まつむしのこえ（松虫の声）

まつむしのこえ（松虫の声）→あらしのやま（嵐の山）

あきといふあきは−まつむしのこゑ−たへてやは−あらしのやまの−つきのもと

【永正年間百韻３４巻】／述懐［なけくかな］／永正8(1511)年1月21日

したくさかるる−まつむしのこゑ−なにしおふ−あらしのやまの−くれわたり

【文安頃千句４巻】／朝何［すゑとほき］／

まつむしのこえ（松虫の声）→つきのよ（月の夜）

なれもたれをか−まつむしのこゑ−ふたりみし−かけもわすれぬ−つきのよに

【文明十四年万句５２巻】／一字露顕［ちあきふる］／文明14(1482)年7月4日〜9月14日

えらひかねたる−まつむしのこゑ−いつよりも−ひかりさやけき−つきのよに

【天正四年万句７０巻】／何船［そらにまつ］／天正4(1576)年5月6日〜7月19日

まつむしのこえ（松虫の声）→なる（なる）

いかなるときを−まつむしのこゑ−ちきりしも−いまやかれのと−なりぬらむ

【聖廟千句】／山何［ぬるとりの］／明応3(1494)年2月10日〜12日

はしゐになるる−まつむしのこゑ−うらかれの−のはらやさむく−なりぬらむ

【天正四年万句７０巻】／二字返音［かせやいろ］／天正4(1576)年5月6日〜7月19日

まつむしのこえ（松虫の声）→むらすすき（群薄）

なほふるさとの−まつむしのこゑ−さらてたに−たとりしみちの−むらすすき

【成立不詳・宗長以前１５巻】／名号［なかはひと］／成立時不詳

いろいろなれや−まつむしのこゑ−いつしかに−しけきそともの−むらすすき

【寛永年間百韻１５巻】／□□［よのはるを］／裏白／寛永8(1631)年1月3日

あきかぜ（秋風）→まつむしのこえ（松虫の声）

したつゆも−くさかくれなき−あきかせに−しをれはなにか−まつむしのこゑ

【延徳年間百韻１６巻】／何路［うめかかの］／延徳4(1492)年1月23日

あちきなく−こぬひとうらむ−あきかせに−なほふるさとの−まつむしのこゑ

【成立不詳・宗長以前１５巻】／名号［なかはひと］／成立時不詳

さとはあれて−ひとこそとはね−あきのかせ−ゆふくれかなし−まつむしのこゑ

【称名院追善千句】／何牆［さかのやま］／永禄6(1563)年12月14日〜18日

しもかれの−くすはにかはる−あきのかせ−かけはいつこの−まつむしのこゑ

【天正年間百韻５７巻】／何船［もしほくさ］／天正7(1579)年1月13日

あさがおのはな（朝顔の花）→まつむしのこえ（松虫の声）

あさかほの−はなに□□□の−うちみたれ−すすきかもとは−まつむしのこゑ

【永禄年間百韻２８巻】／□□［ゆきにうめ］／永禄5(1562)年2月1日

あさかほの−はなをみるから−なみたおち−つひにはかれむ−まつむしのこゑ

【文明十四年万句５２巻】／何路［あさうみに］／文明14(1482)年7月4日〜9月14日

いろかわる（色変わる）→まつむしのこえ（松虫の声）

いろかはる−ころをたにしれ−おもひくさ−ちきりしままや−まつむしのこゑ

【成立不詳・宗祇以前１５巻】／何人［はつはなや］／成立時不詳

いろかはる−のへにこてふの−ゆめやうき−みしあとはたた−まつむしのこゑ

【永正年間百韻３４巻】／何木［いろはふちの］／永正8(1511)年4月6日

なごり（名残り）→まつむしのこえ（松虫の声）

あさちふを−ふかきみやこの−なこりにて−ききすてかたき−まつむしのこゑ

【永正年間百韻３４巻】／白何［さみたれや］／千句第五／永正15(1518)年5月14日

もみちする−あとはくもゐの−なこりにて−すゑかれにけり−まつむしのこゑ

【文明十四年万句５２巻】／何人［よにひろく］／文明14(1482)年7月4日〜9月14日

はなすすき（花薄）→まつむしのこえ（松虫の声）

ほのめくや−たかたまくらの−はなすすき−ふけゆくまてに−まつむしのこゑ

【天文年間百韻３８巻】／何船［あさかほに］／天文12(1543)年7月29日

ひともとや−かれののうちの−はなすすき−したはにすたく−まつむしのこゑ

【永禄年間百韻２８巻】／何船［たちならせ］／永禄元(1558)年7月18日