のこる（残る）

のこる（残る）→そでのうつりが（袖の移り香）

いつまてか−ひとにわかれて−のこるらむ−これそかたみの−そてのうつりか

【美濃千句】／何草［いつくにて］／文明4(1473)年12月16日〜21日

おもかけや−こひしきかたに−のこるらむ−おもひとめたる−そてのうつりか

【看聞日記紙背５０巻】／唐何［いやとしに］／応永31(1424)年1月25日

のこる（残る）→ほのかなそら（仄かな空）

とはれては−なににうらみの−のこるらむ−なくほとときす−ほのかなるそら

【弘治三年春雪千句】／初何［けさみれは］／弘治3(1557)年正月7日〜9日

むらさめの−あともあつさや−のこるらむ−くもにいりひの−ほのかなるそら

【天正年間百韻５７巻】／何垣［ゆくそてに］／天正11(1583)年閏1月1日

のこる（残る）→うぐいすのこえ（鶯の声）

ありあけや−かすみのうへに−のこるらむ−けさもまたなく−うくひすのこゑ

【文明十四年万句５２巻】／何船［ゆくみつに］／文明14(1482)年7月4日〜9月14日

うめかかや−そのよのそてに−のこるらむ−あけほのしたふ−うくひすのこゑ

【心敬関係１０種】／芝草内岩橋／本能寺本／

つきがかすむ（月が霞む）→のこる（残る）

さかののてらの−つきそかすめる−のとかなる−あらしのくもや−のこるらむ

【初瀬千句】／何水［うのはなの］／享徳元・2(1452)年、4月

あさとあくれは−つきそかすめる−かやりたく−ねやにけふりや−のこるらむ

【宗祇関係２種】／心敬専順点宗祇付句／

なびくあおやぎ（靡く青柳）→のこる（残る）

くちきなからも−なひくあをやき−みちのへの−ゆきはうすくや−のこるらむ

【看聞日記紙背５０巻】／何路［ひととせに］／応永32(1426)年12月11日

しつえしけりて−なひくあをやき−かせやまた−ちりしさくらに−のこるらむ

【寛文年間百韻２２巻】／□□［たのもしな］／寛文9(1669)年10月2日

まぎれない（紛れない）→のこる（残る）

すくなるみちは−まきれさりけり−かかるよも−かしこきかなや−のこるらむ

【難波田千句】／□□［にしきにて］／文明14(1482)年10月前後

わひぬるひとの−まきれさりけり−いにしへは−まことあるにや−のこるらむ

【宗長追善千句】／山何［こほるるや］／（享禄5）天文元(1532)年3月25日

みねのしらゆき（峰の白雪）→のこる（残る）

のはしもかれの−みねのしらゆき−さとふりぬ−たかかよひちの−のこるらむ

【紫野千句】／何路［あふちさく］／延文2(1357)年以後-応安3年6月以前

それとはかりの−みねのしらゆき−いつおきて−かれののしもは−のこるらむ

【紫野千句】／山何［ゆふたちは］／延文2(1357)年以後-応安3年6月以前

ふりそめけりな−みねのしらゆき−まつたかく−しくれのくもや−のこるらむ

【熊野千句】／何色［なみしけし］／文正元(1466)年3月以前