http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0001 歳ハ分チテ十二月ト爲シ、月ハ分チテ三十日ト爲ス、歳ニ閏年アリ、月ニ大盡小盡アリ、閏年ハ十二月ノ外ニ、更ニ一月ノ餘アルヲ謂フ、三年ニ一閏、五年ニ再閏ヲ立テ、十九年ニシテ七閏ニ及ベバ復タ餘分ナシ、之ヲ一章ト云ヘリ、大盡ハ月ノ三十箇日ニテ盡クルヲ謂ヒ、小盡ハ二十九箇日ニテ盡クルヲ謂フ、而シテ其第一日ヲ朔ト爲シ、十五日ヲ望ト爲シ、月盡ヲ晦ト爲ス、朔ト望トハ夙ニ之ヲ祝セシガ、徳川氏ノ始メ、二十八日ヲ加ヘテ三日ト稱シ、汎ク之ヲ祝スルニ至レリ、四時ハ又四季ト云フ、一年十二箇月ヲ四分シ、各三箇月ヲ以テ一季ト爲シ、温暑冷寒ノ序ニ循ヒテ、之ヲ春夏秋冬ニ分ツナリ、又別ニ一歳三百六十五日有奇ヲ分チテ二十四氣トス、即チ立春ヨリ大寒ニ至ルモノニシテ、立春ヲ以テ正月ノ節ト爲シ、雨水ヲ以テ正月ノ中ト爲シ、冬至ヲ以テ十一月ノ中ト爲シ、大寒ヲ以テ十二月ノ中トスルガ如シ、而シテ冬至若シ十一月朔日ニ當ルトキハ、朔旦冬至ト稱シテ、朝廷ニ於テ群臣之ヲ賀ス、又七十二候アリ、五日ニ一候、十五日ニ三候アリ、之ヲ一氣トス、即チ一月三十日六候二氣ニシテ、一歳十二月二十四氣七十二候ナリ、又社日、八十八夜、梅雨等ノ雜節アリ、亦二十四氣ヨリ出ヅルモノナリ、二十四氣ニ關セザルモノニ、別ニ節日アリ、舊クハ正月一日、七日、十六日、三月三日、五月五日、七 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 月七日、十一月大嘗日ヲ謂ヒテ、宴會アリ、後ニ正月七日、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日ヲ五節供ト稱シテ相祝ス、又三元アリ、正月十五日ヲ上元ト云ヒ、七月十五日ヲ中元ト云ヒ、十月十五日ヲ下元ト云フ、並ニ之ヲ祝セリ、

〔伊呂波字類抄〕

〈止天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 年〈トシ亦作季〉 歳 載〈年也歳也〉

〔釋名〕

〈一釋天〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 年進也、進而前也、 歳越也、越故限也、唐虞曰載、載生物也、殷曰祀、祀已也、新氣升故氣已也、

〔類聚名義抄〕

〈一亅〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 年秊〈上通、下正、トシ、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006519c7.gif 〈則天作此、トシ、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 白(トシ)〈僧史音釋、印度以一年一白、〉年(同)〈爾雅稔也〉秊(同)〈説文古年字〉歳(同)〈爾雅、夏曰歳、商曰祀、周曰年、唐虞曰載、名不同而義一也、〉稔(同)〈音枕、唐匀年也、古人謂一年一稔、取穀一熟、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006519c7.gif (同)〈年字也、代酔武后改易新字千々萬々爲年、〉一歳(ヒトトセ)〈終期、終歳、卒歳、旬歳、四運、一齡、周星、春秋、並同、〉

〔同〕

〈十數量〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 一年(イチネン/ヒトヽセ)〈又云、一歳、淮南子、三月爲一時、四時而爲一歳、〉

〔同〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 半年(ハンネン)

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 年名 唐虞曰載(サイ)〈取物終亦始〉 夏曰歳(サイ)〈取歳星行一次〉 商曰祀(シ)〈取祭祀一終、亦作禩、〉 周曰年(子ン)〈取禾穀一熟

〔古今和歌集〕

〈二春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 はるのとくすぐるをよめる   みつね
あづさゆみ春たちしより年月(○○)のいるがごとくもおもほゆる哉

〔古今和歌集〕

〈十七雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 とヾめあへずむべもとし(○○)とはいはれけりしかもつれなくすぐる齡か

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 年 としは疾(トシ)也、はやき意、光陰矢の如く、年月は早くすぐる物なる故にとしと云、古今集の歌に、とヾめやらずむべもとしとはいはれけりさてもつれなくすぐるよはひか、とよめるがごとし、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0002 歳トシ 義不詳、年の字を讀事亦同じ、トシ亦轉じてトセともいふ、一年をヒトトセといひ、二年をフタトセといふが如き是也、三十年をミソヂといひ、四十年をヨソヂといふがごときは、トシといふことば、轉じてシといひ、シ亦轉じてチといひし也、

〔倭訓栞〕

〈前編十八登〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 とし 年をよむも疾の義也、文選に年往迅勁矢といへり、左傳正義に、年歳載祀、異代殊名、而其實一也と見えたり、

〔古事記傳〕

〈九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 年は田寄(タヨシ)なり、〈多余を切て登となる、さて余世を余佐志とも餘志とも云る例古に多し、〉然云故は、まづ登志とは穀のことなる、其は神の御靈以て、田に成して、天皇に寄奉賜ふゆゑに云り、〈田より寄すと云こヽろにて、穀を登志とはいふなり、〉祈年祭祝詞に、皇神等能依左志奉牟、奧津御年乎云々、八束穗能伊加志穗爾、皇神等能依左志奉者云々、とあるを以知べし、〈天下に成とし成る穀は、悉く天皇に神の依し奉給ふなるを云り、◯中略〉さて穀を一度取收るを、一年とは云なり、〈されば登志と云名は、穀を本にて、年月の登志は末なり、〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 年 としなみ(○○○○) としのを(○○○○) としのは(○○○○) 萬年は〈よろづよ〉 千年は〈ちとせ〉 五百年は〈いほとせ〉 百年は〈もヽとせ〉 八十年は〈やそち〉 七十年は〈なヽそぢ〉 六〈む〉 五〈い〉 四〈よ〉 三〈み〉 廿〈はたとせ〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 幾年(イクトセ) 年矢(トシノヤ/○○)〈文選、長歌行、年往迅勁矢、千字文註、日月迅速、流年如箭、催人易老也、〉 年緒(トシノヲ) 年來(トシゴロ/○○) 年次(トシナミ) 毎年(トシノハ/トシゴト)〈萬葉〉 比年(トシゴロ)〈文選註、比近也、〉 累年(ルイネン)〈又、云累歳、連年也、〉 多年〈積年、積歳、並同、〉 他年(タネン) 連年(レンネン)〈比歳、多年、並同、〉 毎年(マイネン)〈累年義同〉 後年(コウネン) 數年(スネン)

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 嗣歳(ジサイ) 比歳(ヒサイ) 洊(セン)歳〈再歳也〉 頻(ヒン)年〈比年也〉 積歳(セキサイ)〈多年也〉 累歳(ルイサイ)〈連年也〉

〔倭訓栞〕

〈前編十八登〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 としなみ 年次の義、月次日次といふがごとし、歌には多く波に寄たり、としのを 萬葉集、續日本紀の宣命に年緒と書り、よて長く絶ぬ意、又むすぶなど屬けり、緒は年年のつなぎをいふ成べし、俗に命の綱などいふめり、西土にも心緒愁緒などの語あり、又年の尾の義にもよめりといへり、

〔倭訓栞〕

〈中編十六登〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0003 としのや 年次のはやく過行をいふ、光陰如矢の意也、千字文に年矢毎催と見えたり、としのは 萬葉集に、毎年謂等之乃波と見えたり、としごろ 眞名伊勢物語に年來と塡られたり、今音にもいへり、

〔萬葉集〕

〈十春雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004
毎年(トシノハニ)、梅者開友(ウメハサケドモ)、空蝉之(ウツセミノ)、世人君羊(ヨノヒトキミシ)蹄、春無有來(ハルナカリケリ)、

〔萬葉集〕

〈十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004霍公鳥并時花歌一首并短歌〈◯中略〉
毎年爾(トシノハニ)、來喧毛能由惠(キナクモノユヱ)、霍公鳥(ホトヽギス)、聞婆之努波久(キケバシヌハク)、不相日乎於保美(アハヌヒヲオホミ)、〈毎年謂之等之乃波

〔萬葉集〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004 中臣朝臣宅守與狹野茅上娘子贈答歌〈◯中略〉
安良多麻能(アラタマノ)、等之能乎奈我久(トシノヲナガク)、安波射禮杼(アハザレド)、家之伎許己呂乎(ケシキコヽロヲ)、安我毛波奈久爾(アガモハナクニ)、

〔新勅撰和歌集〕

〈六冬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004 五十首歌よませ侍ける時、年の暮をおしむといへる心を、   入道二品親王道助
とヾめばや流れて早き年波(○○)のよどまぬ水はしがらみもなし

〔古今和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004 ふるとしに春たちける日よめる   在原元方
年の内に春はきにけり一とせをこぞとやいはんことしとやいはん

〔後撰和歌集〕

〈十五雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004 小野よしふるの朝臣、にしのくにのうてのつかいにまかりて、二年といふとし、四位にはかならずまかりなるべかりけるを、さもあらずなりにければ、〈◯中略〉   源公忠朝臣
玉くしけふたとせ(○○○○)あはぬ君が身をあけながらやはあらんと思ひし

〔伊勢物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004 昔男かたゐ中に住けり、〈◯中略〉此戸あけ給へとたヽきけれど、あけで歌をなんよみていだしたりける、
あら玉の年の三とせ(○○○)を待わびてたヾこよひこそ新枕すれ

〔躬恒集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0004 みのヽすけのくだるに送る
ひと日だにみねば戀しき君がいなば年のよとせ(○○○)をいかですぐさん

〔萬葉集〕

〈十六有由縁并雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 筑前國志賀白水郞歌十首〈◯中略〉
荒雄良者(アラヲラハ)、妻子之産業乎婆(メコノナリヲバ)、不念呂(オモハズロ)、年之八歳乎(トシノヤトセヲ)、待騰來不座(マテドキマサズ)、

〔古事記〕

〈下雄略〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 故其赤猪子、仰待天皇之命、既經八十歳、於是赤猪子以爲、望命之間、已經多年(○○)、姿體痩萎、更無恃、

〔古事記傳〕

〈四十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 多年は許々陀久能登志(コヽダクノトシ)と訓べし、大祓詞に、許々太久乃罪乎(コヽダクノツミヲ)と見え、萬葉四〈四十四丁〉に、幾許雖待(コヽダクマテド)、〈◯中略〉十八〈六丁〉に、許己太久爾(コヽダクニ)など、其外幾許(コヽダク)と云こと卷々に多し、

〔伊呂波字類抄〕

〈古天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 今年(○○)〈コトシ〉 今玆

〔同〕

〈古疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 今年

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 今年(コンネン/コトシ) 是歳 今玆〈左傳〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 是歳(コトシ/コノトシ)〈又作此歳〉 今年(同)〈又作今歳〉 今玆(同)〈呂氏春秋註、玆年也、公羊傳、玆新生草也、一年草生一番以玆爲年、〉

〔萬葉集〕

〈七雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 臨時
今年去(コトシユク)、新島守之(ニヒサキモリガ)、麻衣(アサゴロモ)、肩乃間亂者(カタノマヨヒハ)、許誰取見(タレカトリミム)、

〔伊呂波字類抄〕

〈古天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 去年(○○)〈コソ〉 昔歳〈已上同〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 去歳(キヨサイ/コゾ) 客歳(カクサイ)〈去年也〉 徂歳(ソサイ)〈已去之歳也〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 往年(インジトシ/イニシトシ)〈先年、義同、〉 去歳(同)〈文選〉 舊年(フルトシ)〈又云舊歳〉 去歳(コゾ)〈又云去年〉 往年(サキノトシ)〈白文集〉 先年(同) 近年(キンネン) 去歳(キヨサイ)〈客歳、徂歳、並同、〉 去年(キヨネン)〈同上〉 舊年(キウネン)〈又云舊歳〉 先年(センネン)

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 去年(コゾ) こずの年也、さりて重ねてこざるとし也、ぞとずと通ず、

〔萬葉集〕

〈十春雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005
去年咲之(コゾサキシ)、久木今開(ヒサキイマサク)、徒(イタヅラニ)、土哉將墮(ツチニヤオチム)、見人名四二(ミルヒトナシニ)、

〔後拾遺和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0005 正月一日よみ侍りける   小大君
いかにねておくるあしたにいふことぞ昨日をこぞ(○○)とけふを今年と

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 去々歳(ヲトトシ/○○○)

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 去々年(オトヽシ) 萬葉には前年とかけり、あとヽしなり、去年のあとの年也、をとあと通ず、一昨日をおとつひと云が如し、此外にも説多し、不用、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 大伴宿禰家持贈娘子
前年之(ヲトドシノ)、先年從(サキツトシヨリ)、至今年(コトシマデ)、戀跡奈何毛(コフレドナゾモ)、妹爾相難(イモニアヒガタキ)、

〔拾遺和歌集〕

〈十六雜春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 題しらず   中納言安陪廣庭
いにし年(○○○○)ねこじてうへし我宿のわか木の梅は花さきにけり

〔源氏物語〕

〈十二須磨〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 二月廿日あまり、いにし年京をわかれし時、心ぐるしかりし人々の御ありさまなど、いとこひしく、〈◯下略〉

〔伊呂波字類抄〕

〈良疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 來年(○○)

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 明年(メイネン) 翌歳(ヨクサイ) 來玆(ライジ)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 翌年(ヨクネン)〈爾雅、翌明也、〉 來年(ライネン)〈來歳、來玆、翌歳、明年、並同、〉 明年(アケノトシ)〈又云翌年〉 明年(ミヤウネン)

〔日本書紀〕

〈九神功〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006新羅之明年(クルツトシ)春二月、皇后領群卿及百寮于穴門豐浦宮

〔古今和歌集〕

〈四秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 やうか〈◯七月〉のひよめる   みぶのたヾみね
けふよりはいまこん年の昨日をぞいつしかとのみ待わたるべき

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 周歳(シウサイ/○○) 期年(キネン) 一稔(シン)〈穀熟曰稔、古人謂一年一稔、取穀一熟也、〉 晬時(スイジ)〈晬者周時也、又生子一歳曰晬、〉 終期(シウキ)〈一歳終也〉 卒(ソツ/ヲフ)歳(サイ) 竟(キヤウ)歳 周星(シウセイ)〈星辰周一年也〉 春秋〈一年也〉 星霜(セイサウ)〈同上〉 發歛(ハツレン)〈説文春夏曰發、秋冬曰歛、〉 旬(ジユン)歳〈滿歳也〉 一齡(レイ)〈一年也〉 期(キ)月〈期年也、出于論語、〉 四運(ウン)〈四時也、文選詩、四運忽代序、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 期年(ムカハリドシ)〈期本字朞、文選註、一歳也、周伯温曰、日行三百六十日、則復其初度、謂之期年、〉 周年(同)〈韵會、唐明皇諱隆基、故改朞爲周年、〉

〔類聚三代格〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0006 太政官符

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007  應田事
右得美濃國解偁、准令百姓口分田六年一班、〈◯中略〉因玆人民易逃戸口難増、纔隨官符來乃始班田、文案未究還及紀年、昨日班田今日校田、吏民之煩無此、望請期年(○○)至者、國郡官司校定國内之田數、揔計當年之見口、且校班且言上、〈◯中略〉
  仁壽三年五月廿五日

〔居家必用〕

〈十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 五服〈◯中略〉 期年〈實一十二箇月、謂應天道之四時、如物有終始也、〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 十(/○)稔(シン/○)〈十年也〉 一紀(キ)〈十二年也〉 一終(シウ)〈十二年也〉 積(/○)紀(キ/○)〈二十五年也〉 一章(○○)〈十九年也〉 三霜(○○)〈三年也〉

〔運歩色葉集〕

〈伊〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 一紀〈十二年也〉

〔尚書註疏〕

〈十九周書〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 畢命 既歴三紀、世變風移、四方無虞、予一人以寧、〈傳言殷民遷周已經三紀、(中略)十二年曰紀、〉

〔續日本紀〕

〈三十六光仁〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 天應元年正月辛酉朔、詔曰、〈◯中略〉朕以寡薄、恭承寶基、無〈◯盖、原作善、據類聚國史改、〉萬民空歴一紀(○○)、〈◯下略〉

〔類聚三代格〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 太政官符
 應行班田
右田令云、六年一班、承和元年格云、畿内一紀(○○)一班、〈◯中略〉左大臣宣、奉勅六年一班、期限短促、宜下諸國一紀一度校田言上、并進授口帳裁班給、〈◯中略〉
  延喜二年三月十三日

〔書言字考節用集〕

〈十數量〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 一月(イチゲツ/ヒトツキ)〈淮南子、三十日爲一月、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0007 幾月(イクツキ) 同月(ドウゲツ) 同月(ヲナジツキ) 翌月(ヨクゲツ) 當月(タウゲツ)〈又云今月〉 例月(レイゲツ) 月並(ツキナミ) 月毎(ツキゴト) 何月(ナングハツ) 來月(ライゲツ)〈後月、明月並同、〉 期月(ムカハリツキ)〈月行十有二月而歳周、謂之期月、〉 毎月(マイゲツ) 今月(コンゲツ/コノツキ)〈又云當月〉 明月(アケノツキ) 去月(キヨゲツ)〈指南、先一月曰去月、猶去年、〉 明月(ミヤウゲツ)〈又云來月〉 先(セン)

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0008 月(ゲツ) 數月(スゲツ)

〔倭訓栞〕

〈前編十六都〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0008 つき 月は盡るの義をもて名とす、西土の書に、以明一盡一月といへり、

〔眞暦考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0008 またかの空なる月による月と、年の來經とをしひてひとつに合すわざなどもなくて、ただ天地のあるがまヽにてなむ有ける、此二方を、暦に一つに合せたるは、いと宜しきに似たれども、まことは天地のありかたにはあらず、もししか一つなるべきことわりなりせば、もとよりおのづからひとつなるべきに、さはあらで、おくれさきだち行たがふは、必別事にて有ぬべきことわりあることなるべし、〈◯中略〉これぞこの天地のはじめの時に、皇祖神の造らして、萬の國に授けおき給へる、天地のおのづからの暦にして、もろこしの國などのごと、人の巧みて作れるにあらざれば、八百萬千萬年を經ゆけども、いさヽかもたがふふしなく、あらたむるいたづきもなき、たふときめでたき眞の暦には有ける、〈◯中略〉然有けるを、やヽくだりて、もろこしの國書わたりまうで來て後に、かの國のさだめにならひてぞ、一とせを十二月とはして、その月次を四時にくばりついでヽ、もろこしの十二月は、天の月による月をもて定めたるを、皇國にてそのかみさだまりしは、猶もとよりのまヽに、年のめぐりにしたがひて、暦の節氣と同じかりき、むつき、きさらぎなどと、その月々の名をも定められたりける、すべてこれを月と名づけられたるも、ともにかの國のにならへるか、又こヽにも、本よりかの天の月による月といふ事の有つれば、その名をとれるにも有べし、萬葉集にむ月たつとよめるなど、月に立といふも、こヽの詞なり、此時よりぞ、春某月、秋某月などと、月の名をあげ、又それを季へかけていふことなどもはじまりける、さて此月々の名ども、古事記、書紀などの歌には、一つも見えたるはなけれど、そはおのづか

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0009 らもれたるにこそあらめ、皆いとふるければ、月次の定まりし世よりのなるべし、萬葉集にはおほく見えたり、此名どもヽ、もろこしのにならはヾ、やがて正月、二月、三月などとこそつけらるべきに、さはあらで、あらたにまうけて、むつき、きさらぎ、やよひ、などとしもつけられたるは、上にいへるごとく、物の次第を一二三などいふことは、古はなかりし故なり、さてかく月次のさだまりて、月々の名どもヽ出來つれども、かの天の月による月と、此月次とは、別事なりし、又いくかの日といふ日次、一月の日數の定まらざりしなど、これらはなほ本のまヽにてなむ有ける、

〔續和漢名數〕

〈時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0009 十二支配十二月 正月〈寅〉二〈卯〉三〈辰〉四〈巳〉五〈午〉六〈未〉七〈申〉八〈酉〉九〈戌〉十〈亥〉十一〈子〉十二〈丑〉

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0009 月ツキ 正月ムツキ、二月キサラギ、三月ヤヨヒ、四月ウヅキ、五月サツキ、六月ミナヅキ、七月フヅキ、八月ハヅキ、九月ナガヅキ、十月カミナヅキ、十一月シモツキ、十二月シハス、義共に不詳、我國の月名、太古よりいひつぎしことばとも聞えず、舊事記に、邪神の音サバへなせしといふ事三たびみえたり、それが中二ツは狹蝿の字を用ひ、讀てサバへとし、一ツは五月蠅の字を用ひ、讀事狹蠅のごとし、さらば上宮太子の比ほひ、五月をよびてサツキといひし事、既にありしにや、其餘のごとき、いかにやありけむ、陰陽の二神、日神、月神を生給ひしに、其月神の御名、一ツには月讀とも申せしは、上古の語に讀といひしは、後世にカゾフルといふことば也などもいひ傳へたり、月の數をかぞへいはむには、かぞへいふ所の名なき事をも得べからず、天地より始て、凡物の名に至るまで、後世にいふ所のごとき、上古にいひし所のまヽ也とも見えず、古をさる事の久しくて、世のうつりかはりぬるに隨ひて、いふ所も又うつりかはりぬる故也、たとへば初空月、梅見

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 月などいふがごとし、後代の歌詞に出たれど、遂に其月の名となりし事のごとく、古を去事久しき世の人のいひし所の、つゐに其名となりて、古にいひし所のごときはしる人もなくなるにいたれり、五月をサツキといひ、又世の人今もなを、つヽしむべき月也などもいふ也、此月の事は、舊事記に見へし所なれば、古の時の名也けむともしらるヽ也、卯月、長月、陽月、歳終(シハス)などいふがごとき、漢にもふるくいひ傳へにし所なれば、此等のごときは、我國に漢字傳へ得し後の人のいひし所なるにや、またたま〳〵其名の相同じかりしにや、すべて其詳なる事をしらず、

〔古事記傳〕

〈三十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 凡て月々の名ども、昔より説どもあれど皆わろし、其中にたヾ三月(ヤヨヒ)を彌生(イヤオヒ)なりと云るのみはよし、又師の考へに、七月(フミヅキ)は穗含月(ホフヽミヅキ)、八月(ハヅキ)は穗發月(ホハリヅキ)、九月(ナガツキ)は稻刈月(イナカリヅキ)なりと云れたるなどは、さもあるべし、其餘はいかヾあらむ、又九月は稻熟月(イナアカリヅキ)にてもあらむか、但賀(ガ)を濁るは、刈にても、熟(アカリ)にても、いかヾなるは、音便にて濁るか、はた異意か決めがたし、此外にも己も考出て、さもあらむと思ふ彼此はあれど、十二月みながらは未考得ざれば、今云ず、なほよく考へて云べし、

〔伊呂波字類抄〕

〈无天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 正月(○○)〈ムツキ律中太簇

〔續日本紀〕

〈二十九稱徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 神護景雲三年正月戊戌、授無位牟都岐(○○○)王從五位下

〔續日本紀考證〕

〈九稱徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 牟都岐王〈寶龜二年十月紀、天應元年五月紀、延暦十年七月紀、並作正月(○○)王、〉

〔春秋左傳注疏〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 經、元年春王正月、〈注、隱公之始年、周王之正月也、凡人君即位、欲其體元以居一レ正、故不一年一月也、〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 正月 むつき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 大簇(ソク)〈正月〉履端(リタン)〈正月履一切之事端、故曰履端也、〉肇歳(テウサイ)〈正月也、肇始也、〉甫(ホ)年〈正月也、甫始也、〉睦月(ムツキ)〈正月也、睦或作眤、新春親類相依娯樂遊宴、故云睦月也、〉獻歳(ケンサイ)〈正月也、獻與献同、〉陬月(ムツキ)〈正月也〉始和〈正月也〉解凍(カイトウ)〈正月也〉

〔運歩色葉集〕

〈志〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0010 正月

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 太郞月(タロウヅキ)〈本朝俗、斥正月爾、〉睦月(ムツキ)〈又作眤月、正月也、新春親族相依娯樂遊宴、故云爾、〉正月(シヤウグハツ)〈夏以寅、殷以丑、周以子、秦以亥、漢武大初元以來、改用夏正建寅月、〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 月倭名 正月〈俗説云、正月元三日、貴賎往來致拜禮、各結和親、故稱此月親月、今所謂ムツキハ、是ムツビヅキノ訛也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 正月(ムツキ)、たかき、いやしき、ゆきヽたるがゆゑに、むつびづきといへるをあやまれる也、

〔世諺問答〕

〈正月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 問て云、まづ正月をむ月と申侍るは、いかなるいはれぞや、 答、正月はとしの始の祝事をして、しる人なるはたがひに行かよひ、いよ〳〵したしみむつぶるわざをし侍るによりて、この月をむつび月となづけ侍り、そのこと葉を略して、む月といふとぞきヽをよびし、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 ムツキといふ事は、ムツビヅキと云也、上古の語に、スメムツ神などいふ事はあれど、ムとのみいひ、睦の義ありとも見えず、又ムツビといひ、ツキと云、ツといふことばのかさなれる故に、ひとつのツといふことばに、ふたつのツといふことばは、こもれりなどもいふべけれど、それもまたしかるべしとも思はれず、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 一月を牟月(ムツキ)といふは、毛登都(モトツ/本)月てふ事也、其毛都の約は牟なればしかいふ、

〔倭訓栞〕

〈前編三十一牟〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 むつき 正月をいふ、親(ムツ)ましてふ月なればいふ、又生(ウム)月の義、春陽發生の初なれば、かく名くる成べし、〈◯中略〉蝦夷に此月をとひたんねといふ、日ながしといふ事也、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0011 むつき〈正月〉 むつきは正月の和名なり、日本書紀〈神武紀〉四十有二年壬寅春正月とみえたるぞ、正月をムツキとよみし初なる、武都紀多知(ムツキタチ)、波流能吉多良婆(ハルノキタラバ)と〈萬葉集〉みえ、二條の后のとう宮のみやすむ所ときこえける時、むつき三日おまへにめしてと〈古今和歌集春歌上〉見え、むつきたつしるしとてやはいつしかとよもの山邊にかすみ立らんと〈躬恒秘藏抄〉見え、正月むつき、高き賎き、ゆきヽたる故に、むつみ月といふと〈清輔奧義抄〉いひしは、はじめてむつきの義を解に似たり、正月むつきと〈八雲御抄〉みえ、正月、睦月、睦或作眤、新春親類相依娯樂遊宴、故云睦月也と〈下學集〉云へるも、奧義抄

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0012 によりしなるべし、正月はとしの始の祝事をして、しる人なるはたがひに行かよひ、いよ〳〵したしみむつぶるわざをしけるによりて、この月をむつび月となづけ侍り、その言葉を略して、む月といふとぞきヽ及びしと〈世諺問答〉みえ、正月むつき、睦の意にて、むつましく親族朋友も、相したしめばいふ事、舊説のごとく成べしと、〈類集名物考〉辨ぜり、然るに平田篤胤曰、ムツキはもゆ(萌)月なり、モユの約ムなり、これ草木の萌きざすをいふ、きさらぎはクミ(芽)サラ月にて、それよりイヤ生といふ順なりといへり、この説古人未發なり、賀茂眞淵が一月(ヒトツキ)を牟月(ムツキ)といふは毛登都(モトツ)月てふ事なり、毛都の約は牟なれば、しかいふといへるはおぼつかなし、正月を初春と〈和名類聚鈔〉いひ、又異名をさみとり月と〈躬恒秘藏抄〉いひ、暮新月と〈俊頼朝臣莫傳抄〉いひ、年初月と〈同上〉いひ、初空月と〈藏玉集〉いひ、霞初月と〈同上〉いひ、初春月と〈同上〉いふも、みな異名にして、後世にいできしところなり、もとの起りは、躬恒秘藏抄よりはじまれることならんを、俊頼朝臣みづから歌をよみたまひて、月々の異名をいひ初しなり、それより中昔にいたりては、藏玉集などにのせたる異名も、おなじく歌によませ給ふが、そのまヽ異名となれるながら、またく藏玉集の月々の異名は、異名をもとめたまひて、歌によみたまふとおもはれぬる故は、定家卿、家隆卿なども、月々の異名の歌をよまれ、後鳥羽院御製も藏玉集に載られたれば、仰をかうむり奉りて、よまれしとみえたり、歌がらも、其月々の時候、又は景物など、とりどりに讀こまれたれば、あたらしく、月々の異名をよみいだされし事としられたり、又西土にて、ものにみえしは、正月上日と〈尚書舜典〉いふ、是正月をいふ名目の物に見えし始なり、正月は月の初なり、又月正元日〈同上〉と書る也、元日もおなじく日のはじめなれば、もとつ日といへる義にて、元日と書る也、元年春王正月と〈春秋〉いふも、物正しきの義にとりていふなり、正月謂之端月と〈史記〉いひ侍るも、正月といふと義おなじ、端正の二字、いづれもたヾしき義なれば、文字をかへて端月とかけるなり、玉燭寶典も正月爲端月といへり、又孟春之月、日在營室〈禮記月令〉いひ、また正月を爲陬と〈爾雅〉い

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 ふは、正月の別名といふべし、郭璞曰、以日配月之名也といへり、又攝提貞於孟陬と〈離騷經〉いふも、正月の事也、正月を曰孟陬と〈元帝纂要〉いひ侍るも、離騷によりしなるべし、又曰、孟陽、上春、開春、發春、獻春、首歳、獻歳、發歳、初歳、肇歳、方歳、華歳と〈同上〉いひ、また正月律名あり、これを太簇と〈拾芥抄〉いひ侍るも、其音角、律中太簇と〈禮記月令〉いへるによられしなり、太簇の義解は、劉熙釋名、班固白虎通にくはしく辨あり、ゆへにこヽに略せり、又芳春、青春、陽春、三春、九春と〈元帝纂要〉みえたれども、あながち正月の月にあつるにもあらずして、春の三月をすべていへる名目と、おしはからる、さてまた正月を一月と書る物、ふるくよりみえたり、附説曰、正月者、古文尚書云、一月也と〈玉燭寶典〉見え、また漢書表亦云、一月鷄鳴而起と〈同上〉みえたれども、是正月を一月といふべからざる證あり、杜預春秋傳注云、人君即位欲其體元以居一レ正、故不一年一月とみえたるぞ、正しき據とすべし、故に和漢ともに、人君即位の年をさして、元年とさだめ、年月のはじめをさして、正月といふ、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 辛酉年春正月(ムツキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 正月(ムツキ)〈生月也、謂發生之初、正韻歳之首月也、垂加翁曰、歳首不一月而曰正月、蓋取王者居其正也、〉

〔萬葉集〕

〈五雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 梅花歌三十二首并序〈◯中略〉
武都紀多知(ムツキタチ)、波流能吉多良婆(ハルノキタラバ)、可久斯許曾(カクシコソ)、烏梅乎乎利都々(ウメヲヲリツヽ)、多努之岐乎倍米(タヌシキヲヘメ)、〈大貳紀卿〉

〔古今和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 二條の后のとう宮の御息所ときこえける時、正月三日、おまへにめして、おほせごとあるあひだに、〈◯中略〉   ぶんやのやすひで〈◯歌略〉

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 十二月異名 正月むつき〈◯中略〉 さみどり月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 十二月異名 暮新(クレシ)月 正月〈◯歌略、下同、〉 年初月 同

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0013 十二月異名〈後鳥羽院御時、十二月異名にて、歌を被召時、歌付花鳥、雖歌無用之間略之、〉 正〈柳鶯〉 初空月 霞初月 初春月〈◯歌略、下同、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈幾天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 二月(○○)〈キサラキ〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 二月 きさらぎ

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 夾鐘(ケウシヤウ)〈二月〉衣更著(キサラキ)〈二月也、此月餘寒猶嚴、故衣更著也、〉華朝(クワテウ)〈二月也、朝々待華、故云華朝、〉美景(ビケイ)〈二月也〉惠(ケイ)風〈二月也〉星鳥(セイテウ)〈二月〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 月倭名 二月〈俗説云、正月和暖、此月天氣還寒、更著冬衣、故稱此月衣更著也、今所謂キサラギハ、是キヌサラニキツキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 二月(きさらぎ) さむくてさらにきぬをきれば、きぬさらぎといふをあやまれるなり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 キサラギ、ヤヨヒなどいふごときも、ふるく釋せし所のごときは、其釋なからんには、空さへかへりぬる月也とも、草木のをひそふる月也とも、しかるべしとも覺えず、古語にキサとも、キサケとも、キサキとも、キサイともいひし事どもあれば、其釋せし所の義とは同じからず、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 二月は伎佐良藝(キサラギ)月と云は、久佐伎波里(クサキハリ)月也、草木の芽を張出すは二月也、其久佐伎(クサキ)の三言の約めは伎(キ)なれば、伎(キ)とのみもいふべく、又は草は略くともすべし、佐良(サラ)と波里は韻通へり、

〔倭訓栞〕

〈前編七幾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 きさらぎ 二月をいふ、氣更に來るの義、陽氣の發達する時也、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0014 きさらぎ〈二月〉 きさらぎとは二月をいふ、いとふるき和訓なり、日本書紀に〈神武紀〉出たり、〈◯中略〉二月を伎佐良藝月、言は久佐伎波里月(クサキハリツキ)也、草木の芽を張出すは二月也、其久佐伎ノ三言の約めは伎なれば、伎とのみ云べくも、又は草は略くともすべし、佐良と波里(ハリ)は韻通へりと〈語意〉云は、古人未發の考なれども、平田篤胤が、くみ(芽)さら月にて、夫よりいや生とつヾくといへるかた然るべし、跡部光海翁は、衣更衣陽氣を更にむかふるを云といひ、きさらぎ二月をいふ、氣更に來るの義、陽氣の發達するときなりと〈和訓栞〉いひ、又此月玄鳥到と月令にみゆれば、去年の八月に雁來りしが、また更に來るの意歟と〈類聚名物考〉いへり、また二月の異名あまたあるが中に、むめつさ月と〈躬恒秘藏抄〉いひ、雪消月、〈俊頼朝臣莫傳抄〉梅津月と〈同上〉みえたり、後世にいたりて、月々の名目もいとおほくなりたり、いはゆる梅見月、〈藏玉集〉小草生月と〈同上〉いふたぐひなり、西土にても、異名さま〴〵ある

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 なかに、二月爲如と〈爾雅〉いひたるによりて、如月〈事物別名〉と月の字を入て書る様になれり、又二月得乙曰橘如と〈同上〉みえたり、此月を仲春といふは、仲春之月日在釜と〈禮記月令〉いへるにはじまれり、又降入と〈史記〉いへり、又二月曰仲陽と〈元帝纂要〉いひ、又令月と〈張子歸田賦〉みえたり、異名は和漢ともにいづれも詩に詠じ、歌によめる句の、後世にいたりて、をのづから異名となれるなるべし、しかればます〳〵月々の名目も、多くなれるならん、たとへば春を青帝といへるを、青皇ともいひ、又春の時氣を青陽といへるを、後には孟陽、仲陽、載陽ともいへるがごとし、孟陽は正月、仲陽は二月也、陽字の上に孟仲の文字を加へて、月々に配當せる名なり、陽春などいへるは、たヾ春をいへるなり、月々にあてたる名目にはあらず、陽字の義、春といふ意と同じ、初春、仲春といふべきを、孟陽、仲陽といひ、又春風を陽風といひ、春の木を陽樹と〈元帝纂要〉みえたり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 戊午年春二月(キサラギ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 二月(キサラギ)〈氣(イキ)更ニ來ル也、言生氣更發達也、〉

〔曾禰好忠集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 中の春二月のはじめ
わぎもこが衣きさらぎ風寒みありしにまさる心地かもする

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 十二月異名 二月きさらぎ きぬさらき共云也〈◯中略〉 むめつさ月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 十二月異名 雪消月 梅津月〈二月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 十二月異名〈◯中略〉 二〈櫻雉〉 梅見月 小草生月 衣更著

〔伊呂波字類抄〕

〈也天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 三月(○○)〈ヤヨヒ律中姑洗

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 三月 やよひ

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 姑洗(コセン)〈三月也〉彌生(ヤヨイ)〈一切草葉芽至此月彌生、故云彌生也、〉桃浪(トウラウ)〈三月〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0015 月倭名 三月〈俗説云、風雨共暖、草木彌生、故稱此月彌生月、今所謂ヤヨヒハ、是イヤヲヒヅキノ訛也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0016 三月 風雨あらたまりて、草木いよ〳〵おふるゆゑに、いやおひ月といふをあやまれり、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0016 三月を也與比と云は、草木伊也於比(イヤオヒ)月也、二月に芽を張、三月に繁る故に彌生といふ、〈いやのいを略くは常多し〉草木をいはぬは、上に二月にいひしかば、ゆづりて略けり、月の名は多くは他の月と相對へていふ也、

〔倭訓栞〕

〈前編三十四也〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0016 やよひ 三月をいふ、彌生の義、よとおと通ず、春三月を生月、氣更來、彌生と次第したる名なるべし、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0016 やよひ〈三月〉 やよひとは三月をいふ、日本書紀〈神武紀〉の訓に、はじめてみえたり、中むかしよりして、やよひの文字彌生と〈奧義抄〉かけり、草木のいやおひしげれる比なればいふなるべし、やよひにうるふ月の有ける年と〈古今和歌集詞書〉いひ、草木いよ〳〵おふる故にいやおひ月といふを、あやまれりと〈奧義抄〉いひ、一切草木芽至此月彌生、故云彌生也と〈下學集〉いひ、草木の彌生てふよし、古説のごとく成べしと〈類聚名物考〉いひ、萬物彌生するなりと〈跡部光海翁説〉みえたり、三月をやよひ月といふは、草木いやおい月也、二月に芽をはり、三月にしげる故に、彌生といふと〈語意〉いひ、やよひ、三月をいふ、彌生の義、よとおと通ず、春三月を生(ム)月、氣更來、彌生と次第したる名成べしと〈和訓栞〉いへるぞ、げにもとおもはるヽ説なり、本居宣長いひけらく、凡て月々の名ども、昔より説共あれど皆わろし、其中にたヾ三月を彌生なりと云類のみは、よしと〈古事記傳訶志比宮卷〉みえたり、彌生は古今人々の説々同一致なれば、義論はいさヽかもなき也、扨異名は暮春と〈和名類聚抄〉いひ、律名を沽洗と〈拾芥抄〉みえしは、律中沽洗と〈禮記月令〉みえしによられしなり、さはなつきと〈秘藏抄〉いひ侍るも、此月の異名なり、又花津月と〈莫傳抄〉いひ、夢見月とも〈同上〉いひ、花見月、櫻月、春惜月とも〈藏玉集〉いへり、西土にては、季春と〈禮記月令〉いふも、此月なり、又宿と〈爾雅〉書るも別名にして、三月得丙、則曰修寎、と〈同上〉みえたり、季春之月、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 其音角、律中姑洗と〈淮南子〉いひ、三月其名青章と〈史記〉いひ、三月を暮春、末春、晩春と〈元帝纂要〉いひ、三月季春、暮春、載陽、華節、寎月、末垂と〈事物別名〉みえたり、いづれも此月の別名なり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 乙卯年春三月(ヤヨヒ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 三月(ヤヨヒ)〈彌生也、月令、季春是月也、生氣方盛、〉

〔古今和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 やよひにうるふ月のありける年(とし)よめる   伊勢
櫻花春くはヽれるとしだにも人の心にあかれやはせぬ

〔曾禰好忠集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 暮の春三月はじめ
はヽ子つむやよひの月になりぬればひらけぬらしなわがやどの桃

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 十二月異名 三月やよひ〈◯中略〉 さはなさ月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 十二月異名 花津月 夢見月〈三月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 十二月異名〈◯中略〉 三〈藤雲雀〉 花見月 櫻月 春惜月

〔伊呂波字類抄〕

〈宇天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 四月(○○)〈ウヅキ律中仲呂、俗云卯月、〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 四月 うづき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 仲呂(チウリヨ)〈四月〉麥秋(バクシユ)〈四月〉卯(ウ)月〈此月卯華盛開、故云卯月也、〉修景(シユケイ)〈四月〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 月倭名 四月〈俗説云、四月山家墻根之間、溲疏花盛開、故稱此月溲疏花月、今所謂ウヅキハ、是ウノハナヅキノ訛也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 四月(うづき) うの花さかりにひらくるゆゑに、うの花づきといふをあやまれり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0017 卯月といふ事は、詩の豳風に四之日といふ事を、周正の四月は卯月也と、見えしものともある也、周正のごときはさもこそあらめ、夏時を行はれんに至ては、四月を卯月といふべき事にあらず、などいふ事もあるべけれども、なを卯月といふ事は、たとへば上巳といふは、もとこれ三月上旬の巳の日をいふ事なれど、魏晋より後には、巳の日にはあらねど、三日をもて上巳とい

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0018 ふ事のごとし、卯の花のさきぬる月なれば、卯月といふ也といふ説のごとき、しかるべしとも思はれず、ウツギといふ木は、其中のウツボなれば、ウツギと名づけしに、其花のたま〳〵卯月にさきぬれば、卯花などとしるせし也、

〔倭訓栞〕

〈前編四宇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0018 うづき 卯花月ともいふの義といへり、四月には此花盛り也、又周正の四月は卯月也と、詩の注に見えたりともいへり、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0018 うづき〈四月〉 うづきは四月の和名なり、ふるくより所見あり、時當四月之上旬(ヲリシモウヅキノハジメツカタ)と〈古事記訶志比宮記〉いひ、戊午年夏四月(ウヅキ)と〈日本書紀神武紀〉いひ、八重疊(ヤヘダヽミ)、平群乃山爾(ヘグリノヤマニ)、四月與(ウヅキトヤ)と〈萬葉集〉いひ、宇能花能佐久都奇多知奴(ウノハナノサクツキタチヌ)とも〈同上〉みえたり、今少し世くだりては、うづきにさける櫻をみてと〈古今和歌集詞書〉いひ、うつきとて、咲うの花にこつたひてと〈秘藏抄〉いひ、うの花月をなにといはましと〈莫傳抄〉いひ侍るは、萬葉集のうの花の咲月立ぬといふによりしなり、又卯の花月夜さかりすぎ行と〈藏玉集〉いひ、四月うづきと〈八雲御抄〉みえたり、さて四月を卯月と名付たる義を解きしは、奧義抄に、うのはなさかりにひらくる故に、うの花月といふをあやまれりとみえたり、〈下學集、萬葉考別記、類聚名物考、歳時語苑、日本歳時記、和訓栞等書、この説によれり、〉扨また四月の異名のごときにいたりては、秘藏抄などに出たるを、はじめとやいはん、いはゆる此月をこのはとり月と〈秘藏抄〉いひ、又夏初月(ナツハツキ)と〈莫傳抄〉いひ、ゑとりばの月と〈藏玉集〉いひ、花殘月と〈同上〉いひ、又首夏と〈和名類聚鈔〉いひ、孟夏と〈年中行事秘抄〉いひつるも漢名なり、仲呂と〈拾芥抄〉いふは律名なり、是則禮記月令に、其音徴、律中中呂といふによりしなり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0018 戊午年夏四月(ウヅキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0018 四月(ウツキ)〈種月也、播稻種之義、古説爲卯花月、詩註、周正四月卯月也、〉

〔萬葉集〕

〈十八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0018 四月〈◯天平二十年〉一日、掾久米朝臣廣繩之館宴歌四首、
宇能花能(ウノハナノ)、佐久都奇多知奴(サクツキタチヌ)、保等登藝須(ホトトギス)、伎奈吉等與米余(キナキトヨメヨ)、敷布美多里登母(フヽミタリトモ)、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 右一首、守〈◯越中〉大伴宿禰家持作之、

〔古今和歌集〕

〈三夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 うづきにさけるさくらをみてよめる   紀としさだ〈◯歌略〉

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 十二月異名 四月卯月〈◯中略〉 このはとり

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 十二月異名 卯花月 夏初月〈四月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 十二月異名〈◯中略〉 四〈卯花時鳥〉 卯花月 得鳥羽月 花殘月

〔伊呂波字類抄〕

〈左天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 五月(○○)〈サツキ律中蕤賓

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 五月 さつき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 蕤賓(スイヒン)〈五月〉梅(バイ)月〈五月、又云送梅月、此月送盡梅子故云爾也、〉星火(セイクワ)〈五月〉東井(トウセイ)〈五月〉皐月(サツキ)

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 月倭名 五月〈俗説云、五月農事有時、耕種尤盛、採早苗播植、故此月爲早苗月、今所謂サツキハ、是サナヘヅキノ訛也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 五月(さつき) 田うふることさかりなるゆゑに、さなへ月といふをあやまれり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 サツキといふ事は、早苗とる月なれば、早苗月といひしを、サツキとはいふ也といふ説もまたあるべき、舊事記に見えし所は前にしるせし事のごとし、サナヘといふも、サバヘといふがごとくに、此月の名によりてこそ、いひしことばなるべけれ、

〔倭訓栞〕

〈前編十佐〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 さつき 五月をいふ、早苗月也といへれど、幸月なるべし、狩は五月を主とす、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0019 さつき〈五月〉 さつきは五月の和名なり、日本書紀、〈神武紀〉萬葉集〈夏雜歌〉等にみえたり、これよりいとふるく神代に、五月の文字みえたるは、いはゆる晝如五月蠅(ヒルハサバヘナス)而沸騰(ワキアガル)之云々と、〈日本書紀神代卷〉みえしぞ始なる、さてさばへなすわきあがるとみえしは、此月にかぎりて蠅多く群がれる事をいへるならん、さて五月蠅、此云左魔陪(サバヘ)〈同上〉と、みえたるをもて考ふるに、五月の二字を以て、サと訓ずるは、五十鈴姫命(イスヾヒメノミコト)と〈同上〉見えたる、五十の二字、イといふにおなじく、二字一言なり、しかれば五月をサとのみもいふべけれど、月の名にとなふる故に、さつきと訓たり、さは小なる義なり、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0020 すべて物小なるを、さヽやかといひ、小石をさヾれといへれば、さなへ(小苗)月といふべきを中略して、さ月とはいふなるべし、猶卯花月をうづきといふが如し、さなへといふは、文字早苗とのみふるくより書たれども、小苗の義しかるべし、いかにとなれば、早苗ははや苗の義也、はや苗といふは、今いふ早稻(ワセ)の事なり、歌にかつしかわせなどよめる、わせといふべきを、早稻、晩稻をしなべて、苗を植るを、さなへとるといふは、わせおくての差別なきに似たり、早稻の苗を植るを、早苗とるといはヾあたれり、晩稻の苗を植るを、早苗とるとはいふべからず、さなへとはささなへといふ語の、下略とおもはる、小苗と書せば、早稻晩稻をしなべて、さなへとるといひてもしかるべし、凡さなへ植る事は、土地により早晩の差別はあれど、大かたは五月にもはら植るなり、古人さ月の訓義をとくこと、まち〳〵なれども、多くさなへ植月といふ義に説をたてヽ、さなへの訓義に、心づかざりしなり、さて萬葉集より後の書に、さつきといふ名目のみえしは、古今集さつきまつ山ほとヽぎすと、よめる歌をはじめとして、後撰集、拾遺集以下代々の勅撰に出たり、五(サ)月といふ義を解るは、田うふる事、さかりなる故に、早苗月といふを誤れりと、〈奧義抄〉みえしぞはじめなる、八雲御抄には、五月さつきとのみしるし給ひ、又五月、さつき、さみだれ月なるよし古説にみゆ、されどもさみだれをさとのみ一言にいふ事、あまりの略言にや、此月を早苗の頃とすれば、さなへの略言かともみゆ、既に或説にしかいへりと〈類聚名物考〉いひ、五月をサツキといひ、又世の人今もなをつヽしむべき月也などもいふ也、此月の事は、舊事記にみえし所なれば、古の時の名也けむともしらるヽ也、サツキといふ事は、早苗とる月なれば、早苗月と云しを、サツキとはいふ也といふ説も、いかヾあるべきと〈東雅〉いへるはいぶかし、五月稻苗月也と〈跡部光海翁説〉いひ、五月の和名をさつきといふ、田うふる事、さかりなるゆへ、さなへ月といふと〈日本歳時記〉いひたり、此月の異名も授雲月、又たぐさ月と〈秘藏抄〉いひ、賤男染月、又月不見月、又橘月、吹喜月と〈藏玉集〉いへり、さて又仲夏と〈和名類聚鈔〉いひしは、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 星火、以正仲夏と〈尚書堯典〉いへるにより、蕤賓と〈拾芥抄〉みえしは、ともに禮記月令によりし名目なり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 戊午年五月(サツキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 五月(サツキ)〈小苗月也、謂苗也、〉

〔萬葉集〕

〈八夏相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 大伴坂上郞女歌一首
五月之(サツキノ)、花橘乎(ハナタチバナヲ)、爲君(キミガタメ)、珠爾社貫(タマニコソヌケ)、零卷惜美(オチマクヲシミ)、

〔古今和歌集〕

〈三夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 題しらず   よみ人しらず
さつきまつ山時鳥うちはぶきいまもなかなんこぞのふるこゑ

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 十二月異名 五月さ月〈◯中略〉 さくも月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 十二月異名 狡雲月 五月多草月

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 十二月異名〈◯中略〉 五〈橘水鷄〉 賤男染月 月不見月 橘月 吹喜月

〔伊呂波字類抄〕

〈見天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 六月(○○)〈ミナツキ〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 六月 みなつき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 林鐘(リンシヤウ)〈六月〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 月倭名 六月〈俗説云、六月農事已畢、舊穀皆盡、故稱此月皆盡月、今所謂ミナツキハ、是ミナツキ月ノ略也、一説云、無水月、是月天熱殊甚、水泉枯盡、故以水爲名也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 六月(みなつき) 農のことどもヽ、みなしつきたるゆゑに、みなしつきといふをあやまれり、 一説には、此月まことにあつくして、ことに水泉かれつきたるゆゑに、みづなし月といふをあやまれり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0021 水無月といふは、水かれて盡るの義也といふ也、水無瀬などいふ地名もあれば、さもあるべしや、されど此月は、疫やみする事ありとて、御祓する事なれば、これらの事にやよりぬらん、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0022 六月をみな月といふは、加美那利(カミナリ)月の上下を略けり、

〔倭訓栞〕

〈前編三十美〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0022 みなつき 六月をいふ、水月の義なるべし、此月は田ごとに、水をたヽへたるをもて名とせり、さなへ月よりうつれる詞也、一に神鳴月の上下略也といへり、神は雷也、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0022 みなつき〈六月〉 みなつきは六月の和名にして、ふるくより物にみえたり、いはゆる戊午年六月(ミナツキ)と、日本書紀〈神武紀〉にしるせるぞはじめなる、夫より以下は、萬葉集に不盡嶺爾(フジノネニ)、零置雪者(フリヲクユキハ)、六月(ミナツキノ)、十五日消者(モチニキユレバ)、其夜布里家利(ソノヨフリケリ)とよみ、古今和歌集夏歌詞書に、みなつきつごもりの日ともいひ、みなつきの河邊のはらへに夜更てと〈秘藏抄〉いひ、和名類聚鈔には、此月の名季夏とのみしるして、みな月の和名を出さず、八雲御抄にも、六月みなつきとしるさせ給ひたるを、ひとり此月の名義を解るは、いはゆる農の事も、みなしつきたる故に、みなし月といふをあやまれり、一説に、此月まことにあつくして、ことに水泉かれつきたる故に、水なし月といふをあやまれりと、〈奧義抄〉いへるぞはじめなる、しかれば清輔朝臣の比ほひ、既に二説なるを、後世おほく前説をとらず、後説にのみよれり、水無月といふは、水かれて盡るの義也と〈東雅〉いひ、六月和名水無月といふ、まことにあつくして、ことに水泉かれつきたるゆへに、みづなし月といふと〈日本歳時記〉いひ、水無月、六月之和名也、此月炎暑甚、水泉涸盡、故曰水無月と〈歳時語苑〉いひ、水無月水氣干發スルヲ云フと〈跡部光海翁説〉いひ、水なし月といふを略して、水無月といふと〈惠美須草〉いふたぐひ、奧義抄の後説によりしなり、又此月の名を、かみなし月と解く説あり、類聚名物考に、六月、みな月、或人の雷月なるべしといへる理にこそといひ、加茂眞淵も、六月を美奈月といふ、加美那利月の上下を略けり、十月は除月にて雷のならねば、かみ無月といひ、六月は專ら雷の鳴故にむかひて、此名ありと〈語意〉いへるは、藏玉集、此月を鳴雷月といへるにかなへば、亦此説もすてがたしといへども、農事によりて、とく方然るべし、扨異名のごときは、六月、すヽくれ月と〈秘藏抄〉いひ、すヽくれ月、松風月と〈莫傳抄〉いひ、風待月、鳴雷月、常

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 夏月と〈藏玉集〉いへり、林鐘と〈年中行事秘抄〉みえたるは律名にして、禮記月令、史記律書、淮南子時則訓、春秋元命苞、白虎通等に見えたり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 戊午年六月(ミナツキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 六月(ミナツキ)〈水月也、言田皆引(マカス)苗代水也、〉

〔古今和歌集〕

〈三夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 みな月つごもりの日よめる   みつね〈◯歌略〉

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 十二月異名 六月みな月〈◯中略〉 いすヽくれ月〈◯頭書云、彌凉暮月(イスヽクレツキ)、〉

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 十二月異名 凉暮月 松風月〈六月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 十二月異名〈◯中略〉 六〈常夏鵜〉 風待月 鳴電月 常夏月

〔伊呂波字類抄〕

〈不天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 七月(○○)〈フツキ律中夷則

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 七月 ふづき〈本はふむ月なり〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 夷則(イソク)〈七月〉文(フミ)月〈此月七夕諸人以詩歌之文於二星、或晒書篇以供星、故云文月也、〉親月(シンゲツ)〈此月諸人詣親墳墓、故云親月也、〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 月倭名 七月〈俗説云、七月七夕、俗人稱、借與織女、令書於庭戸、故稱此月書披月、今所謂フミヅキハ、是フミヒロゲヅキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 七月(ふづき) 七日たなばたにかすとて、ふみどもをひらくゆゑに、ふみつきといふをあやまれり、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 七月を布美月といふは、保布々美(ホフフミ)月の上下を略きいふ也、稻は七月に穗を含めり、萬葉にふくむをば布々萬里と云を、布々と略き、又ほとのみもいへり、かの春の二月三月は、草木の萌茂るもていひ、秋三月は、稻もていふ也、

〔倭訓栞〕

〈前編二十六不〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 ふみづき 七月をいふ、穗見月の義なるべし、小苗月、水月、穗見月と次第し、稻穗の出そむるをいふ也、物にふづきともいふは略語也、藏玉集にふみひろげ月と見えたり、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0023 ふづき〈七月〉 ふづきは七月の和名なり、ふみづきともいへり、さて此名目のは

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0024 じめて書にみえしは、孝昭天皇元年七月(フツキ)、遷都於掖上と、〈日本書紀〉しるされしぞ始なる、されど此御時よりはるかに上つよに、ふづきの名ありし事明なり、神代に五月蠅(サバヘ)〈同上〉といふ事みえたるも、いまいふ五月の事にて、神武天皇紀にむ月よりしはすまでの、和名みえたりしかど、ふづきのみしるされず、されど月々の名、此御時にみえたれば、孝昭天皇の御代より、はるかに上つ代の和名なる事著るし、萬葉集には、秋雜歌に、七月七日之夕者(フミヅキナヌカノヨヒハ)、吾毛悲烏(ワレモカナシヲ)などみえたり、既にこの集に、ふみ月とふづきを讀りしより、古今集、後撰集の時代には、七月を文月などいふ文字に書しるしたれば、ふみづきとよめる事とはなれり、扨七月織女にかすとて、書どもをひらく故に、文月といふを誤れりと〈奧義抄〉いへるは、其時代よりふるくいひ傳たる所なるべし、されどこの説にては、文月はふみひらく月と云義にとりしも、西土にて七月七日、曝書する事あるによりて、ふみひらく月といふ義に、とりなせしならんとおもはる、曝書の事は、早くは四民月令に、七月七日曝經書及衣裳蠹とみえたり、崔國輔が詩、韓諤が歳華記麗等にもいでたり、さて八雲御抄には、ふづき、本はふむ月なりとしるさせ給ひ、藏玉集などにも、ふみひろげ月としるせる曝書の意と、おなじくおもはるれど、下學集、壒囊鈔などにしるせるは、七月七日二星に、文書を手向祭る義にいへり、藻鹽草もこれにしたがひ、日本歳時記、歳時語苑、毫品通考等も、みな七月七日二星に、文書を備へてまつるよしみえて、此月を文月といふ、七日たなばたにかすとて、ふみどもをひらく故に、ふみづきといふを略せりと〈日本歳時記〉いへり、これらの説どもは、皆曝書よりこと起りて、後世終に二星に、文書、衣裳、其外種々の物共を備へて、二星を祭る事とはなれり、さてふみづきの名は、ふくみ月の義にとるかたしかるべし、此月稻穗を含めり、八月穗を張、九月かりとるなり、類聚名物考にも、此時に稻の穗の出んとして、妊む時なればいふか、加茂眞淵もしかいへり、跡部光海翁は、穗見月なりといひ、谷川士清もしかいへり、此等の説えたりといふべし、扨また奧義抄の説は、文月といふかたにつ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 きて用ゆべし、又此月の異名を、めであひ月と〈秘藏抄〉いひ、七夜(ナヽヨ)月、秋初月と〈莫傳抄〉いひ、ふみひろげ月、女郞花月、七夕月と〈藏玉集〉いへり、

〔日本書紀〕

〈四安寧〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 神渟名川耳天皇〈◯綏靖、中略、〉三十三年〈◯中略〉其年七月(フヅキ)、

〔日本書紀通證〕

〈九安寧〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 七月(フミツキ)〈穗見月也、言此月方見稻穗之脱也、〉

〔後撰和歌集〕

〈五秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 女のもとより、文月ばかりにいひおこせて侍ける、〈◯歌略〉

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 十二月異名 七月ふみづき〈◯中略〉 めであひ月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 十二月異名 七夜月 秋初月〈七月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 十二月異名〈◯中略〉 七〈女郞花鵲〉 文披月 七夕月 女郞花月

〔伊呂波字類抄〕

〈波天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 八月(○○)〈ハツキ〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 八月 はつき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 南呂(ナンロ)〈八月也、又云葉月、落葉時節故云也、〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 月倭名 八月〈俗説云、八月木葉漸以搖落、故稱此月葉落月、今所謂ハツキハ、是ハヲチヅキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 八月(はつき) 木のはもみぢておつるゆゑに、葉おちづきといふをあやまれり、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 八月を波(ハ)月といふは、保波利(ホハリ)月の上下を略きいへり、稻は皆八月に穗を張也、

〔倭訓栞〕

〈中編十九波〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 はつき 八月をいふ、葉月の義、黄葉の時に及ぶをいふめり、西土にも葉月の名あり、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0025 はつき〈八月〉 はつきは八月の和名なり、葉月などもかけり、さて此月の名の始てみえしは、戊午年秋八月甲午朔乙未、天皇使兄猾及弟猾と〈日本書紀〉書しるされたれど、五月蠅の文字、既に神代の卷に出たれば、其時代に月々の名目ありしもしるべからず、朱鳥七年癸巳秋八月、幸藤原宮地と〈萬葉集卷一〉記せるは、朱鳥の年號天武天皇の御宇なれば、神武天皇の御代より、遙に

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0026 年歴へだたれり、又萬葉集の歌に、みなつき、ふ月、長月などの名目はよめれど、は月とよめる歌みえず、後撰和歌集に、は月ばかりに、又は月なかの十日計になどみえ、八月、はつきと〈秘藏抄〉いへれど、此月の名義を沙汰せるは、奧義抄に、八月木のはもみぢておつる故に、葉落月といふを、よこなまれりといへるぞ初なる、漢武帝の秋風辭に、秋風起兮白雲飛、草木黄落兮鴈南歸、とあるによれるか、黄落の字、葉落月の義に合り、鴈南歸の字、久方の雲井のかりのこしぢより初てくるやはつき成らん、とよめるに合り、下學集、日本歳時記、歳時語苑等、皆此説によれり、秘藏抄歌に、初鴈の聲きこゆなりはつき立朝の原のうす霧のまに、又新撰六帖爲家卿の歌に、久方の雲井のかりのこしぢよりはじめてくるやはつき成らん、とあるに、類聚名物考、月令を引て、此月初めて鴈の來れば、初來(ハツキ)月なるを、辭をはぶきて、はつきとはいふなるべしといへるは、秘藏抄の歌とあへり、亦一説は葉月、稻葉月也、稻葉茂ルを云フト〈跡部光海翁説〉いひ、八月を波月といふは、保波利月の上下をはぶきいへり、稻は皆八月穗を張也と〈語意〉いへり、本居宣長も語意の説にしたがへり、〈委細に古事記傳訶志比宮の卷に、辨じ置けり、〉さて以上三説を合せ考ふるに、古説新説ともに何れも理りなきにしもあらねど、秋三月は稻の成熟する次第もて解かたしかるべし、所謂七月をふくみ月といふは、穗莟むをいひ、八月は穗張りみのる義もて名付る也、いかにとなれば、秋といふ名は、百穀成熟の時をいふ、穀物のあき滿る義にとれるなれば、かた〴〵秋三月は、稻の事もてとくかたしかるべし、さて此月の異名を、さヽはなさ月と〈秘藏抄〉いひ、木染月、草津月と〈莫傳抄〉いひ、秋風月、月見月、紅染月と〈藏玉集〉いへるも、和歌よりいでし名目なり、橘春といふ名目は、漢名なるべけれど、出所詳ならず、たヾ日本歳時記にみえたれど、たしかなる書に未見當、鴈來月、燕去月などいふは、世俗の稱する名目にして、古書に載ざれども、仲秋之月、鴻鴈來賓と〈禮記月令〉いへるによりて名付し也、燕去月と云は、玄鳥歸と〈同上〉いへり、〈玄鳥は燕を云〉鴈來月に對して名付しなり、秋半ととなふるも、八月は秋三月の半なればなり、あけば又

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 秋の半も過ぬべし、とよまれたる、定家卿の詠などにもとづきて、名付しならん、新撰六帖はつきの歌に、秋もはや半になれやと、衣笠内大臣〈家良公〉もよまれたり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 戊午年秋八月(ハツキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 八月(ハツキ)〈葉月也、謂黄葉可一レ愛、〉

〔後撰和歌集〕

〈六秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 あひしりて侍ける女の、あだ名たちて侍ければ、久しくとぶらはざりけり、八月ばかりに女のもとより、などかいとつれなきと、いひをこせて侍りければ、〈◯歌略〉

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 十二月異名 八月はつき〈◯中略〉 さヽはなさ月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 十二月異名 木染月 草津月〈八月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 十二月異名〈◯中略〉 八〈萩雁〉 秋風月 月見月 紅染月

〔伊呂波字類抄〕

〈奈天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 九月(○○)〈ナガツキ律中無射

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 九月 ながつき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 無射(ブヱキ)〈九月〉長月〈夜長時分故云也〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 月倭名 九月〈俗説云、九月夜漏漸長、故此月爲夜長月、今所謂ナガヅキハ、是ヨナガヅキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 九月(ながつき) 夜やう〳〵ながきゆゑに、夜なが月といふをあやまれり、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 九月を奈我(ナガ)月と云は、伊奈我利(イナガリ)月の上下を略きいへり、稻は九月に苅をさむる也、

〔倭訓栞〕

〈前編十九那〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 ながつき 九月をいふ、長月の義、夜長月ともいへり、拾遺集に、夜を長月とよめり、漢にもふるくいひ傳へたり、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0027 ながつき〈九月〉 ながつきは九月の和名なり、さて皇國にてこの月の名始めてみえしは、戊午九月(ナガツキ)甲子朔戊辰と〈日本書紀神武紀〉しるせるぞはじめなる、しかれども此前より、此月の名目のみにあらず、月々の和名は有しなるべし、歌にふるくよめるは、石田王卒之時、山前王哀傷

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0028 作歌に、角障(ツヌサハフ)、石村之道乎(イハレノミチヲ)云々、九月能(ナガツキノ)、四具禮能時者(シグレノトキハ)、黄葉乎(モミヂバヲ)、折插頭跡(ヲリテカザスト)云々と〈萬葉集卷第三雜歌〉みえたり、猶同集に、ながつきとよめる歌數多あり、擧にいとまあらず、扨なが月の解をなせるは、みつね忠岑にとひ侍ける歌に、よるひるの數はみそぢにあまらぬをなど長月といひ初けん、とよめる答に、秋ふかみ戀する人のあかしかね夜をなが月といふにやあるらむ、〈拾遺和歌集卷第九雜下〉とみえたるを初にて、九月夜漸くながき故に、夜長月といふを誤れりと〈奧義抄〉いひ、長月夜の長き時分也と〈下學集〉いひ、九月、なが月、古説に夜の長きをいふとあり、さもあるべきと〈類聚名物考〉いひ、ながつき九月をいふ、長月の義、夜長月ともいへりと〈和訓栞〉解るも、皆拾遺和歌集の歌の意とおなじく、此月分て夜の長ければ稱せるなり、然るを加茂眞淵は、九月をなが月と云は、伊奈我利月の上下を略きいへり、稻は九月に苅をさむる也と〈語意〉いへるを、本居宣長は是によりて、師の考に九月は稻苅月なりといひ、又九月は稻熟(イネアカリ)月にてもあらんか、但シ賀を濁るは、刈にても熟(アカリ)にてもいかヾなるは、音便にて濁るか、はた異意か決めがたしと〈古事記傳訶志比宮卷〉いへり、凡秋三月みながら稻の事もて、月の名を成事、既に七月八月の考にいひ置り、又此月の異名を、いろどり月と〈秘藏抄〉いへるを始として、菊開月、紅葉月と〈莫傳抄〉いひ、小田刈月、寢覺月と〈藏玉集〉いへり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0028 戊午年九月(ナガツキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0028 九月(ナガツキ)〈夜長月也〉

〔萬葉集〕

〈八秋相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0028 遠江守櫻井王奉天皇歌一首
九月(ナガツキ/○○)之(ノ)、其始雁乃(ソノハツカリノ)、使爾毛(ツカヒニモ)、念心者(オモフコヽロハ)、可聞來奴鴨(キコエコヌカモ)、

〔古今和歌集〕

〈五秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0028 なが月のつごもりの日、大井にてよめる、   つらゆき〈◯歌略〉

〔拾遺和歌集〕

〈九雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0028 みつね、たヾみねにとひ侍ける、   參議伊衡
よるひるのかずはみそじにあまらぬをなど長月といひはじめけむ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 こたふ   みつね
秋ふかみ戀する人のあかしかね夜をなが月といふにやあるらん

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 十二月異名 九月ながづき〈◯中略〉 いろどり月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 十二月異名 菊開月 紅葉月〈九月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 十二月異名〈◯中略〉 九〈薄鶉〉 紅葉月 小田刈月 ね覺月

〔妙法寺記〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 天文十八〈己酉〉此年菊月四日〈◯下略〉

〔伊呂波字類抄〕

〈加天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 十月(○○)〈カミナツキ律中應鐘

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 十月 かみなづき 出雲國には鎭祭月といふ

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 應鐘(ヲウシヨウ)〈十月〉神無月(カミナツキ)〈十月諸神皆集出雲大社、故云神無月也、出雲國神有月云也、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 陽月(カミナツキ)〈十月於卦爲坤、恐人疑其無一レ陽、故特謂之陽月、所以見陽氣已萌、見西京雜記、〉神無月(同)〈本朝俗説、見奧儀抄、〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 月倭名 十月〈俗説云、十月天下衆神輻湊出雲國、而他國無神、仍都鄙總無禊祭之禮、故稱此月神月、今所謂カミナヅキハ、是カミナシヅキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 十月(かみなづき) 天下のもろ〳〵の神、出雲國にゆきて、こと國に神なきがゆゑに、かみなし月といふをあやまれり、

〔世諺問答〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 問て云、十月を神無月と申は、何のゆへにて侍るにや、 答、此月を神無月と申は、伊弉册尊崩給月なれば申なり、また四方の木葉ちりすさむ頃なりとて、葉みな月と申人あり、いとおぼつかなし、また諸神、いづもの大やしろへ下給へば、申ともいへり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0029 長月陽月のごときは、漢にもふるくいひ傳へし所也、其中陽月を讀てカミナヅキといひしは、カミノツキといひしことば也、たとへば萬葉集の歌に、神邊山(カミノベヤマ)としるせしを讀て、カミナビヤマといふがごとし、古語にはノといふは轉じてナとなりし事はいくらもあり、水上のごとき、ミノカミといふべきをミナカミといひ、田上のごとき、タノカミといふべきをタナカミとい

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0030 ふがごときこれ也、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0030 六月をみな月といふは、加美那利(カミナリ)月の上下を略けり、十月は陰月にて雷のならねば、かみ無月といひ、六月は專ら雷の鳴故にむかへて此名有、雷をかみとのみいへる事、古への常也、

〔秇苑日渉〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0030 民間歳節下
十月謂之上無月(カミナツキ)〈◯中略〉 按、上無、本邦律名、〈上無、此讀云加彌模〉本名鳳音、樂家相傳爲應鐘、應鐘十月律也、故呼是月上無、〈月名呼爲加彌那詩、義相通、俗或作神無、以國讀近誤耳、〉

〔倭訓栞〕

〈前編六加〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0030 かみなづき 十月をいふ、十は數の極なれば、數皆月の義といへど、神嘗月の義なるべし、我邦の古へも西土にも、神嘗祭は十月なりし事其證多し、古説に神無月の義とし、出雲の故事をいひ傳へり、新續古今集に、
逢ふことを何にいのらん神無月をりわびしくもわかれぬる或、
大物主神の八十萬神を帥ひて、天にのぼりたまふは此月也と、出雲國造家の説也、或は雷無月の義なりといへり、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0030 かみなづき〈十月〉 かみなづきは十月の和名なり、皇國にてかみな月の名目の始てみえしは、甲寅年冬十月(カミナツキ)丁巳朔辛酉と〈日本書紀神武天皇紀〉よまれたり、夫より以下は十月(カミナヅキ)、鐘禮爾相有(シグレニアヘル)、黄葉乃(モミヂバノ)と〈萬葉集〉いひ、十月(カミナヅキ)、鐘禮乃雨丹(シグレノアメニ)とも、十月(カミナヅキ)、雨之間毛不置(アメノマモオカズ)とも〈同上〉みえたり、古今和歌集以下は、擧るにいとまあらず、扨十月を神無月といふは、雷のなき月ゆへ、かみな月と〈義公御隨筆〉仰られし、又神無月といふによりて、無陽などいふもあまりに事むづかし、月令に雷聲ををさむる時なれば、雷無月なるべしと〈類聚名物考〉いへり、又説に應鐘のしらべ、日本にては上無調といへり、應鐘は十月の律なれば、上無月といふ義也と〈兩朝時令、速水見聞私記、秇苑日渉、〉いへり、十月の律、上無調といふ事は、はやく拾芥抄にみえたり、されば此月を上無月と書ても、しかるべしと思ひしに、かみな月と云は、上無月なるべきか、元は上を書して、後に神の字にかへたるは、上無と書ては、名目あたる所ありてよ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 ろしからず、よりて神の字を書歟と〈速水見聞私記〉いへり、又十は數の極也と〈同上〉いひ、左傳に以十月入、曰良月也、就盈數焉といへるによれば、十は盈數にて上なきの稱、故に上無月といひしにや、されば此三説のうちをとるべきなり、西土に陽月といふ、十月は坤の卦に當りて、純陰の月也、陽なきを嫌ふ故に、無陽の月なれども、却て陽月といへり、〈兩朝時令、日本歳時記、〉天下の諸神出雲の國に行給ひて、こと國には神なきが故に、神無月といふ、〈奧義抄〉伊弉册尊崩じ給ふ月なれば、神無月と申なり、〈世諺問答〉四方の木すゑちりすさむ頃なりとて、葉みな月と申人ありと〈同上〉みえたり、陽月のごときは、漢にもふるくいひ傳へし所なり、其中陽月を讀て、神無月カミナヅキといひしは、カミノツキといひしことば也と〈東雅〉いひ、又神嘗月といふ説もあれど、いづれも信じがたし、西土にて國於是乎蒸嘗、家於是乎嘗祀と〈國語〉いへるなどにもとづきて、神嘗月といふ義にとりしとみえて、我邦の古へも、西土にも神嘗祭は十月なりし事、其證多しと〈和訓栞〉いひしなり、さて異名のごときは、かみなかり月と〈秘藏抄〉いひ、神去月と〈莫傳抄〉いひ、鎭祭月と〈八雲御抄〉いひ、時雨月、拾月、初霜月と〈藏玉集〉いへり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 甲寅其年冬十月(カミナツキ)

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 十月(カムナツキ)〈冬寒也、十月神嘗月也、下文曰、冬十月癸巳朔、天皇嘗其嚴瓫之粮、天武紀曰、十月祭幣帛於相新嘗諸神祇、神祇令、季秋神嘗祭、仲冬上卯相嘗祭、下卯大嘗祭、此不十月、類書纂要、薦新民俗于十月新秔之于先塋、後漢書註、正祭外十月嘗稻等、謂之間祀、〉

〔萬葉集〕

〈八秋相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 十月(カミナヅキ)、鐘禮爾相有(シグレニアヘル)、黄葉乃(モミヂバノ)、吹者將落(フカバナリナム)、風之隨(カゼノマニマニ)、
右一首、   大伴宿禰池主、

〔古今和歌集〕

〈五秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 題しらず   よみ人しらず
神無月時雨もいまだふらなくにかねてうつろふ神なびのもり

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 十二月異名 十月神無月〈◯中略〉 かみなかり月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0031 十二月異名 神去月 神無月〈十月〉

〔徒然草〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 十月を神無月といひて、神事にはヾかるべきよしは、しるしたる物なし、本文も見えず、但當月諸社のまつりなき故に、此名あるか、此月よろづの神たち太神宮へあつまり給ふなどいふ説あれども、其本説なし、さる事ならば、伊勢にはことに祭月とすべきに其例もなし、十月諸社の行幸其例も多し、但おほくは不吉の例也、

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 十二月異名〈◯中略〉 十〈菊鶴〉 時雨月 拾月 初霜月

〔伊呂波字類抄〕

〈志天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 十一月(○○○)〈シモツキ〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 十一月 しもつき

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 黄(クワウ)鐘〈十一月〉霜(シモ)月〈此月霜初降也〉暢(チヤウ)月〈月令中冬命之曰暢月也〉六呂〈十一月〉陽復(ヤウフク)〈十一月〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 月倭名 十一月〈俗説云、十一月天頻霜降、故稱此月霜降月、今所謂シモツキハ、是シモフリヅキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 十一月(しもつき) 霜しきりにふるゆゑに、しもふり月といふをあやまれり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 霜月といふ事、漢にもふるくいひし事なれども、それは九月をこそいひけれ、我國にては十一月をいひし也、その月は異なれど、其義をとる事は相同じ、

〔秇苑日渉〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 民間歳節下
十一月謂之霜月 月令廣義曰、集古録韓明府修孔子廟碑曰、永壽二年歳在涒灘、霜月之靈、皇極之日、蓋九月五日也、又曰霜辰、皇極日九月五日也、 熙按、詩豳風、九月肅霜此以夏正言、故九月謂之霜月、今十一月謂之霜月者、各土風氣不同、在本邦大抵十一月乃繁霜、故謂之霜月、豳之土北鄰戎狄、所謂一之日觱發意、雪已降故、在彼九月爲霜月、在此十一月爲霜月、理宜然耳、

〔倭訓栞〕

〈前編十一志〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 しもつき 十一月をいふ、霜月の義也、霜の盛にふるときなれば、名くる成べし、漢には九月を霜降とするは、其初めをいふ也、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0032 しもつき〈十一月〉 しもつきは十一月の和名なり、皇國にて此月の名のふるく

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0033 より見えしは、冬十有一月(シモツキ)丙戌朔甲午と〈日本書紀神武天皇紀〉あるを始とす、夫より以下は、以天平五年冬十一月、供祭大伴氏神と〈萬葉集〉みえたり、歌に舊く此月の名をよめるは、見るまヽに雪げの空と成にけりさらぬにさゆるしもつきの空、と〈秘藏抄〉みえたるを初とす、霜しきりにふるゆへ、霜降月といふを誤れりと〈奧義抄〉いひ、風寒み霜降月の空よりや雪げとみえてくもり初らん、と〈藏玉集〉みえたり、又霜月といふ事、漢にもふるくいひし事なれど、それは九月をこそいひけれ、我國にては十一月をいひし也、その月は異なれど、其義をとる事は相同じと〈東雅〉いへり、又しもつき、この月には霜のいたくふればいふ、舊説さもあるべしと〈類聚名物考〉いひ、十一月の和名を霜月といふ、霜しきりにふる故、霜降月といふと〈日本歳時記〉いひ、霜盛降故曰霜降月と〈歳時語苑〉いひ、しもつき、十一月をいふ、霜月の義なりと〈和訓栞〉いへるがごとく、もはら此月霜降故月の名とせるは、四月を卯月といふも、卯の花盛にひらくる故、卯月といふがごとし、源君美がいへるごとく、西土にては霜初てふれる義をとりて、月の名となし、皇國にては霜盛にふれる月を名付て、霜月といへり、藤原宇萬伎曰、志保美都伎也、保を母に通はせ、美を略ける也、此月にして、木草皆凋ば也と〈十二月名の解〉いへり、按に此月をしも月と云ふは、下の義にもとれり、いかにとなれば、十よりして一にかへりて、十一十二と數をとれば、十一は下にかへる義にて、しも月といふなり、左傳に十は盈數也と、みえたるにても義明かなり、此月の異名のごときは、なかの冬と〈曾丹集〉いひ、つゆこもりのは月と〈秘藏抄〉いひ、雪待月、神歸月と〈莫傳抄〉いひ、雪見月、神樂月と〈藏玉集〉いひ、子月と〈壒囊抄〉いへり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0033 是年也、太歳甲寅、其年冬、〈◯中略〉十有一月(シモツキ)、

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0033 十有一月(シモツキ)〈霜月也、言、霜盛降之時也、詩註有又也、〉

〔萬葉集〕

〈三雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0033 右歌者〈◯歌略〉以天平五年冬十一月(シモツキ)祭大伴氏神之時、聊作此謌

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0033 十二月異名 十一月霜月〈◯中略〉 露こもりのは月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 十二月異名 雪待月 神歸月〈十一月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 十二月異名〈◯中略〉 十一〈りうたん千鳥〉 霜降月 神無月 霜見月

〔伊呂波字類抄〕

〈志天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 十二月(○○○)〈シハス 俗云師馳、律中大呂、〉 臈月〈同十二月〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 十二月 しはす

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 大呂〈十二月〉臘月〈支那十二月之祭名臘、故云臘月也、臘與臈同字也、〉師趨(シハス)〈十二月一年終、諸人事繁而不暫居一レ家、雖師匠亦趨走、故云師趨也、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 師趨(シハス)〈歳之終、庶人事多不暫住一レ家、雖師匠亦趨走、故云爾、〉臘月(同)、季冬(同)、〈日本紀〉

〔二中歴〕

〈五歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 月倭名 十二月〈俗説云、十二月俗競迎法師、或禮佛名經、或令誦諸經、東西馳走、故稱此月師馳月、今所謂シハスハ、是シハセヅキノ略也、〉

〔奧義抄〕

〈上末物異名〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 十二月(しはす) 僧をむかへて、佛名をおこなひ、あるひは經をよませ、東西にはせはしるゆゑに、師はせ月といふをあやまれり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 シハスとは、これも漢に十二月を歳終と云しごとく、歳の終を云也、古語に、年をトシともいひ、トセともいひ、またチともいひし事、前に注せし事のごとく、そのチといひしは、トシといふことば、一たび轉じてシとなり、シといふことば、ふたヽび轉じてチとなりし也、シハスといふがごとき、シとはトシといふことばのひとたび轉ぜし所也、ハスといふはハツ也、スといひツといふも、其語轉ぜし也、我國の語に、凡事の終りをハツといふも、その語の轉ぜし也、凡事の終をばハツとしハテと言也、されば萬葉集に、極の字讀てハツともいへば、俗に極月の字を用ひて、シハスともいふなるべし、

〔語意考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 十二月を志波須(シハス)といふは、登志波都留(トシハツル)月の上下を略き、波(ハ)は本の如し、都(ツ)と須(ス)を通はしいへり、

〔秇苑日渉〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0034 民間歳節下
十二月謂之四極、又曰極月、 貝原損軒曰、是月也四時極盡、故曰四極、〈此讀云四波須〉俗名極月亦此意、豐後

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0035四極山、亦讀云四波都山、〈都須皆一音之轉〉可以徴矣、 熙按、元日曰四始、言歳之始、時之始、日之始、月之始也、四極即四者之極也、極月猶窮稔窮月也、〈四始見潛確類書、窮稔窮月見月令廣義、〉

〔倭訓栞〕

〈前編十一志〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0035 しはす 十二月をいふ、歳極るの義なるべし、萬葉集に、昨日社年者極之賀と見えたり、俗に此月を極月といふも、はつる月の義也、漢にも歳終といふなり、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0035 しはす しはすは十二月の和名なり、師走又四極ともかけり、さて此月の名の始てみえしは、十有二(シハス)月丙辰朔壬午、至安藝國と〈日本書紀神武天皇紀〉書記されたれど、是より前に月々の名目ありし事は、既に上にしるす如し、和歌に此月の名をよめるは、十二月爾者(シハスニハ)、沫雪零跡(アワユキフレド)、不知可毛(シラヌカモ)と〈萬葉集〉みえ、なにとなくしはすの空になりにけりと〈秘藏抄〉よめり、又物へまかりける人を待て、しはすのつもごりにと、〈古今集〉詞書にしるせるをおもへば、あがれる世には今の世の十一月十二月と、音をもてよばずして、しもつきしはすと、となへし事明かなり、さて此月の名義を解はじめたるは、十二月僧をむかへて、經をよませ、東西にはせはしるが故に、師走月といふをあやまれりと〈奧義抄〉いへれど、いと覺束なし、下れる世の説なれども、シハスといふが如き、シとはトシといふ詞の、ひと度轉ぜし所也、ハスといふはハツなり、スといひツといふも、その語の轉ぜし也、我國の語に、凡事の終りをば、ハツともハテともいふなり、されば萬葉集に、極の字讀てハツともいへば、俗に極月の字を用ひて、シハスともいふなるべしと、〈東雅〉辨じたるこそ的當の説にして、はるかに勝れたれ、加茂眞淵、谷川士清、楫取魚彦、藤原宇萬伎等の四人の説、自己の考の如く、此月の名義を辨じたれども、皆前に辨じたる所の、東雅の説なれば、是によりしならん、さて此月の異名を、年はつむ月と〈秘藏抄〉いひ、暮古(クレコ)月、親子月と〈莫傳抄〉いひ、春待月、梅初月、三冬月と〈藏玉集〉いひ、をとこ月と〈年浪草〉いへり、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0035 戊午年十有二(シハス)月

〔日本書紀通證〕

〈八神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 十有二月(シハス)〈歳極(ハツル)也、萬葉集四極(シハツ)山、俗稱極月、亦此意、〉

〔萬葉集〕

〈八冬雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 紀少鹿女郞   梅花歌
十二月爾者(シハスニハ)、沫雪零跡(アワユキフルト)、不知可毛(シラヌカモ)、梅花開(ウメノハナサク)、含不有而(フヽメラズシテ)、

〔躬恒集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 しはすのつもごりの夜なのおにを〈◯歌略〉

〔秘藏抄〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 十二月異名 十二月しはす〈◯中略〉 年よつむ月

〔莫傳抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 十二月異名 暮古月 親子月〈十二月〉

〔藏玉和謌集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 十二月異名〈◯中略〉 十二〈梅鴛〉 春待月 梅初月 三冬月

閏月

〔伊呂波字類抄〕

〈宇天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 閏月〈漢書云、以歳之餘閏、易曰、五歳再閏、俗云潤月訛也、然與依俗説合、〉

〔尚書註疏〕

〈二堯典〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 帝曰、咨汝羲曁和、朞三百有六旬有六日、以閏月四時歳、〈傳、咨嗟、曁與也、匝四時朞、一歳十二月、月三十日、正三百六十日、除小月六六日、是爲一歳有餘十二日、未三歳、是得一月則置閏焉、以定四時之氣、成一歳之暦象、〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 閏月(ジユンゲツ/ウルフツキ) 門玉(モンギヨク)〈杜預以門中玉閏〉 王門〈禮〉 陽餘〈白虎通〉 餘月 二終〈唐書暦志〉 閏餘(ジユンヨ)〈史〉 贏餘(ヱイヨ) 非常(ヒジヤウ)月〈公羊傳〉 叢殘(ソウザン)〈谷梁傳註〉 贏閏(エイジユン) 附餘(フヨ)〈穀梁傳、閏月者附月之餘日也、〉 章閏(シヤウジユン) 歸餘 章月 備閏(ビジユン) 蔀閏(ホウジユン) 門中王〈字彙〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 閏月(ウルフヅキ)〈書言大全、積歳之餘日爲閏月、三年一閏、五年再閏、〉

〔倭訓栞〕

〈前編四宇〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0036 うるふづき 閏月をいふ、閏は潤餘の義なれば、日本紀に潤月ともかけり、 うるふどしといふも、西土に潤年と見えたり、 天の運行、三百六十五度四分度の一にて、一年三百六十日と立て、月に大小あり、過る六日を氣盈とし、不足の六日を朔虚とす、此過不足を合せ、十二日三年積て、三十六日の餘りあるをもて、三年に一閏を立る、五歳に再閏、十九年にして七閏に及べば餘分なし、是を一章といふ、

〔古今要覽稿〕

〈時令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0037 のちのつき〈閏月〉 閏月を以て、うるふづきとよめるは、皇國にては後世の事なり、ふるくはのちの幾月とよめり、日本書紀仲哀天皇紀に、元年冬閏十一月(ノチノシモツキ)とみえたるをはじめとせり、此天皇の御時より以下皆閏月を以て、のちの幾月とよみ來りしを、三百九十年を經て、敏達天皇の十年にあたり、二月に閏あり、潤字を用ひて、のちとよみたり、西土にては秦漢よりして、閏を以て後のそれの月といへり、いはゆる秦二世二年後九月と〈史記秦楚之際月表〉みえ、後九月懷王并呂臣項羽軍と〈漢書高帝紀〉みえたり、且閏を以て歳終に置事古例なり、左傳によるよし、師古が漢書注に辨ぜり、秦用顓帝暦、十月爲歳首と〈天中記引左傳講釋〉いへり、漢は秦の制を用て、以十月歳首、故秦漢以九月歳首、是によりて史記秦楚之際月表、漢書高帝紀等、閏月をばみな歳終に置ゆゑに、後九月と記せり、書紀に閏月を記せる所あまたあれども、潤字を以て塡しは、敏達紀、持統紀のみなり、持統紀には閏月ある毎に、皆潤字を書たり、此頃より潤字にうるふの訓あれば、潤字をうるふとよみならひしなるべし、古今和歌集にうるふ月とみえたれば、その前よりいひし事しられたり、此をもつて考ふるに、持統天皇の紀に閏をしるすに、潤字のみを用ひたりしより、いつとなくのちの月といはずして、うるふとのみとなへし事なるべし、萬葉集には、閏をよめる歌見えずして、延喜の頃より閏月をよめる歌多くみえたり、又五月二つある年、みな月二つある年など、撰集歌集等にあまた出たり、閏をうるひとよみしも歌あり、又同じ歌の初句ばかり、あまりさへとかへて、以下は句上におなじきを、後撰集に入て、よみぬしも貫之なれば同歌也、あまりとよめるもいと面白きことなり、いはゆる先王之正時也、履端於始、擧正於中、歸餘於終と〈左傳文公傳〉みえ、閏月者附月之餘月也と〈穀梁傳〉みえ、黄帝起消息潤餘、則閏蓋餘分之月也と〈史記〉みえ、閏餘分之月と〈説文〉見えたるを以て見れば、是等の説に貫之もよられしなり、また月日のそふとよめるは、歌に、織女のまつに月日のそふよりはあまる七日のあらばあれかし、と〈赤染衞門集〉見え、月のかさなる、或は數くはヽれる

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0038 としと〈新撰六帖〉みえたり、又春の閏月を、春くはヽれる年と〈古今和歌集〉よみ、秋にはあまりある秋とよみ、冬は冬のあまりにと〈六帖古今〉よみ、三冬しそへばとも〈新撰六帖〉よめり、詳にあぐるにいとまあらず、扨西土の書初て閏の事をしるせるは、歸奇於扐以象閏と〈易繫辭〉みえたるを始とせり、年に閏を置事は、四時の氣候をさだめ、水旱風雨の憂を推量し、寒熱温凉其時に應ぜしめて、正時を以て元とせり、且民時農業にかヽはりて肝要の事也、故に期三百有六旬有六日、以閏月四時歳以授民事と〈尚書堯典〉みえたるにても、三代の時より閏を置て以て時を正し、順不順の時氣を補ふ事、聖人以定置給ひし事なり、故に閏は失ふべからず、もし閏を失ふ時は、則百姓何以てか其生を安んぜんや、左氏曰、閏以正時、時以作事、事以厚生、生民之道、於是乎在矣と〈文公傳〉みえたるにても、閏を置ずして、かなはざる事しられたり、又置閏定め大數極まりあり、いはゆる十一歳四閏、十九歳七閏是也と、〈漢書律暦志〉純奏曰、三年一閏天氣小備、五年再閏天氣大備と〈後漢書〉みえ、三年一閏、五歳再閏也、明陰不足陽有一レ餘也、閏也者陽之餘也と〈白虎通〉みえ、凡閏六歳再閏、又五歳再閏、又三歳一閏、凡十九歳七閏爲一章と、〈玉燭寶典引王輔嗣注〉みえたるを以て、置閏の定め次第ある事しられたり、又閏と閏との間月を、隔事三十二月にして、一閏をうるなり、いはゆる大率三十二月則置閏と〈正字通陳氏説引〉みえ、古暦十九歳爲一章、章有七閏、三年閏九月、六年閏六月、九年閏三月、十一年閏十一月、十四年閏八月、十七年閏四月、十九年閏十二月と〈同上〉いへるは、其大率を月に配當せるなり、もし一度失閏ば、十二月螽出るに至れり、是時猶温なればなり、故に十有二年冬十有二月螽と〈春秋〉記せり、又康季子問於孔子曰、今周十二月、夏之十月、而猶有螽何也、孔子對曰、丘聞之火伏而後蟄者畢、今火猶西流、司歴過也と〈家語〉いへり、此閏を失へる事をいはれし也、草木鳥獸無心にして、自から時をしれり、いはゆる惟有黄楊厄閏年と〈東坡詩〉いひ、黄楊木歳長一寸、閏年倒長一寸と〈埤雅〉いひ、俗説歳長一寸過、閏則退、今試之、但閏年不長耳と〈本草綱目〉いへり、梧桐可閏月、無閏生十二葉云々、有閏則生十三葉、視葉小者則知何月也と〈遁甲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0039 〈書〉いへるは、尤よく閏をしるものなり、閏生應月、月生一節、閏輙益一と〈埤雅〉いひ、茈菰歳有閏則十三實と〈爾雅翼〉いひ、牡丹遇閏歳花輙小と〈同上〉みえたり、又椶櫚遇閏則生半片、歳長十二節、閏年増半節と、〈石室奇方〉雲南和山花樹高六七丈、其質似桂、其花白、毎朶十二瓣應十二月、遇閏輙多一瓣と、〈雲南志〉優曇花在安寧州西北十里曹溪寺右、状如蓮有十二瓣、閏月則多一瓣と、〈同上〉鳳尾十二翖、遇閏歳十三翖と〈羽毛考異〉いへり、草木禽鳥よく閏をしれり、

〔暦林問答集〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0039 釋閏月第十九
或問、閏月何也、 答曰、堯典曰、三百有六旬有六日、定四時歳云々、又朱子曰、天體至圓、三百六十五度四分度之一、繞地左旋、常一日一周、而過一度、日麗天而少遲、故日一日亦繞地一周、而在天爲不及一度、月麗天尤遲一日、常不及十三度十九分度之七、積二十九日九百四十分日之四百九十九、而月與日會、又日與天會、而多五日二百三十五分者、爲氣盈、月與日會、而少五日五百九十二分者、爲朔虚、合氣盈朔虚、一歳之内、餘十日九百四十分潤率、故三年有一潤、五歳有再閏、十九年有七閏、而氣朔分齊無毫髮之差、是爲一章之運、今按、失一潤則子之一月入于丑月、失三閏則春季入于夏、失十二潤則子歳入于丑年、故聖人作暦、必歸餘潤、以補月行不於日之數也、其日與天會成二十四氣、必有三百六十日、故自今年冬至來年冬至前一日、必三百六十六日、上會而成一歳、雖閏年亦同、又一月三十日、十二月三百六十日、一歳之常數也、以朔虚之、三百五十四日也、則成日月交會、謂之朔也、於是按乎漢儒之説、日日行一度尤遲、月日行十三度尤速、此法本朝暦家久所用也、但朱子曰、日速月遲、故日月會於晦朔之間、初一日之晩日西墜、微月亦隨之墜矣、初三生明以後、相去漸遠、是日行速進而至半天、月行遲退而不及、亦半天遠矣、自十六日月晦、日行全遠盡一天、月行全不亦盡一天、即日進至本數、月退在本數、而晦朔之間、復相會也、又按、漢宋兩儒之説、可否不之、古今暦家之法、日在進數、月有退數、是以日速月遲乎、凡閏月法雖説、乃三百六十六日、名氣盈、日之不天數六日、則成沒日

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0040 又三百五十四日、小歳之法也、日與月會、而月之不日數六日、則成小月也、名朔虚、此氣朔合、一歳十二日餘、故一年三百五十四日也、三歳得三十六日、則有一閏、猶六日餘、又至于二年二十四日、前餘六日與今二十四日合得一月之數、故五歳有再閏、但知何月者、以推歳之術決定矣、一歳之大數、自今年立春來年立春前日、三百六十六ケ日、是大歳數也、

〔日知録〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0040 閏月 左氏傳文公元年、於是閏三月、非禮也、襄公二十七年十一月乙亥朔、日有食之、辰在申、司歴過也、再失閏矣、哀公十二年冬十二月螽、仲尼曰、今火猶西流、司歴過也、並是魯歴、春秋時、各國之歴、亦自有同者、經特據魯歴之耳、〈史記秦宣公享國十二年、初志閏月、此各國歴法不同之一證、〉成公十八年春王正月、晉殺其大夫胥童、傳在上年閏月、〈上有十二月〉哀公十二年春王正月己卯、衞世子蒯瞶自戚入于衞、衞侯輙來奔傳在上年閏月、〈上有冬〉皆魯失閏之證、杜以爲告、非也、 史記周襄王二十六年閏三月、而春秋非之、則以魯歴周歴非也、平王東遷以後、周朔之不頒久矣、故漢書律歴志、六歴有黄帝、顓頊、夏、殷、周、及魯歴、其於左氏之言閏、皆謂魯歴、蓋本劉歆之説、〈五行志周衰、天子不朔、魯歴不正、置閏不其月、月大小不其度、〉

〔藻鹽草〕

〈二時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0040 潤月 月の數そふ 月のかさなる 春くはヽれる〈夏、秋、冬も同かるべし、但歌には未見、春過て衣ははやくかへてしを又その日にもなるぞあやしき、閏四月一日によめる、〉秋より後の秋とも〈これ閏九月盡をよめる、春夏冬も是をもつて心得おなじことなるべし、〉おなじふ月のかずそふ〈後のふ月共よめり、閏七月をよめる、いづれの月にも云べし、〉日かずをそふ〈これも閏月の心也、但只日數をそふと計にてはいかヾ、閏月のあつかい有べし、〉

〔日本書紀〕

〈八仲哀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0040 元年閏十一月(ノチノシモツキ)

〔日本書紀通證〕

〈十三仲哀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0040 閏(ノチノ)十一月〈閏訓乃知、漢書作後某月、穀梁傳曰、閏月者附月之餘日也、積分而成于月者也、説文曰、餘分之月五歳再閏、告朔之禮、天子居宗廟、閏月居門中、从王在門中、〉
◯按ズルニ、コレ閏月ノ事ノ見エタル始ナリ、

〔日本書紀〕

〈二十敏達〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0040 十年潤二月

〔日本書紀〕

〈三十持統〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 三年閏八月

〔東大寺正倉院文書〕

〈二十八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 越前國郡稻帳天平五年潤三月六日史生大初位下阿刀造佐美麿

〔古今和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 やよひにうるふ月のありけるとしよみける   伊勢
さくらばな春くはヽれるとしだにも人の心にあかれやはせぬ

〔菅家文草〕

〈五詩〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 閏九月盡燈下即事應製〈寛平二扶三〉
年有三秋、秋有九月、九月之有此閏、閏亦盡於今http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001c583.gif 矣、夫得而易失者時也、感而難堪者情也、〈◯下略〉

〔古今和歌六帖〕

〈一歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 うるふ月   つらゆき
うるひさへ有て行べき年だにも春にかならず逢よしもがな

〔本朝文粹〕

〈八詩序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 後三月陪都督大王華亭、同賦今年又有一レ春、各分一字教、   源順

〔後撰和歌集〕

〈四夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 五月ふたつ侍けるに、おもふ事侍て、   よみ人しらず
さみだれのつヾけるとしのながめには物思ひあへる我ぞ侘しき

〔續古事談〕

〈二臣節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 大殿〈◯藤原師實〉ヤヨヒノツモゴリニ、齋院ニ參給テ、次官惟實シテ女房ニタマハセケリ、三月ニ閏月アリケルニ、
春ハマダノコレルモノヲ櫻花シメノ中ニハ散ニケルカナ 女房ノカヘシアリケリ

〔甲陽軍鑑〕

〈十下品第三十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 永祿九年丙寅初の八月廿六日辰刻に、法性院信玄公甲府を御立なされ、後の八月二日に、上野蓑輪へ御著あり、

〔二中歴〕

〈五閏月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0041 萬壽三五〈大〉 長元二二〈大〉 同四年十 同七年六〈大〉 長暦元四 同三十二 長久三九〈大〉 寛徳二五 永承三正 同五年十 天喜元七 同四年三 康平元十二 同四年八 同七年五 治暦三正 延久元十 同四年七 承保二四 承暦元十二 同四年八〈大〉 永保三六 應徳三二 寛治二十〈大〉 同五年七 嘉保元三 承徳元正〈大〉 康和元九 同四年五 長

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0042 治二二 嘉承二十 天永元七〈大〉 永久元三 同四年正 元永元九 保安二五 天治元二 大治元十〈大〉 同四年七 長承元四 同三十二(已下係他本寫加)〈大〉 保延三九 同六年五 康治二二〈大〉 久安元十〈大〉 同四年六 仁平元四 同三十二 保元元九〈大〉 平治元五 應保二二 長寛二十 仁安二七 嘉應二四 承安二十二 安元元九 治承二六 養和元二〈大〉 壽永二十 文治二七 同五年四〈大〉 建久二十二 同五年八〈大〉 同八年六 正治二二 建仁二十 元久二七 承元二四 同五年正(建暦元)〈大〉 建暦三九(建保元) 建保四六 同七年二(承久元) 承久三十 貞應三七(元仁元) 嘉祿三三(安貞元) 寛喜二正 貞永元九 嘉禎元六〈大〉 暦仁元二(嘉禎四) 仁治元十〈大〉 寛元元七 同四年四 寶治二十二(/十日立春) 建長三九 同六年五 正嘉元三〈大〉 正元元十〈大◯大恐衍〉 弘長二七 文永二四 文永五正 文永七九 文永十五〈大〉 建治二三 弘安元十(建治四) 弘安四七〈大◯大恐衍〉 弘安七四 同九十二(/十五日立春) 正應二十 正應五六 永仁三二 永仁五十 正安二七 嘉元元四 同三十二 延慶元八 應長元六 正和三三 正和五十 元應元七〈大〉 元亨二五 正中二正 嘉暦二九〈大〉 元徳二六 元弘三二(正慶二) 建武二十 同五年七(暦應元) 暦應四四〈大〉 康永三二 貞和二九 同五年六〈大〉 觀應三二 文和三十 延文二〈◯南朝正平十二年〉七 延文五四 貞治二正 同四年九〈大〉 應安元六 同四年三 同六年十 永和二七〈小〉 康暦元四〈小〉 永徳二正〈大〉 至徳元九〈小◯本書有誤脱、以三正綜覽補正、〉

〔三正綜覽〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0042 太陽暦閏年、必在我子辰申歳、故不別識一レ之、

〔官報〕

〈四千四百五十六號勅令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0042 朕閏年ニ關スル件ヲ裁可シ、玆ニ之ヲ公布セシム、
 御名 御璽
  明治三十一年五月十一日
                内閣總理大臣 侯爵伊藤博文
                文部大臣 文學博士外山正一

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0043 勅令第九十號
神武天皇即位紀元年數ノ、四ヲ以テ整除シ得ベキ年ヲ閏年トス、但シ紀元年數ヨリ六百六十ヲ減ジテ、百ヲ以テ整除シ得ベキモノヽ中、更ニ四ヲ以テ其ノ商ヲ整除シ得ザル年ハ平年トス、

正五九月

〔日本歳時記〕

〈二正月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0043 世俗、正五九月とて、此三月を拘忌事はなはだし、中華にもかくのごとくなると見えたり、五雜爼に正五九不官、唐より以來此忌あり、清波雜志にいはく、佛法以此三月齋素月、不宰殺、足俗見、今京師官命下、則任初不此三月、而差跌更少、外官無之者、而禍敗更多、何不思之甚也とあり、又瑯琊代酔編にいはく、正五九月不官、戴埴がいはく、釋氏の智論に、天帝釋寶鏡を以て四大神州をてらす、毎月一たび移して人の善惡を察す、此三月南贍部州をてらす、唐人これを以て死刑を行はず、曰三長月(○○○)節鎭因て屠宰をいましむ、不官、後世因之となん、これを以てみれば、浮屠氏の説より出て、儒家の説にあらざれば、是非を論ずるに及ばず、世人かならず、此拘忌になづまずして可なり、

〔燕石雜志〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0043 正五九月
正五九月を避るといふ事は、宋の時の俗忌なれば、本邦には諱〈マ〉でもあるべし、〈◯中略〉我俗この三箇月は娶招(ヨメトリムコトリ)さへ禁るといふこと、いよ〳〵心得がたし、

〔容齋隨筆〕

〈十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0043 三長月
釋氏、以正五九月三長月、故奉佛者皆茹素、其説云、天帝釋以大寶鏡輪四天下、寅午戌月正臨南贍部洲、故當素以徼一レ福、官司謂之斷月、故受驛券、有謂羊肉者則不支、俗謂之惡月、士大夫赴官者輙避之、或人以謂、唐日藩鎭蒞事、必大享軍、屠殺羊豕至多、故不其月上レ事、今之他官不爾也、然此説亦無經見、予讀晉書禮志、穆帝納后、欲九月、九月是忌月、北齊書云、高洋謀魏、其

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 臣宋景業言、宜仲夏上レ禪、或曰、五月不官、犯之終於其位、景業曰、王爲天子、無復下期、豈得於其位乎、乃知此忌相承、由來已久、竟不其義及出何經典也、

〔月令廣義〕

〈二歳令〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 陰陽〈◯中略〉 三長月、〈三長避忌已見、國憲家猷、今上官者多忌正五九月、或謂、宋火徳、火生寅旺午墓戌、此三月爲災月、官員減祿料羊、謂之無羊月、宛委餘編、天帝釋此三月鏡照南贍州、故禁刑罰云々、實祿、武徳三年詔、正五九月十値日不刑屠殺、此三長月斷屠殺之始、〉

〔唐律疏議〕

〈三十斷獄〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 諸立春以後、秋分以前、決死刑者徒一年、其所犯雖時、若於斷屠月(○○○)及禁殺日而決者、各杖六十、待時而違者加二等
疏議曰、依獄官令、從立春秋分、不決死刑、違者徒一年、若犯惡逆以上、及奴婢部曲殺主者、不此令、其大祭祀、及致齊、朔望上下弦、二十四氣、雨未晴、夜未明、斷屠月日、及假日、並不決死刑、其所犯雖時、若於斷屠月(○○○)、謂(○)正月五月九月(○○○○○○)

〔吾妻鏡〕

〈四十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 建長四年四月廿九日壬午、於相州棄古御所事、五月憚否有其沙汰、陰陽師等依召參上、被所存之處、各申状不一揆、所謂晴賢晴茂申憚之由、以平申云、於壞棄者更無憚、又禁忌方同之云云、爲親申云、壞家屋事、五月有(○○○)憚(○)勿論也、但是爲棄置之儀不憚云云、就面々申詞評議、相州被仰云、古賢云、我居宅於壞者、大將軍王相凡不忌云云、況於前將軍幕下哉云云、仍雖五月破却之由被定云云、

〔吾妻鏡脱漏〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 嘉祿元年五月三日癸亥、二品御方、〈◯政子〉鰭板中門、並織戸可立之由有其沙汰、然夏季可其憚哉否、武州〈◯北條泰時〉以御書陰陽師給、入六月而後、鰭板可造云云、雖五月(○○)憚之由云云、
◯按ズルニ、正五九月ノ事ハ、神祇部第宅神篇竈神祭條ニ詳ナリ、

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 日〈人一反 ヒ ヒル 和(/○)ニチ〉 日者〈ヒゴロ コノゴロ〉 日來〈ヒゴロ〉 連日

〔伊呂波字類抄〕

〈伊疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 一時〈日、月、歳、年准之、〉

〔同〕

〈比天象附歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0044 日〈ヒ〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0045 幾日(イクカ) 一日(イチジツ)〈一蓂、一輻、並同、〉 半日(ハンジツ)

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0045 一輻(フク)〈稱一日一輻、按老子云、三十輻共一轂此以稱一輻也、〉 一蓂(メイ)〈稱一日一蓂、是據于帝王世記所謂堯庭生蓂莢之説、〉

〔南留別志〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0045 一ふつか、みか、よかなどのか文字は箇なり、ふつかのひ、みかの日などいふ事を、日を略しつれば、日の字の訓をかといふやうなり、

〔倭訓栞〕

〈前編六加〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0045 か 日をよむは二日三日の類也、日本紀、古今集にいくかの日と書しは、かさね辭也、かは明らかなるをいふ詞也、かすがを春日と書も亦同じ、

〔古事記傳〕

〈十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0045 八日は〈◯中略〉耶加と訓べし、〈◯中略〉さて此〈二日三日八日十日(フツカミカヤカトヲカ)などの〉加(カ)は、日數を云言にて、彼〈◯倭建命〉御歌の迦賀那倍氐も、日々並而にて、日數を並べ計ふるを云なり、〈屈並(カヽナベ)考へなど云説は、みな非なり、〉加(カ)とは、氣(ケ)を通はし云る言にて、氣(ケ)は、經(フル)日數の長きを、此記、又万葉の歌に、多く氣長(ケナガキ)と云、又毎日を、朝爾食爾(アサニケニ)と多くよめる〈食は借字なり〉氣是なり、さてその朝爾食爾を、或は朝爾日爾(アサニヒニ)ともよめるを以て、氣は日數なることを思ひ定めよ、かくて氣は來經(キヘ)の切まりたるなり、來經と云ことは、倭建命段の歌に見えたり、なほ彼處〈傳廿七の九十丁〉に委く云べし、されば二日三日など云は、二來經三來經(フタキヘミキヘ)と云ことなり、〈師説に此加を、數の略にて、七日は七數、八日は八數と云ことなり、故に七日の日八日の日とも云りと云れしはわろし、若數と云言ならば、日にのみはかぎらで、何の數にも云べきに、他には例なくて、只日數にのみ云るはいかに、且七數八數などヽ、數てふ言を添て計むも煩しく、さること有べくも所思ずなむ、又七日の日八日の日などヽ云も、七來經の日八來經の日と云むも、なでふことかあらむ、さて二日より以上はみな伊久加と云を、一日のみは、比止加とは云ぬは、いかなる故にか、未思得ず、凡てかヽる言は、神代のまヽの古言なれば、必所由ありなむ物ぞ、又二日七日は布多加那々加と云べきを、多を都、那を奴と轉し云は、たヾ何となく通音にいひなれたるものなるべし、〉さて日數を計へて、幾日と云には、夜も其中にこもれるを、此の如く八日八夜などヽ分て云も、古語の文なり、〈此は八日の間、夜も晝もと云意ならむと、思人も有ぬべけれど、左に引鎭火祭詞なるは、其意無き例を思ふべし、〉鎭火祭祝詞にも、夜七夜晝七日(ヨナヽヨヒナヌカ)、〈下の夜字、今本には、日と作れども誤なり、元々集に引るに、夜とあるを用ふべし、〉山城風土記にも、神集々而、七日七夜(ナヌカナヽヨ)樂遊とあり、さて此の八も、例の彌の意にて、たヾ幾日もと云意か、又正しく八日八夜にも有べし、

〔日本書紀〕

〈一神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 一書曰、〈◯中略〉天照大神怒甚之曰、汝是惡神、不相見、乃與月夜見尊一日一夜(ヒトヒヒトヨ/○○○○)隔離而住、

〔伊勢物語〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 昔おとこ有けり、〈◯中略〉女がたにゑかく人成ければ、書にやれりけるを、今の男の物すとて、ひとひふつか(○○○○○○)、をこせざりけり、〈◯下略〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 二日(○○)〈フツカ〉

〔萬葉集〕

〈十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046放逸鷹夢見感悦作歌一首并短歌
知加久安良波(チカクアラバ)、伊麻(イマ)布都可(フツカ/○○○)太未(ダミ)、等保久安良婆(トホクアラバ)、奈奴可(ナヌカ/○○○)乃宇知波(ノウチハ)、須疑米也母(スギメヤモ)、伎奈牟和我勢故(キナムワガセコ)、〈◯下略〉

〔萬葉集略解〕

〈十七下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 卷十三、〈◯萬葉集〉久にあらば今七日(○○)ばかり、遠くあらば今ふつか(○○○)ばかりあらんとぞと、いへるに同じ詞なれば、此だみは、ばかりといふ詞とはきこゆ、北國の人は、ばかりといふを、だみといふよし或人いへり、春海は未は爾の誤かといへり、元暦本、未を米に作る、猶考べし、

〔源氏物語〕

〈一桐壺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 日々にをもり給て、たヾ五六日(○○○)のほどに、いとよはうなれば、〈◯下略〉

〔源氏物語湖月抄〕

〈一桐壺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 五六日 細〈◯細流抄〉いつかむゆかと日(か)の字をいれて讀也、

〔釋日本紀〕

〈九述義〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 山城國風土記曰、〈◯中略〉玉依日賣〈◯中略〉孕生男子、至成人時、外祖父建角身命造八尋屋、堅八戸扉、醸八腹酒、而神集集而七日七夜(○○○○)樂遊、

〔萬葉集〕

〈十春相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046
春雨爾(ハルサメニ)、衣甚(コロモハイタク)、將通哉(トホラメヤ)、七日(ナヌカ/○○)四零者(シフラバ)、七夜不來哉(ナヽヨコジトヤ)、

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046是在天天若日子之父天津國玉神、及其妻子聞而、降來哭悲、乃於其處喪屋而、河鴈爲岐佐理持、〈自岐下三字以音〉鷺爲掃持、翠鳥爲御食人、雀爲碓女、雉爲哭女、如此行定而、日八日夜八夜(○○○○○○)以遊也、

〔古事記傳〕

〈十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0046 日八日夜八夜、八日は八夜に對ひたれば、耶比と訓べきが如くなれども、猶耶加

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 と訓べし、中卷倭建命段歌に、迦賀那倍氐、用邇波許々能用、比邇波登袁加袁、これ夜に對へても、日は伊久加と云證なり、〈さて八日は、古今集などに耶宇加と見え、常にも然いへど、そは音便にて、耶を延たるものにて、古言の正しき例には非ず、六日を牟由加と云も同じ、されば耶加牟加と書て、耶宇加牟由加と讀はさもあるべし、〉

〔古今和歌集〕

〈四秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 やうかの日(○○○○○)よめる   みぶのたヾみね〈◯歌略〉

〔和泉式部集〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 安藝守の婦、子うみたるこヽぬかの日(○○○○○○)、ちごのきぬやるとて、
なぬか(○○○)ゆくはまのまさごをかずにしてこヽぬか(○○○○)さへもかずへつる哉

〔日本書紀〕

〈七景行〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 四十年十月癸丑、日本武尊發路之、〈◯中略〉自日高見國還之、西南歴常陸甲斐國、居于酒折宮、時擧燭而進食、是夜以歌之問侍者曰、珥比麼利(ニヒハリ)、莵玖波塢須擬氐(ツクバヲスギテ)、異玖用加禰莵流(イクヨカネツル)、諸侍者不答言、時有燭者、續王歌之末而歌曰、伽餓奈倍氐(カガナベテ)、用珥波虚虚能用(ヨニハココノヨ/○○○○○○○)、比珥波苫塢伽塢(ヒニハトヲカヲ/○○○○○○○)、

〔古今和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 題しらず   よみ人しらず
かすがのヽとぶひののもり出て見よいまいくか(○○○)有て若なつみてん

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 今日(○○)〈イマケフ〉 此日〈ケフ〉 今明〈ケフアス〉

〔伊呂波字類抄〕

〈計天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 今日〈ケフ〉

〔同〕

〈古疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 今日

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 今日(コンニチ/ケフ) 當日 是日 此日 即(ソク/ソノ)日(/ヒ) 不日(フジツ)〈不日也〉 登(トウ)日 登時(/ソノトキ) 時下〈即時也〉 即辰 玆(シ)者〈今日也〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 今日(ケフ) 此日なり、ことけと通ず、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0047 晝ヒル〈◯中略〉 今朝をケサといひ、今日をケフ(○○)といふは、今夜をコヨヒといひ、今年をコトシといふに同じ、ケといひ、コといふは轉語にて、共にコノといふ詞なり、ケサといふはコノアサなり、ケフといふはコノヒなり、ケフといひ、キノフといふ、フといふ詞は、日といふ語の轉ぜしなり、

〔倭訓栞〕

〈前編九計〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 けふ 今日をいふ、此日の義也、ことけと、ひとふと通ぜり、萬葉集に見ゆ、又こふともよみ、菅萬に當日もよめり、

〔延喜式〕

〈八祝詞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 出雲國造神賀詞
八十日日〈波〉在〈止毛、〉今日(ケフ)〈能〉生(イク)日〈能〉足(タル)日〈爾、〉出雲國國造姓名恐〈美〉恐〈美毛〉申賜〈久、◯下略〉

〔古今和歌集〕

〈十八雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 題しらず   よみ人しらず
世中は何かつねなるあすかヾは昨日の淵ぞけふは瀬になる

〔古今和歌集〕

〈六冬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 としのはてによめる   はるみちのつらき
昨日といひけふとくらしてあすか川ながれてはやき月日成けり

〔源氏物語〕

〈一桐壺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 けふはじむべきいのりども、さるべき人々うけたまはれる、

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 昨(○)〈音鑿 キノフムカシ サク〉

〔伊呂波字類抄〕

〈幾天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 昨〈キノフ〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 疇昔(チウセキ)〈昨日也〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 昨日(サクジツ)〈廣韻隔一宵也〉

〔和漢三才圖會〕

〈四時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 昨(きのふ)〈音、一名昔日、疇昔、又名日前、〉 明日(あす)
廣韻云、隔一宵昨、〈訓木乃不〉昨之昨、〈訓乎止止比〉昨夕〈訓與牟部、見日本紀、〉明日〈訓阿須〉明之明、俗謂明後日、〈阿左天〉翌日、〈音赤〉翌明也、 按、今呼事日之次其翌日、則翌用過去、明用未來

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 昨日(キノフ) きのふは、さきの日也、さの字を略す、ふは日也、ふとひと通ず、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0048 晝ヒル〈◯中略〉 昨日をキノフといふ詞は、古語にはキソといひしなり、去年をコゾといひしに同じくして、古をコシカタといふが如く、コゾといひ、キゾといふ、ソといふ詞は、共に語助なるべし、

〔倭訓栞〕

〈前編七幾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 きのふ きのふはけふのむかしといへるは、孟子に昔者をよめり、昨日の義、疇昔之夜は昨夜也、新後拾遺集に、
わかれにし月日やなにの隔にてきのふは人のむかしなるらん

〔日本書紀〕

〈十一仁徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 元年正月己卯、初天皇生日、木莵入于産殿、〈◯中略〉大臣對言、吉祥也、復當昨日(キス/○○)臣妻産時鷦鷯入于産屋

〔竹取物語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 きのふ今日、帝の宣はん事につかむ人聞やさしといへば、〈◯下略〉

〔伊勢物語〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 昔男わづらひて、心ちしぬべくおぼえければ、
つゐにゆく道とはかねて聞しかどきのふけふとは思はざりしを

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 一昨日(ヲトツイ/○○○)〈萬葉〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 一昨日(オトツヒ)〈◯中略〉 おとはあとなり、あとおと通ず、あとつ日なり、昨日のあと也、つはやすめ字也、俗にはおとヽひと云、つととと通ず、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 晝ヒル〈◯中略〉 俗にキノフの前日を、ヲトツヒ(○○○○)といひ、コゾの前年をヲトヽシといふが如き、ヲトといふはヲチ也、今を去る事の遠き也、古語に遠きをいひて、ヲチともヲテともいふ、チといひテといひトといふ、皆轉語にて、ヲトツヒといふ、ツは語助なり、俗にヲトヽヒといふは轉語なり、

〔萬葉集〕

〈六雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049 九年〈◯天平〉丁丑春正月、橘少卿并諸大夫等集彈正尹門部王家宴歌二首、
前日毛(ヲトツヒモ)、昨日毛今日毛(キノフモケフモ)、雖見(ミツレドモ)、明日左倍見卷(アスサヘミマク)、欲寸君香聞(ホシキキミカモ)、
右一首、橘宿禰文成、

〔萬葉集〕

〈十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0049放逸鷹夢見感悦作歌一首并短歌
安之我母能(アシガモノ)、須太久舊江爾(スダクフルエニ)、乎等都日毛(ヲトツヒモ)、伎能敷母安里追(キノフモアリツ)、〈◯下略〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日(○○)〈アス〉

〔伊呂波字類抄〕

〈安天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日 翌日〈アクルヒ〉

〔同〕

〈見疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日

〔同〕

〈與疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 翌日(ヨクジツ)

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 翌(ヨク)日〈次日也〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日 翌日(ヨクジツ)〈又作翼日〉 來日 來辰(シン) 詰(キツ)日〈次日也〉 嗣(シ)日 昱(イク)日〈昱音育、明也、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日(アクルヒ) 翌日(アケノヒ/アクルヒ)〈韻會、明日也、〉 明日(ミヤウニチ)〈來日、來辰、詰日、翌日、並同、〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日(アス) あすとはあかす也、けふあかして後の日也、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 晝ヒル〈◯中略〉 明日をアスといふは、アは開(アク)なり、スと云ふは、キソといふソと同じく語助なり、今夜の明けなむ日をいふなり、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 あす 明日をいふ、あかすの義也、よて眞名伊勢物語に明とのみかけり、列子に日をよめり、來日也、書牘に明幾日といふも通鑑に見えたり、

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 爾其大神出見而、告此者謂之葦原色許男、即喚入而、令其蛇室、〈◯中略〉亦來日(クルヒノ/○○)夜者、入呉公與蜂室、〈◯下略〉

〔古事記傳〕

〈十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 來日は久流比(クルヒ)と訓べし、書紀に明日(クルツヒ)、明旦(クルツアシタ)、明年(クルツトシ)などある訓を見るに、明字なるを、阿久流(アクル)とは訓まで、久流(クル)と訓るは、是古言なるべし、〈但助辭の都(ツ)は心得ず、此助辭を置べき言には非ず、そのかみ此ばかりのことは、誰もよく辨へたるべきを、いかなることにか、〉久流比は翌日(アクルヒ)をいふ、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 戊午年六月、帥軍而進、至熊野荒坂津、〈◯中略〉彼處有人、號曰熊野高倉下、〈◯中略〉明旦(クルツアシタ/○○)依夢中教、開庫視之、果有落劍、倒立於庫底板

〔古事記〕

〈中仲哀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 爾坐其地伊奢沙和氣大神之命、見於夜夢云、〈◯中略〉亦其神詔、明日(クルツヒ)之旦應於濱、獻易名之幣

〔古事記傳〕

〈三十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0050 明日之旦は、阿須能阿斯多(アスノアシタ)と、師〈◯賀茂眞淵〉の訓れたる宜し、〈萬葉十五に、安久流安之多(アクルアシタ)ともあり、又書紀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 〈に、明旦をクルツアシタなど訓れど、此は然るべからず、〉

〔日本書紀〕

〈十一仁徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 十二年八月己酉、饗高麗客於朝、〈◯中略〉明日(クルツヒ)美盾人宿禰、而賜名曰的戸田宿禰

〔倭訓栞〕

〈前編八久〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 くるつひ 日本紀に明日をよめり、來るつ日といふ也、つは助語なり、

〔日本書紀〕

〈十五顯宗〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 二年九月、置目老困乞還曰、〈◯中略〉天皇聞惋痛賜物千段、逆傷岐路重感期、乃賜歌曰、於岐毎慕與(オキメモヨ)、阿甫彌能於岐毎(アフミノオキメ)、阿須用利簸(アスヨリハ)、彌野磨我倶利底(ミヤマガクリテ)、彌曳http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/000000018d5c.gif 哿謨阿羅牟(ミエヌカモアラム)、

〔古今和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 題しらず   よみ人しらず
梓弓をして春雨けふふりぬあすさへふらばわかなつみてん

〔萬葉集〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 中臣朝臣宅守與狹野茅上娘子贈答歌
奴婆多麻乃(ヌバタマノ)、欲流見之君乎(ヨルミシキミヲ)、安久流安之多(アクルアシタ/○○○○○○)、安波受麻爾之氐(アハズマニシテ)、伊麻曾久夜思吉(イマゾクヤシキ)、〈◯中略〉
右八首、娘子、

〔今昔物語〕

〈十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 信濃國盲僧誦法花兩眼語第十八
今昔、信濃ノ國ニ二ノ目盲タル僧有ケリ、〈◯中略〉盲僧一人寺ニ留テ住持ヲ待ツニ、明ル日(○○○)不來ズ、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 あした(○○○) 鄙俗にあすといふべきを、あしたともいふめり、

〔物類稱呼〕

〈五言語〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 明日(あす)、明後日(あさつて)といふ事を、播州赤穗にてあすてり(○○○○)、あさつて(○○○○)照(てり)といふ、〈この所鹽濱なれば、日和よかれと祝していふなるべし、土佐にてきのふり(○○○○)、ゆふべり(○○○○)と云も、是に同じきか、〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 明朝後日(○○○○)〈アサテ〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 明後日(アサテ)

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 明後日(アサテ) あさつてと云ことば、古書にも見えたり、あすさつての後の日なり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0051 晝ヒル〈◯中略〉 アスの明日をアサテといふは、アは明日なり、サとは去なり、テは語助なり、明日の去りての日をさしいふなり、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 あさつて 明後日をいふ、あす去て後の日といふ義也といへり、されど西土には、翌日を明日といひ、其次を後日といふ也、大後日も同じ、此明後日を俗に明後々日といひ、さヽつてともいへり、もとしあさつて(○○○○○)と呼べり、今日より第四日にあたる故也、しあ反さなるをもて、ささつてともいふめり、全淅兵制には、後日をあさつて、大後日をしあさつてと譯す、

〔源氏物語〕

〈十三明石〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 京よりも御むかへに人々參り、〈◯中略〉あさてばかりになりて、れいのやうにいたうもふかさで、わたりたまへり、

〔榮花物語〕

〈十六本の雫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 けふあすの程にとなんときこえさすれば、あさて佛にいとよき日なり、〈◯中略〉おいほうしのゐ所もはらはせ侍らん、わがおもとたちの物わらひ給ことはづかしとの給はせて、いそぎかへらせ給ぬ、

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 兼日(ケンジツ/○○)〈兩日也〉 併日 淹宿(エンシユク)〈經宿也〉 間(カン)日〈隔日也〉 連(レン)日 累(ルイ)日 積日 盈旬(エイシユン) 彌(ビ)旬 刻(コク)日〈刻定期日〉 繼(ケイ)日〈稱後日〉 越(エツ)宿 信宿 幾蓂(キメイ) 多日 屢(ル)日〈◯中略〉 前(セン)日 往昔(ワウセキ)〈往時也、又前代也、〉 疇(チウ)昔〈左傳注、猶前日也、〉 昨(サク)者 日昨 日前 向日 曩(ノウ)日 嚮(キヤウ)時 嚮者 昨之昨 日之前 遥(ヨウ)日 近日 往日 往者(/コノコロ)〈已過之日〉 曩者 平日 日者(/コノコロ)〈往日也〉 曩昔 嚮日〈曩日也〉 乃者(/コノコロ)〈師古云、猶曩者、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 累日(ルイジツ)〈又云積日、翰墨全書、〉 他日(タジツ)〈指南、已往日曰他日、孟子章句、異日也、〉 連日(レンジツ)〈累日、貫旦、積日、多日、並同、〉 來日(ライジツ)〈又云後日〉 毎日(マイニチ) 兼日(ケンジツ)〈兼辰、併日、淹宿、並同、兩日之義、〉 後日(コウジツ/ゴニチ) 往日(サキノヒ) 先日(同)〈前日、遙日、向日、並同、〉 曩昔(同)〈増韻、嚮日也、〉 近日(キンジツ)〈又云幾蓂〉 先日(センジツ) 數日(スジツ)

〔伊呂波字類抄〕

〈都天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 朔(○)〈ツイタチ、月一日也、〉

〔釋名〕

〈一釋天〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 朔蘇也、月死復蘇生也、

〔月令廣義〕

〈三毎月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 初一日、月朔、〈日月會度爲朔、釋韵、月始蘇也、〉

〔運歩色葉集〕

〈津〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0052 朔日(ツイタチ)〈蘇也、生也、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 朔日(ツイタチ)〈又云吉月、活法初一日爲朔、十五日爲望、三十日謂之晦、〉上日(同)〈尚書〉初吉(同)〈毛詩〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 朔 月たつ也

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 日ヒ 朔をツイタチといふは月立也、我國の俗、凡事の始をタツといふ、立春、立秋を、春たつ、秋たつと云がごときこれ也、

〔倭訓栞〕

〈前編十六都〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 ついたち 朔をよめり、月立也、月の立初るをいふ、春たつ秋たつといふがごとし、月吉とも見ゆ、〈◯中略〉白虎通に、朔之言蘇也、明消更生故言蘇也と見ゆ、

〔東都歳事記〕

〈四十二月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 朔日 乙子(オトゴ)朔日とて、諸人餅を製し祝ふ、〈(中略)今日製する餅を、乙子のもちといふ、又川浸(カハヒダリ)餅ともいふ、水土を祀るの義ともいへり、此日餅を食へば、水難なしといへる俗習によりて、武家にてもこの事あり、交代の砌、海上安全を祈らるヽこヽろなるべし、船宿船頭の家にては、とりわき祝ふなり、〉

〔年中行事故實考〕

〈十二十二月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 朔日 俗に乙子のついたちといふ、人家の末子餅をつき祝をなす、いつ頃より始れるといふ義をしらず、一年の終にあたる朔日なるゆゑ、いはひたるにや、

〔日本書紀〕

〈二十七天智〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 十年十一月癸卯、對馬國司、遣使於筑紫太宰府言、月生二日(○○○○)、沙門道久、筑紫君薩野馬、韓島勝、娑々、布師首磐、四人從唐來曰、〈◯下略〉

〔榮花物語〕

〈二十四若ばえ〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 はかなくて萬壽二年正月になりぬ、〈◯中略〉枇杷殿〈◯三條后藤原研子〉には、ことし大饗せさせ給はんとていそがせ給、〈◯中略〉ついたち二日(○○○○○○)臨時客とて、其日女房かずをつくしていろ〳〵をきたり、

〔萬葉集〕

〈六雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 同〈◯大伴〉坂上郞女初月歌一首
月立而(ツキタチテ/○○○)、直三日月(タヾミカヅキ/○○○○)之(ノ)、眉根掻(マユネカキ)、氣長戀之(ケナガクコヒシ)、君爾相有鴨(キミニアヘルカモ)、

〔蜻蛉日記〕

〈下之中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 なほありのことやとまち見るまで、ついたち三日(○○○○○○)〈◯天延元年二月〉の程に、むまの時ばかりに見へたり、

〔榮花物語〕

〈二十五峯の月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0053 かくて皇后宮〈◯三條后藤原娀子、中略、〉つねに三月〈◯萬壽二年〉つごもりに、花とともに別れさせ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 給ぬ、〈◯中略〉ついたち三四日(○○○○○○○)の程に、そうりう院のにしの院といふ所に、おはしまさせ給、

〔日本靈異記〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 災與善表相先現而後其災善答被縁第卅八
同天皇〈◯桓武〉御世、延暦六年丁卯秋九月朔四日(○○○)甲寅酉時、僧景戒發慚愧心、憂愁嗟言、〈◯下略〉

〔おちくぼ物語〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 おとヾ居たちいそぎたまふ、十二月のついたち五日(○○○○○○)と定めたるほどは、しも月のつごもりばかりよりいそぎ給ふ、

〔榮花物語〕

〈二十一後悔大將〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 かくて内大臣殿のうへ〈◯藤原教通妻、中略、〉しはすのつごもりばかりに、いとたひらかにて男君生れたまひぬ、〈◯中略〉ついたち六日(○○○○○○)は、七日の夜なれば、めづらしげなき御事なれども、としのはじめ〈◯萬壽元年正月〉とて、いみじきころなれば、いとヾめでたし、

〔日本靈異記〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054官勢非理爲政得惡報縁第卅五
天皇〈◯桓武〉悲以延暦十五年三月朔七日(○○○)、始召經師四人、爲古麿法花經一部宛、經六萬九千三百八十四文字、〈◯下略〉

〔榮花物語〕

〈二十四若ばえ〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 はかなくついたち七日(○○○○○○)もすぎぬれば、關白どの〈◯藤原頼通〉の大饗は廿日なれば、此みやのは廿三日とさだめさせ給て、われも〳〵おとらじまけじと、急ぎのヽしりたり、

〔蜻蛉日記〕

〈下之中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 ついたち七八日(○○○○○○○)〈◯天延二年三月〉のほどのひるつかた、むまのかみおはしたりといふ、

〔榮花物語〕

〈二十七衣珠〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 左兵衞督〈◯藤原公信〉のこのついたち八日(○○○○○○)〈◯萬壽三月五月〉より、世中心ちわづらひ給し、おなじ月の十五日のあかつきがたに、うせ給にけり、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 望日(モチ/○○)〈十五日也〉

〔釋名〕

〈一釋天〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 望月滿之名也、月大十六日、小十五日、日在東月在西、遙相望也、

〔月令廣義〕

〈三毎月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 十五日、望日、〈月盈也〉

〔隨意録〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0054 朔望之望、以日月東西相望之、則與觀望之望同、説文別作朢、經傳所無焉、聰明之明、與

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055 月之明義亦全同、別作明、亦古之所無焉、佗如斯類、漢以後字學家失古者不寡也、

〔倭訓栞〕

〈前編三十三毛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055 もちづき倭名抄に望月をよめり、海望は十五日なれば滿の義、萬葉集に望月の滿はしけんといふ是也、釋名に望月滿之名也、

〔萬葉集〕

〈三雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055不盡山歌一首并短歌〈◯中略〉
不盡嶺爾(フジノネニ)、零置雪者(フリヲケルユキハ)、六月(ミナヅキノ)、十五日消者(モチニケヌレバ)、其夜布里家利(ソノヨフリケリ)、

〔長明無名抄〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055 一五條三位入道〈◯藤原俊成〉談云、そのかみとし廿五なりし時、基俊の弟子にならむとて、和泉前司道經をなかだちにて、かの車にあひのりて、基俊のいへに行むかひたる事ありき、かの人その時八十五なり、その夜八月十五夜にてさへありしかば、亭主もことにけうに入て、歌の上句をいふ、
なかの秋とをかいつか(○○○○○○)の月を見て、と様々しくながめいでられたりしかば、是をつぐ、きみがやどにて君とあかさむ、とつけたるを、なにの珍らしげもなきを、いみじう感ぜられき、

〔古京遺文〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055 觀世音菩薩造像記
歳次丙寅年正月生十八日(○○○○○○)記、高屋大夫爲韓婦夫人名阿麻古顚、南无頂禮作奏也、
右金銅二臂如意輪觀音像、藏在大和國法隆寺綱封庫、記在其座下、按、丙寅推古天皇十四年也、正月生十八日、謂正月月始見之後第十八日也、當時未暦日、非月之明晦、莫毎月之更改、故以月初見於西方朔、〈訓朔爲月立者以是故也〉猶尚書哉生明、其後雖暦法、然邊鄙猶認月見數日、故天智天皇十年十一月記、對馬國司上言云、月生二日、是足以見古時素樸之風也、

〔榮花物語〕

〈二十三駒競〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055 おほぎさきの宮〈◯一條后藤原彰子、中略、〉ながづきのとうかやうか(○○○○○○)〈◯萬壽元年〉にあからさまに、わたらせ給へるが故に、〈◯下略〉

〔玉勝間〕

〈十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0055 十八日をとをかやうかといへる事 榮花物語こまくらべの卷、善滋爲政が文に、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 九月十八日をながつきのとをかやうかといへり、とをかあまりやうかといふべきを、はぶきていへるはいかヾなれども、上のかをはぶかざるは、さすがにいにしへなり、今の人、上のかをいはずして、とをあまりやうかとやうにかくは、古の例にたがへり、

〔源順集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 初の冬庚申の夜、伊勢のいつきの宮にさぶらひて、松の聲よるのことにいるといふ題にて、奉る歌の序、いせのいつきの宮、秋野の宮にわたり給ひて後、冬の山風さむくなりての初、はつか七日の夜(○○○○○○○)庚申にあたれり、〈◯下略〉

〔新撰字鏡〕

〈日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509cc.gif (○)〈扶菊反、晦也、豆支己毛利、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f00006509cc.gif (○)〈扶菊反、晦也、豆支己毛利、〉

〔釋名〕

〈一釋天〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 晦灰也、火死爲灰、月光盡似之也、

〔月令廣義〕

〈三毎月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 三十日、晦日、〈月盡無光也〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 晦〈音悔ツゴモリ〉

〔運歩色葉集〕

〈津〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 晦日(ツゴモリ)〈灰也、死也、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 晦日(ツゴモリ)、提月(同)、〈又云晦日、公羊傳、月晦日也、〉三十日(ミソカ)、晦日(同)、

〔改正月令博物筌〕

〈十二月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 大年(おほとし)〈大晦日、年のはてゆへ、大の字をそゆるなるべし、〉

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 日ヒ 晦日をツゴモリといふは月隱也、古語にコモルといひしは隱の義也、此夜月晦なればかくいひし也、

〔倭訓栞〕

〈前編十六都〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 つごもり 晦をいふ、靈異記に見ゆ、月隱るの義、新撰字鏡につきごもりとよめり、日本紀に、月盡をよめり、つもごりといふはあしヽ、阿波にてこもりといふは略せしなり、津輕にて十二月小なれば、翌朔日を大晦日とし、正月二日を元日とす、是を津輕の私大といへり、

〔物類稱呼〕

〈一天地〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 晦日つごもり、阿波の國にてこもりといふ、

〔梅園日記〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0056 晦日掃(○○○) 今の世に晦日掃とて、毎月の晦日に、家内を掃除するものあり、是は久しき

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 ならはし也、延喜民部式、左右兵衞式並云、毎月晦日、令諸司仕丁掃除宮中、大内家壁書云、從築山社頭松原同小川、掃除之事、可毎月晦日也など云り、もろこしにも似たる事あり、荊楚歳時記〈廣秘笈本〉云、正月晦日送窮、注云、金谷園記云、高陽氏子痩約、好敝食一レ糜、人作新衣之、即裂破、以火燒穿著之、宮中號曰窮子、正月晦日巷死、今人作糜棄破衣、是日祀于巷送窮鬼、猗覺寮雜記云、唐人以正月下旬窮、韓退之有文、姚合有詩云、萬戸千門看、無人不一レ窮、海録碎事云、池陽風俗、以正月二十九日窮九、掃除屋室、塵穢投之水中、謂之送窮、などあるを見て、唐土にても、正月晦日掃除する事をしるべし、

三旬

〔和漢名數〕

〈節序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 三旬(ジユン)〈十日曰旬、又曰三澣、三浣、〉 上旬〈又曰上澣、上浣、〉中旬〈又曰中澣、中浣、〉下旬〈又曰下澣、下浣、〉

〔月令廣義〕

〈三毎月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 三旬〈十日曰旬、三十日爲三旬、上旬、中旬、下旬、〉三浣〈亦作澣、三旬也、〉三正〈三旬之政、因曰三正、〉盈旬〈滿十日也〉浹旬〈禮、十日曰旬、十二日曰浹、〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 三旬(ジユン)〈十日曰旬、三十日爲三旬、三旬成一月、〉 三浣(クハン)〈亦作澣、三旬也、◯中略〉 盈旬(エイジユン)〈滿十日也〉 浹(セフ)旬〈十二日曰浹旬〉 浹日 浹辰(セフシン)〈十二日也〉 周(シウ)旬〈十日也〉 周辰〈十二日也〉 信次(シンジ)〈左傳云、一宿爲舍、二宿爲信、過信爲次、〉 經(ケイ)旬 上浣(クハン)〈又曰上旬、初一至十日上浣、十一日至二十日中浣、廿一日至廿九下浣、浣與澣同、沐浴也、古制朝臣十日一給假休沐、一月三給假爲浣沐之期、〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 上澣(カン/クワン) 中澣 下澣〈上旬、中旬、下旬之義也、凡百官在朝廷而勤仕時、毎月一旬一度出私宅衣服、謂之上澣也、澣洗也、浣同、又云上浣、中浣、下浣也、往來書状之畢所用之語也、〉

〔干祿字書〕

〈上聲〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 浣澣〈上通下正〉

〔金石萃編〕

〈百三十三宋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0057 承議郞新通守清江郡事瑯瑘王評漢卿奉使岐雍展先塋回登慈恩塔、元祐三年八月上澣題、
按、漢制、公卿以下皆五日一休沐、唐會要、永徽三年、上以天下無虞百司務簡、毎旬假許不事、以便百僚休沐、則唐時十日一休沐矣、休沐亦謂之休澣、唐書劉晏傳、質明視事至夜分止、雖休澣廢是也、宋時百官旬假、循唐故事、故有上澣、中澣、下澣、周益公撰光堯丁亥本命道場滿散朱表、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0058日逾中澣之句、攷其日乃十月二十一日、又撰四月十八日丁亥本命道場朱表、亦云日近中休、然則毎月之二十日爲中澣日、上澣必月之十日矣、一旬之中止一澣日、今人以上澣、中澣、下澣、當上旬、中旬、下旬、既失其旨、又休澣惟有官人乃可之、不於士庶也、〈◯下略〉

〔眞暦考〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0058 一月を三つにきざみて、ついたち、もち、つごもりといへり、そはまづ西の方の空に、日の入ぬるあとに、月のほのかに見えそむる比を始として、それより十日ばかりがほどかけて、月立(ツイタチ)といへり、月のやう〳〵に立ゆくほどなればなり、
月立はついたち 朔の始を定むること、日次にはかヽはらず、今の二日の日にまれ、三日の日にまれ、昏に月の見えそむる日を始とせり、暦に朔とする日は、いまだ月見えざれば、なほ晦の末なり、から國にては、合朔といひて、月と日とまさしく一方に會て、いさヽかも月の光の見えざる日を、朔とはすめれど、皇國の古は然らず、ついたちとは、月立の意にて、月のそらに立て見ゆるをいふなり、立とは空に見ゆるをいふ、霞霧などの立は、下より立のぼるをいふを、これは西の方へ下るころなれば、立といふ意たがへるに似たれども、昨日まで見えざりしが、初めてみゆるは、立のぼるに同じ、さてやう〳〵に昏に高く見えゆくころをかけて、ひろく月立とはいへり、倭健命の、美夜受比賣のおすひのすそに、月水のつきたるを見そなはして、月立にけりとよませ給へるも、天の月の立によせて、月とはのたまへるなり、月立といふ事、これにて心得べし、さて春の立秋のたつなどいふは、から國にいはゆる立春立秋より出たる言か、又はこの月の立よりうつれるか、わきまへがたし、萬葉集に、正月たつとよめるは、月のたつをいへるなり、又今の世の言に、月日のたつといふは、過行ことにて、こは今月の立を、先の月の過たる方へうつしていう言なり、
さて中ごろ十日ばかりがほどを、もちといへり、月の形の滿たればなり、その中に、月立の初より

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0059 十四五日にあたる日の夜の月は、望のきはみなり、
十四五日はとをかあまりよかいつか 望はもち もちとは滿てふ意にて、月の滿たるをいふ名なり、中旬のあひだみながら、空の月まさしく圓にはあらざれども、缺たる所なく、やヽみちたれば然いふなり、さて今望の極みを十五六日といはずして、十四五日にあたる日といへるは、上つ代の朔は、暦の二日三日ごろなればなり、さて伊勢物語に、そのころみな月のもちばかりなりければとあるは、中旬をひろくいへり、六月へかけていへるは、後の詞なれど、中旬をもちばかりといへるは、古の言ののこれりしなり、又萬葉集三の卷の歌に、富士の嶺の雪の事を、六月十五日に消ぬればとよめり、空の月の事ならで、十五日をもちといひしは、これも古言なり、
さて末十日ばかりがほどを、月隱といへり、月のやう〳〵に隱り行ほどなればなり、その中に三十日ごろにあたる夜は、月隱のきはみなり、
月隱はつごもり 此ほどは、月の出ることおそくなりて、やう〳〵に見ゆることすくなくなりゆく故に、月ごもりといふ、つごもりは月隱の意にて、月のかくれて見えぬをいふ名なり、さて暦法に依て見るに、天の月の一めぐりの來經は、廿九日六時あまりにて、廿九日にはあまり、卅日にはたらざる故に、卅日と定めて見れば、月の出入時の、先の月よりは遲くなりて、二月のほどには、おほかた一日たがふ故に、暦には大小の月を分て、二月に一月をば廿九日として、晦朔をとヽのふる事なれども、皇國の上代には、すべて日數にかヽはらざりし故に、たヾ空の月を見て、朔のはじめを、一人は今日ぞと思ひ、いまひとりは昨日ぞと思ひ、今一人は明日ぞとおもひて、心々に定めても、みな違ふことなかりしかば、大小を分ざれども、晦朔のみだれ行ことなかりき、

〔佐喜草〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 月日をかく事 すこしくはしくいひてよからんには、む月のついたち比、〈又はついたちばかり〉みな月のもちばかり、しはすのつごもり比〈又はつごもりかた〉などヽかくべし、〈(中略)ついたち頃は上旬の事、望ばかりは中旬のこと、つごもり比は下旬の事なり、今いふついたち、つごもりとはことなり、ついたちの日、つごもりの日といふは、いまとおなじ、〉又む月かみの十日ばかり、みな月の中の十日ばかり、しはすのしもの十日ばかりともかくべし、〈又む月の十日あまり、みな月の廿日あまりなどともかくべきなり、さてついでにいはん、今の歌人の、む月のはじめの五日ほどやうにかくは、ひがごとなり、こはたヾいつかとかくべし、はじめといふまじき也、十五日廿五日を、中の五日、下の五日とかくなども、ことわりはさる事なれど、そはいかヾなり、〉

〔古事記〕

〈中仲哀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 亦到坐筑紫末羅縣之玉島里而、御食其河邊之時、當四月之(ウツキノ)上旬(カムノトヲカ/○○)

〔古事記傳〕

〈三十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 上旬は波士米能許呂(ハジメノコロ)とも訓べし、都紀多知能許呂(ツキタチノコロ)とも訓べし、〈かみのとをかと云ことは、信明集の歌にもあれど、なほ上代の言には非めれば、然訓はわろけむ、〉都紀多知は月立なり、〈後に朔字を當て、ついたちと云、つきをついと云は音便なり、〇中略〉此に四月上旬とあるは、當時然言しには非ず、後の名を以て語傳へたるなり、

〔源氏物語〕

〈三十三藤裏葉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 四月のついたちごろ(○○○○○○)おまへの藤の花、いとおもしろうさきみだれて、よのつねの色ならず、〈〇下略〉

〔源註拾遺〕

〈藤裏葉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 四月のついたち頃
今案、これは七日也、然るをついたち頃といふは、朔日二日のついたちにはあらず、卯月のたちたる頃なればかくいへり、萬葉第六三日月の歌にも、月たちてたヾみか月と讀り、

〔枕草子〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 これ〈〇雪山〉いつまでありなんと、人々のたまはするに、〈〇中略〉む月の十五日までさぶらひなんと申を、御前にもえさはあらじとおぼすめり、女房などはすべて年の内つごもりまで(○○○○○○)もあらじとのみ申に、あまりとをくも申てけるかな、げにえしもさはあらざらん、ついたちなど(○○○○○○)ぞ申べかりけると、下にはおもへど、さばれさまでななどいひそめてん事はとて、かたうあらがひつ、

〔日本書紀〕

〈十一仁徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0060 三十八年七月、天皇與皇后高臺而避暑時、毎夜自兎餓野鹿鳴、其聲寥亮而悲

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 之、共起憐之情、及(/○)月盡(ツゴモリ/○○)以鹿鳴不聆、

〔枕草子〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 すさまじきもの しはすのつごもりのなが雨

〔濱松中納言物語〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 もろこしのうむれいといふ處に、七月上の十日(○○○○)におはしましつきぬ、

〔源氏物語〕

〈三十五若菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 十月中の十日(○○○○)なれば、神のいがきにはふくずも色かはりて、〈〇下略〉

〔墨本堤中納言家集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061
三月しもの十日(○○○○○)、京ごくのふぢのはなのえ、しはべりけるとき、かれこれまうできて、さけたうべけるついでに、三條右大臣のうたのかへし、〈〇歌略〉

〔源平盛衰記〕

〈四十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 盛綱渡藤戸兒嶋合戰附海佐介渡海事
佐々木三郞盛綱〈〇中略〉其邊ヲ走廻テ浦人ヲ一人語ヒ寄テ、白鞘卷ヲ取セテ、ヤ殿向ノ嶋ヘ渡ス瀬ハ無カ教給ヘ、悦ハ猶モ申サント云ヘバ、浦人答テ云、瀬ハ二ツ候、月頭(○○)ニハ東ガ瀬ニナリ候、是ヲバ大根渡ト申、月尻(○○)ニハ西ガ瀬ニ成候、是ヲバ藤戸ノ渡ト申、〈〇下略〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 白月(ハクゲツ/○○)〈俗云、上十五日、西域記、月盈至滿謂之白分、月虧至晦謂之黒分、又出倶舍論、〉黒月(コクゲツ/○○)〈俗云、下十五日、西域記、白分黒分前後合爲一月、詳倶舍論、〉

三日

〔守貞漫稿〕

〈二十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 朔日、十五日、二十八日、之ヲ三日(○○)ト云、サンジツト訓ジ、式日トモ云、大内ニモ儀式アル歟、未之、追書スベシ、幕府ニテハ諸大名、旗本、御家人ニ至ル迄總登城ニ、大名旗本ハ熨斗目麻上下ヲ着ス、駕籠脇ノ供人、或ハ見附番及ビ辻番迄モ、此三日ニハ麻上下ヲ着ス、

〔將軍徳川家禮典録〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 例月祝日之起根 朔望の禮に廿八日を加へ、三日と祝せしは、徳川家に始れり、〈〇下略〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 廿八日(ニチ)〈近世準朔望、是日設禮爲祝、蓋据宿數之義者乎、〉

〔明良洪範〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0061 或時伏見ニテ神君、〈〇徳川家康、中略、〉先生〈〇藤原惺窩〉ニ御尋有シハ、毎月朔望ノ禮ハ如何成故ト問給フ、先生、是ハ日月ノ明ヲ尊ブヨリ、朔日ハ日ノ始ヲ祝ヒ、十五日ハ月ノ滿ルヲ壽クヨリ起レ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0062 リト答申サル、然バ日月並ニ星ヲモ祝フ可キ義也ト有シニ、サレバコソ廿八日ヲ廿八宿ニ値テテ星ノ終リトテ、漢土ニテハ祝ヒ申事ノ由申サレシカバ、以後我家ノ禮ヲモ定メラレル可ト仰ラレシ由、

〔安齋隨筆〕

〈後編十四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0062 一御當家、朔日、十五日、廿八日の御禮出仕之事、朔日、十五日は昔より有し事也、御禮の事は、權現様三河に御座の時、御家人皆々三河の内、我が在所々々に居てけり、御家人は皆門徒衆なれば、廿八日寺詣して、此上下ついでには御機嫌をうかヾひし也、君御待ありて御逢被遊しと也、此例にて今も廿八日御禮ある也、或説に朔日は日の禮、十五日は月の禮、廿八日は星の禮也と云て、廿八日も上古より御禮有る事のやうにいふは誤り也、朔〈朔日也〉望〈十五日也〉是ノ禮和漢ともに上古より有と、

〔倭訓栞〕

〈前編十六都〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0062 ついたち 毎月の朔望を祝ふは通例にて、内々行事に、毎月朔日、廿八日、御昆布鮑と見えたり、されば廿八日は、神君の時に始るといふ説は心得がたし、

〔將軍徳川家禮典録〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0062 享保十乙巳年
 西丸〈江〉出仕之覺
    月次朔日
一御三家方、并松平加賀守、溜詰、大廊下、御譜代、詰衆、御奏者番、嫡子、高家、御留守居、大御番頭、
    十五日
一萬石以上、并嫡子、 一交代寄合之内、表向より御禮罷出候分、 一表高家、金地院、護持院、
    廿八日
一布衣以上之御役人 一交代寄合 一三千石以上之寄合 一布衣以上之寄合 一法印、法眼之醫師、 一中奧御小性 一中奧御番

〔享保集成絲綸録〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 元文二巳年十月
朔望之外、廿八日御禮可之分、 正月 二月 四月 七月 十二月
廿八日御禮無之分 三月 五月 六月 八月 九月 十月 十一月
 右之通、向後可相心得候、若右之内、廿八日御禮被請候はヾ、前以可相觸候、
一只今迄月次御禮無之時は、四品以上〈江〉、從老中切紙相達候得共、向後は大目付より可申通候間、可其意候、
右之趣可相觸
  十月

〔守國公御傳記〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 公〈〇松平定信、中略、〉同年〈〇天明五年〉十二月朔日、將軍家〈〇徳川家治〉ヨリ召サセラレ、三日及ビ五節句等登城ノ時、溜ノ間ニ出座アルベシ、拜謁ハ、三日ハ御黒書院、五節句ハ御白書院ト特命ヲ蒙リ玉フ、

〔東都歳事記〕

〈一正月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 元日 毎月産土神參〈毎月朔日、十五日、廿八日の三日には、貴賤生土神へ詣す、〇中略〉鐵炮洲稻荷社〈毎月朔日、十五日、廿八日參詣多し、〇中略〉妙見參〈朔日、十五日縁日なり、廿八日にも參詣あり、〇中略〉 十五日 毎月産土參〈朔日に同じ〉 妙見參〈朔日に同じ〇中略〉 廿八日 毎月産土神參〈朔日十五日に同じ〉妙見參〈〇下略〉

三首日

〔日次紀事〕

〈一正月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 凡毎月朔日、十一日、廿一日、三首日、神明、二十一社詣、

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 時〈是夷反トキ〉 時〈古〉

〔段注説文解字〕

〈七上日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631057.gif 四時也〈本春秋冬夏之稱、引伸之凡歳月日刻之用、釋詁曰、時是也、此時之本義、言時則無是者也、〇中略〉从日寺聲〈市之切、一部、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631058.gif 、古文時从http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631059.gif 作、〈之聲也、小篆从寺、寺亦之聲也、漢隷亦有用時者、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631057.gif 四時也〈本春秋冬夏之稱、引伸之凡歳月日刻之用、釋詁曰、時是也、此時之本義、言時則無是者也、〇中略〉从日寺聲〈市之切、一部、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631058.gif 、古文時从http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631059.gif 作、〈之聲也、小篆从寺、寺亦之聲也、漢隷亦有用時者、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 時(トキ)〈字彙、古時字、〉 時(同) 辰(同)〈説文、時也、又日也、〉 節(同) 刻(同) 于(ニ)時(トキ)〈文選註、謂當時也、〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0063 時 ときは疾(トキ)也、はやき意、時は、はやくすぐる物なれば也、

〔倭訓栞〕

〈前編十八登〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 とき 時辰をいふ、常(トコ)の義也、一日の十二時も、一年の四時も、千萬世の時世も、歳月のうつり行まヽに、其常を失はざるをいふなるべし、日本紀に期をよみ、諱訓抄に代もよめり、又疾の義、文選に時來亮急絃と見えたり、

〔類聚名物考〕

〈時令二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 時中 ときなか(○○○○) 半時の事なり、一時の半なればいふ、なかは、なかばの略にて、中といふも前後をのぞけるによりていふべし、

〔大鏡〕

〈四右大臣師輔〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 九條殿は〈◯中略〉時中(ときなか)ばかりありてぞ、御すだれあげさせ給ひて、〈◯下略〉

〔運歩色葉集〕

〈遍〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 片時(ヘンシ/○○)

〔同〕

〈賀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 片時(カタトキ/○○)

〔倭訓栞〕

〈中編四加〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 かたとき 僧清珙が詩に、不心身靜片時と見えたり、今片時を音にもいへり、半時(○○)ともいふ也、

〔空穗物語〕

〈あて宮〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 七條の家、四條の家え、はじめて、かたはらより火をつけて、かたとき(○○○○)にやきほろぼして、山にこもりぬ、

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 暫(○)〈正、蹔今䟅或、 藏濫反 シバラク(○○○○)カリソメ アカラサマ〉

〔同〕

〈三頁〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 斯頃〈シバラク〉 何頃〈同〉 少頃〈同〉 俄頃〈同〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 時間(ジカン/シバラク)〈頃刻之間也〉 斯須(シシユ/シバラク) 倏忽(シユクコツ) 頃間(キヤウカン) 有頃 食頃(シヨクキヤウ) 俄頃(ガキヤウ) 須臾(シユユ/シバラク) 俄間 少間(/シバラク) 少(/シバ)焉(エン/ラク) 少(/シバ)選(セン/ラク) 歘吸(コツキウ) 造次(サウシ/カリソメ) 瞬息(シユンソク/シバシ) 電(テン/シバ)頃(/シ) 暫時(ザンジ) 一伏(フク)時〈一周時也、又一周日也、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 浹辰(シバシ)〈日本紀〉 須臾(シユユ/シバラク)〈文選註少時也〉 斯須(シバラク)〈禮記註、斯須、一離一合之時也、〉 聊且(同)〈文選〉 俄傾(同)〈韵端〉 頃刻(同)〈同上〉 少選(同)〈韵會〉 少時(同)〈頃間、食頃、少間、瞬息、電頃並同、〉 暫(同)〈活法不久也〉 蹔(同) 少焉(シバラクアツテ)〈赤壁賦〉

〔倭訓栞〕

〈前編十一志〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0064 しばし 日本紀に且をよめり、苟且也、今瞬息の意にいへり、
しばらく 暫をよめり、らく反る也、しばしあるを略せる詞なるべし、姑をよめるは姑且の意也、神代紀に頃時をしばらくありてとよめり、聊をよむも苟且より轉ぜるなり、頃之、少之もよめり、頃はほどありての意、少は少時の略也、斯須、須臾、少間なども同じ、又居頃をよめり、居無幾、居無

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 と見えしに同意なり、又少選をよめり、

〔日本書紀〕

〈一神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 素戔嗚尊請曰、吾今奉教、將根國、故欲暫(シバラク)向高天原、與姉相見而後永退矣、

〔日本書紀〕

〈二神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 一書曰〈◯中略〉弟往海濱低佪愁吟、時有川鴈、嬰羂困厄、即起憐心解而放去、須臾(シバラク)有鹽土老翁

〔日本書紀〕

〈七景行〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 二十七年十二月、川上梟帥叩頭曰、且(シバシ)待之、吾有言、

〔萬葉集〕

〈十三相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 反歌〈◯長歌略〉
數數丹(シクシクニ)、不思人者(オモハズヒトハ)、雖有(アラメドモ)、暫文吾者(シバシモワレハ)、忘枝沼鴨(ワスラエヌカモ)、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 暫時(ツカノマ/○○) 節間(同)〈萬葉〉 束間(同)〈事見藻鹽

〔倭訓栞〕

〈前編十六都〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 つかのま 喜撰式に、若詠時時つかのまといふと見ゆ、時の間也、つかは時と通ず、又萬葉集に束間とありて、一握の間にて暫時をいふともいへり、夏野行牡鹿の角のつかの間といへるは、角落てまた手一束ほどに生出たるをいふ也、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 柿本朝臣人麻呂歌三首
夏野去(ナツヌユク)、小牡鹿之角乃(ヲジカノツヌノ)、束間毛(ツカノマモ)、妹之心乎(イモガコヽロヲ)、忘而念哉(ワスレテモヘヤ)、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 時計(トバカリ)〈俗字〉 須臾(同)

〔倭訓栞〕

〈前編十八登〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 とばかり 詞にいふは、それとばかりの義也、とばかり見つる、とばかりやすむなどは、しばしの意なりといへり、細流に時ばかりの義とも見ゆ、

〔源氏物語〕

〈二箒木〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 この男いたくすヾろぎて、門ちかきらうのすのこだつものにしりかけて、とばかり(○○○○)月をみる、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 暫時(タマユラ/○○)〈日本紀、用http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000650fb8.gif、〉

〔倭訓栞〕

〈前編十四多〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0065 たまゆら 玉ゆらに昨日の夕べ見し物をなどいへるは、たまさかの意也と、公

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 任卿の説也、喜撰式にも、邂逅たまゆらと云と見え、八雲御抄には、しばしの義ともみえたり、

〔八雲御抄〕

〈四世俗言〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 たまゆら〈しばし也、公任説、わくらは同事、不然歟、〉

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 正述心緒
玉響(タマユラニ)、昨 夕(キノフノユウベ)、見物(ミシモノヲ)、今朝(ケフノアシタニ)、可戀物(コフベキモノカ)、

〔萬葉集抄〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 わくらはにとは たまさかにと云也

〔古今和歌集〕

〈十八雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 田むらの御時に、事にあたりて、津の國のすまといふところに、こもり侍けるに、宮のうちに侍ける人につかはしける、   在原行平朝臣
わくらばに(○○○○○)とふ人あらばすまの浦にもしほたれつヽわぶとこたへよ

〔伊呂波字類抄〕

〈比辭字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 久〈ヒサシ(○○○)長久也〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十五比〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 ひさし 久をよめり、ひさにとも、ひさヽとも見ゆ、神代直指抄に日去の義といへり、靈異記に淹をよめり、出羽にては、ひやし(○○○)といふ、華巖經維摩經に久如と見ゆ、こは幾時といふに同じ、關西、關東に口語にいふは、やつと(○○○)といひ、又ゑつと(○○○)といふ、出羽によつぱる(○○○○)といふ、世遙(ハルカ)の意なるべし、

〔古今和歌集〕

〈十七雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 題しらず   よみ人しらず
我みてもひさしく成ぬ住の江の岸のひめ松いくよへぬらん

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 何時(イツ/○○) いづれの時を略せり、萬葉に何時をいつとよめり、

〔雅言集覽〕

〈二以〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 いつ〈俗に同、イツ何時のイツ也、過去にも、未來にもいふ、〉

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 正述心緒
夕卜爾毛(ユフケニモ)、占爾毛告有(ウラニモノレル)、今夜谷(コヨヒダニ)、不來君乎(キマサヌキミヲ)、何時將待(イツトカマタム)、

〔倭訓栞〕

〈中編二伊〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0066 いつも 毎をよめり、何時もの義也、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 吹黄刀自歌
河上乃(カハノヘノ)、伊都藻之花乃(イツモノハナノ)、何時何時(イツモイツモ)、來益我背子(キマセワガセコ)、時自異目八方(トキジケメヤモ)、

〔古今和歌集〕

〈四秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 これさだのみこの家の歌合のうた   讀人しらず
いつはとは時はわかねど秋のよぞ物思ふことの限成ける

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 何時(イツゴロ/○○) 何比(同)

〔古今和歌集〕

〈十八雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 貞觀御時、萬葉集は、いつばかり(○○○○○)つくれるぞと、とはせたまひければ、讀てたてまつりける、〈◯歌略〉

〔源氏物語〕

〈一桐壺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 いづれの御時(○○○○○○)にか、女御更衣あまたさぶらひ給けるなかに、〈◯下略〉

〔伊呂波字類抄〕

〈古疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 古今(○○)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 古今(イニシヘイマ)〈増韵、古遠代也、又久也、韵瑞、今是時也、又對古之稱、〉

〔古今和歌集〕

〈序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 歌のさまをもしり、ことの心をえたらん人は、おほぞらの月をみるがごとくに、いにしへをあふぎて、いまをこひざらめかも、

〔源氏物語〕

〈三十二梅枝〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 かうどもは、昔今(○○)のとりならべさせ給て、御かた〴〵にくばり奉らせ給、

〔類聚名義抄〕

〈九亼〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 今(○)〈音金 コム イマ〉 如今〈イマ〉 今者〈イマ〉 方今〈イマニ〉

〔段注説文解字〕

〈五下亼〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 今是時也〈今者對古之偁、古不其時、今亦不其時也、云是時者、如言目前、則目前爲今、目前已上皆古、如言趙宋、則趙宋爲今、趙宋已上爲古、如言魏晉、則魏晉爲今、魏晉已上爲古、班固作古今人表、漢人不與焉、而謂之古今人者、謂近乎漢者爲今人、遠乎漢者爲古人也、作古今人表者、所以補漢書之所無漢已前之厓略也、亦謂三皇至漢以前、迭爲古今人也、古今人用字不同、謂之古今字、張揖作古今字詁是也、自張揖已後、其爲古今字、又不幾更也、古今音之不同、近世言之最詳、自商周近世、不凡幾古今也、故今者無定之䛐、約之以是時則兼賅矣、召南傳曰、今急辭也、今急疊韵、〉从亼⺄〈會意⺄逮也、⺄亦聲、居音切、七部、〉⺄古文及〈見又部

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 如今(イマ)〈白文集〉 且今且今(イマカイマカ)〈萬葉〉 于今(イマニ)

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0067 今イマ〈◯中略〉 今イマ、古語にはウマともいひけり、〈日本紀〉イといひ、ウといふは轉語なり、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 たとへば、魚をイヲとも、ウヲともいふが如し、イマといひ、ウマといふ義の如きは并に不詳、〈イは發語の詞なるべし、古語には、目をマといひぬれば、イマとは目前の時をさして云ひしにや、〉

〔倭訓栞〕

〈前編三伊〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 いま 今をいふ、是時也と注す、日本紀にうまとも見えたり、されば濃州のあたりに、馬と今とを互に謬りたる所あり、或は如今、而今、乃今、今者、在今、今也などをよめり、いは發語、まは目の義、目前の意成べしといへり、中庸に今夫天云々、今夫地云々の如きは、まのあたりをもていふ辭也といへり、我邦の口語も亦然り、又説文には今急也と見ゆ、是も口語に多し、俗にやがてといふに同じ、

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 莵答言、〈◯中略〉今將地時、吾云、汝者我見欺言竟、即伏最端和邇捕我、悉剥我衣服

〔古事記傳〕

〈十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 今將地時、凡そ今と云に三意あり(○○○○○○○○)、一には字の如く常云今なり、二には今一など云て、有が上に猶添むとするを云、三には將然ことの近きを云、〈俗にやがてとも、おつヽけとも云に同じ、即今にともいふなり、〉今返來むなど云是なり、〈此に又一意あり、今早と催すにいふ是なり、又今者と云て、今は此ぞ限と云意に用ることあり、〉こヽは其意にて、地に下むとするほどの近きを云、

〔日本書紀〕

〈三神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 戊午年十月、我卒聞歌、倶拔其頭椎劒、一時殺虜、虜無復噍類者、皇軍大悦、仰天而咲、因歌之曰、伊莽波豫(イマハヨ)、伊莽波豫(イマハヨ)、阿阿時夜塢(アアシヤヲ)、伊莽懷而毛(イマダニモ)、阿誤豫(アコヨ)、伊莽儾而毛(イマダニモ)、阿誤豫(アコヨ)、 十一月、皇軍攻必取、戰必勝、而介冑之士不疲弊、故聊爲御謠、以慰將卒之心焉、謠曰、〈◯中略〉之摩途等利(シマツトリ)、宇介譬餓等茂(ウカヒガトモ)、伊莽(イマ/○○)輪開珥虚禰(スケニコネ)、

〔日本書紀〕

〈九神功〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 九年〈◯仲哀〉十月、新羅王遙望以爲、非常之兵、將己國、讋焉失志、乃今(イマシ)醒之曰、〈◯下略〉

〔伊勢物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 昔わかき男、けしうはあらぬ女を思ひけり、〈◯中略〉昔のわか人は、さるすける物思ひをなんしける、今のおきな、まさにしなんや、

〔古今和歌集〕

〈八離別〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0068 題しらず   在原行平朝臣

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 立わかれいなばの山の嶺におふる松としきかば今かへりこん

〔大和物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 この男〈◯藤原忠文子〉みちの國へくだりけるたよりにつけて、〈◯中略〉道にてやまひしてなんしにけるときヽて、〈◯中略〉をんな、〈◯監命婦〉
しのづかのむまや〳〵と待わびし戀はむなしく成ぞしにける、とよみてなんなきける、

〔類聚名義抄〕

〈二口〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 古(○)〈イニシヘムカシ〉

〔段注説文解字〕

〈三上古〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105a.gif 故也、〈◯中略〉从十口前言者也、〈識前言者口也、至於十則展轉因襲、是爲古在一レ昔矣、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105a.gif 故也、〈◯中略〉从十口前言者也、〈識前言者口也、至於十則展轉因襲、是爲古在一レ昔矣、〉

〔類聚名義抄〕

〈一彳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 往〈羽网反 ムカシイニシヘ〉 以往〈イニシヘ〉 既往〈イニシヘ〉 乃往〈同〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 往昔(イニシヘ) 上世(同)

〔神代卷直指抄〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 いにしへは、へはうつぼ字、いにしは去といふ義也、

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 古(イニシヘ) 今案、いにしはいぬる也、去の義なり、一説へは世也、へとよと通ず、いにし世也、此説も又よし、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 古イニシヘ〈◯中略〉 イニシとは往(イニシ)也、ヘとは語助也、〈春邊夕邊などいふが如し〉

〔倭訓栞〕

〈前編三伊〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 いにしへ 古をいふ、往し方(ヘ)なり、むかしをむかしべといふが如し、祝詞に去前をよめり、いにしへのむかしといへるは古昔の訓なるべし、

〔日本書紀〕

〈一神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 古(イニシヘ)天地未剖、陰陽不分、渾沌如雞子

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 柿本朝臣人麻呂歌四首
今耳之(イマノミノ)、行事庭不有(ワザニハアラズ)、古(イニシヘノ)、人曾益而(ヒトゾマサリテ)、哭左倍鳴四(ナキサヘナキシ)、

〔萬葉集〕

〈七雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069
古毛(イニシヘモ)、如此聞乍哉(カクキヽツヽヤ)、偲兼(シヌビケム)、此古河之(コノフルカハノ)、清瀬之音矣(キヨキセノトヲ)、

〔類聚名義抄〕

〈一彳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 往昔(○○)〈ムカシ〉 往者〈同〉 往日〈同〉 往古〈同〉

〔同〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0069 昔〈音惜 始 ムカシ イニシヘ〉 在昔〈ムカシ〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 昔在〈同〉 昔時〈同〉 昔者〈同〉 曩〈奴黨反ムカシ〉 曩者〈ムカシ〉 曾〈昨稜反ムカシ〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 昔(ムカシ) むなしといふ詞、横の通音にて、かとなと通ず、過去たるあとの事はむなしき也、

〔倭訓栞〕

〈前編三十一牟〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 むかし 昔をよめり、神代紀に嘗をよみ、古語拾遺に久代とも書り、向ひしの義なり、向字をさきにともよめる意、過にしかたといふなり、昔在、在昔、昔者皆同じ、古今集、土左日記などに、むかしべともいへり、へはいにしへの如し、

〔竹取物語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 今はむかし(○○○○○)、竹とりの翁といふものありけり、〈◯下略〉

〔今昔物語〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 釋迦如來人界宿給語第一
今昔(○○)、釋迦如來未ダ佛ニ不成給ケル時ハ釋迦菩薩ト申テ、兜卛天ノ内院ト云所ニ住給ケル、

〔古事記〕

〈中應神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 昔有新羅國主之子、名謂天之日矛、是人參渡來也、

〔日本書紀〕

〈二十五孝徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 大化二年三月壬午、皇太子使使奏請曰、昔在(ムカシ)天皇等、世混齊天下而治、〈◯中略〉現爲明神八島國、天皇問於臣曰、其群臣連及伴造國造所有、昔在天皇日所置子代入部、皇子等私有御名入部、皇祖大兄御名入部、〈謂彦人大兄也〉及其屯倉、猶如古代(ムカシ)而置以不、〈◯下略〉

〔伊勢物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 昔ものいひける女に、年ごろありて、古のしづのおだまきくりかへしむかしを今になすよしもがな、といえりけれど、なにとも思はずや有けん、

〔古今和歌集〕

〈十九雜體〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 ふるうたにくはへて、たてまつれるながうた、   壬生忠岑
あはれむかしへ(○○○○)、ありきてふ、人まろこそは、うれしけれ、〈◯下略〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 當時(○○)〈ソノカミ〉 憶昔〈ソノカミ〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0070 誰昔(ソノカミ)〈毛詩〉 當時(同)〈史記〉 當年(同)〈事文前集〉 當初(同) 宿昔(同)〈白文集〉 徑前(同)〈虚堂録〉 上世(同)〈日本紀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 久代(同)〈同上〉 曩時(同) 往代(同)〈又作往時〉 昔年(同)〈又作昔日

〔倭訓栞〕

〈前編十三曾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 そのかみ 昔時をよめり、禁河書に久代をよめり、石(イソノ)上の義、上世といふが如し、當時をよめるも、上に昔の事をいひて、其時と指の詞なりといへり、もと石上ふるてふ詞より、ふるき事はいひならはせり、

〔空穗物語〕

〈俊蔭〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 そのかみとしかげこのしら木ごとを、この人々に一づヽたてまつる、

〔源氏物語〕

〈四十五橋姫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 そのかみむつまじう思ひ給へし、おなじ程の人おほくうせ侍にける世の末に、〈◯下略〉

〔大和物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 土佐守にありけるさかゐのひとざねといひける人、やまひしてよはくなりて、とばなりける家にゆくとてよみける、
行人はそのかみこんといふものを心ぼそしやけふの別れは

〔冠注大和物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 そのかみ〈◯中略〉 上の語をうけて、その時といへるやうの意也、行さきをもいふといへる説はよろしからず、

〔増補雅言集覽〕

〈二十三曾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 廣足云、こヽは上の語は地の詞、そのかみは病者の歌にて、常いふとは異也、其時といふ意にて、こヽは行さきをさす也、

〔倭訓栞〕

〈中編八古〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 こしかた(○○○○) 來しかたの義也、きしかた(○○○○)も同じ、

〔源氏物語〕

〈四十七總角〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 たヾつく〴〵と聞給て
きしかた(○○○○)を思ひ出るもはかなきを行末かけてなにたのむらん、とほのかにの給、

〔新古今和歌集〕

〈十八雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 題しらず   權中納言資實
こしかたをさながら夢になしつればさむるうつヽのなきぞ悲しき

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0071 前比(サイツコロ/○○) さきの比也、つはやすめ字也、

〔大鏡〕

〈序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 さいつころ(○○○○○)、雲林院のぼだいかうにまうでヽ侍りしかば、〈◯下略〉

〔倭訓栞〕

〈中編十四知〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 ちかごろ(○○○○) 近をよめり、或は近者とみゆ、又屬をよむは師古近なりと注せり、

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 日者〈ヒコロ コノコロ(○○○○)〉

〔同〕

〈三頁〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 頃〈丘頴反 コノコロ〉 頃來〈コノコロ〉 頃者〈同〉

〔同〕

〈九亼〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 今屬〈コノコロ〉 今來〈同〉

〔伊呂波字類抄〕

〈古天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 近日〈コノコロ〉 近來 頃 迺者〈已上同、コノコロ、〉

〔日本靈異記〕

〈中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072持心經女現至閻羅王闕奇表縁第十九
比頃〈コノコロ〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 近頃 頃者(/コノゴロ) 屬(シヨク/コノ)者(/ゴロ) 廼者(/コノゴロ) 近者 邇(ジ)者 比(ヒ)者 玆者 比(/チカゴロ) 近(/同) 屬(シヨク/コノゴロ) 廼間(サイカン) 古昔(コセキ) 在昔(ザイセキ) 遂(スイ)古〈後漢書注、猶往古也、 往古(ワウコ) 往昔 上世 上古〉

〔倭訓栞〕

〈前編九古〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 このごろ 比乃頃、屬間、字或は間者、頃者などをよめり、靈異記に此頃ともみゆ、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 大伴坂上郞女歌
比者(コノゴロニ)、千歳八往裳(チトセヤユキモ)、過與(スギヌルト)、吾哉然念(ワレヤシカモフ)、欲見鴨(ミマクホレカモ)、

〔伊呂波字類抄〕

〈見疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 未來(○○)

〔同〕

〈志疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 將來

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 自(ヨリ)今以後(イマノチ) 向後(同)〈白文集〉 以後(イゴ)〈又作已後〉 餘年(ユクスエ)〈萬葉〉 將來(同) 向後(同/ユクエ) 未然(ユクサキ)〈日本紀舊事紀〉 已後(同)〈同上〉 向前(同)〈文粹〉 未來(ミライ)〈當來、將來並同、〉 自今以後(ジコンイゴ)〈漢王莽傳、又自今以來出史記、〉

〔倭訓栞〕

〈前編三十五由〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 ゆくすゑ 行末の義也、萬葉集に餘年をよみ、續日本後紀の長歌に、將來をよめり、前程をも譯すべし、

〔日本書紀〕

〈七景行〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 二十七年十二月、川梟帥〈◯中略〉即啓曰、自今以後號皇子日本武皇子

〔續日本後紀〕

〈十九仁明〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 嘉祥二年三月庚辰、興福寺大法師等、爲天皇寶算滿于四十、〈◯中略〉長歌詞曰、〈◯中略〉今我帝(イマワガキミ)〈波(ハ)、〉往古(ムカシ)〈爾毛(ニモ)、〉不御坐(オホマシマサ)〈志(ジ)、〉將來(コムヨニ/○○)〈毛(モ)、〉何申(イカニマウサム)〈牟、◯下略〉

〔源氏物語〕

〈一桐壺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0072 あるかなきかに、きえいりつヽものし給を、御らんずるに、きしかた、行末おぼしめ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 されず、

〔源氏物語〕

〈四夕顏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 わが心ながら、かヽるすぢに、おほけなくあるまじきこヽろのむくひに、かくきしかた、行さき(○○○)のためしとなりぬべきことはあるなめり、

〔和漢名數續編〕

〈歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 一日四時(○○○○) 旦 晝 暮 夜 素問、岐伯曰、以一日分爲四時、朝則爲春、日中爲夏、日入爲秋、夜半爲冬、

〔伊呂波字類抄〕

〈知疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 晝夜

〔同〕

〈天疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 朝夕

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 晝夜(チウヤ/ヒルヨル) 朝夕(テウセキ) 旦暮(タンボ) 早晩(サウバン) 晨夕(シンセキ) 旦夕(タンセキ) 晨昏(シンコン) 昏明(コンメイ) 蚤晏(サウアン) 曉(ケウ)夜 夙(シク)夜 昕(キン)夕 日夜 旦(タン)々〈日々也〉 日夕鼂暮(テウボ)〈鼂、古文朝字、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 日夜(ニチヤ) 晝夜(チウヤ)〈昏明義同〉 旦暮(タンボ)〈又云朝暮〉 旦夕(タンセキ)〈又云朝夕〉 朝暮(テウボ)〈旦暮、昏明、晨昏、蚤晏、晨夕、夙夜、昕夜、日夜、日夕並同、〉 朝夕(テウセキ)〈同上〉 晨昏(アケクレ) 旭曛(同) 暾晡(同) 朝暮(同/アサナユフナ) 寅酉(同)〈後太平記〉

〔源氏物語〕

〈一桐壺〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 此比あけくれ御らんずる、ちやうごんかの御ゑ、〈◯下略〉

〔新撰字鏡〕

〈日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 昕〈許斤反、平、晨也、於保安加止支、又阿志太(○○○)〉

〔類聚名義抄〕

〈二月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 朝(○)〈陟驕反 アシタ(○○○) ツトメテ〉

〔段注説文解字〕

〈七上倝〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105b.gif 旦也〈旦者朝也、以形聲、會意分別、庸風崇朝其雨、傳云、崇終也、從旦至食時終、朝此謂至食時乃終其朝、其實朝之義、主謂日出地時也、◯中略〉从倝舟聲、〈陟遙切、二部、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105b.gif 旦也〈旦者朝也、以形聲、會意分別、庸風崇朝其雨、傳云、崇終也、從旦至食時終、朝此謂至食時乃終其朝、其實朝之義、主謂日出地時也、◯中略〉从倝舟聲、〈陟遙切、二部、〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 晨(アシ/シン)朝(タ)〈二字義同〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈之時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 晨朝(ジンデウ)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 晨(アシタ/アサ)〈文選註、朝謂日未出時、晨謂日出時、〉 朝(同) 旦(同) 夙(同)

〔萬葉集抄〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 あくとも、あしたともいふは、しろくなる詞也、

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0073 晨(アシタ) あは、あさき也、したは、下也、日のいまだあさくして、天の下にひきくある時也、

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 一説足立也、夜いねたる者、足たちておくる也、前説を用ゆべし、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 朝アサ〈◯中略〉 アシタともいふは、萬葉集抄に、古語にシタといふは、間(ヒマ)といふ詞なりといふなり、さらばアケシホドなどいふが如し、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 あした 朝旦などをよめり、した反さ也、あさと同じ、

〔萬葉集〕

〈二挽歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 吉備津采女死時、柿本朝臣人麿作歌一首并短歌、
露己曾婆(ツユコソハ)、朝爾置而(アシタニオキテ)、夕者(ユフベニハ)、消等言(キユトイヘ)、霧己曾婆(キリコソハ)、夕立而(ユフベニタチテ)、明者(アシタニハ)、失等言(ウストイヘ)、〈◯下略〉

〔源氏物語〕

〈九葵〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 おとこ君はとくおき給て、女君はさらにおき給はぬあしたあり、

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 朝(○) たまひこ〈或はたまひのとも〉 あさな あさけ〈朝開、朝飯をも、〉 朝あけ 萬には、つととよめり あさまだき 朝びらき〈是朝也〉 あけたつ〈是も朝也〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 朝(アサ) ひるのいまだあさき也

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 朝アサ〈◯中略〉 朝、アサといふは、アサは開也、〈日本紀釋に、開の字讀て、アサといふなり、〉天開き明かなるをいふ也、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 あさ 朝をいふ、あは明く也、さは少也、狹也、豐後の方言に、あすらといへり、すら反さ也、

〔延喜式〕

〈八祝詞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 祈年祭
水分坐皇神等〈能〉前〈爾〉白〈久、◯中略〉皇御孫命〈能〉朝御食夕御食〈能〉加牟加比〈爾、〉長御食〈能〉遠御食〈登〉赤丹穗〈爾〉聞食故、〈◯下略〉

〔萬葉集〕

〈八秋相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 笠女郞賜大伴宿禰家持歌一首
毎朝(アサゴトニ/○○)、吾見屋戸乃(ワガミルヤドノ)、瞿麦之(ナデシコノ)、花爾毛君波(ハナニモキミハ)、有許世奴香裳(アリコセヌカモ)、

〔饅頭屋本節用集〕

〈安時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0074 旦々(アサナ〳〵/○○)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 旦々(アサナ〳〵)〈又云朝々〉

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075物陳
大海之(オホウミノ)、荒礒之渚鳥(アリソノスドリ)、朝名旦名(アサナサナ)、見卷欲乎(ミマクホシキヲ)、不所見公可問(ミエヌキミカモ)、

〔萬葉集〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 三月〈◯天平勝寶七歳〉三日撿挍防人勅使并兵部使人等、同集飮宴作歌、
阿佐奈佐奈(アサナサナ/○○○○○)、安我流比婆理爾(アガルヒバリニ)、奈里氐之可(ナリテシカ)、美也古爾由伎氐(ミヤコニユキテ)、波夜加弊里許牟(ハヤカヘリコム)、
右一首、勅使紫微大弼安倍沙美麿朝臣、

〔萬葉集抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 和語の習、重點を云には、後にはかみの字を略する也、たとへばきら〳〵といはんとてはきらヽといひ、はら〳〵といはんとてははらヽといひ、とを〳〵といはむとては、とををなんど云たぐひ也、又今の人のあさな〳〵と云事を、あさなさなといへる也、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 旦開(アサケ/アサアケ)〈萬葉、又奧儀抄、〉 朝明(同)〈萬葉〉

〔萬葉集〕

〈八秋雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 安貴王歌一首
秋立而(アキタチテ)、幾日毛不有者(イクカモアラネバ)、此宿流(コノネヌル)、朝開(アサケ/○○)之風者(ノカゼハ)、手本寒母(タモトサムシモ)、

〔源氏物語〕

〈二十八野分〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 中將の朝けのすがたはきよげなりな〈◯下略〉

〔新撰字鏡〕

〈日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 昢〈芳昧布佩二反、去、向曙色、阿加止支(○○○○)、〉 旭〈許玉反、旦日欲除也、日乃氐留、又阿加止支、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651ab9.gif 〈各音、阿加止支、〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 曉〈呼鳥反 アカツキ アケヌ アシタ〉

〔段注説文解字〕

〈七上日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105c.gif 明也、〈此亦謂旦也、俗云、天曉是也、引伸爲凡明之偁、◯中略〉从日堯聲、 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105c.gif 明也、〈此亦謂旦也、俗云、天曉是也、引伸爲凡明之偁、◯中略〉从日堯聲、

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 曙〈音署 アカツキ アキラカ アケヌ アサホラケ ヒル〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 曉曙(アカツキアケボノ)〈二字義同〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 厥明(アカツキ)〈代酔、厥明、質明並則已曉也、〉 質明(同)〈見上〉 曉(同)〈廣韵曙也〉 五更〈萬葉〉 旭(同)時〈萬葉〉

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0075 曉 しのヽめ〈凌晨とかけり〉 山かつら〈曉天雲也〉 ありあけ あけくれ 曉をば、萬にあか

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 ときともいへり、たまくしげ〈曉名也〉 萬、あかつきこめて、〈夜中心也〉 しぎのはねがきなどよめるは、たヾあか月ある事なり、ねざめといふおなじ事也、 いなのめともいへり〈稻目とかけり、在六帖、〉 いなひめ、いなのめ、〈同事也〉 萬十に、いなひめのあけ行と云り、これ曉なり、あかつきを、あけがたとはよむべからざるよし、定家説也、

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 曉(アカツキ) 夜のあけ方、あか時也、つととと相通ず、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 晝ヒル〈◯中略〉 曉、アカツキといふは、古語にはアカトキといひけり、アカとは開(アク)也、トキとは時也、天開け明なる時をいふ也、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 あかつき 曉をいふ、日本紀に雞明を訓じ、萬葉集には旭時と書り、あかときともよめり、明時の義也、新撰字鏡に昕をおほあかときとよめり、

〔日本書紀〕

〈二十二推古〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 十九年五月五日、藥獵於莵田野、取鷄(アカ)鳴時于藤原池上、以會明(アケボノ)乃往之、

〔萬葉集〕

〈二相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 大津皇子竊下於伊勢神宮上來時、大伯皇御作歌、
吾勢枯乎(ワガセコヲ)、倭邊遣登(ヤマトヘヤルト)、佐與深而(サヨフケテ)、鷄鳴(アカトキ/○○)露爾(ツユニ)、吾立所霑之(ワレタチヌレシヽ)、

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076物陳
旭時(アカトキ/○○)等(ト)、鷄鳴成(カケハナクナリ)、縱惠也思(ヨシエヤシ)、獨宿夜者(ヒトリヌルヨハ)、開者雖時(アケバアケヌトモ)、

〔萬葉集〕

〈十二古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076物陳
夕月夜(ユフヅクヨ)、五更(アカトキ/○○)闇之(ヤミノ)、不明(ホノカニモ)、見之人故(ミシヒトユエニ)、戀渡鴨(コヒワタルカモ)、

〔萬葉集〕

〈十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 海邊望月作歌
伊母乎於毛比(イモヲオモヒ)、伊能禰良延奴爾(イノネラエヌニ)、安可等吉(アカトキ/○○○○)能(ノ)、安左宜理其問理(アサギリコモリ)、可里我禰曾奈久(カリガネゾナク)、

〔源氏物語〕

〈五若紫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0076 曉がた(/○○○)に成にければ、法花三昧をこなふだうの懺法のこゑ、山おろしにつきて聞えくる、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 彼誰時(カハタレドキ/○○○)〈本朝俗、斥黎明爾、猶黄昏誰彼時、蓋對人面分明之謂、〉

〔萬葉集抄〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 かはたれどきとは、かれはたれどきと云也、ゆふべをたそかれどきと云がごとくに、曉をかはたれどきといへる也、

〔萬葉集〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 二月〈◯天平勝寶七歳〉十四日下野國防人部領使正六位上田口朝臣大戸進歌數十八首、〈◯中略〉
阿加等岐乃(アカトキノ)、加波多例等枳爾(カハタレドキニ)、之麻加枳乎(シマカキヲ)、己枳爾之布禰乃(コギニシフネノ)、他都枳之良受母(タヅキシラズモ)、

〔類聚名義抄〕

〈二月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 未明〈アケホノ(○○○○)〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈安時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 曙(アケボノ)

〔増補下學集〕

〈上一時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 未明(アケボノ) 平明(同) 早旦(アケボノ) 凌晨(アケボノ)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 晨明(アケボノ)〈淮南子、日拂於扶桑晨明、〉 明發(同)〈文選註、初曉時也、〉 凌晨(同)〈平明、昒昕、早旦、未明、並同、〉 曙(同)〈文選註、旦明也、又云曉也、〉 會明(同)〈舊事紀〉

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 あけぼの 曙をよめり、詩經に明發をよみ、日本紀に會明、昧爽、古事記に開明など書り、明んとして物のほのかに見ゆる時也、よてほの〴〵とあかしの浦などともつヾけり、歌の題に春曙といふ時は、花などもまだ咲出ぬむ月の末より、二月の初めのほど成べしといへり、

〔日本書紀〕

〈五崇神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 四十八年正月戊子、會明(アケボノ)兄豐城命以夢辭、奏于天皇、〈◯下略〉

〔日本書紀〕

〈十一仁徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 三十八年、俗曰、昔有一人、往兎餓宿于野中、時二鹿臥傍、將鷄鳴(アカツキ)、牡鹿謂牡鹿曰、〈◯中略〉時宿人心裏異之、未昧爽(アケボノ)、有獵人以射牡鹿而殺、

〔日本書紀〕

〈十四雄略〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 八年、高麗諸將未膳臣等相戰皆怖、〈◯中略〉會明(アケボノ)、高麗謂、膳臣等爲遁也、悉軍來追、乃縱奇兵、歩騎夾攻、大破之、

〔枕草子〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0077 春はあけぼの、やう〳〵しろくなりゆく、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 昧莫(ホノクラシ/○○)〈欲明之時也、出文選、〉 黎明(同) 行黒(同) 晻々(同)〈説文、晻不明也、〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十三保〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 ほのくらし 明ぼのヽうすぐらき時をいふ、日本紀に凌晨、昧旦などを訓ぜり、

〔日本書紀〕

〈十九欽明〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 十四年十月己酉、百濟王子餘昌〈◯註略〉悉發國中兵高麗國、〈◯中略〉餘昌〈◯中略〉凌晨(ホノクラキ)起見曠野之中、覆如青山、旌旗充滿、

〔日本書紀〕

〈二十五孝徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 大化元年八月庚子、是日、設鍾匱於朝、詔曰、〈◯中略〉其收牒者、昧旦(ホノクラキトキ/アケボノ)執牒、奏於内裏

〔源氏物語〕

〈六末摘花〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 まだほのぐらけれど、ゆきの光に、いとヾきよらにわかうみえ給ふを、老人どもゑみさかえてみ奉る、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 昧爽(アケグレ/○○)〈代酔、(中略)昧暗也、爽明也、明暗相雜也、〉 昧旦(同)〈毛詩註、天欲明、昧晦未辨之際也、〉 遲明(同)〈漢書〉

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 あけぐれ 文選に昧爽をよめり、あけやみともいふ、夜の明んとして一しきり暗くなる時なり、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 丹比眞人笠麻呂下筑紫國時作歌一首并短歌
吾妹兒爾(ワギモコニ)、戀乍居者(コヒツヽヲレバ)、明晩乃(アケグレノ)、旦霧隱(アサギリガクリ)、鳴多頭乃(ナクタヅノ)、哭耳之所哭(ネノミシナカユ)、〈◯下略〉

〔源氏物語〕

〈四十七總角〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 あけぐれのほど、あやにくにきりわたりて、空のけはひひやヽかなるに、月はきりにへだてられて、木のしたもくらくなまめきたり、山里の哀なる有様思出給、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 旦未(アサマダキ/○○) 朝速(同)

〔倭訓栞〕

〈前編二十九末〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 まだき 未しき也、〈◯中略〉朝まだき起てといふも、おくべき時分のまだいたらぬ也、

〔拾遺和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0078 題しらず   兵部卿元良親王
あさまだきおきてぞみつる梅花夜のまの風のうしろめたさに

〔饅頭屋本節用集〕

〈之時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0079 篠目(シノヽメ/○○)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0079 凌晨(イナノメ/○○) 凌晨(シノヽメ)〈白文集、八雲抄、〉 五更(同)〈萬葉〉 篠目(同)〈俗字〉 東雲(同)〈同上〉

〔冠辭考〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0079 いなのめの〈あけゆきにけり〉又しのヽめの〈ほから〳〵と明行ば〉
萬葉卷十に、〈七夕の歌〉相見久(アヒミマク)、猒雖不足(アキタラネドモ)、稻目(イナノメノ)、明去來理(アケユキニケリ)、舟出爲牟孋(フナデセムイモ)、こを曉のことヽは誰もいへど、そのよしをいはねば、おもふに、いなのめとはあしたの目てふ語也けり、何ぞなれば、古事記に、〈神武條〉降此刀状者、穿高倉下之倉頂、自其墮入、故阿佐米余玖汝取持、獻天神御子、故如夢教而、旦見己倉者、信有横刀といへり、この阿佐米余玖は旦目吉(アシタメヨク)也、〈後世の人も、あしたに吉もの見れば、朝目よしと悦ぶ是也、〉日本紀にも、高倉曰唯唯而寤之明旦云々と同じ事あり、この寤之明旦と、右の阿佐米と同じことにて、かつ阿佐(アサ)と阿志多(アシタ)と又同じ語也、〈志多反は佐なれば也〉さて其阿志多の阿志を反せば伊となる、多と奈は韻通へり、然れば伊奈(イナ)のめの明ゆくとは、あしたの目の明ゆくてふこと也、故に此語を夜の明ることに冠らせたり、〈◯中略〉古今和歌集に、しのヽめのほがら〳〵と明ゆけばてふも、朗らかに明行とつヾけて、右の伊奈の目の明ゆくと同じ語也、いかにぞなれば、しのヽめは、しなのめともいはる、〈奈と乃は常に通ふ〉そのしなを反せば佐(サ)となりて、しなのめは佐の目となる、さてその佐の目は、阿佐(朝)の目のあを略きたるなれば、右に伊奈のめは阿志多の目てふ事といへるに全く同じき也、〈上にいふ如く志多反も佐也、志奈反も佐也、多と奈とは同じ韻也、〉田舍人の、夜の目佐の目もあはせずといふは、夜の目朝の目をも合せぬてふなるを思へ、又おもふに、いなのめの明とは、寢目明(イネノメノアク)とも意得べし、宿(イ)を寢たる目の覺るを、目の開といふは俗なるやうして古語也、

〔倭訓栞〕

〈前編十一志〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0079 しのヽめ 東雲をよめるは、曉の雲の細やかに明わたるを、篠の芽にたとへいふなるべしといへり、神代紀に細開磐戸窺之と見えたる、是しのヽめの明行空の言本也とぞ、

〔古今和歌集〕

〈十三戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0079 題しらず   よみ人しらず

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 しのヽめのほがら〳〵と明ゆけばおのが衣々なるぞかなしき

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 天明(ホノ〳〵)〈平旦之義〉 朗々(同) 會明(同)〈萬葉〉 髴々(同)〈若々、幽幽並同、〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十八保〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 ほの〴〵 ほのかに明る貌なり、人麻呂のほの〴〵の詠は、晋謝靈運が詩に、中流袂就判、欲去情不忍、顧望脰未悁、汀曲舟已隱といへる意なるべし、

〔伊勢物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 うちなきてあばらなるいたじきに、月のかたぶくまでふせりて、こぞを思ひ出てよめる、〈◯中略〉夜のほの〴〵と明るに、なく〳〵歸りにけり、

〔古今和歌集〕

〈九羈旅〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 題しらず   よみ人しらず
ほの〴〵と明石の浦のあさ霧に島がくれゆく舟をしぞ思ふ
この歌は、ある人のいはく、かきのもとの人丸が也、
◯按ズルニ、此歌今昔物語卷二十四ニハ小野篁ノ歌トセリ、

〔饅頭屋本節用集〕

〈安時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 有明(アリアケ/○○)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 稱明(アリアケ)〈又作有晨

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 ありあけ 有明の義、十六夜以下は夜は已に明るに、月は猶入らで有る故にいふなり、或は晨明をよめり、

〔古今和歌集〕

〈十三戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 題しらず   みぶのたヾみね
有明のつれなくみえし別より曉ばかりうき物はなし

〔千載和歌集〕

〈十七雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 秋比山寺にて讀侍ける   藤原良清
おもふこと有明かたの鹿の音は猶山ふかく家ゐせよとや

〔運歩色葉集〕

〈阿〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 平旦(アサボラケ/○○)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0080 朝開(アサボラケ)〈萬葉〉 朝朗(同) 明卒(同)

〔萬葉集抄〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 世間乎(よのなかを)、何物爾將譬(なににたとへん)、旦開(あさぼらけ/あさびらき)榜(こぎ)去師(ゆく/こし)船之(ふねの)、跡無加如(あとなきがごと)、この歌の中の五文字、古點にはあさぼらけと點せり、此詞ふるくはあさひらけ(きイ)といひけりとみえたり、〈◯中略〉あさひらきといへる、なにのきヽにくヽ、あはざる心あれば也、あさぼらけと點したるとおぼつかなし、

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 旦開(アサボラケ) 朝びらけなり、仙覺が説也、あした雲のひらけ、夜のあくる也、

〔倭訓栞〕

〈前編二安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 あさぼらけ 朝ぼの明の約りたる辭なるべしといへり、常に朝朗とかけり、古今集より見えたり、

〔類聚名物考〕

〈時令二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 あさぼらけ 朝朗 あさぼらけとは、〈◯中略〉朝朗といふ字の如し、朝ぼの明の略語かともいへり、

〔古今和歌集〕

〈六冬〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 やまとのくににまかれりける時に、ゆきのふりけるをみてよめる、   坂上これのり
朝ぼらけ(○○○○)有明の月と見るまでに吉野の里にふれる白雪

〔新撰字鏡〕

〈日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651aba.gif 旽〈同土屯反、平、日初出時也、明也、豆止女天(○○○○)、又阿志太、〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 旦〈音但 アシタ アケヌ アカツキ ツトメテ〉

〔段注説文解字〕

〈七上日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105d.gif 明也〈明當朝、下文云、朝者旦也、二字互訓、大雅板毛傳曰、旦明也、此旦引伸之義非其本義、衞風信誓旦旦、傳曰、信誓旦旦、然謂明明然也、〉从日見一上一地也〈易曰、明出地上㬜、得案切、十四部、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105d.gif 明也〈明當朝、下文云、朝者旦也、二字互訓、大雅板毛傳曰、旦明也、此旦引伸之義非其本義、衞風信誓旦旦、傳曰、信誓旦旦、然謂明明然也、〉从日見一上一地也〈易曰、明出地上㬜、得案切、十四部、〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 夙(ツト/シユク)〈早也〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 晨(ツト)〈早朝也〉 夙(同) 始旦(同)

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 夙(ツト) つとめて也、はやき意、あしたはやきを云、

〔古事記〕

〈中神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0081 高倉下答曰、〈◯中略〉故如夢教而旦(○)見己倉者、信有横刀、故以是横刀而獻耳、

〔古事記傳〕

〈十八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 旦は都登米氐(ツトメテ)と訓べし、凡て夜有し事を云て、其明旦(アクルアシタ)のことを、都登米氐とは云なり、

〔伊勢物語〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 昔おほやけおぼして、〈◯中略〉在原なりける男の、まだいとわかヽりけるを、此女あひしりたりけり、〈◯中略〉つとめて(○○○○)とのもづかさの見るに、くつは取て、おくになげ入てのぼりぬ、

〔伊勢物語新釋〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 つとめては、朝とくの意にはあれども、おほくはよべの事よりかけていふやうの所にいふ詞也、こヽもよべは女の里にゆきてねて朝とく也、

〔源氏物語〕

〈四夕顏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 つとめて(○○○○)すこしねすぐし給て、日さし出る程にいでたまふ、

〔倭訓栞〕

〈中編一安〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 あくるころほひ(○○○○○○○) 黎明遲明などをよめり

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 朏明(アケガタ/○○)〈淮南子、將明曰朏明、〉 邌旦(同)

〔源氏物語〕

〈四十五橋姫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 明がたちかくなりぬらんと思ふ程に、ありししのヽめおもひ出られて、〈◯下略〉

〔源氏物語〕

〈四夕顏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 いざよふ月にゆくりなくあくがれんことを、女はおもひやすらひ、とかくのたまふ程、にはかに雲がくれて、あけ行空いとおかし、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 更大伴宿禰家持贈坂上大孃
夜之穗杼呂(ヨノホドロ/○○○○○)、吾出而來者(ワガデヽクレバ)、吾妹子之(ワギモコガ)、念有四九四(オモヘリシクシ)、面影二三湯(オモカゲニミユ)、

〔萬葉集抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 よのほどろとは、よのひかると云也、夜のあくるを云也、しのヽめのほがら〳〵とあけゆけばなど云も、ひかりあくる心也、

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 雞鳴(ケイメイ)〈丑八時〉 平旦(ヘイタン)〈寅七時〉 日出〈卯六時〉

〔増補下學集〕

〈上一時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 遲明(チメイ)〈早朝〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0082 曉旦之類 昧爽(バイサウ/アケグレ)〈欲明而未明之時〉 昧旦(バイタン) http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651579.gif (バイ)爽〈未曉曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000651579.gif〉 嚮晨(キヤウシン)〈詩〉 向(キヤウ)曉 五曉(ケウ)〈五更將曉也、李詩、夜々達五曉、〉 爽旦(サウタン) 黎明(レイメイ/アクルコロヲヒ)〈天未明之間〉 黎旦(レイタン)〈天將曉也〉 爽曙(シヨ) 曙(シヨ/アケボノ)〈東方明也〉 平明 旦(タン)明〈平旦也〉 平曉 雞晨(ケイシン) 昒昕(コツキン)〈初曉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 〈也〉 明發(メイハツ)〈同上〉 厥明(ケツメイ)〈其日之曉也、周禮、〉 質明(シツメイ)〈平明也〉 凌(レウ)朝〈清晨也〉 詰(キツ)朝〈左傳注、平旦也、〉 侵(シン)早 夙晨(シクシン) 詰旦(キツタン)〈平旦也、又翌日、〉 崇朝(ソウテウ)〈自朝至食時〉 清朝 平旦 際明(サイメイ)〈徹曉曰際明〉 大昕(キン)〈説文、昕旦明也、〉 朝朗(テウラウ/アサボラケ)〈明旦、朝旦並同、〉

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 七年四月丁亥朔、欲齋宮之、癸巳食卜、仍取平(トラ/○)旦(/○)時驚蹕、

〔内裏式〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 十六日踏歌式
早旦(○○)、天皇御豐樂殿、賜宴次侍從以上

〔内裏式〕

〈中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 五月五日觀馬射
其日未明(○○)、中務省置尋常位於庭中、〈◯中略〉平明(○○)、皇帝出宮就御座、〈◯中略〉
十一月新嘗會式
其日遲明(○○)、皇帝廻神嘉殿御殿訖、

〔儀式〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 釋奠講論儀
其日〈◯二月上丁〉質明(○○)、所司立高座於堂上

〔類聚名義抄〕

〈二月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 今朝〈ケサ〉 明朝〈アス〉

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 今朝をケサといひ、今日をケフといふは、今夜をコヨヒといひ、今年をコトシといふに同じ、ケといひ、コといふは轉語にて、共にコノといふ詞なり、ケサといふはコノアサなり、

〔類聚名義抄〕

〈一一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 晝〈音宙 ヒル(○○) 和チウ〉

〔段注説文解字〕

〈三下畫〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105e.gif 日之出入、與夜爲介、从畫省从日、〈按、今篆體蓋亦少一横、陟救切、四部、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105e.gif 日之出入、與夜爲介、从畫省从日、〈按、今篆體蓋亦少一横、陟救切、四部、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈比天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 晝〈ヒル、日中也、日晝、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 晝(ヒル)〈活法、日中也、〉 日午(同) 亭午(ヒルナカ/マヒル) 卓午(同) 日中(同)

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0083 晝 ひのぼる也、中天に日のぼる也、中略也、日は母語也、ひるは子語なり、一説、此時物のうるほひひるゆへにひると云、

〔醒睡笑〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 日のあるあひだを晝といひ、日のいりて後を夜といふは、いかさま仔細あらんやとおもひ、我が折角思案して、いとしあてたはとかたる、なにと工夫したぞ、〈◯中略〉日ひんがしにかがやけば、そめやはそめてかけ、ぬる者はぬりてほし、きたなき物をもあらひてほすに、いづれものこらずひるほどに、さてなむひるとはいふ物よと、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 晝ヒル〈◯中略〉 晝、ヒルといふ、ヒは日也、ルは語助なり、日の中する義なるべし、

〔倭訓栞〕

〈前編二十五比〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 ひる 神代紀に日をよめり、晝も同じ、日をはたらかしたる詞也、又日中をさしていへり、伊勢物語にも見えたり、武備志に午をよめる是也、

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 晝分(チウブン) 晌午(シヤウゴ) 亭午(テイゴ)〈日在午曰亭午、亭至也、中也、〉 白晝(ハクチウ)〈史記〉 通日〈自早至晩也〉 竟日〈盡日也〉 終日(シウジツ) 彌(ビ)日〈盡日也〉 移(イ)日 日旰(カン)〈日影昃也〉 日昃(シヨク)〈午后也〉 終晷(キ) 卓午(タクゴ)〈午時也〉 薄午(ハクゴ)〈薄迫也〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 白晝(ハクチウ)〈賈誼策註、晝日也、〉 日中(ニツチウ)〈午時〉

〔日本書紀〕

〈二神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 一書曰、〈◯中略〉高皇産靈尊勅八十諸神曰、葦原中國者、磐根、木株、草葉、猶能言語、夜者若熛火而喧響之、晝(ヒル)者如五月蠅而沸騰之云々、

〔枕草子〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 冬は雪のふりたるはいふべきにもあらず、霜などのいとしろく、又さらでもいとさむき、火などいそぎおこして、すみもてわたるもいとつぎ〳〵し、ひる(○○)になりてぬるくゆるびもてゆけば、すびつ火おけの火も、しろきはいがちになりぬるはわろし、

〔古今和歌集〕

〈十三戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 題しらず   きよはらのふかやぶ
みつしほのながれひるま(○○○)をあひがたみみるめのうらによるをこそまて

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 盡日〈ヒメモスニ(○○○○○)ヒネモスニ〉 終日〈同ヒメムスニ〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 終日(シウジツ)〈竟日、盡日、通日、彌日、移日、終晷並同、〉 終日(ヒネモソ/ヒメモソ)〈又云盡日〉

〔倭訓栞〕

〈前編二十五比〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0084 ひねもす 終日、又盡日をよめり、日目もさながらてふを略す、今も日の目て

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 ふ語はいふ也、さながらは、そのまヽに同じ、又ひねもすがらの略也、夜もすがらに對したる詞也、仁明天皇寶算の賀歌に、茜刺須終日須加良爾と見えたり、ひねは日也、ねは助語、又ねも反の也、夜をよはといふがごとし、すがらは物の末になりて、盡んとするをいふ詞也、ひめもすといふも同じ、めも反も也、

〔萬葉集〕

〈九雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085霍公鳥一首并短歌
鸎之(ウグヒスノ)、生卵乃中爾(カヒコノナカニ)、霍公鳥(ホトトギス)、獨所生而(ヒトリウマレテ)、〈◯中略〉橘之(タチバナノ)、花乎居令散(ハナヲヰチラシ)、終日(ヒネモスニ)、雖喧聞吉(ナケドキヽヨシ)、〈◯下略〉

〔續日本後紀〕

〈十九仁明〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 嘉祥二年三月庚辰、興福寺大法師等爲天皇寶算滿于四十、〈◯中略〉長歌詞曰、〈◯中略〉茜刺(アカネサ)〈須(ス)、〉終日須加良(ヒネモスカラ)〈爾(ニ)〉烏玉(ウバタマ)〈乃(ノ)、〉狹夜通(サヨトホス)〈左右(マデ)、〉時日經(ヒトキヘ)〈天(テ)、〉思時(オホヘルトキ)〈爾(ニ)、◯下略〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 昬〈ユフヘ(○○○) ヒクル 音惽〉 昏 暮〈音慕 ユフヘ〉

〔同〕

〈七夕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 夕〈音席 ユフヘ ヨヒ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈由天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 晡〈ユフヘ 且後晡日〉 夕〈字從出月也〉 昬〈亦作昏〉 穉 暝〈又云、冥、晦暝也、〉 晏〈已上同夕也〉

〔段注説文解字〕

〈七上夕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105f.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065157a.gif 也、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065157a.gif 者日旦冥也、日旦冥而月旦生矣、故字从月半見、旦者日全見地上http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065157a.gif 者日在茻中、夕者月半見、皆會意象形也、〉从月半見、〈祥易切、古音在五部、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000063105f.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065157a.gif 也、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065157a.gif 者日旦冥也、日旦冥而月旦生矣、故字从月半見、旦者日全見地上http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f000065157a.gif 者日在茻中、夕者月半見、皆會意象形也、〉从月半見、〈祥易切、古音在五部、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 暮(ユフベ)〈字彙、日晩也、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ed6f.gif (同)〈代酔、日出一上爲旦、日入一下爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ed6f.gifhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/00000001ed6f.gif 古昏字也、一地也、〉 晩(同)〈説文暮也〉 晏(同) 旰(同) 夕(同)〈説文、暮也、除云、月字之半也、月初生則暮見西方、故半月爲夕、〉

〔物類稱呼〕

〈五言語〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 夕(ゆふべ)を東國の詞によんべと云、今案に、遊仙屈ニ宿ヨベ、ヨンベと訓ず、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 暮クレ〈◯中略〉 夕、ユフベといふは、ユフは夜といふ詞の轉也、へは語助也、

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0085 夕 ゆふやみ ゆふけ すみぞめ ゆふな 夕け ゆふまぐれ くものはたて〈夕日雲也〉 とよはた雲〈同〉 たそがれ〈物をとふていによむべし〉 夕され 夕ぐれ うらひこ〈ゆふべの名也〉 萬八にねての夕べのともよめり むばたまのゆふべとよめり すみぞめと云、これくらきこヽろ也、

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 正述心緒
狛錦(コマニシキ)、紐解開(ヒモトキアケテ)、夕谷(ユフベダニ)〈◯谷原作戸、據略解説改、〉不知有命(シラザルイノチ)、戀 有(コヒツヽカアラム)、

〔古今和歌集〕

〈十九雜體〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 題しらず   讀人しらず
すみぞめの、ゆふべになれば、ひとりゐて、あはれ〳〵と、なげきあまり、せんすべなみに、〈◯下略〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 昏(クレ/○)〈活法、日暮也、〉 暮(同) 晩(同)

〔萬葉集抄〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 日のくるヽを、くるとも、くれともいふは、くろくなる詞也、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 暮クレ〈◯中略〉 暮、クレといふは、クレは暗(クラ)なり、天昏く暗きをいふ也、

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 十三年十一月戊辰、昏(イヌ/○)時(/○)七星倶流東北則隕之、

〔萬葉集〕

〈十春雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086
朝霞(アサガスミ)、春日之晩者(ハルビノクレハ)、從木間(コノマヨリ)、移歴月乎(ウツロフツキヲ)、何時將待(イツトカマタム)、

〔伊呂波字類抄〕

〈由天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 晩頭〈ユフクレ(○○○○)〉 薄暮

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 黄昏(ユフグレ) 迫晩(同)〈又作薄晩〉 薄暮(同)〈文選〉 夕曛(同)〈同上〉 曛黄(同)〈遊仙窟〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十七由〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 ゆふぐれ 夕暮は殊に秋を賞するは、物さびしきをもてなり、よて歌にも三夕の稱を得たり、

〔古今和歌集〕

〈八離別〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 人の花山にまうできて、夕さりつかたかへりなんとしける時によめる、   僧正遍昭
夕暮のまがきは山とみえななむよるはこえじとやどりとるべく

〔枕草子〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0086 秋は夕ぐれ、夕日はなやかにさして、山ぎはいとちかくなりたるに、烏のねどころへゆくとて、みつよつふたつなど、とびゆくさへあはれなり、まいて鴈などのつらねたるが、いとちいさくみゆるいとおかし、日いりはてヽ、風のをと、蟲のねなど、いとあはれなり、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 晩闇(ユフマグレ)〈萬葉〉 曛黒(同)

〔倭訓栞〕

〈中編二十七由〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 ゆふまぐれ 夕間暮なり、夕暮に同じ、

〔源氏物語〕

〈二十一少女〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 御めのといと心ぐるしうみて、宮にとかくきこえたばかりて、夕間暮の人のまよひに、對面せさせ給へり、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 黄昏(タソガレドキ)〈戌刻也〉 誰彼時(同)〈俗字〉

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 昏黒(タソカレ) 誰彼(タソカレ)也、日くれてたれかれとうたがひて、分明ならざる也、晩〈◯晩恐曉誤〉を萬葉に彼誰(カハタレ)時とよめるが如し、

〔空穗物語〕

〈菊宴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 すのこちかくよりて、宰相、夕暮のたそがれどきはなかりけりかくたちよれどとふ人もなし、とてのぼりてゐ給ぬ、

〔拾遺和歌集〕

〈十六雜春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 題しらず   大中臣輔親
あし曳の山郭公里なれてたそがれ時になのりすらしも

〔源氏物語〕

〈二十三初音〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 花の香さそふ夕風、のどかに打咲たるに、おまへの梅やう〳〵ひもときて、あれは誰どき(○○○○○○)なるに、物のしらべどもおもしろく、〈◯下略〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 晡時(ユフカタ)〈又云晡夕〉 晩刻(同)

〔源氏物語〕

〈三十四若菜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 夕かた、かのたいに侍る人の、しげいさに對面せんとて、いでたつついでに、〈◯下略〉

〔源氏物語〕

〈二十五螢〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 ほたるをうすきかたに、此夕つかた(○○○○)いとおほくつヽみをきて、〈◯下略〉

〔新撰字鏡〕

〈日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 晡〈甫干反、平、申時、由不佐利(○○○○)、〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十七由〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 ゆふさり 新撰字鏡に晡をよめり、夕かたを云、夕にしありと云義、しあ反さ也、よてゆふさりつかたともいへり、

〔古事記〕

〈中神武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0087 御祖伊須氣余理比賣患苦而、以歌令其御子等、〈◯中略〉歌曰、
宇泥備夜麻(ウネビヤマ)、比流波久毛登(ヒルハクモト)

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 韋(ヰ)、由布佐禮婆(ユフサレバ)、加是布加牟登曾(カゼフカムトゾ)、許能波佐夜牙流(コノハサヤゲル)、

〔古事記傳〕

〈二十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 由布佐禮婆は、夕去者(ユフサレバ)にて、夕になればと云むが如し、萬葉に多き詞なり、明去(アケサレ)ば、朝去(アササレ)ば、春去(ハルサレ)ば、秋去(アキサレ)ば、又春去(ハルサリ)ぬればなどもいひ、夕(ユフ)さらば、春さらば、秋さらばなどもいひ、又夕去來(ユフサリク)れば、春去(ハルサリ)來ればとも、春去(ハルサリ)にけりとも、又春去往(ハルサリユク)とも、さま〴〵に云る、みな去(サル)は其時になる意に云り、〈◯註略〉今の俗言に、夜(ヨル)を夕さりとも、夜(ヨ)さりとも云は、此より出たる言なるべし、

〔萬葉集〕

〈十冬雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088
暮去者(ユフサレバ)、衣袖寒之(コロモデサムシ)、高松之(タカマトノ)、山木毎(ヤマノキゴトニ)、雪曾零有(ユキゾフリタル)、

〔空穗物語〕

〈國讓中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 大將げかうはて、かへり給て、せちにきこえ給へば、そのひのゆふさりつかた(○○○○○○○)、なしつぼもとぶらひきこえ給はんとてわたり給ぬ、

〔伊勢物語〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 昔男有けり、その男伊勢の國に、かりの使にいきけるに、かの伊勢の齋宮なりける人のおや、〈◯中略〉あしたには、かりにいだしたてヽやり、ゆふさればかへりつヽそこにこさせけり、

〔古今和歌集〕

〈八離別〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 かんなりのつぼにめしたりける日、〈◯中略〉夕さりまで侍て、まかりいで侍けるおりに、さかづきをとりて、   つらゆき〈◯歌略〉

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 日沒〈イリアヒ(○○○○)〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 日沒(イリアヒ) 落照(同)〈又云夕照〉 晩鐘(同)

〔倭訓栞〕

〈前編三伊〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 いりあひ 日沒をいふ、日の入間だなり、よて晩鐘をもしかいへり、或は返照をよめり、

〔伊勢物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 昔わかき男、〈◯中略〉けふのいりあひばかりに絶入て、又の日のいぬのときばかりになん、からうじていき出たりける、

〔新古今和歌集〕

〈二春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0088 山里にまかりてよみ侍ける   能因法師

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 山ざと〈◯さと、一本作寺、〉の春の夕暮きてみればいりあひのかねに花ぞ散ける

〔類聚名義抄〕

〈二日〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 曛〈許軍反ヒクレ(○○○)〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 晩(ヒクレ) 晏(同) 迫晩(同) 薄暮(同) 曛黒(同)

〔倭訓栞〕

〈中編二十一比〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 ひぐれ 日暮を云、諺に日暮て道いそぐといふは、白居易が傳に、日暮道遠、吾生蹉跎とみえたり、

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 元年六月甲申、是日發途入東國、〈◯中略〉到大野以日落(ヒクレヌ)也、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 晼晩(ホノクレ)〈日沒之時〉 曛黒(同)

〔日本書紀〕

〈二十九天武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 十三年十一月庚午、日沒(トリ/○○)時、星隕東方

〔法然上人行状畫圖〕

〈十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 禮讃の時刻は、日沒(にちもつ)〈申時〉初夜(しよや)〈戌時〉半夜(はんや)〈子時〉後(ご)夜〈寅時〉晨朝(しんでう)〈辰時〉日中〈午時〉なるべし、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 薄暮(ハクボ)〈太平御覽、日將落曰薄暮、〉 晡時(ホジ)〈韵會、日加申時也、〉 晡夕(ホセキ)〈義同上〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 㫄暮(バウボ)〈日將晩也〉 薄暮(ハクボ)〈迫暮同〉 時竟(キヤウ)〈日暮之時、盡一日也、〉 景(ケイ)夕 頽(タイ)暮 黄昏(クハウコン)〈日落天地之色玄黄而昏々然也、又云昏黄、〉定昏(テイコン)〈已冥也〉 向晩(バン) 熏(クン)夕 王莽時(ワウマウガトキ/ヲモトキ/カマトキ)〈羅山子曰、倭俗稱黄昏王莽時、言晝前漢也、夜後漢也、以日氣已沒夜氣未一レ萌故也、然則名王莽時當哉、〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 王莽時(ヲマガトキ/○○○)〈俚俗、斥黄昏爾、〉 昏鐘鳴(コジミ/○○○)〈俚俗、謂黄昏時昏鐘鳴、〉

〔饅頭屋本節用集〕

〈古時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 昏鐘鳴(コジミ/○○○)

〔倭訓栞〕

〈中編八古〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 こじみ 昏鐘鳴の音なりといへり、入相をいふ、

〔倭訓栞〕

〈中編二十七由〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 ゆふやみ 夕闇の義、俗にいふ、よひやみなり、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 豐前國娘子大宅女歌一首
夕闇者(ユフヤミハ)、路多豆多頭四(ミチタヅタヅシ)、待月而(ツキマチテ)、行吾背子(イマセワガセコ)、其間爾母將見(ソノマニモミム)、

〔類聚名義抄〕

〈七夕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0089 夜(○)〈音射 ヨハ〉

〔伊呂波字類抄〕

〈與天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 夜〈ヨル〉

〔段注説文解字〕

〈七上夕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631060.gif 舍也、〈以疊韵訓〉天下休舍〈休舍猶休息也、舍止也、夜與夕渾言不別、析言則殊、小雅莫夙夜、莫朝夕、朝夕猶夙夜也、春秋經夏四月辛卯夜即辛卯夕也、〉从夕亦省聲、〈羊謝切、古音、在五部、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/7f0000631060.gif 舍也、〈以疊韵訓〉天下休舍〈休舍猶休息也、舍止也、夜與夕渾言不別、析言則殊、小雅莫夙夜、莫朝夕、朝夕猶夙夜也、春秋經夏四月辛卯夜即辛卯夕也、〉从夕亦省聲、〈羊謝切、古音、在五部、〉

〔下學集〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 宵(ヨル)〈夜也〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 寢夜(ヌルヨ)〈萬葉〉 夜(ヨ/ヨル) 小夜(サヨ)〈萬葉、作狹夜、〉

〔倭訓栞〕

〈前編十佐〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 さよ(○○) 萬葉集に小夜と書れど、さとまと通ふ、眞夜の義成べし、さよなか、さよ衣の類是なり、或はさは發語ともいへり、

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 夜 よるはいる也、日入なり、いとよと通ず、又晝出たる人、夜は一所へよる也、よるはあつまる意、前説よし、

〔醒睡笑〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 日のいりて後を夜といふは、いかさま仔細あらんやとおもひ、我が折角思案して、いとしあてたはとかたる、なにと工夫したぞ、たとへば、朝になれば、とくからおきて山にゆく者もあり、海にうかぶもあり、市にたつもあり、奉公に出仕するあり、日のくるれば、いづれもみな我宿々に、かへりよるほどに、さてぞよるとはいふなるべし、

〔圓珠庵雜記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 よと、よはと、よひと皆同じ、萬葉に初夜をよひとよめるは、まだよひにてふけぬさきなり、眞淵云(頭書)、後の人は、この初夜のことをのみよひとはいへど、すべての夜をよひとよめること、萬葉に多し、古今集にもあり、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0090 夜ヨ〈◯中略〉 夜ヨといひ、ヨルといふ、ヨとは、今日と明日との中間なればなり、古語に凡事の節限ある中間をさして、ヨといひけり、夜をヨといひ、前世をサキノヨといひ、後世をノチノヨなどいふが如きも、たとへば竹節の間をいひて、ヨといふが如し、ヨルといふが如き、ルといふ

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 は語助なり、

〔倭訓栞〕

〈前編三十六與〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 よ 夜は世のうつりかはるが如し、同語なるべし、日本紀に更をよめり、夜に初更、二更といふより出たり、よる 夜を、よとも、よるともいへり、體用の詞也、日を、ひるとも轉ずるが如く、およるは御夜也、おひなるは御晝なる也、

〔八雲御抄〕

〈三上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 夜 むばたま  さよ ひとよ〈次第にかくのごとし〉 もヽよ ちよ ぬばたまは本説云、萬葉にむばたまといへり、又ぬばたまともいへり、萬には兩説なり、 五百〈いほ夜なり〉 ゆきもよ あめもよ あま夜 月夜 しも夜 よは みじかよ なが〳〵しきよ さよ中〈小夜中也〉 萬十に、したよのこひとよめり、〈夜中也〉 よごろ よかず〈源氏詞也〉 よひヽかり〈やう〳〵ふくる心也〉 よくたち〈同事也、源なり、〉

〔伊呂波字類抄〕

〈伊疊字〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 一霄〈セウ〉 一夜 一夕

〔同〕

〈不天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 信〈フタヨ、二夜也、〉

〔和爾雅〕

〈二歳時〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 暮夜(ボヤ) 夜分〈後漢書注云、分猶半、〉 初夜(シヨヤ)〈初更之時〉 五夜(ゴヤ)〈分一夜五夜、又五更也、〉 五鼔(ゴコ)〈五更〉 一昔(セキ)〈一夕也〉 子夜〈子時〉 午夜(ゴヤ)〈午中也、半夜也、〉 闌(ラン)夕 終夜(シウヤ/ヨモスガラ) 盡宵(ジンセウ/同) 徹宵(テツ /同) 盡夕(/同) 極夜(ゴクヤ) 通音(ツウ /ヨモスガラ) 通宵(/ヨモスガラ) 遥音(ヨウ /ナガキヨ)〈永夜也〉 修夜〈同上〉

〔萬葉集〕

〈十二古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091物陳
念管(オモヒツヽ)、座者苦毛(ヲレバクルシモ)、夜干玉之(ヌバタマノ/○○○○)、夜(ヨル/○)爾至者(ニシナラバ)、吾社湯龜(ワレコソユカメ)、

〔萬葉集抄〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 ぬば玉とも、うばたまともいへるは、よるをいふなり、うばたまとは、くろきたまと云心也、よるはくろきいろなれば、うばたまと云べし、

〔竹取物語〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 中納言〈◯中略〉みそかにつかさにいまして、をのこどもの中にまじりて、夜をひるになしてとらしめ給ふ、

〔後撰和歌集〕

〈一春〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0091 だいしらず   よみ人しらず

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 我やどの梅の初花ひるは雪夜る(○○)は月かとみえまがふ哉

〔枕草子〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 夏はよる、月のころはさらなり、やみもなをほたるとびちがひたる、雨などのふるさへおかし、

〔徒然草〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 夜に入て、物のはへなしといふ人、いと口おし、萬の物のきらかざり、色ふしもよるのみこそめでたけれ、ひるはことそぎ、およすげたる姿にてもありなん、よるはきらヽかに、はなやかなるさうぞくいとよし、人のけしきも、よるのほかげぞよきはよく、物いひたるこゑも、くらくて聞たる、用意ある心にくし、匂ひも物のねも、たヾよるぞひときはめでたき、さしてことなることなき夜うち更て、まいれる人の、きよげなるさましたるいとよし、わかきどち、心とヾめて見る人は、時をもわかぬ物なれば、ことにうちとけぬべきおりふしぞ、けはれなくひきつくろはまほしき、よき男の日くれてゆするし、女も夜更るほどにすべりつヽ、鏡とりてかほなどつくろひて出るこそおかしけれ、神佛にも、人のまうでぬ日、夜まいりたるがよし、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 二年〈◯神龜〉乙丑春三月、枽三香原離宮之時得娘子作歌一首并短歌、   笠朝臣金村
今(コノ)夜(ヨラ/○)之(ノ)、早開者(ハヤクアクレバ)、爲便乎無三(スベヲナミ)、秋百夜乎(アキノモヽヨヲ)、願鶴鴨(ネガヒツルカモ)、

〔萬葉集抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 この歌、古點には、こよひのはやくあくれと點ず、古語には、このよらのといへり、男聲をよぶ故成べし、

〔類聚名義抄〕

〈一十〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 夜半〈ヨナ〳〵(○○○○)ヨナカ〉

〔源氏物語〕

〈四夕顏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0092 ひとめをおぼして、へだてをき給よな〳〵などは、いとしのびがたく、くるしきまでおもほえたまへば、〈◯下略〉

〔改正月令博物筌〕

〈四月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 短夜(みじかよ/○○)〈(中略)古來長日を春とし、短夜を夏とし、長夜を秋とし、短日を冬とす、〉

〔古今和歌集〕

〈三夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 寛平御時きさいのみやの歌合のうた   きのつらゆき
夏の夜のふすかとすれば郭公鳴一こゑにあくるしのヽめ〈◯中略〉
月のおもしろかりける夜、あかつきがたによめる、   ふかやぶ
夏のよはまだ宵ながらあけぬるを雲のいづこに月やどるらん

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 長夜(チヤウヤ/○○)〈文選註、基中不明、是曰長夜、〉 遙昔(ヨナガシ)〈文選、夜旻也、〉 修夜(同)〈同上〉

〔改正月令博物筌〕

〈八月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 長夜(ながきよ)〈夜の至りて長きは冬なるに、永き夜を秋の季とするは、夏の夜の餘りにみじかきに、此月はたヾちに長く覺ゆる故なるべし、八月より九月に渡るべし、〉

〔萬葉集〕

〈十一古今相聞往來歌類〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093物陳
念友(オモヘドモ)、念毛金津(オモヒモカネツ)、足檜之(アシビキノ)、山鳥尾之(ヤマドリノヲノ)、永此夜乎(ナガキコノヨヲ)、或本歌曰、足日木乃(アシビキノ)、山鳥之尾乃(ヤマドリノヲノ)、四垂尾乃(シダリヲノ)、長永夜乎(ナガナガシヨヲ)、一鴨將宿(ヒトリカモネム)、

〔古今和歌集〕

〈四秋〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 人のもとにまかれりける夜、きり〴〵すのなきけるをきヽてよめる、   藤原たヾふさ
蛬いたくななきそ秋の夜のながき思ひは我ぞまされる

〔伊呂波字類抄〕

〈與天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 霄〈ヨル(○○)◯一本作ヨイ

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 宵(ヨヰ/ヨル) 初更(同)

〔萬葉集抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 よひとは、心よくいをぬるを云也、

〔日本釋名〕

〈上時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 宵 夜居なり、夜いまだねずして居る時を云、

〔東雅〕

〈一天文〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0093 夜ヨ〈◯中略〉 宵ヨヒといふは、ヨとは夜(ヨ)也、ヒとは間(ヒ)也、古語にヒといひしには間之の義あり、

〔倭訓栞〕

〈前編三十六與〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094 よひ 日本紀に見ゆ、宵をよめり、萬葉集に初夜もよめり、夜間(アヒ)の義成べし、畢竟は夜なり、されど、よひ、よなか、あかつきなどいふは、初更を指ていふ詞也、宵も夜也とも、定昏也とも注せり、六帖に、あかねさすひるはこちたしあぢさゐの花のよひら(○○○)に相見てし哉、あぢさゐの花は四ひらある物なれば、宵らによせたり、よひらは夜をよらとよめるに同じ、

〔萬葉集〕

〈一雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094 長皇子御歌
暮相而(ヨヒニアヒテ)、朝面無美(アシタオモナミ)、隱爾加(ナバリニカ)、氣長妹之(ケナガキイモガ)、廬利爲里計武(イホリセリケム)、

〔萬葉集〕

〈十秋雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094
奧山爾(オクヤマニ)、住云男鹿之(スムチフシカノ)、初夜(ヨヒ/○○)不去(サラズ)、妻問芽子之(ツマトフハギノ)、散久惜裳(チラマクヲシモ)、

〔伊勢物語〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094 むかし男有けり、〈◯中略〉そのかよひぢに、夜ごとに人をすへてまもらせければ、〈◯中略〉
人しれぬわがかよひぢのせきもりはよひ〳〵(○○○○)ごとにうちもねななむ

〔類聚名義抄〕

〈七夕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094 是夜〈コヨヒ(○○○)〉

〔伊呂波字類抄〕

〈古天象〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094 此夕〈コヨヒ〉 此夜 今霄〈已上同〉

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094是火遠理命、思其初事而大一歎、故豐玉毘賣命聞其歎、以白其父言、三年雖住、恒無歎、今夜爲大一歎、若有何由故、其父大神問其聟夫曰、今旦聞我女之語云、三年雖坐、恒無歎、今夜爲大歎、若有由哉、

〔古事記傳〕

〈十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0094 今夜(コヨヒ)は昨夜を云るなり、此は次の父神の言に、今旦(ケサ)云々とあれば、御歎を聞賜ひし、明朝の詞なればなり、其夜明て後も、なほ今夜(コヨヒ)と云こと、津國風土記、夢野鹿事を記せる處に、明旦牡鹿語其嫡云、今夜夢、吾背爾雪零於祁利止見支、伊勢物語に、今夜夢になむ見え給ひつると云りければ、源氏物語野分卷、野分せし明旦の詞に、今夜(コヨヒ)の風とあり、和泉式部物語に、いたく

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 零明(フリアカ)して、明旦(ツトメテ)、今夜の雨の音は云々、

〔日本書紀〕

〈十三允恭〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 八年二月、幸于藤原宮、密察衣通姫之消息、是夕衣通郞姫戀天皇而獨居、其不天皇之臨、而歌曰、和餓勢故餓(ワガセコガ)、勾倍枳(クベキ)豫臂(ヨヒ/○○)奈利(ナリ)、佐瑳餓泥能(ササガニノ)、區茂能於虚奈比(クモノオコナヒ)、虚豫比辭流辭毛(コヨヒシルシモ)、

〔日本書紀〕

〈十三允恭〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 二十三年三月、太子〈◯木梨輕〉恒念大娘皇女、〈◯中略〉遂竊通、乃悒懷少息、因以歌之曰、〈◯中略〉去罇去曾(コソコソ)、椰主區津娜布例(ヤスクツダフレ)、

〔釋日本紀〕

〈二十六和歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 去罇去曾(コソコソ)〈(中略)私説曰、去罇如與倍、〉

〔厚顏抄〕

〈中日本紀和歌略注〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 私記ニ與倍古曾トハ、夜部コソナリ、日本紀ニ昨日昨夜ヲ、共ニキスト點ゼリ、萬葉第二云、君曾伎賊乃夜、夢所見鶴、此キソノ夜ハ、キスト同ジクシテ、昨夜ナレバ夜部也、キトコト通ズレバ、私記ノ説然ルベシ、

〔日本書紀〕

〈五崇神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 七年八月己酉、三人共同夢而奏言、昨夜(キス)夢之有一貴人

〔萬葉集抄〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 きそのよとは、きのふの夜といふなり、見日本紀、きのふのよとは、あけつる夜を云也、それをこよひと云は、うるしくは非説なり、けふのよをこよひとは云也、

〔日本書紀〕

〈六垂仁〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 八十八年七月戊午、即日遣使者天日槍之曾孫清彦而令獻、於是清彦被勅乃自捧神寶而獻之、〈◯中略〉皆藏於神府、然後開寶府而視之、小刀自失、則使清彦曰、爾所獻刀子忽失矣、若至汝所乎、清彦答曰、昨夕(ヨムヘ/○○)刀子自然至於臣家、乃明旦(ケサ)失焉、天皇則惶之、且更勿覔、

〔土左日記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 九日、〈◯承平五年正月、中略、〉ふなこかぢとりはふなうたうたひて、なにともおもへらず、そのうたふうたは、〈◯中略〉よんべのうなゐもがな、ぜにこはん、そらごとをして、おぎのりわざをして、ぜにももてこず、おのれだにこず、

〔運歩色葉集〕

〈與〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 夜(/○)更(フクル/○) 夜深(同)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0095 夜更(ヨフケ)〈又云深更〉 闌夕(同)〈文選〉 三更(ヨブカシ)〈萬葉〉 更深(サヨフケ)〈遊仙〉 深夜(シンヤ)〈又云良夜〉 深更(シンカウ)

〔日本書紀〕

〈七景行〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 二十七年十二月、更深(ヨフケ)人闌川上梟帥且被酒、

〔萬葉集〕

〈十冬相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096
甚毛(ハナハダモ)、夜深勿行(ヨフケテナユキ)、道邊之(ミチノベノ)、湯小竹之於爾(ユザヽガウヘニ)、霜降夜烏(シモノフルヨヲ)、

〔運歩色葉集〕

〈與〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 夜半(ヨナカ/○○)〈定〉

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 夜半(ヨナカ/ヨハ)〈中夜也〉 中宵(ヨナカゾラ)〈白文集〉

〔日本書紀〕

〈十一仁徳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 四十一年〈◯應神〉二月、譽田天皇崩、〈◯應神、中略、〉大山守皇子毎恨先帝廢之非一レ立、而重有是怨、則謀之曰、我殺太子〈◯莵道稚郞子〉遂發帝位、〈◯中略〉太子設兵待之、大山守皇子不其備一レ兵、獨領數百兵士、夜半發而行之、會明詣莵道

〔日本書紀〕

〈二十二推古〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 二十九年二月癸巳、半夜(ヨナカ)廐戸豐聰耳皇子命薨于斑鳩宮

〔日本書紀〕

〈二十八天武〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 元年六月甲申、是日發途入東國、〈◯中略〉及夜半隱郡、焚隱驛家

〔榮花物語〕

〈二十五峯の月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 殿の御まへ〈◯藤原道長、中略、〉みゆる御くだ物たびごとに、よる夜なかわかず奉らせ給、

〔萬葉集〕

〈四相聞〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 大神女郞贈大伴宿禰家持歌一首
狹夜中(サヨナカ/○○○)爾(ニ)、友喚千鳥(トモヨブチドリ)、物念跡(モノオモフト)、和備居時二(ワビヲルトキニ)、鳴乍本名(ナキツヽモトナ)、

〔饅頭屋本節用集〕

〈之時節〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 初夜(シヨヤ/○○)

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 初夜(シヨヤ/ソヤ)〈戌刻、初更之時也、〉

〔雲圖抄〕

〈裏書〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 御佛名次第
亥一刻打鐘、仰御導師等、〈初夜御導師、自亥二刻子二刻、後夜御導師、自子三刻丑四刻、〉

〔源氏物語〕

〈四夕顏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 寺々のそや(○○)もみなをこなひはてヽ、いとしめやかなり、

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 後夜(ゴヤ)〈寅刻〉

〔玉葉和歌集〕

〈十八雜〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0096 後夜(○○)のをこなひし侍らむとて、手あらひにまかりたるに、〈◯中略〉高辨上人、〈◯歌略〉

〔類聚名義抄〕

〈七夕〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 通夕〈ヨモスカラ(○○○○○)〉 竟夜〈ヨスカラ(○○○○)〉 通夜 達夜

〔書言字考節用集〕

〈二時候〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 終夜(ヨモスガラ)〈終宵、竟夜並同、〉 通夕(同)〈通昔、通宵並同、〉 盡宵(同)〈又云盡夕〉 徹宵(同) 連宵(同)〈白文集〉 終夜(シウヤ)

〔日本書紀〕

〈十二履中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 八十七年〈◯仁徳〉正月、仲皇子不太子〈◯履仲〉不一レ在、而焚太子宮、通夜(ヨモスガラ)火不

〔日本書紀〕

〈十四雄略〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 元年三月、童女君者本是采女、天皇與一夜而脤、遂生女子、天皇疑不養、〈◯中略〉大連〈◯物部目〉曰、〈◯中略〉臣聞易産腹者、以褌觸體、即便懷脤、况與終宵(ヨモスガラ/○○)而妄生疑也、

〔日本書紀〕

〈十九欽明〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 十四年十月己酉、百濟王子餘昌、〈◯註略〉悉發國中兵、向高麗國、〈◯中略〉餘昌乃大驚、打鼔相應、通夜(ヨモスガラ)固守、

〔古今和歌集〕

〈十一戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 題しらず   よみ人しらず
戀しねとするわざならしむば玉のよるはすがら(○○○○○○)に夢に見えつヽ

〔後撰和歌集〕

〈九戀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 あつよしのみこまうできたりけれど、あはずしてかへして、又のあしたにつかはしける、   桂のみこ
から衣きてかへりにしさよすがら(○○○○○)哀とおもふをうらむらんはた

〔左京大夫顯輔卿集〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0097 歸鴈
契りけんほどやすぎぬといそぐらんよるもすがら(○○○○○○)にかへる鴈がね


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:48:58 (390d)