼠麴草、雜米粉糗、食之甜美、生平岡熟地、高尺餘、葉有白毛、黄花、荊楚歳時記云、三月三日取鼠麴汁、蜜和爲粉、謂之龍舌http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ac1c.gif 、以壓時氣、江西人呼爲鼠耳草、李時珍曰、原野甚多、二月生苗、莖葉柔軟、葉長寸許、白茸如鼠耳之毛、開小黄花穗、結細子、楚人呼爲米麴、北人呼爲茸母、故邵桂子甕天語云、北方寒食菜、茸母草和粉食、是可以充波々古、今俗譌呼保宇古久佐、猶柞檪和名波々曾、俗譌呼保宇曾也、周防謂之毛知久佐、是草和粉爲餌、故有是名、讃岐謂之加宇知波奈、與楚人呼米麴合、是草折葉則有白絲、曳之如杜仲、故又有比岐與毛岐之名

〔古名録〕

〈十四/野草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 波波古按ニ、倭名抄ニ、菴蘆子和名波々古、馬先蒿和名比岐與毛木ト分ツレド、本草和名本草類編ニモ、菴䕡子和比支與毛支、又波波己ト云ヲ以テ、比木與毛支、波々古、一物タルコト明也、

〔康頼本草〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 菴䕡子 味苦、微寒温、无毒、和ヒキヨモキ亦ハワコ、又波々己、十月採實陰乾、

〔醫心方〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 菴蘆子〈和名比岐與毛岐、一名波々古、〉

〔類聚名義抄〕

〈七/子〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 菴蘆子〈ヒキヨモキ〉

〔同〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 蘆子〈ハヽコ〉

〔易林本節用集〕

〈波/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 這孤(ハフコ) 菴蘆子(同)

〔和爾雅〕

〈七/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 七種菜〈◯中略〉 鼠麴草(ゴギヤウサウ)〈本艸佛耳草一名黄蒿、和名母子艸、〉

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 鼠麴草(ハヽコクサ)〈佛耳草、無心草、鼠耳草、黄蒿並同、和名母子草、〉

〔東雅〕

〈十五/草卉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 奄蘆子ハヽコ 倭名鈔に本草を引て、菴蘆子はハヽコと註せり、文徳實録に見えし、母子草といふものは、一名にして二物也、母子草は鼠麴草、また鼠耳子などともいひ、古の時には三月三日に餅となせしものなり、〈◯註略〉また白蒿をも、今俗にカハラハヽコグサと云ふなり、ハヽコといふ義不詳、十五/草卉奄蘆子ハヽコ 倭名鈔に本草を引て、菴蘆子はハヽコと註せり、文徳實録に見えし、母子草といふものは、一名にして二物也、母子草は鼠麴草、また鼠耳子などともいひ、古の時には三月三日に餅となせしものなり、〈◯註略〉また白蒿をも、今俗にカハラハヽコグサと云ふなり、ハヽコといふ義不詳、

〔倭訓栞〕

〈中編二十/波〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0742 はヽこ 文徳實録に母子草と見えたり、鼠麴草なり、今はふこといふ是なり、和 名抄に菴蘆子を訓ずれど別物なるべし、三月三日の雛遊に、はふこを祭り、此日鼠http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001cd00.gif 汁にて糕を造る事も、文徳實録に見え、龍舌http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ac1c.gif といふも、荊楚歳時記に出たれば、此草をもはヽこ草とよべる成べし、よて又もちよもぎともいふとぞ、今はもはら艾蒿を用う、遠江にちヽぐさ、信濃にかはちちこ、尾張にとうこ、上總にかうじばな、宇都宮にねばりもちといふ、俗に河原はヽこと呼ものは白蒿なり、和名抄に白蒿一名蘩皤蒿と見えたれば、此音をもてはヽこと呼にや、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0743 鼠麴草 ハヽコ草(○○○○)〈母子草ト書ク、文徳實録ニ見タリ、古キ和名ナリ、今ハホーコグサト云、〉 モチヨモギ(○○○○○)〈大和本草〉 ジヤウラウヨモギ(○○○○○○○○)〈同上〉 オギヤウ(○○○○)〈御形ト書ス、後世誤リ唱ヘテゴギヤウトス、古書ニハ皆オギヤウトイヘリ、〉 トウコ(○○○)〈尾州〉 トウゴ(○○○)〈同上〉 モチバナ(○○○○)〈豐後〉 モチブツ(○○○○)〈肥前〉 ウカジブツ(○○○○○)〈同上〉 ゴギヤウブツ(○○○○○○)〈筑前〉 ゴギヨブツ(○○○○○)〈九州〉 ゴギヤウヨモギ(○○○○○○○)〈同上〉 トノサマヨモギ(○○○○○○○)〈紀州〉 トノサマタバコ(○○○○○○○)〈花ヲ云、同上、〉 カハチヽコ(○○○○○)〈信州〉 コウジバナ(○○○○○)〈讃州〉 ツヾミグサ(○○○○○)〈佐州〉 ネバリモチ(○○○○○)〈野州〉 モチグサ(○○○○)〈防州◯中略〉此草原野ニ多アリ、秋月苗ヲ生ズ、葉ハ馬齒莧(スベリヒユノ)葉ニ似テ薄ク、長クシテ白毛アリ、三四月苗高サ六七寸、或ハ一尺ニ至ル、葉互生シ、梢ニ簇リテ黄花ヲ開ク、此花ヲ取リ烟草ニ代吸フ、又此花ヲ以テ芫花ニ僞リ、又蜜蒙花ニモ僞ル、古ハ上巳ニ此葉ヲ用テ餈トス、即龍舌http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ac1c.gif ナリ、後其色ノ濃カランコトヲ欲シテ、艾葉ヲ以テ代ユ、朝鮮賦ニ謂ユル艾糕ナリ、今ハ皺葉芥(オホハカラシノ)葉ヲ加テ其色ヲタスク、益其眞ヲ失ス、

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0743 鼠麴草 甘平無毒、雜米粉糗食之甜美、〈白毛黄花〉調中益氣、止瀉除痰、壓時氣熱嗽

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0743 供奉雜菜日別一斗、〈◯中略〉波々古五升、〈二三月〉

〔文徳實録〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0743 嘉祥三年五月辛巳、嵯峨太皇太后崩、 壬午、先是民間訛言云、今兹三月〈◯三月二字原脱、今據一本補、〉三日不餻、以母子也、識者聞而惡之、至于三月、宮車晏駕、是月亦有太后山陵之事、其無母子、遂 如訛言、此間田野有草、俗名母子草、二月始生、莖葉白脆、毎三月三日、婦女採之、蒸擣以爲餻、傳爲歳事、今年此草非繁、生民之訛言、天假其口

〔圓珠庵雜記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 はヽこ草は、文徳實録に母子草とかけり、和名には庵蘆をぞよめれど、本草を見れば、それにはあらで、鼠麴草にてぞ有ける、もろこしにも、やよひの三日には、これをもちひにくはふるよし、そのふみにみえたり、葉の色のねずみに似て、花のかむたちのごとく黄なれば、たとへて名付たり、

〔曾根好忠集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 暮の春三月はじめはヽこつむ彌生の月になりぬればひらけぬらしな我宿の桃

〔後拾遺和歌集〕

〈二十/誹諧〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 三條太政大臣〈◯藤原兼通〉のもとに侍ける人のむすめを、忍びてかたらひ侍けり、女のおやはらたちて、むすめをいとあさましくつみけるなどいひ侍けるに三月三日かのきたのかた、三夜のもちいくへとて、いだしけるによめる、 藤原實方朝臣みかの夜のもちいはくはじわづらはしきけばよどのにはヽこつむ也

〔和泉式部集〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 石藏より野老をこせたるてばこに、くさもちゐいれて奉るとて、はなのさと心もしらず春の野にいろ〳〵つめるはヽこもちゐぞ

〔散木弃謌集〕

〈一/春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 三月三日人のがりいひつかはしける君がためやよひになればよづまさへあへのいちヾにはヽこつむ也

父子草

〔倭訓栞〕

〈後編十三/知〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 ちヽこぐさ 白蒿也、又河原はヽこともいふ、はヽこぐさに對して、父子草と呼なるべし、

〔躬恒集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0744 ちヽこぐさ花の色はちヽこぐさにてみゆれどもひとつも枝に有べきはなし

〔酒食論〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 飯室律師好飯申様もちゐ色々に、やよひもはじめのわか草は、ちヽこ(○○○)はヽこのくさもちゐ、手づくりからにいたゐけや、かはらぬ色の松もちゐ、千代とぞ君をいのりける、

〔古名録〕

〈十四/野草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 ちヽこぐさ〈躬恒集〉 漢名天青地白〈質問本草〉按に酒飯論云、其後もちゐ色々に、やよひもはじめのわか草は、ちヽこはヽこのくさもちゐ、手つくりからにいたゐけやトミユ、然レバチヽコ草ヲモモチトナセシ也、チヽコ草ハハヽコ草ニ同シテ痩タリ、鼠麴草ノ類也、

苦菜

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 苦菜、一名荼草、〈楊玄操音徒、又徒加反、〉一名選、一名游冬茗、一名荼、一名苦http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6c0.gif 苽蘆〈似茗、已上四名出陶景注、〉荼〈音途〉一名苦菜、〈蘇敬注曰、苦菜曾非茗類、陶景大誤、〉苦http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b6c0.gif 、〈敬曰、此龍葵也、亦非荼也、已上三名出蘇敬注、〉南植草、〈出崔禹〉茗菜一名翹搖草、〈出七卷食經〉和名爾加奈(○○○)、一名都波比良久々佐(○○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 荼 爾雅注云、荼〈音途、和名於保都知(○○○○)、〉苦菜之可食也、

〔伊呂波字類抄〕

〈於/殖物附殖物具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 荼〈オホトチ、苦菜之可食也、〉

〔和爾雅〕

〈七/菜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000650dad.gif

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 苦菜(ニガナ/ケシアザミ)〈荼、苦苣、天香菜並同、又云、苦蕒、朱子曰、芑今之苦蕒也、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十九/柔滑〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0745 苦菜 ウシアザミ(○○○○○) ノゲシ(○○○) キツネノタバコ(○○○○○○○)〈和州〉 タンポポ(○○○○)〈筑前〉 ムマゴヤシ(○○○○○)〈讃州〉 コマシタゲ(○○○○○)〈江州〉 コマビヤシ(○○○○○)〈信州〉 ゴアジ(○○○)〈能州〉 ケシナグサ(○○○○○)〈和漢三才圖會◯中略〉秋月子生ズ、葉ノ形http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5cd.gif 葉ニ似テ刺ナク、白色ヲ帶テ罌粟葉ノ如シ、青莖アリ紫莖アリ、倶ニ中空クシテ五稜アリ、莖葉ヲ切レバ白汁ヲ出ス、春ニ至テ苗ノ高サ二三尺、葉互生ス、葉間ニ枝叉ヲ分チ、上ニ多ク花ヲ開ク、萵苣(チサノ)花ニ似テ黄色、罷時ハ小長子多ク蕚中ニ聚リ、上ニ中絮アリテ蒲公英(タンポヽノ)絮ノ如シ、子熟スレバ風ニ隨テ飛ブ、其苗根共ニ枯ル、

〔農業全書〕

〈五/山野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 苦菜にがな一名は荼と云て、古より名ある菜なり、凡味も蒲公英に類せる物なり、惡瘡血痲、又は目を明らかにす、此外さま〴〵功能多し、菜園の端々に少々作るべし、作り様たんほヽにかはる事なし、

〔宜禁本草〕

〈乾/五菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 苦菜 苦寒、多食令人氣喘、弱人忌之、令人不http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 眠、折之白汁出、常點http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000370.gif自落、春夏秋開花、去中熱心神、主五臟邪氣、腸僻渇、熱中惡瘡、本經説、久服安心、益氣、聰察少臥、輕身耐老、耐飢寒、高氣、背瘡熱腫、取汁蓋之、開孔以歇熱毒、冷即易之、

〔續修東大寺正倉院文書〕

〈三十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 造佛所作物帳斷簡〈年紀不詳、按成卷文書四十五卷所收天平六年造佛所作物帳中卷斷簡、恐與此同物也、〉買雜菜直錢廿一貫七百十六文〈◯中略〉荼三千三百卅六把、直一貫一百十二文、〈文別三把〉

薺蒿

〔本草和名〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 草蒿、一名青蒿、一名方潰、〈楊玄操音胡隊反〉一名葭蒿、〈出本草拾遺〉和名於波岐(○○○)、

〔本草和名〕

〈十八/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 薺蒿菜、一名莪蒿、一名禀蒿、〈已上出七卷食經〉一名禀蒿、一名齊頭茸、〈已上出崔禹〉和名於波岐、

〔倭名類聚抄〕

〈十七/野菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 薺蒿 七卷食經云、薺菜一名莪蒿、〈莪音鵝、和名於八木、〉崔禹錫食經云、状似艾草而香、作羮食之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈九/菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0746 爾雅莪蘿注、今莪蒿也、亦曰䕲蒿也、説文、莪蘿蒿屬、廣雅、莪蒿䕲蒿也、毛詩菁々者莪、正義引陸璣曰、莪蒿也、一名蘿蒿、生澤田漸洳之處、葉似邪蒿而細、科生、三月中莖可生食、又可蒸香美、味頗似蔞蒿是也、證類本草角蒿條、引陳藏器云、䕲蒿辛温無毒、煮食之、似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5cd.gif 高岡、宿根先於百草、小野氏曰、是可以充岐都禰阿佐美薺蒿菜之名未聞、〈◯中略〉按本草和名、薺蒿菜訓於波岐、草部下草蒿亦訓於波岐、於波岐萬葉集謂之宇波疑、一聲之轉、今俗呼與米賀波伎、又與米奈、按救荒本草云、鷄兒腸生中牟田野中、苗高一二尺、莖黒紫色、葉似薄荷葉微小、邊有稀鋸齒、又似六月菊

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 梢葉間開細瓣淡粉紫花黄心、葉味微辣、是可以充與女奈

〔醫心方〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 草蒿〈和名於波岐〉

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 蒿菜〈オハキ〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b303.gif 蒿〈同〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b303.gif 蒿〈オハキ〉 蒿〈呼豪反、オハキ、〉 薺蒿

〔倭訓栞〕

〈後編三/宇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 うはぎ 萬葉集に兎http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a1f0.gif 子と見えたり、仙覺鈔に、兎萩也といへり、内膳式には蒿をもよめり、今いふよめがはぎなりといへり、一説におはぎに同じ、よめがはぎは此大はぎに對する名にして禀蒿也、おはぎは薺蒿也といへり、

〔倭訓栞〕

〈後編十八/於〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 おはぎ 和名抄に莪蒿をよめり、歌に若菜と同じく摘事をよめり、さればうはぎと同物なるべし、今も畿内によめなをおはぎといふ、近江にはげといふ、同書に菊を、かはらおはぎと訓ぜり、

〔倭訓栞〕

〈後編十七/與〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 よめな 媛菜の義、鷄腸菜をいふ、よめがはぎともいへり、本草に野菊と見ゆ、のぎくともいへり、よめがはぎ 住吉の遠里小野のよめがはぎあらくは吹そむこ山の風

〔大和本草〕

〈五/菜蔬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 䕲蒿(ヨメガハギ)〈◯中略〉 ヨメガハギハ野圃家園ニ不人力而叢生ス、有香氣、秋花ヲ開、似野菊、蔞蒿ハ白蒿、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0747 䕲蒿 キツネアザミ(○○○○○○) センボンヤリ(○○○○○○) ヒメアザミ(○○○○○)〈◯中略〉夏後子落テ、秋ニ至テ自ラ生ズ、初ハ地ニ就テ叢生シ、蒲公英ノ生ズルガ如シ、葉ノ形ハ子http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5cd.gif 葉ニ似テ、面深緑色、背ニ白毛多シ、質軟ニシテ刺ナシ、春ニ至リテ漸ク薹ヲ抽デ、高サ三五尺、瘠地ノ者ハ苗小ナリ、漸洳(ミヅツキ)ノ地ニテハ肥大ナリ、枝葉共ニ互生ス、四月枝末ゴトニ淡紫色ノ花ヲ生ズ、形大http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5cd.gif 花ノ如ニシテ小ナリ、又白花ノモノ稀ニアリ、倶ニ花後絮トナリ、飛ビ落ル處ニ生ジ、苗根共ニ枯ル、貝原翁ノ説ニヨメナヲ以テ䕲蒿ニ充ツルハ非ナリ、ヨメナハ救荒本草ノ鷄兒腸ナリ、

〔長生療養方〕

〈一/菓菜功能〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 薺蒿菜 食之明

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 漬年料雜菜薺蒿一石五斗〈料鹽六升◯中略〉 右漬春菜

〔萬葉集〕

〈二/挽歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 讃岐狹岑島視石中死人、柿本朝臣人麿作歌一首并短歌、〈◯中略〉反歌二首〈◯一首略〉妻毛有者(ツマモアラバ)、採而多宜麻之(トリテタゲマシ)、佐美乃山(サミノヤマ)、野上乃宇波疑(ヌノヘノウハギ)、過去許良受也(スギニケラズヤ)、

〔萬葉集〕

〈十/春雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748煙春日野爾(カスガヌニ)、煙立所見(ケブリタツミユ)、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018d02.gif 嬬等四(ヲトメラシ)、春野之莵芽子(ハルヌノウハギ)、採而煮良思文(ツミテニラシモ)、

〔新撰六帖〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 をはぎ 家良里人やをはぎつむらん三笠山春日の原のはるのうらヽに知家いまはまた野べのをはぎの春ふかみ時すぎぬれやつむ人のなき

〔出雲風土記〕

〈意宇郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 砥神島〈◯中略〉高六十丈、〈有椎松葦薺頭蒿都波師太等草木也〉

〔出雲風土記〕

〈島根郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 附島、周二里一十八歩、高一丈、〈有椿松薺頭蒿葦茅都波、其薺頭蒿者、正月元日生長六寸、〉

薇銜/張良草/樊噲草/免兒傘

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 薇銜、一名糜銜、一名承膏、一名承肥、一名无心、一名無顚、一名鹿銜草、〈蘇敬注云、鹿有病銜此草即差、〉一名大呉風草、一名小呉風草、〈已上三名出蘇敬注〉唐、

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0748 張良草(○○○) 和俗ノ名ナリ、葉大如掌、葉ノ内ニ有三椏、岐分似烏頭葉、山中所々有之、其花黄ニシテツハノ花ニ似タリ、ツボミノ大如小梅子、樊噲草ハ大ニシテ高ク、張良草ハ小ニシテヒキシ、一類ナリ、相似タリ、又スゲガサ(○○○○)ト云草アリ、張良草ヨリ細也、又タカラカウ(○○○○○)ト云草モ此類ナルベシ、既ニ前ニシルス、 樊噲草(○○○) 是亦俗ノ名ヅケシ處ナリ、葉ハフキノハニ似テマタアリ、黄花サク、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0749 薇衘(びかん) 鹿衘 麋衘 承膏 承http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001eb3b.gif  呉風草 無顚 無心草〈◯中略〉按薇衘葉莖能似益母草、其黄花http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019809.gif 散則白而如絮、其子小長而黒色有刺、其中子細小、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四末/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0749 免兒傘(やぶれすげがさ)俗云敝菅笠救荒本草云、免兒傘生荒野中、苗高二三尺許、毎科初生一莖、莖端生葉、一層有七八葉、毎葉分作四叉、排出如傘蓋状、故以爲名、後於葉間生莖叉、上開淡紅白花、根似牛膝而疎短、採嫰葉煠熟換水、浸淘去苦味、油鹽調食、按免兒傘五月開黄花、似菊而如敝笠状、樊噲草 俗稱〈本名未詳〉按樊噲草高一二尺、一莖一葉有七切叉、似免兒傘(ヤブレスゲガサ)葉而小、莖端開小白花、略似慈姑花、〈或名之敝菅笠、免兒傘名樊噲草者亦有、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0749 薇衘 一名徽蘅〈通雅〉 獨搖〈同上、同名者數種、通雅ニ獨搖有八、一羗活、一鬼臼、一鬼督郵、一天麻、一薇衘、一白揚、一栘楊、又媚藥有無風獨搖草、又抱朴子ニ獨搖芝ト云フ、獨搖芝ハ天麻ノコトナリ、〉 増、一名沒心草、〈附方〉 鹿胞草〈本經逢原〉薇衘ハ總名ナリ、大呉風草小呉風草ノ二種ニ分ツ、大呉風草(○○○○)ハ俗ニ張良草ト稱スル者ナリ、此草本名嘲弄草ナルヲ誤テ張良草ト云、京師相國寺鳳瑞軒ノ僧秀周、入唐ノ時、此種ヲ取歸リ、菴後ニ種テ嘲弄ス、草ト鐘馗ノ墓ニ生ズルニ因テ、鐘馗草ト云ト、結毦録見タリ、今ハ山中ニ自生多シ、葉形免兒傘(ヤブレスゲガサノ)葉ニ似テ大ナリ、故ニ和州方言ニ此草ヲモヤブレガサト云、濃州ニテタイミンガサト云、春舊根ヨリ數葉ヲ叢生ス、漸ク圓莖ヲ抽テ高四五尺、二三葉ヲ互生ス、夏月莖ノ梢ニ多ク枝ヲ分チ花ヲ開ク、槖吾(ツワブキ)花ノ形ニ似テ大サ二寸餘、瓣心共ニ黄色也、蕚モ亦槖吾ニ似テ大ナリ、一種苗小ナル者アリ、樊噲草(○○○)ト云、此ハ莖ニ斑ナシ、張良草ニハ黒斑アリ、又一種樊噲草ノ紫莖ナル者(○○○○○○○○○)ア リ、形状ハ異ナラズ、大和本草ニハ大ナルヲ樊噲草トシ、小ナルヲ張良草トス、兩説ナリ、何レニテモ大小通ジテ大呉風草ナリ、小呉風草(○○○○)ハ救荒本草ニ載トコロノ免兒傘ナリ、和名ヤブレガサ(○○○○○)、救荒ノ圖ニ能合ヘリ、深山幽谷ニ多生ズ、嫰ナル者ハ一根一葉ニシテ、破レタル傘ヲ張レル形ノ如シ、年ヲ經ルコト久シキモノハ、別ニ莖ヲ抽ルコト二三尺、二三葉互生シ、秋ノ初莖端ニ長穗ヲナシ、マバラニ花ヲ綴ル、花形鬼督郵(ハグマ)ノ花ニ似タリ、黄白色ニシテ微シク淡紫色ヲ帶ブ、熊谷道詮ノ薇銜考證ハ、圖モアリテ詳ニ辨ズ、草木辨疑ニ、大呉風草ヲ張良草トシ、小呉風草ヲ樊噲草トスルハ穩ナラズ、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0750 駒込邊ノ産 薇http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000371.gif (はんくわいさう)〈染井〉

劉寄奴草

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0750 劉寄奴草、加豆於久佐(○○○○○)、今案加良乃美加登久左(○○○○○○○○)、異名金寄奴、〈大明〉烏藤菜、〈綱目〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0750 劉寄奴草 ハンゴンサウ(○○○○○○) マネアサ(○○○○)〈奧州〉 タツミアガリ(○○○○○○)〈花戸〉 一名六月雪〈藥性奇方〉 六月http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000372.gif 〈古今醫統〉 鴨脚〈南寧府志〉 大葉蒿子〈楊州府志〉 九里光〈遵生八牋〉自然生ハ東國ニアリ、人家ニモ多ク栽ユ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、莖ノ高サ四五尺、葉ハ五枚アリテ、艾ノ梢葉ニ似テ厚大糙澀ニシテ、邊ニ細鋸齒アリ互生ス、七八月莖頭ニ多ク小枝ヲ分テ、單瓣ノ花ヲ開ク、紫菀花ノ形ニ似タリ、大サ五六分、黄色黄心、後白キ絮ヲ成ス、コレ時珍ノ説クトコロノ劉寄奴草ナリ、蘇頌ノ説ク所ノ劉寄奴草ハ、俗名キンクハ(○○○○)、一名アキノキリンサウ(○○○○○○○○)ナリ、山野ニ極テ多シ、苗ノ高サ一二尺、劉ハ雞兒腸(ノギク)葉ニ似テ、色深シ莖紫黒色、秋ノ末小黄花枝ニ満テ長穗ヲナス、觀ニ堪タリ、又救荒本草ニ載トコロノ野生薑ハ、此金花ノ菊葉ナルモノヲ指ス、葉ニ岐多シテトキハギクノ葉ノ如シ、和産モアリ、皆時珍ノ説トコロト同カラズ、又漢種ノ劉寄奴アリ、葉ノ形金花葉ニ似タリ、花モ相似テ小ク色白シ、集解ニモ花色白シト云、金花ニ白花モアレドモ、漢種トハ小シ異ナリ、然レドモ金花モ金瘡ニ效アル故、亦一種ノ劉寄奴草ナリ、又ヲトギリ草金瘡ヲ療 スルノ效相似ルヲ以テ、古來劉寄奴ニ充ツルハ大ナル誤ナリ、ヲトギリ草ハ小連翹ナリ、増、劉寄奴草、蘭山翁ノ説此ノ如シト雖ドモ、眞物ハ和産アルコトナシ、

〔草木育種後編〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 劉寄奴(きんくわさう)〈本草〉 俗に秋のきりんさう(○○○○○○○)といふ、和蘭にてキユルデン、ルーデといふ、葉を愈創の藥に用る、花を挿花に用ふ、江戸近野にも生ず、山土の地にうねを作り植べし、糞水を澆ぎてよし、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 道潅山ノ産 劉寄奴(あわだちさう)草

旋復花

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 旋復花〈須万比久佐(○○○○○)、本云早人草、〉

〔本草和名〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 旋復華、〈仁諝音上以泉反〉一名金沸草、一名盛椹、一名戴葚、和名加末都保(○○○○)、一名加末保(○○○)、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 旋覆花(ヲグルマ)〈金沸草、滴滴金、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5a9.gif 並同、覆字亦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000373.gif

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 旋覆花 金沸韋 夏菊 金錢花 盜庚 滴滴金 載椹 俗云乎久留末〈◯中略〉按旋覆花葉似柳花似菊而黄色、大如錢、人家栽者花大、數花攅開、又有千葉者、以野生單瓣者藥入用也、攝州之産最佳、江州者次之、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0751 旋覆花 ヲグルマ(○○○○) ノグルマ(○○○○) キツネノタバコ(○○○○○○○)〈越後〉 一名盛椹〈本經證類本草〉 滴漏花〈花史左編〉 滴漏金 金錢子〈共ニ同上〉 謝落金〈葯圃同春〉 滴露金〈同上〉 野油花〈附方〉 飛天蘂〈輟耕録〉 野金錢〈藥性要略大全〉 六月菊〈類書纂要〉 艾菊〈群芳譜〉 滴露菊 殳菊 疊羅黄〈共ニ同上〉 滴露〈大倉州志〉原野園圃間甚多シ、最繁殖ス、一タビ種レバ、其年花ヲ生ゼザレドモ、翌年ハ甚多ク生ズ、故ニ滴滴金ノ名アリ、此葉ノ露水滴下スル處ニ、苗ヲ生ズト云ノ意ナリ、然レドモサニハアラズ、鬚根蔓ノ如ク延テ、ソノ末ニ皆苗ヲ生ズル故繁茂スルナリ、葉ハ細長クシテ、鱧腸(タゝラヒノ)葉ニ似テ微毛アリ、苗高サ二三尺葉互生ス、夏月莖梢ニ枝ヲ分テ花ヲ開ク、單瓣ニシテ大サ錢ノ如シ、黄心形菊花ニ似テ 瓣甚細シ、又筒瓣ナルモノアリ、又千瓣ナル者アリ、又千葉ニシテ小ナルアリ、シナノギク(○○○○○)ト云、コレハ葉モ狹細ナリ、時珍ハ自生ノ者ハ單葉人家ニ種レバ千葉トナルト云非ナリ、單葉千葉別種ナリ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0752 諸國進年料雜藥安房國十八種、〈◯中略〉葛花、旋覆花各一斤、 上總國廿種、〈◯中略〉葛花、旋覆花各二斤、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0752 志村邊ノ産 旋覆(をぐるま)

向日葵

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0752 向日葵(ヒフガアフヒ) 一名西番葵、花史ニハ文菊ト云、向日葵モ漢名也、葉大ニ莖高シ、六月ニ花サク、頂上ニ只一花ノミ、日ニツキメグル、花ヨカラズ、最下品ナリ、只日ニツキテマハルヲ賞スルノミ、農圃六書花鏡ニモ見エタリ、國俗日向葵トモ、日マハリ(○○○○)トモ云、

紅藍花

〔倭名類聚抄〕

〈十四/染色具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0752 紅藍 辨色立成云、紅藍〈久禮乃阿井(○○○○○)〉呉藍〈同上〉本朝式云、紅花、〈俗用之〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈六/染色具〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0752 按古今注云、燕支中國人謂之紅藍、紅藍又出習鑿齒與燕王、見史記索隱、開寶本草云、紅藍花生梁漢及西域、一名黄藍、博物志云、黄藍張騫所得、圖經云、紅藍花冬而布子於熟地、至春生苗、夏乃有花、下作梂彙、多刺、花蘂出梂上、圃人承露採之、採已復出、至盡而罷、梂中結實、白顆如小豆大、其花暴乾、以染眞紅、及作燕脂、葉頗似藍、故有藍名、愚按紅藍葉不藍葉之紅藍者、藍之染草、人所普知、而紅藍染物與藍同、故謂之紅藍、猶茈草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b3fb.gif 也、時珍曰、其葉如小薊葉、至五月花、如大薊花而紅色、按久禮乃阿井、呉藍之義、是物可染似藍、其種自呉國來故名、猶薑訓呉椒也、急呼爲久禮奈爲、見萬葉、後依之今俗呼倍爾乃波奈、謂是花紅粉也、〈◯中略〉按證類本草藍實條引日華子呉藍、又載圖經江寧有一種呉藍、並非紅藍、辨色立成所載呉藍、蓋以漢字和名者、如牽牛花作朝貌、藎草作苅安之類、非本草呉藍也、〈◯中略〉按證類本草引圖經云、紅藍花即紅花也、爾雅翼云、燕支今中國謂之紅藍、或只謂之紅花

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0753 紅藍花、久禮乃波奈(○○○○○)、又稱久禮乃阿比(○○○○○)、今案久禮奈比(○○○○)、又稱倍仁乃波奈(○○○○○)、又按呉藍久禮阿伊(○○○○)、是即所謂紅字和訓也、

〔八雲御抄〕

〈三上/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0753 紅 すゑつむはなと云り〈すゑつむゆへ〉

〔藻鹽草〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0753 紅末つむ花、〈すゑをつむゆへ也〉まふりて、〈ふりはへといふもまふり也、ふり出てとも云也、紅をそめつけたる物也、俗にはたたふりてと云也、紅はふり出て物を染也、〉はす紅、うす紅、ゆふ紅、紅のちり、〈世間を紅の塵にたとへたり〉紅のすゑさく花、たかまきし紅、花から紅、ちしほの紅、〈かくらくのとませの山をすにつくととよすめがみのまきしくれなゐ〉すゑつみはやす紅、

〔東雅〕

〈十五/草卉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0753 紅藍クレノアヰ 倭名鈔に辨色立成を引て、紅藍呉藍並にクレノアヰといふ、本朝式には紅花の字を用ゆ、俗亦用之と註せり、クレとは即呉也、アヰは即藍也、萬葉集に呉藍讀てクレナヰといふは、其語の轉ぜしなり、但し漢に呉藍と云ひしものは、莖の類にして、紅藍をいふにはあらず、此に呉藍といふは、其始呉國より來りしが故也、即今俗にはベニノハナといふなり、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0753 紅花 紅藍花 黄藍 俗云久禮奈伊、呉藍之略言、〈◯中略〉按紅花俗傳云、申日下種能茂盛、羽州最上及山形之産爲良、伊賀筑後次之、豫州今治及攝播二州之産又次之、最上紅餅大如錢、西國紅餅圓徑三四寸許、〈◯下略〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0753 紅藍花 クレノアヰ(○○○○○)〈和名鈔〉 クレナヰ(○○○○) スヱツムハナ(○○○○○○)〈源氏物語〉 丹華〈和方書〉 ベニノハナ(○○○○○) クレナヰノハナ(○○○○○○○)〈雲州〉 ハナ(○○)〈仙臺〉 紅花 一名紅蘭〈事物紺珠〉 紅花菜〈救荒本草、又山丹花未ダ開カザル者ヲ乾シ、食用ニスルヲモ紅花菜ト云、〉秋分ニ子ヲ下シ、便チ生ズ、葉ハ細長クシテ黄緑色、長サ二寸或四五寸、葉邊及中心ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif 刺アリ、春ニ至テ莖ヲ抽デ、高サ三五尺ニ至ル、其莖ニモ刺アリ、葉ハ互生ス、梢葉ハ枸骨(ヒラギノ)葉ノ如シ、夏月枝ノ末ゴトニ花ヲ生ズ、梂ヲナシテ蒼朮苑梂ノ如ク刺多シ、細瓣梂上ニ出テhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5cd.gif (アザミノ)花ノ形ニ似リ、紅黄色 ナリ、今朝瓣ヲツミ采レバ明朝復出、此ノ如クスルコト數日ニシテ盡ク、故ニ源氏物語ニ末摘花ト名ク、瓣ヲ摘ニハ必早晨ヲ以テス、故ニ集解ニ乘露采之ト云リ、花後實ヲ梂中ニ結ブ、熟シテ大サ赤小豆ノ如シ、一方尖リ色白クシテ光アリ、唐山ニテハコノ實ヲ搾リ、油ヲ取リ燈ニ點ズ、又杭州ニテ金ノ扇面ヲ僞ルニ、銀紙ニ此油ヲ刷キ、火ニテ炙リナスト、天工開物ニ見タリ、藥ニ入ルヽニハ花瓣ヲ用ユ、即紅花ナリ、數種アリ、ゼニバナト云ハ、扁クツクネテ錢ノ形ニナシタルヲ云、集解ニ捏成薄餅ト云是ナリ、是ハ多ク染家ニ用ユ、奧州仙臺ヨリ出ルヲ上品トス、出羽ノ山形コレニ次グ、同州谷知(ヤチ)、奧州ノ三春之ニ次グ、奧州ノ者ハソノ形小ニシテ薄シ、コレハ瓣ヲトリテ少ヅツ集メ、席ノ上ニナラベ、其上ニ席ヲ蓋ヒ、オモシヲカケ、錢形ニ造ルモノナリト云、肥後ヨリ出ルハ大サ二寸許、厚サ五分許、圓形ニシテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif シ、コレハ竹筒中ニ入レ擣カタメ、出シテ切タル者ナリト云、又筑後ヨリ出ルハ薄シテ大サ三寸許、是ハ奧州ヨリ出ルモノト、其製同ジト云、又錢バナニ成サズシテ、瓣ヲ摘采タルマヽニテ出スモノアリ、コレヲツミナリト云、又ジバナトモ云、唐山ニテコレヲ散花ト云、伊勢美濃ヨリ出ルハ皆ツミナリ也、藥ニハ多ク此ツミナリヲ用ユ、藥肆ニテ陳舊ニシテ色ノ變ジタルヲ、藥紅花ト名ケ售ル、是甚惡シ、新ナルヲ撰ビ用ユベシ、若シ無トキハ錢バナヲ碎キテ、ホドキ花ト云ヲ用ユベシ、

〔農業全書〕

〈六/三草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0754 紅花うゆる地の事、土性極めてよく光色ありてうるはしきは、作れる花の色もよく染付よし、黄赤黒の土の尤肥良なるをゑらびて作るべし、高き田の性よきは猶宜し、夏より數遍耕しさらし、糞をうち熟しからし置たるに、霜月の初申の日蒔べし、又八月地をよくこなし畦作りし、筋を切、たねを酒に浸す事一宿、灰糞やき土にて、たねを合せ蒔べし、さのみ厚く蒔べからず、苗二三寸の時、中うち藝り、人糞ならば、いかにも久しく枯たるを以て、葉にかヽらざる様にわきよりかくべし、苗 ふとりさかへては、人糞は云に及ばず、新しくけがらはしき糞を用ゆれば、さきまがりて花房とならぬ物なり鷄の糞又は糟鰯にても、苗のちいさき時に多く用ひて、中うちさい〳〵して芸り培ひ、うすからず、厚からず、よき程に間引立て、四五月朝いまだ日の出ざるに、花よくひらきて、わきにたるヽを見てつむべし、ひらきてもいまだ色黄にして、わきにたれざるはつむべからず、摘取ては、ざつときざみ臼にてつき、清水に漬てやがて取上しぼり、何にてもきれいなる物にひろげ、草の葉をおほひ、日風も當らざる所に二三日もをき、少色付、白かびの出るを見て、餅に造り日に干べし、又出羽の最上にて花を作る法あり、異なる事なし、是はつみ取て清水に漬、やがて取上てしぼり、筵に攤げ物をおほひをきて、少ねたる時、餅には造らず、其まヽ亂れ花にして、干上げ箱に入をくなり、苗の時間引て、ゆがき菜にし、食するに其性よく、味もよし、市町近き所にては、園菜とし、少厚く作りて、段々間引取て賣ても、利なき物にあらず、又實を多く收め置て、燈油に用ひ、勝れて光もよく、油多き物なり、又紅花は苗より念を入、いか程心を盡しても、卒爾に糞を用ゆれば、忽ち先曲りくせ付物なれば、下地をなる程よくこしらへ、糞を多くうち、さらし置、蒔時鷄糞など、其外よく枯たる糞を灰に合せ、下にしきて蒔べし、後は草かじめ中うち培ひ間引立て置べし、土地に相應し、肥地に多く作りては、勝れて厚利を見る物なり、地心を能ゑらぶべし、又子を牛に飼たるもよし、

〔草木六部耕種法〕

〈十/需花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0755 草花ノ染料ト爲スベキ者ハ、紅花ノ用ヨリ大ナルハ無シ、〈◯中略〉凡ソ一段ノ畠ニ種子六七升ヅヽ蒔テ、上ニ土ヲ覆フニ及バズ、但シ芽ノ出ザル間ハ、小鳥ヲモ逐ベク、時々盛養水ヲ灑ニ宜シ、旣ニ芽ヲ生ジテ後ハ、糞尿等不淨ナル肥養ヲ用ルコト勿レ、唯其他草ヲ除キ、干鰯ノ粉、或ハ火酒ヲ餾タル籾糠交粕等ヲ、根傍五六寸隔テ置キ、土ト耙錯(キリマゼ)ベシ、其苗頗ル長ジテハhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001bfe9.gif 宜ニ間引テ、蔬菜ト爲スベシ、美味ナル者ナリ、四五月ニ至リ、黄色ナル花開テ朝露ヲ帶タルヲ 摘ベシ、紅花ヲ摘採ベキノ候ト云フハ、其花満開シテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000016649.gif 反(ソリカヘ)リ、其中三片紅色ニナリタルヲ、時トシテ摘ミ採ルベシ、何トナレバ其花旣ニhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000016649.gif 反ト雖ドモ、唯黄色ナルノミニテ、一片モ紅ナザラルヲ摘タルハ嚥脂少シ、又過半紅色ニナル迄モ、摘ミ採ザルトキハ、亦嚥脂ノ出ルコト大ニ減ズル者ナリ、所謂其花眞黄色ナルガ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000016649.gif 反テ其中三片紅ニナリタル時ハ、嚥脂ノ十分ニ、其花ニ充満タル候ナリ、此候ヲ待ズシテ摘採モ、此候ヲ緩ニシテ摘採ザルモ、共ニ大ナル損失ナリ、翅(タヾ)ニ嚥脂ノ減少スルノミナラズ、其色モ亦美艷ヲ失フコト多シ、故ニ三片紅ノ候ヲ待ヲ、紅花ヲ摘ミ採ル極意ノ秘訣トス、紅花ヲ多ク作ルトキハ、三片紅ノ花ヲ摘モ、一朝ヤ二朝ニ盡スベキニ非ルヲ以テ、其候ノ來次第ニ、幾朝モ掛リテ、花ノ有ン限リハ皆悉ク摘採ベシ、凡紅花ヲ作ルニハ、植地ノ善惡ヲ論ゼンヨリハ、唯其培養ヲ精粹ニスベシ、我家ノ法ヲ以テ作レバ、莖長六尺餘ニ及ビ、花モ極大ナリ、故ニ同ク一段ノ地ニ作ルト雖ドモ、花ヲ得ルコト多キガ故ニ、燕脂ノ出ルコト他ニ倍シ、其色モ亦極テ美艷ニシテ最上品ナリ、又我家法ニテ作リタル紅花ハ、餅ト作タルモ、攤乾(ヒロゲボシ)ト爲シタルモ、或ハ馬糞ノ如クニシテ、其色醜キコト有リ、然レドモ燕脂ノ出ルコト多キニ至テハ、他ノ美ナル紅花ノ絶テ及ブベキニ非ルナリ、〈◯中略〉凡ソ紅花ヲ多ク作ルハ、出羽國最上郡ヲ第一トス、最上紅花ハ餅ト成サズシテ、亂花ニ乾タルモノ多シ、此ハ漢土ノ農書ニ、攤而曝乾勝餅、作餅者不乾、令花浥鬱也ト云フ説ニ惑タルナリ、餅ニ作ルモ、必シモ浥鬱(ムレル)モノニ非ズ、其麻布ニ包テ餅ト作スノ間ニ、却テ黄汁ヲ除キ去ルノ功アリ、故ニ我家ニテ皆餅ニ製セシムルヲ法トス、又最初蹈揉セシ時ヨリ、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f188.gif ス時ニ洗流タル黄汁ニハ、燕脂ノ氣ヲ含ムコト頗多シ、桃色木綿等ヲ染ルハ、皆此黄汁ニテ染ル者ナリ、誤テ此汁ヲ棄ルコト勿レ、

〔剪花翁傳〕

〈三/五月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0756 紅花 末摘花 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000374.gif 艸花 花の色濃黄にして光あり、開花五月、方日向、地二分濕り、土えらばず、肥淡大便、度々灌がざれば、金錆とて葉に星の如くなる黄みし點入也、風すかし を專らにすべし、下種秋彼岸にまくべし、

〔令義解〕

〈三/賦役〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 凡〈◯中略〉正丁一人、紫三兩、紅三兩、

〔延喜式〕

〈二十四/主計〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 凡中男一人輸作物〈◯中略〉紅花二兩、伊賀國〈◯中略〉 中男作物紅花七斤八兩、

〔播磨風土記〕

〈揖保郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 阿爲山、品太天皇〈◯應神〉之世、紅草生於此山、故號阿爲山

〔萬葉集〕

〈十/夏相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757花外耳(ヨソノミニ)、見筒戀牟(ミツヽヤコヒム)、紅乃(クレナヰノ)、末採花乃(スエツムハナノ)、色不出友(イロニイデズトモ)、

〔古今和歌集〕

〈十一/戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 題しらず よみ人しらず人しれずおもへばくるし紅のすゑつむ花の色に出なむ

漏蘆

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 漏蘆〈奈々美久佐(○○○○○)〉

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 漏蘆〈操玄操音力魚反〉一名野蘭、一名鹿驪根、〈出陶景注、仁諝音知力反、蘇敬注云、是木梨盧也、非漏蘆、〉一名英蒿、〈出蘇敬注〉和名久呂久佐(○○○○)、一名阿利久佐(○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 漏蘆 本草云、漏蘆一名野蘭、〈和名久魯久佐、一云安里久佐、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0757 陶注云、俗中取根、名鹿驪根、蘇注云、此藥俗名莢蒿、莖葉似白蒿、花黄、生莢長似細麻、如筯許四五瓣、七月八月後皆黒、異於衆草、蒿之類也、其鹿驪、山南謂之木藜蘆、有毒、非漏蘆也、陳藏器曰、樹生如茱萸、樹高二三尺、別本注云、漏蘆莖筯大、高四五尺、子房似油麻房而小、蜀本圖經云、葉似角蒿、下濕地最多、六月七月採莖、日乾之、黒於衆草、〈◯中略〉陶弘景所説鹿驪、一名木藜蘆、陳藏器所説者亦是耳、今俗呼波奈比利乃岐、蘇敬所説俗名莢蒿、開寶本草、蜀本圖經所云皆同、沈氏筆談云、今閩中所謂漏蘆、莖如油麻、高六七尺、秋深根黒如漆、乃眞漏蘆也、亦謂此也、今俗呼與毛伎毛土歧、按陶所説漏蘆、即木藜蘆、不之爲久佐、則所謂久呂久佐、蓋訓蘇所説漏蘆也、亦圖經所

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0758 載、有單州者、有沂州者、有秦州者、有海州者、單州者、大倭本草所謂平江帶、沂州者今俗呼黄船菊、或呼秋牡丹、或呼秋明菊、秦州者即救荒本草六月菊、今俗呼野春菊、或單呼春菊、海州者、即白頭翁、又飛廉亦名漏蘆、見別録、皆非此所http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 載也、李時珍曰、屋之西北黒處謂之漏、凡物黒色謂之盧、此草秋後即黒、異於秋草、故有漏盧之稱、小野氏曰、一名野蘭、蓋謂六月菊、然則秦州漏蘆也、

〔藻鹽草〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0758 和名少々 漏蘆〈ありくさ〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0758 漏盧 クログサ アリグサ〈古名〉 一名北漏〈衞生寶鑑〉 伐曲大〈郷藥本草〉 純穀大〈村家方〉 漏蘆蒿〈外臺祕要〉集解ニ説トコロ品類多シ、先師七種(○○)ノ辨アリ、熊谷氏述テ漏盧考證ヲ著ス、ソノ七種ハ恭ノ説ニ俗名莢蒿(○○)ト云ハ、即釋名ニ鬼油麻ト云、時珍ノ説ニ眞ノ漏盧ト云モノ也、和名ヒキヨモギ(○○○○○○○)、一名ヨモギモドキ、淺山向陽ノ地ニ生ズ、苗高サ二三尺、葉ハ艾葉ニ似テ小ク薄ク、花岐多クシテ毛茸アリ、黄緑色ニシテ微紫ヲ帶ブ、背ニ白色ナシ、皆兩對シテ密ナリ、六七月梢ノ葉間ゴトニ花ヲ生ズ、腐婢(アヅキノハナ)ニ似タリ、大サ二三分、黄色花下ニ細房アリ、長サ五六分、形圓ニシテ竪ニ數稜アリテ、胡麻房(ゴマノサヤ)ノ如ニシテ小シ、故ニ鬼油麻ノ説アリ、馬志ノ説ニ、似油麻房ト云モノ之ヲ指ナリ、房内ニ小子多シ、罌粟ノ子ヨリ小ナリ、八月ニ至リ苗枯レ黒クナルコト、衆草ニ異ナリ、弘景藏器ノ説ハ、共ニ木藜蘆(○○○)ナリ、毒草類ニ本條アリ、俗名ハナヒリノキ(○○○○○○○○)、北國ニテアクシヨギト云、小木ナリ、頌ノ説ニ單州者ト云云、單州漏盧(○○○○)ハ和名ヒゴタイ(○○○○○○)、大和本草ニハ平江帶ト書リ、唐山ヨリ此種渡リシ時、此名ヲ書來リシト云リ、然レドモ唐山ノ書ニテ、未此名ヲ見ズ、花戸ニテハ肥後臺ト云、苗ハ春宿根ヨリ叢生ス、小薊(ノアザミノ)葉ニ似テ大ニシテ厚ク刺ナシ、長サ二尺許、背ニ白毛アリ、夏已後莖ヲ抽コト高サ四五尺餘、小葉互生ス、初秋莖頂ニ花アリ、藍紫色ノ小花數多簇リテ毬ヲナス、形正圓ニシテ山芹菜(ナベナノ)花毬ノ如ク、下ニ蕚ナシ、大サ寸餘、世人多ク七夕ノ瓶花ニ用ユ、古ヨリ タマボウキヲ以テ單州漏盧ニ充ツ、穩ナラズ、タマバウキハ山野ニ多シ、葉ハ敗醤葉ニ似テ長大ナリ、又紫藤(フヂノ)葉ニ似テ花岐アリ、一根ニ叢生ス、莖ヲ抽ヅルコト高サ三五尺、葉互生ス、秋ニ至テ枝頭ゴトニ花ヲ開ク、小薊花ニ似テ紫色刺ハナシ、漢名詳ナラズ、沂州者花葉頗似牡丹云云、沂州漏盧(○○○○)ハ即牡丹葉漏盧ナリ、秘傳花鏡ニハ秋牡丹(○○○)一名秋芍藥ト云、和名キブネギク(○○○○○○○)、〈京〉カウライギク、〈讃州〉八朔牡丹、〈長州〉アキ牡丹、〈相州〉カハギク、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 州〉カヾギク、〈泉州〉トウギク、〈大和本草〉紫衣ギク、〈三才圖繪〉ハマギク、〈常州〉シマギク、〈越後〉ムメウサウ、〈南部〉サツマギク、〈濃州〉カブラギク、〈加賀小松〉カブロギク、〈勢州山田〉シウメイギク、〈同上久井〉クハンノンギク、〈播州林田〉ランギク、〈同上立野〉カラギク、〈越前〉クサボタン、〈江州〉山中溪側ニ生ズ、人家ニモ栽ユ、甚繁茂ス、城州ニハ貴船山中ニ自生多シ、故キブネギクト云、春宿根ヨリ葉ヲ叢生ス、形三枝九葉ニシテ、大抵牡丹葉ニ類シ、尖リテ毛茸アリ、夏月莖ヲ抽コト三四尺、八九月ニ至リ枝頂ゴトニ一花アリ、形菊花ノ如ク二三重ナリ、大サ一寸餘、初ハ紫紅色後ハ色淡シ、背ニ白毛アリ、花中ニ黄小心アリ、花後實ヲ結バズ、冬ニ至テ苗枯ル、春ニ至レバ根鬚ノ末、皆苗ヲ發スルコト、金沸草(ヲグルマ)ノ如シ、秦州ノ者花似單葉寒菊紫色云云秦州漏盧(○○○○)ハ即釋名ノ野蘭ニシテ、即救荒本草ノ六月菊ナリ、和名ノシユンキク略シテシユンキクト云、同蒿ト同名ナリ、雞兒腸ノ種類ニシテ深山ニ生ズ、人家ニモ多ク栽ユ、枝ヲhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019519.gif シテヨク活ス、葉ハ雞兒腸葉ヨリ濶クシテ深緑色、莖紫黒色、三月ニ花サク、單辨ニシテ淡紫碧色、雞兒腸ノ花ニ異ナラズ、又白花モアリ、海州ノ者花紫碧如單葉蓮花云云、海州漏盧(○○○○)ハ綿頭漏盧ニシテ即山草類ノ白頭翁ナリ、和名ゼガイサウ、時珍ノ説ニ、飛廉一名漏盧云云、飛廉漏盧(○○○○)ハ即次ノ條ノ飛廉ナリ、以上七種ノ漏盧ノ内、眞ノ漏盧單州漏盧ハ苗ノ枯レテ黒キヲ以テ名ク、秦州漏盧ハ莖幹ノ紫黒色ナルヲ以名ク、木藜蘆、沂州漏 盧、海州漏盧ハ根ノ黒キヲ以テ名ク、漏盧古ヨリ漢渡ナシ、 本邦市人舶來遠志ノ中ヨリ根形粗大ナル者ヲ擇出シ、漏盧ト名ケ售リ來レリ、直根ニシテ淡黄色、此者決シテ遠志ニ非ズ、明和六年己丑ノ頃ヨリ、舶來ノ漏盧ヲ京師ニ賣ル、即遠志中ヨリ擇出者ニ異ナラズ、根ノ長サ五寸許、皆蘆頭ニ鬚アリ、偶枯葉ノツキタルアリテ、諦視スルニヒゴタイニ異ナラズ、故ニ單州漏盧ヲタマホウキトスル説ヲ改テヒゴタイトス、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉漏蘆、稾本各九斤、 攝津國卌四種、獨活、漏蘆各五斤、〈◯下略〉

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 鼠山ノ産 漏盧(ひきよもぎ)

飛廉

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 飛廉、一名飛輕、一名漏蘆、〈陶景注云、別有漏蘆此別名、〉一名天薺、一名伏猪、一名伏莵、一名飛雉、一名木禾、〈出本經〉一名天買、〈出大清經〉一名苦矢、〈(矢恐芺誤)已上出神仙服餌方〉和名曾々木(○○○)、一名布保々天久佐(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 飛廉草 本草云、飛廉草、〈和名曾曾木、一云布保々天久佐、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 陶注云、極似苦芺、惟葉下附莖、輕有皮起似箭羽、葉又多刻缺、花紫色、蘇云、此有兩種、一是陶説生平澤中者、其生山岡上者、葉頗相似而無疏缺、且多毛、莖亦無羽、根直下、更無傍枝、生則肉白皮黒、中有黒脈、日乾則黒如玄參、王念孫曰、本草飛廉一名飛輕、陶注亦云、飛廉莖輕、則飛廉之名、殆取義于輕與、陶注本草蜚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000375.gif 云、形似http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d279.gif而輕少能飛、亦其義也、

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 飛廉曾曾岐、又稱之於天(○○○)、異名木禾、〈別録〉

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 飛廉(ヲニノマユハキ) 〈漏蘆、木夭、天薺、飛雉並同、〉

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0760 飛廉 鬼ノマユハキ(○○○○○○)ト云、鬼アザミニ似テ、莖ノ四方ニ鬼箭ノ如クニ、矢ノ羽ノ如ナルヒレアリ、針モアリ、花モ鬼アザミニ似タリ、或説ニシホデト訓ズ、シホデハ蔓草ナリ、是ニアラズ、飛廉ノ和名ヲモシホデト云歟イブカシ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 飛廉 木禾 飛雉 飛輕 伏免 伏豬 天薺 和名曾曾木、一云布保保天久佐、〈◯中略〉按漏蘆、飛廉、攝州田野間有之、而識者用者共希也、唐漏蘆頗似遠志、而不細牛蒡、近年不來、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 飛廉 ソヽキ(○○○)〈和名鈔〉 フホヽテクサ(○○○○○○)〈同上〉 オニノマユハキ(○○○○○○○) オニアザミ(○○○○○) ヤハズアザミ(○○○○○○) ヒレアザミ(○○○○○) 一名飛廉蒿〈附方〉夏ノ末子生ズ、葉ハ小薊(アザミ)葉ニ似テ黄緑色刺多シ、秋冬ハ地ニ就テ叢生ス、春ニ至リ漸ク薹ヲ抽テ三五尺ニ至ル、枝葉共ニ互生ス、莖ニ薄キ羽數條起リテ、鬼箭(ニシキヾノ)羽ノ如ク更ニ刺多シ、陶氏ノ説ニ、葉下附莖輕有皮、起似箭羽ト云是ナリ、夏ニ至テ枝ノ末ゴトニ花ヲ開ク、小薊花ニ似テ小ナリ、見ニ足ラズ、花後白絮トナリ、風ニ隨テ飛ブ、絮ゴトニ一子アリ、落ル處即生ジ、苗根共ニ枯ル、白花ノ者ハ多アリ、紫花ノ者ハ少シ、

苦芺

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 苦芺〈楊玄操音烏老反〉一名鉤芺、〈出釋藥〉和名加末奈(○○○)、一名加美於古之奈(○○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 苦芺 本草云、苦芺、〈烏老反、和名加萬奈、一云加美於古之奈、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 蜀本圖經云、子若猫薊、莖圓無刺、李時珍曰、芺大如拇指、中空、莖頭有薹似薊、初生可食、引造化指南云、苦芺大者名苦藉、葉如地黄味苦、初生有白毛、入夏抽莖有毛、開白花甚繁、結細實、其無花實者、名地膽草、汁苦如膽也、又曰、凡物穉曰芺、此物嫩時可食、故以名之、

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 苦芺(サハアザミ/○○)〈鉤芺、苦板並同、〉

〔和漢三才圖會〕

〈九十四本/濕草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 苦芺(めあざみ/○○)〈◯中略〉按苦芺原野濕地多有之、花淺紫似薊而痩、葉亦色淡不繁、莖無刺稱女阿左美、以薊名鬼阿左美、一種有菊薊者、莖葉似苦苣(ケシナクサ)、而莖有白汁、至秋高三四尺開黄花、似八重小菊而美、〈葉似苦苣及苦芺、花似菊故名菊薊、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0761 苦芺 カマナ(○○○) カミヲコシナ(○○○○○○)〈以上古名〉 ヒメアザミ(○○○○○) トチナ(○○○)〈加州〉 ヘラ(○○) アザミ(○○○)〈奧州〉山野共ニアリ、好テ溪澗地澤ノ旁ニ生ズ、繁茂シヤスシ、葉宿根ヨリ叢生ス、ソノ形一ナラズ、小薊葉ニ似タルモアリ、又羊蹄(ギシ〳〵)葉ニ似テ短ク、淺鋸齒アルモアリ、皆葉邊及莖ニ刺アリ、葉ノ長サ三五寸、大ナル者ハ尺餘ニ至ル、八九月莖ノ高サ三五尺、枝ヲ分チ花ヲ開ク、淺紫色、大薊(ヤマアザミ)花ノ形チニ似テ、旁ニ向テ開ク、其苗嫰ナル時食フベシ、故ニトチナノ方言アリ、

葈耳

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0762 枲耳實〈奈毛彌(○○○)〉

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0762 葈耳、〈仁諝上音思以反〉一名胡葈、一名地葵、一名葹、〈楊玄操音私〉一名常思菜、一名羊負來、〈陶景注云、昔中國无此言、從外國羊毛中來、〉一名蒼耳、〈出蘇敬注〉一名金http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001d000.gif 、〈出兼名苑〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f0ba.gif 耳、〈居轉反〉一名苓耳、〈已上出爾雅〉和名奈毛美、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0762 葈耳 陶隱居本草注云、葈耳一名羊負來、〈葈音子、和名奈毛美、〉昔中國無此草、從外國羊毛中而來、故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0762 今俗呼乎奈毛美、呼http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b335.gif米奈毛美、〈◯中略〉按御覽引博物志云、洛中人有羊如蜀者、胡葸子箸羊毛、蜀人取種之、因名羊負來陶説本之、王念孫云、負來疊韻字、無曲説、草名取於牛馬羊豕雞狗者、不必皆有實事、況采采卷耳、周南所詠、又不中國無此草也、爾雅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f0ba.gif 耳、苓耳、郭璞注云、廣雅云枲耳也、亦云胡枲、江東呼爲常枲、或曰、苓耳形似鼠耳、叢生如盤、詩卷耳正義引陸機疏云、卷耳、葉青白色似胡荽、白華細莖蔓生、可煮爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 茹、滑而少味、四月中生子、如婦人耳中璫、今或謂之璫草、幽州謂之爵耳、圖經云、詩人謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001f0ba.gif、爾雅謂之蒼耳、廣雅謂之葈耳、皆以實得名也、時珍曰、其葉形如葈麻、故有葈耳名、禹錫引爾雅菤耳蒼耳、陶注又云、此是常思菜、傖人皆食之、以葉覆麥作黄衣者、蘇敬孟詵謂之蒼耳、時珍曰、救急本草云、蒼耳葉青白、類粘糊菜葉、秋間結實、比桑椹短小而多刺、

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0762 葈耳、和名那毛美、今按於那毛美、異名常思、〈弘景〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0763 葈耳、ヲナモミ(○○○○) ムマノヽミ(○○○○○)〈越前〉 ナモミ(○○○)〈雌雄總名〉 一名野落蘇〈醫學集要〉 胡寢子〈大倉州志〉 璫草〈埤雅〉 美帶歸〈醫學入門〉 集刺〈千金方〉 升古休伊〈採取月令〉 吐叱古个里〈村家方〉 胡寢草〈寧波府志〉 増一名耳中璫〈通雅〉 苓耳〈埤雅〉 野茹稗〈鎭江府志〉 蘆寢母〈大倉州志〉 野縑絲〈附方〉此草ヲ國ニヨリテメナモミト云、其實大ナル故ナリ、然レドモ非ナリ、野生多アリ、春生ジ秋後根枯ル、葉ハ茹葉ニ似テ刺ナク紫色ナラズ、互生ス、莖高サ三五尺、瘠地ノモノハ短シ、夏月莖頭ニ白花ヲ開キ實ヲ結ブ、形桃葉珊瑚(アヲキノ)實ニ似テ小ク、兩頭尖リテhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif キ刺多シ、熟スレバ衣服ニ粘著ス、故ニ羊負來ノ名アリ、此實毛氈ニツキ來リタルヲ藥ニ用ルヲ、附方ニ氈中蒼耳ト云、秋末ニ至テ苗根共ニ枯ル、ソノ實地ニ落ルモノ、春ニ至テ自ラ生ズ、

豨薟

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0763 豨薟、今案米那毛美(○○○○)、異名火杴草、〈唐本〉

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0763 豨薟 和名ヲナモミ功能甚良シ、殊風痺ニ用コトヲ、本草綱目唐愼微ガ説ヲノセタリ、成訥及張詠豨薟丸ヲ天子ニ進ムル表アリ、其表ノ内ニ、誰知至、賤之中、乃有殊常之效ノ文アリ、其藥至賤ニシテ、非常ノ效アル物猶多シ、黄精、萎蕤忍冬、薏苡、胡麻、蒼耳ノ類ナリ、李中梓ハ愼微ガ譽之太過ナル事ヲソシレリ、今俗ニ豨薟ト稱スル草一種アリ、與本草時珍之説合宜之、蘇頌説似タリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0763 豨薟 メナモミ(○○○○) モチナモミ(○○○○○)〈古方書〉 秋ボコリ(○○○○)〈石州〉 一名稀賢草〈醫學集要〉 火蘝〈通雅〉 稀仙〈品字箋〉 白花菜〈遵生八牋〉 蟾矣衿〈郷藥本草〉國ニヨリテ此草ヲオナモミト云、武藏筑前モ然リ、故ニ大和本草ニモオナモミト訓ズ、並ニ方言ナレドモ混ジ易キ故、蒼耳ヲオナモミト訓ズベシ、豨薟ハ原野ニ極テ多シ、宿子地ニアリテ春苗ヲ生ズ、方莖ニシテ枝葉兩對ス、葉形圓尖ニシテ鋸齒アリ、苧麻(マオノ)葉向日葵(ヒグルマノ)葉ニ似テ、薄軟ニシテ毛茸アリ、莖ノ高サ三四尺、秋枝端ゴトニ花ヲ開ク、ソノ蕚五ツニ分レ、細長ク厚クシテ毛アリ、毛粘 滑ニシテ手ニ著易シ、莖ヲ連テ花ヲ取リテ、地上ニ落シテ提レバ砂土粘著ス、故ニイシモチ(○○○○)ノ名アリ、此蕚上ニ小梂アリ、梂上ニ、花ヲ開ク、瓣最小ニシテ黄色、天名精花ニ似テ小ナリ、花衰テhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/0000000199f3.gif 内ニ實ヲ結ブ、同蒿(シユンギクノ)子ヨリ細ク、天名精子ヨリアラシ、熟シテ苗根共ニ枯ル、

〔徒然草〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0764 めなもみといふ草あり、くちはみにさヽれたる人、かの草をもみてつけぬれば、則いゆとなん、見しりてをくべし、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0764 道灌山ノ産 豨薟(めなもみ)

天名精

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0764 天名精、一名麥句姜、〈蘇注云、味甘辛、故有姜名、〉一名蝦蟆藍、〈蘇敬注云、状似藍、故以名之、〉一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001bc21.gif 首、一名天門精、一名玉門精、一名彘顱、一名蟾蜍蘭、〈蘇敬注云、香氣似蘭、故以名之、〉一名覲、一名豨薟、一名豨首、〈仁諝音虚豈反、已上二名出陶景注、〉一名鹿活草、一名天蔓菁、一名地菘、〈已上三名出蘇敬注、〉一名天精、一名天無青、一名葵蘆、〈已上三名出釋藥注、〉一名薽、一名蟾諸蘭、〈已上二名出雜要訣〉和名波末多加奈(○○○○○)一名波末布久良(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0764 天名精 本草云、天名精一名麥句薑、〈和名波末太加奈、一云波萬不久良、〉蘇敬注云、味甘辛、故有薑稱矣、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0764 爾雅云、茢薽、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001bc21.gif 首、本草又云、一名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001bc21.gif 首、一名天門精、陶注云、此即今人呼爲豨薟、亦名豨首、蘇注又云、鹿活草是也、別録一名天蔓菁、南人名爲地菘、其豨薟苦而臭、名精乃辛而香、全不相類也、蜀本圖經云、地菘也、小品方名天蕪菁、一名天蔓菁、夏秋抽條、頗似薄苛、花紫白色、其葉似山南菘菜、陳藏器曰、天蔓菁地菘與蔓菁相似、故有此名、爾雅云、大鞠、蘧麥、郭注云、麥句薑、蘧麥、即今之瞿麥、然終非麥句薑、爾雅注錯如此、據陳説天蔓菁正、作名精、作門精、皆聲之訛也、開寶本草云、地菘生人家及路傍陰處、所在有之、高二三寸、葉似菘葉而小、李時珍曰、嫩苗緑色、似皺葉菘芥、微有狐氣、長則起苗、莖間小黄花、如小野菊花、結實如茼蒿子亦相似、最粘人衣、狐氣尤甚、其根白色如短牛膝

〔藻鹽草〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 和名少々 天名精〈ほろし〉

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 天名精、波麻太賀http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c042.gif 、又稱伊奴乃志利、今案伊乃志利久左、異名天蔓菁、〈別録〉

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 天名精(イノシリグサ/ヤブタバコ)〈天蔓菁、地菘、蚵http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b775.gif 草、活鹿草、劉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651544.gif 草、皺面草並同、實名鶴虱、根名杜牛膝、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 天名精 イヌノシリ(○○○○○)〈古名〉 イノシリグサ(○○○○○○)〈同上〉 ハマフクラ(○○○○○)〈和名鈔〉 ハマタカナ(○○○○○)〈同上〉 ヤブタバコ(○○○○○)〈古今〉 キツネノタバコ(○○○○○○○) イノジリ(○○○○)〈勢州〉 ウラジロ(○○○○)〈佐渡〉 ハイグサ(○○○○)〈播州〉 一名天麻〈炮灸大法〉 雛面地葱花〈發明〉 雪裏青〈名醫類案〉 荔枝草〈同上〉 長青草〈同上〉 過冬青〈先醒齋廣筆記〉 癩蝦蟆草〈外科正宗〉 狐矣尿〈郷藥本草〉 皺皮草〈丹溪心法附録〉 覲〈證類本草〉 鹿活草〈酉陽雜俎〉 鶴蝨一名鵠蝨〈本草原始〉多ク野生アリ、人家ニモ生ズ、初ハ地ニ就テ叢生ス、烟草葉ニ似テ小ク、鋸齒皺毛臭氣アリ、長サ尺餘、夏秋ノ間ニハ莖高サ二三尺ニ至ル葉互生ス、葉間ニ花ヲ開ク、野菊(アブラギクノ)花ノ心ノ如ニシテ黄色ナリ、蕚ハ緑色、葉間ニ一花ノミ生ズルモアリ、又多ク攅簇スルモアリ、此實ヲ鶴蝨トシ、根ヲ土牛膝トスト云、然レドモ元ト本草ニハ天名精ト鶴蝨ト別條ナリシヲ、時珍綱目ヲ著ス時、沈存中ノ説ニヨリ、唐本草ノ鶴蝨ヲ併入テ一物トス、故ニ古鶴蝨ト云ハ、天名精ノ實ニ非ザルコトヲ、藥性纂要ニ辨ジ、ソノ形状モ詳ニ説ケリ、ソノ鶴蝨ハ即俗ニヤブジラミト呼ブ者ニシテ、此實ヲ今藥舖ニ蛇床子ト名ケテ貨ス、然レドモ殺蟲ノ功ナシ、葉ハ胡蘿蔔葉ニ似タリ、故ニノニンジント呼ブ、實ハ熟シテ人衣ニ著ク、故ニヤブジラミト云、寛政巳年舶來ノ鶴蝨モ、此ト同ジキ時ハ、藥性纂要ノ説ヲ是トスベシ、天名精ノ實ヲ鶴蝨トスルハ非ナリ、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 道灌山ノ産 天名精(やぶたばこ)

紫菀

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 紫苑〈加乃志太(○○○○)〉

〔本草和名〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0765 紫苑、一名紫蒨、〈此見反〉一名青苑、一名青苑、一名白苑、〈出陶景注〉一名女苑、〈出蘇敬注〉一名織女菜、〈出兼名苑〉 一名紫青、〈出雜要訣〉和名乃之(○○)

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0766 紫菀 本草云、紫苑一名紫蒨、〈七見反、和名能之、俗云之乎邇(○○○)、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0766 按説文云、苑茈菀、出漢中房陵、又云、苑所以養禽獸也、二字不同、干祿字書亦云、菀苑、上藥名、下園菀、蓋晋唐人多園苑字作菀、故顏氏正之也、而未紫菀字作苑者、千金翼方、證類本草亦作紫菀、則此作菀爲是、然本草和名、新撰字鏡皆作苑、蓋皇國古俗通用也、陶弘景云、生布地、花亦紫、本有白色毛、根甚柔細、日華子曰、形似重臺根作節、紫色潤軟者佳、圖經云、三月内布地生苗葉、其葉三四相連、五月六月内開黄紫白花、結黒子、李時珍曰、其根色紫而柔宛故名、〈◯中略〉按羊蹄訓之、見下文、紫菀葉似羊蹄曠野中、故名能之

〔古今和歌集〕

〈十/物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0766 しをに よみ人しらずふりはへていざふるさとの花みんとこしをにほひぞうつろひにける

〔傭字例〕

〈附録〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0766 しをにしをには紫菀なり、菀は遠と同音にて、漢音ヱン、呉音ヲン、合口音舌内聲なる故にヲニとなれり、倭名抄に、紫菀和名之乎邇、また若狹國郷名、遠敷を乎爾不とあり、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0766 紫菀 ヲニノシコグサ(○○○○○○○)〈萬葉集〉 ヒツジグサ(○○○○○)〈古歌〉 ノシ(○○)〈和名鈔〉 シヲニ(○○○)〈同上、古今集、〉 シヲン(○○○)〈枕草子〉 一名萬金茸〈輟耕録〉 還魂草〈群芳譜〉 紫倩〈同上〉 車前草〈江都新志〉 迨伊遏〈村家方〉今別ニコジヲンアル故ニ、此ヲ大ジヲント云、菀ノ字一説ニ鬱ノ音トス、本草備要ニ菀音鬱、藥性纂要ニ菀古鬱字、本草彙言ニ菀ハ鬱也ト云リ、紫菀ハ人家ニ栽テ花ヲ賞ス、一タビ栽レバ根旁引シテ甚繁殖ス、又野生モ稀レニアリ、葉ハ春舊根ヨリ叢生ス、木香葉ニ似テ小クシテ糙澀ナリ、邊ニ鋸齒アリ、深緑色、一根數莖、秋ニ至テ高サ七八尺、葉互生ス、莖ノ末ニ多ク枝ヲ分チ、單瓣ノ花ヲ開キ、數百傘状ヲナス、形雞兒腸(ノギク)ノ花ノ如ク淡 紫色ニシテ微青ヲ帶ビ黄心アリ、此根ヲ採テ藥用トス、一窠ニ燈心ノ大サノ細根數多ク集リ、紫赤色ナリ、漢渡モアリ、藥店ニ賣ルモノニ根色白キアリ、僞ナリ、必ズ折レヤスシ、コレ狗舌草(フヂサハギク)ノ根ナリ、軟ニシテ折レガタク、色紫ナルモノ眞物也、一種メジヲン(○○○○)ト云アリ、苗葉花倶ニオホジヲント同クシテ小ナリ、葉ノ長サ五寸、莖高サ三四尺、一種黄花ノ者アリ、苗低小葉亦小ナリ、コレヲ黄ジヲン(○○○○)ト云、ソウラントモ云フ、

〔剪花翁傳〕

〈三/六月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0767 早紫菀(はやしおん/○○○) 花紅藤色也、形小車に似たり、開花六月中旬、方三分陰、地撰ばず、土回塵、肥淡小便、立秋より澆ぐべし、又寒中より春にかけて澆ぐべし、移(うゑかへ)は冬より春芽出し前よし、種登らず、よて根に玉あり、丸く大きなるを撰み、植て悉く花出るなり、小玉長玉などは花上りがたし、

〔剪花翁傳〕

〈四/七月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0767 和唐紫苑(○○○○) 花紅藤色、開花七月上旬也、房の形は毛毬のごとくなれど、英しまらず、中品とす、育方いづれも同じ、和紫苑(○○○) 花一重、色紅藤、開花七月中旬也、花枝ともにしまらず、中品とす、育方いづれもおなじ、

〔剪花翁傳〕

〈四/八月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0767 紺紫苑(○○○) 花の色濃青し、開花八月中旬より九月迄咲也、花枝ともにしまらず中品とす、育方同じ、

〔延喜式〕

〈三十七/典藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0767 諸國進年料雜藥山城國卅二種、〈◯中略〉紫菀三斤、 大和國卅八種、〈◯中略〉紫菀六斤、〈◯下略〉

女菀

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0767 女菀、一名白菀、一名織女、一名茆〈仁諝音茆〉一名白葛、〈出范注方〉一名如茆、〈出釋藥性〉和名惠美乃禰(○○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十一/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0767 女菀 コジヲン(○○○○) トウシヲン(○○○○○) ヒメシヲン(○○○○○)京師ニハ野生ナシ、種ヲ傳テ栽ユ、東武ニハ自生アリ、葉ハ旋覆花(ヲグルマ)ノ葉ニ似テ小シテ尖ラズ、長サ三寸許リ、潤サ六七分、初ハ地ニ就テ叢生ス、夏ニ至テ莖ヲ抽ルコト高サ二三尺、其葉互生ス、花ハ 莖頭ニアツマリテ蓍(メドギノ)花ノ如ニシテ小ナリ、白色黄蘂花罷テ苗枯ル、旁ニ根鬚ヒロガリテ、苗多ク生ルコト旋覆花ノ如シ、

〔廣益地錦抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0768 白苑 宿根より春生、葉はしをんよりみじかく、よこへ少ひろし、初生地に敷、莖出て五六尺迄にのび立、花はしをんのごとくにて白し、しをんと同時にひらくる草也、植てながめ有、又一種小しをんと云草あり、花極て小りん白し、草立葉共にしをんのごとくにて小草なり、二尺ばかりのび立〈ツ〉花壇にうへてしほらしヽ、宿根より春生、

金盞草

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0768 金盞草、今案比米加左加豆岐(○○○○○○○)、俗稱金盞花

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0768 金盞花 キンセン花ナリ、花金紅色、八月ニ子ヲマキテ臘月ヨリ花ヒラキ、春尤盛ナリ、四時相ツグ、故又常春花ト云、本草及諸書ニ出タリ、春花最ヨシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0768 金盞草 キンセンクハ(○○○○○○) トコナツバナ(○○○○○○) フダンバナ(○○○○○) トキシラズ(○○○○○) ケイセイクハン(○○○○○○○)〈加州〉 アリヤケ(○○○○)〈攝州〉 コガネグサ(○○○○○) 一名常春花〈汝南圃史〉 長春菊〈花疏〉 回回菊〈三才圖繪〉 金盞兒〈救荒野譜〉 萵苣花〈遵生八牋、菜部萵苣ニモ金盞花ノ名アルコト、秘傳花鏡ニ見タリ、〉家ニ栽テ瓶花ニ供ス、葉細長ニシテ尖ラズ、鼠麴草(ハヽコグサ)ノ葉ニ似テ、大ニシテ白色ヲ帶ブ、初メ地ニ就テ叢生ス、取テ食料ニ供ス、春月莖ヲ抽ヅ、高サ六七寸、枝頭ゴトニ花ヲ開キ、久シク相續グ、形單瓣ノ菊花ニ似テ小ク正開セズ、常ニ盞子様ヲナス、紅黄色亦淡黄色ノ者アリ、花後實ヲ結ブ、其形屈曲シテ蟲ノ状ニ似タリ、蘇頌變生一小蟲ト云ハ非ナルコト時珍辨ゼリ、本邦ニテ和名金錢花ト云ハ誤リナリ、唐山ニテ錢ト云ハ滿開シタル者ヲ云、金盞草ノ花ハ半開キニシテ盞ノ如シ、故ニ金盞花ノ名アリ、牛時花旋覆花ハ正ク開ク、故ニ金錢花ノ名アリ、

〔剪花翁傳〕

〈二/三月開花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0768 金仙花(きんせんくわ) 又金盞花、色赤黄也、常の如くに秋の彼岸に下種すれば、開花三月中旬より四月中旬まであり、方日向、地一分濕、土えらばず、肥淡小便、下種布肥して蒔べし、花までに 淡小便五六度澆ぐべし、五六月に蒔ば、冬より春にかけて咲也、又七月に蒔ば、いづれ秋の彼岸蒔と同時に咲也、故に時しらずの名あり、

狗舌草

〔本草和名〕

〈十一/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0769 狗舌草、唐、

〔和爾雅〕

〈二/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0769 狗舌草(ノシヲン/ウシノシタ)

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0769 鸕鶿草(ウグサ/サハヲクルマ) 倭名ナリ、魚骨ノンドニ立タルヲ治ス、スリクダキテ汁ヲノムベシ、莖高キコト二尺許、葉モ花モ似金沸草、葉ニ白毛アリ、三月開黄花、近道澤中處々多シ、或曰、是本草二十七卷所載東風菜ナラント云、本草ニ似杏葉ト云ハ與此異リ、然ドモ似杏葉而長トアレバ是ナランカ、或曰、是本草濕草下ニ載タル狗舌草也ト、然ドモ葉ノ状花ノ色與此不同、又一種與此相似テ枝多キ物アリ、ウクサニハ枝ナシ、別ツベシ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0769 狗舌草 フヂサハギク(○○○○○○)〈江戸京、〉 ウグサ(○○○)〈筑前〉 ウバナ(○○○) サハヲグルマ(○○○○○○)〈大和本草〉 サハジサ(○○○○)〈新校正〉 ウシノシタ(○○○○○) サハモクカウ(○○○○○○) サハギク(○○○○) サハグルマ(○○○○○)〈江戸花戸〉 野シヲン(○○○○) カサブク(○○○○) チヤウト(○○○○)〈越後〉骨哽ニコノ自然汁ヲ飮メバ效アリト云、故ニ鸕鶿グサ、或ハウバナノ名アリ、池澤溝渠邊ニ生ズ、水草ナリ、葉ハ萵苣(チサノ)葉ニ似テ厚ク、深緑色ニシテ長キ白毛多シ、初ハ地ニ就テ叢生ス、春末圓莖ヲ抽ヅ、高サ二三尺、中空シテ外ニ白毛多シ、小葉互生シ、莖頭ニ多ク枝ヲ分チ花ヲ開ク、黄瓣黄心、形チ旋覆(ヲグルマ)ノ花ノ如ク、大サ錢ノ如シ、後白絮ヲ爲シテ飛ブ、其根形紫菀根ニ似テ白色、藥肆ニテ紫菀ニ僞ル、一種千葉ノ者ヲ九曜草(○○○)、〈花戸〉スイバチ、シノビグルマ〈江戸種樹家〉ト云、又一種山中ニ生ズルアリ、苗小ニシテ白毛ナシ、花ハ單瓣ナリ、又一種木曾和田峠淺間山、及加州ニハ單瓣紅花ナルモノアリ、加州方言ヤマゲイトウ(○○○○○○)ト云、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0769 井ノ頭邊ノ産 狗舌草(クサギク)〈仙川村〉

狼把草

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 狼把草 田ウコギ(○○○○)〈城州〉 ヤハズ(○○○)〈江州〉 ギシ〳〵(○○○○)〈讃州、羊蹄ニモギシギシノ名アリ〉 カラスヤ(○○○○)〈仙臺ニテ食用トス〉 カハヂサ(○○○○)〈尾州、同名アリ、〉 タウコン(○○○○)〈豫州〉 一名欔〈爾雅〉 烏階〈同上〉 烏http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000209.gif 〈爾雅註〉 狼杷〈爾雅疏〉 稂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000209.gif 草〈鄭樵爾雅註〉水旁下濕ノ地ニ多シ、三月子生ズ、初生ハ蓼秧ノ如シ、長ズレバ方莖ニシテ細長、葉五箇〈本二ツ末三ツ〉排生シテ一葉ヲナス、邊ニアラキ鋸齒アリ、節ニ對シテ生ズ、莖葉共ニ緑色淺シ、秋ニ至リ苗高サ二三尺、枝ノ梢ゴトニ黄花ヲ開ク、鬼鍼草(センダンクサ)ノ花ニ似テ、心大ニシテ瓣更ニ小シ、花謝シテ數十刺毬ヲ成ス、鬼針草刺ヨリ短ク、濶クシテ端ニ丫ヲ分チ、彙リテ栗彙ノ如シ、若シ人衣ニ觸レバ粘著シテ脱シガタシ、實熟シテ根枯ル、

タカラカウ

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 タカラカウ フキノ葉ニ似タリ、山澗濕地ニ生ズ、野人其葉ヲホシテタバコノ如ク烟ヲスフ、咳嗽ヲ治スト云、一種山フキ(○○○)ト云草山ニアリ、タカラカウニ似タリ、秋花サク棣棠花ニハアラズ、又ツハニモアラズ、棣棠モツハモ山フキト云、同名異物ナリ、

鱧腸

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 鱧腸、〈仁諝音禮〉一名蓮子草、〈出蘇敬注〉和名宇末岐多之(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 鱧腸草 本草云、鱧腸草、〈鱧音禮、和名宇末木太之、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 蘇注鱧腸云、苗似旋復、一名蓮子草、所在坑渠間有之、圖經云、此有二種、一種葉似柳而光澤、莖似馬齒莧、高一二尺許、花細而白、其實若小蓮房、蘇恭云、苗似旋復者是也、一種苗梗枯痩、頗似蓮花而黄色、實亦作房而圓、南人謂之蓮翹者、二種摘其苗、皆有汁出、須臾而黒、時珍云、旱蓮有二種、一種苗似旋覆而花白細者、是鱧腸、一種花黄紫而結房如蓮房者、乃是小蓮翹也、又曰、鱧烏魚也、其腹亦烏、此草柔莖、斷之有墨汁出、故俗呼墨菜

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 鱧腸、宇末岐多之、今案多多良比(○○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0770 鱧腸 タコラビ(○○○○) タカサブラフ(○○○○○○) ウナギツカミ(○○○○○○)〈若州〉 ウナギコロシ(○○○○○○) 〈同上〉 耆婆三禮草(○○○○○)〈和方書、水苦賈、ルウダ三物同名、〉 サブロタ(○○○○)〈江戸〉 タウツゲ(○○○○)〈阿州〉 タゴマ(○○○)〈能州〉 イタチノヒトモトグサ(○○○○○○○○○○)〈佐州〉 ウナギダシ(○○○○○) イタチグサ(○○○○○) 一名鯉腸〈藥性纂要〉 墨斗草〈醫學正傳〉 玄英〈本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f3e.gif 〉 黒漆子〈種杏仙方〉 住血草〈藥性要略大全〉 斷血草〈八閩通志〉 草血竭〈百一選方〉 旦方草〈青蒲縣志〉 耐驚菜〈救急本草〉宿子地ニアリテ春末夏初自生ス、集解ニ二月ニ採ト云ハ誤ナリ、此草路傍溝涜ノ側ニ多シ、水草ニ非ズ、苗高サ二三尺、葉旋覆花(ヲグルマ)葉ニ似テ、小ニシテ厚ク澁毛アリ、枝葉共ニ對生ス、夏月枝頂ゴトニ花ヲ生ズ、碎瓣白色、中心大ニシテ白色、花後實熟シテ苗根共ニ枯ル、生ノ時莖ヲ摘メバ便チ黒色ニ變ズ、故ニ莖ヲキリ、ソノマヽ字ヲ書ケバ、其色淺黒也、故ニ唐山ニテ墨斗草ト云、墨斗ハヤタテナリ、然レドモ一摘僅ニ一二畫ニスギズ、衣服ニ烟草ノヤニノ著タルニ、鱧腸ノ生葉ヲモミテ揩ツクレバ能脱ス、又一種大葉ノモノアリ、ヌマダイコン(○○○○○○)ト呼ブ、水草ナリ、溪溝流水中ニ生ズ、苗高サ四五尺、葉ノ形チ濶大ニシテ鋸齒アリ、稀薟(メナモミノ)葉ニ似テ毛ナシ、兩兩相對ス、花實ノ形チタカサブロウニ異ナラズ、タヾ莖ニ墨汁ナシ、

〔採藥使記〕

〈中/武州〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0771 重康曰、江都王子邊ニ旱蓮草ヲ多ク出ス、土人是ヲトリテ黒燒トシ、髮ノ兀ゲタルニ胡麻ノ油ニテ解キ付ル、ヨク髮生ズト云フ、光生按ズルニ、此草江東所々ニアリ、俗名タタラビ共、タカサブラウトモ、蓍婆三禮草トモ、漢名又鱧腸草トモ云フ、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0771 隨地有之類 鱧腸(いちやくさ)

鬼鍼草

〔多識編〕

〈二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0771 鬼針草今、案於仁波利(○○○○)、

〔大和本草〕

〈九/雜草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0771 鬼鍼草 其實似針似鋏、能著人衣、其葉似楝葉、其花黄莖方也、初生ズル時蓼ノ如シ、本草濕草ニ載タリ、虎耳草ニハアラズ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0771 鬼鍼草 センダングサ(○○○○○○) キツネバリ(○○○○○)〈備後〉 カラスバリ(○○○○○)〈奧州〉 石クサ(○○○) 〈越後〉 オニバリ(○○○○) キツネノヤ(○○○○○) キツネノヤリ(○○○○○○) ハサミグサ(○○○○○) ヌスビト(○○○○)〈播州、衣服ニ實ノ著クモノヲ、總テヌスビトヽ云、イトロベ(○○○○)トモ云フ、〉 キツネノハリ(○○○○○○)〈同上〉 モノツキ(○○○○)〈長州〉 ヲニノヤ(○○○○)〈藝州〉 モノグルヒ(○○○○○)〈豐前〉 シブツカミ(○○○○○)〈勢州〉 ヤブヌスビト(○○○○○○) ヌスビトノハリ(○○○○○○○)〈共同上〉原野ニ甚多シ、宿子地ニ在リテ春自ラ生ズ、方莖葉ハ楝(センダンノ)葉ニ似テ毛アリ、枝葉トモニ對生ス、九月ニ至リ、枝梢ゴトニ花ヲ開ク、五瓣淡黄色、大サ四五分、ソノ蒂緑色、形常十(カフゾリナ)八ノ花蒂ノ如シ、花終レバ蒂折キ、五分許ノ細刺多ク毬ヲナシテ、栗ノ彙ノ如シ、是其實ノ熟スルナリ、刺ノ末ゴトニ倒叉アリ、若シ衣服ニ觸レバ、粘著シテ拔去ガタシ、實熟シテ苗根倶ニ枯ル、又一種大葉ナルモノアリ、ハタウコギ(○○○○○)ト云、又一種小葉ナルモノアリ、増、天保年間、蠻種ノ鬼鍼草舶來ス、蠻名ドルレケンブル(○○○○○○○)ト云、春月種ヲ下シテ、苗ヲ生ズ、方莖ニシテ高サ二三尺ソノ節紫色ヲ帶ブ、葉莖ニ對生ス、形尋常ノ鬼鍼草ニ似テ、悉ク三葉ニシテ毛茸ナシ、夏月葉間ニ枝ヲ分チ、苞ヲ結ビ花ヲ開ク、五瓣ニシテ白色、大サ四分許、中ニ黄蘂アリ、花後實ヲ結ブ、長サ四分許、末ニ岐アリ、コレモ衣服ニ著ク、又秋種ヲ下スモノハ、冬ヲ經テ春ニ至テ茂盛ス、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0772 道灌山ノ産 鬼針(おにはり)草

項王草

〔和漢三才圖會〕

〈九十六/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0772 項王草(かうわうさう) 俗稱〈本名未詳〉按項王草葉似賛波丁子葉單黄花、結小莢、宿根不生當年下種即開花、自四月十月花、〈賛波丁子出於濕草

千里及

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十五/蔓草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0772 千里及 詳ナラズ 一名千里急〈泉南雜志◯中略〉増、ハマギグ(○○○○)ト呼モノアリ、暖國ノ海濱ニ生ズ、蔓長サ三四尺、節ゴトニ根ヲ生ジテ沙上ニ延布ス葉互生ス、長サ一寸幅五六分ニシテ、菊葉ニ似テ厚ク、毛茸アリテ糙澀ス、邊ニ鋸齒アリテ菊葉ノ缺刻アルニ異ナリ、秋ニ至テ葉間ゴトニ小黄花ヲ開ク、實ハ結バズ、コレ即千里及ナリ、琉球ニテ、 ツルギク(○○○○)一名カラギクヅルト云、琉球産物志ニ見ヘタリ、琉球産物志ハ明和庚寅ノ歳、薩州重豪公ヨリ、琉球大島ノ産物千餘品ヲ、東武ノ侍醫坂上氏ニ賜リシヲ圖スルノ書ナリ、

〔新撰字鏡〕

〈草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 白朮〈乎介良(○○○)〉

〔本草和名〕

〈六/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 朮、一名山荊、〈仁諝音計〉一名山薑、一名山連、白朮、赤朮、〈陶景注云、此物有二種、〉一名山精、〈出抱朴子〉一名山http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/i000000000022.gif 、一名蘇、〈已上二名出釋藥性、〉一名地http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000376.gif 〈共兼名苑〉成練紫芝、〈練伏之朮名也、出神仙服餌方、〉和名乎介良、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 朮 爾雅注云、朮〈儲律反、和名乎介良、〉似薊生山中、故亦名山葪也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 爾雅、朮山薊、郭注、今朮似薊、而生山中、此所引蓋舊注、郭依之也、本草陶注云、朮乃有兩種、白朮葉大有毛而作椏、根甜而少膏、赤朮葉細無椏、根小苦而多膏、圖經云、春生苗青色無椏、莖作蒿幹状、青赤色、長三二尺以來、夏聞花紫碧色、亦似刺薊花、或有黄白花者、入伏後結子、至秋而苗枯、根似薑而傍有細根、皮黒心黄白色、中有膏液紫色、又云、今白朮生高山崗上、葉葉相對、上有毛、方莖莖端生花、淡紫碧紅數色、根作椏生、

〔八雲御抄〕

〈三上/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 朮 うけらが花(○○○○○)〈むさしに有〉 さきてひらけぬ物也 是おけらといふ藥也

〔藻鹽草〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 白朮うけらが花、〈むさしのにあるさきてひらけぬ物也、歌にもひらけぬよしをよめり、又色にいでめやともよめり、又いしゐ濱、又あさか潟にもよめり〉さき草、〈ひの木を云と云儀あれどをけら也、古今に三葉四葉とよめるも、朮三葉四葉ある也、◯下略〉

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0773 をけら 〈白朮〉ヲケラの物に見へしは、出雲風土記を始とし、又ウケラともいふ、〈萬葉集◯中略〉赤白二種共に、山中におのれと生出しものよろしきよし、大同類聚方に見へたれど、今の本は後世者僞撰なるべければ、いまだたしかに證となしがたし、されども此もの美濃國に産せしは、さらにもいはず、出雲國意宇郡、島根郡、秋鹿郡、楯縫郡、飯石郡等に産し、〈出雲風土記〉また山城、大和、尾張、三河、駿河、安房等、凡三十箇 國より貢せしに、〈延喜典藥寮式〉武藏國よりは奉らず、されど萬葉集にむさしのヽうけらがはなとよみ、今も此國に至て多く、かつ色にづなゆめといへる歌の意を按るに、即今の白花のものとしらる、また稀に赤花のものもあり、アカヲケラといふ、〈増補多識編◯中略〉たヾし日本書紀以下延喜式等、白朮をあげて、蒼朮をのせず、是によりて考ふれば、當時いまだ蒼朮の名を立られざりしにや、

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0774 白朮蒼朮〈◯中略〉 蒼朮ヲキザンデ燒ケバ、邪氣ト惡臭ヲ去リ、疫氣ヲ除ク、常ニタクベシ、爲麁末糊ニ和シ引ノベテ大線香トシ、陰乾シ貯ベシ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十二本/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0774 蒼朮 赤朮 仙朮 山薊 山精本綱昔人止稱朮不蒼白、自宋以來始分之、〈◯中略〉按中華之二朮一類二種自明也、倭之二朮一物而宿根如老薑、蒼色者爲蒼朮、嫰根白色者爲白朮、然藥肆皆誤以舊根白朮、以嫰根蒼朮、或蒼白相混不擇、其苗高一二尺、一朶三葉、葉末鋸齒而有毛、四五月開花青色、秋結子大如小豆、蓋生山中者葉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif微刺、栽人家者葉軟無刺、其葉及根形香氣、和漢相似而花色異、且白朮根形不鼓槌、然唯似雲頭朮耳、出備後三原者良、伊豫今治次之、武州江戸、藝州廣島、奧州仙臺者又次之、白朮 楊抱〈音孚〉 山薊 馬薊 山薑 山連 抱薊 吃力伽〈西域〉 和名乎介良〈◯中略〉按唐白朮多如鼓槌者爲佳、近年有川白朮者即是、削朮而所切片者不佳、蓋古倭亦不二朮、一稱乎介良、〈◯中略〉京師五條天神毎除夜群集祈除疫、社前有白朮、皆求之去焉、本草言、歳旦服蒼朮之事與此合、

〔物類品隲〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0774 白朮 和名ヲケラ、上古蒼白朮ヲ分タズ、後世分之、弘景曰、白朮葉大有毛而作椏、根甜而少膏、赤朮葉細無毛根小苦而多膏ト、此説二朮ノ形状ヲ説コト甚明ナリ、然ルニ東璧三五叉ノ物ヲ蒼朮トスルハ大ナル誤ナリ、白朮處處山中ニ産スルモノ、葉五叉ノモノアリ、三叉ノモノア リ、多ハ花白色又紅花ノモノアリ、皆下品ナリ、漢産上品、享保中種子ヲ傳フ、葉五椏ニシテ毛アリ、形甚肥大、花紅色ニシテ大薊花ノゴトク、根佛掌蕷(ツクネイモ)ニ似タリ、此物實ヲ植テ能ク生ズ、又根ヲ切テ植レバ盡ク芽ヲ生ズ、一兩年ニシテ掘取ベシ、數年ヲ經タルモノ重サ數斤ニ至ル、蒼朮 一名赤朮、是亦處處ニ産ス、葉ニ椏ナク、花白色又紅花ノモノアリ皆下品ナリ、漢種上品、享保中種子ヲ傳フ、大抵和産ノモノニ似タリ、嫰葉ニハ綿ノゴトキモノアリ、花ハ白色ニシテ根ノ味香烈ナリ、此物實ヲ植テ生ジガタシ、根ヲ分ツコト、白朮ノゴトクニシテ長ジ易シ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈七/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0775 朮 白朮(○○) ヲケラ〈延喜式〉 ウケラ ウケラガハナ〈古歌〉 一名白大壽〈輟耕録〉 沙邑條根〈村家方〉 増、一名天蘇、〈山堂肆考〉蒼朮(○○) ヲケラ サキクサ ヱヤミグサ アカヲケラ ワレモカウ〈越中同名多シ〉 一名茅君寶篋〈輟耕録〉 天精〈醫學入門◯中略〉和産ノ蒼朮、春初出ノ芽ニ白毛多クシテ綿ヲ被ルガ如シ、稍長ズレバ毛ヲ見ズ、苗高サ二三尺、一根數莖、葉ノ形橢ニシテ厚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a849.gif 深緑色、邊ニ細刺アリ、三葉ニシテ胡枝(ハギ)子葉ノ如クナルモノアリ、五葉ニシテ月季花(チヤウシユン)葉ノ如クナルモノアリ、皆互生ス、ソノ三葉ノ者ハ、梢ニテハ變ジテ一葉トナリ、ソノ五葉ノ者ハ、梢ニテハ變ジテ三葉或ハ一葉トナル、秋月枝頂ニ花ヲ開ク、形薊花ニ似タリ、白色ノモノ多ク紅色ノモノ少シ、和産ノ白朮ハ、蒼朮ヨリ苗長大ナリ、葉モ大ニシテ薄ク軟ニ、色モ淺シ、三葉或ハ一葉ナリ、花ハ白色、ソノ根肥大ニシテ拳ノ如シ、世ニ天目白朮又茶椀白朮ト云、此品藥舖ニ出デズ、市中ニ貨ルトコロノ和蒼朮和白朮ハ、皆概シテ蒼朮ト爲シ用ベシ、舶來二朮倶ニアリ、白朮ノ中ニ如意手ト呼モノ、漢名雲頭朮、又狗頭朮鷄腿朮アリ、皆上品ナリ、此三名ミナ形ヲ以テ名ク、片白朮アリ、肥根ヲ剖開テ暴乾シタルモノナリ、

〔草木育種後編〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0776 白朮〈本草〉 和名うけら、〈萬葉〉漢種延享四卯年四月、唐山より種子四合を獻ぜし、官より翁に賜はり是栽させ、後官園に栽、今いふ種白朮これなり、春芽を生じ夏紅花あり、秋月根を堀り大なるを藥となし、小なるは種となし、又園に栽べし、早春根を分け畦へ栽るもよし、養を用ひず、年久しくして堀るもの上品なり、一種天目白朮といふものあり、上品なり、家翁〈◯阿部喜任父〉武州川越より官園に獻ぜしものなり、これも藥用によし、蒼朮〈本草〉 享保年中漢種來りて、今官園に栽ゆ、培養の法白朮とおなじ、

〔日本書紀〕

〈二十九/天武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0776 十四年十月庚辰、遣百濟僧法藏優婆塞益田金鍾於美濃、令白朮、因以賜絁綿布、十一月丙寅、法藏法師金鍾獻白朮煎

〔出雲風土記〕

〈意宇郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0776 凡諸山野所在草木、〈◯中略〉白朮、

〔萬葉集〕

〈十四/東歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0776 相聞古非思家波(コヒシケバ)、素氐毛布良武乎(ソデモフラムヲ)、牟射志野乃(ムサシヌノ)、宇家良我波奈(ウケラガハナ/○○○○○○)乃(ノ)、伊呂爾豆奈由米(イロニヅナユメ)、和我世故乎(ワガセコヲ)、安杼可母伊波武(アドカモイハム)、牟射志野乃(ムサシヌノ)、宇家良我波奈(ウケラガハナ/○○○○○○)乃(ノ)、登伎奈伎母能乎(トキナキモノヲ)、右九首、〈◯七首略〉武藏國歌、相聞〈◯末勘國〉安齊可我多(アセカガタ)、志保悲乃由多爾(シホヒノユタニ)、於毛敝良婆(オモヘラバ)、宇家良我波奈(ウケラガハナ/○○○○○○)乃(ノ)、伊呂爾氐米也母(イロニデメヤモ)、

〔散木弃謌集〕

〈十/長歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0776 百首歌中述懷をよめるさすがにみよの、はじめより、雲の上には、かよへども、なにはの事も、久かたの、月のかつらし、をられねば、うけらがはな(○○○○○○)の、咲ながら、ひらけぬことの、いぶせさに、よもの山べに、あくがれて、このもかのもに、たちまじり、うつぶしそめの、あさ衣、〈◯下略〉

〔年山紀聞〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0776 うけらが花 是は〈◯源俊頼長歌〉萬葉にうけらが花とよめる歌どもを、ひらけぬと意得られけるなめり、此卷〈◯萬葉集四〉にうけらが花とよめる歌、みな色に出るをかりて、其如く色に出などよめり、本草の諸説もさきながらひらけぬ意見えず、

〔うけらが花〕

〈一/序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0777 此集の名は、さきつとしみやこのやむごとなきわたりより、うし〈◯橘千蔭〉のよみおかれたるうたをまゐらせよと有しに、えりてまゐらせられつる時、花數ならぬうけらさへ、つまるる世にあひぬるよしを、よみ出られしより、みづからうけらがはなと、名をおほせられたる也けり、〈◯下略〉

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0777 道灌山ノ産 蒼朮〈落合ニモアリ〉

三七

〔多識編〕

〈二/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0777 三七、今案美豆與豆波久佐(○○○○○○○)、又云耶麻宇流志(○○○○○)、異名山漆、〈綱目〉金不換、

〔書言字考節用集〕

〈六/生植〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0777 三七(サンシチ)〈時珍云、人言其葉左三右四故名、蓋恐不然、本名山漆、謂其能合金瘡漆粘http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4d.gif 物、〉

〔和漢三才圖會〕

〈九十二末/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0777 三七(さんしち) 山漆 金不換按三七血分之藥、人皆所識也、又養金魚如將死時、揉山漆葉汁於魚口即活、故魚池傍必植之、無名瘡癤挼葉敷之、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈七/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0777 三七 一名血見愁〈醫便同名同ジ〉二種アリ、集解初ニ説トコロノモノハ廣州ノ産ニシテ、他ノ寒地ニハ無シ、故ニ其苗状ヲ詳ニ著サズ、即物理小識ニ言フトコロ、廣西四種〈錦地羅、三七、猪腰子、山羊血、〉妙藥ノ一也、和産未ダ詳ナラズ、此根昔年舶來アリ、今藥舖ニ持傳フルモノ稀ニアリ、皆陳久ニシテ蛀損多シ、ソノ形甚ダ節參(フシニンジン)ニ似タリ、長サ一二寸、粗アリ細アリ、皆味甘苦、時珍説トコロ如老乾地黄節、味微甘而苦、頗似人參之味ト云フ文ニ符ス、ソノ中稀ニ直根ナルモノアリ、圓根ナルモノアリ、ソノ直根ナルモノハ、今渡ルトコロノ廣東人參ニ少シ異ナレドモ、止血ノ效同ジ、ソノ廣東人參ノ蘆頭ニ節アリテ、甚節參ニ似テ 細シ、藥舖ニ廣東ノ蘆頭ト云、即古渡三七ノ細キ者ト形状異ナラズ、又古渡三七ノ中形粗ナルモノアリ、是即竹節三七ナリ、唐山ニハ直根ニ附タル蘆頭ニ非ズシテ、別ニ一種竹節ナルモノモアリ、本經逢原ニ廣産形如人參者、是有節者非ト云、時珍ハ有節トノミ言テ直根ノコトヲ言ハズ、是竹節三七ナリ、集解ノ末ニ、近傳一種草ト云以下ハ、今世上ニ傳ヘ栽ヘ、俗ニモ三七ト呼ブ草ナリ、雲州ニテハチドメト呼ビ、肥前ニテハヲランダグサト呼ブ、此草慶長年中ニ始メテ種ヲ移シ來ルト云、今ハ民家ニ甚多シ、形状小薊(アザミ)ニ似テ刺ナシ、春初出ノ葉ハ深紫色ナリ、長ズレバ面緑色背紫色、秋ニ至リ莖高サ五六尺、梢間ニ枝ヲ分チ花ヲ開ク、形小薊花ニ似テ黄色亦刺ナシ、ソノ根年ヲ經テ枯レズ、最繁衍シヤスシ、血ヲ治スルノ效廣三七ニ同ジ、故ニ條ヲ同ジクスルナリ、

水前草

〔物類品隲〕

〈三/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0778 見腫消 和名スイゼンサウ、蘇頌曰、生筠州、春生苗、葉莖紫、高一二尺、葉似桑而光、面青紫赤色ト云モノ是ナリ、形頗三七ニ似タリ、葉背深紫色、冬ニ至テ小白花ヲ開ク、然ドモ寒ヲ畏ル故、花開得ズシテ凋ム、實ヲ結バズ、春夏ノ間莖ヲ折テ挿バ能生ズ、蠻種己卯歳始テ東都ニ種ヲ傳フ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十二/隰草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0778 見腫消 詳ナラズ水前草ニ充ル説ハ穩ナラズ、水前草ハ一名ハルタマ、〈紀州〉本蠻國ヨリ來ル、葉ハ細長クシテ鋸齒アリ、南五味子葉(サネカツラ)ニ似テ背紫色、此葉ヲ採リ熱湯中ニ入レバ、柔滑ニシテ水前寺苔ノ如シ、故ニ水前草ト名ク、

鬼督郵

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0778 鬼督郵、一名獨搖草、一名餘毒草、〈出范注方〉一名悶狗、〈出釋藥又釋藥性、悶作閻字、〉和名乎止乎止之(○○○○○)、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0778 鬼督郵 ハグマ(○○○) カサナ(○○○)〈俗名〉 トチナ(○○○)〈加州〉 ユウダチガサ(○○○○○○)〈尾州〉 ヲニノカラカサ(○○○○○○○) 種類多シ、眞ノ鬼督郵ニ充ルモノハ車葉ノハグマ(○○○○○○)、種樹家ニテ圓葉ノハグマト呼モノ是ナリ、深山ノ幽谷ニアリ、一根一莖直上ス、長サ一尺許、葉ハ枇杷葉ノ形ニ似テ小ク、鋸齒ナク、背ニ毛ナシ、八九葉莖頂ニ對生シテ車輪ノ如シ、ソノ中心ヨリ又一莖ヲ出ス、長サ一尺許、秋ニ至テ穗ヲ成シ、白花ヲ開ク、形蒼朮ノ花ノ瘠小ナルガ如シ、長サ七八分、濶サ一二分、末ハ開キテ細瓣ヲ布クコト三四分、花後絮ヲナス、飯帚ノ形ノ如シ、根細長ク一科ニ數多ク生ジ、色黒ク味苦シ、髢様(カモジテ)ノ威靈仙ノ如シ、一種叡山ハグマ(○○○○○)アリ、亦深山ニ生ズ、是モカサナト云、一根一莖長三四寸、葉ハ草綿(ワタ)ノ葉ノ如クアラキ切込アリ、六七葉對生シ、中ヨリ莖ヲ出シ、花ヲ開クコト車葉ノ者ト同ジ、只微ク小ナリ、根モ亦同ジ、一種カシハ葉ノハグマ(○○○○○○○○)アリ、一根一莖長サ一尺許葉互生ス、形チ槲葉ニ似テ短シ、一種モミヂ葉ノハグマ(○○○○○○○○)アリ、形チ叡山ハグマニ似テ、葉ハ草綿葉ヨリ岐フカクシテ、モミヂニ似リ、此一種ニモミヂサウト云アリ、葉ノ形同シテ互生ス、一種紫背ノハグマ(○○○○○○)アリ、紀州熊野ニ多シ、又和州深山ニモアリ、葉ハ叡山ハグマノ葉ニ似テ長クシテ厚シ、其肌虎耳草(ユキノシタ)ノ葉ノ如シ、面ハ緑色ニシテ白斑アリ、又紫斑ノモノアリ、背ハ紫色ナリ、共ニ花ハ上ニ同ジ、此等ミナ鬼督郵ノ類ナリ、又大和本草ノ圖ニクマガヘサウヲ鬼督郵ニ當ル説ヲ載ス、集解保昇ノ説ニ如傘ト云、根横生無鬚ト云ノ文ニ據ルナリ、此説モ亦近シ、

〔武江産物志〕

〈藥草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0779 道灌山ノ産 鬼督郵(かしはのはくま)一種〈アスカ山、大箕谷ニモアリ、〉

敦盛/熊谷

〔大和本草〕

〈七/花草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0779 敦盛 葉ハエビネニ似テ廣シ、宿根ヨリ生ズ、花紫ニシテホロカケタルガ如シ、陰地ヲ好ミ日ヲ畏ル、枯ヤスシ、熊谷 葉ハフキノ葉ノ形ニシテ小也、エビネノ葉ノ如クシハアリ、葉ニ少光アリ、葉ノ高八九寸、梢ニ花一アリ、花ノ大鴨(アヒル)卵ヲ二ニワリタルヨリ猶大ニシテ、形ハハマグリヲ二ニヒラキタルガ 如シ、色白シ或黄ナリ、心ハハマグリノ肉ノ如クニシテ黄也、花ウルハシ、見ツベシ、深山ニアリ、或曰敦盛熊谷一物ナリ花ノ紫ナルヲ爲敦盛、花淡白ヲ爲熊谷、共ニ枯ヤスシ、

〔大和本草〕

〈諸品圖上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0780 敦盛 倭名也、或曰、是鬼督郵ナリト未是否

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈八/山草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0780 鬼督郵(○○○)〈◯中略〉増、クマガヘサウ、又ホテイサウ(○○○○○)トモ云、好テ樹陰或ハ竹林中ニ生ズ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、一莖直上スルコト六七寸ニシテ、二葉ヲ雙生ス形欵冬ノ葉ニ似テ竪ニ皺多シ、二葉ノ正中ヨリ別ニ莖ヲ生ジテ花ヲ開ク、大サ鷄卵ノ如ク正中ニ蕊アリ、形母衣ニ似テ淡紫色、中ニ深紫色ノ點アリ、甚ダ異形ニシテ、比シ象ルベカラズ、根ノ形ハハグマニ同ジ、一種カウモリサウ(○○○○○○)、一名カニカワホリ(○○○○○○)ト云アリ、深山陰地ニ生ズ、高サ二三尺、葉莖頂別ニ莖ヲ分チ、一二寸ノ間ニ六七葉互生シテ車輪ノ如シ、葉ノ形横ニ濶ク、竪ニ短ク蝙蝠ノ羽ヲ張タルガ如シ、又蟹ノ甲ニモ似タリ、秋ニ至リ葉中ヨリ別ニ莖ヲ生ズルコト、一尺許ニシテ花ヲ開ク、形色共ニハグマニ同クシテ大ナリ、又一種サジクサト云アリ、至テ小草ナリ、山中陰地ニ生ズ、地ニ貼テ生ズ、葉ノ大サ五六分、匙ノ形ニ似タリ、秋ニ至リ葉中ヨリ莖ヲ抽テ、花ヲ開クコト、ハグマニ似テ小ナリ、

蘭草

〔本草和名〕

〈七/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0780 蘭草、一名水香、一名煎澤草、一名蘭香、一名都梁香草、〈已上三名出陶景注〉一名蘭澤香草、〈出蘇敬注〉一名蕙薫、和名布知波加末(○○○○○)、

〔段注説文解字〕

〈一下/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0780 蘭香艸也、〈易曰其臭如蘭、左傳曰、蘭有國香、説者謂似澤蘭也、〉从艸闌聲、〈落干切、十四部、〉

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0780 蘭 兼名苑云、蘭一名蕙、〈闌惠二音、和名本草云、布知波賀萬(○○○○○)、新撰萬葉集別用藤袴二字、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0780 按蘭即都梁香、證類本草白字上品載之、蕙即零陵香、證類本草中品引、今附載之、非一草見、然通志略云、蘭即蕙引諸書蘭蕙一物、與引兼名苑合、李時珍曰、鄭樵説亦是臆見、殊缺分明、但蘭草蕙草乃一類二種耳、又按本草和名云、蘭草一名蕙薫、不出典、疑引兼名苑、傳 寫偶脱也、〈◯中略〉鄭風溱洧篇、方秉蕑兮、毛傳蕑蘭也、正義引義疏云、蕑即蘭、香草也、莖葉似澤蘭、廣而長節、藏衣著書中白魚、陳藏器云、蘭草生澤畔、葉光潤、陰小紫、別本注云、葉似馬蘭、故名蘭草、蜀本本草云、蘭草葉似澤蘭、尖長有岐、花紅白色而香、生下濕地、輔仁訓布知波加麻允當、

〔類聚名義抄〕

〈八/艸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0781 蘭〈音蘭 フヂバカマ アララギ〉

〔和爾雅〕

〈七/草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0781 蘭草(フヂバカマ/アラヽギ)〈蕑、水香、燕尾草、孩兒菊、香金草並同、〉

〔東雅〕

〈十五/草卉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0781 蘭フヂバカマ〈◯中略〉 漢にして古時蘭といひしものは、即此にしてフヂバカマといふものなり、今俗に蘭の字の音をもて呼び、ランといふ者は、漢にして蘭花と云ひて、蘭草とは異なる物也、其説の如きは、李東璧本草に詳に見えたり、フヂバカマといふ義不詳、其花淡紫色、此に藤といふ色に似て、其瓣の筩をなせしが、袴に似たる所あれば、藤袴とはいひしなるべし、〈猶俗に藁の袴などあるが如し〉

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0781 ふぢばかま 〈らに 蘭〉ふぢばかま一名らにハ、漢名を蘭、一名蕑、一名蘭草、一名香蘭、一名王者香、一名國香、一名秋蘭、一名蘭澤、一名大澤蘭、一名幽蘭、一名香水蘭、一名燕尾香、一名紫菊、一名孩兒菊、一名待女花といふ、此草古より諸國に野生多し、春舊根より苗を生じ叢をなし、夏を經て莖高さ三五尺に至り、秋をむかへて毎枝傘状をなし、細小なる淡紫花を攅簇す、此即劉蒙がいはゆる孩兒菊花如紫茸叢茁細碎〈菊譜〉といへるものなり、又一種蘇敬注に、蘭澤八月花白〈證類本草引唐本草〉といへるものも、稀に野生ありといへども、保昇のいはゆる花紅白色〈證類本草引蜀本圖經〉のものハ、いまだこれある事をきかず、其葉は山蘭に似て、緑色にして末尖り細鋸齒あり、又岐ありて燕尾の如きものも、一莖の内にハ多く相交りて、さらに山蘭様の物のみにあらず、此葉生なる時ハ香氣薄けれど、莖葉を連ねとりて、室中に掛をき、日をへて乾枯すれバ、その香氣殊によし、さて皇朝にて蘭の物にみへたるハ、忍坂大中姫 の一根(ヒトモト)蘭を採て、鬭鷄國造に與へられしを始とし、〈日本紀〉これを歌によみて秋の七種の數に入しハ、山上憶良を始とし、〈萬葉集〉それを字音にてらにと唱へしハ紫式部を始とす、〈源氏物語〉凡西土にてハ宋以降ハ蘭花を尊みて、右の蘭とせしより、此蘭世に隱れて絶てしるものなかりしを、明に至り時珍の本草綱目を撰びし時、離騷辨證訂蘭説等によりて、さらに蘭花を以て別種とし、此蘭を以て古の蘭とせしハ信ずべし、されど我朝にてハさせる混同もなく、允恭天皇の比より今に至りて、蘭のふぢばかまなるハ、實に人心の正直仰ぐべく尊むべし、〈◯中略〉釋名ふぢばかま〈日本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 、萬葉集、本草和名、〉東雅云、ふぢばかまいふ義詳ならず、其花淡紫色、此に藤といふ色に似て、其瓣の筩をなせしが、袴に似たる所あれバなを〈俗に藁の袴なるがごとし〉藤袴とはいひしなるべし、 らに〈源氏物語、らには蘭の轉音なり、〉 蘭〈易素問、禮記、家語、左傳、説文、開寶本草云、葉似馬蘭、故名蘭草、また陸機の説上文にみへたり、〉 蕑〈詩經、陸機疏云、鄭俗三月男女秉蕑于水際、以自秡徐、蓋蘭以闌之、蕑以閑之其義一也、〉 蘭草〈神農本經、名義蘭に同じ、〉 香蘭〈琴操、此蘭芳香故に名づく、〉 王者香〈同上〉 國香〈左傳、蘭品云、典籍便覽以王者蘭香國香、爲蘭之一名、〉 秋蘭〈離騷、文選云、蘭以秋芳、〉 蘭澤〈證類本草引唐本草、本草拾遺云、蘭草五六月採隱乾、婦人和油澤頭、故云蘭澤、〉 大澤蘭〈本艸綱目引炮炙論、此蘭澤蘭に似て其葉大なり、故に大澤蘭と名づく、〉 幽蘭〈離騷思玄賦、幽蘭賦、楚辭九章云、蘭茝幽而獨芳、また曹子建七啓云、薫以幽若芳肆市、注、若杜若也、若稱幽若、猶蘭曰幽蘭也、〉 燕尾香〈同上、馬志云、其葉有岐、俗呼燕尾香、〉 紫菊〈菊譜、正に馬蘭と同名、〉 孩兒菊〈同上、澤蘭また孩兒菊と名づく、時珍云、小兒喜佩之、故有孩兒菊之名也、又引訂蘭説古之蘭草、即今之俗名孩兒菊者、〉 待女花〈格致鏡原引採蘭雜志、昭代叢書引蘭言、淮南子云、男子樹蘭美而不芳、採蘭雜志云、蘭待女子、同種則香、故名待女花、〉

〔大和本草〕

〈八/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0782 眞蘭 和名フヂバカマ、又アラヽギトモ云、古歌ニラニトモヨメリ、八雲抄ニモ蘭ヲフチバカマラニト云ト書玉フ、葉ハ麻ニ似テ兩岐アリ香ヨシ、ホシテ彌カウバシ、是眞蘭也、野ニアリ、秋紫白花ヲ開ク、古歌ニフヂバカマヲ多クヨメリ、國信ノ歌ニ、秋ノ野ニムラ〳〵立ル蘭ムラサキ深ク誰カ染ケン、若葉ハユビキテ食スベシ、其芳香美味、凡菜ニスグレタリ、試ニ食シテ其香味ヲ知ベシ、嫰葉ヲ挼テ佩之ト云ヘリ、其性亦好、詩經楚詞ナドニ詠ゼシ蘭是ナリ、上代ハ沈 香檀香龍麝ナド、諸香未中華、故ニ蘭ヲ甚賞ス、今ノ蘭ト云モノハ、葉ハ大葉ノ麥門ノ如ク、花ノ香ヨキ物也、上代ノ眞蘭ニハアラズ、遯齋閑覽曰、今人所種如麥門冬者名幽蘭、非眞蘭也、方虚谷曰、因花馥郁、故得蘭名也、古人モアヤマツテ、今ノ世俗ニ蘭ト云者ヲ眞蘭トイヘリ、本草綱目詳ニ辨之、眞蘭ノ葉ヲカベニカクレバ、邪氣ヲハラフト云、楚辭ニ所謂幽蘭モ即眞蘭ナレバ、幽蘭モ眞蘭ト一物也、遯齋閑覽ニ如麥門冬者名幽蘭ト云ハ、世俗ノ誤ヲイヘルナルベシ、澤蘭モ同類異物ナリ、葉ハ蘭ニ似テ岐ナシ、麻ノ葉ノ如シ、水澤ニ多シ、葉ノマハリニ鋸齒アリ、延喜式三十二卷、園韓神祭春日祭雜給料蘭十把トアリ、本朝古モ此眞蘭ヲ用ヒシナルベシ、禪僧圓月東海一漚集、筑前州神山移蘭記ニモ、神山ニ蘭多キ事ヲ記セリ、是亦眞蘭ヲ蘭トイヘルナルベシ、蘭草方藥ニ用ザレドモ性好シ、上品ノ芳草ナリ、園圃ニ必ウフベシ、繁茂シ易シ、澤蘭ハ方藥ニ多ク用ユ、香味蘭ニヲトレリ、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0783 蘭草 フヂバカマ〈古歌〉 一名不老草〈本草必讀〉 醒頭草〈本草洞http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001cf8a.gif 〉 醒頭香〈物理小識〉 嬭昂兒〈藥性纂要〉 秋蘭〈楚辭〉 省頭香〈通雅〉 辟汗香〈本經逢原〉 佩蘭葉〈名物圖説〉野生多シ、春宿根ヨリ苗ヲ叢生ス、圓莖ニシテ斑點ナシ、葉節ニ對シテ生ズ、形長クシテ左右ニ枝アリ、故ニ燕尾香ノ名アリ、周圍鋸齒深クシテ香氣多シ、乾セバ愈烈シ、夏月簷ニ掛レバ、二旬餘モ香氣アリテ惡臭ヲ避ベシ、六七月ニ至リ莖高サ三四尺、或ハ六七尺、枝ノ末ゴトニ傘ノ如ク、細小花多ク攅リ開ク、淡紫色ナリ、故ニフヂバカマノ名アリ、和歌ニモ詠ズ、

〔延喜式〕

〈三十二/大膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0783 園韓神祭雜給料〈春冬並同〉 蘭十把春日祭雜給料〈春秋並同〉 蘭十把

〔延喜式〕

〈三十九/内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0783 供奉雜菜日別一斗、〈◯中略〉蘭二把、〈准一升、自正月十二月、◯中略〉中宮准此、〈◯中略〉 漬年料雜菜蘭葅三斗〈料鹽二升四合、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019ae5.gif 一升二合、◯中略〉 右漬秋菜

〔日本書紀〕

〈十三/允恭〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0784 二年二月己酉、立忍坂大中姫皇后、〈◯中略〉初皇后隨母在家、獨遊苑中、時鬭雞國造從傍徑行之、乘馬而http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b36c.gif 籬、謂皇后嘲之曰、能作園乎、汝者也、〈汝此云那鼻苫也〉且曰、壓乞戸母其蘭(アラヽギ)一莖焉、〈壓乞此云異提、戸母此云覩自、〉皇后則採一根蘭於乘馬者、因以問曰、何用求蘭耶、乘馬者對曰、行山撥http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b890.gif 也、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b890.gif 此云摩愚那岐〉時皇后結之意裏乘馬者辭无http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000003ac4a.gif 禮、即謂曰、首也、余不忘矣、是後皇后登祚之年、覔馬乞蘭者、而數昔日之罪以欲殺、爰乞蘭者顙搶地叩頭曰、臣之罪實當萬死、然當其日貴者、於是皇后赦死刑、貶其姓稻置

〔續修東大寺正倉院文書〕

〈後集四十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0784 寫經司解 申錢用事合所請錢貳仟文〈盡〉買物合十六種〈◯中略〉蘭十把 直錢八文〈◯中略〉以前、錢盡状并買物、顯注如前、以解、天平十一年八月十一日 史生高屋連赤麻呂〈◯以下署名略〉

〔續々修東大寺正倉院文書〕

〈四十六帙六/裏書〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0784 蘭貳 青大角豆拾把天平勝寶二年七月四日 倉垣三倉

〔古今和歌集〕

〈四/秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0784 これさだのみこの家の歌合によめる としゆきの朝臣なに人かきてぬきかけしふぢばかま(○○○○○)くる秋ごとにのべをにほはすふぢばかまをよみて人につかはしける つらゆきやどりせし人の形見か藤ばかま忘られがたきかにほひつヽ

〔源氏物語〕

〈三十/藤袴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0785 例よりもしめりたる御氣色、いとらうたげにおかし、かヽるついでにとや思ひよりけん、らにの花(○○○○)のいと面白きをも給へりけるを、みすのつまよりさし入て、是も御らんずべきゆへは有けりとて、とみにもゆるさでもたまへれば、うつたへに思ひもよらでとり給、御袖をひきうごかしたり、おなじ野の露にやつるヽふぢばかまあはれはかけよかごとばかりも

〔拾遺和歌集〕

〈七/物名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0785 らに よみ人しらず秋の野に花てふ花を折つればわびしらに(○○)こそ虫もなきけれ

〔續拾遺和歌集〕

〈十八/雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0785 諒闇の年の秋、鳥羽殿に美福門院おはしましける比、前栽に蘭のしをれて見えけるを折て、人につかはしける、 皇太后宮大夫俊成なべて世の色とは見れど蘭わきて露けき宿にも有かな

山蘭

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0785 蘭草〈◯中略〉山蘭アリ、山野ニ生ズ、葉ハ長クシテ岐ナク、桃葉ニ似テ鋸齒深シ、又三尖ニナリテ蘭草葉ノ如キモアリ、ミナ兩對シテ生ジ、莖ニ斑アリ、葉ト倶ニ毛茸アリテ香氣少シ、此ヲヒヨドリバナ(○○○○○○)ト呼ブ、花ニ白色淡紫色ノ二品アリ、藥ニ蘭葉ヲ用ユルハ、此蘭草ノ葉ニシテ、蘭花ノ葉ニ非ザルコト、正誤ニ詳ニ辨ズ、然ルニ綱目以後ノ書、本草必讀、本草原始、ソノ餘諸書ニ猶誤リテ蘭花ノ葉トスル説多シ、〈◯中略〉増、山蘭ニ一種葉ニ黄白色ノ斑點多キモノアリ、コノ莖葉ヲ煎ジテ、蝮蛇ノ咬タルヲ洗テ奇效アリ、野人ノ經驗ナリ、阿州山城谷ニテハミグサト云フ、

〔古今要覽稿〕

〈草木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0785 ひよどりばな 〈山蘭〉ひよどりばな一名やまどりぐさは、漢名を山蘭といふ、近邊山野處々これあり、その莖葉すべて 蘭草に似て、狹長にして岐なく香なし、秋後花を開く、また蘭草に似て淡紫色、及び白色のもの有、〈◯中略〉されど皇朝の産は其葉對生にて、西土のものは互生なるを異なりとす、釋名ひよどりばな〈蘭品、本草啓蒙、此花鵯の來る頃に咲をもて、俗に此名を命ぜしなり、〉 やまどりさう〈本草觿〉 山蘭〈圖經本草、此草山中に生じて、其葉蘭草と同じ、故に山蘭と名づく、〉

澤蘭

〔本草和名〕

〈九/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0786 澤蘭〈陶景注曰、生澤旁、故以名之、〉一名虎蘭、一名龍棗、一名虎蒲、一名蘭澤香、〈出蘇敬注〉一名水香、〈出兼名苑〉一名龍求、一名蘭香、〈二名出雜要訣〉和名佐波阿良々岐(○○○○○○)、一名阿加末久佐(○○○○○)、

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0786 澤蘭 陶隱居本草注云、澤蘭〈和名佐波阿良々木、一云阿加末久佐、〉生澤傍、故以名之、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0786 按蘭有二訓、一則布知波加麻、蘭草是也、一則阿良良岐、蘭蒚草是也、澤蘭生澤旁、葉似蘭草則當佐波布知波加麻、訓佐波阿良良岐者誤、〈◯中略〉呉普曰、澤蘭生下地水傍、葉如蘭、二月生、香赤節、四葉相値枝節間、蘇敬曰、澤蘭、莖方、節紫色葉似蘭草而不香、圖經云、根紫黒色、如粟根、二月生苗高二三尺、莖簳青紫色、作四稜、葉生相對、如薄苛、微香、七月開花帶紫白色、蕚通紫色、亦似薄苛花、此與蘭草大抵相類、但蘭草生水傍、葉光潤、根小紫、五六月盛、而澤蘭生水澤中及下http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f20.gif、葉尖微有毛、不光潤、方莖紫節七月八月初採、微辛此爲異耳、

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0786 澤蘭、左和阿羅羅岐、今案俗稱志呂禰(○○○)

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0786 澤蘭 サハアラヽギ(○○○○○○)〈延喜式〉 アカマグサ(○○○○○)〈和名鈔〉 サハヒヨドリ(○○○○○○) 一名醒頭草〈握靈本草〉 煎澤草〈典籍便覽〉 九畹菜〈輟耕録〉 小澤蘭〈集解時珍説〉 千里吉〈福州府志〉 嬭酣〈月令廣義〉山中溪澗或ハ池澤ノ傍ニ生ズ、蘭草及山蘭ニ似テ小ナリ、葉モ亦相似テ狹ク小シ、莖微ク方ニシテ毛アリ、苗高サ一二尺秋ニ至テ花ヲ開ク、形亦相似テ小ク、淡紫色白色ノ二品アリ、古來澤蘭ヲシロネト訓ズルハ穩ナラズ、シロネハ、一名フシグロノコギリサウ、〈能州〉ムラタチ、〈播州〉アゼコシ、 〈雲州〉ヒトモトグサ、〈加賀〉湖邊及ビ水旁ニ生ズ、春宿根ヨリ苗ヲ生ズ、方莖葉兩對ス、節紫黒色、葉細長ク、濶サ八分許、長サ三寸許ニシテ末尖レリ、周邊ニ粗キ鋸齒アリ、毛茸ナシ、切レバ香氣アリ、蘭草ノ香ト同カラズ、秋ニ至リ莖三四尺、葉ノ間ゴトニ五瓣ノ小白花ヲ攅簇ス、薄荷花ニ似タリ、根ハ白色方ニシテ長ク旁引ス、故ニシロネト名ケ、雲州ニテアゼコシト呼ブ、其行根ノ止ル所ニ苗ヲ生ズ、根鬚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001980a.gif ニ下レバ行根腐チテ別ノ窠トナル、ソノ巨ナル根ヲ取リ、粃鹽ニ藏テ香ノ物トス、又煮テ食ヒ或ハ湯(スヒモノ)トナシ食フベシ、地笋ノ名ニ合ニ似タレドモ、此草根ノ色白シ、故ニシロネト名ク、蘇頌ノ説ニ、澤蘭ノ根紫黒色ト云ニ合ズ、且此草ハ莖葉ニ毛ナシ、葉尖微有毛不光潤ト云ニ合ザレバ、シロネノ澤蘭ニ非ザルコト知ベシ、シロネハ救荒本草ニ載スル所ノ地瓜兒ニ充ツベシ、又蘭草ニ大澤蘭ノ名アル時ハ、澤蘭モ蘭草ノ状ノ草ナルコト知ベシ、唐山ニテモシロネヲ澤蘭ニ代用スル故、ソレニ倣テ和ニモシロネヲ用ヒ來ルナリ、又一種シロネノ小者アリ俗ニサルダヒコト稱ス、山中ニ多ク生ジ、花葉形状並ニシロネニ同ジ、唯小キヲ異トスル耳、

〔鵞峯文集〕

〈四十九/解〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0787 澤蘭解六義堂庭群草之中有一種、花紫其形似紫菊、其葉稍濶而長、長三尺餘無枝、吾未何花、友人來曰、澤蘭也、世俗所謂富知波加麻是也、余聞之閲本草其註解、則衆説雖一、而大抵相似、若以朱文公之説之、則蓋夫屈原之所愛者乎、然唐本草曰、澤蘭紫色葉似蘭草而不香、陶隱居曰、其葉微香今齅其花則無香、而觸風則似遠香、所謂其葉微香乎、古來稱徳香者以蘭爲最、則若斯之微香、果夫屈原之所愛乎、未知也、然原之所愛、則與庸人異、其香之微也、庸人不知而原獨知之乎、文公之言豈誣乎哉、且圖經徐州梧州澤蘭、其花葉梢異、則況於異域乎、昔考先〈◯林羅山〉弱冠初謁東照大神君、神君問曰、蘭草多品屈原所愛爲何、侍坐者不之、先考應聲答曰、澤蘭也、神君顧左右曰、年少能記臆焉、是顯其名於公門之始也、今幸種其花亦幸乎、〈癸卯季秋〉

馬蘭

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 馬蘭、今案於保阿羅良岐(○○○○○○)、異名紫菊(○○)、

〔大和本草〕

〈八/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 馬蘭 本草芳草、又救荒本草ニ載タリ、如澤蘭而氣臭、一名紫菊、其花ヒトヘノ菊花ニ似テ紫ナリト、陳藏器イヘリ、其葉蘭ニ似テ大ナル故、馬蘭ト名ヅク、或是ヨメガハギナルベシト云ヘドモ不然、ヨメガハギハ蘭葉ヨリ小也、馬蘭ハ水http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000019f20.gif ノ地ニ生ズト云ヘリ、ヨメガハギハ高下ノ地共ニ生ズ、馬蘭ハ不香、本草ニイヘリ、ヨメガハギハ頗香シ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 馬蘭 紫菊按倭有馬蘭者、形状稍異、高二三尺、莖一尺以上生一葉、似篠葉而大、長一二尺有光澤叢生、根下有花小出於地上、如菊黄赤色、花葉皆不香、近年自琉球國多來、是薑黄也、〈見于前〉蓋本草所謂馬蘭未之、稱紫菊則當菊之類、此云越前菊、雖稍似而其越前菊〈亦名紫衣菊、詳見下濕草、〉三椏三葉略似三七草葉而不澤、背有細紋微帶紫色、而與孩兒蘭等之葉大異者也、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 馬蘭 コンキク(○○○○) 一名惡草〈通志略〉 藍菊〈秘傳花鏡〉 竹節草〈附方〉 地白根〈同上〉 馬蘭菜〈同上〉 馬蘭菊〈烏蘝苺附方〉 烏韭〈名物法言〉種樹家ニ多クアリ、雞兒腸(ノギクノ)種類ナリ、春舊根ヨリ叢生ス、莖色紫黒葉雞兒腸ノ葉ニ似テ鋸齒深シ、苗高サ二三尺、秋ニ至テ花ヲ開ク、色深紫ニシテ青ヲ帶ブ、故ニコンキクト云、又白花モアリ、救荒本草ニ馬蘭頭ト云ハ、春ノワカメヲ云フナリ、

木香

〔本草和名〕

〈六/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 木香、一名蜜香、一名青木香(○○○)、〈出陶景注〉一名東桑童子、〈出丹口訣〉一名千秋、一名千年、一名長生、〈已上出兼名苑〉出播磨國

〔多識編〕

〈二/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 木香、左宇毛久左(○○○○○)、又和禮毛加宇(○○○○○)、異名蜜香、〈別録〉青木香、〈弘景〉五木香、〈圖經〉南木香、〈綱目〉

〔大和本草〕

〈六/藥〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0788 木香 葉ハ皺アリテ、鶴虱及牛蒡ニ似テセバク長シ、其形紫苑葉ノ如シ、莖ノ高サ數尺、黄花ヲ開ク、花ハ菊ニ似タリ、本草ニイヘル形状ニ同、然レドモ日本ノ産ハ性不好不用、又青 木香トモ南木香トモ云、馬兜鈴ヲモ青木香ト云、本草ニ見エタリ、木香ノ状如枯骨、白クシテ嚙之、即粘齒者佳シ、

〔和漢三才圖會〕

〈九十三/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0789 木香(もつかう)〈◯中略〉本綱、木香南番諸國皆有其根形如枯骨、粘http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001a1f0.gif 者爲良、或馬兜鈴根爲青木香、又呼薔薇根木香、愈亂眞矣、〈◯中略〉按木香、本草圖經、三才圖會、草本畫譜等所載、葉状異説多、或云葉似羊蹄而長大、或云葉長八九寸、皺軟而有毛、或云葉如牛蒡、但狹長、或云葉類絲瓜、未審、故隨本草必讀唯圖其根耳、南番諸國有之、又有於中華雲南貴州、多阿蘭陀市舶將來、今有軸木香株木香(○○○○○○)二種、以軸爲良、又有倭木香、出於富士、不分明故不用、青木香(しやうもつこう/○○○)本綱、青木香乃木香也、然後人呼馬兜鈴根、爲青木香、而〈木香呼南木香〉略似木香、故用亂木香、宜正之、按倭出青木香、〈又以爲倭木香〉然倭無馬兜鈴、故採蘿藦而有香氣、爲青木香、蓋此贋之贋者矣、其草蔓生皆似蘿藦而莖葉有香氣、結子如零餘子、其根似自然生山薯而味苦、出於畿内

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈九/芳草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0789 木香 通名 一名大通縁〈輟耕録、大ノ字藥譜ニ天ニ作ル、〉 東華童子〈酉陽雜俎〉 増、一名五香、〈典籍便覽〉 五木〈同上〉藥肆ニテ漢渡ト云モノ、實ハ阿蘭陀ノ産ニシテ上品ナリ、唐山ヨリ直ニ渡スモノモ、固ヨリ蠻産ヲ唐山ヘ渡シタルヲ、本邦ヘ持來ルナリ、唐山ノ産ヲ先年渡セシコトアリ、和産ト同ジクシテ土木香(○○○)ナリ、和ノ木香ハオホグルマ(○○○○○)ト呼ブ、旋覆花ヲヲグルマト云ニ對シテカクイヘリ、〈小車ニ似テ大ナリ、故ニ名ク、〉種樹家ニテコレヲ大木香又日蓮客ト云フ、世上ニ多ク栽ユ、城州富野邊及ビ丹後綱野ニ多ク栽ヘテ出ス、和産中ニテハ丹後ノ者ヲ上品トス、城州ノ者ヲ下品トス、ソノ葉濶サ五寸許、長サ 二尺許、天名精(ヤブタバコノ)葉ノ如ク柔ニシテ皺バミ短毛アリ、淡緑色、冬ハ葉枯レ、春舊根ヨリ叢生ス、夏中心ヨリ莖ヲ抽ルコト七尺許、葉互生ス、秋ニ至テ莖頭ニ花ヲ開ク、旋覆花ニ似テ大キク、莖ニ連リ生ジテ、タカラカウノ穗ノゴトシ、一花ノ大サ一寸餘、黄瓣黄心ニシテ單葉菊花ノ如シ、此ノ根ヲ和ノ木香ト云、是集解ニ載ルトコロノ土木香也、根ノ形長クシテ牛蒡根ノ如シ、味辛シ、生ノ時香氣アレドモ、乾クトキハアヲクサシ、

〔草木育種後編〕

〈下/藥品〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0790 木香〈本艸〉 俗におほぐるまといふ、和蘭にてアラント、ウヲルトルといふ、赤土の肥地に畦を作りて植べし、干鰯糞水を澆ぎてよし、花を挿花にすべし、

〔延喜式〕

〈十五/内藏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0790 諸國年料供進青木香二百七十斤〈尾張國一百六十斤、相模國八十斤、美濃國卅斤、〉

福草

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0790 草〈䓪字附◯中略〉 文字集略云、䓪(○)〈音娘、和名佐木久佐(○○○○)、日本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 私記云、福草、〉草枝枝相値、葉葉相當也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0790 按説文云、䓪艸枝枝相植、葉葉相當、文字集略蓋本於此、爾雅云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000377.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c0.gif 、馬尾、郭璞引廣雅云、馬尾、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b532.gif 陸、郭璞又引本草云、別名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c0.gif 、今關西亦呼爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c0.gif 、江東爲當陸、又玉篇云、䓪、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000377.gif 䓪、馬尾、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b532.gif 陸也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c0.gif 上同、則知説文䓪即爾雅http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/S01000000377.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001b5c0.gif 、下文所載商陸即是、又佐岐久佐見夫木集曾禰好忠若菜歌永範卿大嘗會屏風歌、岡部氏曰、古事記云、山由理草之本名云佐韋也、山由理草百合也、佐韋佐歧一聲之轉、則佐岐久佐是百合之古名、萬葉集所謂三枝即是也、是草莖梢分三歧花、故云三枝、〈◯中略〉或曰、下條薺苨訓佐歧久佐奈、一云美乃波、其佐歧久佐之名與此合、美乃波之名、又與古今集序所載歌云、佐岐久佐乃美都波與都波合、及訓三枝字、則佐歧久佐之爲薺苨證、佐歧久佐雖其究爲薺苨百合、然爲一草之名明矣、疑源君不䓪佐歧久佐倶爲何物、以日本紀私記福草訓佐歧久佐、又孫氏瑞應圖云、王者有徳則福草生、謂佐歧久佐是瑞草、故引在此也、然日本紀福草部、即姓氏録三枝部、其作福草者、操觚者以訓同借佳字耳、與瑞應圖福草相渉、其實佐歧久佐 之名、宜百合若薺苨條、䓪宜商陸也、或曰、文字集略以下別是一條、傳寫脱標目䓪字也、今本併在草條下、非源君之舊也、愚按似其物不詳之佐歧久佐于蘭菊之上、是説恐非是、

〔類聚名義抄〕

〈八/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 䓪〈音娘 サキクサ〉

〔倭訓栞〕

〈前編十/佐〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 さいぐさ 日本紀に福草と書る本義成べし、さきくさともいへり、諸書に三枝をよめるは、義訓せしなり、延喜式に、朱草の別名とし、瑞草也といへり、〈◯中略〉倭名鈔に薺苨さきくさ、一に云みのはと見えたり、みのはヽはつはに同じ、呂氏春秋にも、三葉薺と見ゆ、〈◯中略〉萬葉集抄に、檜は宮木などにも、撰み用ゐられて、さいはふ木なれば、さきくさといふよし見えたり、古今集の序に、殿づくりより謬り傳へたる説なるべし、顯昭説に、三枝はからすあふぎ也、彼草末葉廣ければ、祝ひによすといへるも、いかヾと覺侍る、

〔新撰姓氏録〕

〈左京神別〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 三枝部連額田部湯坐同祖、顯宗天皇御世、喚集諸氏人等饗醼、于時三莖之草生於宮庭、採以奉獻、仍負姓三枝部造

〔日本書紀〕

〈十五/顯宗〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 三年四月戊辰、置福草(サキクサ)部

〔延喜式〕

〈二十一/治部〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 祥瑞 福草〈瑞草也、朱草別名也、生宗廟中、〉 右上瑞

〔萬葉集〕

〈五/雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791男子名古日歌三首〈長一首短二首〉夕星乃(ユウヅヽノ)、由布幣爾奈禮婆(ユフベニナレバ)、伊射禰余登(イザネヨト)、手乎多豆佐波里(テヲタヅサハリ)、父母毛(チヽハヽモ)、表者奈佐我利(ウヘハナサカリ)、三枝之(サキクサノ)、中爾乎禰牟登(ナカニヲネムト)、愛久(ウツクシク)、志我可多良倍婆(シガカタラヘバ)、〈◯下略〉

〔古今和歌集〕

〈一/序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 歌のさまむつなり、〈◯中略〉むつにはいはひ、このとのはむべもとみけりさきくさのみつばよつ葉にとのづくりせり、といへるなるべし、

〔令義解〕

〈二/神祇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0791 凡〈◯中略〉孟夏〈◯中略〉三枝祭〈謂率川社祭也、以三枝花酒罇祭、故曰三枝也、〉

〔大倭神社註進状〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0792 養老令曰、孟夏三枝祭、〈(中略)和名佐井草、古事記山由理草之本名、云佐韋草也、或曰烏羽、〉

〔冠辭考〕

〈四/佐〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0792 さきくさの 〈なかみつ〉三枝の事は神祇令に、三枝祭〈義解云、謂卒川社祭也、以三枝華酒罇祭、故曰三枝也、〉また姓氏録に、顯宗天皇御世云々、三莖之草、生於宮庭、採以奉獻、仍負姓三枝部造云々、治部式に福草、〈瑞草也、朱草別名也、生宗廟中、〉和名鈔に䓪〈音娘、和名佐木久佐、日本http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001e292.gif 、私記云福草、〉草、枝々相値、葉々相當也と、日本紀の人の名にも福草と書て、さきくさと訓たり、これらを以て思ふに、福草なることは明らけし、されど右の式と和名鈔にいふは、他の國の意にて、かしこにもこヽにも常ある草にあらず、然れば年ごとの卒(イサ)川祭に用る三枝(サキクサノ)花は、さゆり花なるべしといへり、さゆりは一本の末に三つの枝ひとしくわかれて、莖の朱に、葉の相當れるてふにも近ければ、かの福草に擬て用るならんと覺ゆ、〈◯中略〉其祭も四月にて由利の咲比なれば、かた〴〵かなふべし、これに依ばかの御庭に生けんも由利なりけんか、

〔萬葉集抄〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0792 さきくさと云事は、假名はおなじけれ共、ことにしたがひていひかへたる事あり、あるひは檜の木をさきくさといふは、諸の材木の中に、ことによき木なれば、宮木などにもえらびもちゐられて、さいはふ木なれば、檜木をさきくさと云、あるひは葛のなかに、とみかづらと云草を、さきくさと云ともいへり、又草のおひ出て、みつ葉よつ葉なるを、さきくさと云、

〔塵袋〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0792 サキクサヲバ清輔ガ奧義鈔ニ檜木ト釋セルハ實事歟、木ヲクサト云フ心如何、檜木ト云フ事ハ本説イマダミズ、マサシクハ草ノ名ナリ、䓪(チヤウhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00000b181b.gif 猪羊反)トカク、又ハ福草トモ、幸草トモ、三枝トモカケリ、エダモハモ、相ムカヒテ、イク枝ニワカルレドモ、三ヅヽ三(ミ)マタニ枝サス物也、サヒハカク云フニヤ、又是ヲトビクサト云フ、アラタニオフルトビクサノハナト云フ是也、サキクサヲバ、トビクサト云フユヘニ、コノトノハムベモトミケリトモヨメル歟、奧義鈔ニハ、ヒノ木ニテ家ヲ作ル物ナレバ、ミツバ、ヨツバニトノヅクリセリトハ云ヘルヨシ釋セルハ、推量ノ分也、幸草ト モ、福草トモ、トミクサトモ云ヘバ、ヨキ名アル草ヲイハヒテヨメリ、三枝草ナレバ、ミツバヨツバト云ヘリ、四葉ハアマリ事也、コトバノカザリニヤ、言ノタヨリニ、繁榮ノ心ヲイハントナリ、サイクサノマツリヲモ三枝トカ、姓ノ中ニモサイクサベト云フ姓アリ、三枝部ナリ、万葉ノ歌ニハ、サイクサノナカニハ、ムネトウツクシクトヨメルモ、三枝トゾカケル、一モ檜木トカキテ、サイクサトヨム事ナシ、大輔歌ニ云、オモヘドモ人ノ心ノアラタニハウラミニノミゾサキクサノハナ、トヨメリ、此ノ歌ハ、アラタニオフル、トミクサヲ、サハ〳〵トヨミキリタリ、是又マタク檜木ニアラズ、フル木歌仙ノ釋ハヤウコソハアラメ、タヤスク是ヲ改ムベキニアラネドモ、所存バカリヲバ、カタハシ是ヲ注ス、人ノ非信用

白慈草

〔倭名類聚抄〕

〈二十/草〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0793 白慈草 辨色立成云、白慈草、〈萬太布里久佐(○○○○○○)〉


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:48:57 (386d)