http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0675 酒ハ、サケト云フ、神代ニ於テ八鹽折酒、甜酒等ヲ釀造セシ事、史册ニ見エタレバ、當時既ニ釀酒ノ法アリシヲ知ルベシ、而シテ應神仁德兩帝ノ朝、支那及ビ朝鮮より釀酒工ノ渡來セシヨリ、釀法一變シタルナラム、酒ヲ釀造スルニハ、常ニ粳米ヲ以テ原料トスレドモ、或ハ果實等ヲ以テ造ルアリ、近世其釀造ノ時ヲ以テ之ヲ分チ、秋季ニ於テスルヲ新酒ト云ヒ、寒前ニ於テスルヲ寒前酒ト云ヒ、新酒ト寒前酒トノ間ニ於テスルヲ間酒ト云ヒ、寒中ニ於テスルヲ寒酒ト云フ、又往時ノ釀造ハ、皆未ダ純淸ナラザリシガ、純良ノ淸酒ハ、其發明近ク德川幕府ノ時ニ在リト云フ、

名稱

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0675 酒 食療經云、酒〈和名佐介(○○)〉五穀之華、味之至也、故能益人、亦能損人、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0675 按醫心方引養生要集、其文與此全同、説文、酒就也、釋名、酒酉也、釀之米麴酉澤、久而美味也、亦言踧也、能否皆強相踧持飮之也、又入口咽之皆踧其面也、畢沅曰、酉澤酋繹也、説文、酋訓繹酒也

〔段注説文解字〕

〈十四下酉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0675 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins067502.gif 就也、所以就人性之善惡、〈賓主百拜者酒也、淫酗者亦酒也、〉从水酉〈以水泉酉月之〉酉亦聲、〈子酉切、三部、〉一曰造也、〈造古讀如就〉吉凶所造起也、古者儀狄作酒醪、禹嘗之而美、遂疏儀狄、〈見戰國策〉杜康作秫酒、〈又見巾部、曰少康作箕帚http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins067501.gif、少康者杜康也、按許書事物原始、皆用世本、此皆出世本、〉

〔事物紀原〕

〈九酒醴飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0676 酒 酒經曰、空桑穢飯、醞以稷麥、以成醇醪、此酒之始也、呂氏春秋曰、儀狄作酒醪五味、戰國策曰、狄儀帝女、造酒進之於禹、甘之遂疎狄儀、古史考亦曰、狄儀造酒、博物志曰、杜康造酒、魏武帝詩曰、何以解我憂、惟有杜康酒、玉篇曰、酒杜康所作、陶潛集述酒詩序曰、狄儀造酒、杜康潤色之、而黄帝内傳、王母會帝於嵩山、飮帝以護神養氣金液流暉之酒、又有延洪壽光之酒、然黄帝時已有其物、但不杜康何世人、而古今多言其始造一レ酒也、一曰少康作秫酒

〔日本釋名〕

〈下飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0676 酒(サケ) さくるなり、風寒邪氣をさくるなり、

〔東雅〕

〈十二飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0676 酒サケ 素戔烏神大蛇を斬り給ひしに、八醞酒を造らしめられ、又天孫の御子生み給ひし時に神吾田鹿葦津姫天甜酒(タムサケ)造られしなどいふ事、舊事紀古事記日本紀等に見えたれば、其因り來る所既に久しき事にて、其始をも知るべからず、萬葉集抄に、酒をサケともいひ、サカともいふは、サカユといふ詞也、酒宴は皆人のさかへ樂しむ故なり、又サヽともいふ同じ詞也、〈今俗に酒をササといふなり、即これ酒の轉語なる也〉また神の酒をミワといふ事は、土佐國にある三輪川の水を用ひて、大神のために酒を釀したりけるに、殊にめでたかりければかく云ひし也、神酒とかきて、ミワと訓ずるは此故也としるせり、又酒をキともいふが如きは、其義詳ならず、〈古事記に、御酒二字讀てミキといひ、萬葉集にも、黑酒二字讀てクロキといひ、白酒二字シロキと讀むが如きは酒をばキと云ひし也、日本紀釋には、ミキといふ事を釋して、酒也といひ、オホミキといふ事を釋して、御酒也と云ひしが如きは、酒をミキといひし也古の時には、キといひケといふ詞をば、相通じていひけり、木をキといひ、ケといひ、またコといひしが如き此也、御酒をミキといひ、御食をミケといひし如きも、共にこれ飮食の物也しかば、これを呼ぶ所の詞の轉じけるのみにして、其義異なるにもあるべからず、唯その飮食の物キと云ひ、ケといひし義は、今はた知るべからず、或説に食をケと云ひしは消也、その消しぬるをいふなりといふ、もしさらば酒をキと云ひしも、ケといふ語の轉ぜしにて、また消ゆるの義にもやあるらむ、また或説に、ミキとは、ミは御也、キはイキ也、人を醉はしめては、イキホヒの出る者也と云へり、然るべしとも思はれず、〉

〔倭訓栞〕

〈前編十佐〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0676 さけ 酒をいふは榮(サケ)えの義かえ反け也、呑は笑、さかえ樂むの義也といへり、貝原 氏曰、昔年於長崎彼土人之言、曰、予嘗屢爲海賈、遊于西蕃諸國、凡中華及諸夷之米穀、其味皆淡薄、不于日本所産之甘美、故其所釀之酒、亦氣味不于日本、然則以日本之秔米曁良醞、可天下第一云、今按ずるに、天工開物に、南方酒皆糯米所爲と見え、稻記に、稻謂之大師古、粳謂之小師古、醞謂之紅絲米、釀酒宜大師古、造粉宜小師古と見えたり、稻はもち、稉はうる、秈は大たう也、陶淵明も酒のために稻を多く種たり、されば西土の秔米、酒を釀するに堪ざるをもてhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins082265.gif を用る也、我邦粳のみ勝れたるに非ず、稻の宜き事も、後漢書に見えたり、蝦夷は粟を用う、蝦夷國の産物也、

〔倭名類聚抄〕

〈十三祭祀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0677 神酒 日本紀私記云、神酒〈和語云美和○○〉

〔伊呂波字類抄〕

〈見飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0677 神酒〈ミキ(○○/祭祀具)〉

〔圓珠庵雜記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0677 さけをみきといふ、世には神に奉るをのみみきといふとおもへり、それをば和名に神酒と書きてみわといへり、

〔冠辭考頭注〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0677 瀰枳の瀰(ミ)は眞と通ひて、ほむることば、枳(キ)は酒の古語也、さて神にも天皇にも獻るを、大御酒(オホミキ)といふは、常の事なるを、みきとは三寸と書など樣の僞説多し、

〔古事記〕

〈中仲哀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0677 御子〈○應神、中略、〉於是還上坐時、其御祖息長帶日賣命釀待酒以獻、爾其御祖御歌曰、許能美岐波(コノミキハ)、和賀美岐那良受(ワガミキナラズ)、久志(クシ/○○)能加美(ノカミ)、登許余邇伊麻須(トコヨニイマス)、伊波多多須(イハタタス)、須久那美迦微能(スクナミカミノ)、加牟菩岐(カムホギ)、本岐玖流本斯(ホキクルホシ)、登余本岐(トヨホギ)、本岐母登本斯(ホギモトホシ)、麻都理許斯(マツリコシ)、美岐叙(ミキゾ)、阿佐受袁勢佐佐(アサズヲセササ)、如此歌而獻大御酒、爾建内宿禰命爲御子答歌曰、許能美岐袁(コノミキヲ)、迦美祁牟比登波(カミケムヒトハ)、曾能都豆美(ソノツヅミ)、宇須邇多氐氐(ウスニタテテ)、宇多比都都(ウタヒツツ)、迦美祁禮加母(カミケレカモ)、麻比都都(マヒツツ)、迦美祁禮加母(カミケレカモ)、許能美岐能(コノミキノ)、美岐能(ミキノ)、阿夜邇(アヤニ)、宇多陀怒斯佐佐(ウタダヌシササ)、此者酒樂之歌也、

〔古事記傳〕

〈三十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0677 久志能加美は、酒之上なり、そは橫井千秋云、久志は(○○○)、酒の本名(○○○○)にて應神天皇の大御歌に、須々許理賀、迦美斯美岐邇、和禮惠比邇祁理、許登那具志、惠具志爾、和禮惠比邇祁理とある、二〈ツ〉の具志これなり、〈こは上より連ける言ある故に、具と濁れり、〉さて御酒白酒黑酒など云伎は、此久志の約まれ る名なり、〈そを、佐氣とも云は、亦名にて、縣居大人の説に、酒を、佐氣とも云は、是を飮は心の榮ゆる故の名にて、佐加延の約りたるなりとあるが如し、〉加美は上なり、〈○中略〉さて少名毘古那神を如此稱し賜ふは、此神殊に酒を掌賜ふ事は物に見えざれども、大穴牟遲神と相並ばして、國土を作堅め給ひ、〈○中略〉凡て萬の事も物も此二柱神の恩賴なれば、〈○注略〉書記崇神卷にも、天皇以大田田根子大神、是日活日自擧神酒天皇、仍歌之曰、許能瀰枳破、和餓瀰枳那羅孺、椰磨等那殊、於朋望能農之能、介瀰之瀰枳、伊句臂佐、伊句臂佐、如此歌之宴于神宮ともある如く、酒の本を此二柱神に係て、其首長たる神の獻り賜ふ御酒ぞと、よみ賜へるなり〈以上千秋考〉と云り、此考宜く聞ゆ〈(中略)契沖は、奇の神なりと云事を、師は、奇は用語なれば、之と云べからず、藥之神なり、須理の約志なりと云れたり、信に奇之とは云はぬことぞ、又藥の神と云むも然ることにて正しき由あり、此は御酒を祝て詔ふなれば、殊に由ありておぼゆ、然はあれども、神の假字に美を用ひたる例なければ、なほ上の、千秋の考にぞ從、ふべき〉

〔古事記〕

〈下雄略〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0678 天皇坐長谷之百枝槻下豐樂之時、〈○中略〉天皇歌曰、毛毛志紀能(モモシキノ)、淤富美夜比登波(オホミヤビトハ)、宇豆良登理(ウヅラトリ)、比禮登理加氣氐(ヒレトリカケテ)、麻那婆志良(マナバシラ)、袁由岐阿閉(ヲユキアヘ)、爾波須受米(ニハスズメ)、宇受須麻理韋氐(ウズスマリイテ)、祁布母加母(ケフモカモ)、佐加美豆久良斯(サカミヅクラシ&○○○○○○○)、多加比加流(タカヒカル)、比能美夜比登(ヒノミヤヒト)、許登能(コトノ)、加多理碁登母(カタリゴトモ)、許袁婆(コヲバ)、

〔古事記傳〕

〈四十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0678 佐加美豆久良斯は、萬葉十八〈十一丁〉に、多知婆奈能(タチバナノ)、之多泥流爾波爾(シタテルニハニ)、等能多氐天(トノタテテ)、佐可彌豆伎伊麻須(サカミヅキイマス)、和我於保伎美可母(ワカオホギミカモ)、又〈卅丁〉佐加美都伎安蘇比奈具禮止(サカミツキアソビナグレド)云々、十九〈卅九丁〉に、酒見附(サカミツキ)、榮流今日之安夜爾貴左(サカユルケフノアヤニタフトサ)、などもありて、宴樂のことなり、〈○中略〉又思ふには、神名帳に、造酒司坐酒殿神二座、酒彌豆男神、酒彌豆女神、姓氏録酒部公條に、大鷦鷯天皇御代、從韓國參來入、兄曾々保利、弟曾々保利二人、天皇勅有何才、白有酒之才、令御酒、於是賜麻呂酒看都子、賜山鹿比咩、號酒看都氏、〈○注略〉などある酒美豆は即酒のこと(○○○○○○○○○)にて、然云意は、榮水(サカエミヅ)なるべし、さて其を佐氣(サケ)とのみ云は、水を省たる名なるべし、〈師云、酒と云名は、榮と云ことなり、是を飮めば、心の榮ゆるよしなり、〉

〔延喜式〈八祝詞〉〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0678 祈年禁 奥津御年〈乎〉八束穗〈能、〉伊加志穗〈爾、〉皇神等〈能、〉依〈左志〉奉者、初穗〈乎波〉千穎八百穎〈爾〉奉置〈氐、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins067902.gif 閉高知http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins067902.gif 腹滿雙〈氐〉、汁(○)〈爾母〉穎〈爾母〉稱辭竟奉〈牟〉、

〔祝詞考〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679 この汁といふは、右のhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins067902.gif の内の御酒の事を、重ねいふに、言をかへたるのみ、

〔本草和名〕

〈十九米糓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039971.gif 酒〈音禰何反、白濁影不見者、〉泛劑酒〈成澤浮泛々然〉醴劑酒〈汁滓相將即今酴縻〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins067901.gif 劑酒〈上疋万反忩々然白色、今酇白者是也、〉醍劑酒〈徒奚反、成而紅赤者、也、〉沈劑酒〈今暴淸者是也、已上崔禹出、〉

〔八雲御抄〕

〈三下衣食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679 酒 みき とよみき ながるゝかすみ たけのは かえなし しろき くろき〈万にはしろみきくろみきと云り同事也〉 あそびのむと云り はるのかぜすゝむと云り みわすゑまつるとは、神に酒をまいらする也、〈わとは酒字也〉 ひあひのさけ 〈ただ其日あるといふ心也〉

〔雅言俗語翌檜〕

〈未〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679 酒 諸白〈堺酒諸白 伊丹諸白 大坂諸白鴻池諸白〉 富士見酒 南都酒 忍冬酒〈きい〉 菊酒〈かゞ〉 煉酒〈博多〉 三原〈備後〉 尾道酒〈同〉 麻地酒〈ひご〉 保命酒 養老酒 粟盛〈さつま〉 梅酒 葡萄酒 枸杞酒 桑酒豆淋酒 味淋酒 屠蘇酒 治聾酒 燒酒 醴 一夜酒 茶蘼漉 白酒 米雪(アラレ)酒 雞卵酒薯蕷酒 生姜酒 隅田川酒〈江戸羽衣酒〉 醪(モロミ) 酘(ソヘ) 糟 新酒 古酒 金粉酒 覆盆子酒

〔下學集〕

〈下飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679 九獻(クコン)〈日本世話酒名也、三三九獻義也、〉歡伯(クワンハク)〈酒異名也云、〉靑州從事(セイジユウジウジ)〈酒異名也、徹臍義也、從事官名也、〉縁醑(ロクシヨ)〈酒也、〉聖人(セイジン)〈呼淸酒聖人也、〉賢人(ケンジン)〈呼濁酒賢人義也、○中略〉忘憂物(バウイフブツ)〈酒異名也、飮酒則忘憂也、〉釣(ツル)詩鉤(シヲツリバリ) 掃愁帚(サウシウサウ)〈二共酒異名也〉浮蟻(フギ)〈酒名也、酒糟點蟻泛盃如浮蟻、故云爾、〉

〔撮壤集〕

〈下飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679 酒 醅(アマサケ) 酴(ムキサケ) 桑落酒(サウラクシユ) 桑郎(サウラウ) 紅友(コウユウ) 麴秀才(キクシウサイ) 麴處士(シヨシ) 麴道士(ダウシ) 蒲萄酒(ブタウシユ) 松花酒松膠 茘子祿(レイシリヨク) 百藥長 竹葉春 掃(ハラフ)愁帚(ウレヒハウキ) 釣詩鉤(テウシコウ) 歡伯 柳 天野 菩提泉 菊酒 奈良(ナラ)酒 石塔(イシタウ) 麴(コウシ) 糟(カス) 醪(モロミ)

〔書言字考節用集〕

〈六服食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0679 般若湯(ハンニヤタウ)〈僧家呼酒云爾、見匀瑞活法、〉 竹葉(チクヨフ)〈指南、美酒曰豫北竹葉、東坡集註、宜城九醞酒號竹葉酒〉 綠醑(リヨクシユ)〈又云綠醅、本草美酒也、〉下若酒(カジヤクシユ)〈東坡集註、湖州有箬溪、南岸曰上若、北曰下若、人取下若水酒極美、俗稱下若酒、〉 九獻(クコン)〈本朝俗謂酒爲九獻、三々九度之義、匀瑞、主人進酒於客獻、〉 竹葉(サヽ)〈本朝女兒〉 〈呼酒云爾、〉 酒(サケ)〈陶潛詩序、儀狄造酒、杜康潤色之、又出戰國策、〉 沙嬉(同)〈則酒也、出鶴林玉露、〉 十旬(同)〈酒之異名、文選、〉 神酒(ミキ) 三寸(同)〈酒一名、蓋領酒者去風邪三寸、故云爾、出左傳、〉 靑州從事(セイシウノジウジ)〈美酒異名、又惡酒謂平原督郵、事出晉書事文、〉

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十七造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0680 酒 サケ 一名玄水〈本草http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins018062.gif 〉 百藥長〈名物法言〉 醞物〈事林廣記〉 海老〈同上〉 狂藥〈故事白眉〉 軟飽〈檢蠹隨筆〉 陸諝〈事物異名〉 醇儒 懿侯 醴泉侯 麯生 麯秀才 麯米春 麯道士 麯君瑞露 歡伯 桑郎 索郎 呉醴 楚瀝 蘭生 玉薤 富水 九醞 九醇 十旬 燒春石凍春 土窟春 羅浮春 梨花春 花春 抛靑春 秋露白 掃愁帚 釣詩鉤 般若湯 軟口湯 顧建康 杜康 白墮 靑州從事 平原督郵 洞庭春色 上天美祿 眞一先生 袪愁使者 破悶將軍〈共ニ同上〉

〔物類稱呼〕

〈四衣食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0680 酒さけ 出羽にていさみ(○○○)と云、和州大峯にてごまのはい(○○○○○)と云、今按にいさみといふは、羽州羽黑山などの行者の隱語なるべきを、俗人もそれに倣ひて、專いさみといふ事にや成けん、ごまのはいといへるも是にをなじかるべし、又畿内の番匠の詞に間水(○○)といふ今はけづり(○○○)ともいふ、江戸にても番匠はけづりと云、〈○中略〉又西國にてけんずいと云は、灸治する節酒食を饗するをいふ、江戸にて參州酒などの味辛つよき酒を鬼ころし(○○○○)と云、如此の類を美作にてやれいた酒(○○○○○)と云、野州日光にて鬼ごのみ(○○○○)といふ、又駿河邊にてはてつぺん(○○○○)といふなり、

〔海人藻芥〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0680 マナ初メ、袴著、元服、移徒以下、祝ノ酒肴ハ必ズ三獻ト云々、如何ニモ時刻延ザルヤウニ取沙汰スル也、凡酒無量不亂云々、雖然後光嚴院御愛酒ニテ御座ケル程ニ、常ニ御酒宴有テ、數獻ニ及ト云々、其御代ヨリ獻數加增シテ、或ハ五獻、七獻、九獻マデ被聞召タリ、近比ハ酒ノ名ヲ九獻(○○)トゾ申合ケル、〈○中略〉 内裏仙洞ニハ一切ノ食物ニ異名ヲ付テ被召事也、一向不存知者、當座ニ迷惑スベキ者哉、飯ヲ供御、酒ハ九獻、〈○中略〉如此異名ヲ被付、近比ハ將軍家ニモ女房達皆異名ヲ申スト云々、

〔大上﨟御名之事〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0681 女房ことば 一さけ(酒) くこん

〔貞丈雜記〕

〈七酒盃〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0681 一酒をさゝともくこんとも云は、さゝは三々也、くこんは九獻也、酒は三々九度呑むを祝ひとする故也、九は陽數にてめでたき數ゆへ唐土にも九獻と云事あり、左傳に僖公十二年の條に云、楚子入享于鄭九獻とあり、その註に云、用上公之禮九獻酒禮畢云々、

〔御湯殿の上の日記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0681 慶長九年四月廿九日、あきのもり〈○毛利輝元〉ゐなかくこん(○○○○○○)とて、御たる十しん上申、大へんひろう、

〔塵袋〕

〈九飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0681 サケヲ聖人(○○)ト云フ名アリト云フ如何、 スメル酒ノ德ヲホメテ聖人ト云フニヤ、魏ノ大祖ノトキ天下ニ酒ヲトドメラレキ、ソノ時キ徐http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins230455.gif ト云フ臣下、愛酒ノモノニテ、ワタクシニシノビヤカニ酒ヲタクハヘテノミケリ、趙達ト云フモノ、公事ニヨテ徐http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins230455.gif ニトフベキ事アリケレバ、カノ家ヘニユキタルニ、ワタクシ酒ニノミ醉テ心モナラズナリニケルユヘニ、大事ノオホヤケ事ヲイフヲバ、返事モツヤ$〳〵$セデ、中聖人トバカリイヒケリ、内裏ニマイリテカクト申シケレバ、御門ハラタヽセ給テ、コハナニト云フ事ゾトオホセラレケルヲ、鮮于補ト云フモノ申ケルハ、昔シサケコノモノドモノ申ヲキヽ侍シハ、酒ノスメルヲバ聖人ト云ヒ、ニゴレル酒ヲ賢人ト名〈ク〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins230455.gif カヒトリエイノ心申サムトテ云ヘル事歟ト申シケリ、後〈ニ〉文帝位ニツキ給テ、又サケニエイタル事アリケルニ、許昌ト云フモノカ、又中聖人歟ト曰ヒケレバ、トリアヘズ宿病以醜見傳、臣以醉見識トヘラズコタヘケレバ、帝大ニワラヒ給ヒケリ、ニゴレルヲ賢人ト云フコトハ、聖人ヨリハ今少シ劣リタレドモ、ナヲコレモイミジキ心歟、

〔壒囊抄〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0681 酒竹葉云事 酒ヲ竹葉(○○)ト云事如何 只是酒之異名也、百詠ノ注云、宜城ヨリ出竹酒ト云々、竹ノ葉ノ露タマリ 酒ト成故ニ竹葉ト云ト、亦或説ニハ、昔漢朝ニ劉石ト云者アリキ、繼母ニ合テケルガ、其繼母我ガ實子ニハ能飯食セ、孤子ニハ糟糠ノ飯ヲ與ヘケリ、劉石是ヲ不食シテ、家近所ニ木ノ股ノ有ケルニ棄置ケリ、自然ニ雨水落積漸亂テ後芳バシカリシカバ、劉石試之其味妙ナリ、仍テ竹葉ヲ折テ指覆、其心ヲ以テ酒ヲ作テ、國王奉リシガ味ヒ比无シテ、褒美ニ預リ、獻賞ヲ蒙リテ家富ミケル也、是ニ依テ酒ヲ竹葉ト云々、加之酒ニ名多侍リ、 三遲(○○) 十分(○○) 忘憂(○○) 來樂(○○) 竹露(○○) 松華(○○) 梨花(○○) 桃花(○○) 儿醞(○○) 十旬(○○) 宜春(○○) 替夏(○○) 落越(○○) 杜康(○○)黄醅(○○) 綠醑(○○) 松醪(○○) 濁醪(○○)〈以上四者云濁酒也〉 歡伯(○○) 下若貢(○○○) 賢人(○○) 聖人(○○) 荊南(○○)〈所名〉 豫北(○○)〈同上〉釣(○)詩鉤(○○) 掃愁帚(○○○) 皆是酒ノ異名也、 亦浮蟻(○○)共云也、酒糟點々泛盃中浮蟻、故ニ濁酒ヲ茆柴共云、一醉シテ即醒事燒茆柴火便滅ガ如シ、故ニ皆是酒ヲ賞スル心也、

〔撈海一得〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0682 今女ノ言ニ酒ヲさゝ(○○)ト云、養老ノ雜劇(ウタイ)ニ、もたいのちくえふ(○○○○)ト云、猩々ニ、竹のは(○○○)の酒ト云、文選ノ張恊ガ七命ニ曰、豫北之竹葉、註ニ酒之名也ト云、又唐ノ李賀ガ詩ハ、好デ多ク字面ヲ替換ス、白ヲ箬葉露ト云ト、徐興公云リ、箬ハ竹皮ナリ、吾國古ハ文選ニ熟セシユヘ、俗ニモ云慣タルトミヘタリ、

〔和漢朗詠集〕

〈夏〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0682 首夏 白居易 甕頭竹葉(○○)經春熟、階底薔薇入夏開、

〔菅家文草〕

〈五詩〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0682 酒 閑亭開酒甕、始覺聖賢(○○)心、竹葉(○○)攀多少、梨花(○○)酌淺深、開眉杯裏伴、促膝醉中吟、自此知神用、誰愁到晩陰

〔吾妻鏡〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0682 壽永三年〈○元暦元年〉四月廿日戊子、本三位中將〈○平重衡〉依武衞〈○源賴朝〉御免、有沐浴之儀、其後及秉 燭之期、稱徒然、被藤判官代邦通工藤一臈祐經并官女一人〈號千手前〉等於羽林之方、剰被竹葉(○○)上林已下、羽林喜悅、遊興移刻、

〔本朝文粹〕

〈十一序〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0683 早春侍内宴、同賦晴添草樹光、應製、 後江相公〈○大江朝綱、中略、〉 菓則上林苑之所獻、含自消酒是下若(○○)村之所傳、傾甚美、何唯藂庭之鷃、含密沫而倍滋、松江之鱗煎桂髓而添味而已哉、

〔吾妻鏡〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0683 治承五年〈○養和元年〉正月一日戊申、卯刻前武衞〈○源賴朝〉參鶴岡若宮給、〈○中略〉法華經供養御聽聞、事終還御之後、千葉介常胤獻垸飯、相具三尺鯉魚、又上林下若(○○)不其員云云、 善秀才宅詩合〈應和三年〉 輕花泛晩觴〈題中取韵〉 前文章得業生三善道統 春風氣味手中奢、應是晩觴泛晩花、夜酌莫一レ嫌深淺酒、此筵芳意在流霞(○○)

種類

白酒

黑酒

〔萬葉集〕

〈十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0683 二十五日〈○天平勝寶四年十一月〉新嘗會肆宴應詔歌、 天地與(アメツチト)、久万氐爾(ヒサシキマデニ)、万代爾(ヨロヅヨニ)、都可倍麻都良牟(ツカヘマツラム)黑酒白酒(クロキシロキ&○○○○)乎(ヲ)、 右一首從三位文屋智奴麻呂眞人

〔萬葉集略解〕

〈十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0683 大嘗會に黑酒白酒を奉る事あり、白酒といふは常のすめる酒也、黑酒といふは常山(クサギ)の灰を入たる酒也、又は胡麻の粉を入るゝ事も有し也、 ○按ズルニ、白酒黑酒ノ事ハ、神祇部大嘗會、新嘗祭、神饌等ノ篇ニ載セタリ、

甜酒

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0683 醰酒 陸詞切韻云、醰〈音覃、一音湛、日本紀私記云、甜酒多無佐介、今按可此字、〉酒味長也、

〔倭訓栞〕

〈前編十四多〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0683 たむさけ 神代紀に甜酒を訓ぜり、今俗いふ所の甘口(○○)成べし、白詩に戸大嫌甜酒とみゆ、古へ味のよきをたむといひしにや、姓氏録多米宿禰の下に其義みえたり、大嘗會式の多明(メツ)酒多明米なども此義なるべし、めつ反む、倭名抄には醰をよめり、音を用たるにや、いぶかし、

〔日本書紀〕

〈二神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 一書曰、〈○中略〉神吾用鹿葦津姫、以卜定(ウラヘ)田號曰狭名田、以其田稻天(○)甜酒(タムサケ&○○)嘗之、

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 醨 唐韻云、醨〈音離、和名、之流、一云、毛曾呂、〉酒薄也、

〔東雅〕

〈十二飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 酒〈○中略〉又〈○倭名抄〉唐韻を引て、醨はシル、一つにモソロといふ、酒薄也、と注せり、モソロの義不詳、〈(中略)モソロといひ、ミゾレといふは、轉語也、即今ミゾレ(○○○)といふ酒、その遺製なるに似たり、〉

〔倭訓栞〕

〈前編三十二毛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 もそろ 倭名抄に醨をよめり、又しるともいへり、酒薄也と注す今の俗いふ所の辛口(○○)なるべし、或はみぞれと音通ず、今も酒にみぞれといふ、是にやといへるはあたらず、

醇酒

〔新撰字鏡〕

〈酉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 醲〈女容反、平、厚酒也、加良支酒(○○○○)、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 醇酒 唐韻云、醇〈音淳、日本紀私記云、淳酒加太佐介(○○○○)、〉厚酒也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 按加太佐計、堅酒也、堅猶厚也、與饘爲加太賀由之加太同也、蓋謂(○○)濁酒之厚者(○○○○○)、然則不此訓淸酒之醇也、

〔日本書紀〕

〈七景行〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 十二年十二月丁酉、議熊襲、〈○中略〉天皇則通市乾鹿文而陽寵、時市乾鹿文奏于天皇曰、無熊襲之不服、妾有良謀、即令一二兵於己、而返家以多設醇酒(カラヘサク&○○)令己父、乃醉而寢之、市乾鹿文密斷父弦、爰從兵一人進殺熊襲梟帥

〔續修東大寺正倉院文書〕

〈後集三十七裏書〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0684 符 山作領玉作子綿等所〈○中略〉 一雇工雇夫等酒給法 更不司工并仕丁等 右辛酒(○○)一升買、水四合和合、二箇日間一度給、人別三合〈○中略〉 以前條事、至承知状、火急施行、不怠緩、故符、 主典安都宿禰 天平寶字六年正月廿四日

〔拾芥抄〕

〈上本世間不靜時方〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0685 宮咩祭文 淸酒ノ早ニ、堅酒(○○)ノ堅、〈○中略〉嚴ク聞食シ受納給テ、〈○下略〉

酎酒

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0685 酎酒 説文云、酎〈直祐反、漢語抄云、豆久利加倍世流佐介(○○○○○○○○○)、〉三重釀酒也、西京雜記云、正旦作酒八月成、名曰酎酒、一名九醞、〈於運反、通俗文云、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins057413.gif 酘酒於國家也、蔣魴切韻云、酘於闘反、酒再下麴也、俗語云曾比、〉

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0685 按此訓〈○豆久利加倍世流佐介〉古書無見、疑楊氏依三重釀酒之義設、〈○中略〉説文醞釀也、廣雅釋器云、醞酘也、廣韻酘田候切、鬭候同韻、田屬舌音定母、於屬喉音影母、凡以殳爲聲、字皆在舌音、無喉音、此云於鬭反、或渉上文於運反而誤也、按集韻引字林云、酘重醞也、韻會引廣韻云、重釀酒、〈○中略〉又齊民要術造酒法云、若麴一斗與五升水、浸麴三日如魚眼湯沸、酘米、又載諸造酒法、於釀後米、皆謂之酘、與蔣魴再下麴義合、今人釀酒、先炊米作飯、配麴釀之、如酵法、俗謂之本、説文云、酴酒母也、蓋是、候數日、所釀飯麴、在器中自沸起、別炊飯配麴、投沸飯麴中、攬之令調均、俗謂之曾閉流、蓋添增之義、源君云曾比、即是、此所謂再下麴也、新撰字鏡亦云、酘醞也、曾比須、但以醞釋酘統言之也、若柝言之、醞釀也、酘再釀、其義不同、酘字説文所無北堂書鈔引酒經云、甜醞九投、澄淸百品、千金方亦用投字、則知酘俗投字、以其釀酒之字手從酉耳、

〔段注説文解字〕

〈十四下酉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0685 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins068502.gif 三重醇酒也、〈廣韵作三重釀酒之、謂用酒爲水釀之、是再重之酒也、次又用再重之酒水釀之、是三重之酒也、杜預注左傳曰、酒之新孰重者曰耐、鄭注月令曰、酎之言醇也謂重釀之酒也、醇者其義、釀者其事實、金壇于氏、明季時、以此法酒、〉从酉、肘省聲、〈各本作从時省誤、紂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins022034.gif 篆、皆曰肘省聲、今據正、除柳切三部、廣韵音胄、李仁甫本同、除http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins068501.gif 切、〉明堂月令曰、孟秋天子http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins016184.gif 酎、〈秋當夏、天子飮酎、月令孟夏文也、諸侯甞酎見左傳、〉

八鹽折酒

〔古事記〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0685 爾速須佐之男命、〈○中略〉告其足名椎手名椎神、汝等釀八鹽折之酒(○○○○○)、且作廻垣、於其垣八門、毎門結八佐受岐、〈此三字以音〉毎其佐受岐、置酒船而毎船盛其八鹽折酒而待、故隨告而如此設備待之時、其八俣遠呂智信如言來、乃毎船垂入己頭其酒、於是飮醉死由伏寢、

〔釋日本紀〕

〈七述義〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0685 私記曰、問謂之八鹽折酒何意哉、答、或説一度釀熟絞取其汁其糟、更用其酒汁亦更釀之、如此八度、是爲純酷之酒也、謂之鹽者以其汁八度絞返故也、今世亦謂一度便爲一鹽也、謂之折者以其八度折返故也、是古老之説也、而先師不用此酒二日二夜而熟耳、

〔古事記傳〕

〈九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0686 八鹽折之酒(ヤシホヲリノサケ)、書紀に八醞酒と書り、醞は釀酒也とも久釀也とも、字書に注せり、又和名抄に、説文云、酎三重釀酒也、〈漢語抄云、豆久利加倍世流佐介、〉西京雜記云、正旦作酒、八月成、名曰酎酒、一名九醞とあり、さて此を夜志本袁理と云所由は私記に、或説、一度釀熟、絞取其汁其糟、更用其酒汁、亦更釀之、如此八度、是爲純酷之酒也、〈○中略〉と云り、此説大かに宜しかるべし、八度折返とは、古何事にまれ回復て物するを、折と云るにや、物語文に折返し歌ふなどあり、〈○註略〉又酒折池酒折宮など云もあるを思へば、折は酒を造るに殊に云言なるべし、さて新撰字鏡に、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039843.gif 志保留とあり、〈http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039843.gif は、醲俗字と見ゆ、さて醲は、説文に厚酒也と注せり、〉此に依らば、厚酒を造るを志保留とは云るにや、志保留は即志保袁留の切まりたる言にて、幾度も折返し釀意なるべし、〈さて物を絞ると云も、此より出たること、又物色を染る度數を、一しほ二しほと云も、本同意にて、其は理を略る言ならむ、〉さて志本とは、〈酒を造るにも物を染るにも〉其汁を云名にやあらむ、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0686 按古事記、有八鹽折酒、八鹽折是彌入折之假借、彌訓夜、與花單瓣比登倍、謂重瓣夜閉、又謂帆進船者、別張小帆、令船倍捷疾夜保之夜同、彌謂重疊也、與西土數字〈上聲〉義同、入訓之保、與物染入之牟同語、訓染爲曾牟、亦一聲之轉也、今俗有比登之保之語、猶一等也、又紅楓有彌入千入之稱、猶爾雅一染謂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins027752.gif 、再染謂之頳、三染謂之纁之染、考工記三入爲纁、五入爲緅七入爲緇之入、折猶疊也、謂復之、是彌入折、即數遍重疊反復之義也、與數回鍛錬之刀謂之八鹽折刀同、則知彌入折酒、即李時珍所謂阿刺吉酒燒酒、今俗粟盛酒皆是、嘗聞燒酒粟盛酒之法、蒸釀酒未漉者、酒糟蓋之、取其所鬱蒸、先得其汁少許、投之今所蒸之酒中、再蓋之、又取蒸汁少許、投之所蒸酒中、如是、三五次、所取蒸汁、即燒酒、是彌入折之義也、然則八鹽折酒、非再下麴醞釀者、神代紀用八醞酒彌入折酒者、西土古無燒酒、至胡元時、始得其法、故無以充之字、以 偶有九醞之名、作八醞字之也、本居氏引再下一レ麴解八鹽折酒者非是、

淸酒

〔書言字考節用集〕

〈六服食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0687 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039996.gif スミサケ</rt></ruby>〈活法、酒淸者曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039996.gif 淸而甘曰酏、〉 淸酒(同)〈匀瑞、魏人徐邈謂酒淸者聖人、謂濁者賢人、出魏志、〉

〔嬉遊笑覽〕

〈十上飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0687 酒の、今の如く淸酒になりしは、一百年以來の事となん、今も邊地には濁酒を用、唐山なども濁酒多しと聞ゆ、酒の詩などに、浮白といへるも此故、天香樓偶得、古人酒以紅爲惡、白爲美、蓋酒紅則濁、白則淸、故謂酒爲紅友、而玉體、玉液瓊飴、瓊漿等名、皆言白也、梁武帝詩云、金杯盛白酒正言白酒之美、近來造酒家、以白麪麯、并春白秫潔白之水酒、久釀而成、極其珍重、謂之三白酒、於是呼數宿而成之、濁醪曰白酒、使詩詞家不敢用白酒字、失其旨矣、この白酒といへるも、猶にごり酒なるべし、建仁寺の河淸酒樽に書る詩、見時如白水、飮則勝丹砂、八十老翁面、春風二月花などいへり、これに依て思ふに、古き連歌俳諧に酒を飮ことを霞を汲といへるも、かすみとは、濁れるをいふなり、又唐人酒を聖賢にたとへて呼、聖と稱するはすみ酒なり、寒山詩、滿卷才子詩溢壺聖人酒なども、云へり、日蓮上人録内録外等に聖人一筒(ヒトツヽ)とあるはたゝ酒を云へり、

〔延喜式〕

〈一四時祭〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0687 鎭花祭二座 大神社一座 淸酒五升、濁酒六斗五升、 狹井社一座 淸酒五升、濁酒六斗五升、

〔延喜式〕

〈三十九内膳〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0687 諸節供御料 正月三節〈○中略〉 淸酒、濁酒、酢、油各一斗五升

〔延喜式〕

〈四十造酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0687 釋奠料〈春秋同〉 醴齋、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039978.gif 齋、淸酒(○○)各二斗、別貢淸酒三斗六升、〈巳上享料〉酒一石七斗三合〈雜給料〉

〔播磨風土記〕

〈佐用郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0687 彌加都岐原、難波高津宮天皇〈○仁德〉之世、伯耆加具漏、因幡邑由胡二人大驕无節、以淸酒(○○)洗手足

諸白 片白

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 酒 釋名、諸白(モロハク&○○)〈俗稱(中略) 近代呼酒之絶美者諸白、諸者庶也、白者以白米白麴而造之、故、名、(中略)必大按、(中略)釃(○)者漉酒糟之稱、或曰、新酒之下品者乎、醇(○)者酒之上品、今俗稱古酒諸白、之類歟、酎(○)亦新酒中再三加釀、以麴糯美酒者、此亦今俗稱新諸白、之類也、醰(○)亦酒之美味者、今俗稱甘口歟、醨(○)者酒味之輕薄者也、今俗所謂辛口木酒、倶新酒未調和之稱也矣、〉

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 酒〈○中略〉 諸白(○○)、片白(○○)、〈本米麴米共眞精者、故名兩白、本米精而麴米不精、故名片白、〉

〔庖厨備用倭名本草〕

〈十二造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 酒 日本ノ名酒ニハ南都ノ諸白(○○○○○)、此酒ムカシヨリ其ノ名天下ニアラハレ、今ニ至リテコレニ及ブハナシ、加賀ノ菊酒(○○○○○)モ名ヲ得タリ、シカレドモ香味南都ノ諸白ニ及バズ、〈○中略〉五六十年以前ヨリ、泉州堺ノ大和ヤ諸白(○○○○○)、太子ヤ諸白(○○○○○)、備州ノ三原酒(○○○)、尾道酒(○○○)、近年大坂ノ鴻ノ池諸白(○○○○○)、此ノ酒其ノ名ヒロシ、〈○中略〉世界諸國ノ酒ハ、其ノ芳香美味性功ニ至ルマデ、日本ノ諸白ニ及ブハナシ、故ニ諸白ノ酒ハ世界第一ノ佳酒上品也云々、可賞、

〔晴豐記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 天正十八年四月五日、大和大納言より先度勅使參候、其禮とて大刀折がみ給候、〈○中略〉大納言内衆櫻井和泉、諸白(○○)一か、鯉ニ、備中杉原十帖、多羅尾案内者にて禮ニ被來候、

〔醒睡笑〕

〈五上戸〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 山中山城方へ紹巴のおとづれられし時、振舞有りて、ひたもの諸白(○○)をしゐて、前に見えつる天目にてと有りける時、 なら酒や此天目に二ツ三ツのめと仰せあらばとにもかくにも、

〔大江俊矩記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 文化十一年二月一日癸亥、祝儀音物諸向堅固申理、〈○中略〉然強不用之者、出入方之内二人有之、無是非受納左、 上諸白(○○○)三升入塗樽 池田屋吉兵衞 上諸白(○○○)二升入手樽 加賀屋淸介

〔弘賢隨筆〕

〈九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0688 諸白といふ事 忠貞 日光道中幸手栗橋の邊にては、酒店の看板に片白(○○)有と記しぬ、安き酒の名目なりとぞ、則諸白の字義に對したるやおかし右は延享の頃、私曾祖父日光へ參詣致候節の紀行に見えたり、只今片白と申名目有無不相知

〔江戸總鹿子新增大全〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0689 江府名物并近國近在土産 隅田川諸白 淺草並木町 山屋半三郎

濁酒

〔伊呂波字類抄〕

〈仁飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0689 醪〈ニコリサケ〉 濁 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins059965.gif http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins068901.gif 〈巳上同ニコリサケ〉

〔下學集〕

〈下飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0689 濁醪(タクラウ) 松醪(セウラウ) 茆柴(バウサイ)〈濁醪也、一醉而即醒、如茆柴火便滅、故云茆柴酒也、〉

〔書言字考節用集〕

〈六服食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0689 濁醪(ニゴリサケ) 濁酒(同)〈黄醅、單http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins040033.gif 、並同、〉 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039978.gif (同)〈活法、酒濁曰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039978.gif 〉黄醅(クハウバイ)〈濁酒一名、活法、酒未榨也、〉

〔梅園日記〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0689 茅柴 葛原詩話前編云、俗ニ村店ノ薄酒ヲ、鬼コロシ(○○○○)ト云、即村店壓茅柴(アフバウサイ)ト云是ナリ、又茅柴酒トモ云ベシ、韓子蒼詩アリ、飮慣茅柴苦硬、不知如蜜有香醪ト、堅瓠集ニ、茅柴ノ胸ニコダワリテ、下リ難キヲ、惡酒ニ喩フトナリ、又後編ニ云、茅柴、前編ニ解ス、然ルニ事物紺珠ニ、茅柴、言如茅柴焰易一レ過、薄酒也、此解甚佳ナリ、東坡詩、幾思壓茅柴、禁網日夜急、按ずるに、事物紺珠は、明の萬暦十三年乙酉、黄一正が撰なり、これより百四十餘年さき、皇朝文安甲子の序ある下學集に、茆柴濁醪也、一醉而即醒如茆柴火便滅とあれば、古く唐土の説あるべくおもひしに、果して宋人の錦綉萬花谷前集に、韓子蒼詩、云々、謂苦硬之酒、如茅柴火易一レ過とあり、さて葛原、茅柴と壓茅柴を、同物とせしは誤なり、施注蘇詩云、茅柴、乃村落所釀醨酒也、又黄州人造私酒、俗謂之壓茅柴と見えて、壓茅柴は隱し造り也、

〔梅園日記〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0689 濁醪 誹諧新式に、とぶろく(○○○○)とあるを、誹諧通俗志には、酴醿漉と見えたれども誤なり、〈是より前、大和本草酴醿の下に、花〉 〈白く千葉なり云々、唐土には黄色あり、故に黄色のにごり酒を酴醿醁といふ、日本にて山川といふ酒の如くならんとあるは唐土のことをいへるなり、〉松岡怡顏齋の詹々言にも、トブロクは酴醿綠の轉語なりといへるを、其子の松岡洙が按語に、トブロクは、濁醪の轉語歟とある説あたれり、濁醪の文字ふるくよりあり、和名抄に、濁醪は毛呂美、本朝無題詩に、大江佐國翫卯花詩に、尋訪野村濁醪、又藤原周光屏風詩題に、石瀨之邊、有釣漁人、濁醪滿樽、魚膾堆俎、新猿樂記に、酒濁醪肴煎豆、伊呂波字類抄太部、及び下學集に濁醪、天文二年、尊海僧正あづまの道の記に、醒が井の里にて、濁醪といへるをのみて云々、節用集大全に、濁醪白酒也などあるを見てしるべし、もとは文選の魏都賦、恨賦等に出たる字面にて、杜甫、韓愈、白居易、李賀、杜牧、皮日休などが詩にもあり、

〔延喜式〕

〈四十造酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0690 諸節曰、酒四斗、〈○中略〉濁酒(○○)五升、〈十一月一斗、五月、七月一斗、九月不供、〉

〔童蒙酒造記〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0690 濁酒之事 一成程花付たる麴よく候、扨大體より少し水を詰べし、 一新酒口ならば、掛留http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 三日め程、寒造りならば六日七日め、春造りは四日五日程にて、石磨にて醅共に引べし、如此未沸中に引ば、最早勢拔て沸ぬ物也、依之後迄につとりと盃http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 落ぬ程濃く甘口也、 一新酒口ならば、添にて掛留べし、春造りも同前也、寒中二ツも掛べし、 一大元は勢強く沸過候、何時も五升元http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 一斗元迄に成べし、如此造りては旨みある物也、

〔造酒製法〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0690 濁酒仕込方 一糀壹升白米壹升薄キ粥ニいたし、能冷し右糀ト交合蓋を掛ケ蒲團ニ而も包み置、毎日朝夕能交候得ば、追々甘く成、極上甘酒と成、此時德利ニ而も、熱湯を込み、右甘酒の中へ差込、一日ニ一度湯を込替可申、尤甘酒之桶も外http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 能包み、内外http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 温メ候得ども、涌出淡立候而味追々ニ辛苦キ物 と成る、此時德利を拔キ冷し候得ば、能き酛ニ成、 右之上へ又糀壹升、蒸食貳升、水四升計り入、能交蓋ヲ掛ケ、一日兩度計交、二日程隔、又糀貳升、蒸食四升、水七八升入能交置、蓋ヲ掛ケ一日兩度計交候得ば、酒之味ニ成者也、是を濁酒と云ふて諸味之儘温テ呑、

〔濁酒手造渡世之者之儀ニ付調〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0691 市中ニ而冬春濁酒、夏氣燒酎重ニ手造いたし、おろし賣又者居酒商候もの人數其外共御尋ニ付、左ニ奉申上候、 一天保八酉年前後、諸國米違作ニ付、市中に而も食物粥相用候樣御觸有之折柄、市中に入津米を猥に濁酒手造いたし候間、其砌米方御掛筒井肥前守樣町方御勤役之節、右稼方之者御取調有之處、町方壹番組より貳拾壹番組其外迄、同年人數千八百六拾三人、此内、 千七百五十九人 是者天保四巳年已來、濁酒造方相始候ものニ付、酉年中より差止可申旨被仰渡候、 百貳拾四人 是者天保四巳年已前より、濁酒造方一式之稼方ニ付、先其儘差置、追々米價下置ニ相成稼方不難儀時節ニ至、差止可申旨被仰渡候、 右取調仕譯相立候上、翌戌年左之通被仰渡候、 〈町々〉世話掛 名主共 御府内濁酒造入新規之分者勿論、都而去ル巳年已後之分者差止、巳年已前之分迚も、外商賣有之もの者、全之渡世ニ離候筋ニも無之候間、是又差止、巳年已前より濁酒一式之稼方いたし候もの共者先其儘差置、追々米價下直ニ相成、格別不及難儀時節ニ到候ハヾ、右之分も差止可申、尤當時 迚も是迄之造高より、成丈相減候樣可致旨、米方當分掛名主共〈江〉も申合、此もの共より銘々組合名主月行事共〈江〉申通候而、不行屆之義無之樣可致、 米方當分掛 名主共 右之通申渡候間、此もの共先達而取調差出候、濁酒手造ニいたし候もの共名前等、夫々世話掛名主共〈江〉申合、右申渡之通相心得、不行届之義無之樣可致、右之通被仰渡畏候、仍如件、 組々世話掛 米方當分掛 天保九戌年二月十九日 名主左太郎〈○下略〉 後奈良院御撰何曾十里の道をけさ歸る にごり酒 毛吹草三攝津 須磨濁酒〈サヽポロヤ波コヽモトヲ打過テスマデノムコソ濁酒ナレ、所ニ云ナラハシタル歌ナリ、〉

〔倭名類聚聚〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0692 醪 玉篇云、醪〈力刀反、漢語抄云濁醪、毛呂美(○○○)、〉汁滓酒也、 醅〈釃字附〉 説文云、醅〈音與盃同、漢語抄云加須古女(○○○○)、俗云糟交〉醇未釃也、唐韻云、釃〈所宜反、又上聲、釃酒佐介之太無(○○○○○)、俗云阿久、〉下酒也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0692 加須古女即滓籠之義、蓋今俗濁酒也、〈○中略〉原書酉部云、醅醉飽也、與此不同、恐源君誤引他書、按玉篇云、醅未http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins069201.gif 之酉、廣韻云、醅酒未漉也、與此義同、但醇字恐誤、又按吉備醅見賦役令義解、蓋謂加酒古女、萬葉集丹生女王贈太宰帥大伴卿歌、有吉備能酒、蓋謂此也、庭訓往來亦有備後酒、又按、醅謂釃之酒、若釃之乃爲淸酒、然則醅可以充毛呂美、酒之未釃者、今俗尚呼毛呂美、醪訓汁滓酒、謂滓而飮之酒、可以充加須古女、按古女令籠也、加、須古女謂分酒與一レ糟也、今俗呼濁酒者蓋是、恐漢語抄互誤、〈○中略〉之太无蓋活用下之語、謂醅下淸酒也、阿久今俗棄酒他器阿久、蓋此語之遺也、

〔東雅〕

〈十二飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 酒サケ〈○中略〉倭名鈔に玉篇に云、醪は、汁滓酒也、漢語抄に、濁醪讀でモロミといふ、説文に云醅は醇未釃也、漢語抄にカスゴメといふ、俗には糟交といふと注せり、モロミの義不詳、〈我國之俗、凡物の二つなるをモロといひて諸の字を備用ゆ、ミとは實也、凡物の形あるをいふ、猶身といふが如く、古の時にモロミといひしは、汁と滓と二つ相混ぜしをいひ、いまだ泲(シタマ)ざるをカスゴメといひしと見えたり、カスとは糟也、コメとは籠也、猶糟交といふが如し、今の如きは、汁滓の酒をば、濁酒といひ、其いまだ泲ざるものをばモロミといふ、古にいひし所に同じからざるに似たり、〉

〔倭訓栞〕

〈中編二十六毛〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 もろみ 和名抄に醪をよめり、盬みの義なり、童蒙頌韵にhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins040069.gif もよめり、今造釀する者の醬の類にも此名をよべり、酒にいふは今俗に濁酒とするもの也

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif

〔書言字考節用集〕

〈六服食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif (ナカクミ)〈字彙、未涑酒也〉

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 酒 釋名、諸白〈俗稱〉上熏(○○)〈上同〉中(/○)酌(クミ&○)〈上同、(中略)上熏者新造濁酒之濃香外熏也、中酌者半淸半濁(○○○○)之稱也、〉

〔童蒙酒造記〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 片白http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif (なかくみ)の事 一片白揚前延たる時は、蓋ヲ持て下は淸物也、此のごとくの時は、蓋を除、笊籬を當て、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif にして取べし、酒により三分一四分一程は、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif になる物也、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif は淸遲き物也、

霙酒

〔寬政武鑑〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 植村出羽守家長〈○大和高取〉 時獻上〈十二月〉南都新酒澄霙(○○)

〔筑前續風土記〕

〈二十七土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 霙酒 此酒本は南都より釀し出せり、然れ共其味辛し、近世福岡の酒屋鹽屋といふ者、始て甘霙(○○)を釀し出せり、是は酒の中に粕交りて、霙に似たるを以て其名とす、味甚甜美なり、近年は他邦に是を賞する、事練酒に劣らず、

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 醴 四聲字苑云、醴〈音禮和名古佐介〉一日一宿酒也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0693 蓋濃酒之義〈○中略〉按造酒司式云、醴酒者米四升、糵二升、酒三升、和合釀造、〈○中略〉與今俗呼阿萬佐計少不同、〈○中略〉按説文云、醴酒一宿熟也、釋名云、醴齊釀之、一宿而成、醴有酒味而已也、周禮正注、醴猶體也、成而汁滓相將、如今恬酒矣、並與此義同、

〔段注説文解字〕

〈十四下酉〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 醴酒一宿孰也、〈周禮酒正注曰、醴猶體也、成而汁滓相將、如今恬酒矣、按汁滓相將、蓋如今江東人家之白酒、滓即糟也、滓多故酌醴者用柶、醴甘、故曰、如今恬酒、恬即http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins023281.gif 也、許云、一宿孰、則此酒易成與禮經以醴敬賓曰醴賓、注多攺爲禮賓、从酉豊聲盧http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins216170.gif 切、十五部、〉

〔事物紀原〕

〈九酒醴飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 醴酪 古史考曰、古有醴酪、禮運曰、昔先王未火化、後聖有作、然後脩火之利以爲http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039812.gif 注云、蒸釀之也、

〔多識編〕

〈三穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 醴〈古佐介、又云比土與左介、〉

〔儀式〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 春日祭儀 内侍以下入開饌蓋、次酌酒奠之、殿別二坏〈一坏一宿酒(○○○)、一坏社釀酒、〉退出、

〔延喜式〕

〈二十六主税〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 凡工匠役夫、人別日加給醴(○)六合、魚二合、和布二把

〔延喜式〕

〈四十造酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 供奉料〈中宮亦同〉 日酒一斗五升〈○中略〉醴(○)一升 右日料、司家所進〈○下略〉

〔日本書紀〕

〈十應神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 十九年十月戊戌朔、幸吉野宮、時國樔人來朝之、因以醴酒(○○)獻于天皇而歌之曰、伽辭能輔珥(カシノフニ)、豫區周塢莵區利(ヨクスヲツクリ)、豫區周珥(ヨクスニ)、伽綿蘆淤朋瀰枳(カメルオホミキ)、宇摩羅珥(ウマラニ)、枳虚之茂知塢勢(キコシモチヲセ)、麻呂俄智(マロガチ)、歌之既訖則打口以仰咲、

〔續々修東大寺正倉院文書〕

〈四十五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 謹解申壞運屋事 應充功食人百六十九人〈○中略〉 粉酒(○○)六斗七升六合〈別人充四合、直錢六百七十六文、別升充十文○中略〉 以前、所用物等數、注顯申送如件、仍具以状解、 天平寶字六年正月廿八日 使僧慶寶〈○下略〉

〔九條年中行事〕

〈六月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0694 同日〈○朔日〉造酒司始獻醴酒(○○)事〈起今日七月卅日

〔年中行事歌合〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 十七番 左〈勝〉 獻醴酒〈六月一日〉 前大納言 いく千代も絶ずそなへむ六月のけふのこざけ(○○○)も君がまに$〳〵$

〔公事根源〕

〈六月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695醴酒 同日〈○一日〉 一夜ざけ(○○○○)とは、けふつくればあすは供するなり、一夜をべだつる竹葉の酒なれば、一夜酒と申なり、又はこざけとも或文に侍り、昔は口中に米を嚼て宿をへて酒に作けるにや、この酒は造酒司けふより七月卅日まで、日毎に奉るなり、

〔雲錦隨筆〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 浪華の良賤を始め、近鄕の家毎に九月生土の神事には、醴を釀て神に供じ、來客にも勸め、家内の上下これを祝ひて飮を風とす、故に俗に醴祭といふ、又浪華へ渡海の船舶、極月湊に泊りて越年なす者、多く醴を造て、歳首に船玉神に供へてこれを祭るを風とす、されば一夜酒を用て神に供ずる事、その例久遠なる事になん、

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 酵(○) 楊氏漢語抄云、酵〈音教、和名之良加須(○○○○)〉白酒甘也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 按廣韻云、酵、酒酵、又齊民要術載餠酵、李時珍曰、蒸餠是酵糟發成、單麪所造、則知酵今俗作饅頭用、今人所飮甘酒當是、

〔東雅〕

〈十二飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 酒〈○中略〉 又〈○倭名抄〉楊氏漢語抄を引て、酵はシラカス白酒甘なりと注しけるは、萬葉集歌に、シロキといひて、白酒の字を用ひしもの也、

甘酒

〔易林本節用集〕

〈阿食服〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 甘酒(アマザケ) 醴(同)

〔料理物語〕

〈料理酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 甘酒はやづくり 道明寺一升をゆにてあらひあげをき、こうじ一升を水一升五合入、すりばちにてよくすり、すいのうにてこし、右三色なべに入、とろ$〳〵$とねり候へば、時のまによくなり申候、白ざたう入候てよし、

〔料理物語〕

〈萬聞書〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0695 白川甘酒(○○○○)は 白三升を引わり、よくむし、さましてこうじ五升に水五升入、よく もみて、すいのうにてこし、しぼりかすをすて、その水にてつくりいれ、とき$〴〵$かきあはせ候、夏は三日冬は五日にてよし、

〔雲錦隨筆〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0696 早苗植つけてより、六十四日にして米となるを八八日(ややうか)米と號す、江州高島郡より大津の問屋へ出し、問屋より大内の味噌調進所〈出水西洞院東へ入〉へこれを達す、當家に於て麴に製し、禁裏へ獻上す、則ち禁中にて甘酒に製らせ給ひ、先人麿へ供ぜられ、爾後主上にも召上させ給ふとぞ、

〔塵塚談〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0696 あま酒は冬のものなりと思ひけるに、近來は四季ともに商ふ事になれり、我等三十歳頃迄は、寒冬に夜のみ賣廻りけり、今は暑中往來を賣ありき、却て夜は賣もの少し、淺草本願寺門前の甘酒店は、ふるきものにて四季にうりける、其外に四季に商ふ所、江戸中に四五軒も有りしならん、

〔三養雜記〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0696 三國一の醴 韻會に、説文云醴一宿熟也、又醴甜酒也とあり、甜酒はあまざけなり、一宿に熟すれば一夜酒ともいへり、按に神代卷に、木華開耶姫に皇孫幸之則一夜有身といひ、釀天甜酒之といふこと見えたり、さて富士神社は祭神木華開耶姫なれば、一夜に娠ぬといふを、一宿醴によそへ、三國一またしら雪などゝ富士山にちなみある名をつけ、かつ木華は梅をいへば、やがて梅鉢の紋をもつくるなり、これ醴うる見せに<tmc code="i069601"/>をゑがき、三國一しら雪醴としるし、梅ばちとよびて賣ありくの縁なり、

〔江戸町中喰物重寶記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0696 〈江戸元祖〉本製三國一あま酒所 横山町二丁目 大黑屋 能にへ立候さゆを此あまざけと當分に御入、かきまわしながら、御わかし可遊候、

〔雍州府志〕

〈六土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0696 山川酒〈○中略〉 曾此邊〈○六條油小路〉有常熏者、釀醴酒、今有其製而造之者、其味甘而帶微酸夏日造之、

〔鷹山公偉蹟録〕

〈十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0697 醴酒御斷リノ事 文化十一年、作毛不熟ニ付、酒造停メ玉ヘリ、然ルニ公〈○上杉治憲〉ハ酒ヲ嗜マセラレザリケレバ、例年寒氣ノ節、御腹養ノ爲ニトテ、醴酒少々聞召シケル、酒禁ノ節ニ當テ、上タル者親ク行ツテ示サデハ、下ヲ率ヒ服スベキ樣ナシ、醴酒タリトモ造ルベカラズト被仰出、齊定公聞カセラレ、御老年ノ御身カバカリノ事マデ見セ玉フニハ及バセラレマジ、藥用酒ト云へバ、誰人ニテモ許シ與ル事ナリ、御養生ノ爲ナル醴酒造ラセ玉フコト、何條障リノ候ベキ、何トゾ造ラセ玉ベシト再三強テ勸メ玉ヘドモ、猶許シ玉ハザリシヲ、御使ヲ以テ糯米ト糀トヲ進ラセラレ、願ハセ玉ヒケレバ、公モ其御考心ニ感ジ、稍ク其言ニ從ハセ玉ヒシガ、猶例年ノ半ニモ足ラヌホド造ラセ玉ヒケリ〈仰止 録〉

白酒

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0697 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039971.gif 〈音坐、白酒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins069701.gif 音捜、之呂佐介(○○○○)、〉 按白酒用糯精米七升饎、〈冷定〉漬一斗酒中封之、春夏則三日、秋冬則五日而開口以箸解分其飯粒嘗試之、以甘味度、連醨(モロミ)磨之、白色如乳甘美、本草所謂白酒名http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039971.gif 者此類乎、

〔貞丈雜記〕

〈七酒盃〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0697 一白酒と云事、條々聞書に、公方樣にては、正月五ケ日、其外節朔には、片口の御銚子白し、御酒も白酒也とあり、白酒とは今も有白酒也、〈濃くは有べからず、うすく有べし〉餠米にて作る也、〈餠米は酒の氣をやはらかにする物也、〉禁裏にて御代替りの初に、大嘗會と云御神事有、其時に神に白酒黑酒とて二品の神酒を奉り給ふ、白酒はすみ酒也、右白酒は是の事とは違ふ也、

〔童蒙酒造記〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0697 白酒之事 一餠米上白壹斗、地酒貳斗仕込樣以下練酒同前也、濃き薄き違計也、 一又法に、餠米上白六升五合、白花麴壹升五合、地酒壹斗、右餠米蒸し釜より直に入れる、能包、翌朝あけて搔也、其後は一日に二度宛搔也、日數七日めに石磨にて引て直に賣る也、 右方は名古屋奈良與兵衞方也、

〔江戸名物詩〕

〈初編〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0698 豊島屋白酒〈神田鎌倉河岸〉 白酒高名豊島屋、氣強色薄一家風、人々欲買多難買賣始賣終半日中、

〔江戸總鹿子新增大全〕

〈七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0698 江府名物并近國近在土産 博多練酒 〈本所表町〉 金や長左衞門 〈山川白酒無類名物〉 山川酒所々家々にありといへども、此家の製を以て名物とす、片土に住すといへど、彌生の頃は門前に市をなせり、桃李ものいばず、をのづから徑をなすとは此事なるべし、此家の祖、諸國を經歴せし時、築紫に到り、練酒製法の傳を得たりとぞ、 富士の白酒 淺くさ

〔扶桑名處名物集〕

〈駿河〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0698 白酒 石臼をみせにかざりて旅人を引きとめてうるふじの白酒 木春 一杯でおかれぬ味のよし原とかさねて通る不二の白酒 乘方

練酒

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0698 http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039971.gif 〈○中略〉 練酒(ネリサケ) 筑前博多之練酒得名、似白酒而甚粘、其味甘美也、蓋此與白酒一類製之精者矣、下戸及婦人小兒好吃之、多飮則痞滿、

〔童蒙酒造記〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0698 練酒之事 一餠米壹斗上白食に蒸し、人肌或は人肌強く時節によつて也、 一地酒壹斗入搔合せ、群なき樣にして桶に入、口を張置、七日過口を開け、石磨にて引、又桶に入口を張置、又自是七日過口を開賣べし、引て直には風味出ずして辛き物也、右の如く日數を經て甜 み出る物也、

〔碧山日録〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0699 應仁戊子〈○二年〉正月十七日戊寅、西客某來、款話次曰、農之後州出(○○○○○)香酒(○○)、名(○)練貫(○○)、其性濃醇、雖萬里於數旬之間、其味不變、故至中州者多載之云、余曰、橫州古辣泉之所釀、其色淺紅、其味甘美、可以致一レ遠、雖烈日中壞也、豊釀蓋此類乎、客喜飮者也、聽而亦喜焉、余只説相似之好、而不勸焉、客遂不興而去、余又不意也、

〔筑前續風土記〕

〈二十七土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0699 博多練酒(○○○○) 其色練絹のごとく成ゆへに、練酒と稱す、其しぼりてこしたるを練酒といふ、糟ともに用るを實練酒と云、此酒いつの世より始めしと云事を知らず、牡丹花肖柏が三愛記に、酒は九州の練ぬき、加州の菊の花、天野の出群なるを求と書り、肖柏は大永七年に死す、元祿十五壬午年迄百八十四年〈○元以下十三字、一本作寶永六年迄百九十一歳十字、〉に及べり、肖柏が時此酒既に世上に名有、猶其昔より有て久敷名産なるべし、古へhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 博多にて小田氏が家のみに是をかもす、今は製する家多し、就中篠原氏が家に釀するを上品とす、其味彼是大樣相似たりと云共、久きに堪るを以、其製の精き事を知る、此酒世にありて、他邦にて甚珍賞す、他州の酒家此酒を學びかもすといへ共、其味甚劣れり、博多の産に似ず、國君より毎年十一月、江戸に獻ぜらる、

〔庖厨備用倭名本草〕

〈十二造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0699 酒 筑前ノ子リ酒、其ノ色白ク、コク、子バク、練帛ヲミルガ如シ、故ニ名ヲ得タリ、

〔雍州府志〕

〈六土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0699 白醴酒 今所々製之、元倣筑前博多練酒而釀之、其色白如練、故稱練酒、其中油小路出水通北、并衣棚三條北酒店之製特爲美、

〈明和新增〉

〔京羽二重大全〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0699 練酒所 丸太町麩屋町西〈へ〉入 尾道屋次郎右衞門

〔料理物語〕

〈料理酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0699 ねりざけ(○○○○)、玉子に白ざたうを入、冷酒にてよく〳〵ねりあはせ、かんをいたし 出候也、

燒酒

〔多識編〕

〈三穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0700 燒酒〈今案牟之左氣、俗云世宇知宇、〉

〔武備志〕

〈二百三十一日本考〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0700 譯語 飮食 燒酒〈隔辣(カラ/カラ)曬箕(/サケ)○〉

〔倭訓栞〕

〈中編十二世〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0700 せうちう 燒酒の音なり、武備志に燒酒をからさけと譯せり、泡盛(○○)は薩摩より出、玉露藪に琉球酒と見ゆ、燒酒より烈し、火の酒(○○○)は肥前より出、泡盛よりも烈し、あらきは燒酒の蠻名なり、につばといふは、本草にいふ暹羅酒なるべしといへり、

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0700 燒酒〈俗訓志也宇知宇、〉集解、燒酒用新酒之糟、入甑蒸令氣上、用器承取滴露、其淸如水味濃烈者也、酸壞之酒亦可之、今以銅鑄甑、其状鍋上蓋下鍋、下鍋在火上而煮物、上鍋承上氣露、從外口滴垂、其外口插七八寸許之銅筩、斜下垂滴露而承器、其上鍋之外邊四圍繞銅板、上洞下連而盛水十分至上、此爲鍋外冷、鍋外冷則内露多、此俗稱羅牟比岐、本南蠻之器、而以比伊登呂亦造之、一種有燒酒最澄淸濃芳味逾辛烈者、俗稱泡盛、此用濁醪、入甑令氣上、承取滴露、亦用羅牟比岐而取之、或以銀造羅牟比岐亦有、泡盛多出薩侯家者爲勝、國主獻之、餽之、及有火酒者前肥侯家、其辛烈燥猛亦甚於泡盛、大抵三酒倶與火同性、得火即燃同乎焰硝、其火亦靑焰、今試浸布紙而點火則燃、故或曰火酒之名亦據于茲、然今世俗謂二酒倶不火而名一レ之惟肥州之酒稱火者、肥酒之轉音借用耶、又曰、此酒味甚烈入口如燃、故曰火酒、又有荒氣(アラキ)酒者、合于桂茴香之類品、釀燒酒而造之、言能治疝積、此亦三酒之類也、

〔本朝食鑑〕

〈二華和異同〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0700 燒酒 凡燒酒非古法、自元時始、然非中國之味、而蒙古人之制耶、誠濃烈害人者不少、今本邦若泡盛火酒荒氣酒之類、亦琉球南蠻之酒、而不本邦之人而已、趙宋之末、民間有蒙汗麻沸酒者、而群盜造之以迋 人、未其法也、

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0701 澆酒(しやうちう)〈火酒阿刺吉(アラキ)酒、今用燒酎字、酎重釀酒名也、字義亦通、〉本綱燒酒非古法也、自元時始創其法、用濃酒糟入甑蒸、令氣上、用器承取滴露、凡酸壞之酒皆可蒸燒、近時惟以糯米或粳米或黍秫蒸熟、和麴釀甕中七日、以甑蒸取其淸如一レ水味極濃烈、蓋酒露也、 氣味〈辛甘大熱有大毒〉 純陽毒物與火同性、得火即燃同乎焰硝、北人四時飮之、南人止暑月飮之、勝濕袪寒、消沈積、通膈噎、而散痰飮冷痛、如過飮敗胃傷膽喪心損壽、與薑蒜同食、令人生一レ痔、〈鹽冷水綠豆粉解其毒〉 按燒酎即蒸酒造之、然今造法用新酒糟稃互一層隔盛甑蒸之、甑蓋亦安鍋而盛水、任甑下湯沸、滴露垂於上鍋底、以筩承之出甑外、直走入于樽氣不一レ洩也、上鍋之水以温湯度、更換水蒸、謂之二番、氣味淡不一番佳者也、 阿蘭陀之阿刺吉酒琉球及薩摩之泡盛酒皆彼國燒酎、氣味甚辛烈、而消痞抑積聚能防濕、〈此等皆蒸生酒成燒酎也、〉

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0701 山城 消酎

〔西遊記〕

〈續編三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0701 濁り酒 薩州には燒酒とて、琉球の泡盛やうの酒あり、京都の燒酒のやうに強からず、國中七八分は皆此燒酒にて酒宴する事也、常の酒は祝儀事などの贈りもの、あるひは儀式の宴會などにのみ用ゆ、是は皆京大阪邊より、積下す酒にて、其價尢高直也、彼國にてたま$〳〵$造る酒は、甚下品にして飮難し、夫ゆへに此燒酒を多く用ゆる事なり、琉球芋も酒に造る、味甚だ美なり、其外民家にては、黍粟稗の類皆燒酒に造るよしなり、余も其法を傳へ、彼地にて其道具を求め歸りて、今にいたり、折々は、我家の飮料を造る、其時々三升にても五升にても、入用ほどづゝ造る事なれば、甚だ自由にて且又風流のものなれば、大に賓客を饗應に足る、他國に此法なきはいか成ゆへにや、

〔三養雜記〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0702 燒酎の害 同じころ〈○天保〉きゝたるに、さる諸侯がたの馬の口とる下をのこ、すぐれて酒をこのみけるが、常の酒は醉ごゝちよろしからずとて、燒酎をのみ嗜けり、いづくにか行たりけん、かへるさの道のほどにて、ある酒店に入り、燒酎五合をもとめ、そこにてたゞ五口に飮ほし、まだことたらぬ顏つきなるを、その店に居あはせしものども、あつまり見てまことに見ごとなり、今五合ふるまはんはいかにといふに、かのをのこよろこびて、その五合をなにの苦もなく、また五口に飮みぬ、なほかたはらの人々のいへるは、もはやそのうへはいかにといふに、あらば飮たしといへりければ、その人々より合て五合をあたへければ、忽飮をはれるに、人々もあざみ興じて、世にはかゝる人もあるものかなといひのゝしるほどに、家あるじのきゝつけて、奥より立出つゝ、そのうへこそよも飮まじといふに猶あらば飮まんといふにより、あるじ又五合をあたへけるに、かたじけなきよしあつく禮を述て飮ほして、われはじめて十分に燒酎を飮たることよと、よろこびつゝかへりぬ、さてわが馬屋に歸りて、常にかはりたることもなかりしに、煙草吸に忽口より炎いづると見えしが、あつとばかりに身うちふすぼりて卒倒したりとかや、また南八町堀にひとり住のものゝこれも燒酎をすぐれて好みしが、ある夕ぐれ多く飮て、そのまゝうち臥したり、そのあした日高くさし升りても、かのをのこ起もいでざれば、おとづるゝにこたへなし、よつて戸をはなし、入りて見に、をりしも冬のことなれば、火爐の傍にうつ臥し、總身黑く焦てはて居たり、あたりに煙筒煙草入など、とりちらしつゝありしかば、これも煙草を吸たるものならんとぞいひし、燒酎は燃性のものなれば、多く飮たらん後は、煙草を吸ことは必しもつゝしむべきことにこそ、此話はある官醫のまのあたり、見もし聞もせしことなりとかや、

泡盛

〔南島志〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0702 食貨 造釀之方、酒醪醋醬、及乾醬之屬、亦皆如我制、使琉球録又謂酒以水漬米越宿、婦人嚼以取汁、曰米奇、甚非也、酒曰米奇、即此間方言也、唯其露酒方始傳外國、色味淸而淡、久之不壞、能易人、使琉球録曰、出暹羅、亦非也、造法不暹羅酒、蒸米和麴各有分劑、不水、封釀而成、以甑蒸取其滴露、如泡盛甕之中密封七年而後用之、首里所釀最稱上品、〈其俗名泡盛酒、相傳云、昔有外國人來曰、國居南海瘴霧之中、人必夭死、因授以毒方、即露酒也、薩摩州人之言曰、天地生斯人、方物各有宜、本兵戌中山者、三年一代之、性不酒者、亦在彼中、善飮露酒、乃至十數鐘、而不醉、北歸比大島、不數鐘、及歸不喉、亦復如初、凡布帛之屬、溽暑生黴、酒以露酒、色即鮮明、亦是一奇、〉

〔成形圖説〕

〈十一農事〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0703 酒食 沖繩蝦夷は地粟を以て燒酒を造れり、沖繩にて粟盛といふ、氣味酷烈此間の人多く飮ば、醉斃に至る、而に南島の人は此粟盛を恒に飮こと、燒酒に異ならず、夏月の鬱燠(アツキ)には、此を冷ながら飮ざれば、暑氣を散すことならざるなり、是天道自然に此物を彼南方に製しめて、人命を利濟に在り、故に粟盛沙糖の輩、本藩に於て造るといへども、徒に土力を勞し、工夫を費し、久して却て損失多し、此亦風土の自然なり、

〔明良洪範〕

〈十一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0703 島津中將光久ハ、弓馬槍劒ハ勿論、水練及ビ詩歌書晝算術謠曲等ニ至ル迄、衆ニ勝レシ人也、〈○中略〉泡盛酒ハ薩州ニテモ造レド、盃ニ盛リ上リ、又板ノ上ヘコボセバ、其板ヲ貫キ通スナドハ、琉球製ニハ及バズ、此泡盛貞享年中ヨリ公儀ヘ獻上并ニ諸役人ヘ進上物ニ成リケレバ、琉球製ノ物ハ、殘リナク家中ノ者迄行屆カザレバ薩州製ヲマゼテ配當セント、掛リノ人々評定シケルニ、光久聞テ、ソハ然ルベカラズ、此泡盛ハ會宴ノ用ニハ非ズ、藥用ノ物ナレバ、將軍家始諸家ニテ重寶セラルヽ也、然ルニ功能薄キ物ヲ取リマゼテ送ル事詮ナキ事也、品ヲ減ンジテ少々宛配當スルトモ、功能ウスキヲ交テ、配當スル事ナカレト云レケルト也、

本直

〔日本山海名産圖會〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0703 味醂酎 本直しは燒酎十石に糯白米貳斗八升、米麴壹石貳斗にて、釀法味醂のごとし、

〔童蒙酒造記〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0704 本直しの事 一燒酒壹石に付粕五斗入搔合せ、蓋をして三日四日めに船にて揚る也、 一上白の米壹斗、白麴にして出次第 一上白の餠米貳斗六時計り水に漬て蒸す也、右の食正月頃は荒息五六篇出す、二月人肌http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 温めに醒し、三四五六月迄も造り申候、食段々冷し切申也、扠右麴と群なく交ぜ合せ桶に入、其後右揚たる燒酒壹石入搔合せ、蓋をして口を張、夫より九日めに擢入るなり、扠又張置、造り込より日數四十四五日め五十日め迄にて呑て、燒酒の香除き次第、又淸次第に上呑口http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 引取也、但し造り桶は細高底http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 一尺五寸、上に呑口付る也、又一尺上にも付る也、勝手次第也、是は急而支度して、大形呑口http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 引取也、泥は船にて揚候也、 一本直し別法は、味醂酒のごとく、造米麴米共に餠米にて造り、水は諸白を用る也、依之味醂酒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif浸と甘く候、燒酒を諸白に替るばかり也、

味醂酒

〔書言字考節用集〕

〈六服食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0704 味醂酎(ミリンチウ)〈酒之一種〉

〔一話一言〕

〈八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0704 或書の中に〈題號不見〉 一味淋酒を みりんしゆといふはわろし

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0704 燒酒 附録、美淋酒、〈以燒酒之、其法先用春白糯米三合水一宿、蒸甑作飯、待冷與麴二合同入一斗之燒酒、頻々攪之收藏于甕、毎七日攪之一次、經三七日而成、以其未成者、俗稱本直、成酒後稱美淋、以日久不一レ變爲上、此修冶未詳惟以酒味甘美如一レ蜜而爲珍爾、〉

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0704 美淋酎(みりんちう)按美淋酎近時多造之、其味甚甘、而下戸人及婦女喜飮之、用糯米三升之、一宿而蒸爲飯、待冷、麴二 升燒酒一斗和匀、毎七日一次攪之、三七日而成、醡去糟用、其糟甘亦、賤民代菓子

〔日本山海名産圖會〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0705 味醂酎 燒酎十石に糯白米九石貳斗、米麴貳石八斗を桶壹本に釀す、翌日械を加え、四日目五日目と七度計拌きて、春なれば、二十五日程を期とすなり、昔は七日目に拌たるなり、

〔萬金産業袋〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0705 酒之部 みりん酒 上白の糯米壹石、上白米のかうじ米にて貳斗、〈是も花をあらひ〉生しやうちう一石貳三斗、右もち米は常のこはいひよりなをよくむして、筵に廣げよくさまし、あらひあげのかうじと一ツにし、しやうちうにて造りこむ、日數五十日ほどして、常酒のごとくにあぐる、かくのごとくに仕こむもあり、又もち米に、粳七分三分にして仕こみあげて後、是までのみりんを壹石ニ五升七升さしにするも有、家風にもよる也、

〔太閤記〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0705 凡例 或問、ばてれんは日本の宗旨に對しては、何程あしき事に候や、答曰、宗旨に對しあしき事は扠置ぬ、日本の大敵にて候也、〈○中略〉所の吏務へ捧物を夥くかよはせ、〈○中略〉若一町の所へ見物などに、件の人來りたりしかば、上戸にはちんた、ぶだう酒、ろうけ、がねぶ、みりんちう(○○○○○)、〈○中略〉などをもてなし、我宗門に引入る事、尤ふかゝりし也、

〔神屋文書〕

〈乾〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0705 猶以病中之故押手如此候、以上、 煩爲見廻壹人指上せ、殊蜜林酒(○○○)斗合貳ツ煎鼠五けた到來祝著に候、煩彌能候間可心安候、委岡半左衞門http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif申候、恐々謹言、 十月廿四日〈○年未詳〉 如水〈黑印○黑田〉 宗湛〈參る〉

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0706 山城 味淋酒

〔柳葊雜筆〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0706 南都般若寺の古牒に、慶長七年三月十三日、厨事下行、〈○中略〉ミリン酒三升〈代百九十五文〉とあり、〈○中略〉ミリン酒三升百九十五文は、米九升餘の代なり、然ればミリン酒一升米三升餘に當る、今にてもミリン酒の價米三升餘に當れり、慶長七年より弘化二年まで、二百四十四年の久しきを經て、價の大形同じきは如何にぞや、

〔天保十三年物價書上〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0706 酒酢醬油直段書上 一極上味淋酒 貳拾樽ニ付金貳拾貳兩貳分 〈壹樽ニ付金壹兩貳朱、三ツ割代金壹分貳朱、壹升ニ付代貳百五拾文、引下壹升ニ付代貳百四十四文、壹合ニ付代貳拾六文、引下壹合ニ付代貳拾五文○中略〉 右者此度錢相場御定被仰渡御座候ニ付、右釣合を以、右之通直段引下ゲ、賣買爲仕度奉存候間、此段申上候、以上、 〈寅〉八月十二日 〈七番組〉南茅場町 名主 甚七印〈○以下二人略〉

木酒

〔寶箱〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0706 あるじの男の云、〈○中略〉酒を米にてばかり作ると覺給ふや、粟にてもつくるなり、其ゆかりにて、今も粟もりといふあり、また木にて作ることもあり、草の根、または果を以て作るなり、是を木酒といふ、たゞし今はおほくは米のみなり、木の實、草の根などにて作るの法を失へるがゆへなり、葡萄酒、五加酒、慧苡酒、菖蒲酒、枸杞酒、薯蕷酒、牛蒡酒、地黄酒、當歸酒、牛膝酒、などのたぐひ、今も品々侍り、 ○按ズルニ、此書ニ謂ユル葡萄酒以下ノ諸酒ハ皆藥酒中ノモノナリ、宜シク次條ヲ參看スベシ、

〔經濟要録〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0706 造釀 蒲挑、柔椹橘子等モ法ヲ以テ釀ストキハ、皆貴重ナル美酒トナル、

〔日本書紀〕

〈一神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0707 一書曰、〈○中略〉素戔鳴尊乃敎之曰、汝可衆菓(カム)酒八甕(ヤハラ)吾當爲汝殺虵、二神隨敎設酒、

藥酒

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0707 酒 附録、近代所用藥酒方法不勝計、惟以毎用者略記之爾、 忍冬酒(○○○)〈治諸風痛痹濕腫及癰瘍之類、或寬膈温中、推食下氣、拂鬱慰勞、然多欲則作害者不少、凡此酒不新造、以年者上、其味有辛辣者、有純甘者、有甘辛相交者、近代紀陽伊勢肥後筑後之侯家造之、以餽于四方、紀陽家酒甚辛辣而香烈、交用丁桂之類而造于燒酒、世以珍賞之、伊勢家惟用金銀花茨花米麴燒酒而造之、甘辛相交、濃香美味、亦世珍賞之、肥後筑後之家造者甚甜微香、然亦不酒人最珍賞之、其餘雖家々造一レ之、不紀勢家、〉 豆淋酒(○○○)〈逐瘀血調尿血便血、或謂治男婦中風、用黑大豆一升洗淨、少蒸、入于好古酒二升内、而蓋甕口緊封、埋土五十日而成、取出用時、和山椒末少許拌匀而飮之、一方合人參末龍眼肉等同釀亦有、此謂能補心腎詳、〉 屠蘇酒(○○○)〈本邦古來用之、毎正月朔旦飮之、辟疫癘一切不正之氣、故天子毎正月朔旦四方拜畢後、自夜御殿晝御座、有齒固之供、而典藥頭獻屠蘇酒白散等藥、内侍用御藥、盛銀瓶藥子先嘗試一レ之、而奉進于御前、此本邦古今之舊例也、近代公侯士庶亦用之、本邦古今醫家有此酒方、然不意、予家用方、其法用赤朮桂心各七分半、防風一錢、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins070701.gif 葜五分、山椒桔梗大黄各五分、鳥頭二分、赤小豆十箇、以三角絳囊之、除夜懸井底、元旦取出置酒中、煎數沸、擧家東向、從少至長次第飮之、藥滓還投井中、歳飮之水、一世無病、〉 龍眼酒(○○○)〈補心虚脾弱、造法用新龍眼肉一斤、去外皮乃核、浸于好燒酒中以埋土、至百日許而成、渣亦味佳、若酒色不紅黑則不佳、又置土中熟、或浸于古酒中亦好、數十日而成、味亦甘美而佳、〉 葡萄酒(○○○)〈煖腰腎肺胃、用蒲萄能熟紫者、去皮強濾滓與一レ皮合盛磁器靜處一宿、明日再濾取汁兩日、濃汁一升、炭火煎二沸許、放地待冷、次入三年諸白酒一升氷糖末百錢、拌匀收藏于陶甕中、封口經十五日餘而成、或經一兩年亦尚佳、經年則濃紫如蜜色、味似阿蘭陀知牟多、世以珍賞之、大抵此造酒蒲萄者、以蘡薁勝、即山蒲萄也、俗稱黑蒲萄亦佳、〉 桑椹酒(○○○)〈明耳目水腫、用桑椹黑熟者一升、入好酒三升、經一月、研爛漉酒、入氷糖末二三斤、拌匀經三五日而飮之、或用熟椹、檑爛作泥、收藏于甕、用時入酒中煎湧、入糖用亦佳、〉 桑酒(○○)〈治中風五痺脚氣及疾嗽、用桑樹及根皮、濃煎汁入米麴釀成、與古酒同、〉 菊酒(○○)〈有二種、一種用菊潭水酒、賀州有菊川、兩岸多菊、至秋黄花爛熳、摘其花川流、併煮取汁、釀成米麴酒、賀公餞之四方、一種用黄花于燒酒中、經數日煎沸收貯于甕中、入氷糖數日而成、肥後侯餞之四方、倶謂明目愈頭痛、袪風及婦人血風、〉 生薑酒(○○○)〈治肚腹凍痛及冷積、用生薑皮、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins024548.gif 上研爛和味噌、炒鍋不其蕉粘好酒、煎沸一兩次乘香而飮之、〉 楊梅酒(○○○)〈消飮除惡氣、用楊梅紫熟者一升、好古酒三升砂糖一合、拌匀入甕中七日、候酒之紅色、取出研爛去核、復與酒同研煮鍋、緩火煎者數沸而漉布去滓、收藏于陶甕口、經十餘日而成、若酸多甜少、則再入砂糖亦佳、〉 密柑酒(○○○)〈用密紺紅熟者、去皮核及顆外白皮膜、濾汁五盞、好酒三盞、砂糖半斤、拌匀收藏于甕、經五六日而成、主治未詳、惟開胸進食耳、〉 榧酒(○○)〈治疝積寸白蟲、用新好榧實、去核及内澀皮、取其最白膩者、剉研爲末投于好酒中、而頻研合入沙糖末、再研收于甕中口、經一日一夜而成、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins024385.gif 之多少隨意、〉 梅酒(○○)〈消痰止渇推食解毒止咽痛、用半熟生梅不大不小而中者、浸于早稻草灰汁、一宿取出、以紙拭淨、再酒洗、二升、好古酒五升、白沙http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins024385.gif 七斤拌匀收藏于甕中者、過二十餘日而取出梅酒、或不梅亦有、經年最佳、取梅取酒互用、〉 鳩酒(○○)〈治腰痛及老人下冷、其法用肥鳩、去腸毛及頭尾翅脚、而刮肉碎骨研爛煮酒與薑酒同、〉 鷄卵酒(○○○)〈益精壯氣調脾胃、先用水五盞麴上黄衣一盞砂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins024385.gif 半盞、拌匀煎之數十沸、別用鮮鷄卵一箇、去殻取汁投于湯中、頻々攪合、乘温飮之、此宜酒之人也、或用鷄卵一箇、破開外殻盡于煎酒中、以箸頻攪之乘温而飮之、〉 蝮蛇酒(○○○)〈治楊梅瘡年久者及諸惡瘡癲狂等病造法同于綱目、然近世飮之者少、〉 和漢三才圖會百五造釀藥酒 按、藥酒、本草綱目所載者甚多、而本朝所用來方品亦不少矣、紀州、勢州之忍冬酒(○○○)、賀州、肥後州之菊酒(○○)南都霙酒(○○)、淺茅酒(○○○)、並得其名、以備上饌、如淫羊藿酒(○○○○)、豆淋酒(○○○)、龍眼肉酒(○○○○)、枸杞酒(○○○)、桑酒(○○)、黄精酒(○○○)、地黄酒等(○○○○)最(○)有効、梅酒(○○)、榧酒(○○)、楊梅酒(○○○)、鷄卵酒(○○○)、覆盆子酒(○○○○)等不枚擧、用藥物及沙糖、漬燒酎或醇酒、封甕口其熟時用、 疱廚備用倭名本草十二造釀酒 近年又人好ンデ藥酒ヲツクル、忍冬酒(○○○)アリ、紀州ニ出ルヲ第一トス、覆盆子酒(○○○○)アリ、桑椹酒(○○○)アリ、蘡薁酒(○○○)アリ、保命酒(○○○)、長命酒(○○○)、阿蘭陀國ヨリキタル葡萄酒(○○○)アリ、チンタサケ(○○○○○)、ニツワサケ(○○○○○)アリ、此ノ外カ種々ノ酒アリ、 料理物語料理酒玉子酒(○○○) 玉子をあけ、ひや酒をすこしづゝ入よくときて、鹽をすこし入かんをして、出候也、たまご一ツにさけをりべに三盃入よし、 いもざけ(○○○○) 山のいものいかにも白きを、こまかにおろして、是もひやざけにて、よく$〳〵$ときのべ、鹽すこし入、間のよきまでかきまはしてよし、〈○中略〉 鳩ざけ(○○○) はとをよくたゝき酒にてとき、みそをすこしなべに入、きつねいろにいりつけて、鳩もさけも入よし、山椒のこか、こせうのこか、わさびなどすこし入よし、しやうゆうにてもいり付候也、 はふし酒(○○○○) きじのはの中のふしよりさきをこまかにたゝき、鹽すこし酒すこし入いりて、右のからみ〈○胡椒、山椒、薑椒、〉何にても入、さけをよきかんにして出し候也、身をくひ申時は、しやうゆう少くはへよし、 つかみ酒(○○○○) 雉子のわたを、こきみそを少しくはへ、よくたゝきあはせ候て、一足のあしに、一本づつにくしをさし、かのたゝきたる物を、ゆびの中へいれあぶり候へば、よくにぎり申候、中もからりとあぶれたると見え候時、ゆびのきはよりきりて、又よくたゝき、又すこしいりて酒を入、間をして出し候也、 生姜酒(○○○) みそにしやうがおろしすりつけ、いりてさけを入、かんをいたし候、しやうがばかりも入る也、みそざけは味噌ばかりいるゝ也、〈○中略〉 づりん酒(○○○○) くろまめ一升いりさまし、よきさけ一升五合いれつけ置候、まめやはらかに、ほとびたる時のみてよし、

〔料理山海鄕〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0709 紫蘇酒(○○○) 紫蘇廿匁、紅花五匁、此二色別々袋ニいれ、さとう四百目、燒酎壹升壺に入れ、袋へ入候二色浸おき、廿日してもちゆ、

〈江戸〉

〔買物獨案内〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0709 〈家秘精製〉紫蘇酒〈○中略〉 壹升ニ付代五百銅、壹合ニ付代四十八銅〈○中略〉 江戸賣弘所 酒店 〈芳町川岸通り〉石井安兵衞

〔毛吹草〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 加賀 菊酒(○○) 紀伊 若山忍冬酒(○○○○○) 延命酒(○○○)

〔紀伊國名所圖會〕

〈一名草郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 忍冬酒(○○○)〈いにしへより鷺森御堂の裏門前酒屋源次郎太夫が家に製する所にして、其名四方に高し、その味辛甘相半して、能々胸間をすかせり、薩州の泡盛に比するに香氣一段の風味をまし、いとも佳品なり、しかも永く醉をたもちて容易さむることなし、彼中山の千日酒といへるは此たぐひにやと思はる、就中毎歳國君より禁裏御所、〈仙洞おはしますときは、其御所へも獻ぜらる、〉及關東へ獻じたまへり、〉

〔張州府志〕

〈十五丹羽〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 土産 忍冬酒〈出犬山、製造勝于他方、〉

〔紫芝園漫筆〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 紀國忍冬酒、苦辣芳烈、海内無雙、一滴下咽、直到臍下、痛快不言也、正眞上人住傳通院時、紀侯餽以是物、上人見予〈○太宰純〉曰、子嗜忍冬酒乎予、對曰嗜之、上人乃命侍者予酌之、予傾一小鐘、上人曰、子能盡一鐘乎、予曰不盡已、上人曰、請再進、予又傾一鐘、上人爲命殽曰、復請、曰幸甚、又傾一鐘、上人曰、善飮哉生也、老僧素好飮、子所知也、而不是酒、子嗜之善飮哉生也、予曰僕亦素嗜酒、而不數杯、唯於忍冬酒則盡數鐘、亦不甚醉性所嗜耳、況紀忍冬酒天下之佳味也敢不醉、上人愕然曰、生可善飮也、

〔寬政武鑑〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 紀伊中納言治寶卿 時獻上〈寒中〉新忍冬酒

〔日次紀事〕

〈五月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 五日 今日端五節、〈○中略〉市中家々〈○中略〉細刻菖蒲葉(○○○)入(○)酒中(○○)、而飮之辟瘟云、

〔萬金産業袋〕

〈六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0710 酒 ほうめいしゆ(○○○○○○) 上白米壹石、常の酒めしにむし、かうじ米にて貳斗、〈花をあらひ〉生しやうちう壹石貳三斗入て仕こみ、日數五十日ほどして、常酒のごとくにあぐる、酒にあげて熟地黄〈め貳拾匁〉山藥茯苓〈各拾五匁〉肉桂〈め拾匁〉以上四味をあら刻にして、布の袋に入〈レ〉外に黑豆七合〈よくいり皮を去〉秈(たいたうごめ)壹升 〈是もよくいりて〉此二色をまた袋に入、右のすみ酒の中へいれ、七日過て取出ししぼりあげ、又蓋をよくして、氣の洩ぬやうに十日計も過て口を明也、但此藥味は、さい初米かうじと一所に仕こみ、右の日數を經てしぼるも有、たいたうごめ、くろ豆は、家々の調方にて一定ならず、

〔多識編〕

〈三穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 葡萄酒(○○○)〈今案惠比左氣、俗云音、〉

〔本朝食鑑〕

〈四菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 蘡薁〈訓惠比津留〉 集解、山野處々所在有之、蔓葉花實與葡萄同、〈○中略〉俗呼稱黑葡萄、野人食之、今採之釀酒甚好、經年者最甘美而有酸味、通俗稱補腎益氣家々造之、

〔重修本草綱目啓蒙〕

〈十七造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 葡萄酒 通名 紅毛人持來る紅白黑ノ品アリ、又本邦ニテモ造ル、葡萄實ヲトリ核ト皮トヲ去リ、沙糖ヲ加ヘテ燒酒ニ漬スモノナリ、

〔河内名所圖會〈前編中石川郡〉〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 富田林〈南河内都會の地也○中略〉名産葡萄は農家の前栽に棚作り多く栽る、初秋の頃は鈴の如く生て市に出す、其味他にまさりて甘美なり葡萄酒も此地の名産としらる、風土の奇なり、

〔徂徠集〕

〈五詩〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 峽遊雜詩十三首 還館作 甲陽美酒綠葡萄、霜露三更滿客袍、須識良宵天下少、芙蓉峰上一輪高、

〔本朝食鑑〕

〈四菓〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 桑椹(○○)〈今俗訓久和伊知古、〉 集解、此桑之子也、〈○中略〉近時爲毎果者少、但釀酒而飮爾、

〔寬政武鑑〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0711 細川越中守齊玆〈○肥後熊本〉 時獻上〈正月〉桑酒 松平阿波守治昭〈○阿波德島〉 時獻上〈十一月〉桑酒

〔料理山海鄕〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 榧酒(○○) 上栢いりてしぶかわをさり、又色付ほどいりて摺ばちにてよくすりて、酒にてこしあたゝめてもちゆ、栢二百にさけ壹升のつもりなり、

〔料理山海鄕〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 龍眼酒(○○○) 燒酎二升、氷おろし半斤、龍眼肉皮實を去、肉計壹斤、右一所に壺へ入れ口よくしめ、湯せんにして少し温、其後雨のあたらざる地へ埋置、十日計してよし、

毒酒

〔日本書紀〕

〈一神代〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 一書曰、〈○中略〉素戔鳴尊之計釀毒酒以飮之、虵醉而睡、

〔陸奧話記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 同〈○康平五年九月〉十一日鷄鳴襲鳥海柵、行程十餘里也、官軍未到之前、宗任經淸等棄城走保厨川柵、將軍〈○源賴義〉入鳥海柵、暫休士卒、柵中一屋釀酒數十甑、士卒争欲之、將軍制止云、恐賊類設毒酒(○○)欺疲頓軍矣、而雜人中一兩人飮之無害、而後合軍飮之、皆呼萬歳

制度

〔類聚國史〕

〈百七十三災異〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 大同元年九月壬子、遣使封左右京及山崎津難波津酒家甕、以水旱成災穀米騰躍也、

〔吾妻鏡〕

〈四十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 建長四年九月卅日辛亥、鎌倉中所々、可制沽酒之由、仰保々奉行人等、仍於鎌倉中所々民家、所註之酒壺三萬七千二百七十四口云云、又諸國市酒全分可停止之由云云、 十月十六日丁卯、沽酒禁制、殊有其沙汰悉以被却壺、而一屋一壺、被之、但可他事、不造酒之儀、若有違犯之輩者、可罪科之由、固定下之云云、

〔新編追加〕

〈雜務〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0712 一條々諸國一同被仰下畢 一河手事 一津泊市津料事 一沽酒事(○○○) 一押買事 右四箇條所禁制也、〈○中略〉守此旨觸國中、若令違犯者、可注申之状依仰執達如件、 弘安七年六月三日 駿河守 判 信濃判官入道殿

〔享保集成絲綸録〕

〈二十三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0713 寬永十九〈午〉年五月 一當年より在々ニ而酒造り申間數候、但通之町者各別、併通り者計酒賣候而、在々百姓ニ賣申間數候、若賣申ニおゐては酒造道具不殘取可申事〈○中略〉 右之趣面々御法度之處、此外ニも被存寄候之儀は世間くつろぎの爲に候間、可申付候、 五月

〔御當家令條〕

〈三十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0713 覺〈○中略〉 一酒之儀、江戸、京、大坂、堺、奈良、其外名酒之分、又は諸國http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 往還之道筋、所々城地市之立候所人居多、町人は去年之半分當年は可之、并新規之酒屋は可停止、右之外於在々所々商賣酒一切不之、自然此等之趣相背輩あらば、其所之御代官給人方油斷たるべき事〈○中略〉 右各相談之上如斯候、組中并領内〈江〉可申付者也、 寬永十九年九月十四日 曾根源左衞門 宮城越前守〈○以下六人署名略〉

〔御當家令條〕

〈三十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0713 一去年當年在々所々耕作損亡之所有之其上材木山出付候而は米令費之間、酒造之儀、江戸、京都、大坂、奈良、堺、其外名酒之所々、又は諸國在々所々ニ至迄、例年之半分當年來年は可之、并新規之酒屋一切可止之、若於違背は、其所之給人御代官可越度、自然密密多作輩あらば訴人ニ出べし、御褒美可之、其上あだをなさゞる樣ニ可付之、勿論酒屋は可罪科事〈○中略〉 右條々急度可申付者也、 戌〈○萬治元年〉十一月廿八日

〔享保集成絲綸録〕

〈三十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0714 寬文九酉年正月 一張はづれ之酒屋、來月朔日より、與力同心指遣相改之、若酒少成とも致所持候ハヾ、酒道具ともに取上、其身ハ曲事可申付候、勿論請酒も帳はづれ之者共ハ、向後商賣無用たるべし、右之日限前に、酒不殘賣拂可申者也、 正月 寬文十一亥年十二月 一町中ニ而五味酒并白酒ねり酒造り商賣仕候儀、御法度被仰付候間、左樣相心得、自今以後堅造申間敷候、尤只今迄造り來ル者、誰々と書付、樽屋所〈江〉持參可申候、右之酒屋無之町々も、月行事印判持可參候、 十二月

〔御當家令條〕

〈三十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0714 覺 一諸國在々所々ニ而、當年寒造之酒米員數之儀、去年之半分可之、若令違背多造之族有之ば、縱後日ニ露顯たりといふとも、可曲事之條、訴人ニ出べし、急度御褒美可之、違犯之輩は勿論、其名主五人組迄可罪科、來年二月http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 右酒商賣可仕、其以前は一切賣べからざる者也、 申〈○延寶八年〉九月 一當年寒造酒之儀、最前如相觸彌守其趣、寒造之外當坐作新酒之儀、當年來年爲停止之間、一切造間敷候、若相背もの於之は、急度可出之、御褒美可之、自然作者有之を隱置、脇http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 知れ候はゞ、當人は不申、其所之名主五人組、可罪料者也、 申〈○延寶八年〉十一月日

〔御當家令條〕

〈三十二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0715 覺 一諸國在々所々酒造米之儀、可減少之由、最前雖仰出、當年は御用捨たる之間、延寶七未年造候員數之通可之、若多く造候輩あらば可曲事者也、 天和三年八月十五日

〔享保集成絲綸録〕

〈三十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0715 元祿十五午年七月 一當午年酒造候儀、寒作之外新酒一切可停止事、 一當暮寒造之酒分量之儀、元祿十丑年酒造米之五分一たるべき事、 一古來より人も存、造酒計家業ニ仕來候所々ハ、以書付御勘定所〈江〉相伺候上、丑年酒造米高三分一之積可造之事、 一來未春右米高之外、造懸候儀停止たるべき事、 一家業之外ニ酒造候者、一切停止たるべき事、 右之通諸國共ニ堅可相守、若違背之輩於之ハ可曲事候間、所々奉行御代官、私領ハ地頭より念入相改、相違無之樣ニ可申付候、來未年酒造米之員數ハ、來年五月中可相伺候、以上、 七月

〔享保集成絲綸録〕

〈三十七〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0715 寶永元申年九月 一地造酒屋有之、町々酒改役人相廻候節、名主家主五人組共立合、御定之石高相違無之樣ニ、吟味可仕候事、 一地造酒屋共外ニ而家藏を借、御定之外增造不仕候哉、一町切ニ家別相改、名主方〈江〉證文取置之申事、 一造酒屋は勿論、請酒屋共、新酒商賣不差免以前、賣買仕候者有之哉、名主五人組、常々心懸、吟味可仕事、 右之趣入念致吟味、若相背もの於之者、無用捨早速可之、若隱置外http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 相知候ハヾ、名主は不申、五人組迄、可越度候間、此旨急度可申渡候、以上、 九月

〔御觸并御書付留〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0716 酒造之儀に付御書付并半石造又は三分一造之儀に付御觸 酒造之儀、造來候米高之内三分二相止、三分一可酒造旨、當六月御觸有之、猶又此度酒造之儀株石に不拘、只今迄造來候酒造米高之三分一、造候樣可仕旨被仰出、委細御觸にも有之處、右御觸之趣不相守、品々手段を以て、酒造高三分一之外增造いたし候もの有之段相聞不屆之至に候、依之酒桶酒造道具等相改、增造いたし候もの有之候はゞ、急度可仰付候間、早速召捕可差出候、且支配内より私領之内にも右體之風聞相聞候ものは、吟味之上是又召捕可差出候、 天明七未年十二月

〔天保集成絲綸録〕

〈九十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0716 寬政三亥年十二月 大目付へ 諸國酒造之儀、當秋數度之暴風雨出水等ニ而、作物傷候趣ニ而米價引上候間、彼是御世話有之、隨而は下賤之者共迄、飯米行屆方之ため、三分一造り改方等之儀、尚又嚴重ニ被仰出候ニ付、浦賀中川兩御番所、并橋場役所ニおゐて、酒積入津船改之送状、員數〈江〉改印押相渡筈ニ候間、其旨心得江戸何町誰〈江〉、何國誰http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 送り荷、又は何町誰仕入荷物と申譯分明ニ認候送り状、浦賀中川兩御番所、并鶴房次郎橋場役所〈江〉差出、改ヲ請入船可致候、 右之通諸國一統相心得、浦賀中川兩御番所并房次郎役所〈江〉送り状差出、改を請候樣、御料は其所之奉行御代官、私領は領主地頭http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif洩樣、可觸もの也、 十二月 右之通可相觸

〔御觸并御書付留〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0717 下リ酒之儀山城外拾ケ國之外江戸積送差留之儀御觸書 下リ酒之儀、山城、河内、和泉、攝津、伊勢、尾張、三河、美濃、紀伊、播磨、丹波拾壹ケ國之外は、是迄江戸表積送候儀無之候、然ル處去ル未年以來、諸國三分一造被仰出候上は、猶以是迄江戸送不致國々http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 、可積送筋無之筈に候間、以來上方筋之儀は、右拾壹ケ國之外は、江戸送致間敷候、若積候ものも有之候はゞ、其儘積戻可申付候、 右之通、東海道筋中山道筋五畿内中國、御料は其所之奉行御代官、私領は領主地頭より不洩樣可觸知者也、 寬政四子年十月

〔天保集成絲綸録〕

〈九十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0717 文化三寅年九月 大目付へ 近年米價下直ニ而、世上一同難儀之趣相聞へ候、右體米穀澤山之時節ニ付、諸國酒造リ人共は不申、休株之者其外是迄渡世ニ可仕ものにても、勝手次第酒造渡世可致候、勿論酒造高是迄之定高ニ拘はらず、仕入相稼可申候、 右之通御料私領寺社領共、不洩樣可觸知もの也、 九月 右之趣可相觸候 德川禁令考五十七酒造慶應三卯年十一月廿九日 醤油味噌酒酢等造石高并賣捌石數取調之儀御觸書 美濃守殿御渡 三奉行〈江〉 關東筋於在々醤油味噌味醂酒酢、又者濁酒等造込、五穀を潰し候渡世柄之もの并穀類取扱候渡世之もの、猥ニ相成候趣相聞、凶歳等之節取締筋ニ拘リ候間、以來鑑礼相渡、稼方差免候積ニ付、右取調之もの廻村爲致候間、醤油造其外之ものは壹ケ年造石高、穀屋共は賣捌石數、三ケ年平均高取調可申立候、 右之通、關東八ケ國、御料者御代官、私領者領主地頭より、不洩樣可觸知もの也、 十一月 右之趣可相觸

酒役

大館常興日記天文九年二月十日、日行事〈攝より〉各へ折紙あり、ぬしの棟梁以結城言上、白酒をしやうばい仕候處、今度酒役を可仕之由、地下より、新儀を申懸候、迷惑之旨巨細申之、げにものやうに御氣色也、但各へ被下之云々、 ○按ズルニ、酒税ニ關スル事ハ、政治部下編雜税篇ニ載ス、

釀酒

新撰字鏡酉釀〈女帳反、去、酒也、造酒也、成也、治酒也、佐介加无、〉 運歩色葉集賀釀(カモス)〈釀酒〉 日本書紀通證五宣賢曰、釀此云加牟、古者http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins079457.gif 咀作酒也、〈今按口嚼酒見大隅風土記、嚼之而腐熟也、武内宿禰歌云、許能彌企塢伽彌鷄武比等、〉 東雅十二飮食酒〈○中略〉 酒を造る事を、カミともカモともいふは、舊説にカミスとは、昔は口にて米を嚼碎きて、酒を造りたる也といふ也、又カモスとは麴也、米をカビさせて、酒に造る也と見えたり、〈藻鹽草に〉前説は大隅國風土記に據りし所なりと見えたれど、然るべしとも思はれず、後説をもて正 しとこそすべけれ、釀讀てカミスともカモスともいふ義の如きは、麴の注に見えたり、〈(中略)我昔琉珠國の人に逢ひ、しごとに、かしこにて酒説を造る方を尋問ひて、其説を詳にせしに、世にいひ傳ふる所の如きはあとかたもなきそら言也けり、彼風土記(大隅)に見えし所の如きも古の俗いひつぎし所に出て、徴とするにたるべからず、素戔烏神の御時、すでに八鹽折の酒造られしなどもいふ事は見えたり、〉

〔冠辭考頭注〕

〈二〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0719 酒をかみするてふ語は麴(カンタチ)をまじへて造る事也、其かんだちはかびたちにて、米のかびの立たるをいへり、故にかみする、かもする、かむなども云は、皆音通へり、かびるかぶる、かむるなどに通はして知べし、古へ飯を口にかみて酒とせしなどいふ俗説は、いふにもたらず、

〔古事記傳〕

〈九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0719 釀は、酒を造るを云、古歌にこれかれ見ゆ、字鏡に、釀酒酒也、佐介加无と注せり、〈此加牟を、口にて咬咀(カミ)て作る故なりと云は、おしあてのひがことなり、加牟は、和名抄に、麴を加無太知とあるは、かびたちにて、俗に花の付と云これなり、されば酒もかびだゝせて作る意にて、加牟とは云なり、故加毛須とも云り、〉

〔塵袋〕

〈九飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0719 酒ヲ造ルヲバ、カムトモ云フ、イカナル心ゾ、釀ノ字ハサケヲツクルナリ、ツクルトモカムトモヨム、昔ハ此ノ國人酒ヲツクルスベヲシラズ、クチニ米ヲカミテ水ニハキイレ$〳〵$シテ、日ヲ經テノチ熟スルトキ、コレヲ醴ト云フ、ノチノ人ウルハシクツクレドモ、昔ニナゾヘテカムト云フ、大隅ノ國ニハ一家モ水ト米トヲマウケテ、村ニツゲメグラセバ、男女一所ニアツマリテ米ヲカミテ、サカフ子ニハキイレテ、チリ$〴〵$ニカヘリヌ、酒ノ香ノイデクルトキ、又アツマリテカミテハキイレシモノドモ、コレヲノムヲ名ヅケテクチカミノ酒ト云フト云々、風土記ニ見エタリ、コレモムカシ事ニヤ、サケヲアグルト云フ事アリ、釃ノ字ヲアグトヨムナリ、

〔成形圖説〕

〈十一農事〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0719 酒食 古の神酒製る法は、吾沖繩島にぞ遺りけらし、かの土音に神御氣と稱へり、こは神の御氣もて成れりと云の古語に由れり、其法十三四より十五歳までの女子の、端正なるを擇て齋せしめ、甘蔗して齒を磨き、淸水して口を洗ひ、粢(シトキ)を嚼しめて、醞釀(ツクリモロミ)の中に投れバ、一宿を經て成れり、其味甚甘 美、酒色潔白なり、凡御氣一升を造には、糯大上白米一升〈搗粉なり〉麥芽(バコキノ)粉五合、燒水八合、美水二合、絹篩にてとほし、煉調たるに、始糯白米一升の中より一合許を分取置煉ず、生粉のまゝなるを嚼投也、此通證所謂古者http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins079457.gif 咀作酒、大隅風土記所載の口嚼酒、及武内宿禰の歌に、此神酒を嚼けむ人と見えたる者なるべし、〈凡其女子の口氣に由て、御氣の味或は甘く或は辛し、之を甘口辛口と云、今も酒味を云には、亦此より出たり、明世法録云、琉球國以水漬米越宿、婦人嚼以取汁曰米奇、米奇即御氣なり、〉さて此御氣を造て、毎年四月頃稻穗將に熟とする時、一間切つゝ神舞と云をなして、神祇を祀り、歳の豊祭を祈る、名て神事と云、其式祝巫白淨衣を披頭にhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins008808.gif (ハチマキ)し、裏白(ウラシロ)を插し手に茅を執て、社頭にて歌ひ舞へり、此時擧國悉く齋戒し、服忌經行等の者ハ戸外に別火し、神事に關ることを得ず、若犯す者は必羽生に傷らる、土俗呼びて神の使と云、而この御氣は國世主(カナシ)に獻り、又諸臣庶に頒賜の例あり、

〔本朝食鑑〕

〈二華和異同〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0720 酒 華有黍秫粳糯粟之酒、其餘地黄葡萄等類也、就中専用糯酒上、黍粟次之、用粳者少、本邦惟用粳米酒、其餘不用、今造古酒者用糯米、亦入粳米新酒中而并造之、想夫中華之粳者不本邦之粳耶、本邦之粳者當中華之糯耶、然則若專用本邦之糯而造酒者、其味極厚濃其氣極猛烈、而極熱傷人者必矣、故自古專用糯米而不酒也、

〔童蒙酒造記〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0720 餅米酒之事 一餅米沸強き物也風味辛く薄口也、足弱くして火を早く乞、油斷すれば替る物也、勿論片白に造るべし、

〔童蒙酒造記〕

〈三〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0720 小米酒之事 一小米勿論片白に造るべし、造り樣諸事本米同前、但し小米は夥敷強く沸物也、大體より一限強く醒し切べし、當分呑口濃き樣に候へども、追而薄口に成、火を早く乞、足弱き物也、早く賣拂ふべ し、油斷すれば替る物也、

〔童蒙酒造記〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0721 酒言葉之事、 一室の床食颯亂離と成を、擇食(つはる)といふ、 一蓋に盛て三ケ一葩煎(はぜ)るを、足といふ、 一糵(もやし)とは、麴の花の事也、 一本元とは六斗、半元とは三斗也、 一元味付とは、旨(うまく)出來る事也、 一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins031749.gif むるとは、半切http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 壺臺に移す事、 一温(ぬく)めとは、懷湯(だきゆ)入る事、 一ほうろく泡とは、鏡の見ゆる大き成泡の事、 一鬼灯(ほうつき)泡とは、鬼灯程にて鏡見ゆる泡の事、 一蟹泡とは、右左々々と細か成泡の事、 一雪泡とは、雪の降積りたるごとく高泡の事 一泡掛とは、温め引て後泡の樣にて掛る事、 一下り掛け、同泡の下りを見て掛る也、 一半枯しとは、同泡上りて後日數四日めに掛る事、 一枯しとは、同泡上りて後日數七日に掛る事、 一大枯しとは、同泡上りて後日數七日以上、或は十日十五日、自然は二十日二十四日三十日までもにて掛るを云也、 一元起(おこし)とは、添掛る事、 一飛とは、添と中分け間一日置事也、 一中分けとは、添の次に掛る事、 一掛留とは、中分の次三ツめの掛仕廻事、 一初櫂とは、飛日初に搔く事、 一掛鹽の櫂とは、中分掛留共に、掛前に搔櫂の事也、同櫂を早く入るを落し掛といふ、同櫂を遲く入るを競掛といふ也、 一向ふ櫂とは、今日掛たる時に明日荒櫂入る事、 一荒櫂とは、造り仕廻て始て入る櫂の事、 一押ゆるとは、向ふ櫂より延て搔事、 一遮(さへぎ)り櫂とは、向ふ櫂http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 早く搔く事、 一下りとは、醅(もろみ)岸離れて下る事、 一延すとは、水多く汲事、 一詰るとは、水少き事、 一斗水とは、掛米壹斗に水壹斗の事、 一當りとは、假令ば七斗水に造る酒ならば、中分けにて七斗汲を當りといふ、 一算用とは、元水より添中分け段々の水を仕廻にて、算用して汲事也、 一分るとは、醅を汲分ける事、 一時飛とは、今日の掛時より明日の掛時延る事、 一當日漬けとは、朝米洗ひて晩に蒸事、 是は新酒に用ゆる事也、 一二日漬けとは、今日米洗ひて明日蒸事、 一三日漬けとは、今日米洗ひて明後日蒸事、 一摝(さがす)とは、食醒す事、 一持籠とは、釜http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 直に食を入る事、 一荒息拔とは、筵に開擴手返して息拔て入る事、或は二三篇或五六篇、息拔とは、或は二三枚或は五六枚取る間手返し醒す事也、或は人肌とは膚の温み程の事也、或はちと氣を持するとは、少し計温み有かといふ程の事也、或は醒切とは、一時にても二時にても、寒さ程醒す事也、 一打とは、渡しへ酒を入る事也、 一突釃とは、笊籬(いかき)にて醅を釃事也、 一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039844.gif (なかくみ)とは、揚前延たる醅の中の、淸たる所を汲とる事也、 一酒の蓋とは、醅の上の泡黑く成て、蓋の如くなる事なり、 一酒の足とは、酒の性の事なり、 一生酒とは、火不入酒の事なり、 一煮込とは、煮て直に樽詰にする事、 一煮香(にか)立とは、火入を乞風味色程替る事 一薄火入とは、手引より前に火入る事、 一大體火入とは、手引の事也、 一熱火とは、手引http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 強く入る事也、 一火香とは、火入て後火の匂ひする事、 一花降とは、淸酒に霰のごとくの、白き物出來る事也、是を病といふ、 一泥(おり)とは、火前に火入共に桶底に留る所の、濁りて弱き酒也、 一尻口強しとは、繽酒(ひんしやん)として辛口の事也、 一尻口弱しとは、爲浸(ひつたり)として甘き事也、

〔釋日本紀〕

〈九述義〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 山城國風土記曰、〈○中略〉玉依日賣於石川瀨見小川遊爲時、丹塗矢自川上流下、乃取插置床邊遂孕生男子、至成人時、外祖父建角身命造八尋屋、堅八戸扉八腹酒而神集集而、七日七夜樂遊、

〔出雲風土記〕

〈楯縫郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 佐香鄕、郡家正東四里一百六十歩、佐香河内百八十神等集坐、御厨立給而、令酒給之、即百八十日喜讌、解散坐、故云佐香

〔幡磨風土記〕

〈完禾郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 庭音村〈本名庭酒〉大神御粮枯而生http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins027027.gif 即令酒、以獻庭酒而宴之、故曰庭酒村、今人云庭音村、 伊和村〈本名神酒〉大神釀酒此村故曰神酒村、又云於和村

〔幡磨風土記〕

〈託賀郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 賀負里〈大海山、荒田村、○中略〉所以號荒田者、此處在神、名道主日女命、无父而生兒、爲之釀盟酒田七町、七日七夜之間、稻成熟、意乃釀酒集諸神、遣其子酒而令之、於是其子向天目一命、而奉之、乃知其父後荒其田、故號荒田村

〔幡磨風土記〕

〈賀毛郡〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 上鴨里〈土中上〉下鴨里〈土中々○中略〉下鴨里有碓居谷箕谷酒屋谷、此大汝命造碓稻春之處號碓居谷、箕置之處者號箕谷、造酒屋之處者號酒屋谷

〔萬葉集抄〕

〈一上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 土佐國風土記云、神河訓三輪川、源出北山之中、屆于伊與國、水淸故、爲大神酒也、用此河水、故爲河名也、

〔日本書紀〕

〈十五顯宗〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0724 白髪天皇〈○淸寧〉二年十一月、幡磨國司山部連先祖伊與來目部小楯、於赤石郡親辨新嘗供物、〈○注略〉適會縮見屯倉首縱賞新室夜繼晝、〈○中略〉小楯撫絃命秉燭者曰起儛、〈○中略〉天皇次起、自 整衣帶室壽曰、〈○中略〉出雲者新墾、新墾之十握稻之穗、於淺甕釀酒、美飮喫哉、〈○注略〉吾子等〈子者男子之通稱也、〉脚日木此傍山牡鹿之角〈牡鹿此云左鳴子加〉擧而吾儛者、旨酒餌香市不直買、手掌摎亮、〈○注略〉拍上賜、吾常世等壽畢、

〔日本靈異記〕

〈中〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725 孤孃女憑敬觀音銅像奇表現報縁第卅四 諾樂右京殖槻寺之邊里有一孤孃、〈○中略〉明日夫去以絹十匹米十俵妻而言、絹颯縫衣被、米急作酒、

〔今昔物語〕

〈十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0725佛物餠酒見虵語第廿一 今昔、比叡ノ山ニ有ケル僧ノ、山ニテ指ル事无カリケレバ、山ヲ去リ本ノ生土攝津ノ國ノ郡ニ行テ、妻ナド儲テ有ケル程ニ、其鄕ニ自然ラ法事ナド行ヒ、佛經ナド供養スルニ、多クハ此ノ僧ヲ呼懸テ、講師トシケリ、才賢キ者ニハ无ケレドモ、然樣ノ程ノ事ハ心得テシケレバ、修正ナド行ニモ、必ズ此ノ僧ヲ導師ニシケリ、其行ヒノ餠ヲ此ノ僧多ク得タリ、人ニモ不與テ家ニ取置タリケルヲ、此ノ僧ノ妻、此ノ多ノ餠ヲ无益ニ、子共ニモ從者共ニモ食セムヨリハ、此ノ餠ノ久ク成テタラムヲ、被集メテ酒ニ造ラバヤト思ヒ得テ、夫ノ僧ニ此ナム思フト云ケレバ、僧糸吉カリナムト云合セテ、酒ニ造テムナリ、其後久ク有テ、其ノ酒出來タラバト思フ程ニ、妻行テ其ノ酒造タル壺ノ蓋ヲ開テ見ルニ壺ノ内ニ動ク樣ニ見ユ、怪ト思フニ、暗テ不見エネバ、火ヲ燈シテ壺ノ内ニ指入テ見レバ、壺ノ内ニ、大ナル、小サキ虵、一壺頭ヲ上テ蠢キ合タリ、穴怖シ、此ハ何ニト云テ、蓋ヲ覆ア逃ゲ去ヌ、夫ニ此ノ由ヲ語ルニ、夫奇異キ事カナ、若シ妻ノ僻目カト、我レ行テ見ムト思テ、火ヲ燃シテ壺ノ内ニ指入テ臨クニ、實ニ多ク虵有テ蠢ク、然レバ夫モ愕キ去ヌ、然テ壺ニ蓋ヲ覆テ壺乍ラ遠ク棄ムト云テ、搔出テ遠キ所ニ持行テ、廣キ野ノ有ケルニ竊ニ棄ツ、其ノ後一兩日ヲ經テ、男三人其ノ酒ノ壺棄タル側ヲ過ケルニ、此ノ壺ヲ見付テ、彼レハ何ゾノ壺ゾト云フ、一人ノ男ヲ寄テ壺ノ蓋ヲ開テ臨クニ、先ヅ壺ノ内ヨリ微妙キ酒ノ香匂出タリ、奇異クテ今二人ノ男ニ 此ト云ヘバ、二人ノ男モ寄テ共ニ臨クニ壺ニ酒一壺入タリ、三人ノ男此ハ何ナル事ゾナムド云フ程ニ、一人ガ云フ、我レ只此ノ酒ヲ呑テムヤト、今二人ノ男野ノ中ニ此ク棄テ置タル物ナレバ、ヨモ只ニテハ不棄ジ、定テ樣有ル物ナラム、怖シ氣ニ否不呑ジト云ヒケルヲ、前ニ呑ト云ツル男、極タル上戸ニテ有ケレバ、酒ノ欲サニ不堪シテ、然バレ其達ハ否不呑ゾ、我ハ譬ヒ何ナル物ヲ棄置タル也トモ只呑テム、命モ不惜ラズト云テ、腰ニ付タリケル具ヲ取出テ、指救テ一杯呑タリケルニ實ニ微妙キ酒ニテ有ケレバ、三杯呑デケリ、今二人ノ男此ヲ見テ、其レモ皆上戸也ケレバ、欲ト思テ今日此ク三人列ヌ、一人ガ死ナムニ、我等モ見棄テムヤハ、譬ヒ人ニ被殺ルトモ、同ジクコソハ死ナム、去來我等モ呑テムト云テ、二人ノ男モ亦呑テケリ、世ニ不似ヌ美酒ニテ有ケレバ、三人指合テ吉ク呑テムト云テ、大ナル壺也ケレバ、其ノ酒多カリケルヲ指荷テ、家ニ持行テ日來置テ呑ケルニ、更ニ事无カリケリ、彼ノ僧ハ少ノ智リ有ケレバ、我ガ佛物ヲ取集メテ、邪見深キガ故ニ、人ニモ不與ズシテ酒ニ造タレバ、罪深クシテ虵ニ成ニケリ、悔恥テ有ケル程ニ、其ノ後程ヲ經テ、其々ニ有ケル男三人コソ、其ノ野中ニテ酒ノ壺ヲ見付テ、家ニ荷ヒ持行テ吉ク呑ケレバ、實ニ微妙キ酒ニテコソ有ケレナド語ケルヲ、僧自然ラ傳へ聞テ、然ラバ虵ニハ非ズ罪ノ深キガ故ニ只我等ガ目許ニ虵ト見エケル也ケリト思テ、彌ヨ恥悲ビケリ、此レヲ思フニ、佛物ハ量无ク罪重キ物也ケリ、現ニ虵ト見エテ蠢キケム、極テ難有ク希有ノ事也、然レバ尚然樣ナラム佛物ヲバ、強ニ不貧ズシテ人ニ與ヘ、僧ニモ可食キ也、此ノ事ハ彼ノ酒呑タリケル三人ノ男ノ語ケル也、亦僧モ語ケルヲ聞繼テ、此ク語リ傳ヘタルトヤ、

〔今昔物語〕

〈二十六〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0726 鎭西人打雙六敵被殺下女等語第廿三 今昔、鎭西ノ國ニ住ケル人、合聟也ケル者ト雙六ヲ打ケリ、〈○中略〉其家ハ此髻被取タル者ノ家ニテ、下ニ下女共數シテ酒造ル粉ト云物ヲ春喤ケルニ、〈○下略〉 萬葉集四相聞太宰帥大伴卿贈大貳丹比縣守卿遷任民部卿歌一首 爲君(キミガタメ)、釀之待酒(カミシマチザケ)、安野爾(ヤスノヽニ)、獨哉將飮友無二思手(ヒトリヤノマムトモナシニシテ)、 萬葉集十六有由縁并雜歌味飯乎(ウマイヒヲ)、水爾釀成(ミヅニカミナシ)、吾待之(ワガマチシ)、代者曾無(カハリゾナキ)、直爾之不有者(タヾニシアラネバ)、 右傳云、昔有娘子也、相別其夫望戀經年、爾時夫君更娶他妻、正身不來、徒贈裹物、因此娘子作此恨歌、還酬之也、 東大寺正倉院文書二十八越前國天平五年郡稻帳 釀酒料稻參伯伍拾束 丹生郡漆拾束 足羽郡漆拾束 大野郡漆拾束 江沼郡漆拾束 加賀郡漆拾束 東大寺正倉院文書十五尾張國天平六年正税帳 納大炊寮酒料赤米貳伯伍拾玖斛 充穎稻伍仠壹伯捌拾束 東大寺正倉院文書四十三薩麻國天平八年正税帳 釀酒料稻貳伯參拾捌束 得酒壹拾漆斛 東大寺正倉院文書四十二豊後國天平九年正税帳 直入郡〈○中略〉 新釀酒五斛料稻漆拾束〈斛別十四束○下略〉 東大寺正倉院文書十七駿河國天平十年正税帳 釀酒拾參斛料稻伯捌拾貳束〈斛別十四束○下略〉 延喜式一四時祭園并韓神三座祭〈園一座、韓神二座、○中略〉 黑米一石、白米五斗、絁一疋、錢五百十二文、〈已上釀神酒料〉

〔延喜式〕

〈四十造酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0728 年料釀酒數 御酒料二百十二斛九斗三升六合九勺九撮、〈山城國六十石八斗七升二合四勺七撮、大和國廿五石六斗二升二合四勺、河内國廿六石六斗二升二合五勺、和泉國廿石一斗二升五合、攝津國七十九石二斗二升二合五勺、並數隨時増減、就中割十石東酒殿、但山城攝津國省營田稻、大和河内國正税稻、和泉國三石一斗二升五合國營田稻、十七石正税稻、〉御井酒料十九石五斗 擣(カチ)糟料卌八石 醴酒料三石六斗 三種糟料八斗〈五斗糟料、三斗三種麴各一斗料〉糯米五斗、梁米五斗、小麥三斗、 右擣糟以上三種料、二百七十五石一斗、白米就中糯米十五石畿内諸國所進起七月下旬九月下旬、司家撿納隨事出充、若有未進、申省移式部省、不國司於新嘗會節、但醴酒并三種料米小麥別請大炊寮、 酒酢料六百八十八石三斗七升七合、 内膳司供御唐菓子韲甘醴料七斛六斗 雜給酒料六百十五石七斗七升七合〈○中略〉 右以庸米民部省御酒糟法 酒八斗料、米一石、糵四斗、水九斗、 御井酒四斗料、米一石、糵四斗、水六斗、 醴酒九升料、米四升、糵二升、酒三升、 三種糟各五斗 一種料、米五斗、糵一斗、小麥萌一斗、酒五斗、 一種料、糯米五斗、糵一斗、小麥萌一斗、酒五斗、 一種料、精梁米五斗、糵一斗、小麥萌一斗、酒五斗、 擣糟一石料、米一石、糵七斗、水一石七斗、 造雜給酒及酢法 頓酒八斗料、米一石、糵四斗、水九斗、 熟酒一石四斗料、米一石、糵四斗、水一石一斗七升、〈○中略〉 汁糟一斛、粉酒一石料、並準酒八斗法、 糵一石三斗料、米一石、〈白米加糵一斗〉爨米一石料、薪六十斤、 右依前件、其酒起十月酢起六月、各始釀造經旬爲醞、並限四度、其三種御糟、預前釀造、正月三節供之、醴酒者、米四升、糵二升、酒三升、和合釀造得醴九升、以此爲率、日造一度起六月一日七月卅日、供日六升、中宮准此御井酒起七月下旬釀造、八月一日始供、日五升、

釀酒法

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0729 酒 集解、凡造酒者先宜水、以流泉井泉最好者上、溪川長流者次之、擇水而後宜米以五畿濃尾海西肥壤之米勝、故和州南都造酒爲第一、而攝州之伊丹、鴻池、池田、富田次之、其餘諸州市民雖多造之、或水有強弱淸濁、米有肥痩精粗、而酒味不佳、京師近于和攝、水米亦極好、然造酒失于甘、而不佳者、賴和攝太邇而不力于修造之故乎、其餘州守縣主及富商、擇水擇米而造者、不南都攝州、故備之三原、賀之菊川、江都之三笠等類不少、江東北山東北亦粗有此類、不佳者皆據水米之惡也、大抵造酒法用新擇白米一斗、至夕浸水明朝取出、蒸甑作飯、候冷合淸水一斗四升、好麴七升、拌匀入桶經四十日餘、而飯麴腐熟作甘酒、取入四斗樽、別用二升小樽、内塡熱湯口、而置于四斗樽内甘酒中間、此稱 陀岐(ダキ)、外以草薦三枚而覆蓋裹縛樽之四圍煖避風、且入陀岐、則至暮取出、建舊冷湯新熱湯、復入甘酒中、暮入陀岐、則至且易之如前、若斯數次、而候酒中湧越大沫吹起、而取去陀岐及外薦後、經七日去酒上之黑衣、斯時嘗酒若有些酸味、則預識酒之成一レ功也、復用米一斗水一宿、取出蒸飯、候冷與水八升、〈井水者汲之一宿要之、川水者直用之、若水煖則酒敗、故用冷水、〉麴六升于酒中拌匀、又四圍覆薦掩蓋而要温、〈此時先用二番攪之米而水浸、〉翌日入手五寸許、而候酒中之冷煖、煖則除薦去蓋、入枴頻攪之、此謂一番攪也、復米水麴入于酒中前、桶中酒湧而乾者、五寸許而入枴頻攪、此謂二番攪也、以酒味微甘辛佳、又乾者五分許而入枴頻攪、此謂三番攪也、入三番枴之前夜、米一斗水浸入枴後、蒸于一斗浸米飯、候冷與水八升麴六升于酒中拌匀、四圍覆薦掩蓋、後再入一番二番三番之枴前法、而後桶中自口至酒處、乾者七分許又攪之、從是已後時々頻攪者兩日許、待冷過而塡須加利〈即濾酒之布囊也、〉入舟、其酒水半滴、復入布嚢而壓、則酒自滴出、酒滴盡後取汁去滓、此號新酒也、別用精白糯米三斗、水浸一宿取出蒸飯、待冷與麴二斗新酒一石中拌匀、毎七日一次攪之、至三七日滓取汁、收藏于桶及壺中、此則古酒造也、諸白者用好白米細舂細篩極作精白者一斗、水七升白麴六斗、其造法與新酒同、其新成者稱新諸白、越年者稱諸白古酒也、已上皆臘月及春所造釀者也、收藏于甕壺能可年、至其三四五年者、味濃香美最佳、及六七至十年者、味薄氣厚、色亦深濃有異香尚佳、若斯者倶和攝之造、而餘州不相及、然貯之者少而價亦貴矣、三秋造者不陀岐、此以時氣未一レ寒也、故皆濁酒不淸酒、若欲淸酒、則酒敗味酸不用、或酒敗生酸味者、以山灰少許而投于酒中則作好酒、惟氣烈味辛、必毒于人而已、〈山灰者山中炭竈灰也〉

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0730 酒(さけ)〈○中略〉 本醅 精米六斗蒸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins044340.gif 、〈冷定〉同二斗四升盒麴〈但本一斗當四升〉用水七斗二升、〈但本一斗當水一斗二升〉和匀、匾桶六枚分盛之、毎日二三次攪之、二旬而生甜味時、合盛一大桶、投湯婆於其中、湯婆乃〈凡可一斗許〉楕http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins079188.gif 也、盛熱湯口投之外以筵裹桶慍之〈至暮更湯〉經七八日則起泡嘗試有些酸味度加添、 添〈訓曾倍〉 米一石二斗蒸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins044340.gif 三斗六升爲麴、〈自此以下中飯一斗當三升〉水一石二斗〈米與均〉和匀攪之、以筵包封攪之包之也、一次而分盛二桶、故謂之中分、 中分 米二石二斗蒸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins044340.gif 、六斗六升爲麴、水一石七斗六升〈米一斗當八升〉和匀攪之、翌日分盛四桶〈或用一大桶或二中桶亦可〉故謂之大分、諸白片白〈本米麴米共眞精者故名兩白本米精而麴米不精故名片白、〉 大分 米四石蒸http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins044340.gif 、一石二斗爲麴、水一石五斗二升、〈此時定水之員數〉但米高八石乘水六斗五升則得五石二斗、内減本添中分三度水高三石六斗八升、殘一石五斗二升也、和匀毎三日一次攪之、覆蓋三十五日成、〈如經四五十日則雖汁多味佳〉別投木灰一升於酒三升中、〈澄定去渣〉總涪和匀盛袋并槽醡汁爲淸酒、凡可八石許渣用、

〔日本山海名産圖會〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0731 造釀 造酒の法精細と成て、今天下日本の酒に及ぶ物なし、是穀氣最上の御國なればなり、それが中に攝州伊丹に釀するもの、尤醇雄なりとて、普く舟車に載て台命にも應ぜり、依て御免の燒印を許さる、今の遠國にては諸白をさして、伊丹とのみ稱し呼べり、されば伊丹は日本上酒の始とも云べし、是又古來久しきことにあらず、元は文祿慶長の頃より起て、江府に賣始しは、伊丹隣鄕鴻池村山中氏の人なり、其起る時は纔五斗一石を釀して擔ひ賣とし、或は二拾石三十石にも及びし時は、近國にだに賣あまりけるによりて、馬に負ふせてはる$〳〵$江府に鬻ぎ、不圖多くの利を得て、其價を又馬に乘せて歸りしに、江府ます$〳〵$繁昌に隨ひ、石高も限りなくなり、富巨萬をなせり、繼起る者、猪名寺屋、升屋と云て、是は伊丹に居住す、船積運送のことは、池田滿願寺屋を始めとす、うち繼で釀家多くなりて、今は伊丹、池田、其外同國西宮、兵庫、灘、今津などに、造り出せる物また佳品なり、其餘他國に於て所々其名を獲たるもの多しといへども、各水土の一癖家法の手練にて、百味人面のごとく、又殫し述べからず、又酒を絞りて淸酒とせしは、纔百三十年以來にて、其前 は唯飯籮を以漉たるのみなり、抑當世釀する酒は、新酒、〈秋彼岸ころよりつくり初る〉間酒、〈新酒寒前酒の間に作る〉寒前酒、寒酒〈すべて日數も後程多くあたひも次第に高し、〉等なり、就中新酒は別して伊丹を名物として、其香芬彌妙なり、是は秋八月彼岸の頃、吉日を撰み定めて、其四日前に麴米を洗初る、〈但し近年八九月節寒露前後よりはじむ、〉 酒母(さけかうじ)〈むかしは麥にて造りたる物ゆへ文字麴につくる、中華の製は甚だむつかしけれども、日本の法は便なり、〉 彼岸比http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif 入定日四日前の朝に、米を洗ひて水に漬すこと一日、翌日蒸して飯となして筵にあげ柄械にて拌匀し、人肌となるを候ひて、不殘槽(とこ)に移し〈とことは飯いれの箱なり、〉筵をもつて覆、土室のうちにおくこと凡半日、午の刻ばかりに塊を摧、其時糵を加ふ事、凡一石に二合ばかりなり、其夜八ツ時分に槽より取出し、麴盆の眞中へつんぼりと盛て、拾枚宛かさね置、明る日のうちに一度翻して晩景を待て盆一はいに拌均し、又盆を角とりにかさねおけば、其夜七ツ時に、黄色白色の麹と成る、 麴糵(もやし) かならず古米を用ゆ、蒸して飯とし、一升に欅灰二合許を合せ、筵幾重にも包て、室の棚へあげをく事十日許にして、毛醭を生ずるをみて、是を麴盆の眞中へつんぼりと盛りて後盆一はいに搔ならすこと、二度許にして成るなり、 釀酒http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif (さけのもと)〈米五斗を一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif といふ、一ツ仕廻といふは、一日一元づゝ片付行をいふなり、其餘倍々は酒造家の分限に應ず、〉 定日三日前に米を出し、翌朝洗らひて漬し置き、翌朝飯に蒸て筵へあげてよく冷し、半切八枚に配ち入るゝ、〈寒酒なれは六枚なり〉米五斗に麴壹斗七升水四斗八升を加ふ、〈増減家々の法あり〉半日ばかりに水の引を期として、手をもつてかきまはす、是を手元と云、夜に入て械にて摧く、是をやまおろしといふ、それより晝夜一時に一度宛拌まはす、〈是を仕ごとゝいふ〉三日を經て二石入の桶へ不殘集め收め、二日を經れば泡を盛上る、是をあがりとも吹切とも云なり、〈此機を候ふこと、丹練の妙ありてこゝを大事とす、〉これを復http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif をろ しの半切二枚にわけて、二石入の桶ともに三ツとなし、二時ありて筵につゝみ、凡六時許には其内自然の温氣を生ずる〈寒酒はあたゝめ、桶に湯を入て、もろみの中へさし入るゝ、〉を候ひて、械をもつて、拌冷こと二三日の間、是又一時拌なり、是までをhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif と云、 酘(そへ)〈右http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif の上へ米麴水をそへかけるをいふなり、是をかけ米又味ともいふ、〉 右のhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif を不殘三尺桶へ集收め、其上へ白米八斗六升五合の蒸飯、白米二斗六升五合の麹に、水七斗二升を加ふ、是を一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif といふなり、同く晝夜一時拌にして三日目を中といふ、此時是を三尺桶二本にわけて、其上に白米一石七斗二升五合の蒸飯、白米五斗二升五合の麹に、水一石二斗八升を加へて一時拌にして、翌日此半をわけて、桶二本とす、是を大頒(をほわけ)と云なり、同く一時拌にして、翌日又白米三石四斗四升の蒸飯、白米一石六斗の麹に、水一石九斗二升を加ふ、〈八升入ぼんぶりといふ桶にて二十五杯なり〉是を仕廻(しまい)といふ、都合米麴とも八石五斗、水四石四斗となる、是より二三日四日を經て、氳氣を生ずるを待て、又拌そむる程を候伺に、其機發の時あるを以て大事とす、又一時拌として次第に冷し、冷め終るに至ては、一日二度拌ともなる時を、酒の成熟とはするなり、是を三尺桶四本となして、凡八九日經てあげ桶にてあげて、袋へ入れ醡(ふね)に滿しむる事三百餘より五百迄を度とし、男柱に數々の石をつけて次第に絞り、出る所淸酒なり、是を七寸といふ、澄しの大桶に入て、四五日を經て、其名をあらおり、又あらばしりと云、是を四斗樽につめて出すに、七斗五升を一駄として樽二ツなり、凡十一二駄となれり、右の法は伊丹鄕中一家の法をあらはす而已なり、此餘は家家の秘事ありて、石數分量等各大同少異あり、尤百年以前は八石位より八石四五斗の仕込にて、四五十年前は精米八石八斗を極上とす、今極上と云は九石餘十石にも及べり古今變遷是又云つくしがたし、すまし灰を加ふることは、下米酒薄酒或はhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins083002.gif (そんじ)酒の時にて、上酒に用ゆることはなし、間酒は米の增方むかしは新酒同前に三斗増なれども、いつの比よりか一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif の酘五升增、中の 味一斗增、仕廻の增壹斗五升增とするを佳方、寒とす前寒酒共に是に準すべし、間酒はもとより四十餘日、寒前は七十餘日、寒酒八九十日にして酒をあぐるなり、尤年の寒暖によりて增減駈引日數の考あること專用なりとぞ、但し昔は新酒の前にボタイといふ製ありて、これを新酒とも云けり、今に山家は此製而已なり、大坂などゝても、むかしは上酒は賤民の飮物にあらず、たまたま嗜むものは、其家にかのボタイ酒を釀せしことにありしを、今治世二百年に及んで纔其日限に暮す者とても、飽まで飮樂して陋巷に手を撃ち萬歳を唱、今其時にあひぬる有難さをおもはずんばあるべからず、

〔浪花の風〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734 豪家は鴻池屋善右衞門〈○中略〉先祖工夫して、初て淸酒を製し出せしより、江戸廻等も追追夥敷事となり、終に三都第一の豪家となれりといふ、此淸酒の製し方のこと言傳へにては、善右衞門先祖に遺憾あるものありて、其造る所の酒を損ぜしめ、恨を晴さんと謀り、ある夜竊に灰を酒樽の内へ投入置しに、翌日に至り、其酒の濁り淸て、都て味ひも美となれり、依て善右衞門先祖これにもとづきて、淸酒の工夫をなし、夫より大に利を得て、終に豪富に至れりといふ、

〔日本山海名産圖會〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734

〔成形圖説〕

〈十一農事〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734 酒食 凡酒を釀すのhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif (モト)米酘(スエ)米は、浪華にては北國の舊來を用ゐ、又間酒改新宅造には、攝河泉播作備豫等の米を取り、南都諸白造には河内生駒米にて釀すとかや、惣うじて酒の釀美なるは、本邦を第一とすること、唯水の神秀なるのみならず、職(モト)として米の勝れたるを以て也、

〔瓦礫雜考〕

〈下〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0734 酒 大和本草に、向井元升云、南都諸白爲上品云々、諸白者可世界第一之上品といへるが如く、酒は南都を本とすることは酒粕に漬たる香の物を、奈良づけといふにてもしられたり、されど今は他国に美酒多し、凡酒の美惡は水によれり(○○○○○○○○○○)とぞ、酒造るに用ふる井は、かならず其邊に山ありて、井のかたはらには樹木なく、夜星の影おほく移るは水の性はげしくてよしといへり、五雜組にも、泉冽則(ハゲシケレバ)酒香といへるが如し、故に〈○中略〉星のかげよくうつる處、かならずよき水出ゆゑに、井を鑿に先是をこゝろみ定てほるといへり、

〔雍州府志〕

〈六土産〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 山川酒 六條油小路酒店釀之、凡山間流水多白而濁、此酒似其色而甘美、因號之、

〔譚海〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 酒を造る桶は皆杉なり(○○○○○○○○○○)、古木を用るほど酒よく出來るなり、名酒を造る桶は、五六百年に及ぶ杉にて造たる桶なるよし、先年飛騨山中に大なる杉あり、根のうつろに成たる内へ、三人入て手をひろげつらなりたるに、猶左右に餘地あり、大坂の者此杉を貳千兩に直段付たれども、所の者此杉は産砂のごとく、何百年ともなくあがめ來るゆへ、賣渡す相談に及ずといへれば貳千五百兩迄直段にのぼせたれ共、終に賣事をせであり、大坂の者申けるは、此杉およそ千年餘の物と見へたり、此杉をもて酒樽を造りなば、おそらくは池田伊丹に此酒より勝たる物出來る事あるまじ、桶にせは廿七八本は出来べし、その價はかりなき事といへるとぞ、

〔渡邊幸庵對話〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 一高直成酒とても、四月の節に至りては、にがりと云もの出來る故か、上の澄たる所を殘し、其おりにあるにがり共に捨る也、下酒は左樣にしては不成ゆへに、にがり可殺爲に火をあつる也、

〔和漢三才圖會〕

〈百五造釀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0735 酒 如有酒味變或苦或酸者、投木灰〈其分量不定〉即治矣、自古有此法、而未加減焉、近世http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins039995.gif (タウジ)人納鍛練無百一失、然其酒甚甜而有微灰氣、〈木灰出紀州熊野、用橿或海石榴欅木灰注水覆莚一宿、篩淸不風日、○中略〉 凡吃沙糖而飮酒則苦不飮、然漬沙糖於酒中或二物同雜吃則不苦、以可知反惡忌畏之藥品宜詳審、剉磨炮炙之修製、醫家不輕忽也、

掌釀酒

〔令義解〕

〈一職員〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 造酒司 正一人〈掌酒醴〈謂醴甜酒〉酢〉佑一人、令史一人酒部(○○)六十人、〈掌http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins040000.gif 〉使部十二人、直丁一人、酒戸、

〔日本書紀〕

〈五崇神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 八年四月乙卯、以高橋邑人活日、爲大神之掌酒(○○)、〈掌酒此云佐介弭苫(○○○○)〉

釀酒工

〔古事記〕

〈中應神〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 秦造之祖漢直之祖、及知釀酒人名仁番亦名須須許理等、參渡來也、故是須須許理釀大御酒以獻、於是天皇宇羅宜是所獻之大御酒而〈宇羅宜三字以音〉御歌曰、須須許理賀(ススコリガ)、迦美斯美岐邇(カミシミキニ)、和禮惠比邇祁理(ワレエヒニケリ)、許登那具志(コトナグシ)、惠具志邇(エグシニ)、和禮惠比邇祁理(ワレエヒニケリ)、如此之歌幸行時、以御杖大坂道中大石者、其石走避、故諺曰、堅石避醉人

〔本朝月令〕

〈六月〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 同日〈○朔日〉造酒正獻醴酒事〈起六月盡七月○中略〉 日本決釋云、應神天皇之代、百濟人須曾己利〈人名、酒公、〉參來、始習造酒之事、以往之世、未釀酒之道、但殊有造酒之法、上古之代、口中嚼米吐納木櫃、經日酣酸、名之爲醴、故今世謂釀酒嚼、是其法也、〈今南島人所爲如此〉

〔新撰姓氏録〕

〈右京皇別〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 酒部公(○○○) 同皇子〈○景行子神櫛別命〉三世孫足彦大兄王之後也、大鷦鷯天皇〈○仁德〉御代、從韓國參來人、兄曾曾保利、弟曾曾保利二人、天皇勅何才、白造酒之才、令御酒、於是賜麻呂號酒看都子(○○○○)、賜山鹿比咩號酒看都女、因以酒看都氏、

〔七十一番歌合〕

〈上〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0736 六番 右 酒作(○○) あぢ酒の霞し空に似たる哉あまけの月のしぼり出つゝ〈○中略〉 我戀は忍ぶとすれどさか瓶子口こそつゝめ色に出つゝ

〔人倫訓蒙圖彙〕

〈四〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 酒屋〈○中略〉 酒造り男を、杜氏漉酌(とうじろくしゃく&○○○○)といふなり、

〔日本山海名産圖會〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 家言 杜氏(とうじ)〈酒工の長なり、又おやぢとも云、周の時に杜氏の人ありて、其後葉杜康といふ者、よく酒を釀するをもつて名を得たり、故に擬えて號く、〉衣紋(ゑもん&○○)〈麴工の長なり、花を作るの意をとるといへり、一説には中華に麴をつくるは、架下に起臥して暫くも安眠なさゞること七日、室口に勝るの意にて衞門と云か、〉

釀酒具

〔延喜式〕

〈四十造酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 造酒雜器 中取案八脚、木臼一腰、杵二枚、箕廿枚、槽六隻、〈隨損請換〉甕木蓋二百枚、〈三年一請近江國進〉槽三口、水樽十口、水麻笥廿口、小麻笥廿口、筌百口、匏十口、〈已上供奉酒料〉篩料絹五尺、瓼三口、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins008808.gif 暴布三條、〈別三尺〉麻笥盤一口、擇盤一口、明櫃三合、韓竈一具、〈已上三種糟料〉篩料薄絁五尺、冷醴由加一口、http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins008808.gif 暴布一條、〈長二尺五寸〉坩二口、麻笥盤一口、明櫃一合、〈造麴料〉麁筥一合、韓竈一具〈已上醴酒料、中宮准此、〉糟垂袋三百廿條、〈二百卌條酒料、度別六十條、八十條酢料、度別廿條、並以商布一段八條、一年四換、〉甕http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins008808.gif 調布百條、〈條別長四尺、廣一幅半、〉縫絲二分二銖、〈一銖縫得卅條〉結繩料熟麻七斤六兩二分、〈斤別九丈五尺、口別七尺、〉大匏四柄、〈各受二斗〉鍬四口、〈已上雜給料〉 右造酒料支度、及年料節料雜器、並申省請受、

〔續古事談〕

〈一王道后宮〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 造酒司ノ大刀自(○○○)ト云ツボハ三十石入也、土ニ深クホリスヘテ、ワヅカニ二尺バカリイデタルニ、一條院ノ御時、ユヘナク地ヨリヌケ出テ、カタハラニフシタリケリ、人オドロキアヤシミケルホドニ、御門ウセ給ニケリ、三條院御時大風フキテカノツカサタフレニケルニ、大トジ(○○○)、小刀自(○○○)、次トジ(○○○)、ミナウチワリテケリ、

〔文政度大嘗會調進物記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0737 大嘗會造酒之場所〈○中略〉 造酒之具 一糀室一室 一井籠一組 一半切桶二ツ 一大桶二ツ 一中桶〈各蓋有〉四ツ 一小桶〈各蓋〉 〈有〉十七 一糀蓋 一筵、木綿袋、繩袋、敷布、上戸、炭ふるい、摺鉢、草ぼうき、大いがき、箕、升、土鍋、かゐ杓、大杓子、折敷、一薪 右加茂〈江〉運送之御道具、但シ新調之事、

〔日本山海名産圖會〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0738 釀具 半切二百枚餘、〈各一ツ仕廻に充る〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif おろし桶二十本餘、三尺桶三本餘、から臼十七八棹、麴盆四百枚餘、甑はかならず薩摩杉のまさ目を用、木理より息の洩るゝをよしとす、其餘の桶は板目を用ゆ、袋は十二石の醡(ふね)に三百八十位、薪入用は一http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins073201.gif にて百三十貫目餘なり、

〔童蒙酒造記〕

〈一〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0738 道具名之事 一渡しとは大桶の事也 一五寸とは五尺五寸の事也 一七寸とは三尺七寸の事也 一細高(ほそたか)とは口窄く長け高き桶の事 一壺臺とは元卸の桶の事 一吹貫甑とは井樓甑の事、底なし、 一次輪(つぎわ)とは甑に次輪の事なり 一小狙とは甑の穴に當る物也、又猫といふ 一口桶とは樋の口桶の事 一揚桶とは醅持桶の事 一手樣(ため)とは手有桶の事 一食樣とは食運ふ桶の事 一切樣とは水斗升之事 一搔桶とは食を取桶之事 一突起(つきおとし)とは食起す箟の事 一奔(はしり)とは桶の口に置て雫を受る物也 一突揚とは押木を押る鐘木也 一桶休めとは樣桶を置臺也 一掠摩とは底の酒を取器物也 一櫂とは酒を搔道具なり 一元櫂とは元搔箟也

〔享保集成絲綸録〕

〈四十九〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0738 寬永八申年五月〈○中略〉 一酒屋共之酒道具ニ、當七月末ニ燒印押、酒造りこませ可申由被仰付候事、 五月

糟粕

〔新撰字鏡〕

〈米〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 糟粕〈上又作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins040003.gif 、子勞反、平、不漉酒也、下普各反、酒滓也、二字訓同、阿万加須、〉http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins027167.gif 〈快打反、糟堅加太加須、〉

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 糟 説文云糟〈子勞反、和名加須、〉酒滓也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 段玉裁曰、内則重醴稻醴淸糟、黍醴淸糟、粱醴淸糟、注云、重陪也、糟醇也、淸泲也、致飮有醇者泲者、陪飮之也、周禮酒正、共后之致飮於賓客之禮醫酏糟、注云、糟醫酏不泲者、泲曰淸、不泲曰糟、按今之酒但用泲者、直謂已漉之粕糟、古則未泲帶滓之酒、謂之糟、泛齊醴齊、滓浮尤濁、盎齊緹齊沈齊差淸、莊子音義、玄應書、皆引許君淮南注曰、粕已漉粗糟也、然則糟謂漉者、是古所謂糟、與上條醪略同、粕字乃可以充加須也、

〔伊呂波字類抄〕

〈加飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 糟〈カス酒滓也亦作http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins040003.gif〉 滓 醜〈已上カス〉

〔日本釋名〕

〈下飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 糟(カス) こすなり、酒をこしたるあとはかすとなる也、

〔東雅〕

〈十二飮食〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 酒〈○中略〉 又〈○倭名抄〉説文を引て、糟はカス、酒滓也と注せり、カスの義もまた不詳、〈(中略)糟粕二字、并に讀でカスといふは、説文に糟粕は酒滓也といふに依れる也、されどまた説文、にhttp://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins018418.gif 糟曰粕と見えしかば粕と糟とは少しく異なる也、品字箋には、米久釀而成糟、酒既盡而名粕粕魄也、言米之精魂既盡惟死魄存也、と見えけり、さればカスといふは、猶屑といふか如し、クヅといひ、カスといふは轉語也、白酒をシラカスといふが如きは、所謂久しく釀して糟となるの義に似たり〉

〔本朝食鑑〕

〈二穀〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 糟〈和名加須今亦同〉 集解、此濾酒之渣、而米麴之餘脱也、大抵其色暗黄淡白者、古酒糟也、純白微黄者、諸白糟也、灰白濃香者、新酒糟也、倶和白鹽、可瓜茄蘿蔔牛房刀豆角豆(ナタヤメサヽゲ)梅蓮藕之類、或藏鯛鮒鮭鱒鯔數子鰒蚶榮螺蛸浮木海茸之輩、而經年不敗、或煮魚蔬、而能軟能美、能增甘味、其潤者有味、乾者無味、凡糟者、以臘月春月造酒之渣上也、

〔東大寺正倉院文書〕

〈二十八〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0739 越前國天平四年郡稻帳 酒參拾參斛陸斗參升貳合〈汁廿八斛六斗三升二合、滓(○)五斛、〉 用壹拾肆斛貳斗肆升貳合〈汁九斛二斗四升二合、滓(○)五斛、〉

〔大江俊矩記〕

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 文化十三年七月五日癸未、大黑屋http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/ra_ins002001.gif 酒糟持參、例年之祝義也、

〔延喜式〕

〈四十造酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 東宮 日酒六升、〈○註略〉汁糟(○○)五合、韲酒四合、酢四合、 右韲料酒汁糟並行彼宮進物所、 伊勢齋内親王料〈向伊勢後不行〉 日酒八升、〈諸節別二斗〉酢五合、汁糟(○○)五合、

〔萬葉集〕

〈五雜歌〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 貧窮問答歌一首并短歌 風雜(カゼマジリ)、雨布流欲乃(アメフルヨノ)、雨雜(アメマジリ)、雪布流欲波(ユキフルヨハ)、爲部母奈久(スベモナク)、寒之安禮婆(サムクシアレバ)、堅鹽乎(カタシホヲ)、取都豆之呂比(トリツゾシロヒ)、糟湯酒(カスユザケ&○○○)、宇知須須呂比氐(ウチススロヒテ)、〈○下略〉

〔萬葉集略解〕

〈五〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 糟湯酒は酒の糟を湯にひでゝすゝる也、

酒蟻

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 酒蟻 文選注云、浮蟻〈師説佐加岐散々〉酒蟻在上、汎汎然如萍者也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0740 按南都賦云、浮蟻如蓱、李善注、引釋名曰、酒有汎齊、浮蟻在上、汎汎然如蓱之多者、此所引即是、而檢釋名如蓱之多者五字、則知是五時李善釋賦所謂如一レ蓱也、源君并引之、又增酒蟣二字、皆非是、昌平本蟣皆作蟻、那波本同、與文選釋名合爲是、然諸古本作蟣、伊勢廣本同、又此云師説云佐加歧佐々、與虫豸部蟣蝨之蟣訓歧佐々合、則源君所見文選作浮蟣疑、類聚名義抄引此亦作酒蟣、則作蟻者、恐後人依今本文選校改也、下總本標目及正文浮蟣並作蟣、正文酒蟣作蟻亦非是、按説文、蓱萍並訓苹也、然萍在水部、蓱在艸部、二字不同、而玉篇廣韻以爲同字、故源君引作萍、

酒膏

〔倭名類聚抄〕

〈十六酒醴〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 酒膏 文選注云、醪敷〈佐賀阿布良〉酒膏也、

〔箋注倭名類聚抄〕

〈四藥酒〉

http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/image/gaiji/SearchPage.png p.0741 南都賦云、醪敷徑寸、李善注云、説文、醪汁滓酒也、徑寸蓋酒膏之徑寸也、此所引蓋是、按劉良注云、敷布也、酒膏徑寸布於酒上、則酒膏以解醪字、不敷字、源君并敷字之非是、


Last-modified: 2019-03-15 (金) 09:48:56 (386d)